JP6713623B2 - プラズマcvd装置、磁気記録媒体の製造方法及び成膜方法 - Google Patents

プラズマcvd装置、磁気記録媒体の製造方法及び成膜方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマCVD装置、磁気記録媒体の製造方法及び成膜方法に関する。
図7は、従来の磁気記録媒体の製造方法を説明するための断面図であり、磁気記録媒体の中央部及び外周部を示している。磁気記録媒体は例えばHDD(Hard Disk Drive)用のメディアである。
まず、非磁性基板21の上に少なくとも磁性層22を形成した被成膜基板20を用意し、この被成膜基板20の上に炭素が主成分である保護膜としてDLC(Diamond Like Carbon)膜23をプラズマCVD(chemical vapor deposition)法により成膜する。
このDLC膜23の中央部の膜厚32は2nmであるが、外周部の近傍には2nmより膜厚が厚い部分23aが形成される一方、外周部の膜厚31は1nmと薄くなる。つまり、プラズマCVD法によりDLC膜23を被成膜基板20上に成膜すると、DLC膜23の外周部の膜厚31は中央部の膜厚32より薄くなる。なお、ここでの具体的な膜厚は一例である。
上記の磁気記録媒体を使用する際には保護膜にメディアヘッド(図示せず)を接近させる必要があり、このメディアヘッドと磁性層22との距離をより短くすることが要求される。このため、DLC膜23の膜厚をより薄くすることが要求される。
しかし、DLC膜23の中央部の膜厚32を2nmより薄くすると、DLC膜23の外周部の膜厚31が1nmより薄くなってしまい、磁性層22を保護する機能が損なわれ、磁性層22の金属が腐食することがある。そのため、DLC膜23の外周部の膜厚31を確保しつつ中央部の膜厚32をより薄くすることが困難であった。
本発明の一態様は、被成膜基板上に成膜される炭素が主成分である保護膜の外周部の膜厚を確保しつつ中央部の膜厚を薄くできるプラズマCVD装置、磁気記録媒体の製造方法または成膜方法を提供することを課題とする。
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]チャンバーと、
前記チャンバー内に配置された被成膜基板を保持する保持部と、
前記保持部に電気的に接続された第1の直流電源と、
前記チャンバー内に配置されたアノードと、
前記チャンバー内に配置されたカソードと、
前記アノードに電気的に接続された第2の直流電源と、
前記カソードに電気的に接続された交流電源と、
前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
前記チャンバー内を排気する排気機構と、
前記保持部に第1の電圧を、1sec以下の周期(1Hz以上周波数)で10%以上95%以下のDUTY比のパルス状に印加するように前記第1の直流電源を制御する制御部と、
を具備することを特徴とするプラズマCVD装置。
[2]上記[1]において、
前記制御部は、前記周期が1/100sec以上(100Hz以下の周波数)であることを特徴とするプラズマCVD装置。
[3]上記[1]または[2]において、
前記制御部は、前記第1の電圧が前記保持部に印加されない期間に、前記保持部に第2の電圧を印加するように前記第1の直流電源が制御され、
前記第2の電圧は前記第1の電圧の0%以上50%以下の電圧値であることを特徴とするプラズマCVD装置。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれか一項において、
前記チャンバー内に配置され、前記保持部に保持された前記被成膜基板と前記アノード及び前記カソードそれぞれとの間の空間を覆うように設けられ、フロート電位とされるプラズマウォールを含むことを特徴とするプラズマCVD装置。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、
前記制御部はシーケンサを有し、前記シーケンサが前記パルス状に印加するように前記第1の直流電源を制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法において、
非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した被成膜基板を前記保持部に保持し、
前記チャンバー内で前記カソードと前記アノードとの間の放電により前記原料ガスをプラズマ状態とし、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板の表面に加速衝突させて炭素が主成分である保護膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[7]チャンバー内に配置された被成膜基板を保持する保持部とアノードとカソードを有するプラズマCVD装置を用いて被成膜基板に成膜する成膜方法において、
前記チャンバー内に前記被成膜基板を前記アノード及び前記カソードに対向するように配置し、
前記チャンバー内に原料ガスを供給し、且つ前記アノードに第1の直流電圧を印加し、且つ前記カソードに交流電圧を印加し、且つ前記保持部に第2の直流電圧を、1sec以下の周期(1Hz以上周波数)で10%以上95%以下のDUTY比のパルス状に印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記被成膜基板に加速衝突させて膜を成膜することを特徴とする成膜方法。
[8]上記[7]において、
前記周期が1/100sec以上(100Hz以下の周波数)であることを特徴とする成膜方法。
[9]上記[7]または[8]において、
前記保持部に前記第2の直流電圧を印加しない期間に、前記保持部に第3の直流電圧を印加し、
前記第3の直流電圧は前記第2の直流電圧の0%以上50%以下の電圧値であることを特徴とする成膜方法。
[10]非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護膜を形成する磁気記録媒体の製造方法において、
上記[7]乃至[9]のいずれか一項に記載の成膜方法により保護膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
本発明の一態様によれば、被成膜基板上に成膜される炭素が主成分である保護膜の外周部の膜厚を確保しつつ中央部の膜厚を薄くできるプラズマCVD装置、磁気記録媒体の製造方法または成膜方法を提供することができる。
本発明の一態様に係るプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。 図1に示すプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を説明するための断面図である。 実施例のサンプル1を作製した際のパルス状に印加する電圧値と時間の関係を示す図である。 実施例のサンプル4を作製した際のパルス状に印加する電圧値と時間の関係を示す図である。 実施例のサンプル7を作製した際のパルス状に印加する電圧値と時間の関係を示す図である。 実施例のサンプル1〜9及び比較例のサンプル1〜3それぞれの外周部の膜厚/中央部の膜厚と周波数の関係を示す図である。 従来の磁気記録媒体の製造方法を説明するための断面図である。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
<プラズマCVD装置>
図1は、本発明の一態様に係るプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。このプラズマCVD装置は被成膜基板(例えばディスク基板)1に対して左右対称の構造を有しており、被成膜基板1の両面に同時に成膜可能な装置である。
プラズマCVD装置はチャンバー102を有しており、このチャンバー102内には、例えばタンタルからなるフィラメント状の第1及び第2のカソード電極(第1及び第2のカソードフィラメント)103a,103bが形成されている。第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれの両端はチャンバー102の外部に位置する第1及び第2のカソード電源(第1及び第2の交流電源)105a,105bに電気的に接続されており、第1及び第2のカソード電源105a,105bはチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。第1及び第2のカソード電源105a,105bとしては例えば0〜50V、10〜50A(アンペア)の電源を用いることができる。第1及び第2のカソード電源105a,105bの一端はアース106に電気的に接続されている。
チャンバー102内には、第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれの周囲を囲むようにロート状の形状を有する第1及び第2のアノード電極(第1及び第2のアノードコーン)104a,104bが配置されており、第1及び第2のアノードコーン104a,104bそれぞれはスピーカーのような形状とされている。
第1のアノードコーン104aは第1のスイッチ121aを介して第1のアノード電源(第1のDC電源)107aに電気的に接続されており、第1のDC電源107aはチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。第1のDC電源(第2の直流電源ともいう)107aのプラス電位側が第1のスイッチ121aを介して第1のアノードコーン104aに電気的に接続されており、第1のDC電源107aのマイナス電位側がアース106に電気的に接続されている。
第2のアノードコーン104bは第2のスイッチ121bを介して第2のアノード電源(第2のDC電源)107bに電気的に接続されており、第2のDC電源107bはチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。第2のDC電源107bのプラス電位側が第2のスイッチ121bを介して第2のアノードコーン104bに電気的に接続されており、第2のDC電源107bのマイナス電位側がアース106に電気的に接続されている。
第1及び第2のスイッチ121a,121b、第1及び第2のDC電源107a,107bそれぞれは、図示せぬ制御部によって制御される。これにより、第1及び第2のアノードコーン104a,104bそれぞれに印加される電圧が制御される。なお、第1及び第2のDC電源107a,107bとしては例えば0〜500V、0〜7.5A(アンペア)の電源を用いることができる。
チャンバー102内には被成膜基板1が配置されており、この被成膜基板1は第1及び第2のカソードフィラメント103a,103b及び第1及び第2のアノードコーン104a,104bに対向するように配置されている。詳細には、第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bは第1及び第2のアノードコーン104a,104bの内周面の中央部付近で包囲されており、第1及び第2のアノードコーン104a,104bは、その最大内径側を被成膜基板1に向けて配置されている。
被成膜基板1は、図示しない保持部および図示しないトランスファー装置(ハンドリングロボットあるいはロータリインデックスデーブル)により、図示の位置に、順次供給されるようになっている。
被成膜基板1はイオン加速用電源としてのバイアス電源(DC電源)112に電気的に接続されており、このDC電源112はチャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。このDC電源112のマイナス電位側が被成膜基板1に電気的に接続されており、DC電源112のプラス電位側がアース106に電気的に接続されている。DC電源112としては例えば0〜1500V、0〜100mA(ミリアンペア)の電源を用いることができる。
チャンバー102内には、第1のカソードフィラメント103a及び第1のアノードコーン104aそれぞれと被成膜基板1との間の空間を覆うように第1のプラズマウォール108aが配置され、且つ第2のカソードフィラメント103b及び第2のアノードコーン104bそれぞれと被成膜基板1との間の空間を覆うように第2のプラズマウォール108bが配置されている。
第1及び第2のプラズマウォール108a,108bそれぞれは、フロート電位(図示せず)に電気的に接続されており、チャンバー102に対して絶縁された状態で配置されている。また、第1及び第2のプラズマウォール108a,108bは円筒形状又は多角形状を有している。
第1及び第2のプラズマウォール108a,108bそれぞれの被成膜基板1側の端部には膜厚補正板118a,118bが設けられており、膜厚補正板118a,118bは前記フロート電位に電気的に接続されている。膜厚補正板118a,118bにより被成膜基板1の外周部分に成膜される膜の厚さを制御することができる。
チャンバー102の外側には第1及び第2のネオジウム磁石109a,109bが配置されている。第1及び第2のネオジウム磁石109a,109bは例えば円筒形状又は多角形状を有しており、円筒形又は多角形の内径の中心は磁石中心となり、この磁石中心は第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bの略中心及び被成膜基板1の略中心それぞれと対向するように位置している。第1及び第2のネオジウム磁石109a,109bそれぞれは、その磁石中心の磁力が50G(ガウス)以上200G以下であることが好ましく、より好ましくは50G以上150G以下である。磁石中心の磁力を200G以下とする理由は、ネオジウム磁石では磁石中心の磁力を200Gまで高めるのが製造上の限界であるからである。また、磁石中心の磁力を150G以下とするのがより好ましい理由は、磁石中心の磁力を150G超とすると磁石を作るコストが増大するからである。
また、プラズマCVD装置はチャンバー102内を真空排気する真空排気機構(図示せず)を有している。また、プラズマCVD装置はチャンバー102内に成膜原料ガスを供給するガス供給機構(図示せず)を有している。
バイアス電源(第1の直流電源ともいう)112は制御部130によって制御され、保持部に印加される電圧が次のように制御される。バイアス電源112は、保持部に直流電圧を、1/100sec以上1sec以下の周期(1Hz以上100Hz以下の周波数)で10%以上95%以下(好ましくは30%以上75%以下)のDUTY比のパルス状に印加するように制御される。これにより、上記の直流電圧が保持部を介して被成膜基板1に供給される。制御部130はシーケンサを有しているとよく、そのシーケンサが上記のパルス状に印加するようにバイアス電源112を制御するとよい。なお、本実施形態では、バイアス電源112により直流電圧を保持部を介して被成膜基板1に供給するが、バイアス電源112により直流電圧を被成膜基板1に直接供給してもよい。
DUTY比は、1周期の間で保持部に直流電圧が印加される期間の比率である。例えば、25%のDUTY比の場合は、1周期の25%の期間が保持部に直流電圧が印加される期間(直流電圧オンの期間)となり、1周期の75%の期間が保持部に直流電圧が印加されない期間(直流電圧オフの期間)となる。詳細には、例えば1secの周期(1Hzの周波数)で25%のDUTY比の場合は、1sec(1周期)の25%の1/4secの期間が直流電圧オンの期間となり、1sec(1周期)の75%の3/4secの期間が直流電圧オフの期間となる。
また、例えば図3は、100S/T%のDUTY比の場合を示しており、1周期の100S/T%の期間が直流電圧(250V)オンの期間となり、1周期の残りの100N/T%の期間が直流電圧オフの期間となる。なお、図3では、Tが0.2secであり、S及びNそれぞれが0.1secである。
また、本実施の形態では、バイアス電源112によって保持部に直流電圧をパルス状に印加する際の当該パルス状を、1/100sec以上1sec以下の周期(1Hz以上100Hz以下の周波数)で10%以上95%以下のDUTY比としているが、当該パルス状を少なくとも1sec以下の周期(1Hz以上の周波数)で10%以上95%以下のDUTY比であれば、1/100sec未満(100Hz超の周波数)の周期を用いてもよい。
DUTY比を10%以上とする理由は、DUTY比を10%以下にすると、成膜レート(膜の堆積スピード)が遅くなりすぎるためである。DUTY比を95%以下とする理由は、DUTY比を95%以上にすると、外周部の膜厚を厚くする効果がなくなるためである。
また、本実施形態では、DUTY比を10%以上95%以下とし、1周期の10%以上95%以下の期間を保持部に直流電圧が印加される期間(直流電圧オンの期間)とし、1周期の残りの期間を保持部に直流電圧が印加されない期間(直流電圧オフの期間)としているが、1周期の10%以上95%以下の期間を保持部に第1の直流電圧が印加される期間とし、1周期の残りの期間を保持部に第2の直流電圧が印加される期間としてもよい。この場合、第2の直流電圧は第1の直流電圧の0%以上50%以下(好ましくは10%以上30%以下)の電圧値であるとよい。
<成膜方法>
図1に示すプラズマCVD装置を用いて被成膜基板1にDLC膜を成膜する方法について説明する。
まず、前記真空排気機構を起動させ、チャンバー102の内部を所定の真空状態とし、チャンバー102の内部に前記ガス導入機構によって成膜原料ガスとして例えばトルエン(C)ガスを導入する。チャンバー102内が所定の圧力になった後、第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれに第1及び第2のカソード電源105a,105bによって交流電流を供給することにより第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bが加熱される。
また、第1及び第2のDC電源107a,107bそれぞれから第1及び第2のスイッチ121a,121bを介して第1及び第2のアノードコーン104a,104bそれぞれに直流電流を供給する。また、保持部を介して被成膜基板1にバイアス電源112によって直流電流を供給する。この際、バイアス電源112によって保持部に印加される直流電圧は、前述したように制御部130によって、1/100sec以上1sec以下の周期(1Hz以上100Hz以下の周波数)で10%以上95%以下のDUTY比のパルス状の直流電圧である。
第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bの加熱によって、第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれから第1及び第2のアノードコーン104a,104bそれぞれに向けて多量の電子が放出され、第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれと第1及び第2のアノードコーン104a,104bそれぞれとの間でグロー放電が開始される。多量の電子によってチャンバー102の内部の成膜原料ガスとしてのトルエンガスがイオン化され、プラズマ状態とされる。この際、第1及び第2のネオジウム磁石109a,109bそれぞれによって第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれの近傍に位置するトルエンガスをプラズマ化する領域に磁場が発生されているので、この磁場によってプラズマを高密度化することができ、イオン化効率を向上させることができる。そして、プラズマ状態の成膜原料分子は、パルス状に印加された被成膜基板1のマイナス電位によって直接に加速されて、被成膜基板1の方向に向かって飛走して、被成膜基板1の表面に付着される。これにより、被成膜基板1には薄いDLC膜が形成される。この際、被成膜基板1の表面では下記式(1)の反応が起きている。
+e → C +xH↑ ・・・(1)
なお、上記成膜方法では、DUTY比を10%以上95%以下とし、1周期の10%以上95%以下の期間を保持部に直流電圧が印加される期間(直流電圧オンの期間)とし、1周期の残りの期間を保持部に直流電圧が印加されない期間(直流電圧オフの期間)としているが、1周期の10%以上95%以下の期間を保持部に第2の直流電圧が印加される期間とし、1周期の残りの期間を保持部に第3の直流電圧が印加される期間としてもよい。この場合、第3の直流電圧は第2の直流電圧の0%以上50%以下の電圧値であるとよい。
<磁気記録媒体の製造方法>
図2は、図1に示すプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を説明するための断面図であり、磁気記録媒体の中央部及び外周部を示している。磁気記録媒体は例えばHDD用のメディアである。
まず、非磁性基板11上に少なくとも磁性層12を形成した被成膜基板1を用意し、この被成膜基板1を保持部に保持させる。次いで、チャンバー102内で所定の真空条件下で加熱された第1及び第2のカソードフィラメント103a,103bそれぞれと第1及び第2のアノードコーン104a,104bそれぞれとの間の放電により原料ガス(例えばトルエン)をプラズマ状態とし、バイアス電源112によって保持部に、1/100sec以上1sec以下の周期(1Hz以上100Hz以下の周波数)で10%以上95%以下のDUTY比のパルス状の直流電圧を印加する。これにより、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板1の表面に加速衝突させる。その結果、この被成膜基板1の表面には炭素が主成分である保護膜としてのDLC膜13が形成される。
このDLC膜13の外周部の膜厚15を1nm確保した場合、中央部の膜厚16は1.5nmとなる。なお、外周部の近傍には1.5nmより膜厚が厚い部分13aが形成される。これに対し、図7に示す従来の磁気記録媒体では、DLC膜23の外周部の膜厚31を1nm確保すると、中央部の膜厚32は2nmとなる。
詳細には、本実施形態では、バイアス電源112によって保持部に、1/100sec以上1sec以下の周期(1Hz以上100Hz以下の周波数)で10%以上95%以下のDUTY比のパルス状の直流電圧を印加するため、磁性層12を保護する機能が損なわれない程度のDLC膜13の外周部の膜厚15を確保しつつ中央部の膜厚16をより薄くすることが可能となる。そのため、DLC膜(保護膜)にメディアヘッド(図示せず)を図7に示す磁気記録媒体より接近させることが可能となり、このメディアヘッドと磁性層12との距離を図7に示す磁気記録媒体より短くすることができる。なお、図7に示す従来の磁気記録媒体は、保持部にパルス状の直流電圧を印加するのではなく連続的な直流電圧を印加して製造される。
上記のようにパルス状の直流電圧を、保持部を介して被成膜基板1に印加することでDLC膜13の外周部の膜厚15を確保しつつ中央部の膜厚16をより薄くできる理由は次のことが考えられる。直流電圧が被成膜基板1に印加される期間では、プラズマ状態のイオンに方向性が生じて被成膜基板1の外周部が薄く成膜されるが、直流電圧が被成膜基板1に印加されない期間では、プラズマ状態のイオンが方向性を失い直進するため、被成膜基板1の外周部を厚く成膜できる。そのため、図7に示す従来の磁気記録媒体では、保持部に連続的な直流電圧を印加して製造されるので、DLC膜23の外周部の膜厚31が薄くなるのに対し、図2に示す本実施形態の磁気記録媒体では、保持部にパルス状の直流電圧を印加するので、DLC膜13の外周部の膜厚15を厚くすることができる。
図3は、図1に示すプラズマCVD装置を用いて被成膜基板にDLC膜を成膜して実施例のサンプル1を作製した際に、保持部にパルス状に印加する電圧値と時間の関係を示す図である。図3に示す条件は、保持部に印加する電圧値が−250V、周波数が5Hz(周期が1/5sec)、DUTY比が50%である。
図3に示す条件において電圧値を−325Vに変更し、周波数とDUTY比を同一条件として実施例のサンプル2を作製した。
図3に示す条件において電圧値を−400Vに変更し、周波数とDUTY比を同一条件として実施例のサンプル3を作製した。
図4は、図1に示すプラズマCVD装置を用いて被成膜基板にDLC膜を成膜して実施例のサンプル4を作製した際に、保持部にパルス状に印加する電圧値と時間の関係を示す図である。図4に示す条件は、保持部に印加する電圧値が−250V、周波数が10Hz(周期が1/10sec)、DUTY比が50%である。
図4に示す条件において電圧値を−325Vに変更し、周波数とDUTY比を同一条件として実施例のサンプル5を作製した。
図4に示す条件において電圧値を−400Vに変更し、周波数とDUTY比を同一条件として実施例のサンプル6を作製した。
図5は、図1に示すプラズマCVD装置を用いて被成膜基板にDLC膜を成膜して実施例のサンプル7を作製した際に、保持部にパルス状に印加する電圧値と時間の関係を示す図である。図5に示す条件は、保持部に印加する電圧値が−250V、周波数が25Hz(周期が1/25sec)、DUTY比が50%である。
図5に示す条件において電圧値を−325Vに変更し、周波数とDUTY比を同一条件として実施例のサンプル8を作製した。
図5に示す条件において電圧値を−400Vに変更し、周波数とDUTY比を同一条件として実施例のサンプル9を作製した。
実施例のサンプル1〜9を作製した際に上述した保持部にパルス状の電圧を印加する条件以外のDLC膜の成膜条件は下記のとおりである。
基板 : NiP/Alディスク
成膜装置:図1に示すプラズマCVD装置
出発原料:高純度トルエン
ガス流量:3.3sccm
圧力 :0.3Pa
成膜時間:6sec
カソードフィラメント103a,103b:タングステンフィラメント
交流電源105a,105bの出力:360W
DC電源107a,107bの電流:1650mA
外部磁場 : 50G
また、図1に示すプラズマCVD装置を用い、保持部に連続的に−250Vの電圧を印加して比較例のサンプル1を作製した。また、図1に示すプラズマCVD装置を用い、保持部に連続的に−325Vの電圧を印加して比較例のサンプル2を作製した。また、図1に示すプラズマCVD装置を用い、保持部に連続的に−400Vの電圧を印加して比較例のサンプル3を作製した。
比較例のサンプル1〜3を作製した際に上述した保持部に連続的に電圧を印加する条件以外のDLC膜の成膜条件は、上記の実施例のサンプル1〜9と同様である。
図6は、上述した実施例のサンプル1〜9及び比較例のサンプル1〜3それぞれの外周部の膜厚/中央部の膜厚と周波数の関係を示す図である。
図6によれば、比較例のサンプル1に比べて実施例のサンプル1,4,7の方が中央部の膜厚に対する外周部の膜厚を厚くでき、比較例のサンプル2に比べて実施例のサンプル2,5,8の方が中央部の膜厚に対する外周部の膜厚を厚くでき、比較例のサンプル3に比べて実施例のサンプル3,6,9の方が中央部の膜厚に対する外周部の膜厚を厚くできることが確認された。従って、本実施例では、DLC膜の外周部の膜厚を確保しつつ中央部の膜厚をより薄くすることが可能となる。
1,20 被成膜基板
11,21
12,22
13,23 DLC膜
13a,23a 膜厚が厚い部分
15,31 DLC膜の外周部の膜厚
16,32 DLC膜の中央部の膜厚
102 チャンバー
103a 第1のカソード電極(第1のカソードフィラメント)
103b 第2のカソード電極(第2のカソードフィラメント)
104a 第1のアノード電極(第1のアノードコーン)
104b 第2のアノード電極(第2のアノードコーン)
105a 第1のカソード電源(第1の交流電源)
105b 第2のカソード電源(第2の交流電源)
106 アース電源
107a 第1のアノード電源(第1のDC電源、第2の直流電源)
107b 第2のアノード電源(第2のDC電源)
108a 第1のプラズマウォール
108b 第2のプラズマウォール
109a 第1のネオジウム磁石
109b 第2のネオジウム磁石
112 バイアス電源(DC電源,第1の直流電源)
118a,118b 膜厚補正板
121a 第1のスイッチ
121b 第2のスイッチ
130 制御部

Claims (6)

  1. チャンバーと、
    前記チャンバー内に配置された被成膜基板を保持する保持部と、
    前記保持部に電気的に接続された第1の直流電源と、
    前記チャンバー内に配置されたアノードと、
    前記チャンバー内に配置されたカソードと、
    前記アノードに電気的に接続された第2の直流電源と、
    前記カソードに電気的に接続された交流電源と、
    前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
    前記チャンバー内を排気する排気機構と、
    前記保持部に−400〜−250Vの第1の電圧を、5〜25Hzで10%以上95%以下のDUTY比のパルス状に印加するように前記第1の直流電源を制御する制御部と、
    を具備し、
    前記被成膜基板上に成膜されるDLC膜の外周部の膜厚と中央部の膜厚の比が0.8以上である、プラズマCVD装置。
  2. 請求項において、
    前記制御部は、前記第1の電圧が前記保持部に印加されない期間に、前記保持部に第2の電圧を印加するように前記第1の直流電源が制御され、
    前記第2の電圧は前記第1の電圧の0%以上50%以下の電圧値であることを特徴とするプラズマCVD装置。
  3. 請求項1又は2のいずれか一項において、
    前記チャンバー内に配置され、前記保持部に保持された前記被成膜基板と前記アノード及び前記カソードそれぞれとの間の空間を覆うように設けられ、フロート電位とされるプラズマウォールを含むことを特徴とするプラズマCVD装置。
  4. 請求項1乃至のいずれか一項において、
    前記制御部はシーケンサを有し、前記シーケンサが前記パルス状に印加するように前記第1の直流電源を制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
  5. チャンバー内に配置された被成膜基板を保持する保持部とアノードとカソードを有するプラズマCVD装置を用いて被成膜基板に成膜する成膜方法において、
    前記チャンバー内に前記被成膜基板を前記アノード及び前記カソードに対向するように配置し、
    前記チャンバー内に原料ガスを供給し、且つ前記アノードに第1の直流電圧を印加し、且つ前記カソードに交流電圧を印加し、且つ前記保持部に−400〜−250Vの第2の直流電圧を、5〜25Hzで10%以上95%以下のDUTY比のパルス状に印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記被成膜基板に加速衝突させて膜を成膜する、成膜方法であって、
    前記被成膜基板上に成膜されるDLC膜の外周部の膜厚と中央部の膜厚の比が0.8以上である、成膜方法。
  6. 請求項において、
    前記保持部に前記第2の直流電圧を印加しない期間に、前記保持部に第3の直流電圧を印加し、
    前記第3の直流電圧は前記第2の直流電圧の0%以上50%以下の電圧値であることを特徴とする成膜方法。
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