JP5981226B2 - 電力貯蔵式回生電力吸収装置およびその制御装置並びに制御方法 - Google Patents

電力貯蔵式回生電力吸収装置およびその制御装置並びに制御方法 Download PDF

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本発明は、蓄電池を用いて車両からの回生電力を充電し、車両加速時に放電する電力貯蔵式回生電力吸収装置およびその制御装置並びに制御方法に係り、特にDC/DC電力変換器を介して蓄電池に充放電する電力を制御する電力貯蔵式回生電力吸収装置およびその制御装置並びに制御方法に関する。
直流の電気鉄道システムは、送電網であるき電線とレール、交流系統の電力を直流に変換してき電線に直流電力を供給する整流器、そして車両により構成される。
近年、電気鉄道システムでは、省エネを目的とし、減速時に車両の運動エネルギーをインバータにより電力に変換し(回生電力)、送電線であるき電線に送電する回生車両の導入が増えている。車両は加速時に同一のき電線より直流電力を得るため、回生電力の一部は加速のために活用可能であり、エネルギーの有効活用が可能である。
しかしながら、回生電力を消費する加速車両が該回生電力を発生する車両の近くにいない場合、回生車両のフィルタコンデンサが充電され、回生車両のパンタ点電圧が上昇する。この電圧上昇が著しい場合、車両を過電圧から保護するために、減速中の車両は減速手段を回生ブレーキから機械ブレーキに変更する。そのため、乗り心地が悪化し、機械ブレーキの摩耗が進む。
特許文献1には、余剰電力を電力貯蔵要素に貯蔵し、車両加速時のエネルギーとして放電する方法が記載されている。
一方、車両はレール間を流れる電流に重畳された制御信号により制御指令を受ける。そのため、き電回路に接続する機器からき電回路に流出するリプル電流が、上記制御信号の検出を妨害しないように設計される必要がある。
数100kW以上クラスの回生電力吸収装置を構成するには、チョッパ回路を構成するIGBTレグと昇圧リアクトルを複数個並列接続することが考えられる。非特許文献1では、IGBTレグを2並列とした例が紹介されている。
IGBTレグの並列数をNとした場合、スイッチングタイミングを決める搬送波の位相を、それぞれ360/N度だけずらし(キャリア位相シフト)、各レグのIGBTを同じデューティ(duty)でスイッチングすることにより、き電回路や蓄電池に流入するリプル電流を大幅に低減できる。本キャリア位相シフトの考え方は非特許文献1でも紹介されている。
また、上記リアクトルは磁気的ノイズの発生量の低減や、電力変換器の小型化を目的とし、鉄心を有するリアクトルを用いることが望ましい。
なお特許文献2には、回生電力吸収装置の制御動作が詳細に記載されている。
特開平11-91415号公報 特許第4238190号
2005年 電気学会交通・電気鉄道研究会 TER-05 号:41-54 頁
同じデューティ(duty)比でIGBTを駆動しても、IGBTの閾値電圧やオン電圧、昇圧リアクトルのインピーダンスなどの主回路構成要素の特性差や主回路断線などの不具合により、昇圧リアクトルに流れる電流の平均値が大きく変わる可能性がある。
特に鉄心を備えるリアクトルでチョッパ回路を構成したときには、リアクトル設計範囲より大きな電流が流れたとき、鉄心の飽和によりインダクタンスが低下し、特定のレグより生じるリプルに非論理成分が重畳し、該非論理リプル電流がき電線に流出するリプル電流のへの非論理成分重畳や蓄電池への過大なリプル電流流入を引き起こす可能性がある。
本発明の課題は、回生電力吸収装置からき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を回避する保護手段を備える電力貯蔵式回生電力吸収装置およびその制御装置並びに制御方法を提供することにある。
以上のことから本発明においては、直流き電区間のき電線とレールの間に接続された電力変換装置と、電力変換装置に接続された電力貯蔵要素とを備え、電力変換装置は複数の並列接続されたチョッパ回路で構成された電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、電力変換装置に流れる電流をその電流指令値に制御する電流制御装置、電流制御装置の出力から電力変換装置のゲート信号を定めるゲート信号演算器、少なくともき電線の電圧を入力として電力貯蔵要素の充放電を定めて電流制御装置の電流指令値を決定するとともに、ゲート信号のサプレスおよびサプレス解除を決定する充放電機能、複数のチョッパ回路に流れる電流にアンバランスが生じたときにゲート信号のサプレスを決定するアンバランス検出部、充放電機能が与えるゲート信号のサプレス解除直後に、アンバランス検出部によるゲート信号のサプレスを阻止する阻止手段を備える。
サプレス解除時の昇圧リアクトル電流のアンバランスによる回生電力吸収装置の異常誤検出を回避しつつ、定常状態におけるき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を回避できる。
第一実施例の電力貯蔵式回生電力吸収装置の全体構成を示す図。 電力貯蔵式回生電力吸収装置に備えられたチョッパ回路の構成例を示す図。 き電線電圧制御機能と充電率制御機能により実現される制御状態を示す図。 第一実施例のゲート信号演算器の構成を示す図。 電流アンバランス判定値時間変化を説明する図。 第一実施例のサプレス解除時のチョッパ電流波形説明図。 チョッパ電流バランス制御器の構成を示す図。 第二実施例の電力貯蔵式回生電力吸収装置の全体構成を示す図。 第二実施例のゲート信号演算器の構成を示す図。 第二実施例のサプレス解除時のチョッパ電流波形説明図。 第三実施例の電力貯蔵式回生電力吸収装置の全体構成を示す図。 第三実施例のゲート信号演算器の構成を示す図。 第一実施例のサプレス解除時のチョッパ電流波形説明図。 第三実施例のサプレス解除時のチョッパ電流波形説明図。 電流アンバランス判定値時間変化を説明する図。 電流アンバランス判定値時間変化を説明する図。 電流アンバランス判定値時間変化を説明する図。
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
本発明第一実施例に係る電力貯蔵式回生電力吸収装置の全体構成図を、図1を用いて説明する。本実施例では、電力貯蔵装置として二次電池を用いる。まず、電力系統から説明する。
交流系統10から変圧器9及びダイオード整流器8を介して、き電線6とレール7間に、例えば1500[V]の直流電力を供給している。このき電線6とレール7間(以下、単にき電線6、7と記す)に、本実施例の電力貯蔵式回生電力吸収装置500が接続される。
電力貯蔵式回生電力吸収装置500は主に双方向チョッパ装置に代表されるDC/DC電力変換器20、二次電池1、そしてその制御部により構成され、二次電池1はDC/DC電力変換器20を通して、き電線6とレール7に接続される。
この実施例におけるDC/DC電力変換器20は、双方向チョッパ装置であり、チョッパ部22を、フィルタ部23を介してき電線に接続する構成としている。
フィルタ部23は、直列リアクトル4と、並列コンデンサ3からなる。
チョッパ部22は、並列接続された4つのチョッパ回路22a、22b、22c、22dにより構成される。電力貯蔵式回生電力吸収装置に備えられたチョッパ回路は、図2に示されるように、IGBT11aとIGBT12aの直列体、および昇圧用リアクトル2aからなり、それぞれのIGBTにはフリーホイールダイオード13a、14aが逆並列接続されている。昇圧用リアクトル2aは鉄心を備えるリアクトルである。
IGBT11a、IGBT11bをスイッチングすることにより、レグ出力電圧Vout_aを「0」もしくは直流コンデンサ電圧Vdcに切り替える。よく知られているように、IGBTのオン・オフをPWM制御することにより、チョッパ回路は二次電池1の端子電圧を昇圧してき電線6、7に放電させ、また、き電線6、7の電圧を降圧して二次電池1に充電する機能を備える。本実施例では電力貯蔵装置として二次電池を用いるが、二次電池の代わりに電気二重層キャパシタを用いても同様の効果を奏す。なおチョッパ回路22b、22c、22dは、チョッパ回路22aと同様の主回路構成を備えるため、説明を省略する。
次に、制御装置部分について説明する。電力貯蔵式回生電力吸収装置を制御する制御装置は、その制御実行のために以下の信号を入力している。まず、二次電池1の端子電圧Vbatを電圧検出器から得る。並列接続されたチョッパ回路22a、22b、22c、22dの昇圧用リアクトル2aに流れる電流を電流検出器16a、16b、16c、16dにより検出する。また、き電線電圧Vsを電圧検出器から得る。
そのうえで電力貯蔵式回生電力吸収装置を制御する制御装置は、その制御実行の結果として並列接続されたチョッパ回路22a、22b、22c、22dのIGBT11aとIGBT12aの点弧タイミングを制御している。
上記の入力を得て電力貯蔵式回生電力吸収装置の点弧タイミングを制御する制御系は、き電線電圧Vsと二次電池1の充電率に応じ、き電線電圧を制御する機能120と、充電率を制御する機能110、およびき電線電圧が所定範囲内であり、なおかつ該充電率が第二の所定範囲内であればDC/DC電力変換器20の全スイッチングを停止(サプレス)し、動作不要時の待機損失低減するサプレス待機機能180を備える。
き電線電圧を制御する機能120と、充電率を制御する機能110により実現される制御状態を、図3を用いて説明する。ここでは二次電池1の充電率SOCを横軸、き電線電圧Vsを縦軸にとった時の、回生電力吸収装置500の制御状態マップを示している。なお、係る回生電力吸収装置の制御動作の詳細は、特許文献2などに詳細に記載されているため、図1、図3を用いて制御の概略のみ説明する。
図3において回生電力吸収装置500は、縦軸に示すき電線電圧Vsが充電開始電圧Vabsより高い場合(図3の領域A)、き電線6から二次電池1へ充電することで、き電線電圧Vsの上昇を抑制し、矢印aのように充電開始電圧Vabsに戻すように機能する。
逆にき電線電圧Vsが放電開始電圧Vdiscより低い場合(図3の領域B)、二次電池1からき電線6側へ放電することで、き電線電圧Vsの低下を抑制し、矢印bのように放電開始電圧Vdiscに戻すように機能する。これにより、余剰回生電力が発生したときのき電線電圧上昇防止と、余剰回生電力の有効活用が可能となる。
また、き電線電圧VsがVdiscからVabsの間にある場合(図3の領域C)は、二次電池1の充電率SOCを指令値SOCrefに近づけるよう、充放電することにより、次回の余剰回生電力発生に備える。
これら、充放電機能は、図1のき電線電圧を制御する機能である電圧制御器120と、充電率を制御する機能である充電率制御器110により実行される。
このうち充電率制御器110では、その制御指標である充電率SOCを充電率算出器100において算出する。充電率SOC算出のために、二次電池1端子電圧Vbatを電圧検出器15から求める。また電流センサ16a、16b,16c,16dにより検出され、加算器190により合計されるチョッパ回路22a、22b、22c、22dの出力電流の合計値を求める。二次電池1端子電圧Vbatとチョッパ回路22の出力電流の合計を用いて二次電池1の充電率SOCが算出される。充電率制御器110では、算出した充電率SOCおよび充電率指令値SOCrefより、充電率制御用電流指令値を算出する。
電圧制御器120では、電圧検出器17から得たき電線電圧Vsと、設定値としてあらかじめ与えられた充電開始電圧Vabs及び放電開始電圧Vdiscを入力する。ここでは、設定値(Vabs及びVdisc)と帰還値Vsの差電圧から、電圧制御用の充放電指令値を算出する。
これらの充電率制御器110および電圧制御器120が与える出力は、後段の電流制御器150に対する電流指令値Irefであり、運転状態制御器200での判断により切替回路130を切り替えていずれかの信号を選択する。減算器140において電流指令値Irefと、チョッパ回路22の出力電流の合計の差を求める。
電流制御器150では、二次電池1の電池電流が電流指令値Irefに一致するようにチョッパ回路のデューティ(duty)比を算出する。
また、本実施例の回生電力吸収装置500は、チョッパ部22を複数のチョッパ回路22a、22b、22c、22dで構成するため、チョッパ回路の出力電流ia、ib、ic、idの平均値がバランスするよう、チョッパ回路のデューティ(duty)比調整項を算出するバランス制御器160を備える。
同じデューティ(duty)比でチョッパ回路22a、22b、22c、22dのIGBTをオン・オフしても、昇圧リアクトル2aのインピーダンスやIGBTのビルトイン電圧、閾値電圧の個体差により出力電流ia、ib、ic、idがアンバランスしてしまう可能性がある。バランス制御器160の目的は、上記理由により発生したチョッパ回路出力電流をバランスさせるよう、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのデューティ(duty)比を微調整することである。
バランス制御器160の構成を、図7を用いて説明する。
チョッパ電流ia、ib、ic、idは、平均値算出器1601に入力され、ここでチョッパ電流の平均値imを算出する。平均値imおよび各チョッパ電流ia、ib、ic、idは減算器1602に出力される。
減算器1602では、平均値imと各チョッパ電流ia、ib、ic、idをそれぞれ減算し、その差を平均値算出器1603a、1603b、1603c、1603dに出力する。
平均値算出器1603は、各電流偏差を入力とし、チョッパ回路1周期を平均区間とする移動平均値算出器であり、求めた各移動平均値を乗算器1604a、1604b、1604c、1604dに出力する。
乗算器1604a、1604b、1604c、1604dは、入力した平均値を定数Kで乗算(Kは正の実数)し、その積を出力する。
乗算器1604の出力は、デューティ(duty)比補正値としてデューティ(duty)比補正演算器170に出力される。
図1に戻り、説明を続ける。
デューティ(duty)比補正演算器170では、電流制御器150により算出されたデューティ(duty)比Duty0に、バランス制御器160より算出されたデューティ(duty)比補正値がそれぞれ加算されることによりチョッパ回路22a、22b、22c、22dのデューティ(duty)比として補正され、補正後の値はゲート信号演算器180に出力される。
本構成により、チョッパ回路22a、22b、22c、22dの出力電圧は、チョッパ回路22a、22b、22c、22dの出力電流を、その平均値imに近づけるよう補正されるため、特定のチョッパ回路の出力電流のみが大きくなることを回避できる。
本実施例では、電流制御器150とバランス制御器160を組み合わせることによりチョッパ電流のバランスを実現するが、チョッパ回路22a、22b、22c、22dに、それぞれ電流制御器を備え、電流指令値Irefを4で除算した値としても同様の効果を奏することができる。
ゲート信号演算器180は、デューティ(duty)比補正演算器170の出力に加え、運転状態制御器200から出力されるサプレス制御信号SUPを入力とする。運転状態制御器200は、き電線電圧Vsが放電開始電圧Vdiscから充電開始電圧Vabsの間であり、充電率SOCと充電率指令値SOCrefが所定値以内であれば、出力であるサプレス制御信号SUPを「1」とし、チョッパ22部のスイッチングを停止させ、上記条件が不成立の場合には「0」とする。この条件は、き電線電圧Vsと充電率SOCの値が、図3のSで示した領域に存在する時に成立する。
本発明の新規な点である、ゲート信号演算器180について、図4を用いて説明する。
ゲート信号演算器180は、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのデューティ(duty)比(Duty_a、Duty_b、Duty_c、Duty_d)、サプレス制御信号SUP、チョッパ電流ia、ib、ic、idを入力とし、チョッパ回路のゲート信号を算出する。算出されたゲート信号は、チョッパ回路22に入力され、信号に応じてチョッパ回路内IGBTがスイッチングされる。
ゲート信号演算器180は、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのデューティ(duty)比(Duty_a、Duty_b、Duty_c、Duty_d)と、キャリアである三角波を比較してゲート信号を算出するPWM制御部180Bと、チョッパ電流ia、ib、ic、idの平均値に対する偏差の絶対値が判定値より大きい場合にはチョッパ回路22a、22b、22c、22dをサプレスするアンバランス検出部180Aを備える。
まず、PWM制御部180Bの構成を、図4を用いて説明する。
PWM制御部180Bは、三角波発生器1810を備える。三角波発生器1810は位相シフト器1811、1812、1813に入力され、位相シフト器はそれぞれ三角波発生器1810の出力する三角波の位相を、それぞれ180°、90°、270°ずらした三角波を算出する。
三角波発生器1810と位相シフト器1811、1812、1813の出力(tria,trib,tric,trid)と、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのデューティ(duty)比(Duty_a、Duty_b、Duty_c、Duty_d)は、比較器1814a,1814b,1814c,1814dに入力され、それぞれ大小比較することによりチョッパ回路内のIGBTゲート信号が算出される。
具体的には、デューティ(duty)比が三角波より大きければ、P側IGBTのゲート信号は「1」、N側IGBTのゲート信号は「0」に設定され、逆の場合はP側IGBTのゲート信号は「0」、N側IGBTのゲート信号は「0」に設定される。ゲート信号が「1」の場合は、該当するIGBTはオンされ、「0」の場合はオフされる。
チョッパ回路が4並列された回生電力吸収装置において、90°(=360°/4)づつ位相をずらしたキャリアを用いてゲート信号を算出することにより、き電気回路側に流出するリプル成分は、キャリア周波数の4倍まで高周波化でき、フィルタコンデンサ3やリアクトル4によりフィルタリングが容易となる。
比較器1814a,1814b,1814c,1814dの出力は、論理積演算器1816a、1816b、1816c、1816dに出力され、論理演算器1816はアンバランス検出部180Aから出力されるサプレス制御信号SUP2との論理積をチョッパ回路22a、22b、22c、22dのゲート信号として算出する。
具体的には、比較器1814a,1814b,1814c,1814dにより算出されたP側IGBTのゲート信号とSUP2の論理積を算出し、その積を新たなP側IGBTのゲート信号として出力する。N側IGBTのゲート信号に対しても同様である。
サプレス信号SUP2が「0」の場合、P側、N側ともにゲート信号はすべて「0」となるため、チョッパ回路22a、22b、22c、22dはサプレスされる。逆にサプレス信号SUP2が「1」の場合、P側、N側ともにゲート信号は比較器1814a,1814b,1814c,1814dとなるため、チョッパ回路22a、22b、22c、22dはゲート信号により点弧操作が行われる。
次に、アンバランス検出部180Aについて説明する。アンバランス検出部180Aでは、チョッパ回路22a、22b、22c、22dをサプレスする条件を判定する。具体的には、チョッパ電流ia、ib、ic、idの平均値に対する偏差の絶対値が判定値より大きい場合にはチョッパ回路22a、22b、22c、22dをサプレスする。
アンバランス検出部180Aは、チョッパ電流ia、ib、ic、idの平均値imを算出する平均値算出器1801、チョッパ電流と平均値の偏差を算出する減算器1802、減算器1802により算出された偏差を、キャリア1周期を平均化区間とする移動平均を算出する移動平均値算出器1803a、1803b、1803c、1803d、平均値の絶対値を算出する絶対値算出器1804a、1804b、1804c、1804d、絶対値算出器1804の最大値を算出する最大値算出器1805、最大値算出器1805の出力と判定値I_CMPを比較し、最大値がI_CMPより大きい場合は「0」を出力する比較器1806、比較器出力とSUPの論理積を演算し、論理積SUP2をPWM制御部180Bにサプレス信号として出力する論理積演算器1815を備える。
このアンバランス検出部180Aのうち、移動平均値算出器1803までの回路構成は、図7のチョッパ電流バランス制御器160の移動平均値算出器1603までの回路構成と同じである。
本構成により、チョッパ電流ia、ib、ic、idの平均値imに対する偏差の絶対値が判定値より大きい場合にはチョッパ回路22a、22b、22c、22dをサプレスすることが可能となる。ここでは要するにチョッパ電流ia、ib、ic、idが平均値から大きく外れている状態を検知して電流のアンバランスと判定し、チョッパ回路22の点弧を阻止するものである。
なお、論理積演算器1815と論理積演算器1816の組み合わせにより果たす役割について明確にしておく。ここでは比較器1814が与える信号レベル「1」が点弧パルス、サプレス信号SUP、SUP2のレベル「0」がサプレスを意味するので、論理積演算器1815と論理積演算器1816の組み合わせによる論理は、「サプレス信号のどちらかが生じたらサプレス」を意味している。つまり、図3のサプレス領域Sに運転状態があるときにも、またチョッパ電流ia、ib、ic、idが平均値から大きく外れているときにもサプレス動作を行うものである。
つぎに、チョッパ電流ia、ib、ic、idが平均値から大きく外れていることを判定するための判定値I_CMPについて、説明する。本実施例の判定値I_CMPは、サプレス制御信号SUPをもとに、時間的に変化する特徴を有する。
サプレス制御信号SUPは、図5に動作波形を示すように、タイマー1807に入力される。タイマー1807はサプレス制御信号SUPの立ち上がりを検出して、所定時間(t100-t1)の間、「1」を出力し、上記時間が経過したら、出力を「1」から「0」に変化させる。このようにしてタイマー1807により、一定時間長の発す信号を得る。
図5において、時刻t1以前の状態ではサプレス制御信号SUPは「0」であり、このことは図3のサプレス領域Sで運転していたことを意味する。時刻t1はサプレスが解除され、図3の電圧制御領域A,B、または、SOC制御領域Cでの運転に移行したことを意味している。
従って図5は、電圧制御領域A,B、または、SOC制御領域Cでの運転に移行(サプレス解除)時刻以降、しばらくの間(t100-t1)は判定値I_CMPを高く設定(I_CMP2)し、その後は判定値I_CMPを低く設定(I_CMP1)したものである。
切り替え器1808はタイマー1807の入力に応じ、タイマー1807の出力が「1」の場合はI_CMP1、「0」の場合はI_CMP2に切り替える。I_CMP1とI_CMP2の関係はI_CMP1≧I_CMP2である。
本構成により、チョッパ電流アンバランスの判定値I_CMPを時間的に変化させることが可能となる。本構成とすることによる技術的メリットを、図6を用いて説明する。
図6には、上段よりサプレス制御信号SUP、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのキャリアtria、trib、tric、trid、電流制御器150出力Duty0(デューティ(duty)比)、チョッパ回路出力電圧Vout_a、Vout_b、Vout_c、Vout_d、チョッパ電流ia、ib、ic、idおよび移動平均値算出器1803a、1803b、1803c、1803dの出力値 ia_ave、ib_ave、ic_ave、id_aveの時間波形を示す。なおチョッパ回路出力電圧としては、図2で示すように、チョッパ回路内のIGBTレグ出力電圧を示す。
横軸は時刻tを示している。時刻t1は、サプレス制御信号SUPが「0」から「1」となる時刻であり、t2〜t19は、キャリアtria、trib、tric、tridがデューティ(duty)比Duty0と交差する時刻を示す。また、t10以降の波形は、時刻t9から十分に時間の経過した定常状態の波形を示す。
時刻t1において、サプレス制御信号SUPが「1」となる。これはサプレス解除状態であり、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのスイッチングが開始される。
図6に示すように、チョッパ回路22a、22b、22c、22dに等しいデューティ(duty)比が入力されても、サプレス解除タイミングとキャリア位相によりチョッパ出力電流の平均値が変わる。
バランス制御器160によるデューティ(duty)比補正により、定常状態(時刻t10以降)においてはチョッパ電流がバランスするが、サプレス解除タイミングt1直後においては、昇圧リアクトルのインピーダンスやIGBTの特性が理想的に等しくても、チョッパ電流の平均値に大きな差が出る。
図6に示す例では、サプレスキャリア1周期後の時刻t6以降において、ia_ave、ib_aveは、ほぼゼロであるが、ic_aveは正に、id_aveは負となる。
サプレス解除時t1の電流偏差は、回生電力吸収装置500の主回路や制御に異常がない場合でも発生するため、上記装置を停止すべきではない。一方、定常的にチョッパ電流に偏差が発生すると、昇圧リアクトルの飽和の差によりき電線に流出する、非論理リプル電流が車両制御信号のS/N比を下げ、車両の安定運行を妨げる恐れがある。
図15に、サプレス制御信号SUP、タイマー1807出力、異常判定値I_CMP、そして最大値算出器1805の出力波形を示す。最大値算出器1805の出力は、短期間発生し、その後は安定すると考えられる。本発明ではサプレス解除直後の電流アンバランスを許容し、この時のアンバランスではサプレスを実行しないものである。サプレス解除直後は、判定値レベルを最大値電流異常にすることで、不要なサプレスを行わない。
図15の波形は、サプレス解除時および定常状態における波形を示しているため、時間(t1000-t1)は、判定値を大きくする時間(t100-t1)よりも長い。また、時間(t100-t1)は、車両の安定運行を妨げないように数秒以下に設定し、バランス制御の制御収束までの時間は該設定時間より短く設定するべきである。
本実施例の構成とすることにより、サプレス解除時t1の異常判定値I_CMPを大きくし、チョッパ電流のバランス制御が収束することが期待される所定時間(t100-t1)後には、判定値I_CMPを小さくすることが可能となり、サプレス解除時の昇圧リアクトル電流のアンバランスによる回生電力吸収装置の異常誤検出を回避しつつ、定常状態におけるき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を正確に回避できる。
本実施例では、判定値を2値としたが、切り替え器1808の出力にローパスフィルタを施し、そのアナログてきな時間変化値をアンバランス判定値としても同様の効果を奏することができる。
以上より、本実施例の回生電力吸収装置500は、サプレス解除時の昇圧リアクトル電流のアンバランスによる回生電力吸収装置の異常誤検出を回避しつつ、定常状態におけるき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を正確に回避できる。
本発明第二の実施例を、図8を用いて説明する。本実施例と本発明第一実施例との差は、チョッパ部22が偶数個のチョッパ回路で構成されている回生電力吸収装置であって、キャリア位相の180°異なるチョッパ回路を組とし、各組ごとにゲート信号演算器180のサプレス解除が実施される点である。
つまり本発明第一実施例では、図6に波形を示したようにサプレス解除時点t1から全てのチョッパ部22が起動開始している。これに対し本発明第二の実施例では、キャリア位相の180°異なるチョッパ回路同士を組にして、順次チョッパ部22を起動開始させるものである。同時起動の前者では、過渡時のチョッパ電流のアンバランスが大きく発生するが、順次起動の後者では過渡時のチョッパ電流のアンバランス電流を低減することが期待できる。
本構成とすることにより、サプレス時のチョッパ電流のアンバランスを低減することが可能となり、チョッパ電流アンバランス異常の判定値を速やかに切り替えることが可能となり、より早く正確にき電線への非論理高調波成分の流出を回避できるようになる。
以降、図面を用いて説明する。なお、実施例1と同じ機能の要素には同じ符号をつけ、重複説明を避ける。
本実施例も、実施例1と同様に、二次電池1、チョッパ部22、フィルタ部23、そしてチョッパ部の制御部により構成される。
本実施例2(図8)と実施例1(図1)との差は、ゲート信号演算部300の内部演算のみである。
図9を用いて、ゲート信号演算部300の構成を説明する。
ゲート信号演算部300の構成は、本発明の実施例1記載のゲート信号演算器180と同様の構成を備える。相違点は、キャリアである三角波のピーク・ボトムを検出する折れ点検出器301a、301b、および折れ点検出器301が三角波のピークもしくはボトムを検出したときに出力信号を入力信号SUP2に切り替え、それ以外のタイミングでは前回出力値をキープするサンプル・ホールド器302a、302bを備える点にある。
またサンプル・ホールド器302aの出力は、論理積演算器1816 a、1816bに与えられて入力信号SUP2との論理積を実行し、他方サンプル・ホールド器302bの出力は、論理積演算器1816c、1816dに与えられて入力信号SUP2との論理積を実行する。これにより、論理積演算器1816 a、1816bを1組、論理積演算器1816c、1816dを他の1組とする順次起動を行わせる。なお、論理積演算器1816 aと1816bに対する三角波の位相は180°相違しており、同様に論理積演算器1816cと1816dに対する三角波の位相も180°相違している。
折れ点検出器301aは三角波発生器1810の出力を入力とし、発生器の出力する三角波がピークもしくはボトムとなった場合、出力を「1」とし、それ以外では「0」とする。折れ点検出器301 aの出力は、サンプル・ホールド器302aに出力され、サンプル・ホールド器302aは折れ点検出器301aからの入力が「1」のときに入力信号SUP2を出力値に切り替え、折れ点検出器301aからの入力が「0」のときには前回出力値を維持する。
サンプル・ホールド器302aの出力は、論理積演算器1816a、1816bに出力される。本構成により、キャリア位相が180°異なるチョッパ回路22a、22bのサプレス解除タイミングを、キャリアがピークもしくはボトムになったタイミングにそろえることができる。
同様にして、折れ点検出器301bは、位相シフト器1812の出力を入力とし、位相シフト器1812の出力する三角波がピークもしくはボトムとなった場合、出力を「1」とし、それ以外では「0」とする。折れ点検出器301bの出力は、サンプル・ホールド器302bに出力され、サンプル・ホールド器302bは折れ点検出器301bからの入力が「1」のときに入力信号SUP2を出力値に切り替え、折れ点検出器301aからの入力が「0」のときには前回出力値を維持する。
サンプル・ホールド器302bの出力は、論理積演算器1816c、1816dに出力される。本構成により、キャリア位相が180°異なるチョッパ回路22c、22dのサプレス解除タイミングを、キャリアがピークもしくはボトムになったタイミングにそろえることができる。本構成により、チョッパ回路22c、22dもチョッパ回路22a、22b同様に、キャリアがピークもしくはボトムになったタイミングでサプレス解除となる。
また、折れ点検出器301aと折れ点検出器301bでは、入力とした三角波の位相が180°相違するので、結果としてチョッパ回路22a、22bのサプレス解除タイミングと、チョッパ回路22c、22dのサプレス解除タイミングを180°相違するタイミングとすることができる。つまり、サプレス解除を組ごとに実施したことになる。
本実施例の回生電力吸収装置の動作波形を、図10を用いて説明する。
図10は、上段よりサプレス制御信号SUP、チョッパ回路22a、22b、22c、22dのキャリアtria、trib、tric、trid、電流制御器150出力Duty0(デューティ(duty)比)、チョッパ回路出力電圧Vout_a、Vout_b、Vout_c、Vout_d、チョッパ電流ia、ib、ic、idおよび移動平均値算出器1803a、1803b、1803c、1803dの出力値 ia_ave、ib_ave、ic_ave、id_aveの時間波形を示す。
本発明第一実施例では、図6に示したように時刻t1にサプレス制御信号SUPが「0」から「1」に変わると、チョッパ回路22a、22b、22c、22dは全て同時にサプレス解除された。これに対し、本実施例の回生電力吸収装置では、図10に示すように時刻t1においてキャリアがピークもしくはボトムとなるチョッパ回路22a、22bのみがまずサプレスされる。
具体的には、時刻t1においてキャリアtriaがボトムとなるため、折れ点検出器301aの出力が「1」となり、サンプル・ホールド器302aの出力が更新される。
このとき、サプレス制御信号SUPも「0」から「1」に変わるため、サンプル・ホールド器302aの出力は「0」から「1」に変わり、チョッパ回路22a、22bがサプレス解除される。
時刻taにおいて、キャリアtricがボトムとなり、折れ点検出器302bの出力が「0」から「1」に変わる。サプレス制御信号SUPは、このときすでに「1」であるため、サンプル・ホールド器302bの出力が「0」から「1」に更新される。
結果として時刻taにチョッパ回路22c、22dが遅れてサプレス解除される。
実施例1では、ic_ave、id_aveは時刻t9においてもゼロから大きくずれた値となっていたが、サプレス解除をキャリアのボトムで実施することにより、ic_ave、id_aveは時刻tbにおいて両者とも0近傍となり、チョッパ回路ごとの電流値偏差を大幅に低減できる。
時刻t1からtaまでは、チョッパ回路22aと22bのみ電流が流れるため、チョッパ電流移動平均をもとに異常を検出する本構成では、チョッパ電流22c、22dの通電が開始されてキャリア1周期経過した後に異常判定値を、ある程度余裕をもった判定値I_CMP1から、それよりも厳しい判定値I_CMP2に変えても良い。
図16に、タイマー1807の設定時間を(tb-t1)とした場合のサプレス制御信号、タイマー1807出力値、異常判定値I_CMPそして最大値算出器1805の出力波形を示す。
チョッパ回路のサプレス解除を、本構成に従って実施することにより、チョッパ部22始動時のチョッパ電流アンバランス値はキャリア1周期半程度で収束する。そのため、電流アンバランスの判定値を時刻tbで通常設定値に切り替えても、電流アンバランスの誤検出を回避できる。
本実施例によれば、本実施例の回生電力吸収装置500は、サプレス解除時の昇圧リアクトル電流のアンバランスによる回生電力吸収装置の異常誤検出を回避しつつ、定常状態におけるき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を正確に回避できる。
また、サプレス解除タイミングをキャリア位相が180°異なるチョッパ回路を一組とし、当該組をキャリアのピークもしくはボトムでサプレス解除することにより、サプレスタイミングによる電流偏差の少ないサプレス解除が可能となる。
さらに、サプレスタイミングによる電流偏差が小さいために、電流アンバランス判定用判定値を正規の値に戻すことができるため、より正確にき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を回避できる。
本発明第三の実施例を、図11を用いて説明する。本実施例と本発明第一実施例との差は、サプレス解除時のチョッパ回路スイッチング周波数を、通常時に比べて高くし、段階的にスイッチング周波数を低くして通常時のスイッチング周波数にする点にある。
本構成とすることにより、サプレス解除のチョッパ電流ばらつきを小さくすることができ、電流アンバランスを判定する判定値I_CMPを変化させなくても、本発明第一実施例と同様に、き電線への非論理高調波成分の流出を回避できるようになる。
以降、図面を用いて説明する。なお、実施例1もしくは実施例2と同じ機能の要素には同じ符号をつけ、重複説明を避ける。
本実施例も、実施例1と同様に、二次電池1、チョッパ部22、フィルタ部23、そしてチョッパ部の制御部により構成される。
本実施例3と実施例1との差は、ゲート信号演算部400の内部演算のみである。
図12を用いて、ゲート信号演算部400の構成を説明する。
本実施例のゲート信号演算部400と、実施例1のゲート信号演算部180の違いは、キャリアとなる三角波を作る三角波発生器の出力する三角波周波数が最初は高く、時間に応じて低くなる点である。
ゲート信号演算部400は、サプレス制御信号SUPを入力とし、SUPが「0」から「1」に変わった時には、通常時より高い値を出力し、所定の時間ごとに段階的に値を下げて通常時の値とするカウントダウンタイマ400aと、タイマの出力を入力とし、入力に応じた周波数の三角波を出力する三角波発生器400bにより構成される。
本構成により、サプレス解除時にスイッチング周波数を上げることができ、サプレス解除時に重畳するチョッパ電流のアンバランス幅を低減することができる。
また、所定時間後にスイッチング周波数を下げることができるため、通常運転時の回生電力吸収装置500の損失増加を回避できる。
本発明第一実施例のサプレス解除時の各種波形と、本実施例のサプレス解除時の各種波形を図13に示す。図13 (a)は第一実施例、図13 (b)は本実施例での波形であり、図13 (b)にはサプレス解除時のスイッチング周波数Fswを通常時の2倍にした例を示す。
スイッチング周波数を2倍にしたことにより、チョッパ電流のリプル振幅が半分になるため、サプレス解除時に発生するチョッパ電流のアンバランス量も半分になる。
サプレス制御信号SUP、カウントダウンタイマ400aの出力と、チョッパ電流平均値偏差移動平均値の関係を図14に示す。
サプレス制御信号SUPが時刻t1で「0」から「1」に変わった時、カウントダウンタイマ400aは通常時における出力値Fswの2倍の値を出力する。これにより、図13で説明したようにチョッパ電流のサプレス解除タイミングに起因する電流アンバランス量は、実施例1に比べて半分となる。
バランス制御器160は、上記電流アンバランスを検出してデューティ(duty)比を補正する。そのため、移動平均値はゼロに漸近する。
時刻t200において、カウントダウンタイマ400aは通常時の出力値に出力を変える。これにより、再びチョッパ電流にキャリア周波数変更タイミングに起因した電流アンバランスが発生するが、再びバランス制御器160により上記移動平均値はゼロに漸近する。
上記より、本構成によれば、電流アンバランス最大値を抑制しながら回生電力吸収装置500の異常誤検出を回避しつつサプレス解除が可能となる。また、サプレス解除時のチョッパ電流最大値を低減できるため、昇圧リアクトルの飽和を低減し、さらに正確にき電線への非論理高調波流出を回避できる。
本実施例では、2段階でキャリア周波数を変化させたが、2段より多い多段でキャリア周波数を変えてもよい。
また、ローパスフィルタをカウントダウンタイマ400aの後段に設け、連続的にキャリア周波数を変化させてもよい。
また、本実施例ではカウントダウンタイマ400aの出力値を下げるタイミングは時間で管理したが、最大値算出器1805の値が所定の値より小さくなった場合に切り替える構成としてもよい。
本実施例によれば、本実施例の回生電力吸収装置500は、サプレス解除時の昇圧リアクトル電流のアンバランスによる回生電力吸収装置の異常誤検出を回避しつつ、定常状態におけるき電線回路に流出する非論理高調波成分の流出を正確に回避できる。
さらに、本実施例の形態によれば、サプレス解除時のチョッパ電流最大値を低減できるため、昇圧リアクトルの飽和を低減し、さらに正確にき電線への非論理高調波流出を回避できる。
1:二次電池
2、4:フィルタリアクトル
3:フィルタコンデンサ
6:き電線
7:レール
8:ダイオード整流器
9:変圧器
10:交流系統
11a、12a:IGBT
13a、14a:フリーホイールダイオード
15、17:電圧検出器
16a、16b、16c、16d:電流検出器
20:DC/DC電力変換器
23:フィルタ部
22:チョッパ部
100:充電率算出器
110:充電率制御器
120:電圧制御器
160:バランス制御器
170:デューティ(duty)比補正演算器
180:ゲート信号演算器
180A:アンバランス検出部
180B:PWM制御部
200:運転状態制御器
500:回生電力吸収装置

Claims (10)

  1. 直流き電区間のき電線とレールの間に接続された電力変換装置と、該電力変換装置に接続された電力貯蔵要素とを備え、前記電力変換装置は複数の並列接続されたチョッパ回路で構成された電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、
    前記電力変換装置に流れる電流をその電流指令値に制御する電流制御装置、該電流制御装置の出力から前記電力変換装置のゲート信号を定めるゲート信号演算器、少なくとも前記き電線の電圧を入力として前記電力貯蔵要素の充放電を定めて前記電流制御装置の前記電流指令値を決定するとともに、前記ゲート信号の停止および停止解除を決定する充放電機能、前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差を求め、これが所定の設定値よりも大きいときに前記ゲート信号の停止を決定するアンバランス検出部、前記充放電機能が与える前記ゲート信号の停止解除直後に、前記アンバランス検出部における前記所定の設定値を一時的に大きな値に変更し、前記アンバランス検出部による前記ゲート信号の停止を阻止する阻止手段を備えることを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置。
  2. 請求項1記載の電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、
    前記ゲート信号演算器は、前記電流制御装置の与える前記複数のチョッパ回路のデューティ(duty)比と三角波を比較して前記複数のチョッパ回路のゲート信号を定め、前記阻止手段は前記充放電機能が与える前記ゲート信号の停止解除直後における前記複数のチョッパ回路のゲート信号の印加を、チョッパ回路ごとにタイミングをずらせて順次行うことを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置。
  3. 請求項1記載の電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、
    前記ゲート信号演算器は、前記電流制御装置の与える前記複数のチョッパ回路のデューティ(duty)比と三角波を比較して前記複数のチョッパ回路のゲート信号を定め、前記阻止手段は前記充放電機能が与える前記ゲート信号の停止解除直後における前記三角波の周波数を一時的に高めることを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、
    前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差に応じて、前記電流制御装置の与える前記複数のチョッパ回路のデューティ(duty)比を補正し、前記複数のチョッパ回路に流れる電流をバランスさせるバランス制御器を備えることを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置。
  5. 請求項1に記載の電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、
    前記電流制御装置は、前記電力変換装置を構成する前記複数のチョッパ回路ごとに設置され、各チョッパ回路に流れる電流をその電流指令値に制御することを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力貯蔵式回生電力吸収装置であって、
    前記充放電機能は、き電線の電圧を入力として前記電力貯蔵要素の充放電を定め第1の電流指令値を与える電圧制御部と、前記電力貯蔵要素の充電率を入力として前記電力貯蔵要素の充放電を定め第2の電流指令値を与える充電率制御部と、き電線の電圧と充電率の関係から前記電力変換装置の前記ゲート信号の停止および停止解除を決定する手段と、電流指令値を選択する選択手段を備えることを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置。
  7. 直流き電区間のき電線とレールの間に接続された電力変換装置と、該電力変換装置に接続された電力貯蔵要素とを備え、前記電力変換装置は複数の並列接続されたチョッパ回路で構成された電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御装置であって、
    制御装置は、前記電力変換装置に流れる電流をその電流指令値に制御する電流制御装置、該電流制御装置の出力から前記電力変換装置のゲート信号を定めるゲート信号演算器、所定の条件が成立する時に前記ゲート信号の停止および停止解除を決定する判定機能を備え、該判定機能が与える前記ゲート信号の停止解除直後に、前記ゲート信号の停止阻止の条件を緩和する阻止手段を備え、
    前記判定機能は前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差を求め、これが所定の設定値よりも大きいときに前記ゲート信号の停止を決定し、前記阻止手段は前記判定機能が与える前記ゲート信号の停止解除直後に前記所定の設定値を一時的に大きな値に変更することを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御装置。
  8. 直流き電区間のき電線とレールの間に接続された電力変換装置と、該電力変換装置に接続された電力貯蔵要素とを備え、前記電力変換装置は複数の並列接続されたチョッパ回路で構成された電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御装置であって、
    制御装置は、前記電力変換装置に流れる電流をその電流指令値に制御する電流制御装置、該電流制御装置の出力から前記電力変換装置のゲート信号を定めるゲート信号演算器、少なくとも前記き電線の電圧を入力として前記電力貯蔵要素の充放電を定めて前記電流制御装置の前記電流指令値を決定するとともに、前記ゲート信号の停止および停止解除を決定する充放電機能、前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差を求め、これが所定の設定値よりも大きいときに前記ゲート信号の停止を決定するアンバランス検出部、前記充放電機能が与える前記ゲート信号の停止解除直後に、前記アンバランス検出部における前記所定の設定値を一時的に大きな値に変更し、前記アンバランス検出部による前記ゲート信号の停止を阻止する阻止手段を備えることを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御装置。
  9. 直流き電区間のき電線とレールの間に接続された電力変換装置と、該電力変換装置に接続された電力貯蔵要素とを備え、前記電力変換装置は複数の並列接続されたチョッパ回路で構成された電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御方法であって、
    前記電力変換装置に流れる電流をその電流指令値に制御すべく電力変換装置のゲート信号を定め、少なくとも前記き電線の電圧から前記電力貯蔵要素の充放電を定めて前記電流指令値を決定するとともに前記ゲート信号の停止および停止解除を決定し、
    前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差が所定の設定値よりも大きいときに前記ゲート信号の停止を決定し、前記き電線の電圧から決定された前記ゲート信号の停止解除直後に、前記所定の設定値を一時的に大きな値に変更し、前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差が所定の設定値よりも大きいことによる前記ゲート信号の停止を阻止することを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御方法。
  10. 直流き電区間のき電線とレールの間に接続された電力変換装置と、該電力変換装置に接続された電力貯蔵要素とを備え、前記電力変換装置は複数の並列接続されたチョッパ回路で構成された電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御方法であって、
    前記電力変換装置に流れる電流をその電流指令値に制御すべく電力変換装置のゲート信号を定め、少なくとも前記き電線の電圧から前記ゲート信号の停止および停止解除を決定し、前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差が所定の設定値よりも大きいときに前記ゲート信号を停止するとともに、前記き電線の電圧から決定された前記ゲート信号の停止解除直後には前記複数のチョッパ回路に流れる電流の平均値からの差が所定の設定値よりも大きいときの前記ゲート信号の停止を阻止することを特徴とする電力貯蔵式回生電力吸収装置の制御方法。
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