JP5980217B2 - 軸封装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハウジングと回転軸との間をシールするリップタイプシールの軸封装置に関する。
従来、固定ハウジングに装着され、回転軸の表面を摺動密封するリップタイプシールにおいて、環境問題に対応するため、リップ形状・寸法及びリップ材質の適正化、リップ摺動面または相手軸表面のコーティング、並びに、相手軸表面粗さの適正化を通じて低フリクション化が図られている。
リップ摺動面または相手軸表面へコーティングするもの、及び、相手軸表面粗さを適正化するものにおいては、初期に効果があるのみで時間経過とともに摩耗により低フリクションを継続することができないという問題があった。
一方、潤滑特性を良好にする軸封装置として、図12に示す封止手段が知られている(以下、「従来技術1」という。例えば、特許文献1参照。)。
この従来技術1は、ハウジング50に取り付けられたリップタイプシール51を組み込んでおり、該リップタイプシール51は、回転軸52に接触するよう配設された封止縁部53を有し、該封止縁部53の接触する回転軸表面の接触部域54に、溝56及び畝部57が交互に設けられた矢形溝部55を備え、回転軸52がハウジング50内で回転する場合、矢形溝部55がポンピング効果を作り出し、大気側から浸入する異物を撥ね退けるとともに、被密封流体側からの流体を押し戻すことにより封止効果を維持するようにしたものである。
また、従来技術1の矢形溝部に代えて、らせん溝を設けた軸封装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)
さらに、低トルク化とシール性とを両立させる軸封装置として、図13に示す封止手段が知られている(以下、「従来技術2」という。例えば、特許文献3参照。)。
この従来技術2は、被密封流体をシールするシールリップ60と、該シールリップ60の大気側に配置され、回転軸61表面に形成されたネジ62と筒状部63とからなるネジポンプ機構64とを有し、該ネジポンプ機構64は、シールリップ60に向けて流体ポンピング作用をなしてシールリップ60の緊迫力を実質低下させるようにすることにより、シールリップ60によってシール性を確保するとともに、ネジポンプ機構64によってシールリップ60の低トルク化を実現したものである。
しかしながら、図12に示す従来技術1の軸封装置では、回転軸表面の接触部域54に設けられた高硬度材料で形成された矢形溝部55にリップタイプシール51の封止縁部53が接触する構造であるため、封止縁部53の摩耗が早く、また、矢形溝部55の各溝56が大気側と被密封流体側とを軸方向に直接連通する「く字状」の形状をし、封止縁部53の先端部がく字状の溝56に接触していないため、被密封流体側と大気側とが常時連通した状態にあることから、装置の静止状態では被密封流体が大気側に漏出する可能性がある。通常のオイルシールにおいて軸の表面粗さが2.5μm以上になると静止時の漏れの原因になることが知られており、従来技術1の場合、溝56の深さが2.5μm以上であれば、静止時において深刻な漏れを発生する。
また、従来技術1の矢形溝部に代えて、らせん溝を設けた軸封装置においてもらせん溝を介して大気側と被密封流体側とが直接連通する形状であるため、従来技術1と同様の問題がある。
さらに、図13に示す従来技術2の軸封装置では、シールリップ60の低トルク化のためシールリップ60の緊迫力が低下されていることから、シールリップ60のシール性が低下すること、及び、被密封流体側に大気が混入されるという問題があった。
特開2001−214979号公報 特開平10−331985号公報 特開2005−273693号公報
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するためになされたものであって、リップシールタイプの軸封装置において、静止時に漏れず、回転初期を含み回転時には流体潤滑で作動するとともに漏れを防止し、密封と潤滑を両立させることのできる軸封装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために本発明の軸封装置は、第1に、径方向内外で同心状に配置されている回転部材と固定部材との間をシールするリップシールを備えたリップタイプシールの軸封装置において、
前記回転部材の外周面に、前記リップシールと前記回転部材との相対回転摺動によりポンピング作用を生起するポンピング部が円周方向に分離されて複数形成され、
前記複数のポンピング部は、被密封流体を吸い込む方向に作用する吸入ポンピング部と被密封流体を吐き出す方向に作用する吐出ポンピング部を備え、
前記リップシールのリップが、軸方向において、前記ポンピング部の被密封流体側の一部を残して大気側に延設されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第2に、第1の特徴において、前記リップシールのリップが、軸方向において、前記ポンピング部の被密封流体側の一部を残して前記ポンピング部を覆うとともに大気側に延設され、前記ポンピング部より大気側の回転部材の外周面と摺接するように設定されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第3に、第1の特徴において、前記リップシールのリップが、軸方向において、前記ポンピング部の被密封流体側の一部及び大気側の一部を残して、前記ポンピング部の形成された回転部材の外周面と摺接するように設定されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第4に、第1ないし第3のいずれかの特徴において、前記ポンピング部は、線状の凹凸の周期構造をしており、前記線状の凹凸は、当該凹凸の方向が当該摺動面の摺動方向に対して所定の角度傾斜するように形成されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第5に、第4の特徴において、前記複数のポンピング部は、隣接するポンピング部の前記線状の凹凸の方向が当該摺動面の摺動方向に対して対称となるように形成されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第6に、第4または第5の特徴において、前記ポンピング部の線状の凹凸の周期構造は、フェムト秒レーザの照射により形成されることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第7に、第1ないし第6のいずれかの特徴において、前記ポンピング部は、回転部材の外周面に形成された複数の凹部の底面に設けられることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第8に、第4ないし第7のいずれかの特徴において、前記吸入ポンピング部は、側面視において線状の凹凸が回転軸の回転方向に向かって次第に深くなるように形成され、吐出ポンピング部は、側面視において直線状の凹凸が回転軸の回転方向に向かって次第に浅くなるように形成されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第9に、第7の特徴において、前記複数の凹部の上縁部がテーパ形状またはアール形状に加工されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第10に、第1ないし第9のいずれかの特徴において、前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吸入ポンピング部のポンピング容量と吐出ポンピング部のポンピング容量とが同等、または、いずれか一方のポンピング容量が大きく設定されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第11に、第4ないし第10のいずれかの特徴において、前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吐出ポンピング部の線状の凹凸のピッチが吸入ポンピング部の線状の凹凸のピッチより小さく形成されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第12に、第4ないし第11のいずれかの特徴において、前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吐出ポンピング部の線状の凹凸の幅または深さが吸入ポンピング部の線状の凹凸の幅または深さより大きく形成されていることを特徴としている。
また、本発明の軸封装置は、第13に、第4ないし第12のいずれかの特徴において、前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吐出ポンピング部の径方向の長さまたは円周方向の長さが吸入ポンピング部の径方向の長さまたは円周方向の長さより大きく形成されていることを特徴としている。
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)上記第1の特徴により、静止時には、リップシールのリップが回転部材の外周面に圧接されていることにより漏れを防止するとともに、起動時には、ポンピング部内に被密封流体を取り込むことによってすばやく潤滑流体膜を形成することができ、摺動面の摺動トルクを低くし摩耗を低減することができる。
さらに、運転時には、吸入ポンピング部内に被密封流体を取り込み、この被密封流体を摺動面を介して分離された位置にある吐出ポンピング部に送り込み、吐出ポンピング部の作用によりこの被密封流体を被密封流体側に戻すものであり、被密封流体の流れを通じて、摺動面の潤滑性を確保するとともに、漏れを防止し、シール性を保つことができる。
(2)上記第2の特徴により、リップシールのリップがポンピング部より大気側の回転部材の外周面に圧接されるため、静止時における漏れを確実に防止することができる。
(3)上記第3の特徴により、リップシールのリップがポンピング部の形成された回転部材の外周面に圧接されるように設定されているため、リップシールの軸方向の長さに比べてポンピング部の軸方向の長さを大きく設定することができ、ポンピング作用を向上させることができる。
(4)上記第4の特徴により、ポンピング部を線状の凹凸の周期構造から形成できるため、ポンピングの形成が容易であり、また、傾斜角度を調節することでポンピング性能を自在に調節することができる。
(5)上記第5の特徴により、摺動面が両方向に回転する場合に好適である。
(6)上記第6の特徴により、ポンピング部の線状の凹凸の周期構造がフェムト秒レーザの照射により形成されるため、その方向性の制御が可能であり、加工位置の制御も可能であるため、離散的な小区画に分けて各区画ごとに所望の線状の凹凸の周期構造の形成ができる。
(7)上記第7の特徴により、ポンピング部が回転部材の外周面に形成された凹部の底面に設けられるため、起動時に、凹部内に取り込まれた被密封流体を利用して素早く潤滑流体膜を形成することができる。
(8)上記第8の特徴により、吸入ポンピング部においては、より一層、被密封流体を取り込んで吐出ポンピング部に送り込むことができ、また、吐出ポンピング部においては、送り込まれた被密封流体を、より一層、被密封流体側に戻すことができるため、摺動面の潤滑性及び漏れを防止をさらに向上させることができる。
(9)上記第9の特徴により、凹部の上縁部がテーパ形状またはアール形状に加工されているため、リップシールのリップと回転部材の外周面との摺動が滑らかなものとなり、リップシールのリップの摩耗を低下させることができる。
(10)上記第10の特徴により、吸入ポンピング部のポンピング容量と吐出ポンピング部のポンピング容量とを同等、または、いずれか一方のポンピング容量を大きく設定することができるため、軸封装置の使用態様に応じて吸入または吐出のポンピング容量を自由に設定することができる。
(11)また、上記第11ないし第13の特徴により、吐出ポンピング部の吐出容量が吸入ポンピング部の吸入容量より大きく設定されているため、吸入ポンピング部等からの流入する被密封流体は吐出ポンピング部から被密封流体側に戻され、大気側に漏洩することが防止される。
本発明の実施形態1に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の実施形態2に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の実施形態3に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の実施形態4に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の実施形態5に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の実施形態6に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の実施形態1ないし6に係る軸封装置において回転軸またはスリーブ外周面に設けられるポンピング部を説明する平面図であって、回転軸又はスリーブの外周面の一部を平面状に展開した状態を示している。 図7に示すポンピング部を説明するもので、被密封流体側から見た斜視図である。 ポンピング部の第1変形例を説明する図であって、回転軸と直交する面から見た断面図である。 ポンピング部の第2変形例を説明する平面図であって、回転軸又はスリーブの外周面の一部を平面状に展開した状態を示している。 ポンピング部の第3変形例を説明する平面図であって、回転軸又はスリーブの外周面の一部を平面状に展開した状態を示している。 従来技術1を説明する縦断面図である。 従来技術2を説明する縦断面図である。
本発明に係る軸封装置を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加えうるものである。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る軸封装置を示す縦断面図である。
図1において、ハウジング1には回転軸2を挿通するための回転軸貫通穴3が設けられ、該回転軸貫通穴3に回転軸2が挿通され、図示しないベアリングなどにより回転軸2が回転軸貫通穴3周壁と所要の間隙をもって支持される。
ここで、径方向内外で同心状に配設されている回転部材と固定部材とにおいて、ハウジング1は固定部材に相当し、回転軸2は回転部材に相当する。
回転軸2と回転軸貫通穴3周壁との間には、軸封装置10が配設され、被密封流体側Lと大気側Aとを密封する。
図1において、右側が被密封流体側Lであり、左側が大気側Aである。
軸封装置10は、リップシール11を備え、ハウジング1と回転軸2とが対向する環状空間を被密封流体側Lと、大気圧側Aとの2つの空間に仕切ってその内外を遮断するようになっており、径方向断面形状がほぼ横L字形の補強環12にエラストマー製のシールリップ部材13が環状に被着されている。シールリップ部材13の回転軸2側、つまり内周部分は、被密封流体側Lへ延びかつ内周側へ向けて延び、断面形状がほぼ逆三角形で、その三角形の頂点に対応するエッジ形状の部分がリップ14を形成している。このリップ14は、回転軸2の外周面上に圧接されたときエッジが変形して所定の軸方向接触幅で該回転軸2の外周面上を摺動することができる。
リップ14の外周には、リップ14を回転軸2の外周面に対して圧接させるガータスプリング15が装着されている。
回転軸2の外周面には、周方向に分離された複数のポンピング部20が形成されている。複数のポンピング部20とシールリップ部材13のリップ14とは、軸方向において、ポンピング部20の被密封流体側Lの一部を残してポンピング部20が形成された回転軸20の外周面と摺動するように配置されている。また、ポンピング部20の大気側の一部はリップ14に覆われていない。すなわち、ポンピング部20は、軸方向において、被密封流体側Lの一部及び大気側の一部においてはリップ14により覆われていない。
このように、複数のポンピング部20は、それぞれ、周方向において隣接するポンピング部20とはポンピング部20の形成されていない外周面により分離され、また、被密封流体側Lとは連通している。被密封流体側Lと大気側Aとはリップ14の圧接により非連通となっている。
ポンピング部20の軸方向の長さa1は、リップ14の回転軸2の外周面と接触する長さa2よりやや大きく設定され、また、ポンピング部20の周方向の長さ(円弧面の長さ)b1は、隣接するポンピング部20、20間に存在する外周面Sの周方向の長さ(円弧面の長さ)b2と同じかやや大きく設定される。
なお、ポンピング部20については、後記において詳細に説明する。
〔実施形態2〕
図2は、本発明の実施形態2に係る軸封装置を示す縦断面図である。
図2において、図1に付された符号と同じ符号は図1における部材と同じ部材を意味しており、詳細な説明は省略する。
軸封装置30は、リップシール31を備え、ハウジング1と回転軸2とが対向する環状空間を被密封流体側Lと、大気圧側Aとの2つの空間に仕切ってその内外を遮断するようになっている。リップシール31は、断面がL形状の樹脂製のシールリップ部材32を備え、該シールリップ部材32は、断面が略L形状の外側の結合金属環33と断面が略L形状の内側の押え金属環34とにより挟持される。
断面がL形状のシールリップ部材32の内周側に筒状リップ35が形成され、この筒状リップ35は回転軸2の外周面と強く密接して被密封流体をシールする。
筒状リップ35と回転軸2の外周面との密接部の付近において、回転軸2の外周面には、周方向に分離された複数のポンピング部20が形成されている。該ポンピング部20は、基本的には実施の形態1のポンピング部20と同じである。
複数のポンピング部20とシールリップ部材32の筒状リップ35とは、実施形態1と同様に、軸方向において、ポンピング部20の被密封流体側Lの一部を残してポンピング部20が形成された回転軸20の外周面と摺動するように配置されている。ポンピング部20の大気側の一部は筒状リップ35に覆われていない。すなわち、ポンピング部20は、軸方向において、被密封流体側Lの一部及び大気側の一部においては筒状リップ35により覆われていない。
このように、複数のポンピング部20は、それぞれ、周方向において隣接するポンピング部20とはポンピング部20の形成されていない外周面によりにより分離され、また、被密封流体側Lとは連通している。被密封流体側Lと大気側Aとは筒状リップ35の圧接により非連通となっている。
ポンピング部20の軸方向の長さa1は、筒状リップ35の回転軸20の外周面と接触する軸方向の長さa2よりやや大きく設定され、また、ポンピング部20の周方向の長さ(円弧面の長さ)b1は、隣接するポンピング部20、20間に存在する外周面Sの周方向の長さ(円弧面の長さ)b2と同じかやや大きく設定される。
なお、ポンピング部20については、後記において詳細に説明する。
〔実施形態3〕
図3は、本発明の実施形態3に係る軸封装置を示す縦断面図である。
図3において、図2に付された符号と同じ符号は図1における部材と同じ部材を意味しており、詳細な説明は省略する。
本実施形態3では、回転軸2にシール用スリーブ4が嵌合されている点が実施形態2と相違するが、その他の構成は実施形態2と同じであり、該スリーブ4の外周面Sに周方向に分離された複数のポンピング部20が形成されている。ここで、スリーブ4は回転部材に相当する。
なお、ポンピング部20については、後記において詳細に説明する。
〔実施形態4〕
図4は、本発明の実施形態4に係る軸封装置を示す縦断面図である。
図4において、図2に付された符号と同じ符号は図2における部材と同じ部材を意味しており、詳細な説明は省略する。
本実施形態4においては、ポンピング部20の軸方向の長さa1が、筒状リップ35の回転軸2の外周面と接触する軸方向の長さa2とほぼ同じか、あるいは、やや小さく設定され、複数のポンピング部20とシールリップ部材32の筒状リップ35とは、軸方向において、ポンピング部20の被密封流体側Lの一部を残して筒状リップ35がポンピング部20を覆うように配置され、筒状リップ35はさらに大気側Aに延設された形状をしており、ポンピング部20より大気側Aの回転軸2の外周面と摺動するように配置されている点で実施形態2と相違する。すなわち、ポンピング部20は、軸方向において、被密封流体側Lの一部においては筒状リップ35により覆われておらず、大気側は覆われている。
このように、複数のポンピング部20は、それぞれ、周方向において隣接するポンピング部20とはポンピング部20の形成されていない外周面によりにより分離され、また、被密封流体側Lとは連通している。被密封流体側Lと大気側Aとは筒状リップ35と回転軸2の摺動面Sとの圧接により非連通となっている。
なお、ポンピング部20については、後記において詳細に説明する。
〔実施形態5〕
図5は、本発明の実施形態5に係る軸封装置を示す縦断面図である。
図5において、図4に付された符号と同じ符号は図4における部材と同じ部材を意味しており、詳細な説明は省略する。
本実施形態5では、回転軸2にシール用スリーブ4が嵌合されている点が実施形態4と相違するが、その他の構成は実施形態4と同じであり、該スリーブ4の外周面Sに周方向に分離された複数のポンピング部20が形成されている。
ここで、スリーブ4は回転部材に相当する。
なお、ポンピング部20については、後記において詳細に説明する。
〔実施形態6〕
図6は、本発明の実施形態6に係る軸封装置を示す縦断面図である。
図6において、図1に付された符号と同じ符号は図1における部材と同じ部材を意味しており、詳細な説明は省略する。
本実施形態6においては、ポンピング部20の軸方向の長さa1が、リップ14の回転軸2の外周面と接触する軸方向の長さa2とほぼ同じか、あるいは、やや小さく設定され、複数のポンピング部20とシールリップ部材13のリップ14とは、軸方向において、ポンピング部20の被密封流体側Lの一部を残してリップ14がポンピング部20を覆うように配置され、リップ14はさらに大気側Aに延設された形状をしており、ポンピング部20より大気側Aの回転軸2の外周面と摺動するように配置されている点で実施形態1と相違する。すなわち、ポンピング部20は、軸方向において、被密封流体側Lの一部においてはリップ14により覆われておらず、大気側は覆われている。
このように、複数のポンピング部20は、それぞれ、周方向において隣接するポンピング部20とはポンピング部20の形成されていない外周面により分離され、また、被密封流体側Lとは連通している。被密封流体側Lと大気側Aとはリップ14と回転軸2の摺動面Sとの圧接により非連通となっている。
なお、ポンピング部20については、後記において詳細に説明する。
上記した 図1の実施の形態1及び図6の実施形態6の場合において、図3の実施形態3及び図5の実施形態5と同様に、回転軸2にシール用スリーブ4を嵌合したものにも適用できることはいうまでもない。
〔ポンピング部の構成〕
図7は、本発明の実施形態1ないし6に係る軸封装置において回転軸またはスリーブのような回転部材の外周面に設けられるポンピング部を説明する平面図であって、回転部材の外周面の一部を平面状に展開した状態を示している。図7では、実施形態1〜6のうち、実施形態1のポンピング部20を例にして説明するが、実施形態2〜6のポンピング部20も同様の構造である。
シールリップ部材と回転部材の外周面との摺動面を低摩擦化させるためには、被密封流体の種類、温度などによるが、通常、摺動面間に0.1μm〜10μmほどの液膜が必要である。この液膜を得るため、本発明では、上記したように、回転部材の外周面に、シールリップ部材13と回転部材との相対回転摺動によりポンピング作用を生起するポンピング部20が円周方向に独立して複数配置されている。該ポンピング部20は、被密封流体を吸い込む方向に作用する吸入ポンピング部20aと被密封流体を吐き出す方向に作用する吐出ポンピング部20bとを備えている。
ポンピング部20の各々には、図8に詳細に示すように、相互に平行で一定のピッチの複数の線状の凹凸(本発明においては、「線状の凹凸の周期構造」ともいう。)が形成される。この線状の凹凸の周期構造は、後述するように、例えば、フェムト秒レーザにより形成される微細な構造である。
なお、本発明において「線状の凹凸」には、直線状の凹凸の他、直線状の凹凸形成の過程で出現される多少彎曲された凹凸、または曲線状の凹凸も包含される。
また、線状の凹凸の周期構造は、回転軸2又はスリーブ4の外周面と面一に形成される場合の他、外周面に凹部21を形成し、該凹部の底面に形成されてもよい。
図7において、回転軸2がR方向に回転する場合を示しており、ポンピング部20に形成される線状の凹凸は、摺動面Sの摺動方向に対して所定の角度θで傾斜するように形成される。所定の角度θは、摺動面Sの摺動方向に対して10°〜80°の範囲であることが好ましい。
複数ポンピング部20の各々におけるポンピング部20の線状の凹凸の回転接線に対する傾斜角度θは、全て同じであってもよいし、ポンピング部20ごとに異なっていてもよい。しかし、この傾斜角度θに応じて摺動面Sの摺動特性が影響を受けるので、要求される潤滑性や摺動条件等に応じて、適切な特定な傾斜角度θに各ポンピング部20の線状の凹凸の傾斜角度を統一するのが安定した摺動特性を得るために有効である。
従って、摺動面Sの回転摺動方向が一方向であれば、複数のポンピング部21の各々における線状の凹凸の回転接線に対する傾斜角度θは、最適な特定の角度に規定される。
また、摺動面Sの回転摺動方向が正逆両方向であれば、一方の方向の回転の際に適切な摺動特性となる第1の角度で回転接線に対して傾斜する線状の凹凸を有する第1のポンピング部と、それとは反対方向の回転の際に適切な摺動特性となる第2の角度で回転接線に対して傾斜する線状の凹凸を有する第2のポンピング部とを混在させることが望ましい。そのような構成であれば、摺動面Sが正逆両方向に回転する際に、各々適切な摺動特性を得ることができる。
さらに具体的には、摺動面Sが正逆両方向に回転する場合には、吸入ポンピング部20aと吐出ポンピング部20bとの各線状の凹凸の傾斜角度は、回転接線に対して対称となるような角度となるように形成しておくのが好適である。
また、吸入ポンピング部20aと吐出ポンピング部20bとは、摺動面Sの周方向に沿って交互に配置されるように形成するのが好適である。
図7に示す吸入ポンピング部20aと吐出ポンピング部20bは、そのような摺動面Sが両方向へ回転する場合に好適な構成である。
なお、吸入ポンピング部20aと吐出ポンピング部20bとは、摺動面Sの周方向に沿って交互に配置されなくてもよく、例えば、吸入ポンピング部20aが2個、吐出ポンピング部20bが1個の割合で配置されても、あるいは、逆の割合で配置されてもよい。
相互に平行で一定のピッチの複数の線状の凹凸を精度よく所定のピッチで配置した構造であるポンピング部20は、例えば、フェムト秒レーザを用いて、摺動面Sの所定の領域に厳密に区画分けされ、さらに各区画において凹凸の方向を精度よくコントロールして形成される。
加工しきい値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを基板に照射すると、入射光と基板の表面に沿った散乱光又はプラズマ波の干渉により、波長オーダーのピッチと溝深さを持つ凹凸状の周期構造が偏光方向に直交して自己組織的に形成される。この時、フェムト秒レーザをオーバーラップさせながら操作を行うことにより、その周期構造パターンを表面に形成することができる。
このようなフェムト秒レーザを利用した線状の凹凸の周期構造では、その方向性の制御が可能であり、加工位置の制御も可能であるため、離散的な小区画に分けて各区画ごとに所望の線状の凹凸の周期構造の形成ができる。すなわち、円筒状の回転軸又はスリーブの外周面を回転させながらこの方法を用いれば、外周面に選択的に微細な周期パターンを形成することができる。そしてまたフェムト秒レーザを利用した加工方法では、リップタイプシールの潤滑性向上及び漏洩低減に有効なサブミクロンオーダーの深さの凹凸の形成が可能である。
前記線状の凹凸の周期構造の形成は、フェムト秒レーザに限らず、ピコ秒レーザや電子ビームを用いてもよい。また、前記線状の凹凸の周期構造の形成は、周期構造の溝を備えた型を用いて円筒状の摺動面を回転させながらスタンプ又は刻印することにより行われてもよい。
さらに、外周面(摺動面)の凹部の底部に前記線状の凹凸の周期構造を形成する場合には、エッチングで外周面に凹部を形成し、その後、フェムト秒レーザなどにより凹部の底部に線状の凹凸の周期構造を形成させてもよい。さらに、フェムト秒レーザなどにより、外周面に線状の凹凸の周期構造のみ形成させ、その後、線状の凹凸の周期構造の周囲にメッキあるいは成膜を行うことで囲いを形成させてもよい。
図8は、図7に示すポンピング部を説明するもので、被密封流体側から見た斜視図である。
シールリップ部材と回転部材の外周面との摺動面を低摩擦化させるためには、被密封流体の種類、温度などによるが、通常、摺動面間に0.1μm〜10μmの液膜hが形成されるが、その場合、ポンピング部20において、凹凸の頂点を結ぶような仮想平面をとると、該仮想平面は液膜hに応じて摺動面Sに対して面一あるいは下方に設定される。図8(a)には、摺動面Sと仮想平面との距離d1=0、すなわち、仮想平面が摺動面Sと面一の場合が示され、また、図8(b)には、摺動面Sに形成された凹部21の底部にポンピング部20が形成される場合が示されており、仮想平面は摺動面Sに対してd1>0だけ低い位置に設定されている。
図1〜3に示されるように、リップシールのリップ14または筒状リップ35がポンピング部20の形成された回転軸2の外周面と摺接する場合、摺動面Sと仮想平面との距離d1は、静止時の漏れ防止の観点から、0≦d1≦2μmに設定するのが望ましい。また、凹凸の頂点を結ぶ仮想平面と底部との深さd2は、0<d2≦2μmの範囲が望ましく、d1とd2との合計は、0<d1+d2≦2.5μmが望ましい。
一方、図4〜6に示されるように、リップシールのリップ14または筒状リップ35がポンピング部20より大気側の回転軸2の外周面とも摺接する場合、摺動面Sと仮想平面との距離d1は、d1=0〜10h、凹凸の頂点を結ぶ仮想平面と底部との深さd2は、d2=0.1〜10hの範囲が望ましい。
さらに、ポンピング部11の直線状の凹凸のピッチpは、被密封流体の粘度に応じて設定されるが、図1〜6のいずれの場合も、0.1μm〜100μmが望ましい。被密封流体の粘度が高い場合、溝内に流体が十分に入り込めるようにピッチpを大きくした方がよい。
外周面(摺動面S)に形成された凹部21の底部にポンピング部20が形成される場合、フェムト秒レーザにより、まず、凹部21が形成され、その後続いて、ポンピング部20が形成される。外周面(摺動面S)に形成された凹部21の底部にポンピング部20が形成される場合、凹部21内の空間に被密封流体が取り込むことができ、ポンピング部20により大気側に漏れないような液体の流れを多く生起することができる。また、この場合、凹部21の上縁部22は、シールリップ部材13のリップ14が擦過する部分であることから、テーパ形状またはアール形状に形成されることが望ましい。
上記のように、静止時には、円周方向に連続した摺動面Sが形成されていることにより漏れを防止するとともに、起動時には、ポンピング部20内に被密封流体を取り込むことによってすばやく潤滑流体膜を形成することができ、摺動面Sの摺動トルクを低くし摩耗を低減することができる。さらに、運転時には、吸入ポンピング部20a内に被密封流体を取り込み、この被密封流体を摺動面Sを介して分離された位置にある吐出ポンピング部20bに送り込み、吐出ポンピング部20bの作用によりこの被密封流体を被密封流体側に戻すものである。このような被密封流体の流れを通じて、摺動面Sの潤滑性を確保するとともに、漏れを防止し、シール性を保つことができる。特に、ポンピング部20の凹凸の頂点を結ぶ仮想平面が摺動面Sより低く設定される場合、仮想平面が摺動面Sと段差d1を有する形状となっていることにより、起動時に、凹部21内に取り込まれた被密封流体を利用して素早く潤滑流体膜を形成することができる。
〔ポンピング部の第1変形例〕
図9は、ポンピング部の第1変形例を説明する図であって、回転軸と直交する面から見た断面図である。
図9において、凹部21の底部に形成されるポンピング部20の吸入ポンピング部20aは、その線状の凹凸が回転軸2の回転方向Rに向かって次第に深くなるように形成され、吐出ポンピング部20bは、その線状の凹凸が回転軸2の回転方向Rに向かって次第に浅くなるように形成されている。
このように、線状の凹凸が、平面から見た際の回転接線に対する傾斜に加えて、側面から見ても傾斜して形成されていることから、吸入ポンピング部20aにおいては、より一層、被密封流体を取り込んで吐出ポンピング部20bに送り込むことができ、また、吐出ポンピング部20bにおいては、送り込まれた被密封流体を、より一層、被密封流体側に戻すことができる。
なお、線状の凹凸は周方向に傾斜される場合の他、軸方向に傾斜されてもよく、また、周方向及び軸方向の両方向に傾斜されてもよい。
本例の場合、摺動面間に形成される液膜厚さをhとした場合、摺動面からのポンピング部の凹凸の頂点を結ぶ仮想平面の最深部及び最浅部の深さは、リップシールのリップ14または筒状リップ35がポンピング部20より大気側の回転軸2の外周面とも摺接する場合、0〜10hの範囲内に入るように設定されればよい。また、リップシールのリップ14または筒状リップ35がポンピング部20の形成された回転軸2の外周面と摺接する場合、摺動面からのポンピング部の凹凸の頂点を結ぶ仮想平面の最深部及び最浅部の深さは、0〜2μmの範囲内に入るように設定されればよい。
〔ポンピング部の第2変形例〕
図10は、ポンピング部の第2変形例を説明する平面図であって、回転軸又はスリーブの外周面の一部を平面状に展開した状態を示しており、回転軸2がR方向に回転する場合を示している。
回転軸2の外周面に同じ容量の吸入ポンピング部20a及び吐出ポンピング部20bが形成されている場合、両回転方向の軸封装置で利用できるメリットはあるが、被密封流体の圧力が高い場合、吐出ポンピング部20bからの吐出量より吸入ポンピング部20a等からの流入量が上回り漏れ量が増加する恐れがある。
図10(a)では、吐出ポンピング部20bの線状の凹凸のピッチPbが吸入ポンピング部20aの線状の凹凸のピッチPaより小さく形成され、吐出ポンピング部11bの吐出容量が吸入ポンピング部20aの吸入容量より大きく設定されている。このため、吸入ポンピング部20a等から流入する被密封流体は吐出ポンピング部20bから被密封流体側に吐出され、大気側に漏洩することが防止される。
また、図10(b)では、吐出ポンピング部20bの線状の凹凸の幅または深さが吸入ポンピング部20aの線状の凹凸の幅または深さより大きく形成され、吐出ポンピング部20bの吐出容量が吸入ポンピング部20aの吸入容量より大きく設定されている。このため、吸入ポンピング部20a等からの流入する被密封流体は吐出ポンピング部20bから被密封流体側に戻され、大気側に漏洩することが防止される。
〔ポンピング部の第3変形例〕
図11は、ポンピング部の第3変形例を説明する平面図であって、回転軸又はスリーブの外周面の一部を平面状に展開した状態を示しており、回転軸2がR方向に回転する場合を示している。
回転軸2の外周面に同じ容量の吸入ポンピング部20a及び吐出ポンピング部20bが形成されている場合、両回転方向の軸封装置で利用できるメリットはあるが、被密封流体の圧力が高い場合、吐出ポンピング部20bからの吐出量より吸入ポンピング部20a等からの流入量が上回り漏れ量が増加する恐れがある。
図11(a)では、吸入ポンピング部20a及び吐出ポンピング部20bの周方向の長さaは同じであるが、吐出ポンピング部20bの軸方向の長さb’が吸入ポンピング部20aの軸方向の長さbより大きく形成され、吐出ポンピング部20bの吐出容量が吸入ポンピング部20aの吸入容量より大きく設定されている。このため、吸入ポンピング部20a等からの流入する被密封流体は吐出ポンピング部20bから被密封流体側に戻され、大気側に漏洩することが防止される。
また、図11(b)では、吸入ポンピング部20a及び吐出ポンピング部20bの軸方向の長さbは同じであるが、吐出ポンピング部20bの周方向の長さa’が吸入ポンピング部20aの周方向の長さaより大きく形成され、吐出ポンピング部20bの吐出容量が吸入ポンピング部20aの吸入容量より大きく設定されている。このため、吸入ポンピング部20a等からの流入する被密封流体は吐出ポンピング部20bから被密封流体側に戻され、大気側に漏洩することが防止される。
さらに、図示されていないが、吐出ポンピング部20bの周方向の長さまたは軸方向の長さを吸入ポンピング部20aの周方向の長さまたは軸方向の長さより大きく形成し、吐出ポンピング部20bの吐出容量を吸入ポンピング部20aの吸入容量より大きく設定してもよい。
1 ハウジング
2 回転軸
3 回転軸貫通穴
4 スリーブ
10 軸封装置
11 リップシール
12 補強環
13 シールリップ部材
14 リップ
15 ガータスプリング
20 ポンピング部
20a 吸入ポンピング部
20b 吐出ポンピング部
21 凹部
22 凹部の上縁部
30 軸封装置
31 リップシール
32 シールリップ部材
33 結合金属環
34 押え金属環
35 筒状リップ
S 回転部材の摺動面
L 被密封流体側
A 大気側

Claims (13)

  1. 径方向内外で同心状に配置されている回転部材と固定部材との間をシールするリップシールを備えたリップタイプシールの軸封装置において、
    前記回転部材の外周面に、前記リップシールと前記回転部材との相対回転摺動によりポンピング作用を生起するポンピング部が円周方向に分離されて複数形成され、
    前記複数のポンピング部は、被密封流体を吸い込む方向に作用して潤滑流体膜を形成する吸入ポンピング部と被密封流体を吐き出す方向に作用する吐出ポンピング部を備え、
    前記リップシールのリップが、軸方向において、前記回転部材の外周面に形成された前記吸入ポンピング部の被密封流体側の一部及び前記吐出ポンピング部の被密封流体側の一部を残して大気側に延設されていることを特徴とする軸封装置。
  2. 前記リップシールのリップが、軸方向において、前記ポンピング部の被密封流体側の一部を残して前記ポンピング部を覆うとともに大気側に延設され、前記ポンピング部より大気側の回転部材の外周面と摺接するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の軸封装置。
  3. 前記リップシールのリップが、軸方向において、前記ポンピング部の被密封流体側の一部及び大気側の一部を残して、前記ポンピング部の形成された回転部材の外周面と摺接するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の軸封装置。
  4. 前記ポンピング部は、線状の凹凸の周期構造をしており、前記線状の凹凸は、当該凹凸の方向が当該摺動面の摺動方向に対して所定の角度傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の軸封装置。
  5. 前記複数のポンピング部は、隣接するポンピング部の前記線状の凹凸の方向が当該摺動面の摺動方向に対して対称となるように形成されていることを特徴とする請求項4記載の軸封装置。
  6. 前記ポンピング部は、回転部材の外周面に形成された複数の凹部の底面に設けられることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の軸封装置。
  7. 前記吸入ポンピング部は、側面視において線状の凹凸が回転軸の回転方向に向かって次第に深くなるように形成され、吐出ポンピング部は、側面視において線状の凹凸が回転軸の回転方向に向かって次第に浅くなるように形成されていることを特徴とする請求項4ないしのいずれか1項に記載の軸封装置。
  8. 前記複数の凹部の上縁部がテーパ形状またはアール形状に加工されていることを特徴とする請求項記載の軸封装置。
  9. 前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吸入ポンピング部のポンピング容量と吐出ポンピング部のポンピング容量とが同等、または、いずれか一方のポンピング容量が大きく設定されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の軸封装置。
  10. 前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吐出ポンピング部の線状の凹凸のピッチが吸入ポンピング部の線状の凹凸のピッチより小さく形成されていることを特徴とする請求項4ないしのいずれか1項に記載の軸封装置。
  11. 前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吐出ポンピング部の線状の凹凸の幅または深さが吸入ポンピング部の線状の凹凸の幅または深さより大きく形成されていることを特徴とする請求項4ないし10のいずれか1項に記載の軸封装置。
  12. 前記複数の凹部の底面に形成されるポンピング部において、前記吐出ポンピング部の径方向の長さまたは円周方向の長さが吸入ポンピング部の径方向の長さまたは円周方向の長さより大きく形成されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の軸封装置。
  13. 請求項4または5記載の前記ポンピング部の線状の凹凸の周期構造が、フェムト秒レーザの照射により形成されることを特徴とする軸封装置の製造方法。
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