先ず、図1〜図10を用いて本発明に係る記録材判別装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。尚、図1に示す画像形成装置9は、各ステーション毎にイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkに対応する画像形成ユニットが設けられている。尚、説明の都合上、像担持体となる感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkを感光ドラム1で代表して説明する場合もある。他の各画像形成ユニットを構成する部品も同様に説明する。
<画像形成装置>
先ず、図1を用いて、本実施形態の画像形成装置9の構成について説明する。図1は中間転写ベルト24を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置9を示す。図1に示す記録材判別装置50は、例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置9で用いられる。
画像形成部は、記録材給送部15、各色のステーション毎の感光体からなる感光ドラム1Y,1M,1C,1Bk、一次帯電手段としての帯電ローラ2Y,2M,2C,2Bkを有する。更に、露光スキャナ部11Y,11M,11C,11Bk、現像手段としての現像装置8Y,8M,8C,8Bkを有する。
更に、中間転写ベルト24、該中間転写ベルト24を回転駆動する駆動ローラ23、張架ローラ13を有する。更に、二次転写対向ローラ26、一次転写ローラ4Y,4M,4C,4Bk、二次転写ローラ25、二次転写対向ローラ26を有する。更に、定着装置21、及びこれらを制御する制御手段となる制御部10を有して構成されている。
感光ドラム1は、アルミニウムシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転する。駆動モータは各感光ドラム1を画像形成動作に応じて図1の時計回り方向に回転させる。
制御部10が画像信号を受け取ると、記録材給送部15に設けられた給送カセットから給送ローラ3により最上位の記録材Pが分離給送され、搬送ローラ17,18によって記録材判別装置50が配置される位置まで搬送される。記録材判別装置50により記録材Pの種類が判別された後、レジストローラ19に挟持されて一旦停止して待機する。レジストローラ19により画像形成動作と記録材Pの搬送との同期をとる。
一方、制御部10は、受け取った画像信号に応じて、露光スキャナ部11によって帯電ローラ2の作用により一定電位に帯電した感光ドラム1の表面に露光して静電潜像を形成する。
現像装置8は、感光ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して可視化する。そして、各ステーション毎にイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの現像を行なう。各現像装置8には、現像スリーブ5Y,5M,5C,5Bkが設けられており、該現像スリーブ5に現像バイアスが印加されて感光ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して可視化する。
このように、各感光ドラム1の表面に形成された静電潜像は、それぞれの現像装置8の作用により単色トナー像として現像される。
各色の感光ドラム1、帯電ローラ2、現像装置8は、それぞれ一体構成となっており、画像形成装置9本体に対して脱着可能なトナーカートリッジ31の形態で取り付けられている。
中間転写ベルト24は、感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkに接触しており、画像形成時に図1の反時計回り方向に該感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkの回転と同期して回転する。各感光ドラム1の表面に現像された単色トナー像は一次転写ローラ4に印加された一次転写バイアスの作用により順次転写され、中間転写ベルト24の表面上で多色トナー像となる。
その後、中間転写ベルト24上に形成された多色トナー像は二次転写ローラ25と、中間転写ベルト24とで形成される二次転写ニップ部に搬送される。これと同時に、レジストローラ19に挟持された状態で待機していた記録材Pが該レジストローラ19の作用により中間転写ベルト24上の多色トナー像と同期を取りながら二次転写ニップ部に搬送される。そして、中間転写ベルト24上の多色トナー像が二次転写ローラ25に印加された二次転写バイアスの作用により記録材Pに一括転写される。
定着装置21は、記録材Pを搬送しながら該記録材Pの表面に転写された多色トナー像を溶融定着させる。図1に示すように、定着装置21は、記録材Pを加熱する定着ローラ21aと、記録材Pを定着ローラ21aに圧接する加圧ローラ21bを備えている。
定着ローラ21aと加圧ローラ21bは中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ21a1,21b1が内蔵されている。
多色トナー像を保持した記録材Pは定着ローラ21aと加圧ローラ21bとにより挟持搬送されると共に、熱及び圧力を加えられてトナーが記録材Pの表面に定着される。
トナー像が定着した後の記録材Pは、排出ローラ20によって機外に設けられた排出トレイ16上に排出されて一連の画像形成動作が終了する。
クリーニングブレード28は、中間転写ベルト24上に残った転写残トナーをクリーニングする。ここで回収された転写残トナーは、廃トナーとしてクリーナ容器29に蓄えられる。
このような一連の画像形成動作は、画像形成装置9内に設けられた制御手段となる制御部10によって制御される。図1の画像形成装置9において、本実施形態の記録材判別装置50は、レジストローラ19よりも記録材搬送方向上流側に設置されている。そして、記録材判別装置50により記録材給送部15から搬送された記録材Pの表面の平滑性を反映した画像情報を検知することが可能である。
また、記録材判別装置50の記録材Pを搬送する搬送面50bに対向する位置には、反射手段として従動回転体からなるローラ形状の反射部材51が配置されている。反射部材51は搬送ローラ18により搬送される記録材Pに当接して従動回転する。
従動回転体からなるローラ形状の反射部材51により記録材判別装置50の搬送面50bでの記録材Pの搬送を円滑に行い、該搬送面50b上を搬送される記録材Pのばたつきを抑制することが出来る。
更に、本実施形態において記録材判別装置50による記録材Pの種類の判別は、記録材Pが記録材給送部15から画像形成装置9本体内に送り出され、レジストローラ19に挟持されて停止するまでの時間内に行われる。
制御部10は記録材判別装置50から送られてくる判別情報に基づいて、二次転写ローラ25に印加される最適な転写バイアスや、定着ローラ21a及び加圧ローラ21b内のヒータ21a1,21b1に対する定着温度を設定する。これにより、変更手段となる制御部10は、図4に示す記録材判別装置50の判別手段となる種類判別部454により判別された記録材Pの種類情報に基づいて画像形成条件を変更する制御を行なう。
<記録材判別装置>
次に、図2〜図10を用いて本実施形態の記録材判別装置50について説明する。
図2に本実施形態の記録材判別装置50の一例を示す。図2(a)は記録材判別装置50を記録材Pの搬送方向aに対して横から見た断面図である。図2(b)は記録材判別装置50を上から見た平面図である。尚、図2(b)では、光源41や撮像素子43等の位置を分かり易くするために上部のフタ部を一部透視して示している。
図2に示すように、記録材判別装置50の光学装置本体50aの下部に基板45が設けられている。基板45の上面には、記録材Pの表面(記録材表面)に対して光46を斜めに照射する光照射手段となる面実装型のLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)からなる光源41が設けられている。
更に、光学装置本体50aの内部には該光源41から照射された光46が記録材Pの表面に反射した乱反射光44を受光して結像する結像手段となるロッドレンズアレイからなる集光素子42が設けられている。
更に、基板45の上面には撮像素子43が設けられている。撮像素子43は、集光素子42により結像された乱反射光像を電気信号に変換して出力する撮像手段として構成される。本実施形態の撮像素子43は、基板45の上面に実装されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補型金属酸化物半導体)ラインセンサからなる。つまり撮像素子43とは複数の受光素子を記録材Pの搬送方向aに直交する方向(図2(b)の上下方向)に配列したものを一体化した素子である。
光源41から照射された光46は光路49を通って反射部48で反射し、光透過性を有するカバー部材7の内部に光46を照射する。そして、図2(a)の搬送方向aに移動する記録材Pの下面に向けてカバー部材7を透過させながら該記録材Pの下面に対して10°〜15°程度の浅い角度で照明する。
反射部48は、ガラス板やアクリル板のような透明な板材表面に反射膜等を形成したものでも良い。他に、東レ株式会社製のポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene terephthalate)基材にアルミニウム蒸着を施したメタルミー(登録商標)等の反射率が高いシート材を両面テープ等で接着しても構わない。
また、偏向器のハウジングの一部に形成した凸部に蒸着等で反射面を形成することでも良い。
記録材Pの下面で反射した反射光のうち乱反射光44がカバー部材7を透過して集光素子42により集光され、基板45の上面に設置された撮像素子43により記録材Pの下面側の表面性状が撮像される。
結像手段となる集光素子42は、搬送される記録材Pの下面側の表面の搬送方向aに直交する方向における略全域に亘って、記録材Pの搬送方向aに約50μm〜200μm幅の直線領域からの乱反射光44を結像する。
また、カバー部材7の表面及び記録材Pの下面で反射した反射光のうち正反射光は光トラップ部47内へ入射される。そして、光トラップ部47の中で正反射光は自己減衰する。これにより、正反射光が撮像素子43へ迷光することを防止する。
尚、本実施形態の光トラップ部47は単純な溝により構成した。他に、カバー部材7の表面及び記録材Pの下面で反射した正反射光の減衰率がより高くなるように例えば断面三角形状で光トラップ部47を構成しても良い。また、光トラップ部47に光吸収材を設けても良い。
<反射部材>
図2(a)及び図3に示すように、光源41からの光46を記録材Pへ照射する部位で、該記録材Pに対して光源41及び集光素子42と反対側に反射手段となる反射部材51が設けられている。
図3に示すように、反射部材51は、光源41から照射された光46を反射して、その乱反射光44を集光素子42に導く乱反射率が低い黒色等の暗色領域を構成する暗色乱反射部53を有する。更に、乱反射率が高い白色等の明色領域を構成する明色乱反射部54a,54bとを有する。暗色乱反射部53と明色乱反射部54a,54bとは、乱反射率が異なる複数色の反射部として構成される。
本実施形態の反射部材51は、記録材判別装置50の搬送面50b上を搬送される記録材Pに当接して従動回転する従動回転体により構成される。これにより記録材Pの搬送性を向上させると共に、記録材Pの搬送時のばたつきを抑制することが出来る。
本実施形態の反射部材51は搬送される記録材Pに当接して従動回転する。反射部材51の回転軸52は記録材判別装置50の搬送面50bに対向する位置に配置され図示しない装置フレームに回転自在に軸支されている。
本実施形態の反射部材51は、記録材判別装置50の搬送面50b側へ0.49N〜0.98N(50gf〜100gf)程度の軽い押圧力により付勢されている。他に、反射部材51の外周面が記録材判別装置50の搬送面50bに対して100μm程度離間して配置される構成でも良い。
回転軸52は、反射部材51の回転軸52方向において両側に設けられる乱反射率の高い白色等の明色乱反射部54a,54bと、回転軸52方向において中央部に設けられる乱反射率の低い黒色等の暗色乱反射部53とを貫通して該反射部材51を保持している。
尚、本実施形態では明色乱反射部54a,54bを回転軸52方向において両側の二箇所に配置しているが、反射部材51の回転軸52方向において片側の一箇所に配置しても良い。
また、図3に矢線で示す光46a,46bは、光源41から照射された光46の照射角度範囲の概略を示している。この光46aと光46bとの間の領域が光源41から照射された光46で照射出来る反射部材51の回転軸52方向(記録材Pの搬送方向aに直交する方向)の範囲となる。
また、撮像素子43の撮像領域43aは、図3に示す反射部材51の破線部分で示す範囲となるように光学装置本体50aの基板45上に配置されている。
本実施形態の反射部材51の暗色乱反射部53は回転軸52方向において中央部に設けられる。このため光源41から照射された光46の光量も高く、かつ平行性の高い光46が照射されている。
このため暗色乱反射部53に反射した乱反射光44を集光素子42により結像し、撮像素子43により撮像された画像情報は、記録材Pの表面性判別及び白色等の明色の記録材Pの先端部P1の検知に用いる。
また、反射部材51の明色乱反射部54a,54bは回転軸52方向において両側に設けられる。このため光源41から照射された光46の光量も低く、乱反射率が高いため記録材Pの表面性を判別するためのSN比(信号量(Signal)と雑音量(Noise)との比)も低下する。
このため明色乱反射部54a,54bに反射した乱反射光44を集光素子42により結像し、撮像素子43により撮像された画像情報は、記録材Pの詳細な表面性判別には用いることが出来ない。そのため、主に光源41の光量調整や光透過性を有するOHT等の記録材Pや、表面をコーティングして平滑性をもたせたコート紙等の記録材Pといった正反射率の高い記録材P、または黒色等の暗色の記録材Pの先端部P1の検知に用いる。
図4は記録材判別装置50の制御系のブロック図の一例を示す。記録材判別装置50の搬送面50b上を搬送される記録材Pの下面、或いは反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bに対して光源41から光46を照射する。
記録材Pの下面、或いは反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bに反射した乱反射光44を集光素子42を介して撮像素子43でそれぞれの表面画像を撮像する。
撮像素子43で撮像した記録材Pの下面の表面画像、或いは反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bの表面画像を記録材判別部450へ出力する。
撮像素子43から受け取った電気信号からなる記録材Pの下面の表面画像情報、或いは反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bの表面画像情報はA/D(アナログ/デジタル)変換される。A/D(アナログ/デジタル)変換はA/D(アナログ/デジタル)変換部451において行なわれる。そして、記録材Pの搬送方向aと直交する同一直線上の画像を得る。
本実施形態では、12ビットA/D変換部IC(Integrated Circuit;半導体集積回路)を使用し、A/D変換部451は「0」から「4095」の値を出力する。
画像抽出部452及び記憶領域部455において、受け取った記録材Pの表面画像、或いは反射部材51の表面画像を該記録材Pの搬送方向aにつなぎ合わせ、図5(a)に示すように、2次元の記録材Pの表面画像を取得する。
本実施形態では、撮像素子43が撮像する画像の解像度は600dpi(1ドットあたり約42μm)であり、一度に1ライン(236ドット×1ドット)分の撮像を行うことができる。撮像を行う際は記録材Pを180mm/秒で搬送しながら撮像を行う。撮像素子43の1ライン(236ドット×1ドット)分の撮像は、42μm/(180mm/秒)で行い、撮像素子43の光蓄積時間は約220μsec間隔で行なう。これにより、搬送されてくる記録材P上の撮像エリアが重複せずに撮像することが出来る。
このようにして、1ラインの撮像を連続して118回行う(118ライン分の撮像を連像して行う)ことで、画像サイズが236ドット×118ドットで、記録材Pの10mm×5mm相当の領域を撮像する。
また、記録材Pが記録材判別装置50の搬送面50b上に未だ搬送されていない場合は、反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bの表面画像を撮像することになる。
得られた2次元の表面画像から記憶領域部455に記憶されている光軸や有効画像範囲等の情報に基づき、記録材Pの種類の判別に用いる表面画像、或いは反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bの表面画像の抽出を行なう。
このとき、記録材Pの種類を判別すると共に該記録材Pの先端部P1を検知するために、各表面画像を図5(b)に示すように、シェーディング補正する。
画像抽出部452で行なうシェーディング補正は、画像抽出部452で抽出された表面画像から次の特徴量算出部453で特徴量の算出を行なうために必要な処理である。
記録材Pが記録材判別装置50の搬送面50b上に未だ搬送されていない場合がある。その場合は、後に詳述するが、撮像素子43により撮像された反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bに反射した乱反射光44の変化から、搬送されてくる記録材Pの先端部P1を検知する。記録材Pの先端部P1を検知する検知手段となる先端検知部457において記録材判別装置50の搬送面50bへの記録材Pの到達を検知する。
先端検知部457で記録材Pの先端部P1が記録材判別装置50の搬送面50b上に到達したことを検知する。すると、制御部10は、記録材Pが記録材判別装置50の搬送面50b上を搬送されていると判断する。そして、先端検知部457から記録材Pの先端部P1が記録材判別装置50の搬送面50b上に到達したことを種類判別部454へ通知する。種類判別部454は記録材Pの種類を判別する判別手段である。
種類判別部454は、記録材Pの先端部P1が記録材判別装置50の搬送面50b上に到達した通知を受けた後に、上述したように、記録材P表面の撮像を行い、236ドット×118ドット(10mm×5mm相当)の撮像画像を得る。そして、後に詳述するが、この撮像画像を用いて特徴量算出部453で算出された結果に基づき記録材Pの種類の判別を行なう。
種類判別部454の結果を制御部10の画像形成条件制御部101に出力し、該種類判別部454において判別した結果に基づいて画像形成条件を制御する。画像形成条件とは、二次転写ローラ25に印加する転写電圧条件や記録材Pの搬送速度、定着装置21の加熱温度条件等である。
例えば、記録材Pの種類の判別の結果、ペン書きに適した小切手・証券・事務用紙等に用いる紙質のしまった硬い厚紙からなるボンド紙と判別される。
その場合、普通紙の画像形成条件では定着性が良くない。従って、記録材Pの搬送速度を遅くして定着装置21での定着ローラ21aと加圧ローラ21bとの定着ニップ部での加熱時間を延長することによる熱交換増加制御を行なう。或いは、ヒータ21a1,21b1の設定温度を上げて定着温度を高めに設定して熱交換増加制御を行なう。
記憶領域部455には、光源41を発光制御する電流値や必要な光量目標値、更に後述する光量ムラを補正するために使用される光源41のOFF時の暗電流データと光源41のON時の光量分布データを記憶している。また、照射制御部102は光源41のON時の光量分布データ取得時の情報を元に光源41の光量を制御している。
<記録材先端検知>
次に、図5及び図6を用いて、光透過性を有するOHT等の記録材Pが記録材判別装置50の搬送面50b上を搬送されているときの先端部P1の検知動作について説明する。
図5(a)は記録材PとしてOHTを搬送する際に反射部材51の明色乱反射部54a,54bと記録材Pの下面とに反射した乱反射光44を撮像素子43により1ラインごとに連続して撮像して取得した抽出撮像画像である。記録材Pは図5(a)の右側から左側に搬送され、撮像画像の中央部やや左側に記録材Pの先端部P1に対応するライン(明色乱反射部54a,54bと記録材Pとの境界)が撮像されている。
図5(b)は図5(a)に示す撮像画像に対してシェーディング補正を行った画像である。
図6(a)は図5(b)に示すシェーディング補正画像における明度を図5(b)の左右方向に順にプロットしたグラフである。
図6(a)に示すように、反射部材51の明色乱反射部54a,54bに反射した乱反射光44の明度は、記録材PとしてOHTが搬送された場合、OHTの到達により低下するため乱反射光の明度の変化を容易に検知することが可能である。
これは、記録材PとしてのOHTの表面に反射した正反射光の増大が原因で発生する。しかしながらOHTを透過する光も存在し、その結果、OHTを透過した光が明色乱反射部54a,54bに到達し、該明色乱反射部54a,54bに反射して生じる乱反射光44も加わって撮像される。
一方、図6(b)に示すように、反射部材51の暗色乱反射部53に反射した乱反射光の明度は、記録材PとしてOHTが搬送された場合、OHTが到達する前と到達した後に亘って変動がばらついている。このため区別が非常に難しい。OHTが到達する前と到達した後で乱反射光44の明度の変化を容易に検知することが出来ない。このため、記録材Pの先端部P1の到達を容易には判別出来ない。
本発明者らの検討では、明色乱反射部54a,54bをグレー色等の中間色でも検討したが、この場合もOHTからなる記録材Pの先端部P1の検知は非常に難しいことが判明した。これにより、白色等の明色乱反射部54a,54bが有効であることが分かった。
よって、本実施形態では、先端検知部457は、撮像素子43により撮像された反射部材51の明色領域となる白色等の明色乱反射部54a,54bに反射した乱反射光44の明度の変化から、搬送されてくる光透過性を有するOHT等の記録材Pを検知する。或いは黒色等の暗色の記録材Pの先端部P1を検知する。
尚、反射部材51の暗色領域となる黒色等の暗色乱反射部53に反射した乱反射光44の明度の変化から、搬送されてくる白色等の明色の記録材Pの先端部P1の検知については、特許文献1等にも記載されている。この場合、乱反射光44の明度が大きく異なることから、記録材Pの先端部P1の到達を容易に検知可能である。ここで詳しい説明は省略する。
よって、本実施形態では、先端検知部457は、撮像素子43により撮像された反射部材51の暗色領域となる黒色等の暗色乱反射部53に反射した乱反射光44の明度の変化から、搬送されてくる白色等の明色の記録材Pの先端部P1を検知するように構成される。
次に図7を用いて、各種記録材Pの先端部P1の検知動作について説明する。
図1に示す制御部10は、画像形成装置9の画像形成動作を開始する際に記録材判別装置50に対して記録材Pの先端部P1の検知を開始する。ステップS201において、先ず、撮像素子43の駆動を開始する。次に駆動を開始した撮像素子43はステップS202において、全ての撮像画像から暗補正を行なうために暗電流の測定を行なう。
その後、ステップS203において、光源41の点灯を行い、併せて光源41の光量の安定化を図る調整を行なう。これは撮像素子43で撮像する際に、外気温の状態や光源41の昇温等による光度変動や光度低下の影響を低減するための処理である。図8(a)は暗電流補正データの一例を示す。
次に、前記ステップS203の処理で光源41の光量を安定させる。その後、ステップS204にて記録材判別装置50と、撮像領域43a上にある反射部材51との間を通過させた均一な乱反射を有する基準シートの表面乱反射像を取得する。基準シートとしては、例えば、東レ株式会社製の「パスピア(登録商標)」等が適用出来る。
前記ステップS204の処理は、点灯している光源41の撮像範囲の光分布を撮像により測定し、その測定結果をシェーディング補正用のデータとするために行なう。図8(b)はシェーディング補正データの一例を示す。
尚、シェーディング補正データについては、毎回の印字ごとに基準シートを搬送させなくとも、図示しない記憶部に記憶しているシェーディング補正データを用いることで、前記ステップS204の処理を省略することが出来る。
次に、ステップS205において、反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bの撮像を行なう。この際に、撮像にかかる時間短縮のために、記録材Pの判別を行なう時の解像度とは異なる1/2倍の解像度、或いは1/3倍の解像度で撮像を行っても良い。
次に、ステップS206において、反射部材51の暗色乱反射部53及び明色乱反射部54a,54bを撮像した画像データに対してシェーディング補正を行なう。
次に、ステップS207において、先ず、暗色乱反射部53の撮像領域での画像データ変化について確認を行なう。暗色乱反射部53の撮像領域43aでの画像データ変化を確認するため、撮像領域43aの全域或いは一部の明度を平均処理をした基準明度を図4に示す先端検知部457に格納しておく。そして、基準明度と得られた画像データの明度とを比較することにより、画像データ変化を確認する。
例えば、画像データの明度と基準明度との差分が所定の閾値以上の場合、先端検知部457の暗色部検知フラグを立てておく(フラグON)。この基準明度と画像データの明度との比較は、所定時間毎に行われる。本実施形態では、一度、暗色部検知フラグが立つ(フラグON)と、その後、所定時間を空けて少なくとも2回明度の比較が行われる。この比較の際も、所定の閾値以上であれば、その都度、暗色部検知フラグを立てる(フラグON)。
同様に、ステップS208において、明色乱反射部54a,54bの撮像領域43aでの画像データ変化について確認を行なう。明色乱反射部54a,54bの撮像領域43aでの画像データ変化を確認するため、撮像領域43aの全域或いは一部の明度を平均処理をした基準明度を図4に示す先端検知部457に格納しておく。そして、基準明度と得られた画像データの明度とを比較することにより、画像データ変化を確認する。
例えば、画像データの明度と基準明度との差分が所定の閾値以上の場合、先端検知部457の明色部検知フラグを立てておく(フラグON)。この基準明度と画像データの明度との比較は、所定時間毎に行われる。本実施形態では、一度、明色部検知フラグが立つ(フラグON)と、その後、所定時間を空けて少なくとも2回明度の比較が行われる。この比較の際も、所定の閾値以上であれば、その都度、明色部検知フラグを立てる(フラグON)。
そして、ステップS209において、前述の各検知フラグを確認し、電気的なノイズの影響を除去するため、各検知フラグが連続して立った(ON)回数をカウントする。本実施形態では暗色部検知フラグのONの回数が3回連続した場合、又は、明色部検知フラグのONの回数が3回連続した場合、ステップS210において、記録材Pの先端部P1が到達したと判断する。そして、図10に示すステップS101へ移行する。ステップS210において、各検知フラグの立っているONの回数が3回に到達しない場合は、再び、前記ステップS205へ戻り、反射部材51の画像撮像を継続する。以上が記録材Pの先端部P1の検知動作の一連のステップである。
なお、ステップS207、ステップS208を実行する順番は、ステップS208の方が先でも良いし、ステップS207、ステップS208を同時に実行処理しても良い。また、ステップS207、ステップS208において、画像データの変化を確認する方法は、上記の方法に限定されない。例えば、記録材Pの先端部P1が到達したと判別する連続フラグONの回数を3回以外に設定しても良い。また、撮像領域43aを撮像して得られた画像データの明度に関連する情報を用いて、記録材判別装置50の搬送面50b上に記録材Pがある状態と無い状態とを判別する方法であれば他の方法を用いても良い。
次に、図8〜図10を用いて、記録材判別装置50の撮像素子43で撮像した記録材Pの表面画像から該記録材Pの種類を判別する動作の一例を説明する。尚、図1に示す制御部10は、画像形成装置9の画像形成動作を開始する際に記録材Pの判別制御を開始する。
記録材判別装置50の搬送面50bへ記録材Pが搬送され、図5(a),(b)に示すように、該記録材Pの先端部P1が検知されると、撮像範囲内の記録材Pの表面の乱反射画像情報に基づいて記録材Pの種類の判別動作を開始する。
図8(a)は記録材Pの先端部P1の検知前に取得した暗電流補正データの一例を示す。図8(b)は記録材Pの先端部P1の検知前に取得したか、或いは図示しない記憶部に格納されているシェーディング補正データの一例を示す。
記録材Pの表面の撮像は記録材Pの種類の判別に必要な領域分となるまで繰り返し行なう。図8(c)は撮像素子43により実際に撮像した記録材Pの撮像画像であり、記録材Pの一例として、ニーナ社製のNeenah Bond 60(商品名)の表面画像データの一例である。前記ステップS105での撮像後、ステップS106において、記録材Pの表面撮像情報から図8(c)の白点線で囲まれた判別領域6の全体光量を確認する。
前記ステップS106における処理は、記録材Pの明度を確認するために行い、本実施形態では記録材Pの表面の特徴量の一つとして、記録材Pの判別領域6の全体光量を記録材Pの種類の判別情報として用いている。
次に、ステップS107において、記録材Pの表面粗さを検知するために、前記ステップS105で撮像した記録材Pの表面画像に対して、前記ステップS204で取得したシェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行なう。
前記ステップS107におけるシェーディング補正処理は、図8(c)に示す撮像画像の判別領域6に対して光分布ムラを補正し、記録材Pの表面粗さを正確に検知するために行なう処理である。図8(d)は図8(c)に示す撮像画像に対してシェーディング補正を行った画像データの一例である。
そして、ステップS108において、図8(d)の白点線で囲まれた判別領域6のシェーディング補正画像を元に、記録材Pの表面粗さを特徴量として抽出を行なう。
記録材Pの表面粗さの特徴量としては、図8(d)に示すシェーディング補正後の画像の明度分布範囲(記録材P表面のコントラスト)を特徴量とする方法がある。また、撮像時の1ライン分の最大値と最小値とをピーク値として連続取得した画像毎に算出し、その積算値を特徴量とする方法等が有効である。
本実施形態では、画像の明度分布範囲を特徴量として用いた。そして、ステップS109において、前記ステップS106で得られた記録材Pの判別領域6の全体光量と、前記ステップS108で抽出した記録材Pの判別領域6内の記録材Pの表面の特徴量とを元に記録材Pの種類の判別を行なう。その判別結果を画像形成装置9へ通知する。
図9は、記録材Pの一例として、一般的なプリンタやコピー機等で使用するPPC(paper chromatography;ペーパークロマトグラフィー)用紙がある。更に、表面に各種塗工を施して平滑性を高めたコート紙、表面性の粗いボンド紙、加色された加色PPC用紙がある。これらの記録材Pを分類するための記録材判別表の一例である。
図9は縦軸が記録材Pの判別領域6の全体光量で、横軸が記録材Pの表面粗さである。PPC用紙、コート紙、ボンド紙、加色PPC用紙は図9に示す二次元マップ上でそれぞれの領域が分離されて重ならないように配置される。
本実施形態では、前記ステップS106で得られた記録材Pの判別領域6の全体光量と、前記ステップS108で抽出した記録材Pの判別領域6内の記録材Pの表面粗さとを図9に示す二次元マップ上にマークする。すると、PPC用紙、コート紙、ボンド紙、加色PPC用紙、或いはそれ以外の各領域に入ってくる。これにより、記録材Pの種類の判別を行なうことが出来る。
その後、ステップS110において、制御部10は画像形成装置9が次の画像形成動作を継続するか否かの判断を行なう。引き続き画像形成動作を継続する場合は、記録材判別装置50により判別した記録材Pが搬送され、記録材Pが記録材判別装置50の搬送面50bと反射部材51との間を通過した後に前記ステップS105へ戻って処理を再開する。
画像形成動作を終了する場合は、ステップS111に進んで撮像素子43への駆動を停止し、光源41を消灯する。そして、ステップS112で記録材判別装置50の動作を停止させる。以上が記録材Pの種類を判別する一連の処理となる。
以上のように、記録材Pの搬送タイミングを検知する検知手段を別途設けることなく、記録材判別装置50により搬送されてくる記録材Pの先端部P1を検知し、その後、記録材Pの表面性を測定して該記録材Pの種類を判別することが出来る。
また、反射部材51の暗色乱反射部53にて記録材Pの表面性を検知する。これにより、光透過性の記録材Pを透過した光の反射成分を吸収することで記録材Pの表面粗さを正確に検知し、記録材Pの種類の判別精度を更に向上させることが出来る。
本実施形態では、図3に示すように、反射部材51の明色乱反射部54a,54bの外径直径と、暗色乱反射部53の外径直径とが等しい寸法を有する構成とした。他に、反射部材51の摩耗や汚れ対策のために、反射部材51の明色乱反射部54a,54bの外径直径と、暗色乱反射部53の外径直径とが互いに異なる寸法を有する凹凸の外周表面で構成しても良い。
また、本実施形態では、反射部材51を記録材Pに当接して回転軸52を中心に回転可能なローラ状の従動回転体からなる構成とした。他に、記録材判別装置50の搬送面50bに対して所定の離間間隔を有して対向する基準板構造であっても良い。更に、記録材判別装置50の搬送面50bに対して所定の押圧力で押圧されるシート状の押し当て部材で構成しても良い。
本実施形態では、記録材判別装置50の搬送面50bに対向して、白色等の明色領域となる明色乱反射部54a,54b、黒色等の暗色領域となる暗色乱反射部53等の二種類以上の大きく乱反射率の異なる配色を施した反射部材51を配置する。
更に、搬送されてくる記録材Pに対して、反射部材51の幅方向全域には、ラインセンサ等の撮像素子43を配置して搬送されてくる記録材Pの表面性の測定を行なう。
これにより、記録材Pの搬送面50bに対するばたつきを規制することが出来る。また、別途、記録材検知センサを設けることなく、二種類以上の大きく乱反射率の異なる配色を施した反射部材51へ搬送されてくるあらゆる種類の記録材Pの先端部P1の搬送タイミングを検知することが出来る。
更に、記録材Pの先端部P1の搬送タイミングを検知出来るので、その先端部P1の通過タイミングを検知した後に記録材Pの表面性を測定し、種類を判別する。これにより、記録材Pの先端部P1の通過から非常に短い搬送距離で記録材Pの表面性の判別が実施出来る。
また、記録材Pの種類を判別するラインセンサ等の撮像素子43の撮像領域43aの中で、記録材Pの種類を該記録材Pの表面性により判別する撮像素子43の撮像領域43aについては黒色等の乱反射率の低い暗色乱反射部53を配置する。
反射部材51の黒色等の乱反射率の低い暗色乱反射部53を用いて記録材Pの表面性を測定する。これにより、記録材P表面の陰影を正確に撮像することが可能となり、記録材Pの種類の判別精度の安定性が向上する。
反射部材51の記録材Pの種類の判別に用いない撮像領域43aについては、白色等の乱反射率の高い明色乱反射部54a,54bを配置する。
記録材Pが搬送される直前まで反射部材51の少なくとも二種類以上の乱反射率の大きく異なる配色部分のそれぞれに対してラインセンサ等の撮像素子43により撮像する。そして、二種類以上の異なる乱反射率を有する反射部材51へ搬送されてくるあらゆる記録材Pの先端部P1を、反射部材51からの乱反射光44の乱反射比率の変化を撮像素子43でリアルタイムに検知する。
記録材Pの先端部P1を検知した後は、記録材P表面を撮像素子43により詳細に撮像し、記録材Pの表面性を判別することで記録材Pの種類を判別する。
また、記録材判別装置50を画像形成装置9に搭載し、記録材P表面の種類の判別結果に応じて画像形成装置9の画像形成条件を制御することで、常に良好な画質の印刷物を得ることが出来る。
次に、図11及び図12を用いて、本発明に係る記録材判別装置を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
図11に本実施形態の記録材判別装置70の一例を示す。図11(a)は記録材判別装置70を記録材Pの搬送方向aに対して横から見た断面図である。図11(b)は記録材判別装置70を上から見た平面図である。尚、図11(b)では、光源61L,61Rや撮像素子63等の位置を分かり易くするために上部のフタ部を一部透視して示している。
本実施形態の記録材判別装置70は、LEDチップを基板65の上面に面実装した光源61L,61Rを二個用いて構成している。光源61L,61Rは記録材P表面に対して光66L,66Rを斜めに照射する光照射手段である。
光学装置本体70a内の基板65の上面に設置されたLEDチップからなる光源61L,61Rから光路64L,64Rに設けられた反射部68L,68Rを介してカバー部材7の内部に光66L,66Rを照射する。そして、図11の搬送方向aに移動する記録材Pの下面に向けてカバー部材7を透過した光66L,66Rを該記録材Pの下面に対して10°〜15°程度の浅い角度で照明する。
反射部68L,68Rは、前記第1実施形態と同様に、ガラス板やアクリル板のような板材表面に反射膜等を形成したものでも良い。また、例えば、東レ株式会社製のPET基材にアルミニウム蒸着を施したメタルミー(登録商標)等の反射率が高いシート材を両面テープ等で光路64L,64Rの壁面に接着したものでも良い。また、偏向器部をハウジングの一部に凸部を形成し、反射面を蒸着等で形成する方法であっても良い。
記録材Pの下面に反射した乱反射光75がロッドレンズアレイからなる集光素子62で集光され、基板65の上面に設置されたCMOSラインセンサからなる撮像素子63により記録材Pの下面の表面性状が撮像される。
集光素子62は光源61L,61Rから照射された光66L,66Rが記録材P表面に反射した乱反射光75を受光して結像する結像手段を構成する。撮像素子63は集光素子62により結像された乱反射光像を電気信号に変換して出力する撮像手段を構成する。
カバー部材7の表面及び記録材P表面に反射した正反射光は、光トラップ部67へ入射されて該光トラップ部67の中で自己減衰させられる。これにより、撮像素子63への迷光を防止する。
本実施形態の光トラップ部67は単純な溝として構成した。他に、前記第1実施形態と同様に、カバー部材7の表面及び記録材Pの下面で反射した正反射光の減衰率がより高くなるように例えば断面三角形状で光トラップ部67を構成しても良い。また、光トラップ部67に光吸収材を設けても良い。
反射部材71は記録材Pの搬送性を向上させると共に、該記録材Pの搬送ばたつきを抑制している。反射部材71は光源61L,61Rからの光66L,66Rを記録材Pへ照射する部位で該記録材Pに対して光源61L,61R及び集光素子62と反対側に配置される。更に、該光源61L,61Rから照射された光66L,66Rを反射してその乱反射光75を集光素子62に導く乱反射率が異なる複数色の反射手段を構成する。
図12は本実施形態の反射部材71の構成を示す。本実施形態では搬送される記録材Pに当接して反射部材71が回転可能に構成される。反射部材71の回転軸72は記録材判別装置70の搬送面70bに対向する位置に図示しない装置フレームに回転自在に軸支されている。反射部材71は記録材判別装置70の搬送面70b側へ0.49N〜0.98N(50gf〜100gf)程度の軽い押圧力により付勢されている。他に、反射部材71の外周面が記録材判別装置70の搬送面70bに対して100μm程度離間して配置される構成でも良い。
回転軸72は反射部材71の乱反射率が高い白色等の明色領域となる明色乱反射部74と、乱反射率が低い黒色等の暗色領域となる暗色乱反射部73L,73Rとを貫通保持している。
尚、本実施形態では暗色乱反射部73L,73Rを反射部材71の回転軸72方向の両側に二個配置する。また、明色乱反射部74を反射部材71の回転軸72方向の中央部に一個配置している。他に、これ以上の数の暗色乱反射部73L,73R及び明色乱反射部74を配置しても良い。
また、図12に示す光66L,66Rは反射部68L,68Rにより反射した光66L,66Rの概略照射角度を示す。図12に示す光66La,66Lbの間の領域、及び光66Ra,66Rbの間の領域が光源61L,61Rの光66L,66Rで照射出来る範囲となる。
また、撮像素子63の撮像領域63aは、図12に示す反射部材71の破線部分で示す範囲となるように光学装置本体70aの基板65上に配置されている。
そして、反射部材71の回転軸72方向の両側に配置される乱反射率が低い黒色等の暗色領域となる暗色乱反射部73L,73Rのそれぞれの範囲内にある領域69L,69Rの部分は、図11(b)に示すように、回転軸72方向の中央部側に近い。このため光源61L,61Rの光量も高く、かつ平行性の高い光66L,66Rが照射されている。
このため反射部材71の暗色乱反射部73L,73Rの領域69L,69Rの部分の乱反射光75を記録材Pの表面性の判別及び白色等の明色の記録材Pの先端部P1の検知に用いる。
また、反射部材71の回転軸72方向の中央部に配置される乱反射率が高い白色等の明色領域となる明色乱反射部74の部分は、図12に示すように、光66La,66Lbの間の照射領域、及び光66Ra,66Rbの間の照射領域から外れた位置にある。このため光源61L,61Rから照射される光量も低く、記録材Pの表面性を判別するためのSN比(信号量(Signal)と雑音量(Noise)との比)も低下する。
このため、記録材P表面の詳細な表面性の判別には用いることが出来ない。従って、反射部材71の明色乱反射部74の乱反射光75は、主に光源61L,61Rの光量調整やOHTやコート紙といった正反射率の高い記録材P、または黒色等の暗色の記録材Pの先端部P1の検知のために用いる。
本実施形態においても図4に示して前述したように、撮像素子63により撮像された記録材P表面の画像情報から該記録材Pの種類を判別する判別手段となる種類判別部454を有する。更に、撮像素子63により撮像された反射部材71に反射した乱反射光75の変化から、搬送されてくる記録材Pの先端部P1を検知する検知手段となる先端検知部457を有する。
先端検知部457は、撮像素子63により撮像された反射部材71の黒色等の暗色領域となる暗色乱反射部73L,73Rの乱反射光75の変化から、搬送されてくる白色等の明色の記録材Pの先端部P1を検知する。また、撮像素子63により撮像された反射部材71の白色等の明色領域となる明色乱反射部74の乱反射光75の変化から、搬送されてくる黒色等の暗色の記録材PまたはOHT等の光透過性を有する記録材Pの先端部P1を検知する。
更に、種類判別部454により判別された記録材Pの種類情報に基づいて、画像形成装置9の画像形成条件を変更する変更手段となる制御部10を有する。
上記構成によれば、記録材判別装置70により、搬送されてくる記録材Pの先端部P1を検知する。これにより、記録材Pの搬送タイミングを検知する検知手段を別途設ける必要が無い。記録材Pの先端部P1を検知した後、更に記録材判別装置70により、記録材Pの表面性を測定して該記録材Pの種類を判別することが出来る。
また、反射部材71の暗色乱反射部73L,73Rに反射した乱反射光75により記録材Pの表面性を検知することが出来る。暗色乱反射部73L,73Rは、光透過性の記録材Pを透過した光の反射成分を吸収する。これにより、記録材Pの表面粗さを正確に検知し、記録材Pの種類の判別精度を更に、向上させることが出来る。
また、本実施形態では、反射部材71の明色乱反射部74の外径直径と、暗色乱反射部73L,73Rの外径直径とが等しくなるように構成した。他に、摩耗や汚れ対策のために、明色乱反射部74の外径直径と、暗色乱反射部73L,73Rの外径直径とが異なるように構成し、反射部材71の外周面を凹凸形状で構成しても良い。
また、本実施形態では、反射部材71を記録材Pに当接して回転軸72を中心に回転可能なローラ状の従動回転体として構成した。他に、記録材判別装置70の搬送面70bに対して所定の離間間隔を有して対向する基準板構造であっても良い。更に、記録材判別装置70の搬送面70bに対して所定の押圧力で押圧されるシート状の押し当て部材で構成しても良い。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成して同様の効果を得ることが出来る。