JP5979711B2 - シーリング剤の塗布方法及び硬化方法 - Google Patents
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このような問題を解決するために、紫外線硬化型樹脂を用いたシーリング剤に関していくつかの提案がされている(特許文献1〜4)。
しかしながら、特許文献4に開示されるように発光ダイオード(以下、「LED」とする。)から照射される紫外線だけではシーリング剤の表面のみを仮に硬化させる程度の効果しか得られず、シーリング剤を完全に硬化させるための加熱工程が必ず必要となる。また、シーリング剤が仮程度に硬化しているために後の加熱工程において膨れが生じるという問題を解決できていない。
第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記塗布手段の前記シーリング剤の吐出口に隣接して前記保持手段を設けたことを特徴とする。
第3の解決手段は、第1又は第2の解決手段において、前記紫外線硬化型樹脂は、熱重合開始剤を含有していることを特徴とする。
本発明のシーリング剤の硬化方法は、第3の解決手段により塗布された前記シーリング剤を、加熱して硬化させることを特徴とする。
また、紫外線照射器としてスポットタイプのものを使用すれば、塗布用のガンを備えたロボット等の塗布手段の軌跡上を容易に移動させることができる。また、塗布手段のシーリング剤の吐出口に隣接して紫外線照射器を保持した保持手段を設けることにより、塗布しながら紫外線硬化型樹脂を硬化させることが可能となる。また、本発明によれば、150mm/秒以上の高速でシーリング剤の塗布とシーリング剤内の紫外線硬化型樹脂の硬化を行うことが可能となる。
また、必要に応じてシーリング剤に熱重合開始剤を添加した場合でも、シーリング剤の主剤である紫外線硬化型樹脂はほぼ硬化しているため、大型のオーブンによらず加熱して硬化させることが可能となる。
上記の通り、本発明に使用されるシーリング剤は、主剤として紫外線硬化型樹脂を含み、この紫外線硬化型樹脂を硬化させるためにピーク波長の異なる2種類の紫外線にそれぞれ反応する重合開始剤を含むものである。また、シーリング剤は、この他に、一般的には、熱可塑性樹脂、潜在性硬化剤、可塑剤及び密着剤を含む。
紫外線硬化型樹脂は、シーリング剤全体の合計100重量部に対して、5.0〜20重量部の範囲で添加することが好ましい。5.0重量部未満の場合、紫外線照射による硬化が不充分となり、20重量部を超えるとモノマーよりも分子量が大きいため粘度が高く、塗布作業性を著しく悪化させる傾向となるからである。また伸びや弾性が出なくなる。
高波長系重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系(α−アミノアルキルフェノン等)、アシルフォスフィンオキサイド系(モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド等)、オキシムエステル系等、を使用することができる。
低波長系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アルキルフェノン系(ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン等)、チタノセン系、オキシフェニル酢酸エステル系、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物等を使用することができる。
重合開始剤の中でも、厚膜の深部まで紫外線硬化させる必要から、アシルフォスフィンオキサイド系化合物である高波長系重合開始剤を使用することが好ましい。また、更に、アシルフォスフィンオキサイド系化合物にアルキルフェノン系のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物である低波長系重合開始剤を混合することが好ましい。重合効率の向上及び表面硬化の促進を図ることができるからである。
また、重合開始剤は、シーリング剤の全体の合計100重量部に対して、0.1〜2.0重量部の範囲とすることが好ましい。0.1重量部未満の場合、紫外線照射による硬化が不充分となり、2.0重量部を超えると未反応物は多量に残り塗膜性能が低下するからである。
更に、光重合開始効率を高めるために、光増感剤を組み合わせて使用しても良い。光増感剤としては、例えば、芳香族、脂肪族3級アミン等が挙げられる。
可塑剤は、粘度調整で変量させることができる為、特に量を規定するものではないが、少なすぎると伸びが低下し、多量すぎれば塗料密着性に影響を及ぼすことがある。通常は、添加すべき可塑剤の基本量に対して±20%程度で調整する。
前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーは、以下の手順に従って製造することができる。
先ず、ポリオールと過剰のポリイソシアネート化合物を反応させ、末端NCO含有ウレタンプレポリマーを得る。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール(PPG)、ポリエーテルポリオール変性体、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリエーテルポリオール;縮合ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールを含むポリエステルポリオール;ポリブタジエン系ポリオール;ポリオレフィン系ポリオール;ポリエーテルポリオールの中でアクリロニトリル単独又はアクリロニトリルとスチレン、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び酢酸ビニルの群から選ばれる少なくも1種との混合モノマーを重合乃至グラフト重合させたポリマーポリオール等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロへキサン、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDI、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ω,ω単位−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられる。
次に、末端NCO含有ウレタンプレポリマーを適当なブロック剤と反応させて遊離のNCOをブロック化することにより、目的のブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを得る。
上記ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコールなどの1価アルコール又はこれらの異性体;フェノール、クレゾール、キシロール、p−ニトロフェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類;マロン酸メチル、マロン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン化合物;アセトアミド、アクリルアミド、アセトアニリドなどの酸アミド類;コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどの酸イミド類;2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;2−ピロリドン、ε−カプロラクタムなどのラクタム類;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトアルドキシムなどのケトン又はアルデヒドのオキシム類;メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール等のグリコール誘導体;ジシクロへキシルアミン等のアミン化合物、その他エチレンイミン、重亜硫酸塩等が挙げられる。
この密着剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、15〜150重量部含有させることが好ましい。15重量部未満では、被着体への密着性が不充分となり、150重量部を超えると塗布作業性を著しく悪化させる傾向となるからである。
安定剤としては、亜鉛系、マグネシウム系、カルシウム系、又は金属塩タイプ等で特にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム及びジブチルチンジラウレート等を用いることができる。更に、発泡防止剤として、酸化カルシウムを配合することができる。
尚、シーリング剤の最大の厚さとなる位置の膜表面から深さ方向に少なくとも3分の2までの紫外線硬化型樹脂を硬化せるようにすれば、140℃〜180℃に加熱しても膨れることはない。
この塗布手段の移動した軌跡上を移動できるように、例えば、ハイパワー紫外線−LEDスポット照射器等のスポットタイプ(例えば、10mm角のエリアに対して紫外線を集中して照射することができるタイプ)の紫外線照射器を保持手段に設けることが好ましい。この保持手段に関しては、シーリング剤に紫外線照射器からの光が照射できるように構成されたものであればよい。塗布されたシーリング剤に対して、近距離から紫外線を効率的に照射できるようにするためである。また、更に、塗布手段の吐出口に隣接して保持手段を設けるようにすることが好ましい。具体的には、従来ある塗布用ロボットにノズルと紫外線照射器の両方を設けるようにすればよい。従来の塗布用ロボットを有効に活用できるからである。
ピーク波長の異なる2種類の紫外線は、ピーク波長が異なるものであれば特に制限はないが、200〜500nmであることが好ましい。200nm未満の波長領域では化学反応でオゾンが著しく発生し、人体に影響を与える。また、活性酸素が機械を錆びさせる問題がある。また、500nmを超えると赤外線(熱線)により被照射体は高温になる。基板が金属部材の場合は熱を持ち作業しづらく、また、プラスチックの基板などでは変形することが問題になるからである。
高圧水銀灯は、波長254、313、365nm、407nm及び436nm(それぞれ近傍の波長を含む。)のピーク波長があり、それらの中でも350nm〜450nmのピーク波長の照射強度が強いメタルハライドランプであることが望ましい。高波長とすることで深部の硬化を高めるためである。
高圧水銀灯の照射強度は、2000〜4000mW/cm2である。
以下の実施例及び比較例においては、シーリング剤は、アクリル樹脂10重量%、充填剤31重量%、エポキシ系密着成分(ダウケミカル(株)社製のDER331J)3重量%、ブロックウレタンプレポリマー(第一工業製薬(株)BP−104)10重量%、潜在性硬化剤(富士化成工業(株)FXR−1090−FA)4重量%、可塑剤(Jプラス社製のDINP)30重量%、紫外線硬化樹脂(サートマー社製のCN9002)11重量%の合計100重量%に対して重合開始剤0.34重量%を加えた組成とした。重合開始剤は、高波長の紫外線型重合開始剤(チバジャパンケミカルズ社製のIrgacure819)0.06重量%、低波長の紫外線型重合開始剤(チバジャパンケミカルズ社製のIrgacure184)0.08重量%及び加熱型重合開始剤(日油社製のパーブチルZ)0.2重量%の組成とした。
以下の実施例及び比較例において、シーリング剤は図1に示すサンプル3a、4a、5aに塗布手段により厚み2.3mmで塗布した。
サンプルは、長さ300mm、幅50mmのED板1と、長さ300mm、幅30mmのED板2とを重ね合わせ、ED板1とED板2との間を接着剤により接着した。接着剤は、図示の通り、接着領域3,4,5として間隔をおいて設けた。接着領域3は、長さ40mm、幅10mmの矩形の輪郭に沿って、幅1.0mmで粒径200μmのビーズ(ユニオン(株)社製のUB910LR)を1.0%含む接着剤(アサヒゴム(株)社製の#2403G)を塗布し、底辺側の中央部に幅10mmの接着剤を塗布しない領域3aを設けて、ED板1,2間の空間と外部との間で気体を出入りできるようにした。接着領域4,5についても、それぞれの長さを60mm、100mmとし、接着剤を塗布しない領域を4a,5aとした以外は、接着領域3と同様にした。
上記サンプルを、ベルトコンベア上に載置して、サンプル上方に紫外線照射用のLEDを固定(UL250 アイグラフィックス株式会社製)して、150mm/秒の速度でサンプルを長手方向に移動させて紫外線硬化型樹脂を硬化させるようにした。尚、紫外線の硬化の程度によっては、ベルトコンベアを往復させて、繰り返して照射するようにした。
シーリング剤の硬化の程度に関しては、深部硬化、表面硬化及び膨れの観点から評価した。深部硬化は、シーリング剤の最表層から底部に向かって硬化している深さを評価した。表面硬化は、シーリング剤の最表層の硬化の有無を目視、指触で評価した。膨れは、紫外線照射を行った後、140℃のオーブンで30分間焼付けを行い、シーリング剤が膨れているか否かを目視で評価した。
サンプルに紫外線を照射するために、ピーク波長365nmの紫外線LEDと、ピーク波長385nmの紫外線LEDとを、サンプルの上方にサンプルを挟むようにして、2つのLEDを結ぶ線がサンプルの移動方向と直交するように配置した。
具体的には、サンプルの照射エリア(長径12mm、短径10mmの楕円)の図心から鉛直方向に対してそれぞれ側方に25°、照射エリアの図心までの距離35mmの位置に配置し、両方のLEDからサンプルに紫外線を照射した。尚、照射エリアにおける照度は、アイグラフィックス(株)社製型番UV meter UVPF−A1により測定したところ、370mw/cm2(波長300〜390nmの受光器PD−365で測定した場合)及び830mw/cm2(波長350〜490nmの受光器PD−405で測定した場合)であった。
実施例1の2つの紫外線を、ピーク波長365nmの紫外線とした以外は実施例1と同様にした。
尚、照射エリアにおける照度は、630mw/cm2(波長300〜390nmの受光器PD−365で測定した場合)及び300mw/cm2(波長350〜490nmの受光器PD−405で測定した場合)であった。
実施例1及び比較例1の硬化方法において、サンプルに対して2回紫外線を照射した。その結果、比較例1では表面硬化はしておらず、膨れなし、深部硬化は1.55mmであった。これに対して、実施例1は、表面硬化が確認でき、膨れもなく、深部硬化は1.85mmであった。
サンプルに紫外線を照射するために、ピーク波長365nmの紫外線LED2個と、ピーク波長385nmの紫外線LED1個とを、サンプルの上方に、3つのLEDを結ぶ線がサンプルの移動方向と直交するように配置した。
波長365nmの紫外線と、波長365nmの紫外線とを、照射エリア(長径14mm、短径10mmの楕円)の図心から鉛直方向に対してそれぞれ側方に45°傾斜し、照射エリアの図心までの距離35mmの位置から照射した。更に、図心から鉛直上方の距離35mmの位置から波長385nmの紫外線を照射した。尚、照射エリアにおける照度は、アイグラフィックス(株)社製型番UV meter UVPF−A1により測定したところ、550mw/cm2(波長300〜390nmの受光器PD−365で測定した場合)及び800mw/cm2(波長350〜490nmの受光器PD−405で測定した場合)であった。
実施例2の3つの紫外線を、全て波長365nmの紫外線とした以外は実施例2と同様にした。
尚、照射エリアにおける照度は、900mw/cm2(波長300〜390nmの受光器PD−365で測定した場合)及び380mw/cm2(波長350〜490nmの受光器PD−405で測定した場合)であった。
実施例2及び比較例2の硬化方法において、サンプルに対して1回紫外線を照射した。その結果、比較例2では表面硬化はしていたが、膨れがあり、深部硬化は1.40mmであった。これに対して、実施例2は、表面硬化が確認でき、膨れもなく、深部硬化は1.60mmであった。尚、実施例2が実施例1と比べて深部硬化が浅くなった理由としては、実施例2の方は照射角度が鉛直方向に対してそれぞれ側方に45°傾斜し照度が鉛直照射に比べて30%程落ちてしまったものと推定した。
3,4,5 接着領域
Claims (4)
- 加熱状態で膨張した空気が流出するように構成された金属部材間へのシーリング剤の塗布方法であって、
ピーク波長の異なる2種類以上の紫外線にそれぞれ反応する重合開始剤として波長365±5nmの紫外線で反応する重合開始剤と、波長385±5nmの紫外線で反応する重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂を主剤とするシーリング剤を、
塗布手段を移動させて前記金属部材間に塗布し、
前記塗布手段の軌跡上に、各重合開始剤に対応する紫外線を照射するための紫外線照射器を保持した保持手段を移動させて波長365±5nmおよび波長385±5nmの紫外線の照射を行うことにより、前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることを特徴とするシーリング剤の塗布方法。 - 前記塗布手段の前記シーリング剤の吐出口に隣接して前記保持手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシーリング剤の塗布方法。
- 前記紫外線硬化型樹脂は、熱重合開始剤を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシーリング剤の塗布方法。
- 請求項3に記載の方法により塗布された前記シーリング剤を、加熱して硬化させることを特徴とするシーリング剤の硬化方法。
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