JP5979204B2 - 床用粘着シート及びその施工方法 - Google Patents
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Description
店舗改装をするに当たって、店舗の壁面の場合は、容易に行なう事ができるが、床の場合は、既存床を剥がし、新たに新規の床を設けることは、コストと時間がかかる。そのため、床部分の改装を見送る場合もあるが、既存床の上から、そのまま新規床を施工することが多い。
しかし、かかる施工方法は、溶剤系接着剤の残臭や、部分施工の場合の段差が発生する場合がある。また、広い面積を施工した場合では床材自体の重さもあり、構造の耐荷重への問題が発生することがある。
また、部分的に施工する場合では、床は2〜3mmの段差となり、外観、歩行安全上の問題が発生する場合もある。
特許文献1では、ベース層とベース層の表面に配置された保護層とベース層の背面に配置された接着層を有する接着シートが提案されている。ここで接着層は、粘着剤を主に使用するもので、表面保護層の耐久性に主眼をおいた発明であり、接着シート全体の厚みも100〜250μmの範囲と規定している。この発明には、広い面積を施工する施工性についての検討はなく、床改装用には問題が発生するものと思われる。
しかし、これは、現実には課題が多く困難である。
(1)ロール状で、直線に施工することが困難である。その理由として、下地も歪んでいることが多く、また、シートもロールにできる柔軟性があり、シートがロール時に部分的にタルミが発生したりすると、展開したときに曲がってしまうからである。また、途中でエアガミやブツ等の欠点があった時、一度施工したシートを剥がすと、その部分が不均一に伸び、次に施工したとき歪んでしまう問題点がある。
(2)重なった施工部分は、段差が少なく、つまずきは発生しないが、やはり、その部分からの剥離が発生する。粘着施工であるので、強い接着は得られないからである。
そこで、本発明の課題は、施工面積が広い床改装、例えば100m2以上の床改装であっても、効率良く施工できる床用粘着シート及びその施工方法を提供することである。
種々の検討を積み重ねるに当たり、まず、壁面や建具の改装方法に着目した。
壁面の場合は、壁面の高さ以上の長さに、ロール状に巻き取られた長尺状の化粧シートを切断し、上部のみ、剥離基材を剥がし垂直性を確認しつつ、一部固定し、そのまま剥離基材を剥がしながら、上から下へ、脱気しながら施工する。隣接部の施工は、端部の重ね合わせ部を考慮した位置で、同様の作業を行い、施工後重ねあわせ部の中心付近から、上下の化粧シートを切断し、重ねあわせ部を除去し、左右のつき合わせを行なう。
上記と同様のことを床面で行なったが、施工上の問題、品質上の問題が発生した。ロール状に巻き取られた長尺状の粘着シートを、垂直面である壁面に貼る場合は、重力で垂れ下がるが、床面の場合は、重力効果がないので、剥離基材をこまめに剥がし、少しずつ施工しないと、エアがみが入り、また一度貼ったシートを剥がすと、部分的にシートが伸び、歪んでしまう。従って、3m程度の施工を行なうと、粘着シート自体も少なからずタルミ等の歪みがあるので、粘着シートが施工中に曲がってしまう事になる。
以上の検討から、施工性を考慮すると、重ね切り施工でなく、タイルの様につき合わせ施工をすれば作業性を向上することができること、及び粘着シートの歪みがない状態にしないと、つき合せ施工が出来ないことがわかった。即ち、広い施工面積を短時間で施工するには、ロール状に巻き取られた長尺状の粘着シートと比較して、枚葉の粘着シートの方が好ましいことが知見された。
すなわち、本発明は、
[1]化粧シートと粘着剤層とを有する床用粘着シートであって、該化粧シートが少なくとも基材シート及び絵柄層を有し、該床用粘着シートが長辺と短辺とを有する矩形であり、かつ長手方向の絵柄の天地を認識できるような表示を該化粧シートの表面及び裏面、並びに該床用粘着シートの表面及び裏面から選ばれる少なくとも一箇所に有する床用粘着シート、
[2]化粧シートと粘着剤層と剥離基材とを有する剥離基材付き床用粘着シートであって、該化粧シートが少なくとも基材シート及び絵柄層を有し、該床用粘着シートが長辺と短辺とを有する矩形であり、かつ長手方向の絵柄の天地を認識できるような表示を該化粧シートの表面及び裏面、並びに該床用粘着シートの表面及び裏面から選ばれる少なくとも一箇所に有する剥離基材付き床用粘着シート、
[3]長辺が900〜2000mm及び短辺が300〜1000mmの長さを有し、且つ(長辺の長さ/短辺の長さ)比が2/1〜3/1である上記[1]又は[2]に記載の床用粘着シート、
[4]前記化粧シートの厚みが0.3〜0.6mmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の床用粘着シート、
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の床用粘着シートをつき合わせて施工する方法であって、該床用粘着シートの長手方向の天と地との位置合わせ及び短辺のつき合わせを行い、短辺の一部を重ね施工した後、重ね部分のみ切除する床用粘着シートの施工方法、及び
[6]前記床用粘着シートの短辺のつき合わせ位置を長辺の長さの1/2〜1/3の範囲内でずらす上記[5]に記載の床用粘着シートの施工方法、
である。
また、本発明の床用粘着シートの施工方法によれば、以下の効果をも奏する。
(1) 長辺同士をつき合わせで位置合わせを行う際に、短辺の一部を重ねて短辺部分を目隙の少ない状態でつき合わせて施工した後、重ね部分のみ切除するので、切除部分が短く施工を簡単に且つ迅速に行うことができる。
(2) 長辺でつき合わせ施工するので、長辺が長い分つき合せ時の位置合わせの精度が高く、短辺の目隙も少なくでき、また、重なり部分も少なく施工できる。
(3) 天地方向が合っていることから、施工後の床は絵柄の連続的な流れがあり、また、短辺の幅も揃っているので、床一面の見栄えが良い。
(4) 連続調の長尺シートと同様の連続性が得られる。
なお、目隙とは、床用粘着シートを床に施工するときに発生する床用粘着シート間の隙間のことをいう。
また、本発明の第2の発明は、化粧シートと粘着剤層と剥離基材とを有する剥離基材付き床用粘着シートであって、該化粧シートが少なくとも基材シート及び絵柄層を有し、該床用粘着シートが長辺と短辺とを有する矩形であり、かつ長手方向の絵柄の天地を認識できるような表示を有する剥離基材付き床用粘着シートである。
以下、第1の発明と第2の発明とを併せ、「本発明の床用粘着シート」として説明する。
絵柄としては、木目柄、大理石柄(例えばトラバーチン大理石柄)などの岩石の表面を模した石目柄、コンクリート柄、布目や布状の絵柄を模した布地柄、タイル貼柄、煉瓦積柄などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの絵柄もある。また、文字、記号、幾何学柄、全面を印刷した着色ベタや、これらを複合した絵柄も挙げられる。
これらの絵柄は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、絵柄を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
本発明において、長手方向の絵柄の天地を認識できるような表示は、絵柄自体により天地が識別でき、それにより表示がなされることが好ましいが、必要に応じ、化粧シートの表面又は裏面、もしくは床用粘着シートの表面又は裏面(すなわち粘着剤層)に識別用の表示を設けても良い。また離型基材の表面又は裏面(この裏面とは、剥離基材の粘着剤層に対向する面をいう)に識別用の表示を設けても良い。識別用の表示には制限はなく、文字、記号、幾何学絵柄等いずれでも良い。
これらの印刷時の絵柄構成において、予め、流れ方向に対して並行な断裁位置を想定し、施工時につき合わせされるシートの長辺位置で隣接するシート同士の絵柄が、調和される絵柄設計にすると、施工後の床の仕上り意匠が更に向上する。
床用粘着シートの絵柄層の意匠性の高いものは、天地の方向性があり、それを合わせて施工しないと絵柄の意匠性を損ねることとなる。
かかる観点から、本発明の床用粘着シートは、長辺が900〜2000mm及び短辺が300〜1000mmの長さを有し、且つ(長辺の長さ/短辺の長さ)比が2/1〜3/1であることが作業効率の観点から好ましい。施工時のシートを少し浮かした引っ張りを考えると長辺の長さは2000mm以下が好ましく、作業効率から考えると900mm以上が好ましい。
また、床用粘着シートの短辺の長さは、人の手が往復できるレベルで考慮すると1000mm以下が好ましく、作業効率から考えると300mm以上が好ましい。
(長辺の長さ/短辺の長さ)比が2/1以上であれば、縦合わせの精度に対し、横のノイズが小さくなり、つき合わせの精度が向上し、3/1以下であれば、細長くなり過ぎず、作業効率が向上する(剥離回数を減少できる)。
本発明の床用粘着シートは、化粧シートの厚みが0.3〜0.6mmであることが好ましく、引張弾性率が500〜1500MPaであることが更に好ましい。0.3mm以上であれば、床用粘着シートの伸びが発生してシートの直線性が歪んでしまうことを好適に防ぐことができ、下地の不陸を軽減することができるので、長辺のつき合わせが行い易くなる。また、0.6mm以下であれば、ロール状に巻き取られた長尺状の化粧シートの各層の積層や粘着剤の塗布された剥離基材と化粧シートとのロール圧着による貼り合わせの粘着加工が問題なく加工でき、好適に床用粘着シートを製造できる。また、枚葉状粘着シートを部分的に施工した場合の段差も、問題のないレベルである。
また、化粧シートの厚みが0.3mmの場合、引張り弾性率が500MPa以上あれば、長手方向のつき合わせの引張りで、シートがよれることがなく施工できる。
一方、化粧シートの厚みが0.6mmの場合、引張り弾性率が1500MPa以下であれば、粘着剤の塗布された剥離基材とのロール圧着による貼り合せ時の剥離基材のウキ(浮き)や、ロールに巻き取ったときの剥離基材のウキ(浮き)が防止でき粘着加工が好適に可能である。
図1は、本発明の床用粘着シート1の一例を示す模式図である。
図1に、本発明の床用粘着シート1の好適な態様として、基材シート11の表面側に、所望により設けられる隠蔽層13、絵柄層12、所望により設けられる透明樹脂層14及び所望により設けられる表面保護層15をその順に有し、基材シート11の裏面側に所望により設けられる合成樹脂層16を有してなる化粧シート10の合成樹脂層16側の裏面に更に粘着剤層20及び剥離基材30をその順に有する剥離基材付き床用粘着シート1を示す。
本発明の床用粘着シート1において、化粧シート10に用いられる基材シート11としては、特に限定されないが、合成樹脂シートが好適に用いられ、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(以下、「ABS樹脂」という。)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂などが挙げられる。これらの内、ポリオレフィン系樹脂からなるシートが、汎用性、生産性の観点から望ましい。
基材シート11の片面又は両面には、必要に応じて、プライマー層(例えば、絵柄層12又は隠蔽層13の形成を容易にするプライマー、合成樹脂層16の接着を容易にするための裏面プライマー層)を設けても良い。
本発明の床用粘着シート1において、化粧シート10に用いられる絵柄層12は、本発明で用いられる床用粘着シートに絵柄を付与するために設けられるものであり、上述の種々の絵柄をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。
この絵柄層12の厚さは、通常1〜20μm程度である。
本発明において、所望により設けられる隠蔽層13は、全面ベタ層であり、基材シート11等の色等を隠蔽するものであるが、装飾目的で積層される場合もある。用いられるインキのバインダー、着色剤等の各成分は、絵柄層12と同様である。
この隠蔽層13の厚さは、通常1〜20μm程度である。
本発明の床用粘着シート1において、所望により、化粧シート10は絵柄層12と表面保護層15との間に、透明樹脂層14を有していても良い。透明樹脂層14を設けることにより、床用粘着シート1の耐摩耗性が向上する。
透明樹脂層14は、透明性のものであれば限定されず、無色透明、着色透明、半透明などの透明性を有する樹脂からなる層である。
透明樹脂層14としては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたものを好適に使用することができる。具体的には、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどを挙げることができる。
透明樹脂層14には、必要に応じて充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)などの各種の添加剤が含まれていても良い。
透明樹脂層14の厚みは、最終製品の用途、使用方法などにより適宜設定できるが、一般的には10〜400μm、特に40〜300μm程度とすることが好ましい。
表面保護層15は、基材シート11と表面保護層15との間に設けられる層を保護するために所望により設けられる層であり、好ましくは電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して得られる層である。電離放射線硬化性樹脂組成物は、紫外線や電子線などの電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂とその他必要に応じて添加される成分とからなる組成物である。
なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
表面保護層15に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良い。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。
硬化後の表面保護層の厚さは、通常1〜40μmであり、好ましくは5〜20μm、より好ましくは10〜20μmである。
本発明の床用粘着シート1において、化粧シート10に所望により設けられる合成樹脂層16は、バッカー層と称されるものであり、床用粘着シートの寸法を安定にするものである。
合成樹脂層16は、通常、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。この熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
合成樹脂層16の厚みは、用途に応じて選定されるが、80〜500μmが好ましく、100〜400μmがより好ましく、150〜300μmが更に好ましい。なお、合成樹脂層(バッカー層)16は押出し成形によって形成される限り単層でも多層でも良い。合成樹脂は単独でも混合物でも良い。
合成樹脂層16の裏面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理等の表面処理を施しても良い。
同様に、必要に応じて、プライマー層(例えば、粘着剤層20の接着を容易にするプライマー)を設けても良い。
床用粘着シート1に用いられる粘着剤層20を形成する粘着剤としては、溶剤型、エマルジョン型等を問わず使用することができ、ホットメルト型や電離放射線硬化型樹脂も使用することができる。粘着剤層20を形成する樹脂として具体的な材質としては、例えば、ポリイソプレンゴム等のゴム系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のアクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩素化オレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂等の任意の接着剤に適当な粘着付与剤、例えば、ロジン、ダンマル、重合ロジン、部分水添ロジン、エステルロジン、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂等を適当量添加したものであり、更に必要に応じて、軟化剤、充填剤、老化防止剤等も添加することができる。
これらの内、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が好ましい。
粘着剤層20の厚みは、20〜100μm、望ましくは30〜50μmである。
ここで、粘着力の評価は、JIS Z 0237に準拠し、25mm幅の短冊状にした粘着シートを#360のサンドペーパーで研磨したステンレスに貼着した後、23℃50%RHの環境で24時間後に、剥離速度300mm/minで180°剥離を測定する。
第2の発明の床用粘着シート1に用いられる剥離基材30としては、表面を剥離処理した、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂シート、紙、及び紙の表裏にポリエチレン系樹脂を積層したポリラミ紙等各種使用することができる。樹脂シートの剥離基材30の厚みとしては、10〜200μmである。ポリラミ紙の場合は、坪量50g/m2〜200g/m2程度の上質紙を使用しポリエチレン等でラミネートする。そのラミネートの厚さは、10μm〜30μmとするのが好ましい。
剥離処理の方法は、フッ素系樹脂、シリコーン、メラミン、ポリオレフィン、電離放射線硬化性樹脂等を表面に塗工して形成することができる。
また、本用途の剥離基材30は、連通溝を有する剥離型基材が好ましい。連通溝を有する剥離型基材を用いることにより粘着剤層20に連通溝を形成することができる。この連通溝は多方向性にランダムに形成されているので、粘着剤層20が連通溝を有すると、どのような施工方向であっても容易にエア抜けができ、エアがみをが発生した場合除去することができる。
連通溝を有する剥離型基材としては、例えば、日栄化工(株)製、商品名「マトリクス剥離紙」が挙げられる。
第3の発明の施工方法は、以下の手順により、床用粘着シート1をつき合わせて、粘着施工により施工される。
(1)まず、図2(a)に示すように枚葉の床用粘着シート1の長辺1aを基準線に合わせ、長手方向2の天と地との位置合わせを行う。この時、シートの精度が高くても、床は歪んでいることがあり、うねりのような凹凸があることもあり、誤差がでて、目隙が発生する。
(2)短辺1bの目隙を極力少なくして、つき合わせ施工する。このとき、短辺1bの目隙が1mmを超える場合は、短辺1bの一部を重ね貼りし、短辺1bの目隙を小さくする。
(3)図3において、m番目の床用粘着シート1−mの「地」の部分となる下端の短辺(1−m)bと、床用粘着シート1−mに続くn番目の床用粘着シート1−nの「天」の部分となる上端の短辺(1−n)bとを示す。短辺1bの重ね貼りによる重なり部分3は、短辺(1−m)bと短辺(1−n)bとn番目の床用粘着シート1−nの長辺とに囲まれた斜線部分である。即ち、n番目の床用粘着シート1−nの重なり部分3は、床用粘着シート1−mの短辺(1−m)bの位置で切除する。目隙は、1mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることが更に好ましい。
この方法により、目隙の品質を確保しつつ、重なり部分の切除作業を最低減にすることができる。床の場合は、目線からの距離があり、暗いので1mm以下の目隙であればわかりにくく問題ない。
重なり部分は、段差は少ないものの、引っ掛かりから、シート剥離したりすることがあるので、あってはならない。
(4)次に、図4に示すように、2列目の床用粘着シート1の長辺1aを目隙を発生しないように、1列目の床用粘着シート1の長辺1aとつき合わせ施工する。3列目以降も同様に長辺1a同士つき合わせ施工する。
本発明の施工方法によらない図2(b)の方法では、天地の方向性が逆になっている部分を有するので、施工後の床が意匠的に不調和となる。
なお、図4(d)に、ずらさなかった場合を示す。
図5は、比較例の正方形の床用粘着シート5の施工方法の一例(e)を示す模式図である。このように、正方形の床用粘着シート5を用いて施工すると、目隙を調整する作業が多くなり、手間がかかるので、施工性が低下し、施工時間も長くなってしまう。
なお、化粧シート10の引張弾性率(MPa)を下記の方法に従って評価した。
<化粧シート10の引張弾性率(MPa)>
JIS K6734「プラスチック−硬質ポリ塩化ビニルシート−寸法及び特性−第2部:厚さ1mm未満のシート」の規定に準拠して測定した。化粧シート10を幅10mmのダンベル状に打ち抜いて得た試料を、引張り試験機(テンシロン万能試験機RTC−1250A)を用いて、23℃・50%RHで50mm/分の速度で測定した。
0.06mm厚の着色ポリプロピレンからなる基材シート11にアクリルウレタン系樹脂の隠蔽インキを使用して隠蔽層13を形成し、その上に絵柄インキを使用し、グラビア印刷で木目柄の絵柄層12を形成した。ついで、その上に0.08mm厚の透明性ポリプロピレン系樹脂フィルム(透明樹脂層14)を、ウレタン系ドライラミネート用接着剤を用いて接着した。ついで、透明樹脂層14の上に、透明な電子線硬化型の表面保護層15(15μm)を形成した。得られたシートの裏面に、厚み0.25mmの透明性ポリプロピレン系樹脂からなる合成樹脂層16を、ウレタン系接着剤を介して押出し同時ラミネートをすることにより、厚み0.41mm×幅950mmの長尺状の化粧シート10を得た。化粧シート10の引張り弾性率は、800MPaであった。
得られた粘着剤層20の剥離強度は24時間値で15N/25mmであった。
絵柄インキを使用し、グラビア印刷で石目柄の絵柄層12を形成し、裏面の剥離紙に、長手方向の絵柄の天地を認識できるように「天」及び「地」の表示をした以外は、実施例1と同じように製造し、寸法900mm×1800mmの床用粘着シート1を得た。
得られた実施例1の床用粘着シート1を用いて、以下の手順で施工した。
(1)施工床の中央部に、直線(基準線)の墨出しを行った。
(2) 上記の墨に対し、剥離紙の上部5cmを除去し、位置合わせを行い、仮貼りし、次に、剥離紙を半分剥がし、墨に合わせながら、手前から脱気し 圧着し、半分終わった所で、全部の剥離紙を剥がし、墨に合わせながら施工を行った。
(3) 次いで、天地を合わせ、直線方向を合わせ、短辺1bのつき合わせは、目隙が最大0.5mm以内になるようにして施工を行った。床の歪み、シートの精度等で、部分的につき合わせの重なりが出来た部分(図3)は、後から、重なり部分3のみを、上述のようにしてカッターで切除した。
(4)上記の施工を、直線が貫通する方向で、一列に最後まで行った。図2(a)に、一列に施工された床用粘着シート1を示す。
図2(a)から明らかなように、絵柄の天地の流れ方向の意匠の連続性が保たれ、意匠性に優れていた。
得られた実施例2の床用粘着シート1を用いて、施工実施例1と同じように一列に施工した。この施工に続いて、図4(c)に示すように、二列目以降の施工を続けた。即ち、床用粘着シート1の短辺1bのつき合わせ位置を長辺1aの長さの(1/2.5)でずらし、二列目以降の床用粘着シート1の短辺1bの施工を行った。二列目の場合は、既に施工された一列目の長手方向2に、二列目を隙間のない状態で合わせ、短辺1bのつき合わせ部分は、最大目隙が少ない状態にして施工した。重なり部分3が発生した場合、重なり部分3のみ切除した。
施工実施例2の施工方法によれば、目隙は少なく、目隙の調整もさほど多くなく、手間がかからなかった。一列目及び二列目の合計施工時間は16分であった。
なお、実施例2の床用粘着シート1の裏面の剥離紙に表示された、「天」及び「地」の表示は、施工時に剥離紙を除去したので、施工された床用粘着シート1には表示は残らず、美観上好ましかった。
実施例2の床用粘着シート1を用いて、短辺1bのつき合わせ位置を一列目と二列目以降とでずらさなかった以外は、施工実施例2と同様にして施工した。施工内容を図4(d)に示す。二列目の施工時に、短辺1bのつき合わせ位置にズレが発生した。即ち、つき合わせの施工を行ったとき、短辺1bのつき合わせ位置が、微小に前後した。これにより、施工全体に見たとき、長辺1aのつき合わせ部がやや目立った。施工の手間がかからなかった。一列目及び二列目の合計施工時間は15分であった。
実施例1の床用粘着シート1を用いて、図2(b)に示すように、天地を関係無く施工したところ、貼った部分が視覚的にわかってしまい、連続意匠性が低下した。
上記実施例2の床用粘着シート1と同様の材料、層構成及び手順で、寸法90cm×90cmの正方形の床用粘着シート5を用意した。図5(e)に示すように、施工実施例3と同様の施工を行った。長手方向と直角の辺のつき合わせ部を一列目と二列目以降とでずらさずに、長手方向でつき合わせたところ、長手方向と直角の辺のつき合わせ部では、目隙は少ないものの、シートの位置合わせ回数が、施工実施例3に比べ倍になった。また、長手方向の調整回数は3倍になった。また、長手方向の辺の目隙調整が多くなり、結局、目隙を調整する作業が多くなったので、手間がかかった。長手方向と直角の辺の目隙は施工実施例2及び施工実施例3よりやや少ないが、2列目の端が少し凸凹となり、長手方向の辺のズレが発生した。また、一列目及び二列目の合計施工時間は30分と長くなった。
なお、長手方向は、施工実施例1〜3と同様に基準線の方向である。
1a 本発明の床用粘着シートの長辺
1b 本発明の床用粘着シートの短辺
2 床用粘着シートの長手方向
3 床用粘着シートの重なり部分
5 比較例の床用粘着シート
10 化粧シート
11 基材シート
12 絵柄層
13 隠蔽層
14 透明樹脂層
15 表面保護層
16 合成樹脂層
20 粘着剤層
30 剥離基材
Claims (8)
- 化粧シートと粘着剤層とを有する床用粘着シートであって、該化粧シートが少なくとも基材シートを有し、該床用粘着シートが長辺と短辺とを有する矩形であり、かつ長手方向の天地を認識できるような表示を該化粧シートの裏面、並びに該床用粘着シートの裏面から選ばれる少なくとも一箇所に有する床用粘着シート。
- 化粧シートと粘着剤層と剥離基材とを有する剥離基材付き床用粘着シートであって、該化粧シートが少なくとも基材シートを有し、該床用粘着シートが長辺と短辺とを有する矩形であり、かつ長手方向の天地を認識できるような表示を該化粧シートの裏面、並びに該床用粘着シートの裏面から選ばれる少なくとも一箇所に有する剥離基材付き床用粘着シート。
- 長辺が900〜2000mm及び短辺が300〜1000mmの長さを有し、且つ(長辺の長さ/短辺の長さ)比が2/1〜3/1である請求項1又は2に記載の床用粘着シート。
- 前記化粧シートの厚みが0.3〜0.6mmである請求項1〜3のいずれかに記載の床用粘着シート。
- 前記化粧シートが、絵柄層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の床用粘着シート。
- 前記絵柄が、木目柄である請求項5に記載の床用粘着シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の床用粘着シートをつき合わせて施工する方法であって、該床用粘着シートの長手方向の天と地との位置合わせ及び短辺のつき合わせを行い、短辺の一部を重ね施工した後、重ね部分のみ切除する床用粘着シートの施工方法。
- 前記床用粘着シートの短辺のつき合わせ位置を長辺の長さの1/2〜1/3の範囲内でずらす請求項7に記載の床用粘着シートの施工方法。
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