JP5977927B2 - 点火コイル及び点火コイルの製造方法 - Google Patents

点火コイル及び点火コイルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイル、及びその製造方法に関する。
従来、点火コイルは、例えば特許文献1に開示のもののように、点火プラグに火花放電を生じさせる電力の供給を外部の電源から受けるために、当該外部の電源と接続されるコネクタ部を備えている。この特許文献1に開示のような点火コイルでは、コネクタ部は、型割りされた複数の成形型によって形成される。そして、特許文献1の点火コイルでは、コネクタ部の一部が、例えばエポキシ樹脂等の絶縁固定用樹脂によって被覆されている。
このような点火コイルのコネクタ部及び絶縁固定用樹脂のように、異なる材料同士の接着の確実性を高める技術として、例えば特許文献2に開示のものがある。特許文献2に開示の樹脂ケースでは、当該樹脂ケースの内面に凹凸を梨地状に設ける梨地加工が施されている。これにより、樹脂ケースを封口する絶縁性の封口用ポッティング樹脂は、梨地加工の凹凸に入り込むことによって、樹脂ケースの内面に確実に接着し得る。
特開2009−188364号公報 特開平05−182876号公報
さて、特許文献1に開示のような点火コイルでは、当該点火コイルの使用に伴う温度変化によって、コネクタ部及び絶縁固定用樹脂間の界面に、これらの材料の線膨張率の差異に起因した熱応力が生じる。この熱応力は、コネクタ部及び絶縁固定用樹脂間にクラックを生じさせるおそれがある。このようなクラックの発生を抑制するには、コネクタ部及び絶縁固定用樹脂間の接着の確実性の向上が、効果的である。
そこで、本願発明者らは、点火コイルのコネクタ部において絶縁固定用樹脂によって被覆される部分に、特許文献2に開示のような梨地加工を施すことを、想到した。しかし、成形型によってコネクタ部を形成する形態では、梨地加工を施された面は、型開き時に成形型に引っ掛かる所謂アンダカットを生じ易くなる。故に、成形型からコネクタ部を離型可能にするためには、これら成形型の型割りを複雑化する必要が生じ得た。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、成形型の型割りの複雑化を抑制しつつ、絶縁樹脂及びコネクタ間でのクラックの発生を低減することが可能な点火コイルを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁樹脂によって被覆される筒面を有し当該筒面の外周側において型開きされるよう型割りされた複数の成形型によって形成されるコネクタを備え、コネクタを通じて外部の電源から供給される電力を用いることにより、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルであって、筒面は、コネクタにおいて複数の成形型のうちの特定の一つによって形成される部分に設けられ、当該特定の成形型を型割り面から型開きする型開方向に向かうに従って筒面の内周側に勾配する勾配面部と、特定の成形型の型開方向に沿う面を有した凹凸を勾配面部に梨地状に設けてなる梨地部と、を形成し、梨地部は、コネクタにおいて絶縁樹脂から露出する箇所と絶縁樹脂に被覆されている箇所との境界に跨るように筒面の全周に亘って形成されている点火コイルとする。
この発明によれば、コネクタの筒面において複数の成形型のうちの特定の一つによって形成される部分には、勾配面部が形成されている。この勾配面部は、当該勾配面部を形成する特定の成形型を型開きする型開方向に向かうに従って筒面の内周側に勾配している。故に、凹凸を梨地状に設けてなる梨地部が設けられていても、勾配面部は、型開きされる成形型に引っ掛かる所謂アンダカットを、生じ難くなる。以上により、成形型の簡素な型割りの構成が維持されたままでも、コネクタは、成形型から離型可能となる。
そして、絶縁樹脂によって筒面が被覆されることにより、絶縁樹脂は、梨地部の凹凸に入り込む。故に、絶縁樹脂及び筒面の勾配面部間における接着の確実性は、向上する。したがって、成形型の型割りの複雑化を抑制しつつ、絶縁樹脂及びコネクタの筒面間におけるクラックの発生を低減することが、可能となる。
請求項2に記載の発明では、筒面は、複数の成形型のうち隣接する一組によって形成される型割り面から互いに相反する方向にのびる一対の勾配面部、を形成し、筒面の横断面において、一対の勾配面部によって形成される角部の内角が、鈍角であることを特徴とする。
この発明のように、複数の成形型によってコネクタが形成される形態では、各成形型からコネクタを離型可能とするために、隣接する一組の成形型によって形成される型割り面から相反する方向に伸びる一対の勾配面部が、筒面に必要となる。すると、これら一対の勾配面部によって、角部が形成される。このような角部には、応力が集中し易くなる。そこで請求項2では、筒面の横断面において、角部の内角を鈍角とすることにより、角部に生じる応力集中の緩和が図られる。以上により、角部及び絶縁樹脂においてこの角部を被覆する部分を起点とするクラックの発生の低減が、可能となる。
請求項3に記載の発明は、互いに相反する型開方向に型開きされるよう型割りされた一対の成形型によって形成されるコネクタを備える点火コイルであって、筒面の横断面において、一対の成形型によって形成される型割り面に沿った筒面の幅が、一対の成形型の型開方向に沿った筒面の高さよりも、長いことを特徴とする。
この発明のように、互いに相反する型開方向に型開きされるような一対の成形型を用いることで、成形型の型割りの複雑化は、抑制可能となる。加えて、筒面の横断面において、一対の成形型によって形成される型割り面に沿った筒面の幅が、一対の成形型の型開方向に沿った筒面の高さよりも長くされることにより、当該型開方向にのびる勾配面部の面積は、低減可能となる。以上のようにして、梨地部の形成される勾配面部を狭くすることにより、梨地部の成形型への引っ掛かりに起因する勾配面部のアンダカットは、生じ難くなる。したがって、成形型の簡素な型割りの構成を維持したうえで、コネクタを離型可能とする確実性をさらに向上させることが、可能となる。
また、請求項に記載の発明では、梨地部は、筒面まわりの全周に亘って形成されることを特徴とする。
この発明によれば、勾配面部を形成する筒面まわりの全周に亘って梨地部を形成することにより、絶縁樹脂は、筒面の全周に亘って梨地部の凹凸に入り込む。故に、絶縁樹脂及び筒面間における接着の確実性は、当該筒面の全周に亘って向上する。したがって、絶縁樹脂及びコネクタの筒面間におけるクラックの発生をさらに低減することが、可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の点火コイルを製造する方法であって、型締めされた複数の成形型のキャビティにコネクタの成形材料を充填することにより、勾配面部及び梨地部が形成された筒面を有するコネクタを成形する成形工程と、成形工程後に複数の成形型を各々の型開方向に型開きすることにより、コネクタを成形型から取り出す型開工程と、型開工程によって取り出されたコネクタの筒面を絶縁樹脂によって被覆する被覆工程と、を含むことを特徴とする。
この発明では、成形工程にて成形される勾配面部が筒面の内周側に勾配する形状であることにより、成形型は、梨地部の設けられた勾配面部との間でアンダカットを生じることなく、成形工程後の型開工程において型開き可能となる。そして、型開工程によって取り出されたコネクタの筒面を被覆工程にて絶縁樹脂で被覆することにより、梨地部の凹凸に入り込むことの可能な絶縁樹脂は、勾配面部と確実に接着し得る。以上のような工程を含むことにより、成形型の型割りの複雑化を抑制しつつ、絶縁樹脂及びコネクタの筒面間におけるクラックの発生を低減することが、可能となる。
本発明の一実施形態による点火コイルの構成を説明するための縦断面図である。 図1に示す点火コイルの要部を説明するための図であって、図1のII−II線断面図である。 図2に示す点火コイルの要部である領域IIIを拡大して模式的に示す拡大図である。 図1に示す点火コイルの製造工程を説明するための図であって、(a)は成形工程を説明するための図であり、(b)は型開工程を説明するための図であり、(c)は被覆工程を説明するための図であり、(d)は(c)のIVD−IVD線断面図である。 梨地部の面粗度と、筒面及び絶縁樹脂間における接着強度との相関を示す図である。 梨地部の面粗度と、コネクタ部を成形型から離型可能にする勾配角度との相関を示す図である。 勾配角度と、角部において発生が想定される応力との相関を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による点火コイル100の構成を説明するための断面図である。点火コイル100は、点火プラグ(図示しない)と接続されて、ガソリンエンジン等の火花点火機関に用いられる。点火コイル100は、ガソリンエンジンのシリンダヘッドに形成されたプラグホールに点火プラグと共に挿入され、当該シリンダヘッドに取り付けられる。また、点火コイル100の備えるコネクタ部30には、バッテリ等の外部の電源及びエンジン制御装置を点火コイル100に接続するための外部のコネクタ(図示しない)が、接続される。
点火コイル100は、中心コア70、外周コア75、一次コイル60、二次コイル65、イグナイタ50、及び筐体40を備えている。本実施形態による点火コイル100では、ガソリンエンジンに取り付けられた状態にて、一次コイル60及び二次コイル65の軸方向は、プラグホールの軸方向に対して直交する。
中心コア70は、例えば、鉄、コバルト、及びニッケル等の軟磁性体の粉末を加圧成形することにより、全体として円柱状に形成されている。中心コア70の外周側には、一次コイル60が形成されている。
外周コア75は、中心コア70等と共に点火コイル100の磁気回路を形成している。外周コア75は、中心コア70と同様に、軟磁性体の粉末を加圧成形することにより、四角筒状に形成されている。外周コア75を形成する四つの側面によって囲まれた空間には、中心コア70、一次コイル60、及び二次コイル65が収容されている。
一次コイル60は、中心コア70に一次銅線61を円筒状に巻回することにより、形成されている。一次銅線61は、銅等の導電性の材料によって形成された線材に絶縁性の塗料を焼き付けてなるエナメル電線である。一次コイル60は、外部の電源と電気的に接続されており、当該電源から供給される電力を通電させることができる。
二次コイル65は、ボビン68及び二次銅線66等によって構成されている。ボビン68は、樹脂材料によって円筒状に形成されており、一次コイル60及び中心コア70を収容している。このボビン68に二次銅線66を円筒状に巻回することにより、二次コイル65は形成されている。二次銅線66は、一次銅線61と同様に、銅等の導電性の材料によって形成された線材に絶縁性の塗料を焼き付けてなるエナメル電線である。二次銅線66に線経は、一次銅線61よりも小さくされている。また二次銅線66をボビン68に巻回する回数は、一次銅線61を中心コア70に巻回する回数よりも、多くされている。
イグナイタ50は、エンジン制御装置からの点火信号に基づいて、外部の電源から供給される電力の一次コイル60への通電を制御する。イグナイタ50は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等のスイッチング素子を実装した回路基板を、絶縁性の樹脂材料によってモールドすることにより、形成されている。具体的に、イグナイタ50は、エンジン制御装置からの点火信号がIGBTのベースに入力されることにより、一次コイル60に接続されたコレクタ及び接地されたエミッタ間を通電させる。これにより、IGBTのコレクタ及び電源間に接続されている一次コイル60には、当該電源から供給される電力に基づく電流が流れる。
筐体40は、メインケース41、コネクタ部30、及び絶縁樹脂45等によって構成されている。メインケース41は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の熱可塑性樹脂によって、直方体状に形成されている。メインケース41の内部には、中心コア70、外周コア75、一次コイル60、二次コイル65、及びイグナイタ50が、開口42を通じて収容されている。メインケース41において、シリンダヘッドに接する底壁には、円筒状のプラグ装着部80が形成されている。このプラグ装着部80に装着されるプラグキャップを介して、点火コイル100は、点火プラグを支持する。
コネクタ部30は、複数の成形型によって形成されたキャビティに、溶融したPBT等の成形材料を充填する成形によって、形成されている。コネクタ部30は、支持部31により外周コア75によって支持されている。支持部31は、絶縁樹脂45によって被覆されている。コネクタ部30の内部には、一次コイル60及びIGBT等に接続された複数のターミナル47が露出している。コネクタ部30を通じて外部の電源から供給される電力を用いることにより、点火コイル100は、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する。
絶縁樹脂45は、エポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂である。絶縁樹脂45は、硬化する前の流動可能な状態にて、各要素70,75,60,65,50を収容したメインケース41の内部に、開口42を通じて充填される。これにより、絶縁樹脂45は、筐体40の内部にて各要素70,75,60,65,50、並びにコネクタ部30の支持部31の周囲を被覆することにより、これらの要素間に生じている隙間を埋めつつ、これらを筐体40に対して固定する。加えて、絶縁樹脂45が一次コイル60の一次銅線61及び二次コイル65の二次銅線66等を被覆することによれば、一次銅線61及び二次銅線66における線材間の絶縁が形成される。
以上の構成による点火コイル100では、エンジン制御装置からの点火信号に基づいて、イグナイタ50のIGBTが一次コイル60の通電をオン状態からオフ状態に切り換える。すると、一次コイル60を流れる電流によって中心コア70及び外周コア75からなる磁気回路に生じていた磁束は、消失する。これにより二次コイル65には、この磁束の消失を打ち消すような電流が誘導される。このような相互誘導作用によって、一次コイル60よりも巻数の多い二次コイル65は、一次コイル60を流れる電流の電圧を、例えば30〜50kV程度まで昇圧させる。二次コイル65によって昇圧された電圧は、点火プラグに印加され、当該点火プラグに火花放電を発生させる。
(特徴部分)
次に、本実施形態による点火コイル100の特徴部分について、図2〜図7に基づいて詳細に説明する。
コネクタ部30の支持部31は、図2に示される横断面において、プラグホールの軸方向に沿った高さ方向の寸法hよりも、ヘッドカバーに沿った幅方向の寸法wが長くされている。この支持部31は、絶縁樹脂45(図1参照)によって被覆される外周壁に、筒状の筒面32を有している。筒面32の横断面は、高さ方向及び幅方向のそれぞれの中心線に対して、線対称な形状である六角形を呈している。筒面32は、高さ方向及び幅方向において対向して位置する四つの勾配面部33a〜33dと、上面部34a及び下面部34bとを形成している。上面部34aは、勾配面部33a及び勾配面部33b間を幅方向に繋いでいる。下面部34bは、勾配面部33c及び勾配面部33dを幅方向に繋いでいる。加えて、筒面32には、図3に示されるように、微小な凹凸を梨地状に設けてなる梨地部35が形成されている。梨地部35は、筒面32まわりの全周に亘って形成されている。
以上のような筒面32を有するコネクタ部30は、複数の成形型によって形成されている。図2及び図3に示されるように、コネクタ部30の支持部31は、一対の成形型20,21によって形成される。一対の成形型20,21は、筒面32の外周側において型開きされるように、当該筒面32の高さ方向の中心線を挟んで上面部34a側及び下面部34b側に型割りされている。このような型割りによって、成形型20は型開方向MOD1に型開きされ、成形型21は型開方向MOD2に型開きされる。これら型開方向MOD1及び型開方向MOD2は、共に支持部31の高さ方向に沿っており、互いに相反している。また、隣接する一組の成形型であるこれら一対の成形型20,21によって形成される型割り面23は、支持部31の幅方向に沿っている。
コネクタ部30の支持部31において成形型20によって形成される部分に設けられる勾配面部33a及び勾配面部33bは、当該成形型20を型開きする型開方向MOD1に向かうに従って、筒面32の内周側に勾配している。また、コネクタ部30の支持部31において成形型21によって形成される部分に設けられる勾配面部33c及び勾配面部33dは、当該成形型21を型開きする型開方向MOD2に向かうに従って、筒面32の内周側に勾配している。また、高さ方向に相対している勾配面部33a及び勾配面部33cは、高さ方向において互いに相反する方向に、型割り面23からのびている。これら勾配面部33a及び勾配面部33cによって、角部36aが形成されている。同様に、高さ方向に相対している勾配面部33b及び勾配面部33dは、高さ方向において互いに相反する方向に型割り面23からのびている。これら勾配面部33b及び勾配面部33dによって、角部36bが形成されている。これら角部36a,36bの内角は、それぞれ鈍角となっている。
以上の点火コイル100を製造する製造方法に含まれる複数の工程のうち、コネクタ部30の成形及び支持部31の被覆に係る工程について、以下図4に基づいて詳細に説明する。
図4(a)に示される成形工程では、型締めされた成形型20,21を含む複数の成形型のキャビティ22に、コネクタ部30の成形材料30aである溶融されたPBTが充填される。これにより、各勾配面部33a〜33d(図2参照)及び梨地部35の形成された筒面32を有するコネクタ部30が、成形される。
図4(b)に示される型開工程では、成形工程後に一対の成形型20,21を各々の型開方向MOD1,MOD2に型開きすることにより、これら成形型20,21のキャビティ22からコネクタ部30を取り出す。各勾配面部33a〜33dは、対応する型開方向MOD1,MOD2に沿った軸線に対して、勾配を有している。故に、各勾配面部33a〜33dは、梨地部35が設けられていても、型開きされる各成形型20,21に引っ掛かる所謂アンダカットを生じ難い。よって、コネクタ部30は、成形型20,21から離型可能となる。
図4(c)に示される被覆工程では、型開工程によって取り出されたコネクタ部30の支持部31が、外周コア75に取り付けられる。そして、支持部31が外周コア75に支持された状態で、上方に向けられたメインケース41の開口42に、流動可能にされた絶縁樹脂45が、流し込まれる。このようにしてメインケース41内に充填される絶縁樹脂45は、梨地部35の凹凸に入り込みつつ、図4(d)に示されるように、コネクタ部30の筒面32を被覆する。
次に、点火コイル100の梨地部35を形成する微小な凹凸についてさらに詳細に説明する。梨地部35を形成することにより、筒面32と絶縁樹脂45との接着の確実性が向上する。図5に示されるように、梨地部35を形成する凹凸の面粗度の値が大きくなるほど、接着強度も上昇する。これにより、筒面32及び絶縁樹脂45間における接着の確実性は、向上する。尚、図5における面粗度の値は、十点平均粗さで示されている。
本実施形態における梨地部35の凹凸の面粗度は、具体的には、10マイクロメートル(μm)に設定されている。面粗度が10μmに設定された場合、筒面32及び絶縁樹脂45間の接着強度は、梨地部35の形成されない筒面(例えば、面粗度5〜6μm程度 図4のRz0参照)と絶縁樹脂間における接着強度の二倍程度の9メガパスカル(MPa)となる。このように、梨地部35の面粗度は、二倍程度の接着強度が確保されるように設定されることが望ましい。
以上のような梨地部35の面粗度には、製造上のばらつきが生じる。図6には、梨地部35の面粗度と、コネクタ部30を成形型20,21から離型可能にする勾配角度α(図2参照)との相関が示されている。上述した理由から梨地部35の面粗度を10μmに設定した場合、製造上の凹凸のばらつきを鑑みたとき、成形型20,21からコネクタ部30を離型可能とする各勾配面部33a〜33dの勾配角度αの下限値は、24°程度となる。
一方で、勾配角度α(図2参照)の角度を大きくすると、各角部36a,36bは、応力の集中し易い鋭い形状となってしまう。図7には、勾配角度αと、角部36a,36bにおいて発生の想定される応力との相関が示されている。成形材料30a及び絶縁樹脂45の強度を鑑みて、許容される最大の応力σMAXは、80MPaとされる。この場合、各角部36a,36bにおける発生応力がこの応力σMAXを超えないようにするためには、各勾配面部33a〜33dの勾配角度αの上限値は、27°程度とされる。これらの理由により、各勾配面部33a〜33dの勾配角度αは、24〜27°の範囲内で設定されることが望ましいのである。
ここまで説明した本実施形態によれば、図2に示されるような成形型20,21の簡素な型割りの構成が維持されたままでも、コネクタ部30は、成形型20,21から離型可能である。そして、成形されたコネクタ部30の筒面32に設けられた梨地部35の凹凸に絶縁樹脂45が入り込むことにより、当該絶縁樹脂45及び筒面32間における接着の確実性は、向上する。したがって、成形型20,21の型割りの複雑化を抑制しつつ、絶縁樹脂45及びコネクタ部30の筒面32間におけるクラックの発生を低減することが、可能となるのである。
加えて本実施形態では、勾配面部33a,33c間並びに勾配面部33b,33d間に、角部36a,36bが形成されている。各勾配面部33a〜33dにおける勾配角度αの上限値を、上述したように27°程度とすることにより、各角部36a,36bの内角は、確実に鈍角となり得る。以上によって、各角部36a,36bに生じる応力集中の緩和が図られることによれば、これら角部36a,36b及びこれら角部36a,36bを被覆している部分の絶縁樹脂45を起点とするクラックの発生の低減が、可能となる。
また本実施形態では、一対の成形型20,21を用いることにより、成形型の型割りの複雑化は、抑制されている。加えて、横断面において、型割り面23に沿った支持部31、即ち筒面32の幅wは、各型開方向MOD1,MOD2に沿った筒面32の高さhよりも長くされている。このような支持部31の形状により、各型開方向MOD1,MOD2にのびる各勾配面部33a〜33dの面積は、低減可能となる。以上のようにして、各勾配面部33a〜33dを狭くすることにより、これらに設けられた梨地部35の各成形型20,21への引っ掛かりに起因するアンダカットの発生が、抑制可能となる。したがって、成形型20,21の簡素な型割りの構成を維持したうえで、コネクタ部30を離型可能とする確実性をさらに向上させることが、可能となる。
さらに本実施形態によれば、各勾配面部33a〜33dを形成する筒面32まわりの全周に亘って梨地部35を形成することにより、絶縁樹脂45は、筒面32の全周に亘って梨地部35の凹凸に入り込む。故に、絶縁樹脂45及び筒面32間における接着の確実性は、当該筒面32の全周に亘って向上する。したがって、絶縁樹脂45及びコネクタ部30の筒面32間におけるクラックの発生をさらに低減することが、可能となる。
尚、本実施形態において、成形型20及び成形型21が特許請求の範囲の「特定の成形型」に相当し、コネクタ部30が特許請求の範囲の「コネクタ」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明による一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
上記実施形態では、各勾配面部33a〜33dの勾配角度αは、24〜27°の範囲内とされることを推奨していた。しかし、勾配面部の勾配角度αは、上記の角度範囲に限定されない。例えば、梨地部の凹凸のばらつきを低減することが可能であれば、又は、面粗度を小さくすることが可能であれば、勾配角度αの下限値は、24°より小さくてもよい。また、成形材料30a及び絶縁樹脂45の強度によっては、勾配角度αの上限値を27°よりも大きくすることが可能となる。さらに、成形材料30a及び絶縁樹脂45の強度によっては、各角部36a,36bの各内角は、直角又は鋭角であってもよい。
上記実施形態では、梨地部35の凹凸の面粗度は、10μm程度に設定されていた。しかし、クラックの発生低減が可能な接着強度を確保することができれば、梨地部35の面粗度は、10μmよりも小さくてよい。又は、絶縁樹脂45と筒面32との接着強度がさらに必要な場合、梨地部35の凹凸の面粗度は、13μm程度に設定されるのがよい。図5にて示されるように、接着強度の向上は、面粗度13μmを超えることにより飽和する(図5Rzsを参照)。故に、面粗度を13μm程度に設定することにより、接着強度と角部36a,36b等の損傷低減との両立が、可能となるのである。
上記実施形態では、筒面32の横断面の形状は、六角形であった。しかし、筒面32の形状は、適宜変更されてよい。筒面の横断面の形状は、例えば、矩形形状や複数の直線及び曲線を組み合わせてなる形状であってもよい。このような形状であっても、型開方向に向かうに従って内周側に勾配する勾配面部を筒部に形成することによって、コネクタは、成形型から確実に離型可能となるのである。
上記実施形態では、コネクタ部30の支持部31は、一対の成形型20,21によって成形されていた。しかし、コネクタ部を成形するための成形型の数、及びこれらの型割りの構成は、当該コネクタ部の形状に応じて、適宜変更されてよい。例えば、一対の成形型の型割り面が、上記実施形態における高さ方向に沿っていてもよい。この場合、型割り面に沿った筒面の幅は、型開方向に沿った筒面の高さよりも、短くなる。或いは、三つ以上の成形型によって、筒面を有する支持部が成形される形態であってもよい。
上記実施形態では、筒面32の全周に亘って、梨地部35が形成されていた。しかし、梨地部の形成されない部分が、筒面32に設けられていてもよい。例えば、各勾配面部のみに梨地部が形成され、上面部及び下面部では梨地部35が省略されていてもよい。また、梨地部の面粗度の設定値は、各勾配面部と上面部及び下面部との間で一定でなくてもよい。例えば成形型からの離型を容易にするため、勾配面部の面粗度の設定値が、上面部及び下面部の面粗度の設定値より小さくされていてもよい。
上記実施形態では、各コイル60,65の軸方向がプラグホールの軸方向に対して直交した形態の点火コイル100に、本発明を適用した例を説明したが、本発明の適用対象は、上記の点火コイル100に限られない。他の形態の点火コイル、例えば、各コイル60,65の軸方向がプラグホールに沿っており、当該プラグホールに収容される形態の点火コイル等に本発明を適用することができる。
MOD1,MOD2 型開方向、勾配角度 α、支持部(筒面)の高さ h、支持部(筒面)の幅 w、20,21 成形型、22 キャビティ、23 型割り面、30 コネクタ部(コネクタ)、30a 成形材料、31 支持部、32 筒面、33a〜33d 勾配面部、34a 上面部、34b 下面部、35 梨地部、36a,36b 角部、40 筐体、41 メインケース、42 開口、45 絶縁樹脂、50 イグナイタ、60 一次コイル、61 一次銅線、65 二次コイル、66 二次銅線、68 ボビン、70 中心コア、75 外周コア、80 プラグ装着部、100 点火コイル

Claims (4)

  1. 絶縁樹脂によって被覆される筒面を有しコネクタを備え、前記コネクタを通じて外部の電源から供給される電力を用いることにより、点火プラグに火花放電を生じさせる電圧を生成する点火コイルであって、
    前記コネクタの筒面には、前記コネクタの横断面において、
    互いに向かい合う長辺である上面部及び下面部と、
    前記上面部の端と前記下面部の端とを結んだ先端に角部が形成されるように勾配して設けられる勾配面部と、が形成されており、
    前記勾配面部には、前記長辺に垂直な方向である高さ方向に沿う凹凸を梨地状に設けてなる梨地部とが、形成され、
    前記梨地部は、前記絶縁樹脂から露出する箇所と前記絶縁樹脂に被覆されている箇所との境界に跨るように前記筒面の全周に亘って形成されていることを特徴とする点火コイル。
  2. 記筒面の横断面において、前記一対の勾配面部によって形成される角部の内角が、鈍角であることを特徴とする請求項1に記載の点火コイル。
  3. 請求項1または2に記載の点火コイルを製造する方法であって、
    型締めされた複数の成形型のキャビティに前記コネクタの成形材料を充填することにより、前記勾配面部及び前記梨地部が形成された前記筒面を有する前記コネクタを成形する成形工程と、
    前記成形工程後に前記複数の成形型を各々の型開方向に型開きすることにより、前記コネクタを前記成形型から取り出す型開工程と、
    前記型開工程によって取り出された前記コネクタの前記筒面を前記絶縁樹脂によって被覆する被覆工程と、
    を含むことを特徴とする点火コイルの製造方法。
  4. 前記勾配面部は、
    前記コネクタにおいて前記複数の成形型のうちの特定の一つによって形成される部分に設けられ、当該特定の成形型を型割り面から型開きする型開方向に向かうに従って前記筒面の内周側に勾配しており、
    前記長辺に垂直な方向である高さ方向が、前記特定の成形型の型開方向に沿う方向となることを特徴とする請求項3の点火コイルの製造方法。
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