JP5974959B2 - 車両のグリルシャッタ構造 - Google Patents
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Description
エンジンルーム内へ導入された走行風は、車両走行時、フロアパネルのトンネル部等を後方へ流れて車両周りに空気の乱れを形成する要因であることから、この走行抵抗の増加とこれに伴う車両の燃費性能低下を回避するため、エンジンルーム内へ導入される走行風量を調整可能なグリルシャッタユニットを搭載する傾向が高くなっている。
特許文献1の車両用可動グリルシャッターは、フロントグリル開口部に一体的に設置され、第1支持軸を備えた左側第1フィン(左側シャッタ部材)と、第2支持軸を備えた右側第2フィン(右側シャッタ部材)と、第1フィンを開閉駆動する第1出力軸と、第2フィンを開閉駆動する第2出力軸と、第1,第2フィンの間に配置されたアクチュエータとを備え、第1,第2出力軸と第1,第2支持軸との間に第1,第2自在継手を夫々設けている。
特許文献2の車両前部のダクト構造は、バンパフェースに形成されたフロントグリルとこのフロントグリルの下側に形成された走行風導入口とを設け、これらフロントグリル及び走行風導入口とラジエータコアサポート(シュラウド部材)に支持されたラジエータとの間にラジエータコアサポートに取り付けられたダクト装置(グリルシャッタユニット)を設け、このダクト装置が、フロントグリルと走行風導入口とからラジエータへ走行風を供給する複数のダクト部と、各ダクト部内において走行風を通過又は遮断するシャッタとを夫々備えている。
グリルシャッタユニットは、シュラウド部材の開口の正面に配設され、複数のシャッタ部材が開駆動されたとき、走行風導入口から導入された走行風をラジエータやコンデンサ等へ直接的に供給することで冷却機能を確保している。
しかし、特許文献2のグリルシャッタユニットは、車体前後方向におけるレイアウト性や設計自由度を確保しているものの、車体上下方向のレイアウト性は十分ではない。
グリルシャッタユニットをシュラウド部材の開口部の正面に配設した場合、グリルシャッタユニットの配設位置はシュラウド部材の開口部に制限され、エンジンルームの下側空間を利用できない虞があり、また、グリルシャッタユニットの配設位置に応じてフロントグリルやバンパグリル等の走行風導入口の配設位置が制限されてしまう虞もある。
シュラウド部材の開口部下端よりも上側にグリルシャッタユニットを拡大し、シャッタ部材を増加することも考えられるが、グリルシャッタユニットの大型化や重量増加を招き、他部材のレイアウト性にも影響を与えるため、現実的ではない。
本発明が適用される車両Vには、前後方向に延びる左右1対のフロントサイドフレーム1と、これら左右1対のフロントサイドフレーム1の前端に固定された左右1対のクラッシュカン2と、これら左右のクラッシュカン2の前端に連結された車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント3(以下、バンパーレイン3と略称する)と、このバンパーレイン3に固定された矩形枠状のシュラウド部材20と、このシュラウド部材20に固定されたグリルシャッタユニット30と、車体前端部に配設されたバンパフェース4等が設けられている。
図1,図3,図4,図6に示すように、左右1対のフロントサイドフレーム1は、車幅方向に所定間隔離隔して配設され、これら左右1対のフロントサイドフレーム1の前端に上下左右に張り出したフランジ1aが夫々溶接されている。
左右1対のクラッシュカン2は、角筒状に形成されており、その後端には上下左右に張り出したフランジ2aが夫々溶接され、複数のボルトb1によってフランジ1aに夫々結合されている。これらのクラッシュカン2は、車両衝突時にバンパーレイン3を介して前方から作用した衝突荷重により圧縮変形しながら潰れることで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ・形状に構成されている。
ベース板6は、断面略U字状の本体部6aと、この本体部6aの上端部から上方へ延びる上側フランジ部6bと、この上側フランジ部6bの上端部から屈曲して後方へ延びる上側水平壁部6cと、本体部6aの下端部から下方へ延びる下側フランジ部6dと、この下側フランジ部6dの下端部から屈曲して後方へ延びる下側水平壁部6eとを備えている。
本体部6aの後壁部が左右1対のクラッシュカン2の前端部に連結されている。
図4,図6〜図8に示すように、バンパーレイン3の後側で且つ左右1対のクラッシュカン2の間には、所定距離離隔した状態でシュラウド部材20をバンパーレイン3に支持するための左右1対の取付ブラケット25が夫々接合されている。この左右1対の取付ブラケット25は、本体部6aの後壁部から後方へ延び、その後側壁部に上下1対のボルト穴h6が夫々設けられている。
衝撃吸収体8は、車両衝突時にバンパフェース4及びバンパーレイン3を介して前方から作用した衝突荷重により圧縮変形することで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ・形状に構成されている。
図8に示すように、V字形溝12bは、後述する複数のシャッタ部材35a〜35eから流下してプレート部12a上に滞留する水をその内部に回収し、底部に形成された複数の水抜き孔12fから回収された水を外部(車体下方)へ排出している。
本実施例では、下壁部8aと下側水平壁部6eとが、グリルシャッタユニット30の通気導入口の上側外周壁面に相当し、バンパグリル4bの下縁部とプレート部12aの前側部分の上面が、グリルシャッタユニット30の通気導入口の下側外周壁面に相当している。
図1〜図9,図11に示すように、シュラウド部材20は、バンパーレイン3の後方位置に略鉛直姿勢に配置され、ラジエータ15とコンデンサ(図示略)等が取り付けられている。シュラウド部材20は、硬質合成樹脂材料によって形成され、左右方向に延びてラジエータ15の上部を支持するアッパ部材21と、左右方向に延びてラジエータ15の下部を支持するロア部材22と、アッパ部材21とロア部材22の左右両端部を夫々連結する左右1対のサイド部材23等と、アッパ部材21の途中部とロア部材22の途中部とを上下方向に亙って連結する左右1対のステー部材24を備え、正面視にて開口部Mを備えた略矩形枠状の一体成形体として構成されている。
上壁部21bの左端部と右端部には、ラジエータ15の上部を支持するための左右1対の支持開口(図示略)が設けられている。図3,図9,図11〜図13に示すように、ロア部材22は、フロントクロスメンバ10の前側近傍位置に配置され、上側前壁部22aと、この上側前壁部22aの下端から後方へ水平状に延びる中段部22bと、この中段部22bの後端から鉛直下方へ延びる下側前壁部22cと、この下側前壁部22cの下端から後方へ延びる下壁部22dを備えている。
これら左右1対のサイド部材23は、左右対称の構造のため、主に左側のサイド部材23について説明する。
前壁部23aの中段部には、シュラウド部材20をバンパーレイン3に支持させるための上下1対のボルト穴h2と、これら上下1対のボルト穴h2の下方位置にグリルシャッタユニット30を取り付けるための上下1対のボルト穴h3が形成されている。予めバンパーレイン3に接合された取付ブラケット25のボルト穴h6(図7,図8参照)とサイド部材23の上下1対のボルト穴h2(図9,図11参照)とをボルトb4(図4,図5参照)によって締結することにより、シュラウド部材20がバンパーレイン3に対して固定される。これにより、シュラウド部材20がバンパーレイン3に対して一体的に連結されるため、バンパーレイン3が後退移動する際、シュラウド部材20は、バンパーレイン3と一体的に同期して後退移動する。
グリルシャッタユニット30は、車両Vが所定の運転状態のとき、エンジンルーム内へ流入する走行風を許容し、それ以外の状態(例えば暖機前状態等)のとき、エンジンルーム内へ流入する走行風を制限する走行風量調整機構である。
図3に示すように、グリルシャッタユニット30は、正面視にて脚払い部材12のプレート部12aの上方位置においてフロントグリル4aの下側部分の一部とバンパグリル4bとに重なるように配置され、バンパレイン3の下側に配置されている。図11に示すように、グリルシャッタユニット30は、シュラウド部材20の下側前壁部22cに形成された左右1対のボルト穴h1及び左右1対の前壁部23aに夫々形成された上下1対のボルト穴h3にボルトb2,b3を介して取り付けられている。
シャッタユニット31は、角筒状のユニット枠部33と、このユニット枠部33に枢支され左右方向に延びる複数の回動軸34a〜34eと、これら複数の回動軸34a〜34eに夫々一体形成され且つ開閉動作可能な複数のシャッタ部材35a〜35eと、複数のシャッタ部材35a〜35eを開閉動作させるための開閉駆動手段36等を備えている。
本実施例では、鉛直方向且つ水平状に配列された回動軸34a〜34eと、これら回動軸34a〜34eに夫々一体形成されたシャッタ部材35a〜35eを例として説明する。
下壁部42は、中段部22bよりも下方位置に配置され、車幅方向中央部分において下方へ凹入したユニット側凹部45と、下壁部42の後端且つ左右端寄り位置から夫々下方へ張り出した左右1対の取付フランジ部46が設けられている。
左右1対の取付フランジ部46には、下側前壁部22cに形成された左右1対のボルト穴h1に対応する位置においてシャッタユニット31をシュラウド部材20へ取り付けるためのボルト穴h4が夫々形成されている。
図11,図14に示すように、右側壁部43には、複数のシャッタ部材35a〜35eを開閉動作可能な駆動モータ73が固定されている。
ピニオン71a〜71cは、夫々半径r1に設定され、ピニオン71dは、半径r1より大きな半径r2に設定され、ピニオン71eは、r2より大きな半径r3に設定されている。
図8〜図13に示すように、走行風ガイド部材32は、角筒状のガイド枠部37と、このガイド枠部37の前端から前方へ延びる角筒状のシール部38等を一体的に備えている。
ガイド枠部37は、硬質合成樹脂材料(例えばPP)で形成され、シール部38は、可撓性を有する熱可塑性エラストマー(TPE:例えばシリコンゴム)で可撓性を有するものに形成されている。
本実施例では、1対の金型内に形成された一次成形空間内に硬質合成樹脂材料を射出してガイド枠部37を成形し、これに連続してガイド枠部37が配置された一次成形空間を拡張した二次成形空間内に熱可塑性エラストマーを射出してシール部38を成形する異種樹脂成形方法により、一体品の走行風ガイド部材32を製造している。
これにより、材質の異なった二種類の合成樹脂からなる走行風ガイド部材32を1回の成形工程で製造し、ガイド枠部37とシール部38の結合力を高くしている。
上壁部51は、その前端形状が平面視にてバンパレイン3の後端部分に沿うように前凸湾曲状に形成され、バンパレイン3の後端部分よりも後側に配設されている。
上側中央シール部66は、後部よりも前部が上方へ移行するように形成され、組付け時(車両Vの停止)時、上側中央シール部66の上面は衝撃吸収体8の下壁部8aとバンパーレイン3の下側水平壁部6eとに対して隙間Sを形成するように近接状に配置されている(図13参照)。この上側中央シール部66は、複数のシャッタ部材35a〜35eが閉動作したとき、進行が遮断された走行風(矢印)によって上側中央シール部66の下方空間の圧力上昇に伴って上方へ弾性変形可能に構成されている(図12参照)。
左右1対の側部シール部63には、車幅方向内側へ突出して前後方向に延びる複数のリブ部68が夫々設けられている。
まず、図11に示すように、シュラウド部材20にシャッタユニット31やラジエータ15等を組み付けシュラウドアセンブリ体を形成する。シュラウド部材20のボルト穴h1,h3にシャッタユニット31のボルト穴h4,h5を重ね合わせた後、ボルトb2,b3をボルト穴h1,h3,h4,h5に挿通し締結工具(図示略)によって締結する。
シュラウド部材20にシャッタユニット31を組み付けたシュラウドアセンブリ体をバンパフェース4が未装着の車体上方から左右1対のフロントサイドフレーム1の間で且つバンパレイン3の後方位置に搬送し、バンパレイン3に設けられた取付ブラケット25のボルト穴h6(図7、図8参照)とシュラウド部材20のボルト穴h2(図9,図11参照)を重ね合わせてボルトb4(図4,図5参照)を挿通し、締結工具により締結する。
走行風ガイド部材32を車体前方から衝撃吸収体8の下壁部8a及びバンパレイン3の下側水平壁部6eと脚払い部材12のプレート部12aとの間を通るように搬送し、走行風ガイド部材32に設けられた脚部56のボルト穴h7にシャッタユニット31のボルト部47を挿通し、ナットn1により締結する。このとき、図13に示すように、走行風ガイド部材32の上側中央シール部66の上面は、衝撃吸収体8の下壁部8aとバンパーレイン3の下側水平壁部6eとに対して隙間Sを形成するように離隔しているため、容易に組付けることができる。
走行風ガイド部材32をシャッタユニット31に組み付けた後、バンパフェース4を組付ける。
この車両Vのグリルシャッタユニット30によれば、複数のシャッタ部材35a〜35eの開駆動時、シュラウド部材20の開口部M下端よりも上方に配設されたシャッタ部材35a〜35cによって走行風を誘導する誘導方向よりもシュラウド部材20の開口部M下端よりも下方に配設されたシャッタ部材35dによって走行風を誘導する誘導方向を上方へ偏向するように構成されたため、シュラウド部材20の開口部M下端よりも下方にシャッタユニット31の少なくとも一部を配設することができ、シュラウド部材20の開口部M下端よりも下方から導入された走行風の進行を阻害することなく、走行風をシュラウド部材20の開口部Mに誘導することができる。それ故、シャッタユニット31のレイアウト性と冷却機能とを両立することができる。
実施例1では、開閉駆動手段36が複数のピニオン71a〜71eに噛合可能なラック部材72等ラックアンドピニオン機構によって複数のシャッタ部材35a〜35eを開閉駆動したが、実施例2では、開閉駆動手段36Aが複数のピニオン71a〜71eに噛合可能な複数の歯車75a〜75d等の歯車機構によって複数のシャッタ部材35a〜35eを開閉駆動している。
歯車75aは、ピニオン71a,71bの間において両ピニオン71a,71bに噛合可能に枢支され、歯車75bは、ピニオン71b,71cの間において両ピニオン71b,71cに噛合可能に枢支され、歯車75cは、ピニオン71c,71dの間において両ピニオン71c,71dに噛合可能に枢支され、歯車75dは、ピニオン71d,71eの間において両ピニオン71d,71eに噛合可能に枢支されている。
1〕前記実施例においては、複数のシャッタ部材の開閉駆動手段をラックアンドピニオン機構や歯車機構で構成した例を説明したが、リンク機構で構成しても良い。
図16に示すように、グリルシャッタユニット30Bの開閉駆動手段36Bは、複数のシャッタ部材35a〜35eに複数の駆動軸76a〜76eを夫々設け、これら複数の駆動軸76a〜76eとモータ側駆動輪78とをリンクさせるリンク部材77を備えている。尚、説明の便宜上、シャッタ部材35a〜35cのうち、シャッタ部材35cのみを示している。
駆動軸76dの右側端部は、まゆ状の軸支部77aに保持されているため、シャッタ部材35dはシャッタ部材35a〜35cの開作動に遅れて開作動し、シャッタ部材35a〜35cの閉作動に遅れて閉作動する。駆動軸76eの右側端部は、軸支部77aよりも大きなまゆ状の軸支部77bに保持されているため、シャッタ部材35eはシャッタ部材35dの開作動に遅れて開作動し、シャッタ部材35dの閉作動に遅れて閉作動する。それ故、複数のシャッタ部材35a〜35eの開駆動時、シャッタ部材35dの開度をシャッタ部材35a〜35cの開度よりも小さく、シャッタ部材35eの開度をシャッタ部材35dの開度よりも小さく設定することができる。
また、複数のシャッタ部材を全開時の角度毎にグループ分けし、これらグループ毎に駆動モータを設けることも可能である。
3 バンパレイン
12 脚払い部材
20 シュラウド部材
22 ロア部材
22c 下側前壁部
30,30A,30B グリルシャッタユニット
31 シャッタユニット
32 走行風ガイド部材
35a〜35e シャッタ部材
36,36A,36B 開閉駆動手段
37 ガイド枠部
38 シール部
71a〜71e ピニオン
72 ラック部材
73,73A,73B 駆動モータ
75a〜75d 歯車
Claims (4)
- 車体前部に設けられたシュラウド部材よりも車体前方に配設され且つ開閉可能な複数のシャッタ部材を有するシャッタユニットと、このシャッタユニットに設けられ且つ前記複数のシャッタ部材を開閉駆動可能な開閉駆動手段とを備えた車両のグリルシャッタ構造において、
前記シャッタユニットの下部が前記シュラウド部材の前壁部に固定され、
開閉駆動手段は、複数のシャッタ部材の開駆動時、前記シュラウド部材の開口部下端よりも上方に配設された第1シャッタ部材によって走行風を誘導する誘導方向よりも前記シュラウド部材の開口部下端よりも下方に配設された第2シャッタ部材によって走行風を誘導する誘導方向を上方へ偏向するように構成されたことを特徴とする車両のグリルシャッタ構造。 - 前記開閉駆動手段は、複数のシャッタ部材の端部に夫々固定された複数のピニオンと、これら複数のピニオンが噛合するラック部材と、このラック部材を昇降駆動可能な駆動モータとを備え、
前記第1シャッタ部材の端部の第1ピニオンが前記第2シャッタ部材の端部の第2ピニオンよりも小径に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のグリルシャッタ構造。 - 前記シャッタユニットの外周縁部から車体前方へ延びる走行風ガイド部材を備え、
前記走行風ガイド部材が、前記シャッタユニットの外周縁部に装着される枠部と、この枠部の前端から前方へ連なり且つ枠部よりも可撓性を有する軟質合成樹脂製のシール部とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のグリルシャッタ構造。 - 前記車両が車体前端に設けられたバンパーレインフォースメントと車体前端下部に設けられた脚払い部材を備え、
前記バンパーレインフォースメントの下端部が前記シール部の上壁部の上面に近接状に形成され、
前記脚払い部材が前記シール部の下壁部の下面に当接状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両のグリルシャッタ構造。
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