以下に本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしも、そのスケールに限定されない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子について図1を用いて説明する。図1(B)は本実施の形態の発光素子の上面図であり、図1(A)は図1(B)に示すa−b間における断面を示した図である。
本実施の形態の発光素子10は図1(A)に示すように、基板100上の第1の電極103と、第1の電極103上に設けられた島状の絶縁層111と、絶縁層111上の、表面に凹凸構造を備える補助電極113と、第1の電極103、絶縁層111、及び補助電極113上のEL層105と、EL層105上の第2の電極107を有する。第2の電極107上に封止膜115を設けてもよい。
また、図1(B)に示すように、第2の電極107は配線117と電気的に接続している。図示しないが、配線117は外部電源と接続しており、第2の電極107には配線117を通じて電圧が印加される。
発光素子10は基板100と接する面とは反対側の面から光を取り出すトップエミッション構造である。そのため、光を取り出す側に設けられる第2の電極107は可視光に対する透光性を有する透明電極である。
一般的に、光を取り出す側の第2の電極107に用いられる、可視光に対する透光性を有する材料は高い抵抗を有する。そのため、第2の電極107の一部において電位を一定に保つことが困難となり、輝度ムラを生じることがある。そこで、抵抗率の高い第2の電極107の導電性を補助する電極として、補助電極113が設けられている。
補助電極113は少なくとも、第2の電極107よりも抵抗率の低い金属からなる。また、補助電極113は表面に凹凸構造を備える。補助電極113と比較して、EL層105が薄いため、補助電極113に備えられた凹凸構造によって、EL層105は段切れを起こす。EL層105が段切れを起こすことで、補助電極113の凸部がEL層105上に突出する。したがって、EL層105上に設けられている第2の電極107と補助電極113の凸部とが電気的に接続する。抵抗率の低い補助電極113によって第2の電極107の導電性が補助され、第2の電極107の特定部の電位が降下することを防ぎ、発光素子10の輝度ムラが低減する。
ここで、補助電極が備える凹凸構造について詳細を述べる。補助電極の凹凸構造は、一様でない凸部を複数有し、複数の凸部のうちの一部が第2の電極と電気的に接続している。第2の電極と容易に電気的に接続する凸部の形状について説明する。なお、本明細書中で、補助電極が備える凹凸構造の凸部の傾斜とは、補助電極113が備える凹凸構造の凸部の側面と基板または第1の電極103が作る平面とがなす角度のことを指す。
補助電極113が備える凹凸構造の凸部の傾斜は均一である必要はなく、一の補助電極113は、様々な大きさの傾斜を有する凸部を含むことができる。特に、凹凸構造は、第1の電極103に対して40度以上140度以下の傾斜を備える凸部を含んでいる構成が好ましい。凸部が備える側面と第1の電極103が作る平面(基板のような水平面)が、急な角度で交わる構成であるほど、凹凸構造上のEL層105が補助電極113に対して薄くなり、段切れを起こしやすくなる。また、凸部の傾斜が大きくなりすぎると、EL層105上の第2の電極107も段切れを起こしてしまう。したがって、補助電極113が備える凸部は、EL層105は段切れを起こすが、第2の電極107は段切れしない40度以上140度以下とすることが好ましい。また、より好ましくは凸部が40度以上90度以下の傾斜を備える構成とすることがよい。凸部の傾斜が90度以下となると、第2の電極107を作製する際に、異方性が高い作製方法を用いても第2の電極107が段切れを起こさないように形成することが容易である。
凹凸構造の凸部は、針状の構造となり、先端部に向かって鋭利になる構造であることが好ましい。先端部に向けて細くなることで、凹凸構造の先端部において段切れを起こしやすい。なお、補助電極113の構成は針状に限らず、補助電極113の凹凸構造によってEL層105が段切れを起こすような形状であれば、他にも、多角錐、直方体、立方体等の構造、またはこれらが群を為している構造とすればよい。
また、凹凸構造は凹部と凸部を複数有する方がよい。補助電極113が形成される領域の中で、凹凸構造が多くある方が、一つ一つの凸部の側面の傾斜が大きくなって、EL層105の被覆性が悪くなり、EL層105が段切れを起こしやすい。
また、凹凸構造の最も高い点と最も低い点の高低差は0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。凹凸構造の高低差が大きいほど、EL層105が段切れを起こしやすくなる。
発光素子10は補助電極113をEL層105よりも先に設けることができる構成である。したがって、補助電極113の作製工程に起因するEL層105への損傷がなく、上部電極(第2の電極107)に補助電極113を設けた信頼性の高い発光素子を作製することができる。
また、補助電極113に用いる抵抗率の低い導電材料は、光に対する透光性を有していない場合が多く、例えば、第2の電極107上に補助電極を設ける構成とした場合、補助電極と重畳する領域が遮光されて、光を取り出すことが困難である。発光素子10は補助電極113と重畳する領域が、絶縁層111によって絶縁され非発光であるため、補助電極113によって遮光されてしまう領域が発光することを防ぎ、エネルギー効率の低下を抑制することができる。
続いて、本実施の形態の発光素子に用いることができる材料について示す。
基板100は発光素子の支持体として機能する材料を用いればよく、例えばガラス、有機樹脂、金属、半導体等を用いることができる。発光素子10は、発光を基板と接する面とは反対側から外部へ取り出すトップエミッション構造であるため、基板が可視光に対する透光性を有する必要がない。そのため、基板100の材料に関して制限がなく、安価な基板を用いることができる。例えば、基板100として、プラスチックなどのフレキシブルな基板を用いることもできる。
基板100として、有機樹脂を用いる場合、有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネイト(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、または、ポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜた基板を使用することもできる。
また、金属基板などの熱伝導性の高い基板を用いることもできる。EL素子を用いた大型の照明装置の場合、EL素子からの発熱が問題となる場合があるため、このような熱伝導性の高い基板を用いると放熱性が高まる点で好ましい。例えば、ステンレス基板のほかに、アルミニウム酸化物、ジュラルミンなどを用いると、軽量且つ放熱性を高めることができる。また、アルミニウムとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとマグネシウム酸化物との積層などを用いると、基板表面を絶縁性とすることができるため好ましい。
第1の電極103は反射電極として機能する層であるため、反射性を有する材料を用いて形成される。反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金、銀とマグネシウムの合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。第1の電極103は、反射率を高めるため、凹凸を有していても良い。
絶縁層111は、絶縁性を有する膜であれば特に限定されない。例えば、無機材料としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムなどを用いることができる。有機材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン等を含む有機樹脂、エポキシ樹脂、またはレジストなどを用いることができる。
補助電極113は抵抗率の高い第2の電極107の導電性を補助するための電極である。そのため、少なくとも後述の第2の電極107よりも低い抵抗率を有する材料からなる。補助電極113の材料としては、銀、銅、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウム、ニッケル、から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成する。また、補助電極113の材料としてアルミニウムを用いることもできるが、その場合には透明電極に用いるインジウムスズ酸化物(ITO)などと直接接して設けると腐食する恐れがある。よって、補助電極113を積層構造とし、インジウムスズ酸化物などと接しない層にアルミニウムを用いればよい。
なお、補助電極113の材料に銀ペースト等を利用すると、補助電極113を構成する金属が粒状となって凝集する。そのため、補助電極113の表面が粗く隙間の多い構成となり、EL層105が補助電極113を完全にカバーするのは難しく、第2の電極107と補助電極113との接続を容易にとることができる。
EL層105は少なくとも発光性の有機化合物を含む層からなる。なお、EL層105については後の実施の形態で詳細を述べる。
第2の電極107は、光を射出する側に設ける電極であるため、可視光に対する透光性を有する必要がある。透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
また、第2の電極107上に封止膜115を設ける。EL層105は水に弱いため、バリア性を有する封止膜115を設けることで、発光素子10の信頼性を高めることができる。封止膜としては酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または酸化アルミニウム膜等を使用することができる。
なお、第2の電極107上、または、封止膜115上に平坦化膜を設けてもよい。平坦化膜は、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いて形成することができる。なお、アクリル樹脂、ポリイミド、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機絶縁材料を用いると、平坦化絶縁膜として好適である。また上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化膜を形成してもよい。なお、封止膜115に平坦化膜としての役割を持たせてもよい。
<変形例>
本実施の形態に示す発光素子は、島状の絶縁層111と、表面に凹凸構造を備える補助電極113が必ずしも、第1の電極103上になくともよい。例えば、図4に示す発光素子11のように、基板と接する絶縁層112上に補助電極113を設ける構成としてもよい。図4(B)は基板上に直接、絶縁層112を作製し、その上に補助電極113が設けられた発光素子11の上面図であり、図4(A)は図4(B)のa−b間における断面を示している。
図4(A)に示す発光素子11は、基板100上に絶縁層112を設け、絶縁層112上に表面に凹凸構造を備える補助電極113を設け、該凹凸構造によって、補助電極113上のEL層105が段切れを起こし、補助電極113の凸部と第2の電極107が電気的に接続する。また、補助電極113は、基板100及び第1の電極103との絶縁性が保証されていれば、絶縁層112を設けずに、基板100上に直接、凹凸構造を備えた補助電極113を設ける構成としてもよい。
なお、基板上に直接絶縁層112を作製し、その上に補助電極113を設ける構成は、図4(A)に示すように、第1の電極103の端部に隔壁109を設けることが好ましい。これは、第1の電極103の端部と、基板上の絶縁層112との間でEL層105が段切れすることを防ぎ、第1の電極103と、補助電極113との絶縁性を保証するためである。なお、隔壁109は絶縁層112の作製と同一の工程で作製すると、工程数が減って好ましい。
また、基板上に設けた補助電極113は、外部電源との接続配線として用いることもできる。例えば、補助電極113を作製する工程と同様の工程で、外部電源との接続電極を作製できるため好ましい。大面積基板等で、補助電極113と同様の工程で作製することができる。
本実施の形態の発光素子は、下面射出構造としてもよい。図6(A)に示す発光素子12のように、第1の電極103に透光性を有する透明電極を用い、第2の電極107に反射電極となる遮光性を有する電極を設ける構成としてもよい。一般的に反射電極に用いる電極は抵抗率が低いが、第2の電極107の面積が巨大である場合等は、第2の電極107は特定部において保持する電位が変化して、電圧降下が起こる場合がある。その際、図6に示す発光素子12のように補助電極113を設けることで、第2の電極107の特定部における電圧降下が抑制されて、輝度ムラが低減し、信頼性の高い発光素子を提供することができる。
また、本実施の形態の発光素子は、図7に示す発光素子13のように、上面から見て、補助電極同士が垂直に配置される構成とすることができる。補助電極は第2の電極の電圧降下がより低減できるように任意に配置してよい。また、補助電極の大きさは場所によって異なってもよい。特に外部電源との接続箇所から離れた部分において電圧降下が起こりやすいため、図7に示すように、外部電源と接続する配線117に近い部分に横方向に走る補助電極123を設け、補助電極123から、外部電源と離れる縦方向に向かって補助電極を配置すると電圧降下が抑制される。なお、外部電源と接続する配線は、一カ所のみでなく、複数設けることもできる。各配線と電気的に接続する補助電極を配置することで、電圧降下が抑制される。
また、本実施の形態の発光素子は、上部電極上に、光の取り出し効率を向上させるための光学素子を設けてもよい。図8に示す発光素子14は、封止膜115上にマイクロレンズアレイを取り付けた構成としている。図8(B)は発光素子14の上面図を示しており、図8(A)は図8(B)のa−b間の断面図である。発光素子14はマイクロレンズアレイ等の光学素子を封止側に配置することが可能であり、マイクロレンズアレイに直接、発光素子を作り込む必要がないため、マイクロレンズアレイの材質の選択の幅が広がる。
マイクロレンズ等の光学素子は、図8(B)に示すように、凹凸構造を発光素子上に最密充填構造として設けることが好ましい。発光素子上に設ける光学素子の凹凸構造としては、半球状の構造の他に、円錐、四角錐、六角錐等の多角錐等を用いることができる。
本実施の形態で示した発光素子は、補助電極をEL層よりも先に設けることができる構成である。したがって、上部電極に補助電極を設けても、EL層に与える損傷を低減した信頼性の高い発光素子を提供できる。
また、本実施の形態で示した発光素子は補助電極が設けられた領域が発光しないため、取り出せない発光を防ぎ、エネルギー効率の低下が抑制された発光素子を提供することができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子のうち、両面射出型(デュアルエミッション型)である発光素子について図5を用いて説明する。なお本実施の形態のうち、実施の形態1に示した、トップエミッション型の発光素子と同様の構成、同一の部分または機能を有する部分については、その繰り返しの説明は省略する。
図5に示すように両面射出型の発光素子20は、基板200上の第1の電極203と、第1の電極203上に設けられた島状の補助配線209と、補助配線209を覆う島状の絶縁層211と、絶縁層211上の、表面に凹凸構造を備える補助電極213と、第1の電極203、絶縁層211、及び補助電極213上のEL層205と、EL層205上の第2の電極207と、第2の電極207上の封止膜215と、を有する。
発光素子20は両面射出型の発光素子であるため、基板200、第1の電極203、第2の電極207は可視光に対する透光性を有する。
基板200に用いることができる透明基板としては、ガラス基板や、石英基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板を用いることができる。
第1の電極203及び第2の電極207には、実施の形態1に示した発光素子の第2の電極に用いた透光性を有する導電材料を用いることができる。一般的に可視光に対する透光性を有する透明電極に用いられる材料は高い抵抗を有する。そこで、発光素子20の第1の電極203及び第2の電極207には、透明電極の導電性を補助するための、補助配線209及び補助電極213がそれぞれ設けられている。
第1の電極203の導電性を補助する電極として、補助配線209が設けられている。補助配線209は少なくとも第1の電極203よりも抵抗率の低い材料からなる。補助配線209は第1の電極203上にあって、一方の面で第1の電極203と電気的に接続し、他方の面を絶縁層211によって覆われている。補助配線209は第2の電極207との絶縁性が保証されるように、絶縁層211と、EL層205の被覆性が高まるような形状であることが好ましい。例えば、図5(A)に示すように、島状の形状をとることができる。島状の形状の端部において、被覆性が高まるように、側面が緩やかな傾斜、例えば、第1の電極203に対する補助配線209の側面の傾斜角は60度以下、好ましくは40度以下をなすテーパーを有することが好ましい。
絶縁層211上には、第2の電極207の導電性を補助する補助電極213が設けられている。補助電極213は少なくとも、第2の電極207よりも抵抗率の低い金属からなる。また、補助電極213は表面に凹凸構造を備える。補助電極213が備える凹凸構造によって、補助電極213上のEL層205が段切れを起こす。EL層205が段切れを起こすことで、補助電極213の凸部がEL層205上に突出し、補助電極213と第2の電極207は電気的に接続する。抵抗率の低い補助電極213によって、第2の電極207の電圧降下による輝度ムラが抑制されている。
また、一般的に補助配線209及び補助電極213に用いられる抵抗率の低い導電材料は、光に対する透光性を有していないため、補助配線や補助電極が設けられた領域と重畳する領域は遮光され、光を取り出すことは困難である。発光素子20は補助配線209及び補助電極213と重畳する領域において、第1の電極203とEL層205が絶縁層211によって絶縁されているため発光しない。したがって、遮光されてしまう領域の発光を防ぎ、エネルギー効率の低下を抑制することができる。
本実施の形態で示した発光素子は、補助電極をEL層よりも先に設けることができる構成である。したがって、補助電極の作製時に起因するEL層への損傷が低減され、上部電極に補助電極を設けた信頼性の高い発光素子を作製することができる。
本実施の形態は他の実施の形態と適宜組み合わせて使用することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に示した発光素子の作製方法の一例について、図2及び図3を用いて説明する。本実施の形態で示す作製方法を用いると、上部電極に補助電極を設けても、EL層に与える損傷を低減することができるため、信頼性の高い発光素子を作製することができる。
まず、はじめに、図2(A)に示すように、基板100上に第1の電極103となる導電層を形成する第1の工程を有する。第1の電極103は、実施の形態1で述べた材料を用いて、スパッタリング法、蒸着法等の成膜方法を用いて形成できる。その後、当該導電層に対し、フォトリソグラフィ法などの加工方法を用いて不要な部分を除去することにより、第1の電極103が形成される。
また、図示していないが、第1の電極103を設ける前に、基板100に下地膜を設けてもよい。下地膜は、バリア膜として機能する絶縁層を用いることができ、CVD法、スパッタリング法等の成膜方法により形成できる。例えば、無機絶縁膜をスパッタリング法で形成することができる。例えば、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化ケイ素膜などを形成すればよい。また、光射出方向と反対側に設けられる封止膜、または下地膜は、金属膜と上記無機絶縁膜を積層したものを用いてもよい。
また、基板として有機樹脂を用いる場合には、下地膜として、25μm以上100μm以下の厚さのガラス層を用いてもよい。ガラス層の厚さは、特に45μm以上80μm以下であると好ましい。有機樹脂基板とガラス層とを組み合わせることで水分又は不純物等が発光ユニットの外部から発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを抑制することができ、かつ発光ユニットの軽量化を実現することができる。
また、第1の電極103を形成する前に、基板100上に、凹凸を有する層を形成してもよい。凹凸を形成することで、反射電極の機能を高め、光の取り出し効率を向上することができる。凹凸を有する層は、材料、屈折率、可視光に対する透光性等に限定がない。加熱処理を行ってもよいし、凹凸の形成方法にも制限はない。例えば、ナノインプリント法やフォトリソグラフィ法を用いることができる。
また、基板100に、図1(B)に示した配線117などの配線を形成し、当該配線117部に開口を有する平坦化絶縁膜を形成した後、第1の電極103を形成してもよい。その場合、配線117は第1の電極103の形成と同様、導電膜を形成した後に不要な部分を除去することにより形成できる。また、平坦化絶縁膜は、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いて形成することができる。
なお、アクリル樹脂、ポリイミド、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機絶縁材料を用いると、平坦化絶縁膜として好適である。また上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。
平坦化絶縁膜の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、スピンコート法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法等を用いることができる。
なお、実施の形態2に示した、両面射出型の発光素子を作製する場合、この段階で、第1の電極と接する補助配線を設け、補助配線上を絶縁層で覆えばよい。補助配線は、配線117や、他の導電膜と同様の作製方法を用いて形成することができる。補助配線は、補助配線を覆う絶縁層によって、第2の電極との絶縁性が確保されている必要があるため、絶縁層の被覆性を低減させないような形状とすることが好ましい。
続いて、第1の電極103上に絶縁層111を形成する第2の工程を有する。絶縁層111の作製工程は、まず、第1の電極103上に絶縁膜104を形成し(図2(B)参照)、絶縁膜104を加工して、島状の絶縁層111とする(図2(C)参照)。絶縁膜104は、蒸着法、スパッタリング法、スクリーン印刷などを用いて成膜することができる。絶縁膜104は第1の電極103と補助電極113の絶縁性が保証されるようであれば、その膜厚は問わない。島状の絶縁層111の形成には、絶縁膜104にフォトリソグラフィ法や、スパッタリング法などを用いて加工する。なお、この時行われているエッチングやフォトリソグラフィ法はEL層を形成する前に行っているので、EL層に損傷を与えることがない。
続く第3の工程では、絶縁層111上に、表面に凹凸構造を有する補助電極113を設ける(図2(D)参照)。補助電極113の作製方法としては、スクリーン印刷、リソグラフィ法、スパッタリング法、蒸着法等の方法を用いることができる。補助電極113はEL層よりも先に形成されるため、どのような方法を用いて形成してもEL層に損傷を与えることがない。
また、補助電極としてアルミニウム膜を用いる場合、加熱処理によりアルミニウム膜上に発生するヒロックを凹凸構造として用いてもよい。アルミニウム膜に形成されるヒロックは、表面からの高さが500nm程度にまで成長し、ヒロック上に形成されるEL層がヒロックを被覆することができない場合がある。補助配線を形成したい箇所のヒロックの成長を促し、該ヒロックを補助電極の凹凸構造とすることで、補助配線と上部電極との電気的な接続を容易にとることができる。
ここでは、絶縁層111を作製した後、スクリーン印刷法によって補助電極113を形成する。スクリーン印刷法は、パターンを形成したい箇所に、シルクやメッシュと呼ばれる格子状の開口を設け、該開口を介して金属ペーストを吐出してパターンを形成する技術である。そのため、開口部を通過した金属ペーストは細かい粒状となって凝集するため、スクリーン印刷によって形成された補助電極は表面に凹凸を有する。
また、スクリーン印刷法ではフォトマスクを用いずに、補助電極をパターニングすることができるため、フォトマスクの作製にかかるコストを低減することができる。
次に、第1の電極103、絶縁層111、及び補助電極113上に、少なくとも、発光性の有機化合物を含む層を有するEL層105を形成する第4の工程を有する(図3(A)参照)。EL層105は真空蒸着法などを用いて形成することができる。
続いて、EL層105及び補助電極113上に第2の電極107を形成する第5の工程を有する(図3(B)参照)。第2の電極107の成膜方法としては、蒸着法や、スパッタリング法などがあげられる。EL層105と、第2の電極107は連続成膜されると、EL層105に不純物等が入り込んで、EL層に損傷を与えることが妨げられて好ましい。
EL層105は、少なくとも補助電極113の凸部の一部が突出するように成膜される必要がある。一般的には、EL層の厚さは数100nm程度、補助電極の厚さが5μm〜15μmであり、EL層が補助電極に対して十分に薄いため、凹凸構造を有する補助電極上にEL層を成膜すると、EL層が段切れを起こして補助電極113と第2の電極107が電気的に接続する。
第2の電極107の成膜は、少なくとも補助電極113の凸部と第2の電極107が接触するように行う必要がある。このように成膜されることで、補助電極113と第2の電極107の接続が確保され、第2の電極107の特定部における電圧降下が生じることを抑制できる。
その後、第2の電極107を覆う封止膜を形成する。ここでは、封止膜115を設ける(図3(C)参照)。封止膜115を設けることで、外部からの水などの不純物の浸入を抑制できるため、信頼性の高い発光素子とすることができる。
封止膜115上に平坦化膜を設けてもよい。また、封止膜115に平坦化膜の機能を持たせてもよい。封止膜、平坦化膜の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、スピンコート法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法、CVD法等を用いることができる。
EL層105、第2の電極107、封止膜115までが、連続成膜されると、EL層に不純物等が入り込まず、信頼性の高い発光素子を作製することができる。
以上の作製工程により、上部電極である第2の電極の導電性を補助する電極を有する発光素子を作製できる。抵抗率の高い第2の電極に補助電極が設けられているため、第2の電極の特定部の電位が降下することを防ぎ、輝度ムラが抑制された発光素子を提供することができる。
本実施の形態の作製方法は、補助電極をEL層よりも先に設けることができるため、EL層を設けた後に、メタルマスクによる押しつけやフォトリソグラフィ法のようなEL層に損傷を与える工程がなく、信頼性の高い発光素子を作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に適用できるEL層の一例について、図9を用いて説明する。なお、本実施の形態では、EL層について説明するため、島状の絶縁層及び補助電極等については省略する。
図9(A)に示すEL層105は、第1の電極103と第2の電極107の間に設けられている。第1の電極103及び第2の電極107は、上記実施の形態と同様の構成を適用することができる。
本実施の形態に示す発光素子において、第1の電極103は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するが、本発明はこれに限られない。つまり、第1の電極103が陰極として機能し、第2の電極107が陽極として機能する構成としてもよい。
EL層105は、少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層が含まれていればよい。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。本実施の形態において、EL層105は、第1の電極103側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。なお、これらを反転させた積層構造としてもよい。
図9(A)に示す発光素子の作製方法について説明する。
まず、第1の電極103を形成する。陽極として機能する第1の電極103は仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン等を用いることができる。
ただし、EL層105のうち、第1の電極103に接して形成される層が、後述する有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いて形成される場合には、第1の電極103に用いる物質は仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金などを用いることができる。第1の電極103は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1の電極103からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い有機化合物とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1の電極103からEL層105への正孔注入が容易となる。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、正孔輸送層702には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いてもよい。
また、正孔輸送層702には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
発光性の有機化合物を含む層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
発光性の有機化合物を含む層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。緑色系の発光材料として、9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)、9,10−(ビフェニル−2−イル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)、9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)、9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)、9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)、9−(N,N−ジフェニルアミノ)−10−フェニルアントラセン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
また、発光性の有機化合物を含む層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq)3)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)2(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス[2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)2(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)2(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(dpm))、(2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリナト)白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナート)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
なお、発光性の有機化合物を含む層703としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−[4−(3,6−ジフェニル−N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、9−{4−[3−(N、N−ジフェニルアミノ)−N−カルバゾリル]フェニル}−10−フェニルアントラセン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、9−フェニル−10−(4−[N−フェニル−N−{3−(N−フェニル)カルバゾリル}]アミノ)フェニルアントラセン(略称:PCAPA)、9−(4−{4’−[N−フェニル−N−(N−フェニル−3−カルバゾリル)]アミノ}フェニル)フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCAPBA)、9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光性の有機化合物を含む層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
また、発光性の有機化合物を含む層703として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
また、発光性の有機化合物を含む層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光性の有機化合物を含む層を2つ有する発光素子において、第1の発光性の有機化合物を含む層の発光色と第2の発光性の有機化合物を含む層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、発光性の有機化合物を含む層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
EL層は、図9(B)に示すように、第1の電極103と第2の電極107との間に複数積層されていてもよい。この場合、積層された第1のEL層800と第2のEL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
EL層105は、図9(C)に示すように、第1の電極103と第2の電極107との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極107と接する複合材料層708を有していてもよい。
第2の電極107と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極107を形成する際に、EL層105が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、CuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定である。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)及びTiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)のいずれかは、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいてもよい。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、ビスベンゾイミダゾ[2,1−a:2’,1’−a]アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリン−10,21−ジオン(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN)6)、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
その他にも、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すればよい。
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すればよい。
そして、EL層105上に、第2の電極107を形成する。
陰極として機能する第2の電極107は、仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわち、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えばMg―Ag、Al―Li)、ユーロピウム、イッテルビウム、等の希土類金属及びこれらを含む合金の他、アルミニウムや銀などを用いることができる。
ただし、EL層105のうち、第2の電極107に接して形成される層が、上述する有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を含む場合には、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な伝導性材料を用いることができる。
なお、第2の電極107を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いる事ができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を利用した発光装置のうち、主に照明装置に用いることができる発光装置について図10を用いて説明する。なお、図10(A)は、発光装置600を示す上面図、図10(B)は図10(A)をA−Bで切断した断面図である。
図10(A)に示す発光装置600は、発光素子の一方の電極が第1の端子603と電気的に接続されており、発光素子の他方の電極が第2の端子604と電気的に接続された構造を有する。
図10(B)に示す、トップエミッション型の発光装置600は、第1の基板601上に、第1の電極605、絶縁層610、補助配線611、EL層606、および第2の電極607を含む発光素子608を有する。トップエミッション型の発光素子608は第1の基板601とは反対側の第2の基板602側から光を取り出す。
補助配線611は凹凸構造を有しているため、EL層606が補助配線611上で段切れを起こし、第2の電極607と電気的に接続する。そのため、EL層606の下に補助配線を設ける構成であるため、EL層606を作製した後にエッチングやリソグラフィ法といったEL層に損傷を与える工程を行わなくてよいので、EL層606に加わる損傷を低減でき、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
また、絶縁層610によって第1の電極とEL層が絶縁されているため、補助配線611によって遮光されてしまう部分のEL層は発光しない。したがって、外部に取り出せない発光が生じることがなく、エネルギー効率の低下が抑制された発光装置を提供することができる。
図10(B)に示すように第1の端子603は第1の電極605に電気的に接続され、第2の端子604は第2の電極607と電気的に接続されている。また、第1の電極605の端部には、絶縁層609が形成されている。
また、第1の基板601と第2の基板602はシール材612によって接着されている。また、第1の基板601と第2の基板602との間には、充填材613が封入されている。充填材は発光素子の発光が第2の基板へ入射する前に、大気(屈折率の低い雰囲気)へと入射することを防止するために、封入されている。
発光素子608と充填材613の間にはガスバリア層を設けてもよい。ガスバリア層を設けることで、発光素子に水分等の不純物が侵入することがない。また、侵入した水分を取り除くため、充填材613は乾燥材入りの充填材としてもよい。
なお、図10(A)に示す発光装置600の形状は八角形であるが、本発明の一態様はこれに限られない。発光装置600は、その他の多角形または曲線をもつ形状としてもよい。特に、発光装置600の形状としては、三角形、四角形、正六角形などが好ましい。限られた面積に複数の発光装置600を隙間無く設けることができるためである。
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置を得ることができる。なお、本発明の一態様の発光装置は、EL層の下に凹凸構造を有する補助電極を有するため、EL層が段切れを起こして、補助電極と第2の電極が電気的に接続し、第2の電極の抵抗に起因する電圧降下による輝度ムラが抑制された発光装置を提供することができる。
また、EL層の下に補助配線を設ける構成とすることができるため、作製工程において、EL層に与える損傷を低減し、信頼性の高い発光装置を提供することができる。また、補助電極によって遮光される部分が発光することがなく、エネルギー効率の低下が抑制された発光装置を提供できる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5に示した発光装置を応用した発光装置の一例について、図11を用いて説明する。
図11は、本発明の一態様である発光装置を室内の照明装置8001として用いた例である。なお、発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8002を形成することもできる。本実施の形態で示す発光装置に含まれる発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の壁面に大型の照明装置8003を備えても良い。
また、本発明の一態様である発光装置は、すべて透光性の材料で形成することにより窓ガラス8004としても用いることができる。
さらに、発光装置をテーブル8005の表面に用いることによりテーブルとしても用いることができる。なお、その他の家具の一部に発光装置を用いることにより、家具として用いることができる。
以上のようにして、本発明の一態様である照明装置は、様々な用途に用いることができる。本実施の形態で示した発光装置は、上記の実施の形態で示す本発明の一態様の発光装置を用いているため、輝度ムラが抑制され、信頼性の高い発光装置である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、スクリーン印刷法により補助電極を形成し、補助電極上にEL層及び第2の電極を形成した後、断面観察を行った結果について示す。
まず、ガラス基板上にスクリーン印刷法によりエポキシ樹脂(太陽インキ製造株式会社製S−30F B206)を印刷し、大気雰囲気下で140℃、55分の焼成を行い、絶縁層を形成した。さらに絶縁層上に、銀粒子を含む導電性ペースト(住友電気工業社製AGEP−201X)をスクリーン印刷法により形成した後、大気雰囲気下で200℃、80分の焼成を行い、補助電極を形成した。
その後、真空蒸着法により、膜厚約300nmのEL層を成膜した。
さらに、第2の電極として、スパッタリング法を用いて膜厚110nmのITO膜をその上層に成膜した。なお、断面観察を行うためコート層として、その上にカーボン層を形成した。
その後、上記基板の補助電極を含む領域をFIB(収束イオンビーム:Focused Ion Beam)を用いて薄片加工した後、走査透過型電子顕微鏡(日立製作所製「HD−2300」:STEM)で加速電圧を200kVとし、断面観察を行った。
図12(A)に、10000倍で観察した断面観察像を示す。
補助電極は様々な大きさの銀粒子が凝集して形成され、その表面に荒い表面凹凸形状が形成されていることがわかった。
さらに、銀粒子上のEL層、及び第2の電極は、補助電極の表面の凹凸形状によって膜が薄く形成されている領域や膜が分断されている領域が形成されていることが分かった。
次に、図12(B)には、図12(A)中の破線で囲んだ領域を50000倍に拡大して観察した断面観察像を示す。
図12(B)から、EL層上の第2の電極の一部が補助電極と接触している領域(破線で示す)が形成されていることがわかった。
ここで図中の破線で囲んだ領域に着目すると、補助電極によってEL層が分断され、且つ第2の電極がEL層を乗り越えて補助電極と接続していることが分かった。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子を用いて照明装置を作製し、該照明装置の発光について確認した。
まず、本実施例において作製した照明装置の作製方法について説明する。
270mm×326.4mmの大きさの第1のガラス基板上にスパッタリング法によって、チタン膜50nm、アルミニウム膜200nm、チタン膜100nmを順に積層して第1の電極を形成した。本実施例において第1の電極は陽極として用いた。なお、電力効率を考慮して発光素子の発光領域は基板の長手方向において4分割した。
続いて、第1の電極上にスクリーン印刷法により線幅400μmのストライプ状のエポキシ樹脂(太陽インキ製造株式会社製S−30F B206)を印刷した後、大気雰囲気下で140℃、30分の焼成を行った。さらに、もう一度同様に、スクリーン印刷法でストライプ状のエポキシ樹脂を印刷した後、大気雰囲気下で140℃、30分の焼成を行い、絶縁層を形成した。なお、エポキシ樹脂の印刷工程を2回行ったのは、樹脂の厚膜化を図り、第1の電極と、後に形成する補助電極との絶縁性を確保するためである。絶縁層は1つの発光領域あたり、35本形成した。
さらに絶縁層上に、銀粒子を含む導電性ペースト(住友電気工業社製AGEP−201X)を線幅200μmとなるようにスクリーン印刷法により形成した後、大気雰囲気下で200℃、80分の焼成を行い、補助電極を形成した。
続いて、第1の電極の端部を覆うように、スクリーン印刷法によりエポキシ樹脂(太陽インキ製造株式会社製S−30F B206)を用いた絶縁層を形成し、大気雰囲気下で140℃、30分焼成する工程を2回行い、第1の電極層の端部を覆う絶縁層を形成した。
第1の電極の端部を覆う絶縁層は、第1の電極と、後に形成される第2の電極の絶縁性を確保するための絶縁層である。
その後、真空蒸着法により、膜厚約300nmのEL層を成膜した。EL層は、青色の発光を呈する層と橙色の発光を呈する層を含む積層構造とした。
さらに、第2の電極として、スパッタリング法を用いて膜厚110nmのITO膜をその上層に成膜した。本実施例の照明装置は、発光素子が設けられた基板とは反対側から光を取り出すトップエミッション構造の発光素子である。したがって、光を取り出す側である第2の電極には透光性を有するITOを用いた。
さらに、第2の電極上に、253.90mm×314.40mmの大きさの第2のガラス基板を設け、発光素子内に水分等の不純物が侵入しないように封止した。
図13に、本実施例で作製した照明装置を発光させた時の写真を示す。図13で見えるストライプ状の非発光領域に沿って、補助電極が形成されている。本実施例に示す照明装置は補助電極が形成されている箇所が発光しないため、消費電力を低減することができる。
写真の破線で示した領域には、発光領域に電流を供給するための電極が設けられている。発光領域の左右から供給された電流は、ストライプ状に形成された補助電極によって発光領域全体に均一に供給されているため、本実施例に示す照明装置は、端部や中央部でも発光強度に差がなく、輝度ムラの低減された均一な発光が得られる。
本発明の一態様の照明装置は、素子基板側に凹凸構造を有する補助電極を設けることで、補助電極をEL層よりも先に設けることができ、作製工程におけるEL層への損傷が低減された信頼性の高い発光素子を含む。本実施例で作製した照明装置より、該信頼性の高い発光素子を用いて、均一な発光を呈する照明装置が得られたことが確認できた。
凹凸構造を有する補助電極によって、上面射出型の発光素子の上部電極の抵抗が低下し、発光素子内の電圧降下が抑制される。したがって、本実施例では、大面積基板上に上面射出型の発光素子を形成しても、発光素子内での電圧降下が抑制され、輝度ムラの低減された照明装置を作製することができた。