以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機発光ディスプレイの断面構造を表すものである。この有機発光ディスプレイは、互いに対向配置された素子パネル10と封止パネル20とを備え、これら素子パネル10と封止パネル20とが例えば熱硬化型樹脂よりなる接着層30を全面に介して貼り合わせられている。素子パネル10は、例えば、ガラスなどの絶縁材料よりなる平坦な素子基板11の上に、TFT12および平坦化層13を介して、赤色の光を発生する有機発光素子10Rと、緑色の光を発生する有機発光素子10Gと、青色の光を発生する有機発光素子10Bとが、順に全体としてマトリクス状に設けられている。
TFT12は、有機発光素子10R,10G,10Bの各々に対応する能動素子であり、有機発光素子10R,10G,10Bはアクティブマトリクス方式により駆動されるようになっている。TFT12のゲート電極(図示せず)は、図示しない走査回路に接続され、ソースおよびドレイン(いずれも図示せず)は、例えば酸化シリコンあるいはPSG(Phospho-Silicate Glass)などよりなる層間絶縁膜12Aを介して設けられた配線12Bに接続されている。配線12Bは、層間絶縁膜12Aに設けられた図示しない接続孔を介してTFT12のソースおよびドレインに接続され、信号線として用いられる。配線12Bは、例えばアルミニウム(Al)もしくはアルミニウム(Al)―銅(Cu)合金により構成されている。なお、TFT12の構成は、特に限定されず、例えば、ボトムゲート型でもトップゲート型でもよい。
平坦化層13は、TFT12が形成された素子基板11の表面を平坦化し、有機発光素子10R,10G,10Bの各層の膜厚を均一に形成するためのものである。平坦化層13には、有機発光素子10R,10G,10Bの第1電極14と配線12Bとを接続する接続孔13Aが設けられている。平坦化層13は、微細な接続孔13Aが形成されるため、パターン精度が良い材料により構成されていることが好ましい。平坦化層13の材料としては、ポリイミド等の有機材料、あるいは酸化シリコン(SiO2 )などの無機材料を用いることができる。
有機発光素子10R,10G,10Bは、例えば、素子基板11の側から、TFT12および平坦化層13を介して、陽極としての第1電極14、絶縁膜15、発光層を含む有機層16、および陰極としての第2電極17がこの順に積層されている。また、素子基板11には、第1電極14とは電気的に絶縁された補助配線層18が形成されており、この補助配線層18と第2電極17とが電気的に接続されており、その詳細については後述する。第2電極17の上には、必要に応じて、保護膜19が形成されている。
第1電極14は、反射層としての機能も兼ねており、できるだけ高い反射率を有するようにすることが発光効率を高める上で望ましい。第1電極14および補助配線層18を構成する材料としては、例えば、白金(Pt),金(Au),銀(Ag),クロム(Cr)あるいはタングステン(W)などの金属元素の単体または合金が挙げられ、第1電極14の積層方向の厚み(以下、単に厚みと言う)は100nm以上300nm以下とされることが好ましい。第1電極14は単層構造でもよいし複数の層の積層構造でもよい。
絶縁膜15は、第1電極14と第2電極17との絶縁性を確保すると共に、有機発光素子10R,10G,10Bにおける発光領域の形状を正確に所望の形状とするためのものである。絶縁膜15は、例えば、膜厚が600nm程度であり、酸化シリコンあるいはポリイミドなどの絶縁材料により構成されている。絶縁膜15は、有機発光素子10R,10G,10Bにおける発光領域に対応して開口部15Aが設けられると共に、補助配線層18に対応して開口部15Bが設けられている。
有機層16は、素子基板11上において第1電極14、絶縁膜15および補助配線層18の上面を含めたほぼ全面に形成されている。有機層16の構成および材料については後述する。
第2電極17は、例えば、発光層で発生した光に対して半透過性を有する半透過性電極17Aと、発光層で発生した光に対して透過性を有する透明電極17Bとが有機層16の側からこの順に積層された構造を有している。半透過性電極17Aは、厚みが10nm程度であり、銀(Ag),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)などの金属または合金により構成されるが、ここでは、例えばマグネシウム(Mg)と銀との合金(MgAg合金)により構成されている。透明電極17Bは、半透過性電極17Aの電気抵抗を下げると共に、第2電極17と補助配線層18との接触面積を増加させて両者の間の接触抵抗を低減するためのものであり、発光層で発生した光に対して十分な透過性を有する導電性材料により構成されている。透明電極17Bを構成する材料としては、例えば、インジウム酸化物(InOx ),スズ酸化物(SnOx )、亜鉛酸化物(ZnOx )などがあるが、ここでは、インジウムと亜鉛(Zn)と酸素とを含む化合物(IZO)が用いられている。室温で成膜しても良好な導電性および高い透過率を得ることができるからである。透明電極17Bの厚みは、例えば200nm程度である。
保護膜19は、例えば、厚みが500nm以上10000nm以下の透明膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO2 ),窒化シリコン(SiN)などにより構成されている。
一方、封止パネル20は、素子パネル10の第2電極17側に位置しており、接着層30と共に有機発光素子10R,10G,10Bを封止する封止基板21を有している。封止基板21は、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止基板21には、例えば、ブラックマトリクス23が素子パネル10の有機発光素子10R,10G,10Bに合わせてマトリクス状にパターニングされ、この各パターン毎に、赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bを配色している。また、カラーフィルタ22は、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光を取り出すと共に、有機発光素子10R,10G,10B並びにその間の配線において反射された外光を吸収し、コントラストを改善するようになっている。
カラーフィルタ22は、封止基板21のどちら側の面に設けられてもよいが、素子パネル10の側に設けられることが好ましい。カラーフィルタ22が表面に露出せず、接着層30により保護されるからである。
赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bは、それぞれ例えば矩形形状に形成されている。これら赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bは、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されており、顔料を選択することにより、目的とする赤,緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。またパターニングされたブラックマトリクス23は、反射光吸収膜から構成されている。22R、22Gおよび22Bを構成する顔料とブラックマトリクス23を構成する反射光吸収膜の耐熱温度は200℃程度である。また、反射光吸収膜は、例えば黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜、または薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタにより構成することができる。このうち黒色の樹脂膜により構成するようにすれば、安価で容易に形成することができるので好ましい。薄膜フィルタは、例えば、金属,金属窒化物あるいは金属酸化物よりなる薄膜を1層以上積層し、薄膜の干渉を利用して光を減衰させるものである。薄膜フィルタとしては、具体的には、クロムと酸化クロム(III)(Cr2 O3 )とを交互に積層したものが挙げられる。
封止パネル20には、また、柱状のスペーサ24が設けられている。このスペーサ24は、素子パネル10側の補助配線層18に対向する位置に形成されたブラックマトリクス23上に設けられており、その本体部24Aの先端部分には導電性材料からなる突起部24Bが一体化されている。
本体部24Aは、例えばフォトレジスト材からなり、その形状は必要に応じて直方体や円柱などに適宜調整されるが、本実施の形態では、上面が10μmφ、高さが5μmのテーパ状に形成されている。この本体部24Aは、封止基板21上の任意の場所に形成できるが、開口率および表示品位の低下などを防ぐために、上述のように補助配線層18に対向するブラックマトリクス23上に形成することが好ましい。
突起部24Bは、例えば、アルミニウム(Al)またはモリブデン(Mo)などの低抵抗の金属からなり、1または複数の突起により構成されている。突起の形状は任意であるが、本実施の形態では、アルミニウム(Al)からなる、高さ200μmの2つの円錐状突起を有している。この突起部24Bは、第2電極17、有機層16をこの順に貫通し、その先端部分が補助配線層18に接触しており、これにより第2電極17と補助配線層18が電気的に接続されている。
突起部24Bにおける最大粗さRmaxは、有機層16が後述するように真空蒸着法で形成されるものであって被覆性がそれほど高くないことから、必ずしも有機層16の厚みよりも大きくなくてもよいが、有機層16の厚みよりも大きいほうがより好ましい。突起部24Bの高さが有機層16よりも大きくなり、突起部24Bの先端が潰れて補助配線層18との接触面積が増加し、電気抵抗を低下させることができるからである。更に、突起部24Bにおける最大粗さRmaxが等しければ、突起部24Bの突起の数はなるべく多いほうがより好ましい。補助配線層18と第2電極17との良好な電気的接続を得ることができるからである。なお、ここでいう有機層16の厚みとは、有機層16が複数の層の積層構造を有する場合には、それらの複数の層の合計厚みをいう。
図2(A)〜(C)は、有機発光素子10R,10G,10Bの構成をそれぞれ拡大して表すものである。第1電極14は、例えば、素子基板11の側から、密着層14A、反射層14Bおよびバリア層14Cがこの順に積層されたものである。密着層14Aは、反射層14Bが平坦化層13から剥離するのを防止するためのものである。また、反射層14Bは、発光層で発生した光を反射させるものである。バリア層14Cは、反射層14Bを構成する銀あるいは銀を含む合金が空気中の酸素あるいは硫黄成分と反応することを防止すると共に、反射層14Bを形成した後の製造工程において反射層14Bがダメージを受けることを緩和する保護膜としての機能も有している。
密着層14Aは、例えば、厚みが5nm以上50nm以下、本実施の形態では例えば20nmであり、インジウム(In)とスズ(Sn)と酸素(O)とを含む化合物(ITO;Indium Tin Oxide)により構成されている。反射層14Bは、例えば、厚みが50nm以上200nm以下、本実施の形態では例えば200nmであり、光の吸収損失を小さくして反射率を高めるため、銀(Ag)または銀を含む合金により構成されている。バリア層14Cは、例えば、厚みが1nm以上50nm以下であり、ITOにより構成されている。本実施の形態では、バリア層14Cの厚みは、有機発光素子10R,10G,10Bに後述する共振器構造を導入するため、有機発光素子10R,10G,10Bの発光色により異なっている。
有機層16は、有機発光素子10R,10G,10Bの発光色にかかわらず同一の構造を有しており、例えば、正孔輸送層41,発光層42および電子輸送層43が第1電極14の側からこの順に積層されている。正孔輸送層41は、発光層42への正孔注入効率を高めるためのものである。本実施の形態では、正孔輸送層41が正孔注入層を兼ねている。発光層42は、電界をかけることにより電子と正孔とが再結合して光を発生するものであり、絶縁膜15の開口部15Aに対応した領域で発光するようになっている。電子輸送層43は、発光層42への電子注入効率を高めるためのものである。
正孔輸送層41は、例えば、厚みが40nm程度であり、4,4′,4″−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)またはα−ナフチルフェニルジアミン(α−NPD)により構成されている。
発光層42は、白色発光用の発光層であり、例えば、第1電極14と第2電極17との間に互いに積層して設けられた赤色発光層42R,緑色発光層42Gおよび青色発光層42Bを有している。赤色発光層42R,緑色発光層42Gおよび青色発光層42Bは、陽極である第1電極14側からこの順に積層されている。赤色発光層42Rは、電界をかけることにより、第1電極14から正孔輸送層41を介して注入された正孔の一部と、第2電極17から電子輸送層43を介して注入された電子の一部とが再結合して、赤色の光を発生するものである。緑色発光層42Gは、電界をかけることにより、第1電極14から正孔輸送層41を介して注入された正孔の一部と、第2電極17から電子輸送層43を介して注入された電子の一部とが再結合して、緑色の光を発生するものである。青色発光層42Bは、電界をかけることにより、第1電極14から正孔輸送層41を介して注入された正孔の一部と、第2電極17から電子輸送層43を介して注入された電子の一部とが再結合して、青色の光を発生するものである。
赤色発光層42Rは、例えば、赤色発光材料,正孔輸送性材料,電子輸送性材料および両電荷輸送性材料のうち少なくとも1種を含んでいる。赤色発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよい。本実施の形態では、赤色発光層42Rは、例えば、厚みが5nm程度であり、4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニン)ビフェニル(DPVBi)に2,6−ビス[(4’−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより構成されている。
緑色発光層42Gは、例えば、緑色発光材料,正孔輸送性材料,電子輸送性材料および両電荷輸送性材料のうち少なくとも1種を含んでいる。緑色発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよい。本実施の形態では、緑色発光層42Gは、例えば、厚みが10nm程度であり、DPVBiにクマリン6を5重量%混合したものにより構成されている。
青色発光層42Bは、例えば、青色発光材料,正孔輸送性材料,電子輸送性材料および両電荷輸送性材料のうち少なくとも1種を含んでいる。青色発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよい。本実施の形態では、青色発光層42Bは、例えば、厚みが30nm程度であり、DPVBiに4,4’−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより構成されている。
電子輸送層43は、例えば、厚みが20nm程度であり、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )により構成されている。
半透過性電極17Aは、発光層42で発生した光を第1電極14の反射層14Bとの間で反射させる半透過性反射層としての機能を兼ねている。すなわち、この有機発光素子10R,10G,10Bは、第1電極14の反射層14Bとバリア層14Cとの界面を第1端部P1、半透過性電極17Aの発光層42側の界面を第2端部P2とし、有機層16およびバリア層14Cを共振部として、発光層42で発生した光を共振させて第2端部P2の側から取り出す共振器構造を有している。
このように共振器構造を有するようにすれば、発光層42で発生した光が多重干渉を起こし、一種の狭帯域フィルタとして作用することにより、取り出される光のスペクトルの半値幅が減少し、色純度を向上させることができるので好ましい。また、上述したように有機発光素子10R,10G,10Bの発光色によりバリア層14Cの厚みを調整して、第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離Lを異ならせるようにすれば、赤色発光層42Rで生じる赤色の光,緑色発光層42Gで生じる緑色の光および青色発光層42Bで生じる青色の光のうち取り出したい光のみを共振させて第2端部P2の側から取り出すことができるので好ましい。
更に、封止パネル20から入射した外光についても多重干渉により減衰させることができ、図1に示したカラーフィルタ22との組合せにより有機発光素子10R,10G,10Bにおける外光の反射率を極めて小さくすることができるので好ましい。すなわち、カラーフィルタ22における透過率の高い波長範囲と、共振器構造から取り出す光のスペクトルのピーク波長λとを一致させるようにすることにより、封止パネル20から入射する外光のうち、取り出す光のスペクトルのピーク波長λに等しい波長を有するもののみがカラーフィルタ22を透過し、その他の波長の外光が有機発光素子10R,10G,10Bに侵入することが防止される。
そのためには、共振器の第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離Lは数1を満たすようにし、共振器の共振波長(取り出される光のスペクトルのピーク波長)と、取り出したい光のスペクトルのピーク波長とを一致させることが好ましい。光学的距離Lは、実際には、数1を満たす正の最小値となるように選択することが好ましい。
(数1)
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(式中、Lは第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離、Φは第1端部P1で生じる反射光の位相シフトΦ1 と第2端部P2で生じる反射光の位相シフトΦ2 との和(Φ=Φ1 +Φ2 )(rad)、λは第2端部P2の側から取り出したい光のスペクトルのピーク波長、mはLが正となる整数をそれぞれ表す。なお、数1においてLおよびλは単位が共通すればよいが、例えば(nm)を単位とする。)
この表示装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
図3ないし図16はこの表示装置の製造方法を工程順に表すものである。まず、図3(A)に示したように、上述した材料よりなる素子基板11の上に、TFT12,層間絶縁膜12Aおよび配線12Bを形成する。次に、図3(B)に示したように、素子基板11の全面に、例えばスピンコート法により上述した材料よりなる平坦化層13を形成し、露光および現像により平坦化層13を所定の形状にパターニングすると共に接続孔13Aを形成する。続いて、図4に示したように、平坦化層13の上に、例えば、上述した厚みおよび材料よりなる第1電極14および補助配線層18を形成する。
第1電極14および補助配線層18は、例えば、密着層14A、反射層14Bおよびバリア層14C(いずれも図2参照)を順に形成したのち、例えばリソグラフィ技術を用いて、バリア層14C、反射層14Bおよび密着層14Aをエッチングすることにより形成することができる。密着層14Aおよびバリア層14Cは、例えば直流スパッタリング法により、スパッタガスとして例えばアルゴン(Ar)および酸素(O2 )の混合ガスを用い、圧力は例えば0.4Pa、出力は例えば300Wとして形成する。反射層14Bは、例えば直流スパッタリング法により、スパッタガスとして例えばアルゴン(Ar)ガスを用い、圧力は例えば0.5Pa、出力は例えば300Wとして形成する。エッチングの際には、バリア層14Cの厚みを、有機発光素子10R,10G,10Bの発光色により異ならせる。
そののち、図5(A)に示したように、素子基板11の全面にわたり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学的気相成長)法により絶縁膜15を上述した膜厚で成膜し、例えばリソグラフィ技術を用いて絶縁膜15のうち発光領域に対応する部分および補助配線層18に対応する部分を選択的に除去し開口部15A,15Bを形成する。
次に、図5(B)に示したように、素子基板11上において第1電極14、絶縁膜15および補助配線層18の上に、例えば蒸着法により、上述した厚みおよび材料よりなる正孔輸送層41,発光層42および電子輸送層43(いずれも図2参照)を順次成膜し、有機層16を形成する。その際、図6に示したように、形成予定領域に対応して開口部51Aを有する金属性のエリアマスク51を用い、素子基板11の周囲および図示しない取り出し電極が形成される部分を除いて全面に有機層16を成膜する。
続いて、図7に示したように、有機層16の上に、上述した厚みおよび材料よりなる半透過性電極17Aおよび透明電極17Bを順に形成し、第2電極17を形成する。
具体的には、まず、半透過性電極17Aを例えば蒸着法により形成する。すなわち、例えばマグネシウムを0.1gおよび銀0.4gを、別々の抵抗加熱用のボートに充填して、これらを真空蒸着装置(図示せず)の電極に取り付け、次いで、装置内の雰囲気を例えば1.0×10-4Paまで減圧したのち、各ボートに電圧を印加し加熱して、マグネシウムと銀とを共蒸着させる。このときマグネシウムと銀との成長速度比は、例えば9:1とする。
そののち、半透過性電極17Aの上に、透明電極17Bを成膜する。これにより、補助配線層18と第2電極17との接触面積を増加させて両者の間の接触抵抗を低減させることができる。透明電極17Bは、直流スパッタリング法などのスパッタリング法により形成することが好ましい。スパッタリング法は真空蒸着法に比べて被覆性が高く、良好な膜厚で成膜が可能だからである。スパッタガスとしては例えばアルゴンと酸素との混合ガス(体積比Ar:O2 =1000:5)を用い、圧力は例えば0.3Pa、出力は例えば400Wとする。以上により、図1および図2に示した有機発光素子10R,10G,10Bが形成される。
次に、図8に示したように、第2電極17の上に、上述した厚みおよび材料よりなる保護膜19を形成する。これにより、図1に示した素子パネル10が形成される。
一方、図9(A)に示したように、例えば、上述した材料よりなる封止基板21の上に、素子パネル10上の各有機発光素子10R,10G,10Bに合わせてマトリクス状のブラックマトリクス23を形成した後、有機発光素子10Rに対応した封止基板上のブラックマトリクス23のパターンに、赤色フィルタ22Rの材料をスピンコートなどにより塗布して焼成することにより赤色フィルタ22Rを形成する。続いて、図9(B)に示したように、赤色フィルタ22Rと同様にして、青色フィルタ22Bおよび緑色フィルタ22Gを順次形成する。
次に、封止基板21上にスペーサ24の本体部24Aを形成し、続いてこの本体部24Aの上面に、第2電極17と補助配線層18とを電気的に接続するための突起部24Bを形成する。
スペーサ24の形成位置は、図10に示したように、画素の開口率および表示品位などの低下を防ぐためにブラックマトリクス23上とする。このとき、単位面積記当たりの数が等しくなるように形成する。本体部24Aは、フォトリソグラフィ法を用いて、フォトレジストにより、図11に示したように上面が10μmφ、高さが5μmのテーパ状になるように形成する。なお、図11は、図10のA−A’部の断面構成を表している。このように本体部24Aをアルミニウム(Al)よりも強固な樹脂により形成することによって、突起部24Bを、保護膜19および接着層30、更に有機第2電極17および有機層16を合わせた膜厚を安定して貫通させることができる。なお、図1,図11,図13,図14,図15および図25に示したスペーサ24の形状は誇張して表しており、実寸比とは異なる。
続いて、図12に示した蒸着マスク60を用いて、図13に示したように、本体部24A上に突起部24Bを形成する。ここでは、突起部24Bとして、本体部24A上に例えば2つの円錐形の突起を有するものの形成方法について説明する。
蒸着マスク60は、10μmφ程度の複数の蒸着用孔60Aを有しており、その蒸着用孔60Aの壁面60Bは、封止基板21の表面に対して垂直に形成されている。この蒸着用孔60Aを採用する理由を図28および図29を参照して説明する。
まず、図29(A)に示したような蒸着用孔602Aがテーパ形状の平坦蒸着用マスク602を用いた場合、基板210に形成される蒸着物702は均一な厚さを有する。この理由は、平坦蒸着用マスク602がテーパ状の形状を有しているため、蒸着量が蒸着用孔602Aの中心からの距離に依存しない逆シャドウ効果を生ずるからである(図29(B))。すなわち、突起は形成されず蒸着物702は平坦な形状となるため、第2電極17および有機層16を貫通させることはできない。一方、図28(A)に示したように、孔壁面601Bが基板210に対して垂直に形成された突起蒸着用マスク601を用いた場合には、蒸着量が蒸着用孔601Aの中心からの距離に依存するシャドウ効果(図28(B))が得られ、円錐形の突起701を形成することができる。以上の理由から本実施の形態では、壁面60Bが垂直の蒸着用孔60Aを有する蒸着マスク60を用いるものとする。以下、図13に戻って、封止基板21に形成された本体部14Aに対して突起部24Bを形成する方法について具体的に説明する。
まず、図13に示したように、封止基板21をスペーサ24の本体部24Aが形成されている面を下に向けて、蒸着源(図示せず)に対向させると共に、蒸着源と封止基板21との間に蒸着マスク60を配置する。続いて、蒸着マスク60の蒸着用孔60Aが封止基板21上の本体部24Aに対向する位置にくるように位置合わせを行う。本実施の形態では、本体部24Aの上面に2つの突起24B1,24B2を形成するために、蒸着マスク60における蒸着用孔60Aの中心60A1を、本体部24Aの上面の中心24A1よりもやや外周側にずれるように配置する。
蒸着に際しては、抵抗加熱法を用いて、例えば蒸着レート0.2nm/s〜0.3nm/s,蒸着中真空度10-5Pa以下の条件下で、また、封止基板21に対しては加熱を行なわないで、突起部24Bを形成する。突起部24Bを形成する際に抵抗加熱法を用い、封止基板21に対しては加熱を行わないのは、上述したように、カラーフィルタ22を構成する顔料およびブラックマトリクス23を構成する樹脂の耐熱温度が200℃程度であるため、これら2つの構成要素に対して、熱衝撃をできるだけ与えないようにするためである。
以上のような条件で、図14および図15に示したように、順に第1突起24B1および第2突起24B2を形成する。これにより、封止パネル20上に、先端に導電性の突起部24Bを有するスペーサ24を形成することができる。
封止パネル20および素子パネル10を形成したのち、図16に示したように、素子基板11の有機発光素子10R,10G,10Bを形成した側に、熱硬化型樹脂よりなる接着層30を塗布形成する。塗布は、例えば、スリットノズル型ディスペンサーから樹脂を吐出させて行うようにしてもよく、ロールコートあるいはスクリーン印刷などにより行うようにしてもよい。その後、封止パネル20のカラーフィルタ22と素子パネル10の有機発光素子10R,10G,10Bとの相対位置を整合させ、図1に示したように、素子パネル10と封止パネル20とを接着層30を介して貼り合わせる。その際、接着層30に気泡などが混入しないようにすることが好ましい。
具体的には、所定温度で所定時間加熱処理を行い、接着層30の熱硬化性樹脂を硬化させて、素子パネル10側または封止パネル20側からローラなどを用いて加圧封止を行ないながら、素子パネル10と封止パネル20を貼り合わせる。
このとき本実施の形態では、加圧封止の際、封止パネル20の押圧力によって、スペーサ24の突起部24Bの第1突起24B1および第2突起24B2が第2電極17および有機層16を突き破り、その結果、導電性の突起部24Bを介して第2電極17と補助配線層18とが電気的に接続される。以上により、図1および図2に示した表示装置が完成する。
この表示装置では、例えば、第1電極14と第2電極17との間に所定の電圧が印加されると、有機層16の赤色発光層42R,緑色発光層42Gおよび青色発光層42Bに電流が注入され、正孔と電子とが再結合することにより、赤色発光層42Rでは赤色光、緑色発光層42Gでは緑色光、青色発光層42Bでは青色光が発生する。これらの赤色,緑色および青色光は、有機発光素子10R,10G,10Bの第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離Lに応じて、有機発光素子10Rでは赤色光hR のみ、有機発光素子10Gでは緑色光hG のみ、有機発光素子10Bでは青色光hB のみが第1端部P1と第2端部P2との間で多重反射し、第2電極17を透過して取り出される。
本実施の形態では、封止基板21のブラックマトリクス23上に本体部24Aの上に導電性の突起部24Bを備えたスペーサ24を形成するようにしたので、素子パネル10と封止パネル20を加圧封止により貼り合わせる際に、突起部24Bが第2電極17および有機層16を貫通し、その結果第2電極17と補助配線層18とが電気的に接続される。これにより第2電極17における電圧降下が抑制され、表示画面の周辺部と中央部との間での輝度のばらつきが抑制され、表示品質が向上する。
また、本実施の形態では、画素塗り分けマスクを使用せずに有機層16を素子基板11のほぼ全面に形成しても、第2電極17と補助配線層18とを電気的に接続させることができる。よって、画素塗り分けマスクの位置ずれあるいは熱膨張の影響による有機層16の欠け等によって成膜不良が発生するようなことはなく、そのため歩留りが向上し、高精細化に極めて有利となる。また、画素塗り分けマスクに付着しているダスト等が有機層16などに付着してショートの原因となることを防止することができる。更に、第2電極17と補助配線層18とを電気的に接続するための特別な加工を必要とせず、素子パネルの製造における工程数が少なくて済む。
(第2の実施の形態)
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る有機発光ディスプレイの断面構造を表すものである。本実施の形態では、第1の実施の形態においてスペーサ24に設けた導電性の突起部24Bに代えて、補助配線層18に突起構造18Aを設けたこと以外は第1の実施の形態と同一である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。この有機発光ディスプレイは、補助配線層18における突起構造18Aにより第2電極17と補助配線層18を電気的に接続させるものである。
図18は補助配線層18の一部を拡大したもので、下地層181と導電層182とが素子基板11側から順に積層され、導電層182の上面に突起構造18Aが形成されている。なお、図19に示したように、下地層181に複数の突起を設け、この下地層181を導電層182で覆うことにより、導電層182の上面に下地層181の突起に対応した突起構造18Aを形成するようにしてもよい。このような突起構造18Aにより、補助配線層18の上面が有機層16に完全に覆われることがなく、第2電極17と補助配線層18とが電気的に接続される。特に、図19に示した構造の補助配線層18は、導電層182の材料あるいは厚みを調整することにより第2電極17のシート抵抗を低減する効果をより高めることができるので好ましい。
下地層181の材料は特に制限されるものではなく、アルミニウム(Al)などの導電材料により構成されていてもよいし、ポリイミドなどの絶縁材料により構成されていてもよい。下地層181が導電材料により構成されている場合には、下地層181と第1電極14との構成および材料を同一とすればより好ましい。後述する製造工程で下地層181と第1電極14とを同一工程で形成することができるからである。
導電層182は、下地層181との密着性のよい導電材料により構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)よりなるもの、または、チタン(Ti)層とアルミニウム(Al)層とチタン(Ti)層とを下地層181側から順に積層したものが好ましい。後述する製造工程において、絶縁膜15を形成する際のCVD法に伴う熱処理により導電層182の上面を凹凸化させて突起構造18Aを容易に形成することができ、突起構造18Aを形成するために工程を追加する必要がないからである。
補助配線層18の上面の最大粗さRmaxは、必ずしも有機層16の厚みよりも大きくなくてもよい。有機層16は後述するように真空蒸着法で形成されるので被覆性はそれほど高くなく、補助配線層18の上面が有機層16により完全に覆われてしまう可能性は小さいと考えられるからである。ただし、補助配線層18の上面における最大粗さRmaxは、有機層16の厚みよりも大きいほうがより好ましい。突起構造18Aの深さが有機層16よりも大きくなり、補助配線層18の上面が有機層16により完全に覆われてしまうのを確実に防止することができるからである。更に、補助配線層18の上面における最大粗さRmaxが等しければ、突起構造18Aの数はなるべく多いほうがより好ましい。補助配線層18と第2電極17との良好な電気的接続を得ることができるからである。なお、ここでいう有機層16の厚みとは、有機層16が複数の層の積層構造を有する場合には、それらの複数の層の合計厚みをいう。
突起構造18Aの側面の素子基板11の平坦面11Aに対するテーパ角θは、有機層16を形成する工程において補助配線層18の上面が有機層16により完全に覆われていない角度であることが好ましい。具体的には、補助配線層18の材料により異なり得るが、例えば、70°ないし90°程度が好ましい。例えば、テーパ角θが70°程度であれば、突起構造18Aは、図20に示したような錐状の突起となり、例えばテーパ角θが90°であれば、突起構造18Aは図21に示したような柱状の突起となる。また、特に、補助配線層18を図19に示した構成とする場合には、下地層181の複数の突起は、尖ったものであることが好ましい。突起構造18Aの側面のテーパ角θが、下地層181の複数の尖った突起に対応して、有機層16を形成する工程において補助配線層18の上面が有機層16により完全に覆われない程度に大きくなるからである。
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。なお第1の実施の形態で説明した封止パネル20において、スペーサ24の突起部24Bの形成工程が無くなり、素子パネルの製造工程において、補助配線層18に突起構造18Aを形成する工程が追加されること以外は第1の実施の形態と同一である。
まず、図4に示したように、平坦化層13の上に、例えば、第1の実施の形態と同様な厚みおよび材料よりなる第1電極14を形成する。このとき、補助配線層18の下地層181を第1電極14と同一工程で形成することが好ましい。第1電極14および補助配線層18の下地層181を形成したのち、図22(A)で示したように、素子基板11の全面にわたり、例えば直流スパッタリング法により、例えばチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/チタン(Ti)の3層構造を有する導電層182を形成し、例えばリソグラフィ技術を用いて導電層182を選択的に除去する。これにより、下地層181と導電層182とが素子基板11の側から順に積層された構造の補助配線層18が形成される。直流スパッタリングの条件は、スパッタガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)を用い、圧力は例えば0.2Pa、出力は例えば300Wとする。
そののち、図22(B)に示したように、第1の実施の形態と同様にCVD法により絶縁膜15を成膜し、この絶縁膜15に開口部15Aおよび開口部15Bを形成する。このCVD法により絶縁膜15を形成する際に、素子基板11が高温に保持されるので、導電層182の上面に凹凸が生じて突起構造18Aが形成される。
次に、例えば、第1の実施の形態と同様な厚みおよび材料よりなる有機層16を構成する各層が形成されるが、補助配線層18の上面は完全に有機層16に覆われず突起構造18Aの先端部が有機層16から露出する。
続いて、有機層16の上に第1の実施の形態と同様の第2電極17を形成する。これにより突起構造18Aの先端部が第2電極の半透過性電極17Aと接触し、第2電極17と補助配線層18とが電気的に接続される。これ以降の工程は第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態においては、素子パネル10と封止パネル20を貼り合わせる際に、加圧による封止パネル20からの押圧力によって、補助配線層18における突起構造18Aの先端が第2電極17に食い込まれる。その結果、突起構造18Aと第2電極17との接触面積が増加し、第2電極17と補助配線層18との間の電気抵抗がさらに低減される。以上により図17および図18に示した表示装置が完成する。
また、この表示装置は次のようにして製造することもできる。
図23は、その工程を表したものであり、補助配線層18として例えば図19に示した構造のものを製造する方法の一例である。
まず、図3(A)および図3(B)に示したように素子基板11の上にTFT2および平坦化層13を形成したのち、図23(A)に示したように、平坦化層13の上の補助配線層18の形成予定位置に、複数の尖った突起を有する下地層181を形成する。下地層181としては、例えば、リソグラフィ技術を用いてポリイミドなどの絶縁材料よりなるものを形成してもよく、あるいは、直流スパッタリング法によりクロム(Cr)などの導電材料よりなる膜を成膜したのちリソグラフィ技術を用いてパターニングしてもよい。直流スパッタリング条件としては、スパッタガスとして、例えば、アルゴン(Ar)を用い、圧力を0.5Pa、出力を300Wとする。
続いて、図23(B)に示したように、平坦化層13の上に第1電極14を形成する。このとき、補助配線層18の導電層182を第1電極14と同一工程で形成し、下地層181を導電層182で覆うことにより導電層182の上面に下地層181の複数の突起に対応した突起構造18Aを形成する。
そののち、図22(B)に示した工程により、素子基板11の全面にわたり、絶縁膜15を成膜し、この絶縁膜15に開口部15Aおよび開口部15Bを形成する。以下の工程は上記実施の形態と同様である。
更に、この表示装置は次のようにして製造することもできる。
図24は、その工程を表すもので、補助配線層18として図19に示した構造のものを製造する方法の他の例である。
まず、図3(A)および図3(B)に示したように素子基板11の上にTFT2および平坦化層13を形成したのち、図24(A)に示したように、平坦化層13の上に第1電極14を形成する。このとき、複数の尖った突起を有する下地層181を第1電極14と同一工程により形成する。
そののち、図24(B)に示したように、平坦化層13の上に、例えば、直流スパッタリング法により、クロム(Cr)などよりなる導電層182を成膜したのちリソグラフィ技術を用いてパターニングし、下地層181を導電層182で覆うことにより導電層182の上面に下地層181の複数の突起に対応した突起構造18Aを形成する。直流スパッタリング条件は上記と同様である。以下の工程は上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、本実施の形態の作用効果は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
以上実施の形態を挙げて本発明を説明をしたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記第1,2の実施の形態では、絶縁膜15の開口部15Bを、補助配線層18の両側の側面を覆うように形成する場合について説明したが、絶縁膜15の開口部15Bは、例えば図25に示したように、補助配線層18の側面の少なくとも一部を露出させるように形成してもよい。これにより、有機層16を成膜する際に補助配線層18の側面で有機層16が途切れ、補助配線層18の側面が有機層16で覆われなくなるので、第1の実施の形態における突起部24Bあるいは第2の実施の形態における突起構造18Aに加えて、補助配線層18の側面においても補助配線層18と第2電極17とが電気的に接続される。但し、上記実施の形態のように開口部15Bを、補助配線層18の両側の側面を覆うように形成するほうが、開口部15Bの幅を小さくすることができ、開口率を高めることができるので望ましい。また、第1電極14あるいは反射層14Bを活性の高い金属により構成すると、補助配線層18の両側の側面を絶縁膜15で覆うことにより第1電極14あるいは反射層14Bが製造プロセスの途中で劣化するのを防止することができるので好ましい。
また、例えば、上記第2の実施の形態においては、絶縁膜15を形成する際のCVD法に伴う熱処理によって補助配線層18の上面に突起構造18Aを形成する場合について説明したが、突起構造18Aはウェットエッチングまたはドライエッチングにより形成するようにしてもよい。その場合、導電層182の材料は、下地層181との密着性がよく、且つ、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより表面を粗くして凹凸を形成することができるものであれば特に限定されない。また、熱処理とウェットエッチングまたはドライエッチングとを併用してもよい。
更に、加えて、例えば、上記第1,2の実施の形態においては、補助配線層18が単純な線分状の平面形状を有する場合について説明したが、補助配線層18の形状は特に制限されない。例えば、補助配線層18の側面の面積を大きくして第2電極16との接触面積を増大させる目的で、図26に示したように孔18Bが設けられたもの、あるいは、図27に示したように側面に切欠き18Cが設けられたものなどが考えられる。なお、孔18Bまたは切欠き18Cの形状、数あるいは位置などは特に限定されない。また、孔18Bと切欠き18Cとを併用してもよい。
更にまた、例えば、上記第1,2の実施の形態においては、補助配線層18が絶縁膜15の開口部15Bに設けられている場合について説明したが、補助配線層18は、絶縁膜15の上に設けられていてもよい。その場合、補助配線層18は、例えば、アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)のような低抵抗の導電性材料を単層あるいは積層構造としたものにより構成することが可能である。また、補助配線層18の幅および厚みは、画面の寸法あるいは第2電極の材料および厚みなどにより異なってもよい。
特に、上記第1の実施の形態においては、補助配線層18を絶縁層15の上に設ける場合には、補助配線層18の下地層181を第1電極14と異なる構成とすることができ、第1電極14の材料あるいは厚みに拘束されないので、例えば、下地層181を導電材料により構成すると共に第1電極14よりも下地層181の厚みを大きくすることにより第2電極17のシート抵抗を低減させることも可能である。
加えてまた、例えば、上記第1,2の実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、密着層14Aおよびバリア層14Cの材料は、上述したITOに限定されず、例えば、インジウム(In),スズ(Sn)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも1種の元素を含む金属化合物または導電性酸化物、具体的には、ITO,IZO,酸化インジウム(In2 O3 ),酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)からなる群のうちの少なくとも1種でもよい。また、密着層14Aの材料は、必ずしも透明である必要はない。
更にまた、例えば、上記第1,2の実施の形態では、有機発光素子および表示装置の構成を具体的に挙げて説明したが、保護膜19などの全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、第2電極17において、透明電極17Bを省略して半透過性電極17Aのみとしてもよい。あるいは、第2電極17において半透過性電極17Aを省略して透明電極17Bのみとしてもよい。このように第2電極17を透明電極17Bのみにより構成した場合、バリア層14Cを有機発光素子10R,10G,10Bで同一の厚みとし、上述した共振器構造を省略してもよい。
加えてまた、上記第1,2の実施の形態では、第1電極14が密着層14A,反射層14Bおよびバリア層14Cを素子基板11の側からこの順に形成した構成を有する場合について説明したが、密着層14Aおよびバリア層14Cのうちいずれか一方または両方を省略してもよい。
更にまた、上記第1,2の実施の形態においては、有機層16の発光層42として白色発光用の発光層を形成し、上述した共振器構造およびカラーフィルタ22を用いてカラー表示を行う場合について説明したが、共振器構造を用いずカラーフィルタ22のみを用いてカラー表示を行うようにしてもよい。また、カラーフィルタ22の代わりに特定の波長の光のみを透過させる光学フィルタ等を用いてカラー表示を行うようにしてもよい。
加えてまた、上記第1,2の実施の形態においては、有機層16の発光層42として赤色発光層42R,緑色発光層42Gおよび青色発光層42Bの3層を含む白色発光用の発光層を形成した場合について説明したが、白色発光用の発光層42の構成は特に限定されず、橙色発光層および青色発光層、あるいは、青緑色発光層および赤色発光層など、互いに補色関係にある2色の発光層を積層した構造としてもよい。
更にまた、有機層16の発光層42は、必ずしも白色発光用の発光層である必要はなく、本発明は、例えば緑色発光層42Gのみを形成した単色の表示装置にも適用可能である。
加えてまた、上記第1,2の実施の形態においては、素子パネル10と封止パネル20とを接着層30を介して貼り合わせることにより有機発光素子10R,10G,10Bを封止する場合について説明したが、封止方法は特に限定されるものではなく、例えば素子パネル10の背面に封止缶を配設することにより封止するようにしてもよい。
更にまた、例えば、上記第1,2の実施の形態では、第1電極14を陽極、第2電極17を陰極とする場合について説明したが、陽極および陰極を逆にして、第1電極14を陰極、第2電極17を陽極としてもよい。この場合、第2電極17の材料としては、金,銀,白金,銅などの単体または合金が好適であるが、第2電極17の表面に上記実施の形態におけるバリア層14Cと同様な層を設けることによって他の材料を用いることもできる。また、第1電極14を陰極、第2電極17を陽極とした場合には、発光層42において、赤色発光層42R,緑色発光層42Gおよび青色発光層42Bが第2電極17の側からこの順に積層されていることが好ましい。
加えてまた、上記第1の実施の形態では、封止基板21上にブラックマトリクス23としての反射光吸収膜を、赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bの境界に沿って設ける場合について説明したが、必要に応じて封止基板21にブラックマトリクス23を形成せずにカラーフィルタ22を形成し、このカラーフィルタ22上にスペーサ24を形成するようにしてもよい。
また、上記第2の実施の形態では、封止基板21にカラーフィルタ22を設ける場合について説明したが(図17参照)、必要に応じてブラックマトリクスとしての反射光吸収膜を、赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bの境界に沿って設けるようにしてもよい。反射光吸収膜については、第1の実施の形態で上述した通りである。
更にまた、上記第1,2の実施の形態では、有機層16が素子基板11上において第1電極14、絶縁膜15および補助配線層18の上に形成されている場合について説明したが、有機層16は、素子基板11上において少なくとも第1電極14の上に形成されていればよい。
10…素子パネル、10R,10G,10B……有機発光素子、11…素子基板、12…TFT、13…平坦化膜、14…第1電極、14A…密着層、14B…反射層、14C…バリア層、15…絶縁膜、15A,15B…開口部、16…有機層、17…第2電極、17A…半透過性電極、17B…透明電極、18…補助配線層、18A…突起構造、18B…孔、18C…切欠き、19…保護膜、20…封止パネル、21…封止基板、22…カラーフィルタ、22R…赤色フィルタ、22G…緑色フィルタ、22B…青色フィルタ、23…ブラックマトリクス、24…スペーサ、24A…本体部、24A1…本体部中心、24B…突起部、24B1…第1突起、24B2…第2突起、30…接着層、41…正孔輸送層、42…発光層、42R…赤色発光層、42G…緑色発光層、42B…青色発光層、43…電子輸送層、51…エリアマスク51A…開口部、60…蒸着マスク、60A…蒸着用孔、60A1…蒸着用孔中心、60B…蒸着用孔断面、110…基板、111…第1電極、112…有機層、113…第2電極、113A…補助配線層、120…画素塗り分け用マスク、121…開口部、181…下地層、182…導電層、210…基板、601…突起蒸着用マスク、601A…蒸着用孔、601B…孔断面、701…突起、602…平坦蒸着用マスク、602A…蒸着用孔、702…蒸着物、hR …赤色光、hG …緑色光、hB …青色光、P1 …第1端部、P2 …第2端部、L…光学的距離