JP5971161B2 - 定着装置画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、装置の定期メンテナンスの際に出力される動作履歴情報印刷面の背面に、定着クリーニングパターンを形成させるとともに、クリーニングパターンが定着ニップに至るタイミングで一時停止と間欠駆動とを繰り返す画像形成装置が記載されている。
特開2011−75966号公報
本発明の課題は、特別な清掃手段を設けることなく、加圧部材を清掃することである。
本発明の請求項1に係る定着装置は、記録媒体に形成されたトナー画像を加熱すると共に回転可能な加熱部材と、前記記録媒体を前記加熱部材に向けて加圧し、前記加熱部材の回転に伴って回転して前記加熱部材との間で記録媒体を挟持搬送すると共に、表面層に記録媒体を前記加熱部材に向けて加圧する加圧部位が形成されている加圧部材と、を有し、前記加圧部位は、前記加熱部材の回転軸方向から見て屈曲する屈曲部を有するL字状とされ、前記屈曲部の最大歪みが2.4%以上3.4%以下とされることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る定着装置は、請求項1に記載の定着装置において、前記屈曲部の最大歪みが2.8%以上3.4%以下とされることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る定着装置は、請求項1又は2に記載の定着装置において、前記表面層の温度を制御する制御部材が備えられ、前記制御部材は、前記表面層の温度を70℃以上80℃以下に制御することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、記録媒体にトナー画像を転写する転写手段と、前記転写手段によって記録媒体に転写されたトナー画像を記録媒体に定着させる請求項1〜3の何れか1項に記載された定着装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項1の定着装置によれば、加圧部材の表面層において、加熱部材を加圧する加圧部位に歪みが発生していない場合と比して、特別な清掃手段を設けることなく、加圧部材を清掃することができる。
本発明の請求項2の定着装置によれば、加圧部材の表面層において、加熱部材を加圧する加圧部位の最大歪みが2.8%未満の場合と比して、加圧部材を効果的に清掃することができる。
本発明の請求項3の定着装置によれば、加圧部材の表面層の温度が70℃より低い場合と比較し、定着性を確保可能、かつ、加圧部材の表面層の温度が80℃より高い場合と比して、記録媒体として用いた薄コート紙にでも品質が満足した画像を形成することができる。
本発明の請求項4の画像形成装置によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置が備えられていない場合と比して、特別な清掃手段を設けることなく、加圧部材を清掃することができる。
(A)(B)本発明の実施形態に係る定着装置における定着ニップ部を示した拡大側面図である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る定着装置における定着ニップ部を示した側面図である。 本発明の実施形態に係る定着装置における評価結果を表で示した図面である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る定着装置における加圧ロール近傍を示した側面図である。 本発明の実施形態に係る定着装置を示した側面図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置に備えられた画像形成ユニットを示した側面図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
本発明の実施形態に係る定着装置、及び画像形成装置の一例を図1〜図7に従って説明する。なお、画像形成装置を正面視して、各図に示す矢印X方向は右方向、矢印−X方向は左方向、矢印Y方向は上方向、矢印−Y方向、矢印Z方向は奥行き方向、矢印−Z方向は手前方向に相当する。
(全体構成)
図7に示されるように、画像形成装置10は、上下方向(Y方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としてのシート部材Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上側に設けられ用紙収容部12から供給されるシート部材Pに画像形成を行う主動作部14と、主動作部14の上側に設けられ原稿(図示省略)を読み取る原稿読取部16と、各部へシート部材Pを搬送する搬送部18と、主動作部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。そして、画像形成装置10は、複数のフレーム部材で構成された筐体としての装置本体10Aを備えている。
〔用紙収容部〕
用紙収容部12は、サイズの異なるシート部材Pを収容可能な第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26、及び第4収容部28を備えている。第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26、及び第4収容部28は、収容されたシート部材Pを一枚ずつ送り出す送り出しロール32と、送り出されたシート部材Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路30に搬送する搬送ロール34と、を備えている。
〔搬送部〕
搬送部18は、搬送ロール34に対して搬送路30の下流側に配置され、シート部材Pを一枚ずつ搬送する複数の搬送ロール36を備えている。さらに、シート部材Pの搬送方向で搬送ロール36に対して下流側には、シート部材Pを一端停止させると共に、決められたタイミングで後述する二次転写位置へシート部材Pを送り出すことで画像転写の位置合せを行う位置合せロール38が配置されている。
搬送路30の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印Y方向に向けて用紙収容部12の−X方向側から主動作部14の−X方向側下部まで直線状とされている。また、搬送路30の下流側部分は、主動作部14の−X方向側下部から主動作部14のX方向側下部に設けられた排紙部13まで延びている。
さらに、搬送路30には、シート部材Pの両面に画像形成を行うためにシート部材Pが搬送及び反転される両面搬送路31が接続されている。なお、両面搬送を行わないときのシート部材Pの搬送方向は、矢印Aで示されている。
両面搬送路31は、画像形成装置10の正面視において、主動作部14のX方向側下部から用紙収容部12のX方向側まで矢印Y方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送されたシート部材Pの後端が進入するとともに図示の−X方向側(矢印Bで示す)にシート部材Pを搬送する搬送部35とを備えている。そして、搬送部35の下流側端部は、搬送路30の位置合せロール38よりも上流側に案内部材(図示省略)により搬送路30に接続されている。なお、図7において、搬送路30と両面搬送路31との切り替えを行う切替部材、及び反転部33と搬送部35との切り替えを行う切替部材については図示を省略する。
〔原稿読取部〕
原稿読取部16は、複数の原稿(図示省略)を置くことが可能な原稿置台41と、一枚の原稿が載せられるプラテンガラス42と、プラテンガラス42に載せられた原稿を読み取る原稿読取装置44と、読み取られた原稿が排出される原稿排出部43と、を備えている。
原稿読取装置44は、プラテンガラス42に載せられた原稿に光を照射する光照射部46と、光照射部46によって照射され原稿から反射された反射光をプラテンガラス42と平行な方向に反射させて折り返す1個のフルレートミラー48及び2個のハーフレートミラー52と、フルレートミラー48及びハーフレートミラー52によって折り返された反射光が入射する結像レンズ54と、結像レンズ54によって結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子56と、備えている。
光電変換素子56によって変換された電気信号は、画像処理装置(図示省略)で画像処理され画像形成に用いられるようになっている。また、フルレートミラー48は、プラテンガラス42に沿ってフルレートで移動し、ハーフレートミラー52は、プラテンガラス42に沿ってハーフレートで移動するようになっている。
〔主動作部〕
主動作部14は、シート部材P上にトナー画像を形成する画像形成部60と、画像形成部60によって形成されたシート部材P上に形成されたトナー画像を熱と圧力によりシート部材Pに定着する定着装置100と、を備えている。
[画像形成部]
画像形成部60は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各トナーに対応した像保持体62K、62C、62M、62Yを備える画像形成ユニット64K、64C、64M、64Yと、像保持体62K、62C、62M、62Yの外周面に向けて光ビームLを出射して露光を行う露光ユニット66K、66C、66M、66Yと、画像形成ユニット64K、64C、64M、64Yで形成されたトナー画像をシート部材P上に転写する転写ユニット68と、を含んで構成されている。
なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別する必要がある場合は、数字の後にY、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、同様の構成でY、M、C、Kを区別する必要がない場合は、Y、M、C、Kの記載を省略する。
[露光ユニット(画像形成部)]
露光ユニット66は、光源(図示省略)から出射された光ビームを回転多面鏡(ポリゴンミラー:符号無し)で走査すると共に反射ミラーを含む複数の光学部品で反射して、各色のトナーに対応した光ビームLを像保持体62へ向けて出射する構成となっている。また、像保持体62は、露光ユニット66の下方側(−Y方向側)に設けられている。
[画像形成ユニット(画像形成部)]
図6に示されるように、画像形成ユニット64は、矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転可能とされた円柱状の像保持体62と、像保持体62の外周面と対向して回転方向の上流側から下流側へ順に配置された帯電器72、現像器74、及びクリーニング部材76と、を含んで構成されている。
そして、帯電器72と現像器74は、像保持体62の外周面で帯電器72と現像器74との間の位置に光ビームLが照射されるように配置されている。また、像保持体62の外周面で現像器74とクリーニング部材76との間の位置には、後述する中間転写ベルト82が接触している。
像保持体62は、モータ(図示省略)の駆動により矢印+R方向に回転可能となっている。また、帯電器72は、一例として、ワイヤに電圧を印加してコロナ放電により像保持体62の外周面をトナーと同極性に帯電させるコロトロン方式の帯電手段で構成されている。ここで、帯電した像保持体62の外周面に画像データに基づいて光ビームLが照射されることで、潜像(静電潜像)が形成されるようになっている。
現像器74は、一例として、磁性体からなるキャリア粒子とマイナスに帯電したトナーが混合された現像剤Gを収容しており、周方向に複数の磁極を有するマグネットロール(図示省略)が内側に設けられた円筒状の現像スリーブ75が設けられている。そして、現像器74は、現像スリーブ75が回転することにより像保持体62と対向する部位で磁気ブラシが形成されるようになっている。さらに、現像器74は、電圧印加手段(図示省略)によって現像スリーブ75に現像バイアスが印加されることで、像保持体62の外周面の潜像をトナーで顕在化させてトナー画像(現像剤像)を形成するようになっている。なお、各現像器74には、画像形成部60の上方に設けられた各トナーカートリッジ79(図7参照)からトナーが供給されるようになっている。
クリーニング部材76は、像保持体62の外周面と接触するクリーニングブレード77を備えており、像保持体62の外周面に残留したトナーをクリーニングブレード77で掻き落として回収するようになっている。また、像保持体62の回転方向で現像器74よりも下流側には、現像器74で現像されたトナー画像が一次転写される中間転写ベルト82が設けられている。
[転写ユニット(画像形成部)]
図7に示されるように、転写ユニット68は、無端状の中間転写ベルト82と、像保持体62から中間転写ベルト82上にトナー画像を一次転写させる一次転写ロール84と、中間転写ベルト82上で順次重ねられたトナー画像をシート部材Pへ二次転写させる二次転写ロール86及び補助ロール88と、を含んで構成されている。
また、中間転写ベルト82の内側には、回転駆動される駆動ロール92と、回転可能に備えられた複数の搬送ロール94とが配置されている。そして、この中間転写ベルト82は、一次転写ロール84K、84C、84M、84Y、駆動ロール92、搬送ロール94、及び補助ロール88に巻き掛けられている。これにより、中間転写ベルト82は、駆動ロール92が図示の反時計周りに回転すると、矢印C方向(図示の反対時計回り方向)に周回移動するようになっている。
一次転写ロール84は、一例として、ステンレス鋼などの金属で構成された円柱状のシャフトの周囲に弾性層(図示省略)が形成された構成となっており、シャフトの両端部がベアリングで支持されることにより回転可能となっている。また、一次転写ロール84は、電源(図示省略)からシャフトにトナーの極性とは逆極性の電圧(正の電圧)が印加されるようになっている。
二次転写ロール86は、一例として、一次転写ロール84と同様の構成となっており、搬送路30における位置合せロール38の下流側に配置され回転可能に設けられている。また、二次転写ロール86は、補助ロール88とで中間転写ベルト82を挟むように中間転写ベルト82の外周面に二次転写位置で接触している。
そして、二次転写ロール86は接地されている。また、補助ロール88は、二次転写ロール86の対向電極を形成しており、補助ロール88の外周面に接触配置された金属製の給電ロール(図示省略)を介して二次転写電圧が印加されるようになっている。ここで、補助ロール88に二次転写電圧(負の電圧)が印加され、補助ロール88と二次転写ロール86との間に電位差が生じることにより、二次転写ロール86と中間転写ベルト82との接触部に搬送されるシート部材P上に中間転写ベルト82上のトナー画像が二次転写されるようになっている。
シート部材Pの移動方向で二次転写ロール86よりも下流側には、トナー画像の二次転写が終了したシート部材Pを定着装置100へ搬送する搬送ベルト96が設けられている。搬送ベルト96は、支持ロール97と駆動ロール98とに巻きかけられ、定着装置100へシート部材Pを搬送するように周回移動するようになっている。
[定着装置]
定着装置100は、シート部材Pに転写された(形成された)トナー画像を加熱する加熱部材の一例としての加熱ベルト機構102と、搬送されるシート部材Pを加熱ベルト機構102に向けて加圧する加圧部材の一例としての加圧ロール104とを備えている(図5参照)。なお、定着装置100については、詳細を後述する。
(全体構成の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
シート部材Pに画像を形成する場合には、図6に示されるように、各像保持体62が帯電器72によって帯電されると共に、画像データに応じて各露光ユニット66から出射された光ビームLによって露光され、像保持体62に静電潜像が形成される。
続いて、各像保持体62の外周面に形成された静電潜像は、現像器74によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像として現像される。
続いて、各像保持体62の表面に形成された各トナー画像は、図7に示されるように、一次転写位置で、各一次転写ロール84によって中間転写ベルト82上に順次、多重転写される。そして、中間転写ベルト82上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置で、搬送路30を搬送されてきたシート部材P上に二次転写ロール86及び補助ロール88によって二次転写される。
続いて、トナー画像が転写されたシート部材Pは、搬送ベルト96により定着装置100に向けて搬送される。そして、定着装置100では、シート部材P上のトナー画像が加熱、加圧されることで定着される。トナー画像が定着されたシート部材Pは、一例として、排紙部13に排出される。このようにして、一連の画像形成工程が行われる。
なお、画像が形成されていない非画像面にトナー画像を形成する場合(両面画像形成の場合)は、定着装置100で表面に画像定着を行った後、シート部材Pを両面搬送路31に送り込んで裏面の画像形成及び定着を行う。
(要部構成)
次に、定着装置100の構成について説明する。
定着装置100は、前述したように、シート部材Pに転写されたトナー画像を加熱する加熱ベルト機構102と、搬送されるシート部材Pを加熱ベルト機構102に向けて加圧する加圧ロール104とを備えている。さらに、定着装置100は、加圧ロール104の表面(外周面)に風を吹きかけるファン108を備えている。
〔加熱ベルト機構:定着装置〕
加熱ベルト機構102は、図5に示されるように、無端状の定着ベルト110、Z方向に延びるパッド部材112、並びにZ方向を回転軸方向とすると共にX方向に離れるロール部材114及びロール部材116を備えている。
そして、定着ベルト110の姿勢は、パッド部材112、ロール部材114、及びロール部材116に巻き掛けられて維持されている。
具体的には、パッド部材112には、定着ベルト110を介して加圧ロール104によって加圧されるニップ形成面113が形成されている。このニップ形成面113で加圧ロール104からのニップ荷重(加圧荷重)を受けることで、定着ベルト110と加圧ロール104との間に、加圧部位としての定着ニップNF(図中範囲NF)が形成されるようになっている。
このニップ形成面113には、図2(A)(B)に示されるように、加圧ロール104側に突出する角部113Aが形成されている。この角部113Aによって、定着ニップNFには、Z方向から見て屈曲する屈曲部134が形成される。
また、パッド部材112の内部には、加熱源であるハロゲンランプ120が配置されている。パッド部材112は、ハロゲンランプ120が発した熱を、ニップ形成面113を介して定着ベルト110に伝達するようになっている。
さらに、パッド部材112に対してY方向で、かつ−X方向には、図5に示されるように、ロール部材114が配置されている。ロール部材114の内部には、加熱源であるハロゲンランプ122が配置され、ロール部材114は、ハロゲンランプ122が発した熱を、定着ベルト110に伝達するようになっている。また、ロール部材114の回転軸には、モータ118からの駆動力(回転力)が伝達されるようになっており、ロール部材114が回転することで、定着ベルト110が矢印D方向に周回(回転)するようになっている。
さらに、ロール部材114に対してX方向には、ロール部材116が配置されている。ロール部材116の内部には、加熱源であるハロゲンランプ124が配置され、ロール部材116は、ハロゲンランプ124が発した熱を、定着ベルト110に伝達するようになっている。
〔加圧ロール:定着装置〕
加圧ロール104は、アルミニウム製の円柱状の回転軸104Aの外周に、シリコーンゴム製の弾性体層104Bと表面層の一例としてのフッ素系の樹脂製の離型層104Cとが積層されて構成されている。
また、図4(A)(B)に示されるように、回転軸104Aの両端側(図は片方のみを示す)の下側は、X方向に延びる支持部材126の中央側に支持されている。支持部材126の−X方向の端部側には、軸方向をZ方向とする軸部材128が配置され、軸部材128が、支持部材126を回転可能に支持している。
さらに、支持部材126のX方向の端部側には、支持部材126の下面を外周面で支持する偏心カム130が配置され、偏心カム130の回転軸130Aの軸方向は、Z方向とされている。また、偏心カム130の回転軸130Aに駆動力(回転力)を伝達するステッピングモータであるモータ132が備えられている。
そして、偏心カム130を回転させることで、加圧ロール104は、定着ベルト110との間で定着ニップNF(図中範囲NF)を形成するラッチ位置(図4(A)参照)と、定着ベルト110と離間するスタンバイ位置(図4(B)参照)との間を移動するようになっている。
また、加圧ロール104がスタンバイ位置へ移動した際に、加圧ロール104の回転軸104Aに回転力を伝達するモータ136が備えられている。このモータ136の出力軸136Aと回転軸104Aとには、回転力を伝達する無端状のタイミングベルト138が巻き掛けられている。なお、加圧ロール104がラッチ位置へ移動した際には、モータ136から加圧ロール104へ伝達される回転力(駆動力)は解除され、加圧ロール104は、定着ベルト110の移動に伴って図4(A)に示す矢印E方向に回転(従動回転)するようになっている。
〔ファン:定着装置〕
ファン108は、例えばシロッコファンとされ、図5に示されるように、搬送ベルト96の−Y方向(下方向)に配置されている。また、ファン108によって生じた風を加圧ロール104の表面に導くガイド部材140が備えられている。さらに、ファン108によって風を吹きかけられた加圧ロール104の表面の温度を非接触で検知する検知センサ144が、加圧ロール104に対して−X方向に配置されている。そして、制御部20(図7参照)が、検知センサ144の検知結果に基づいてファン108を稼働させることで、本実施形態では、加圧ロール104の表面温度が70〔℃〕以上80〔℃〕以下になるようになっている。
〔その他の構成〕
以上説明したように、パッド部材112のニップ形成面113で加圧ロール104からのニップ荷重を受けることで、定着ベルト110と加圧ロール104との間には、図1(A)(B)に示されるように、定着ニップNFが形成される。そして、ニップ形成面113に角部113Aが形成されることで、定着ニップNFには、屈曲部134が形成されている。
ここで、この定着ニップNFにおいて、加圧ロール104の離型層104Cには、周方向に伸びる歪みが生じている。特に定着ニップNFの屈曲部134にける離型層104Cの最外周には、図1(A)(B)の矢印に示されるように、周方向の最大の歪(最大の伸び)が生じている。そして、最大歪み(最大伸び)は、2.4〔%〕以上3.4〔%〕以下、好ましくは、2.8〔%〕以上3.4〔%〕以下とされている。
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について説明する。
トナー画像が転写されたシート部材Pは、図1(A)、図2(A)に示されるように、周回する定着ベルト110と回転する加圧ロール104との間で形成される定着ニップNFに、シート部材Pの先端部(図中右端部)から進入する。この際、シート部材Pの裏面(加圧ロール104側を向いた面)が加圧ロール104の離型層104Cと接触し、シート部材Pの表面(定着ベルト110側を向いた面)が定着ベルト110と接触しながらシート部材Pは、定着ニップNFに進入する。
そして、定着ニップNFに進入したシート部材Pは、周回する定着ベルト110及び回転する加圧ロール104によってシート部材Pの搬送方向(以下単に「搬送方向」と言う)の下流側へ挟持搬送される。
ここで、図1(B)、図2(B)に示されるように、定着ニップNFの屈曲部134にける離型層104Cには、最大の歪(最大の伸び:2.4〔%〕以上3.4〔%〕以下)が生じている。このため、定着ニップNFにおけるシート部材Pの裏面と離型層104Cとの間では、加圧ロール104の周方向における擦れが生じる。
具体的には、Z方向から見て屈曲部134に対して搬送方向の上流側では、シート部材Pに対して離型層104Cが搬送方向の上流側へ移動する。一方、Z方向から見て屈曲部134に対して搬送方向の下流側では、シート部材Pに対して離型層104Cが搬送方向の下流側へ移動する(図1(A)(B)参照)。このように、シート部材Pに対して離型層104Cが移動することで、シート部材Pと離型層104Cとの間で擦れが生じる。
そして、シート部材Pと離型層104Cとの間で擦れが生じることで、加圧ロール104に付着していたトナー等の付着物がシート部材Pに移転して、加圧ロール104が清掃される。
〔評価〕
次に、定着ニップNFにおける離型層104Cの最大歪み(最大伸び〔%〕)と加圧ロール104の清掃性能等との関係を、実機を用いて評価した。
[評価方法]
評価方法については、定着ベルト110の表面温度を200〔℃〕とし、加圧ロール104の表面温度を70〔℃〕以上80〔℃〕以下とした。この状態で、定着装置100に、規定のトナー画像が転写された50、000枚のA4サイズの普通紙(坪量82〔g/m〕)を挟持搬送させてトナー画像を普通紙に定着させる。その後、定着装置100に、規定のトナー画像が転写された薄コート紙(坪量73〔g/m〕)を挟持搬送させてトナー画像を定着させる。加圧ロール104に付着物が付着した際に、形成された画像の品質に影響がでる薄コート紙を使用した。
離型層104Cの最大歪みについては、2.0〔%〕、2.2〔%〕、2.4〔%〕、2.8〔%〕、3.0〔%〕、3.2〔%〕、3.4〔%〕、3.6〔%〕、3.8〔%〕、4.0〔%〕として夫々を評価した。
[評価項目・評価基準]
評価項目・評価基準については、薄コート紙を定着装置100に挟持搬送させた後、加圧ロール104の表面に付着しているトナー等の付着物について目視で評価した(官能評価)。加圧ロール104に付着物が付着していない場合を◎、加圧ロール104に付着した付着物により、シート部材Pに形成される画像に不良が生じる可能性がない場合を○、画像に不良が生じる可能性があるが市場に出しても苦情が少ない場合を△、それ以外を×とした(加圧ロールの付着物評価)。
さらに、加圧ロール104の離型層104Cに発生した皺について目視で評価した(官能評価)。加圧ロール104の離型層104Cに発生した皺により、シート部材Pに形成される画像に不良が生じる可能性がない場合を○、皺により画像に不良が生じる可能性はあるが市場に出しても苦情が少ない場合を△、それ以外を×とした(離型層の皺評価)。
また、最後に定着装置100に挟持搬送される薄コート紙に形成された画像の品質確認を目視で行った(官能評価)。汚れの付着及び皺の発生が無いものを◎、汚れの付着及び皺の発生が若干あるが市場に出しても苦情がでない場合を○、それ以外を×とした(薄コート紙の画像評価)。
[評価結果]
評価結果については、図3の表に示す。図3に示されるように、離型層104Cの最大歪みが2.4〔%〕以上3.4〔%〕以下の場合には、全ての評価において◎又は○となる。さらに、離型層104Cの最大歪みが2.8〔%〕以上3.4〔%〕以下の場合には、加圧ロールの付着物評価において全て◎となる。
なお、薄コート紙の画像評価において、離型層104Cの最大歪みが3.6〔%〕以上に対する×は、薄コート紙に皺が発生したことによる×であり、離型層104Cの最大歪みが2.2〔%〕以下に対する×は、薄コート紙に付着した汚れによる×である。
(まとめ)
本実施形態に係る離型層104Cの最大歪みを2.4〔%〕以上3.4〔%〕以下とすることで、前述した評価結果で記載したように、全ての評価において◎又は○となる。このように、離型層104Cの最大歪みを設定することで、特別な清掃手段を設けることなく、加圧ロール104が清掃され、さらに、シート部材Pに形成される画像の品質が品質基準を満足する。
また、離型層104Cの最大歪みを2.8〔%〕以上3.4〔%〕以下とすることで、加圧ロールの付着物評価において全て◎となっている。つまり、加圧ロールの付着物評価において加圧ロール104に付着物が付着しない。
また、加圧ロール104の表面温度については70〔℃〕以上80〔℃〕以下とされているため、シート部材Pとして用いた定着性の確保と薄コート紙にでも品質が満足した画像が形成される。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、シート部材Pに対して離型層104Cが伸びる場合を例にとって説明したが、シート部材Pに対して離型層104Cが縮む場合であってもよい。
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、離型層104Cにおける最大歪みについては、スタンバイ位置へ移動した状態の加圧ロール104の周長と、ラッチ位置へ移動した状態の加圧ロール104の周長とを比較して、定着ニップNFにおける離型層104Cの伸びを求めることで導出してもよく、さらに、離型層104Cにおける最大歪みについては、有限要素法を用いた解析により導出してもよい。具体的には、ダッソー・システムズによって販売されるAbaqus(ソフトウエア)を用いて導出してもよい。一例として、弾性体層104Bの厚さを8〔mm〕とし、離型層104Cの厚さを80〔μm〕とし、加圧ロール104のパッド部材112に対するニップ荷重を1230〔N〕(125〔Kgf〕)とする。さらに、加圧ロール104の表面温度を75〔℃〕とすると、解析の結果、離型層104Cの最大歪みは、2.88〔%〕となる。
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、離型層104Cにおける最大歪みについては、離型層104Cの厚さ、加圧ロール104のパッド部材112に対するニップ荷重、加圧ロール104の表面温度等のパラメータを変化させることで変えられる。
具体的には、離型層104Cの厚さを薄くすることで、薄くしない場合と比して、最大歪みが大きくなる。また、ニップ荷重を大きくことで、大きくしない場合と比して、最大歪みが大きくなる。さらに、加圧ロール104の表面温度等を高くすることで、高くしない場合と比して、最大歪みが大きくなる。
10 画像形成装置
20 制御部(制御部材の一例)
68 転写ユニット(転写手段の一例)
100 定着装置
102 加熱ベルト機構(加熱部材の一例)
104 加圧ロール(加圧部材の一例)
104C 離型層(表面層の一例)

Claims (4)

  1. 記録媒体に形成されたトナー画像を加熱すると共に回転可能な加熱部材と、
    前記記録媒体を前記加熱部材に向けて加圧し、前記加熱部材の回転に伴って回転して前記加熱部材との間で記録媒体を挟持搬送すると共に、表面層に記録媒体を前記加熱部材に向けて加圧する加圧部位が形成されている加圧部材と、を有し、
    前記加圧部位は、前記加熱部材の回転軸方向から見て屈曲する屈曲部を有するL字状とされ、前記屈曲部の最大歪みが2.4%以上3.4%以下とされる定着装置。
  2. 前記屈曲部の最大歪みが2.8%以上3.4%以下とされる請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記表面層の温度を制御する制御部材が備えられ、
    前記制御部材は、前記表面層の温度を70℃以上80℃以下に制御する請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 記録媒体にトナー画像を転写する転写手段と、
    前記転写手段によって記録媒体に転写されたトナー画像を記録媒体に定着させる請求項1〜3の何れか1項に記載された定着装置と、
    を備える画像形成装置。
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