JP5968195B2 - 歯科用接着性組成物 - Google Patents

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本発明は、保存安定性や歯質に対する接着性が良好であり、歯科用前処理材や歯科用接着材に有用な歯科用接着性組成物に関する。
齲蝕等により損傷を受けた歯の修復には、主にコンポジットレジンと呼ばれる充填材料が用いられる。このコンポジットレジンは、歯の空洞に充填した後重合硬化して使用されるのが一般的である。しかし、コンポジットレジン自体は歯質、例えばエナメル質や象牙質への接着性を持たないため、重合性組成物を用いた歯科用接着材と併用することが必要である。そのため、このような接着材は、コンポジットレジン及び歯質両方に接着することが要求される。
従来、接着材の歯質に対する接着強度を向上させることを目的として、接着材の使用前には、歯面に対して次のような前処理が施されている。即ち、
1)硬い歯質(主にヒドロキシアパタイトを主成分とするエナメル質)をエッチング処理するための前処理材の塗布、更に、
2)歯質中への接着材の浸透を促進するため、プライマーと呼ばれる前処理材の塗布
が行われている。
エッチング処理は、酸水溶液を用いて歯質を脱灰する処理であり、酸により脱灰された歯質の表面は粗造化したエナメル質やスポンジ状のコラーゲン繊維からなる象牙質が露出することとなる。エッチング処理した後、該露出したエナメル質及び象牙質への接着材の接着機構はそれぞれ異なり、具体的には以下のとおりである。
エナメル質への接着材の接着は、酸水溶液により脱灰された粗造な表面へ、接着性成分が浸透して硬化するというマクロな機械的嵌合により達成される。それに対し、象牙質への接着材の接着は、脱灰後に露出されたスポンジ状のコラーゲン繊維の微細な空隙に、接着材が浸透して硬化するというミクロな機械的嵌合により達成される。しかし、接着性成分は、コラーゲン繊維の微細な空間への浸透が容易ではなく。脱灰処理後に、更にプライマー(浸透促進剤)によるプライミング処理(浸透)を行ってから接着材を塗布する必要がある。
上述したように、エナメル質と象牙質の双方に対しての良好な接着強度を得るためには、損傷された歯を修復する際において、エッチング処理及びプライミング処理の2段階の前処理を行う必要があり、この2段階の前処理を行った上、接着材を塗布して硬化させる3ステップシステムが採用されており、操作が煩雑であるという問題があった。
その後、歯科用接着材の操作性の簡略化が求められ、脱灰機能と浸透促進機能を併せて持つ1液型前処理材が主流となった。即ち、エッチング処理とプライミング処理との2段階の前処理を1段階に簡略することにより、歯の修復操作は、従来の3ステップシステムから、1段階の前処理後に接着材を塗布して硬化する2ステップシステムとなり、操作性が大きくアップした(特許文献1及び2)。
更に、近年では、1液型接着材が開発されており、エッチング処理及びプライミング処理等の前処理を必要とせず、脱灰機能及び浸透促進機能を併せて持つ接着性組成物が主流となっている。従って、従来の2ステップシステムを1ステップシステムへと大幅に操作性が簡略化されるようになった。
例えば、特許文献3には、酸性基を有する重合性単量体を含む重合性単量体からなり、前処理を不要とする1液型の歯科用接着材が開示されている。即ち、酸性基を重合性単量体に導入することにより、接着材の溶液を酸性に呈することができ、酸水溶液を別途用意する必要なく、接着材の有する酸性により脱灰機能を果たすようになった。また、親水性重合性単量体及び疎水性重合性単量体を接着材に配合することにより、象牙質への浸透促進効果も果たすことができ、別途にプライミング処理をする必要がなくなった。
しかしながら、これら1液型接着材は、操作性の簡略化の目的は達成したものの、エッチング処理を行う際に水を必要とするため、脱灰機能を有する酸エステル基含有重合性単量体の加水分解が生じるという問題があった。即ち、加水分解により酸エステル基が重合性単量体から離脱され、接着材の有効成分である酸エステル基含有重合性単量体が分解されてしまい、歯質に対する接着性が低下するという接着材自体の劣化(保存安定性)が問題となっている。
また、1液型接着材は、上記問題もあって、脱灰機能に必要な水の配合量がどうしても少なくなってしまう。この為、歯質の脱灰力が低下する傾向にあり、特にエナメル質に対する接着性に関しては必ずしも十分とは言えなかった。
このような状況下、1液型の接着材において、水存在下における酸エステル基含有重合性単量体の加水分解を抑制し、接着材自体の保存安定性を向上させると共に、歯質、特にエナメル質に対して高い接着強度を有する1液型の歯科用接着材の開発が強く求められていた。
特開2003−073218号公報 特開2001−026511号公報 特開2007−119404号公報
従って、本発明の目的は、酸エステル基含有重合性単量体を含有する歯科用接着性組成物において、水存在下における酸エステル基含有重合性単量体の加水分解を抑制し、接着性組成物の保存安定性を向上させると共に、歯質、特にエナメル質に対して高い接着強度を有する歯科用接着性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、クロロゲン酸類を配合することにより、接着性組成物中の酸エステル基含有重合性単量体の水による加水分解を有効に抑制できるだけでなく、エナメル質に対する接着力を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、
(A)酸エステル基含有重合性単量体(A1)を含む重合性単量体成分、
(B)水、
(C)水溶性有機溶媒、及び
(D)クロロゲン酸類、
を含有する歯科用接着性組成物が提供される。
本発明の歯科用接着性組成物において、
(1)前記クロロゲン酸類(D)の配合量は、酸エステル基含有重合性単量体(A1)100質量部当たり、1〜100質量部であること、
(2)前記重合性単量体成分(A)は、酸エステル基含有重合性単量体(A1)を5質量%以上含有していること、
(3)前記酸エステル基含有重合性単量体(A1)の酸性基は、リン酸エステル基であること
(4)更に、(E)重合開始剤を含んでいること
が好ましい。
本発明の歯科用接着性組成物は、酸エステル基含有重合性単量体を含む歯科用接着性組成物にクロロゲン酸類を配合することによって、歯科用接着性組成物中の酸エステル基含有重合性単量体の水による加水分解を有効に抑制でき、結果、保存安定性が向上するだけでなく、歯質中のエナメル質に対する接着力を向上させることができる。
よって、本発明の歯科用接着性組成物は、脱灰機能が良好で接着力が高いため、1液型前処理剤や1液型接着材として、好適に使用できる。
クロロゲン酸類による加水分解防止効果の理由については、まだ解明されてはいないが、本研究者らは、クロロゲン酸類の有する抗酸化作用に加え、水に対しての高い親和力が、加水分解防止の要因ではないかと考えている。即ち、水に対して高い親和力を有するクロロゲン酸類は水分子との強い相互作用により、大きな分子の凝集団を形成し、この凝集団が障壁となり酸エステル基含有重合性単量体の加水分解を有効に防止できると考えている。また、多くの水分子はクロロゲン酸類と凝集団を形成するため、遊離している水分子の量が相対的に少なくなり、このことも加水分解が有効に抑制される要因と考えられる。
また、クロロゲン酸類を配合することによって、エナメル質に対する接着力が向上する理由については、まだ解明されてはいないが、本研究者らは、次のように考えている。
すなわち、クロロゲン酸類を配合すると、歯質の脱灰が進行しやすくなる。一般的に、歯質が脱灰されると、その表面に接触している接着材中の溶解した歯質成分の濃度が高くなり、次第に脱灰性は失われていく。しかしながら、クロロゲン酸類は、それら溶解残渣を、水分子と一緒に取り込みながら凝集団を形成していく為、歯質表面の脱灰効率が損なわれず、結果、エナメル質に対する接着力が向上すると考えられる。
本発明の歯科用接着性組成物は、酸エステル基含有重合性単量体(A1)を含む重合性単量体成分(A)、水(B)、水溶性有機溶媒(C)、及びクロロゲン酸類(D)を含むものである。
以下、各構成成分別に説明する。
<(A)重合性単量体成分>
本発明において、重合性単量体成分(A)は、重合により硬化してコンポジットレジンや各種の補綴物等に対する接着性を付与するために使用される成分であり、歯質に対する脱灰機能を付するため、酸エステル基含有重合性単量体(A1)を含有していることが必要である。
酸エステル基含有重合性単量体(A1)としては、1分子中に少なくとも1つの重合性不飽和基と、少なくとも1つの酸エステル基とを有する重合性単量体であれば特に制限されず、公知の物を使用することができる。
上記の重合性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、アリル基、エチニル基、スチリル基のようなものを挙げることができる。特に、硬化速度の点からアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基が最も好ましい。
酸エステル基含有重合性単量体(A1)は、重合性不飽和基と共に、酸から誘導される酸エステル基を分子中に有する化合物である。酸エステル基として、スルホン酸エステル基、リン酸エステル基、カルボン酸エステル基、等を用いることができるが、その中で、リン酸エステル基が最も好ましい。リン酸エステル基を含有する重合性単量体は、歯質の脱灰作用が高いばかりでなく、コンポジットレジンや歯質に対しても高い接着強度を有する。
このようなリン酸エステル基を含有している重合性単量体の具体例としては、以下の化合物を例示することができる。
Figure 0005968195
但し、上記化合物中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
上記の中でも、歯質に対する接着性の観点から、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、6−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイロキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、ビス(6−メタクリロイルオキシヘキシル)ハイドロジェンフォスフェートなどを使用することが好ましい。
また、上述した酸エステル基含有重合性単量体(A1)は、1種単独で使用されていてもよいし、2種以上を併用することもできる。
本発明において、酸エステル基含有重合性単量体(A1)の使用量は、特に制限されるものではなく、例えば、重合性単量体成分(A)の全量が酸エステル基含有重合性単量体(A1)であってもよいし、また、重合性単量体成分(A)の一部が酸エステル基含有重合性単量体(A1)であってもよい。但し、接着性組成物の歯質に対する適度の浸透性を示し、また硬化体の強度を向上させるという観点から、重合性単量体成分(A)において、酸性基を有しない重合性単量体(以下、「非酸性重合性単量体」と呼ぶ)(A2)と酸エステル基含有重合性単量体(A1)との双方を含むことが好ましい。特に、エナメル質及び象牙質の両方に対する接着強度を良好にする観点から、重合性単量体成分(A)の全量当り、5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%、最も好ましくは10〜60質量%の範囲で酸エステル基含有重合性単量体(A1)を使用するのが好ましい。酸エステル基含有重合性単量体(A1)の配合量が少ないと、エナメル質に対する接着強度が低下する傾向があり、逆に多いと象牙質に対する接着強度が低下する傾向がある。
本発明においては、上記の酸エステル基含有重合性単量体(A1)と共に、非酸性重合性単量体(A2)を併用することができる。このような非酸性重合性単量体(A2)としては、前述した重合性不飽和基を分子中に少なくとも1個有しており、且つ酸性基を有していない化合物が使用される。このような非酸性重合性単量体(A2)の具体例としては、以下の化合物を例示することができ、これらは1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
1.モノ(メタ)アクリレート系単量体;
メチル(メタ)アクリレート
エチル(メタ)アクリレート
グリシジル(メタ)アクリレート
2−シアノメチル(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート
アリル(メタ)アクリレート
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
グリシジル(メタ)アクリレート
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
グリセリルモノ(メタ)アクリレート
2−(メタ)アクリルオキシエチルアセチルアセテート
2.多官能(メタ)アクリレート系単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン
2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
ウレタン(メタ)アクリレート
エポキシ(メタ)アクリレート
また、非酸性重合性単量体(A2)としては、上記の(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体の少なくとも1種を、(メタ)アクリレート系単量体と併用することも可能である。
(メタ)アクリレート系単量体以外の非酸性重合性単量体(A2)としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン系誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物;等を挙げることができる。
また、非酸性重合性単量体(A2)として疎水性の高い重合性単量体を用いる場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の両親媒性の単量体を併用し、水の分離を防ぎ、均一な組成を確保することが、高い接着強度を得る上で好ましい。
<水(B)>
本発明においては、上述した脱灰機能を持つためには、酸エステル基含有重合性単量体の酸性基と共に水が必要となる。水が存在しないと、エッチング処理が進行し難く、一定の接着強度を生じさせることができない。
一方で、後述するクロロゲン酸類を組成物中に配合しない場合に水が多く存在すると保存中に酸エステル基含有重合性単量体の加水分解反応が進行するため、長期間保存後使用する際には、接着強度が低下するが、後述するクロロゲン酸類を配合した場合には、水が多く存在した状態でも加水分解反応が抑制され、保存安定性が良好である。
したがって、保存安定性を良好に保ち、且つ接着強度を高めるという点から、水(B)は、酸エステル基含有重合性単量体(A1)100質量部当たり、10〜120質量部、特に50〜100質量部の量で使用されることが好ましい。
本発明において、上記の水は、本発明の接着性組成物を歯面に塗布した際に、該組成物の硬化に先立って、エアブローにより除去させることが、硬化を十分に進行させる観点から好ましい。
<水溶性揮発性有機溶媒(C)>
本発明の接着性組成物に使用する水溶性揮発性有機溶媒(C)は、上記重合性単量体成分(A)及び水(B)と、後述する適宜使用される重合開始剤(E)との混和性を向上させ、均一な組成の接着性組成物を得るために必要である。
該水溶性揮発性有機溶媒としては、室温で揮発性を有し、水溶性を示すものであれば公知の有機溶媒が何等制限なく使用できる。ここで言う揮発性とは、760mmHgでの沸点が100℃以下であり、且つ20℃における蒸気圧が1.0KPa以上であることを言う。また、水溶性とは、20℃での水への溶解度が20g/100ml以上であることを言う。このような水溶性揮発性有機溶媒として具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する為害性を考慮すると、エタノール、プロパノール又はアセトンが好ましい。
本発明の接着材における水溶性揮発性有機溶媒(C)の配合量は、上記のように配合される各成分が均一となる程度であれば良く、酸エステル基含有重合性単量体(A1)100質量部当たり、100〜600質量部配合することが好ましく、特に、200〜500質量部で配合することがより好ましい。
<クロロゲン酸類(D)>
本発明のクロロゲン酸類は、クロロゲン酸及びクロロゲン酸誘導体を意味する。本発明のクロロゲン酸類はカフェ酸やフェルラ酸等の桂皮酸誘導体と、キナ酸とのエステルの総称であり、下記一般式(1)で表される化合物の他、一般式(1)で表される化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、糖エステル等の誘導体を含むものである。
Figure 0005968195
(式中、R〜RはそれぞれH又は下記一般式(2)で表わされる置換基であり、R〜Rの少なくとも1つは、一般式(2)で表わされる置換基を示す)
Figure 0005968195
(式中、RはH又はメチル基を示す)
本発明のクロロゲン酸類を例示すると、クロロゲン酸である5−カフェオイルキナ酸の他、次のようなクロロゲン酸誘導体が挙げられる。すなわち、キナ酸の3位の水酸基にカフェ酸がエステル結合した3−カフェオイルキナ酸(ネオクロロゲン酸)、キナ酸の4位の水酸基にカフェ酸がエステル結合した4−カフェオイルキナ酸(クリプトクロロゲン酸)、キナ酸の3位、4位及び5位の水酸基のうち2つの水酸基にカフェ酸がエステル結合した3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸のようなジカフェオイルキナ酸(イソクロロゲン酸)、キナ酸の3位、4位、5位の水酸基のうち1つの水酸基にフェルラ酸がエステル結合した3−フェルリルキナ酸、4−フェルリルキナ酸、5−フェルリルキナ酸のようなフェルリルキナ酸、キナ酸の3位、4位及び5位の水酸基のうち2つの水酸基にカフェ酸とフェルラ酸がエステル結合した3−フェルリル−4カフェオイルキナ酸、3−フェルリル−5カフェオイルキナ酸、4−フェルリル−5カフェオイルキナ酸、3−カフェオイル−4フェルリルキナ酸、3−カフェオイル−5フェルリルキナ酸、4−カフェオイル−5フェルリルキナ酸等のようなフェルリルカフェオイルキナ酸等が例示される。上記の他、さらに、これらクロロゲン酸類のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、あるいはクロロゲン酸類の糖エステルもクロロゲン酸類の一例として挙げられる。
なお、本発明のクロロゲン酸類は、単一のクロロゲン酸類のみならず、複数の異なるクロロゲン酸類の混合物であってもよい。
これらクロロゲン酸類は、広く植物に存在し、多くの双子葉植物の果実、葉に含まれ、クロロゲン酸類を含む植物を例示すると、ヒマワリ種子、コーヒー豆、リンゴ果実、タバコ葉、ナシ葉、モモ、サツマイモ等が挙げられる。一般的には、これらから抽出した天然抽出物が市販されており、本発明の歯科用接着性組成物に好適に使用できるものを例示すると、富士化学工業株式会社製カフェノールP−100、オリザ油化株式会社製生コーヒー豆エキスP、株式会社東洋発酵製OXCH100等が挙げられる。これら市販品は、イソクロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸等を主成分とする複数のクロロゲン酸類の混合物である。
本発明の歯科用接着性組成物に使用できるクロロゲン酸類は、上述した一般的な市販品を用いる以外にも、公知な化学的合成法によって得られたクロロゲン酸類でも使用可能であり、必ずしも天然抽出物のような混合物である必要はない。更に、このような化学的合成法によって得られたクロロゲン酸類は、多くの場合、そのままの状態で利用できるが、必要ならば、その効力に影響のない範囲で脱臭、脱色等の精製処理を加えても良い。尚、脱臭、脱色等の精製処理手段としては、活性炭カラムなどを用いれば良く、一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えば良い。
本発明で使用する(D)クロロゲン酸類の配合量については、保存安定性及び接着性を良好にする観点より、酸エステル重合性単量体(A1)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、クロロゲン酸類の配合量があまり多いと接着性が低下する傾向にあり、接着性を良好にする観点から(D)クロロゲン酸類の配合量は、酸エステル重合性単量体(A1)100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
<重合開始剤(E)>
本発明の接着性組成物には、有効量の重合開始剤(E)を配合させても良く、これ自体を接着材として用いる場合には、重合開始剤を配合することが必要である。
このような重合開始剤(E)としては、任意のタイミングで重合硬化させることができることから、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、そのもの自身が光照射によってラジカル種を生成する化合物や、このような化合物に重合促進剤を加えた混合物が使用される。
それ自身が光照射にともない分解して重合可能なラジカル種を生成する化合物としては、以下のものを例示することができる。
α−ジケトン類;
カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、
ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、
3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等。
チオキサントン類;
2,4−ジエチルチオキサントン等。
α−アミノアセトフェノン類;
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
ブタノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
ブタノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
プロパノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
プロパノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
ペンタノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
ペンタノン等。
アシルフォスフィンオキシド誘導体;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル
フォスフィンオキシド等。
また、上記した重合促進剤としては、第三級アミン類、バルビツール酸類、メルカプト化合物などが使用される。その具体例は以下の通りである。
第三級アミン類;
N,N−ジメチルアニリン、
N,N−ジエチルアニリン、
N,N−ジ−n−ブチルアニリン、
N,N−ジベンジルアニリン、
N,N−ジメチル−p−トルイジン、
N,N−ジエチル−p−トルイジン、
N,N−ジメチル−m−トルイジン、
p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、
m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、
p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、
p−ジメチルアミノアセトフェノン、
p−ジメチルアミノ安息香酸、
p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、
p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、
N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、
N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、
N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、
p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、
p−ジメチルアミノスチルベン、
N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、
4−ジメチルアミノピリジン、
N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、
N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、
トリブチルアミン、
トリプロピルアミン、
トリエチルアミン、
N−メチルジエタノールアミン、
N−エチルジエタノールアミン、
N,N−ジメチルヘキシルアミン、
N,N−ジメチルドデシルアミン、
N,N−ジメチルステアリルアミン、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等。
バルビツール酸類;
5−ブチルバルビツール酸、
1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等。
メルカプト化合物;
ドデシルメルカプタン、
ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等。
このような重合開始剤(E)の配合量は、この接着性組成物を硬化できるだけの有効量であれば特に限定されず、適宜設定すれば良いが、一般的に、重合を十分に進行させ、硬化体の強度を向上されるためには、重合性単量体成分(A)100質量部当り、0.13〜12.5質量部、特に0.25〜5質量部の範囲とするのがよい。
<その他の成分>
本発明の接着性組成物には、上記(A)〜(D)成分、更に、必要により重合開始剤(E)成分が配合されていれば歯質やコンポジットレジンに対して優れた接着性を発現するが、接着性組成物の機械的強度及び耐水性を向上させる為に無機充填剤を配合することが好ましい。
このような無機充填剤としては、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、重金属(例えばバリウム、ストロンチウム、ジルコニウム)を含むガラス、アルミノシリケート、ガラスセラミックス、シリカやシリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、シリカ・アルミナなどの複合無機酸化物などが挙げられ、このうちシリカが最も好ましい。
これらの無機充填剤は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化することで重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させることができる。疎水化の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられる。上記各種フィラーは単独または二種以上を混合して使用することができる。
本発明に用いる無機充填剤の配合量は、上記重合性単量体成分(A)100質量部当たり、2.5〜50質量部の範囲で用いるのが好ましく、特に、5〜25質量部の範囲で用いるのが最も好ましい。該無機充填剤の配合量が2.5質量部未満の場合は、接着性組成物の強度および耐水性が不足し、また、10質量部を超えると接着性組成物の硬化性が不十分となり、歯質との接着力が低下する。
また、本発明においては、接着性組成物の接着性を損なわない範囲で、必要に応じて歯科用接着性組成物の配合成分として公知の他の成分、例えば、酸性基含有ラジカル重合性単量体や多官能性ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体、紫外線吸収剤、重合禁止剤、重合抑制剤、染料、顔料等が配合されていてもよい。
本発明の接着性組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の歯質用接着性組成物の製造方法に従えばよく、一般的には、赤色光などの不活性光下に、配合される全成分を秤取り、均一溶液になるまでよく混合すればよい。
本発明の接着性組成物の使用方法も、公知の歯質用接着性組成物の使用方法に従えばよく、接着材として使用する場合には、齲蝕部を取り除くなどした被着体となる歯質に本発明の接着性組成物を塗布し、5〜60秒程度放置後に圧縮空気などを軽く吹きつけて揮発性成分を揮発させ、コンポジット等の補綴物を詰めた後、ついで歯科用照射器を用いて可視光を照射し重合、硬化させればよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中に示した、略称、称号については以下の通りである。
重合性単量体成分(A)
[酸エステル基含有重合性単量体(A1)]
PM1:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート
PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート
MHP:6−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
[非酸性重合性単量体(A2)]
Bis−GMA:2,2′−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシ
プロポキシ)フェニル]プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
水溶性揮発性有機溶媒(C)
IPA:イソプロピルアルコール
クロロゲン酸類(D)
D1:カフェノールP−100(富士化学工業株式会社)成分:生コーヒー豆抽出物100%、クロロゲン酸含量:15%以上、総クロロゲン酸類含量:30%以上
D2:生コーヒー豆エキス−P(オリザ油化株式会社)成分:生コーヒー豆抽出物100%、クロロゲン酸含有量:24%以上、クロロゲン酸類含量:45%以上
重合開始剤(E)
CQ:カンファーキノン
DMBE:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
その他の成分(無機充填剤)
F1:粒径0.02μmの非晶質シリカ(メチルトリクロロシラン処理物)
F2:粒径0.4μmの球状シリカ−ジルコニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物)と、粒径0.08μmの球状シリカ−チタニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物)との質量比70:30の混合物
また、以下の実施例および比較例において、各種の測定は以下の方法により実施した。(1)保存安定性(酸エステル基含有重合性単量体(A1)残存率)の測定方法
調製直後の歯科用接着性組成物0.05gをアセトニトリル4.95gに入れ、攪拌しながら溶解させ、均一な溶液を得た。この液5μlを、液体クロマトグラフィー(MD−2010 Plas、日本分光社製)で測定し、その液中の酸エステル基含有重合性単量体(A1)のピークを算出し、得られたピーク面積を酸エステル基含有重合性単量体(A1)の初期存在量(S1)とした。
次に、この接着材を50℃のインキュベーター内に3週間保存後、上記と同様の方法を用いて、該液中の酸エステル基含有重合性単量体(A1)のピークを算出し、得られたピーク面積を、酸エステル基含有重合性単量体(A1)の保存後の存在量(S2)とした。
そして、50℃で3週間保存後の酸性基含有重合性単量体(A1)の残存率(%)は下記の計算式により算出した。
酸エステル基含有重合性単量体残存量(%)=(S2/S1)×100%
上記液体クロマトグラフィーの測定条件は、以下の通りである。
展開溶媒:アセトニトリル/1.0%リン酸水溶液=50/50
カラム:GLサイエンス社製「Inertsil ODS−2」
流速:1.0ml/min
測定波長:210nm
サンプル仕込み量:5μl
(2)歯質接着性(初期接着性)の測定方法
a)接着試験片の作成方法
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、流水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削りだした。
次に、これらの面に圧縮空気を約10秒間吹きつけて乾燥させた後、エナメル質及び象牙質の何れかの平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、次いで、厚さ0.5mm、直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。
この模擬窩洞内に歯科用接着材を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)にて10秒間光照射した。
更に、その上に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片を作成した。
b)接着試験方法
上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4つの試験片について、引張り接着強度として、歯質接着性を評価した。
(3)保存安定性(接着強度)評価方法
調製した歯科用接着性組成物を50℃インキュベーター内に3週間保管した後、上記と同様に引張り接着強度を測定した。1試験当り、4つの試験片について、引張り接着強度を測定し、その平均値をエナメル質或いは象牙質に対する50℃で3週間保存後の接着強度とした。
<実施例1>
酸エステル性基含有重合性単量体(A1)としてPMを10g、その他重合性単量体(A2)としてBis−GMAを18g及び3Gを12g、水(B)を7.6g、水溶性有機溶媒(C)としてIPAを34g、クロロゲン酸類(D)としてD1を2.8g及び光重合開始剤(E)としてCQとDMBEとを其々0.5g取り、均一な溶液となるまで攪拌して、本発明の歯科用接着性組成物を調製した。
この接着性組成物を用いて、エナメル質及び象牙質に対して、初期接着強度及び保存安定性(50℃で3週間保存後のPM残存率及び接着強度)について測定した。接着性組成物の組成を表1に、評価結果を表2に示した。
<実施例2〜23>
実施例1の方法に準じ、組成の異なる接着性組成物を調製し、エナメル質及び象牙質に対して、初期接着強度及び保存安定性(50℃で3週間保存後のPM残存率及び接着強度)を測定した。接着性組成物の組成を表1に、評価結果を表2に示した。
<比較例1〜7>
実施例1の方法に準じ組成の異なる接着性組成物を調製し、エナメル質及び象牙質に対して、初期接着強度及び保存安定性(50℃で3週間保存後のPM残存率及び接着強度)を測定した。接着性組成物の組成を表3に、評価結果を表4に示した。
Figure 0005968195
Figure 0005968195
Figure 0005968195
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実施例1〜23は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合されたものであるが、何れの場合においても、エナメル質、及び象牙質に対して良好な接着強度が得られ、また、50℃で3週間保存後の酸エステル基含有重合性単量体(A1)の残存率も高く、良好な保存安定性を有していた。
これに対し、比較例1〜4は、クロロゲン酸類(D)を配合していなかった場合であるが、何れの場合においても、50℃で3週間保存後には酸エステル基含有重合性単量体(A1)の大半が加水分解されており、接着強度が大幅に低下した。また、歯質の脱灰効果が得られず、歯質、特にエナメル質における接着強度が大幅に低下することがわかった。
比較例5は、酸エステル基含有重合性単量体(A1)を配合しなかった場合であり、比較例6は、水(B)を配合しなかった場合であるが、何れの場合においても、歯質脱灰性が得られず、象牙質およびエナメル質に対する接着強度が低下している。
比較例7は、水溶性有機溶媒(C)を配合しなかった場合であるが、接着性組成物の粘度が上昇し、歯質脱灰性及び浸透性が不足し、象牙質およびエナメル質に対する接着強度が大幅に低下している。

Claims (6)

  1. (A)酸エステル基含有重合性単量体(A1)を含む重合性単量体成分、
    (B)水、
    (C)水溶性揮発性有機溶媒、及び
    (D)クロロゲン酸類、
    を含有する歯科用接着性組成物。
  2. 前記酸エステル基含有重合性単量体(A1)100質量部に対して、前記(D)クロロゲン酸類が1〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性組成物。
  3. 前記重合性単量体成分(A)は、酸エステル基含有重合性単量体(A1)を5質量%以上含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歯科用接着性組成物。
  4. 前記酸エステル基含有重合性単量体(A1)の酸エステル基は、リン酸エステル基である請求項1乃至3の何れか1項に記載の歯科用接着性組成物。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の歯科用接着性組成物からなる1液型歯科用前処理材。
  6. さらに、(E)重合開始剤を含んでなる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の歯科用接着性組成物からなる1液型歯科用接着材。
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