JP5967052B2 - 構造物更新方法及び構造物建設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、既存の構造物のうちの上方構造物と、該上方構造物の下方に配置される下方構造物と、をつなぎ合わせて、上方構造物を含む既存の構造物を更新する構造物更新方法、及び、この構造物更新方法によって新構造物を建設する構造物建設方法、並びに、この構造物建設方法によって建設された新構造物に関する。
製鉄所には、焼結鉱とコークスとが装入されて銑鉄を溶製する高炉や、焼結機排ガス処理用の脱硫吸収塔などの設備(適宜、「構造物」ともいう)が建設されており、例えば、30年などの長期間に亘り、これらの設備が稼動すると、該設備中の内部部材に腐食が著しく進む場合がある。腐食が進んだ内部部材は、所定の剛性を保つことや特定の機能を発揮することが困難になるので、設備の正常な稼動を維持するために、この内部部材を更新する必要が生じる。しかしながら、内部部材単位でその設備を更新すると、設備全体が崩壊する可能性があり、また、工期が長くなるため、長年稼動した設備については、設備単位で全体を更新(改修)することが望ましい。
例えば、高炉の改修方法としては、特許文献1に、高炉炉底に炉内内容物が残存した状態で高炉鉄皮と炉壁とを改修する方法が提案されている。特許文献1には、炉底内容物の解体(掻出)と、炉底レンガ積みなどの炉底の工事が、高炉の改修工程の全体を律することが開示されており、この改修方法では、まず、炉体の炉胸下部付近を、仮ブラケット等により支持し、羽口鉄皮全周を切断し、羽口及び朝顔部鉄皮を解体しかつ撤去する。次いで、その撤去した鉄皮と同様の構成を有し、予め安全天井が取り付けられた環状鉄皮を、その撤去した鉄皮があった部分に据え付けて、その安全天井を境にして、上部の鉄皮と炉壁との解体及び更新、下部の炉底内容物の除去及び炉壁の解体と更新を行なう。これにより、安全天井を移設させずに、1つの位置で改修作業を高炉上部、下部に分割して行なうことを可能としている。更に、特許文献1には、炉底鉄皮が、健全であった場合には、それを流用し得ることも開示されている。
特開平1−168803号公報
特許文献1に示される更新方法では、高炉の一部を流用しているものの、更新される対象の構造物中において、その流用可能である部分と、新しい部分とが明確である場合に、その部分を流用することを前提にして、構造物を更新することを考慮しておらず、更には、更新された構造物における、流用部分と新たな部分との接合誤差を考慮していない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、容易かつ迅速に、上方構造物と下方構造物とをつなぎ合わせる際に、更新される構造物の強度を確保する構造物更新方法、及び、この構造物更新方法によって新構造物を建設する構造物建設方法、並びに、この構造物建設方法によって建設された新構造物を提供することである。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)複数の上方構造物柱を有する上方構造物と、複数の下方構造物柱を有する下方構造物と、をつなぎ合わせて、構造物を更新する構造物更新方法であって、前記上方構造物の隣接する2つの上方構造物柱の間隔距離が、前記2つの上方構造物柱に対向する、前記下方構造物の2つの下方構造物柱の間隔距離と一致するように、前記2つの上方構造物柱のうちの一方の上方構造物柱を基準として、他方の上方構造物柱を移動させ、次いで、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱とのいずれかの側面に押さえ目板を取り付けて、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱との側面が面一となるように、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱とを移動させて、前記新下方構造物と前記上方構造物とをつなぎ合わせることを特徴とする構造物更新方法。
(2)前記下方構造物柱の先端部分の側面に、対向する2枚のガイドを設けておき、該ガイドの間に前記上方構造物柱が入れて、前記上方構造物柱の下端と前記下方構造物柱の上端とを接触させることを特徴とする上記(1)に記載の構造物更新方法。
(3)前記上方構造物柱の側面と前記ガイドとの間に、先端へ幅が先細った形状を有する調整治具を差し入れて、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱との側面を面一となるように、前記上方構造物柱を移動させることを特徴とする上記(2)に記載の構造物更新方法。
(4)上記(1)ないし上記(3)のいずれか1項に記載の構造物更新方法によって、既存の構造物の上部を流用して新構造物を建設する構造物建設方法。
(5)上記(4)に記載の構造物建設方法によって建設された新構造物。
本発明によれば、上方構造物と下方構造物とをつなぎ合わせる際に、上方構造物が有する上方構造物柱と、下方構造物が有する下方構造物柱と、を容易かつ迅速に芯出しすることで、新構造物における接合誤差を抑えて、新構造物の強度を確保することができる。
新構造物の概略斜視図である。 図1のII−II線に沿った矢視断面図である。 上方構造物柱と下方構造物柱をつなぎ合わせる状態を時系列的に示す説明図である。 外部支柱が設置された構造物を示す概略斜視図である。 移動可能な状態の撤去ブロックを示す概略斜視図である。 上方構造物と下方構造物とをつなぎ合わせる状態を時系列的に示す説明図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、新構造物の概略斜視図である。新構造物1は、上方構造物2と下方構造物3とからなる。上方構造物2は、複数の上方構造物柱4を有し、下方構造物3は、複数の下方構造物柱5を有する。これらの上方構造物2と下方構造物3とがつなぎ合わせられて、既存の構造物が、新構造物1へと更新される。図示は省略しているが、上方構造物2は既存の構造物を流用したものであり、例えば、上方構造物2の上側からの吊り上げや、側面からの保持によって、上方構造物2は空中に支えられた状態となり、その上方構造物2の下方に、下方構造物3が配置され得る。
図2は、図1のII−II線に沿った矢視断面図であり、II−II線に沿った上方構造物2の断面を示している。説明のため、上方構造物2の壁などの図示を省略している。図3は、上方構造物柱4と下方構造物柱5とをつなぎ合わせる状態を時系列的に示す説明図である。図3に示す実施形態では、上方構造物柱4及び下方構造物柱5はH形鋼であるが、本発明は、特にこの形状に限定されるものではない。
図2に示すように、上方構造物2は、その水平断面から視て、周縁部分と中心部分とに複数本、例えば9本の上方構造物柱4から構成されており、建設当初では、複数の上方構造物柱4の各間隔距離は設計通りの距離であった。しかしながら、経年劣化によって上方構造物柱4は移動してしまい、上方構造物柱4の各間隔距離も、建設当初の距離とは異なってしまう。そこで、上方構造物柱4の各間隔距離を予め測定しておき、下方構造物柱5の各間隔が、予め測定しておいた間隔距離と同一となるように、下方構造物3を作製してある。ところが、上方構造物2の吊り上げなどに起因して、上方構造物柱4の各間隔距離が、予め測定して得られた値から変わってしまう場合がある。
上方構造物2と下方構造物3とをつなぎ合わせる際に、複数の上方構造物柱4と複数の下方構造物柱5との接続部分が上方構造物2の荷重に耐え得るように、複数の上方構造物柱4と複数の下方構造物柱5との各々の組が、それぞれ所定の高い精度を満たすように揃える必要があるが、前述のように、複数の下方構造物柱5と複数の上方構造物柱4とを、所定の高い精度を満たすように揃えることができない可能性がある。その場合には、下方構造物柱5の位置に合わせて、複数の上方構造物柱4と複数の下方構造物柱5とが接続する接続部分近傍における上方構造物柱4の各間隔距離を調整する。
図2に示すように、上方構造物柱4の各々の間に、固定ジャッキなどの押圧機構6を設置する。次いで、水平断面において中心に配置されている上方構造物柱4aを基準として、押圧機構6で、この上方構造物柱4aの四方に配置されている、この上方構造物柱4aに隣接する上方構造物柱4b,4c,4d,4eを押圧することで、これらの上方構造物柱4の各々の間隔距離が、上方構造物2と下方構造物3とを対面させた際に、隣接する2つの上方構造物柱4に対向する2つの下方構造物柱5の各々の間隔距離に対応(一致)するように、上方構造物柱4を移動させる。
次に、上方構造物柱4bを基準とし、押圧機構6で、上方構造物柱4bとは別の上方構造物柱4fを押圧して、隣接する2つの上方構造物柱4fと上方構造物柱4bとの間隔距離を、2つの上方構造物柱4b,4fに対向する2つの下方構造物柱5の間隔距離に一致させる。更に、上方構造物柱4cを基準にして、上方構造物柱4fを押圧して、上方構造物柱4fと上方構造物柱4cとの間隔距離を、2つの上方構造物柱4c,4fに対応する2つ下方構造物柱5の間隔距離に一致させる。同様にして、上方構造物柱4g,4h,4iの各々を、押圧機構6で押圧する。
図3(a)は、上方構造物柱4の下端と下方構造物柱5の上端とを合わせようとしている状態を示し、図3(a)中の点線は、上方構造物柱4のフランジ部分の表面を下方向に延長した面及び下方構造物柱5のフランジ部分の表面を上方向に延長した面を示している。以上のようにして、上方構造物柱4a〜4iの各間隔距離を調整した上で、下方構造物3の上端と上方構造物2の下端とを接触させようとすると、図3(a)中の点線で示すように、複数の下方構造物柱5と複数の上方構造物柱4との各々の組が、ある程度の精度で揃う。
この組が更に精度良く揃うように、下方構造物柱5の先端部分の側面に各々が対向する2枚のガイド7を設けておき、該ガイド7,7の間に上方構造物柱4が入れて、上方構造物柱4の下端と下方構造物柱5の上端とを接触させることが好ましい。この点線に示すように、図3(a)の状態では、上方構造物柱4と下方構造物柱5との組の各々で、フランジ部分の表面(側面)が面一とならない可能性があり、同様に、ウエブ部分の表面(側面)も面一とならない可能性もある。このフランジ部分の表面及びウエブ部分の表面を面一となるように、下方構造物柱5及び上方構造物柱4を移動させる。
図3(b)は、ウエブ部分の表面を面一にしようとする状態を示している。上方構造物柱4の下端と下方構造物柱5の上端とを接触させる。次いで、上方構造物柱4と下方構造物柱5との両方またはいずれかのウエブ部分の両表面に、押さえ目板8を取り付けて、上方構造物柱4及び下方構造物柱5のウエブ部分の表面が面一となるように、押さえ目板8で上方構造物柱4及び下方構造物柱5をウエブ部分の表面に垂直な方向に移動させてから、上方構造物柱4と下方構造物柱5との位置を固定する。
図3(c)は、フランジ部分の表面を面一にしようとする状態を示している。上方構造物柱4のフランジ部分の表面とガイド7の表面との隙間に、先端へ幅が先細った形状でありかつ一定の厚みを有する調整治具9を差し入れて、上方構造物柱4と下方構造物柱5とのフランジ部分の表面が面一となるように、フランジ部分の表面に垂直方向に、上方構造物柱4を移動させる。
以上のようにして、上方構造物柱4と下方構造物柱5とのウエブ部分の表面及びフランジ部分の表面を面一にしようとする。理想は、全ての組の上方構造物柱4と下方構造物柱5との表面が面一となることである。しかしながら、実際には、全ての組のうち、一部の組の上方構造物柱4と下方構造物柱5との表面は面一となる一方で、面一となる組とは別の組のうち、一部の上方構造物柱4と下方構造物柱5との表面は面一とならない可能性が高い。前述したように、上方構造物2の吊り上げなどに起因して、上方構造物柱4の各間隔距離が、予め測定して得られた値から変わってしまう場合があるからである。例えば、本実施形態では、図2に示す中心の上方構造物柱4aを基準として、他の上方構造物柱4b〜4iを移動させているので、上方構造物柱4aとこれと組の下方構造物柱5との表面は面一となるが、その他の上方構造物柱4b〜4iとこれらと組の下方構造物柱5との表面は面一とならない可能性が高い。
表面が面一とならない場合には、表面のずれ量が、10mm以下とすることが好ましい。更には、新構造物の強度を更に向上させるならば、表面のずれ量が5mm以下とすることが好ましい。前述のように、理想的に、全ての組の上方構造物柱4と下方構造物柱5とのウエブ部分及び/またはフランジ部分の表面を面一にすることが可能であれば、その状態で、上方構造物柱4と下方構造物柱5とを溶接するし、そうでない場合には、一部の組の上方構造物柱4と下方構造物柱5とのウエブ部分の表面及び/またはフランジ部分の表面を面一にした状態で、かつ、その一部の組以外の組のそれらの表面のずれ量が小さい状態で、上方構造物柱4と下方構造物柱5とを溶接する。このようにして、上方構造物2と下方構造物3とをつなぎ合わせる。これにより、既存の構造物11を更新する。この更新は、上方構造物2の重量を支える新構造物を建設することでもある。なお、表面のずれ量が10mm以下であれば、上方構造物2の荷重を下方構造物3で受けても、その新構造物は、正常に機能し、かつ、地震にも耐え得る強度を有する。
本発明に係る構造物更新方法は、上記のように上方構造物2と下方構造物3とをつなぎ合わせる前に、下記の分割撤去工程を備えていてもよいし、下記の接合工程中では、上方構造物2と下方構造物3(下方構造物ブロック32a)とをつなぎ合わせる際に、上記の方法を用いる。
1.構造物11を保持しつつ、構造物11のうち、流用する上方構造物2と、該上方構造物2の下方の、流用することのない旧下方構造物13と、の境界となる上下境界線23に沿って、上方構造物2と旧下方構造物13とに、構造物11を分割して、旧下方構造物13を撤去する(分割撤去工程、図4参照)。
2.上方構造物2を保持しつつ、撤去された旧下方構造物13の代わりに、上方構造物2の下方に下方構造物3を配置して、下方構造物3と上方構造物2とをつなぎ合わせる(接合工程)。
上記2つの工程の順に、該工程を説明する。
[1.分割撤去工程]
図4は、外部支柱が設置された構造物を示す概略斜視図である。構造物11の内部を調査することで、該構造物11のうち、流用可能な部分が上側であり、流用不可能な部分が下側であることを確認し、この流用可能な部分である上方構造物2と、流用不可能な部分となる旧下方構造物13と、の境界となる上下境界線23を決める。例えば、構造物11が、下方から未脱硫ガスが流入し、上方から脱硫ガスを排出する脱硫吸収塔である場合には、その脱硫吸収塔の下側部分の内部で、物質の化学反応が特に起こるため、上側部分に比べて下側部分の腐食が著しく該下側部分が流用不可能となり、一方で、脱硫吸収塔の上側部分の内部は比較的健全であるため、上側部分が流用可能となる傾向がある。
構造物11の内部調査では、構造物11の上から順に、構造物11を構成している壁、構造物柱(構造物11自身を支える支柱)、梁などの鋼材厚みや変形量などを測定していく。測定結果を基に、有限要素法(FEM解析)による応力計算、耐地震計算をすることにより、例えば、ある部材にかかる応力が一般的な鋼材の許容応力である14MPa以下となった位置を上下境界線23の高さ位置と定める。このようにして、ある適切な応力の閾値が算出(測定)される高さを上下境界線23の高さ位置と定めてもよい。他の上下境界線23の定め方としては、強度上に問題が無い箇所であっても上下構造体の接合上困難な構造を有している場合、溶接接合ができない程、部分的に腐食が進んでしまっている場合、例えば、構造物柱の内部的な腐食を発見し、その腐食部分の厚みが、例えば、3mm以下となる場合には、その箇所を避け、その腐食部分が発見された位置より上側で、後述する構造物柱の溶接接合を容易に行い得る位置を上下境界線23として定めてもよい。このように、上下境界線23の高さ位置を決める閾値を、応力でなく、溶接接合の可否で決めることもできる。
旧下方構造物13は腐食によって脆くなっている可能性が高いので、後述するように、構造物11を吊り上げたときに、旧下方構造物13の何れかの部分が自重で引っ張られて破断する可能性がある。そこで、本実施形態では、その破断する可能性がある部分を、次のようにして把握しておく。[1]まずは、構造物11が吊り上げられた状態を想定して、高さ方向における旧下方構造物13の任意の位置に掛かる引張応力を計算しておく。この引張応力は、その任意の位置より下の旧下方構造物13の質量から算出し得る。[2]次いで、任意の位置における、引張りに対する許容応力を算出しておく。上記内部調査では、旧下方構造物13(上下境界線23以下の構造物11)を構成している鋼材厚みや変形量を測定してあるので、引張りに対する許容応力を算出し得る。[1]で得られる引張応力が[2]で得られる許容応力を超える旧下方構造物13の高さ位置の部分が、破断する可能性がある。
構造物11は地上に据え付けられており、構造物11の周囲には、これより高い外部支柱15が複数設置されている。構造物11より高い位置で、外部支柱15の各々をつなぐ外部支持梁16が、各外部支柱15に設けられている。これらの外部支柱15及び外部支持梁16は、中空構造または中実構造の鋼柱としてもよいし、組立鋼柱とすることも可能である。
外部支持梁16には、吊り具17が複数取り付けられている。吊り具17は、100tを超える高荷重がかかっても破壊されることのない線材17aと、該線材17aにつながっている吊り上げ対象に取り付けられる接続部17bと、この線材17aを巻き上げる巻上げ機構とを有している。この巻上げ機構には、更に、駆動装置が設けられており、この駆動装置には、これを制御するコントローラが接続されている。なお、巻上げ機構、駆動装置、及び、コントローラは図示を省略している。
構造物11の上面周縁部11a,11bには、反力梁21が設けられており、その端部には、前述の吊り具17の接続部17bが据え付けられている。作業者が、前述のコントローラを操作して、吊り具17を用いて、線材17aを巻き上げることによって、線材17aを張り詰めた状態にして、構造物11(上方構造物2)を保持する、また、線材17aを巻き上げることによって、地上から分離された構造物11を吊り上げるか、巻き上げた線材17aを解くことによって、構造物11を吊り下げる。構造物11の吊り上げによる曲げ応力に対して、反力梁21の剛性を高めるために、構造物11の上面を跨るように、天秤梁22を反力梁21に複数設けてある。
旧下方構造物13を複数の撤去ブロック24に区画しておくことが好ましい。図4に示す実施形態では、3つの撤去ブロック24a,24b,24cに旧下方構造物13を区画している。上方構造物2を保持しつつ、第1の撤去ブロック24aと第2の撤去ブロック24bと間の第1のブロック境界線25aに沿って、旧下方構造物13を切断する。切断後には、吊り具17は、上方構造物2及び旧下方構造物13の一部(撤去ブロック24b,24c)を空中で保持することになり、旧下方構造物13の一部である第1の撤去ブロック24aが上方構造物2から分離される。
旧下方構造物13で破断する可能性がある部分のうち、最も高い位置の部分が、上方構造物2から最初に分離されるブロック(第1の撤去ブロック24a)に含まれるように、旧下方構造物13を複数の撤去ブロック24に区画しておくことが好ましい。構造物11を保持した段階でも、地上に据え付けられている第1の撤去ブロック24aには、その自重が地上で支えられるので、引張応力が生じにくい。また、第1の撤去ブロック24aを分離した後に、吊り上げられる上方構造物2及び撤去ブロック24b,24cには自重による引張応力が生じるが、これらに、破断しやすい部分が含まれていなければ、引張りによって、これらが破断することはない。従って、破断する可能性がある部分のうち、最も高い位置の部分が第1の撤去ブロック24aに含まれることが好ましい。
上方構造物2を保持しつつ、作業者によるガス溶断や、重機などによって、第1の撤去ブロック24aを撤去する。図5は、移動可能な状態の撤去ブロックを示す概略斜視図である。図5では、説明のために、図4で、図面上で最も手前に配置されていた外部支柱15の図示を省略しており、構造物11の内部を示すために、側面の壁の一部に関して図示を省略している。
第1の撤去ブロック24aを撤去した後に、上方構造物2の下方の地上にレール26を敷設する。該レール26の上を移動可能な台車27を、上方構造物2の下方の位置に配置し、上方構造物2及び旧下方構造物13の一部(第2の撤去ブロック24bと第3の撤去ブロック24c)を下に移動して、その台車27の上にそれらを載置する。次いで、上方構造物2を保持しつつ、第2の撤去ブロック24bと第3の撤去ブロック24cとの間の第2のブロック境界線25bに沿って、旧下方構造物13を切断する。切断の後、吊り具17は、上方構造物2及び第3の撤去ブロック24cを保持することになり、第2の撤去ブロック24bが上方構造物2から分離される。台車27の上に載置されている第2の撤去ブロック24bを、上方構造物2の下方の位置から移動する。当然ではあるが、第2の撤去ブロック24bのこの移動は、第2の撤去ブロック24bを撤去したことを意味する。第2の撤去ブロック24bの移動(撤去)と同様にして、上下境界線23に沿って旧下方構造物13を切断した後に、台車27を用いて、第3の撤去ブロック24cを上方構造物2の下方の位置から移動する。
上記のように、旧下方構造物13を、複数の撤去ブロック24a,24b,24cに区画して、撤去ブロック毎に旧下方構造物13を撤去すれば、各撤去ブロック24よりサイズおよび質量が大きい旧下方構造物13が脱落することの可能性を減らすことになる。それゆえに、作業者の安全を確保することができる。また、上方構造物2の下方の位置で旧下方構造物13を破壊などするよりも、レール26を用いて撤去ブロック24を移動することによって、例えば、上方構造物2の下方の位置とは別の位置で第2の撤去ブロック24bの破壊を行いつつ、上方構造物2の下方の位置から第3の撤去ブロック24cを移動するというように、異なる複数の作業を並列的に行なうことが可能となる。このため、旧下方構造物13を撤去する全体的な工期を短縮することが可能となる。
図4及び図5に示す実施形態では、吊り具17を用いて構造物11または上方構造物2を保持しているが、例えば、外部支柱15の側面に、支持ブラケットなどの保持部材を設けて、構造物11または上方構造物2を保持しつつ、上下方向に移動可能な機構を外部支柱15に設けてもよい。この実施形態では、複数の撤去ブロック24a,24b,24cに旧下方構造物13を区画しているが、旧下方構造物13を複数の撤去ブロックに区画しなくてもよい。例えば、上方構造物2を保持しつつ、上下境界線23に沿って構造物11を切断することで、該構造物11を、上方構造物2と旧下方構造物13とに分割した後で、この1つの旧下方構造物13を、第1の撤去ブロック24aの撤去と同様に、上方構造物2の下方の位置から移動及び/または撤去しても良い。そのようにする場合には、旧下方構造物13自体は、第1の撤去ブロック24aより大きいとしても、構造物11を切断(分割)する回数が1回で済む。
上記の実施形態では、レール26を敷設するタイミングは、第1の撤去ブロック24aを撤去した後としているが、このタイミングに限られず、例えば、構造物11を切断する前に、上方構造物2を保持しつつ、旧下方構造物13を地上に据え付けている部分を、ガス溶断などで切断した後に、その地上にレール26を敷設してもよい。上記の実施形態では、上方構造物2の直下の地上にレール26を敷設しているが、レール26を敷設しなくてもよく、上方構造物2から分離された旧下方構造物13を、上方構造物2の下方で直接破壊するなどして撤去してもよい。なお、レール26を敷設しない場合で、敷地に余裕があれば、大型運搬車輌によって下方構造物3を搬出、また、下方構造物3の搬入を行うことも可能である。
図5では、上方構造物2及び第3の撤去ブロック24cの内部を示しており、これら(構造物11)は、少なくとも、それら自体を支持する複数の上方構造物柱4、該上方構造物柱4の各々をつなぐ構造物梁、構造物11の壁、更には、その内部が階層構造となっている場合には天井及び床の部材、などから構成される。構造物11を、上方構造物2と旧下方構造物13とに分割する際には、上方構造物柱4や壁などの、構造物11を構成する構造部材を上下境界線23に沿ってガス切断などで切断する必要がある。
[2.接合工程]
図6は、上方構造物と下方構造物とをつなぎ合わせる状態を時系列的に示す説明図である。撤去された旧下方構造物13の代わりとなる下方構造物3を準備する。図6では、説明のため、右側の外部支柱15の一部に関して図示を省略している。下方構造物3は、上方構造物2と同様の構造を有しており、複数の下方構造物柱、梁、外壁などから構成される。上下境界線23に沿った断面における、複数の上方構造物柱4の各間隔距離を測定しておき、下方構造物3を構成する複数の下方構造物柱5が、複数の上方構造物柱4の下方に配置されるように、下方構造物3を作製しておく。
下方構造物3は、少なくとも2つの下方構造物ブロック32を含むことが好ましい。図6に示す実施形態では、下方構造物3は、第1の下方構造物ブロック32aと第2の下方構造物ブロック32bと第3の下方構造物ブロック32cとから構成されている。図6(a)及び(b)は、下方構造物3の上段となる第1の下方構造物ブロック32aを、上方構造物2につなぎ合わせる工程を示しており、図6(c)及び(d)は、第2の下方構造物ブロック32bを第1の下方構造物ブロック32aにつなぎ合わせる工程を示し、図6(e)及び(f)は、第3の下方構造物ブロック32cを第2の下方構造物ブロック32bにつなぎ合わせる工程を示している。
まず、図6(a)に示すように、吊り具17を用いて、上方構造物2を保持しつつ、台車27を用いて、第1の下方構造物ブロック32aを、上方構造物2の直下の空間に移動させる。第1の下方構造物ブロック32aの移動の後に、図6(b)に示すように、上方構造物2を下方に移動して、上方構造物2の下端と第1の下方構造物ブロック32aの上端とを接触させた後に、上方構造物2と第1の下方構造物ブロック32aとをつなぎ合わせる。具体的には、複数の上方構造物柱4と複数の下方構造物柱5との各々の組を揃えてから、上方構造物柱4と下方構造物柱5とを、治具で機械的に接続、または、溶接などで接続してから、必要に応じて外壁を設ける。
上方構造物2と第1の下方構造物ブロック32aとをつなぎ合わせた後に、図6(c)に示すように、上方構造物2を上方に移動し、第2の下方構造物ブロック32bを、台車27を用いて、第1の下方構造物ブロック32aの直下に移動させる。図6(d)に示すように、上方構造物2を下方に移動して、第1の下方構造物ブロック32aの下端と第2の下方構造物ブロック32bの上端とを接触させた後に、第1の下方構造物ブロック32aと第2の下方構造物ブロック32bとをつなぎ合わせる。
第3の下方構造物ブロック32cについても、第2の下方構造物ブロック32bの移動と同様に、図6(e)に示すように、第3の下方構造物ブロック32cを、第2の下方構造物ブロック32bの直下に移動させる。次いで、図6(f)に示すように、第2の下方構造物ブロック32bと第3の下方構造物ブロック32cとをつなぎ合わせる。これにより、上方構造物2と下方構造物3とをつなぎ合わせたことになる。図示は省略するが、上方構造物2と下方構造物3との一体物(新構造物)を保持しつつ、新構造物の下方から台車27を退避させる。必要であれば、レール26を撤去し、次いで、新構造物を、地上に降ろして据え付ける。既存の構造物11の基礎を流用可能であれば、その基礎を新構造物の地上の据え付けに流用してもよい。以上により、既存の構造物11を更新したことになり、新構造物を建設したことにもなる。
図6に示す実施形態では、下方構造物3は、3つの下方構造物ブロック32a,32b,32cから構成されているが、下方構造物3を複数の下方構造物ブロック32に分けなくてもよい。その場合には、下方構造物3を上方構造物2につなぎ合わせる作業が1回で済む。また、レールで下方構造物3を移動させずとも、例えば、上方構造物2の直下で下方構造物3を作製することもできる。
本発明の構造物更新(建設)方法によって、上方構造物と下方構造物とをつなぎ合わせる際に、上方構造物が有する上方構造物柱と、下方構造物が有する下方構造物柱と、を容易かつ迅速に芯出しすることで、新構造物における接合誤差を抑えて、新構造物の強度を確保することができる。
1 新構造物
2 上方構造物
3 下方構造物
4 上方構造物柱
4a〜4i 上方構造物柱
5 下方構造物柱
6 押圧機構
7 ガイド
8 押さえ目板
9 調整治具
11 構造物
11a,11b 周縁部
13 旧下方構造物
15 外部支柱
16 外部支持梁
17 吊り具
17a 線材
17b 接続部
21 反力梁
22 天秤梁
23 上下境界線
24 撤去ブロック
24a 第1の撤去ブロック
24b 第2の撤去ブロック
24c 第3の撤去ブロック
25a 第1のブロック境界線
25b 第2のブロック境界線
26 レール
27 台車
32 下方構造物ブロック
32a 第1の下方構造物ブロック
32b 第2の下方構造物ブロック
32c 第3の下方構造物ブロック

Claims (2)

  1. 複数の上方構造物柱を有する上方構造物と、複数の下方構造物柱を有する下方構造物と、をつなぎ合わせて、構造物を更新する構造物更新方法であって、
    前記上方構造物の隣接する2つの上方構造物柱の間隔距離が、前記2つの上方構造物柱に対向する、前記下方構造物の2つの下方構造物柱の間隔距離と一致するように、前記2つの上方構造物柱のうちの一方の上方構造物柱を基準として、他方の上方構造物柱を移動させ、
    次いで、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱とのいずれかの側面に押さえ目板を取り付けて、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱との側面が面一となるように、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱とを移動さ
    前記下方構造物柱の先端部分の側面に、対向する2枚のガイドを設けておき、該ガイドの間に前記上方構造物柱が入れて、前記上方構造物柱の下端と前記下方構造物柱の上端とを接触させ、
    前記上方構造物柱の側面と前記ガイドとの間に、先端へ幅が先細った形状を有する調整治具を差し入れて、前記上方構造物柱と前記下方構造物柱との側面を面一となるように、前記上方構造物柱を移動させて、
    前記新下方構造物と前記上方構造物とをつなぎ合わせることを特徴とする構造物更新方法。
  2. 請求項1に記載の構造物更新方法によって、既存の構造物の上部を流用して新構造物を建設する構造物建設方法。
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