JP5967006B2 - 高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置 - Google Patents

高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5967006B2
JP5967006B2 JP2013090331A JP2013090331A JP5967006B2 JP 5967006 B2 JP5967006 B2 JP 5967006B2 JP 2013090331 A JP2013090331 A JP 2013090331A JP 2013090331 A JP2013090331 A JP 2013090331A JP 5967006 B2 JP5967006 B2 JP 5967006B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer electrolyte
film
temperature
laminated film
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013090331A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014216090A (ja
Inventor
秋田 靖浩
靖浩 秋田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2013090331A priority Critical patent/JP5967006B2/ja
Publication of JP2014216090A publication Critical patent/JP2014216090A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5967006B2 publication Critical patent/JP5967006B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、高分子電解質積層フィルム、高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置に関する。
近年、燃料電池に用いられる高分子電解質膜は、その電気抵抗を低くすることにより効率を高めるため、非常に薄い、例えば20μm以下のものが採用されている。このように薄い高分子電解質膜は、構造支持材としての物理的強度を有していないため、取扱いが不便である上、破損し易い。このため、一般に高分子電解質膜を基材フィルムで補強することが必要である。基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせたものが、高分子電解質積層フィルムである。
一方、特許文献1によれば、高分子電解質膜の破損を防止するために、高分子電解質膜周縁部分に密着して配され電極に重なりを有する額縁状の保護膜を、高分子電解質膜の少なくとも一方の面側に備えた構造の燃料電池が提案されている。
特開平5−21077号公報
しかしながら、取り扱いの便のために前述した高分子電解質積層フィルムを用いて燃料電池を製造する場合、特許文献1に記載された燃料電池の構造では、高分子電解質積層フィルムから基材フィルムを剥離する必要があることから、高分子電解質積層フィルムにおいては、接着性と剥離性の両立が求められることになる。そのほか、製造物の高品質化、製造の高速化等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。本発明の一形態は、
基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせて高分子電解質積層フィルムを製造する方法であって、
前記張り合わせの際の前記高分子電解質フィルムの温度を、前記基材フィルムと前記高分子電解質フィルムとの間の剥離強度が0.01〜0.03[N/15mm]の範囲内となる所定の温度範囲内に調整する、高分子電解質積層フィルムの製造方法。
その他、本発明は、以下の形態として実現することも可能である。
(1)本発明の一形態は、基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせて高分子電解質積層フィルムを製造する高分子電解質積層フィルムの製造方法である。この高分子電解質積層フィルムの製造方法は、前記張り合わせの際の前記高分子電解質フィルムの温度を、所定の温度範囲内に調整する。この形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法によれば、張り合わせの際の高分子電解質フィルムの温度を、所定の温度範囲内に調整することによって、製造後の高分子電解質積層フィルムの剥離強度を所定の範囲内に調整することができる。したがって、接着性と剥離性がともに良好な高分子電解質積層フィルムを製造することが可能となる。
(2)前記形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法において、前記所定の温度範囲が40℃〜70℃である構成としてもよい。この形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法によれば、接着性と剥離性が確実に良好な高分子電解質積層フィルムを製造することができる。
(3)前記形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法において、Tダイからフィルム状に押し出すことにより前記高分子電解質フィルムを生成する工程と;前記生成された前記高分子電解質フィルムと前記基材フィルムとを一対のロール間に通すことによって前記張り合わせを行う工程と;を備え;前記張り合わせを行う工程は、前記一対のロールの少なくとも一つのロールの温度を所定の温度に制御することによって、前記高分子電解質フィルムの温度の調整を行う構成としてもよい。この形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法によれば、ロールの温度を所定の温度に制御することで、張り合わせの際の高分子電解質フィルムの温度調整を容易に行うことができる。
(4)本発明の他の形態は、高分子電解質積層フィルムの製造装置である。この高分子電解質積層フィルムの製造装置は、基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせる一対のロールと;前記一対のロールの少なくとも一つのロールの温度を所定の温度に制御することで、前記張り合わせの際の前記高分子電解質フィルムの温度を、所定の温度範囲内に調整するロール温度調整部と;を備える。この形態の高分子電解質積層フィルムの製造装置によれば、前述した形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法と同様に、接着性と剥離性がともに良好な高分子電解質積層フィルムを製造することができる。
(5)本発明の他の形態は、基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせてなる高分子電解質積層フィルムである。この高分子電解質積層フィルムは、前記基材フィルムと前記高分子電解質フィルムとの間の剥離強度が、0.01〜0.03[N/15mm]の範囲内である。この形態の高分子電解質積層フィルムは、接着性と剥離性がともに良好である。
本発明は、前記形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法や製造装置、高分子電解質積層フィルム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、前記形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法の各工程を含む燃料電池の製造方法、前記形態の高分子電解質積層フィルムを備える燃料電池等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としての高分子電解質積層フィルムの製造方法によって製造される高分子電解質積層フィルムを示す説明図である。 高分子電解質積層フィルムの製造方法を採用する製造システムの概略構成図である。 張り合わせの際の高分子電解質フィルムの表面温度と剥離重さとの関係を示す表である。 図3に示したデータに基づいて作成したグラフである。 駆動ロールの冷却温度を可変したときの冷却温度と剥離重さとの関係を示す表である。 図5に示したデータに基づいて作成したグラフである。 エアギャップを可変したときのエアギャップと剥離重さとの関係を示す表である。 図7に示したデータに基づいて作成したグラフである。 駆動ロールの回転速度を可変したときの回転速度と剥離重さとの関係を示す表である。 図9に示したデータに基づいて作成したグラフである。
次に、本発明の実施形態を説明する。
A.高分子電解質積層フィルムの構成:
図1は、本発明の一実施形態としての高分子電解質積層フィルムの製造方法によって製造される高分子電解質積層フィルムを示す説明図である。図1に示すように、高分子電解質積層フィルム10は、高分子電解質フィルム11と、基材フィルム12とを有する。
高分子電解質フィルム11は、フッ素系高分子電解質が好ましく、例えば、デュポン社製ナフィオン(登録商標)をフィルム状に成形したものである。高分子電解質フィルム11の厚さは、例えば、1〜20μmの範囲内である。
基材フィルム12は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂フィルムが好ましいが、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルムや、スーパーエンジニアリングプラスチックのフィルム等を用いることもできる。基材フィルム12の厚さは、例えば、5〜200μmの範囲内である。
前記構成の高分子電解質積層フィルム10は、例えば燃料電池に用いられる。高分子電解質積層フィルム10の製造方法について、以下に説明する。
B.高分子電解質積層フィルムの製造方法:
図2は、本実施形態の高分子電解質積層フィルムの製造方法を採用する製造システムの概略構成図である。図示するように、製造システム20は、押出装置30と、張り合わせ装置40と、制御部80とを備える。
押出装置30は、ホッパー32と、シリンダ34と、スクリュ36と、Tダイ38とを備える。シリンダ34の一方の端部側にホッパー32が設けられ、シリンダ34の他方の端部側にTダイ38が接続されている。シリンダ34の中には、螺旋状の溝のあるスクリュ36が挿入されている。ホッパー32に投入された原料であるフッ素系高分子電解質は、加熱されたシリンダ34で溶融し、スクリュ36の回転により混錬されて、Tダイ38へ送られる。フッ素系高分子電解質としては、デュポン社製ナフィオン(登録商標)ペレットを用いた。Tダイ38は、直線状のリップを有し、シリンダ34から送られてきたフッ素系高分子電解質をリップから押し出してフィルム状に成形する。この成形されたフィルム状のフッ素系高分子電解質は、A節で説明した高分子電解質フィルム11に相当する。なお、Tダイ38から押し出された直後のフッ素系高分子電解質の温度は190℃である。
張り合わせ装置40は、張り合わせ機構部50と、ロール温度調整部60とを備える。張り合わせ機構部50は、押出装置30から吐出された高分子電解質フィルム11を基材フィルム12に貼り合わせるための機構であり、搬入ロール52と、接合部54と、搬出ロール56とを備える。搬入ロール52は、外部から送られてきた基材フィルム12を接合部54に搬入する。基材フィルム12は、A節で説明した基材フィルム12に相当し、ここでは、日東電工社製PTFEフィルムを用いた。このPTFEフィルムの厚さは100μmであり、表面粗さを示すRa(算術平均粗さ)は0.2μmであり、Ry(最大高さ)は2.22μmである。Ra、RyはJIS B0601−1994に準拠したものである。
接合部54は、駆動ロール54aと加圧ロール54bによって構成される。駆動ロール54aはモータ58に接続されており、制御部80の指令に応じた回転速度で回転駆動する。加圧ロール54bは、駆動ロール54aに追従して回転駆動するように、駆動ロール54aに隣り合う位置において、所定の間隙をあけて並列に、図中の左側に配置されている。なお、駆動ロール54aは、Tダイ38のリップの鉛直下方に配置されており、Tダイ38から吐出された高分子電解質フィルム11をそのロール面で受ける。なお、駆動ロール54aの回転軸(図中、「+」で示した)は前記リップの鉛直下方から少しだけ加圧ロール54bと反対側に(図中の右側)にずれており、駆動ロール54aが左向きに回転したときに、高分子電解質フィルム11が加圧ロール54b側に向かってロール面に沿って回転搬送される。搬入ロール52によって送られてきた基材フィルム12と前記高分子電解質フィルム11は、駆動ロール54aと加圧ロール54bの間の隙間で重なり合って貼り合わされる。なお、ここでは、加圧ロール54bによる加圧の圧力は0.2MPaとした。
本実施形態では、図中の左右方向において、Tダイ38のリップは、駆動ロール54aの回転軸よりも少しだけ左側にずれた位置にあるが、これに換えて、さらに左側にずれた位置としてもよく、要は、駆動ロール54aの回転軸よりも少しだけ左側から、駆動ロール54aと加圧ロール54bが近接する隙間位置までの範囲内であればいずれの位置に換えてもよい。さらに、本実施形態では、駆動ロール54aと加圧ロール54bは、前述した位置に固定される固定式の構成であったが、これに換えて、図中の左右方向において、前記範囲内で移動可能な可動式である構成としてもよい。また、駆動ロール54aと加圧ロール54bは固定式として、押出装置30が図中の左右方向において移動する構成としてもよい。
駆動ロール54aと加圧ロール54bによって貼り合わされた基材フィルム12と前記高分子電解質フィルム11とは、A節で説明した高分子電解質積層フィルム10となって、搬出ロール56に送られ、搬出ロール56によって外部に排出される。
また、本実施形態では、駆動ロール54aは、ロール温度調整部60から冷媒の給排を受けており、冷却ロールとしても機能する。ロール温度調整部60は、駆動ロール54aの内部に連通する冷媒循環回路62を備え、この冷媒循環回路62にポンプ64と、冷却源66と、温度センサ68とが配置される。ロール温度調整部60は、コントローラ69を備える。冷却源66は、例えば冷凍機であり、コントローラ69からの制御指令を受けて、その制御指令に応じた出力で運転を行う。冷媒は、純水やオイル等の任意の冷却液を利用することができる。また、冷却液に換えて二酸化炭素などの気体を冷媒としてもよい。温度センサ68は、冷媒循環回路62に流れる冷媒の温度を検出し、検出された温度をコントローラ69に送る。
コントローラ69は、ポンプ64を定速運転するとともに、冷却源66の出力を制御することにより冷媒の温度を制御する。冷媒の温度の制御は、温度センサ68によって検出された冷媒の温度をフィードバック制御するもので、コントローラ69は、温度センサ68によって検出された冷媒の温度に基づいて冷却源66の出力を制御することにより、冷媒循環回路62に流れる冷媒の温度を設定温度に一致させる。
制御部80は、いわゆるマイクロコンピュータであり、制御用信号線を介して、押出装置30に備えられるシリンダ34の加熱器(図示せず)やスクリュ36の駆動モータ(図示せず)、張り合わせ機構部50に備えられる駆動ロール54a、および、ロール温度調整部60に備えられるコントローラ69等に接続されている。制御部80は、押出装置30による高分子電解質フィルム11の生成を制御し、張り合わせ装置40による張り合わせを制御し、ロール温度調整部60のコントローラ69に設定温度を指示する。本実施形態では、その設定温度は60℃である。なお、設定温度は、60℃に換えて、40℃〜100℃の範囲内のいずれかの値とすることもでき、さらにより好ましくは、40℃〜70℃の範囲内のいずれかの値とすることもできる。
制御部80が60℃の設定温度をロール温度調整部60のコントローラ69に指示することで、ロール温度調整部60によって、冷媒循環回路62に流れる冷媒の温度が60℃に制御される。この結果、接合部54の駆動ロール54aの温度(以下、この温度を「冷却温度」とも呼ぶ)が60℃となる。したがって、本実施形態の製造システム20では、接合部54による張り合わせの際の高分子電解質フィルム11の温度が60℃に調整されることになる。
C.作用、効果:
先に説明したように、高分子電解質積層フィルム10は、接着性と剥離性といった相反する特長が求められる。本願発明者は、高分子電解質フィルム11と基材フィルム12とを貼り合わせる際の高分子電解質フィルム11の温度に着目して、その温度を換えながら張り合わせの実験を繰り返した結果、張り合わせによって得られる高分子電解質積層フィルム10の剥離重さを少なくとも0.01〜0.05[N/15mm]の範囲で調整できることを見いだした。なお、このときのTダイ38の先端から駆動ロール54aの表面までの距離(以下、「エアギャップ」と呼ぶ)Dは50mmであり、駆動ロール54aの回転速度は1m/minである。剥離重さは次の条件にて測定した。JIS K7127「プラスチック−引張特性の試験方法」と、JIS K6854−2「接着剤−はく離接着強さ試験方法」とを参考に、試験片寸法を幅15mmとし、試験条件を180度剥離、剥離速度を5mm/minとし、応力が安定したところを剥離重さとして測定した。なお、剥離重さは剥離強度に相当する。
図3および図4に、張り合わせの際の高分子電解質フィルム11の表面温度と剥離重さとの関係を示した。図3が上記実験によって得られた結果データを示す表であり、図4が結果データに基づいて作成した表面温度と剥離重さとの関係を示すグラフである。図4に示すように、高分子電解質フィルム11の表面温度が高くなるにつれて剥離重さは大きくなる。すなわち、高分子電解質フィルム11の表面温度が高くなるにつれて接着性が高くなる。
一方、本願発明者は、高分子電解質積層フィルムに要求される接着性と剥離性といった特長は、剥離重さがどの範囲内であれば適切であるかを分析、検討した結果、0.01〜0.03[N/15mm]の範囲内であれば、良好な接着性と剥離性とを得ることが出来ることを見いだした。この良好な接着性と剥離性とを得ることのできる剥離重さ範囲を、以下、「適正剥離重さ範囲」と呼ぶ。図4に、この適正剥離重さ範囲Wを示した。図4に示すように、張り合わせの際の高分子電解質フィルム11の表面温度がaからbまでの範囲内で、剥離重さは0.01〜0.03[N/15mm]の範囲内となる。a、bは正数であり、上記の実験では、aは約40℃であり、bは約70℃である。
本実施形態では、接合部54の駆動ロール54aの冷却温度を60℃とすることで、張り合わせの際の高分子電解質フィルム11の表面温度をaからbまでの範囲内の条件を満たすようにしている。詳しくは、本実施形態において、駆動ロール54aの冷却温度を可変して、剥離重さがどのように変化するかを予め実験的に求めることで、60℃という冷却温度を定めた。
図5は、駆動ロール54aの冷却温度Tを可変したときの冷却温度Tと剥離重さとの関係を示す表である。図6は、図5に示したデータに基づいて作成したグラフである。図6に示すように、冷却温度Tが大きくなるにつれて剥離重さはリニアに増加する。すなわち、冷却温度Tが大きくなるに比例して接着性が高くなる。この実験条件によれば、剥離重さを少なくとも0.005〜0.05[N/15mm]の範囲で調整できることを見いだした。
図6に示すように、駆動ロール54aの冷却温度Tをt1からt2までの範囲内に調整することで、剥離重さを0.01〜0.03[N/15mm]である適正剥離重さ範囲W内に保持することができる。t1、t2は正数であり、上記の実験では、t1は50℃であり、t2は105℃である。この実験結果から、本実施形態では、駆動ロール54aの冷却温度を60℃と定めた。この結果、本実施形態の製造システム20によって製造される高分子電解質積層フィルム10は、高分子電解質フィルム11と基材フィルム12との間の剥離重さが適正剥離重さ範囲W内に収まるものとなった。したがって、製造システム20によれば、接着性と剥離性がともに良好な高分子電解質積層フィルムを製造することができる。また、コロナ放電やプラズマ放電、コーティング処理等を用いることで剥離度を可変することも可能であるが、製造システム20によれば、コロナ放電やプラズマ放電、コーティング処理等の特別な装置を必要としないことから、装置構成を容易とすることもできる。
D.第1の変形例:
張り合わせの際の高分子電解質フィルム11の温度を調整するには、駆動ロール54aの冷却温度を変えること以外に、エアギャップDを変えてもよいし、駆動ロール54aの回転速度を変えてもよい。そこで、前述した実験に換えて、駆動ロール54aの冷却温度と駆動ロール54aの回転速度とを一定とした状態でエアギャップDを可変する実験も行なった。
図7は、エアギャップDを可変したときのエアギャップDと剥離重さとの関係を示す表である。図8は、図7に示したデータに基づいて作成したグラフである。この実験では、駆動ロール54aの冷却温度を80℃、駆動ロール54aの回転速度を1m/minと一定とした上で、エアギャップDを可変した。図8に示すように、エアギャップDが大きくなるにつれて剥離重さは小さくなる。すなわち、エアギャップDが大きくなるにつれて剥離し易くなる。この実験条件によれば、剥離重さを少なくとも0.005〜0.05[N/15mm]の範囲で調整できることを見いだした。
図示するように、エアギャップDをd1からd2までの範囲内に調整することで、剥離重さを0.01〜0.03[N/15mm]である適正剥離重さ範囲W内に保持することができる。d1、d2は正数であり、上記の実験では、d1は約18mmであり、d2は約76mmである。この実験結果によれば、エアギャップDをd1に近い値とすることで、適正剥離重さ範囲Wを保持した状態で、エアギャップDを最初の実験時の距離である50mmより短くすることができることが判る。エアギャップDが大きい場合、Tダイ38から吐出される帯状の多孔質補強膜の幅が狭くなるネックインと呼ばれる現象が生じやすいが、上記のようにエアギャップDを短くすることで、ネックインの発生を防止することができる。
なお、この第1の変形例に係る実施形態として、図2に示した製造システムにおいて、張り合わせ機構部50を上下動する昇降装置を設け、この昇降装置を動作させることで、エアギャップDの調整が可能な構成とすることもできる。
E.第2の変形例:
図9は、駆動ロール54aの回転速度Vを可変したときの駆動ロール54aの回転速度Vと剥離重さとの関係を示す表である。図10は、図9に示したデータに基づいて作成したグラフである。この実験では、駆動ロール54aの冷却温度を80℃、エアギャップを50mmと一定とした上で、駆動ロール54aの回転速度Vを可変した。駆動ロール54aの回転速度Vは、モータ58(図2)の回転速度Vを切り換えることで変更することができる。図10に示すように、駆動ロール54aの回転速度Vが大きくなるにつれて剥離重さは大きくなる。すなわち、駆動ロール54aの回転速度Vが大きくなるにつれて接着性は高くなる。この実験条件によれば、剥離重さを少なくとも0.001〜0.05[N/15mm]の範囲で調整できることを見いだした。
図示するように、駆動ロール54aの回転速度Vをv1からv2までの範囲内に調整することで、剥離重さを0.01〜0.03[N/15mm]である適正剥離重さ範囲W内に保持することができる。v1、v2は正数であり、上記の実験では、v1は約1.0m/minであり、v2は約4.5m/minである。この実験結果によれば、駆動ロール54aの回転速度Vをv2に近い値とすることで、適正剥離重さ範囲Wを保持した状態で、駆動ロール54aの回転速度Vを最初の実験時の速さである1m/minより速くすることができることが判る。駆動ロール54aの回転速度Vが大きい場合、高分子電解質積層フィルム10の製造速度を高めることができることから、製造の高速化を図ることができる。
F.その他の変形例:
(1)前記実施形態およびその変形例では、張り合わせ装置40は、張り合わせ機構部50と、ロール温度調整部60とを備える構成としたが、これに換えて、ロール温度調整部60を備えない構成としてもよい。すなわち、駆動ロール54aは、冷却ロールとして機能しない構成としてもよい。この場合には、Tダイ38の先端から駆動ロール54aの表面までの距離であるエアギャップDを、前記実施形態およびその変形例よりも大きい所定の距離とすることで、張り合わせの際の高分子電解質フィルムの温度を、剥離重さが適正剥離重さ範囲W内に収まる温度に調整する。この変形例によっても、接着性と剥離性がともに良好な高分子電解質積層フィルムを製造することができる。また、ロール温度調整部60を必要としないことから、構成を簡略化することができる。
(2)また、ロール温度調整部60を備えない構成とした上で、駆動ロール54aの回転速度Vを、前記実施形態およびその変形例よりも大きい所定の大きさとすることで、張り合わせの際の高分子電解質フィルムの温度を、剥離重さが適正剥離重さ範囲W内に収まる温度に調整する構成としてもよい。この変形例によっても、接着性と剥離性がともに良好な高分子電解質積層フィルムを製造することができる。また、ロール温度調整部60を必要としないことから、構成を簡略化することができる。
(3)前記各実施形態およびその変形例では、適正剥離重さ範囲Wは、0.01〜0.03[N/15mm]の範囲としたが、これに換えて、0.01〜0.04[N/15mm]としてもよい。0.01〜0.04とした場合、0.01〜0.03の範囲とした場合に比べて剥離性は劣るが、高分子電解質積層フィルムの製造方法として十分に用いることができるためである。また、これに伴い、張り合わせの際の高分子電解質フィルムの温度範囲についても、図4を用いて説明した40℃〜70℃の範囲に換えて、40℃〜100℃としてもよい。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、前述した実施形態および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。
10…高分子電解質積層フィルム
11…高分子電解質フィルム
12…基材フィルム
20…製造システム
30…押出装置
32…ホッパー
34…シリンダ
36…スクリュ
38…Tダイ
40…張り合わせ装置
50…張り合わせ機構部
52…搬入ロール
54…接合部
54a…駆動ロール
54b…加圧ロール
56…搬出ロール
58…モータ
60…ロール温度調整部
62…冷媒循環回路
64…ポンプ
66…冷却源
68…温度センサ
69…コントローラ
80…制御部
W…適正剥離重さ範囲
T…冷却温度
D…エアギャップ
V…回転速度

Claims (4)

  1. 基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせて高分子電解質積層フィルムを製造する方法であって、
    前記張り合わせの際の前記高分子電解質フィルムの温度を、前記基材フィルムと前記高分子電解質フィルムとの間の剥離強度が0.01〜0.03[N/15mm]の範囲内となる所定の温度範囲内に調整する、高分子電解質積層フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の高分子電解質積層フィルムの製造方法であって、
    前記所定の温度範囲が40℃〜70℃である、高分子電解質積層フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の高分子電解質積層フィルムの製造方法であって、
    Tダイからフィルム状に押し出すことにより前記高分子電解質フィルムを生成する工程と、
    前記生成された前記高分子電解質フィルムと前記基材フィルムとを一対のロール間に通すことによって前記張り合わせを行う工程と、
    を備え、
    前記張り合わせを行う工程は、
    前記一対のロールの少なくとも一つのロールの温度を所定の温度に制御することによって、前記高分子電解質フィルムの温度の調整を行う、高分子電解質積層フィルムの製造方法。
  4. 高分子電解質積層フィルムの製造装置であって、
    基材フィルムに高分子電解質フィルムを張り合わせる一対のロールと、
    前記一対のロールの少なくとも一つのロールの温度を所定の温度に制御することで、前記張り合わせの際の前記高分子電解質フィルムの温度を、前記基材フィルムと前記高分子電解質フィルムとの間の剥離強度が0.01〜0.03[N/15mm]の範囲内となる所定の温度範囲内に調整するロール温度調整部と、
    を備える、高分子電解質積層フィルムの製造装置
JP2013090331A 2013-04-23 2013-04-23 高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置 Active JP5967006B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013090331A JP5967006B2 (ja) 2013-04-23 2013-04-23 高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013090331A JP5967006B2 (ja) 2013-04-23 2013-04-23 高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014216090A JP2014216090A (ja) 2014-11-17
JP5967006B2 true JP5967006B2 (ja) 2016-08-10

Family

ID=51941699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013090331A Active JP5967006B2 (ja) 2013-04-23 2013-04-23 高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5967006B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004022284A (ja) * 2002-06-14 2004-01-22 Toyota Motor Corp 膜電極接合体およびその製造方法並びに製造装置
JP2004047246A (ja) * 2002-07-11 2004-02-12 Dainippon Printing Co Ltd 電池用包装材料
JP4823736B2 (ja) * 2005-07-07 2011-11-24 富士フイルム株式会社 固体電解質フィルムの製造方法
JP2008243804A (ja) * 2007-02-27 2008-10-09 Toray Ind Inc 膜電極複合体作製用接着シート
JP2008277288A (ja) * 2007-04-05 2008-11-13 Toyota Motor Corp 複合高分子電解質膜の製造装置、複合高分子電解質膜の製造方法、機能性膜、及び燃料電池
JP2010170935A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Toyobo Co Ltd 高分子固体電解質膜積層体
JP2013114887A (ja) * 2011-11-29 2013-06-10 Toyota Motor Corp 電解質膜の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014216090A (ja) 2014-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105143848B (zh) 片状件的制造方法、脆性片、带元件的脆性片以及电子器件
JP6237675B2 (ja) 燃料電池単セル及び燃料電池単セルの製造方法
JP6245194B2 (ja) 燃料電池単セル及び燃料電池単セルの製造方法
US10710333B2 (en) Heat transport structure and manufacturing method thereof
JP5467391B2 (ja) 熱収縮チューブの製造方法および製造装置
WO2000069623A1 (fr) Courroie sans fin multicouche, courroie transporteuse constituee de cette derniere, et procedes de production et dispositifs de formage correspondants
JP5935051B2 (ja) フッ素樹脂チューブ
WO2007148805A1 (ja) 補強型電解質膜および膜電極接合体の製造方法
JPWO2018181223A1 (ja) 積層体の製造方法、積層体の製造装置および積層体
JP2007172929A (ja) 固体高分子形燃料電池における膜電極接合体および補強型電解質膜の製造方法とその製造方法で得られる膜電極接合体および補強型電解質膜
JP5114907B2 (ja) 補強型電解質膜の製造方法およびその製造方法で製造される補強型電解質膜
KR101776722B1 (ko) 핫프레스 장치 및 그 방법
JP5967006B2 (ja) 高分子電解質積層フィルムの製造方法、および高分子電解質積層フィルムの製造装置
JP2016126911A (ja) 燃料電池単セル
TW202231750A (zh) 液晶聚合物薄膜、高速通訊用基板
JP2011108714A (ja) フィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルム
US20100006229A1 (en) Device for producing laminated film
KR101773726B1 (ko) 보강형 전해질막의 제조 방법, 막 전극 접합체의 제조 방법 및 막 전극 접합체
JP5789910B2 (ja) プラスチック気泡シート、その製造方法および製造装置
JP6599792B2 (ja) フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法
JP2006264071A (ja) 樹脂シートの製造方法
JP2013118111A (ja) 接着剤塗布方法および接着剤塗布装置
WO2024111140A1 (ja) 電池用材料製造装置、電池用材料製造システムおよび電池用材料製造方法
JP2020027792A (ja) 燃料電池用セルの接合体の製造装置
CN217280914U (zh) 电芯热复合设备

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160620

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5967006

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151