以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム方式のフルカラー画像形成装置を示すものである。なお、このタンデム方式のフルカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラーの複写機としても機能するように構成されているが、画像読取装置を備えていなくとも勿論良い。また、この発明は、タンデム方式の画像形成装置に限定されるものではないことは勿論であり、感光体ドラムを1つのみ備えた4サイクルのフルカラー画像形成装置であっても適用可能である。
図1において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部の一端(図示例では、左端)には、原稿2の画像を読み取る画像読取装置3が配置されている。この画像読取装置3は、原稿押え部材4によって押さえられた状態でプラテンガラス5上に置かれた原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像をフルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光することにより、画像読取素子11によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(例えば、各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の画像データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施される。また、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によってシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像データに変換される。なお、画像処理装置12によって変換される画像データの色は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像データに限らず、高彩度シアン(HC)や高彩度マゼンタ(HM)を含む6色等に変換しても良く、その色や彩度は任意である。また、上記画像処理装置12に入力される画像データとしては、図示しない通信回線を介してパーソナルコンピュータ等から送られてくるものであっても勿論良い。
ところで、この実施の形態では、互いに色が異なるか又は同一色であって彩度や濃度が異なるトナーを用いて画像を形成する複数の画像形成手段を備えるように構成されている。
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置本体1の内部には、図2に示すように、複数の画像形成手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した4つの画像形成部13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に沿って一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。
これらの4つの画像形成部13Y、13M、13C、13Kは、図2に示すように、使用するトナーの種類を除いて、基本的にすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って予め定められた回転速度で駆動される像保持体としての感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の表面を一様に帯電する一次帯電手段としてのスコロトロン15と、当該感光体ドラム14の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段としての画像露光装置16と、感光体ドラム14上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像手段としての現像装置17と、感光体ドラム14の表面に残った転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置18とを備えるように構成されている。
上記感光体ドラム14の表面は、スコロトロン15によって予め定められた負極性の電位に一様に帯電される。そして、上記画像露光装置16では、図2に示すように、半導体レーザ19が画像データに応じて変調され、この半導体レーザ19からは、レーザ光LBが画像データに応じて出射される。この半導体レーザ19から出射されたレーザ光LBは、反射ミラー20、21を介して回転多面鏡22によって偏向走査され、図示しないf−θレンズで走査角度に応じて焦点距離が調整された状態で、複数枚の反射ミラー23、24を介して像保持体としての感光体ドラム14上に走査露光される。なお、上記画像露光装置16としては、レーザ光LBを偏向走査させて画像露光を行う装置に限らず、例えば、LED発光素子を感光体ドラム14の軸方向に沿って多数配列したLEDアイレを用いた装置を使用しても良く、LEDアイレを用いた画像露光装置16の場合には、レーザ光LBを偏向走査させて画像露光を行う画像露光装置16と比較して、画像露光装置16の大幅な小型化が可能となり、画像形成装置全体を小型化することができ望ましい。
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面は、スコロトロン15Y、15M、15C、15Kによって予め定められた負極性の電位に一様に帯電される。そして、上記画像処理装置12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成部13Y、13M、13C、13Kの画像露光装置16Y、16M、16C、16Kに各色に対応した画像データが順次出力される。そして、これらの画像露光装置16Y、16M、16C、16Kから画像データに応じて出射されるレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面に主走査方向(感光体ドラム14の軸方向)に沿って走査露光され、感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面には静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成された静電潜像は、対応する現像装置17Y、17M、17C、17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図1に示すように、各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト25上に、一次転写手段としての一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって互いに重ね合わせた状態で一次転写される。
上記中間転写ベルト25は、駆動ロール27と、従動ロール28と、張力付与ロール29と、二次転写部の背面支持ロール30と、従動ロール31などからなる複数のロール間に予め定められた張力で架け渡されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動される駆動ロール27により、矢印B方向に沿って感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの回転速度(周速)と略等しい予め定められた速度で循環移動するように駆動される。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。この中間転写ベルト25は、例えば、図2に示すように、トナー像と接触する表面層25aと、ポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂中にカーボンブラック等の導電剤を添加することにより予め定められた範囲内の抵抗値となるように抵抗値が調整された裏面層25bとの2層から構成されている。なお、中間転写ベルト25としては、表面層25aと裏面層25bからなる2層構成のものに限定されず、1層構成のものや3層以上からなるものであっても良い。
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、背面支持ロール30中間転写ベルト25を介して圧接する二次転写手段としての二次転写ロール33によって記録媒体としての記録用紙34上に一括して二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙34は、二連の搬送ベルト35、36によって本実施の形態1に係る定着手段としての定着装置37へと搬送される。そして、上記各色の未定着トナー像が転写された記録用紙34は、後述するように、定着装置37によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ38上に排出される。
上記記録用紙34は、図1に示すように、例えば、画像形成装置本体1内の底部に配置された給紙トレイ39から予め定められたサイズや材質のものが、給紙ロール40及び用紙搬送ロール41を備えた用紙搬送経路42を介して1枚ずつ分離された状態で、レジストロール43まで一旦搬送される。上記給紙トレイ39から供給された記録用紙34は、中間転写ベルト25上のトナー像と同期をとって回転駆動されるレジストロール43によって中間転写ベルト25の二次転写位置へと送り出される。
上記給紙トレイ39から給紙される記録用紙34としては、普通紙に限らず、厚紙や薄紙など種々の素材からなるものが用いられる。厚紙としては、単に表面が平坦な厚紙のみではなく、表面や表裏両面に凹凸を有するエンボス紙やラフ紙などの表面平滑度が相対的に低い用紙なども用いられる。上記記録用紙34の表面平滑度としては、例えば、JIS P 8119に規定されるベック平滑度が一般的に用いられており、当該ベック平滑度が予め定められた値よりも低い記記録用紙34に対して、本実施の形態を適用するのが望ましい。
なお、トナー像の一次転写が終了した後の感光体ドラム14は、その表面がクリーニング装置18によってクリーニングされる。また、トナー像の二次転写が終了した後の中間転写ベルト25は、その表面が従動ロール32と対向する位置に配置されたベルトクリーニング装置44によってクリーニングされる。
上記中間転写ベルトは、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成された対応する色のトナー像が多重に一次転写され、当該中間転写ベルト上に多重に一次転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を記録用紙34上に一括して二次転写するまでの間、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像をそのままの状態で保持している必要がある。
しかし、上記中間転写ベルト25は、その裏面抵抗が相対的に低いと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kから対応する色のトナー像が一次転写された後、二次転写位置まで移動するまでの間に、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって帯電された転写電界が移動又は減衰してしまい、図3に示すように、中間転写ベルト25上に一次転写されたトナー像Tが予め転写された初期の形状(高さ)を維持することができず広がってしまい、中間転写ベルト25に転写されたトナー像Tの高さが低下する場合がある。
このとき、記録媒体34が普通紙や表面が平坦な厚紙等であれば、特に問題は生じないが、記録媒体34がエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙等のように表面に凹凸34aを有する用紙である場合には、図4に示すように、最終的にトナー像の一部が転写されなかったり、転写される色のトナー濃度が低下するなど、図19に示すように、所謂色抜けと呼ばれる画質欠陥が生じることが、本発明者らの実験によって明らかとなっている。
そこで、この実施の形態に係る画像形成装置では、図1に示すように、中間転写ベルト25の裏面抵抗を検出する抵抗検出手段50を備えている。この実施の形態では、図5に示すように、中間転写ベルト25の移動経路において、例えば、二次転写部N2の中間転写ベルト25の移動方向に沿った上流側に抵抗検出手段50が配置されている。この抵抗検知手段50は、中間転写ベルト25の裏面に接触した状態で当該中間転写ベルト25の移動方向に沿って予め定められた距離を隔てて回転自在に配置されたバイアスロール51と接地ロール52から構成されている。これらのバイアスロール51及び接地ロール52は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属製或いは導電性を有する合成樹脂製のロールからなり、図示しない装置フレームに中間転写ベルト25の裏面に接触した状態で回転自在に設けられている。
上記バイアスロール51には、図5に示すように、例えば、100〜500V程度の予め定められた定電圧を印加する直流電源53が接続されているとともに、接地ロール52は、アースに接続されて接地されている。そして、上記バイアスロール51に直流電源53によって100〜500V程度の予め定められた定電圧を印加した場合に、中間転写ベルトの裏面層を介して流れる電流を電流検出手段54によって検出することにより、中間転写ベルトの裏面抵抗を検出するように構成されている。
また、この実施の形態では、中間転写ベルト25の裏面層25bの裏面抵抗を抵抗検出手段50によって、少なくとも1周(望ましくは2〜3周の複数周)にわたって検出し、中間転写ベルト25の裏面抵抗を全周にわたって平均化することにより、局所的な抵抗値の変動を排除することが望ましい。
なお、上記バイアスロール51に定電圧を印加するのではなく、バイアスロール51に定電流を通電した場合に、バイアスロール51に生じる電圧を電圧検出手段によって検出することにより、中間転写ベルト25の裏面抵抗を検出するように構成しても勿論良い。
また、上記抵抗検出手段50としては、図5に示すように、バイアスロール51と接地ロール52の組み合わせに限らず、図6に示すように、中間転写ベルト25側の表面が円弧形状に形成されて当該中間転写ベルト25との摺動抵抗を低減させた金属等の導電体からなるバイアス部材55と接地部材56とを組み合わせたものを用いても良い。
さらに、この実施の形態では、上述した抵抗検出手段50の検出結果に基づいて、記録媒体34がエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙等のように表面に凹凸を有する用紙である場合には、中間転写ベルト25の二次転写位置における二次転写圧力を制御するように構成されている。
図7はこの実施の形態に係る画像形成装置の二次転写圧力を制御する機構200を示す構成図である。図8はこの発明の実施の形態1に係る転写装置の二次転写ロールと背面支持ロールの概略構成図を示すものである。
二次転写ロール33は、図7に示すように、二次転写ロールユニット60に回転自在に取り付けられているとともに、背面支持ロール30は、図7に直接図示されていない背面支持ロールユニット61に回転自在に取り付けられている。背面支持ロールユニット61は、図9に示すように、画像形成装置本体1のメインフレームFに固定されている。したがって、背面支持ロール30は、背面支持ロールユニット61を介して画像形成装置本体1のメインフレームFに対して固定した位置に配置されている。
一方、上記二次転写ロール33は、図7及び図9に示すように、その両端部が揺動アーム64にそれぞれ回転自在に取り付けられている。また、上記揺動アーム64は、支点65を中心にして揺動自在に、二次転写ロールユニット60に取り付けられている。さらに、上記各揺動アーム64の先端部64aの下方には、第1の偏芯カム66、67が配設されており、当該第1の偏芯カム66、67は、回転シャフト68に固定した状態で取り付けられているとともに、回転シャフト68は、その一端部に設けられた駆動ギア69によって回転駆動されるようになっている。尚、上記回転シャフト68には、図7に示すように、第1の偏芯カム66、67の基準位置及び回転量を検知するためのエンコーダ70が取り付けられている。また、上記各揺動アーム64は、コイルスプリング71によって、その先端部64aが第1の偏芯カム66、67に圧接するように付勢されている。そして、上記二次転写ロール33は、第1の偏芯カム66、67を回動させて、当該第1の偏芯カム66、67に圧接する揺動アーム64の角度を変化させることにより、偏芯カム66、67は、二次転写ロール33と背面支持ロール30との当接/離乖を調節するものであり、偏芯カム66、67が回転することによって二次転写ロール33と背面支持ロール30とが当接した状態と、二次転写ロール33と背面支持ロール30とが離乖した状態に切り替える。
その際、上記第1の偏芯カム66、67は、その周方向に沿ってそれぞれ3つの領域に分けられている。即ち、この第1の偏芯カム66、67は、図10(a)に示すように、二次転写ロール33を、背面支持ロール30と接離する方向に平行に移動させる領域と、図10(b)に示すように、二次転写ロール33の一端33aのみを、背面支持ロール30と接離する方向に移動させる領域と、図10(c)に示すように、二次転写ロール33の他端33bのみを、背面支持ロール30と接離する方向に移動させる領域とを備えるように構成されている。なお、上記第1の偏芯カム66、67は、これら3つの領域を必ずしも備えている必要はなく、3つの領域のうち、二次転写ロール33を背面支持ロール30と接離する方向に平行に移動させる領域のみを備えていてもよい。
一方、上記背面支持ロール30は、上述したように、背面支持ロールユニット61に回転自在に固定した状態で取り付けられており、背面支持ロールユニット61は、図9に示すように、画像形成装置本体1のフレームFに固定されている。上記画像形成装置本体1のフレームFは、図7に示すように、フロント側のフレーム72とリア側のフレーム73の内側に近接して配置されている。
上記フロント側のフレーム72とリア側のフレーム73は、図7に示すように、背面支持ロール30に対する二次転写ロール33の圧接力である二次転写圧力を制御する機構200の一部を構成している。これらのフロント側のフレーム72及びリア側のフレーム73には、図9に示すように、その外側面に位置決めピン62が側方に向けて突出するように配置されており、位置決めピン62には、二次転写ロール33を支持した揺動アーム64の上端部に設けられた凹所63が嵌め合わされている。
上記フロント側のフレーム72とリア側のフレーム73は、二次転写ロール33と背面支持ロールユニット61の中心を結んだ方向に移動自在に装着されている。上記フロント側及びリア側フレーム72、73の上部には、図11及び図12に示すように、第2の偏芯カム74、75がそれぞれ配置されており、これら第2の偏芯カム74、75は、回転シャフト76に固定した状態で取り付けられている。また、上記回転シャフト76は、当該回転シャフト76に取り付けられたギア77を介して、当該ギア77に噛み合う駆動ギア78を備えた駆動モータ79によって回転駆動されるようになっている。尚、上記回転シャフト76には、第2の偏芯カム74、75の基準位置及び回転量を検知するためのエンコーダ80が取り付けられている。さらに、上記フロント側及びリア側のフレーム72、73は、その上端部に取り付けられたコイルスプリング81によって上方に付勢されており、第2の偏芯カム74、75は、図13に示すように、フロント側及びリア側フレーム72、73の上部外側面に回転自在に取り付けられたロール82に圧接されている。そして、上記第2の偏芯カム74、75を駆動モータ79によって回転させることにより、フロント側及びリア側フレーム72、73を移動可能となっている。
その際、上記第2の偏芯カム74、75は、二次転写ロール33を背面支持ロール30と接離する方向に移動させるためのものである。上記第2の偏芯カム74、75の回転に伴って、フロント側のフレーム72及びリア側のフレーム73は、二次転写ロール33が背面支持ロール30と接離する方向に沿って移動する。
上記フロント側のフレーム72及びリア側のフレーム73は、図7に示すように、上方に移動すると、これに伴ってフロント側のフレーム72及びリア側のフレーム73に設けられた位置決めピン62が上方に移動する。すると、上記位置決めピン62に当接する揺動アーム64の凹所63も上方へ移動することによって、揺動アーム64に回転自在に取り付けられた二次転写ロール33が上方へ移動して、二次転写ロール33の背面支持ロール30に対する喰い込み量、つまり圧接力が上昇する。なお、上記フロント側のフレーム72及びリア側のフレーム73は、下方に移動することによって、二次転写ロール33の背面支持ロール30に対する喰い込み量、つまり圧接力が低下する。
また、図7に示すように、二次転写ロール33と、位置決めピン62と、背面支持ロール30と、第2の偏芯カム74、75の回転シャフト76とは、これらの中心が略直線L上に配設されており、二次転写ロール33と背面支持ロール30が移動する方向と、二次転写ロールユニット60と背面支持ロールユニット61が移動する方向とが、略1つの直線上に位置するように構成されている。
このように、上記画像形成装置の二次転写圧力を制御する機構200では、上部に配置された第2の偏芯カム74、75を予め定められた量だけ回転駆動することにより、二次転写ロール33と背面支持ロール30との喰い込み量(圧接力)を調整することが可能となっている。上記二次転写ロール33と背面支持ロール30との喰い込み量は、通常、普通紙に対して0.9mm程度に設定されており、エンボス紙等に転写する場合には、1.2mm程度の喰い込み量に増加され、二次転写ロール33と背面支持ロール30との圧接荷重としては、1.5倍程度に高い値に変更される。ただし、これに限定されるものではなく、上述した値以外の値に設定しても良いことは勿論である。
図14は上記の如く構成される画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
図14において、符号100は画像形成装置の全体の動作を制御する制御手段及び画質調整手段としてのCPUを示すものであり、このCPU100は、ROM101に予め記憶された制御プログラムに基づいてRAM102に記憶されたパラメータ等を用いて、画像形成装置の画像形成動作を制御する。
また、符号13Y、13M、13C、13Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部を示しており、CPU100から出力される制御信号に基づいて各画像形成部13Y、13M、13C、13Kにおける画像形成動作が制御される。
さらに、符号103はユーザーがプリントする記録媒体34の種類やサイズ、プリント枚数等を指定するユーザーインターフェースを示しており、プリンタ等においては、ユーザーインターフェースの代わりにパーソナルコンピュータにインストールされた図示しないプリンタドライバが用いられる。
また、符号50は中間転写ベルト25の裏面抵抗を検出する抵抗検出手段を示しており、抵抗検出手段50から入力される中間転写ベルト25の裏面抵抗の抵抗値に対してCPU100によって平均化等の必要な演算処理が施される。
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、中間転写体の抵抗値が低い場合であっても表面平滑度が低い記録媒体にするトナー像の転写性を改善することが可能となっている。
すなわち、上記画像形成装置においては、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に画像データに応じて対応する色のトナー像が形成され、これらの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって中間転写ベルト25上に多重に転写された後、中間転写ベルト25から二次転写ロール33によって記録用紙34上に一括して二次転写される。そして、上記の如くイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色の未定着トナー像が保持された記録用紙34は、定着装置37へと搬送されて定着処理が施されて、画像形成装置本体1の外部に配置された排出トレイ38上に排出される。
ところで、この実施の形態では、画像形成装置の電源投入時や、予め定められた枚数の記録用紙34に画像をプリントした後などの予め定められたタイミングで、抵抗検出手段50によって中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が検出される。
CPU100では、抵抗検出手段50からの検出信号に基づいて中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値Rsh以上であるか、閾値Rsh未満かが判別され、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値Rsh以上である場合には、通常と同様の画像形成処理を実行するが、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値Rsh未満である場合であって、且つ記録媒体34がエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い用紙であるか否かが判別される。
その際、上記画像形成装置本体1では、図1に示すように、給紙トレイ39に設けられた図示しない記録媒体の識別手段や、ユーザーがユーザーインターフェイス103(図14参照)を操作することによる記録媒体34の指定、あるいは記録媒体34の搬送系路42等に配置された図示しないインラインセンサ等からなる記録媒体識別手段の識別信号によって、記録媒体が表面や表裏両面に凹凸を有するエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い用紙であるか否かが判別される。
上記画像形成装置は、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値Rsh未満である場合であって、且つ記録媒体34がエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い用紙であると判別された場合には、次に示すような画質調整動作が実行される。
上記画像形成装置では、図7に示すように、CPU100からの信号に基づいて圧接力調整手段200を制御することにより、背面支持ロール30に圧接する二次転写ロール33の圧接力が相対的に高くなるように調整される。この場合、二次転写ロール33と背面支持ロール30との喰い込み量は、通常、普通紙に対して0.9mm程度に設定されているが、エンボス紙等の記録媒体34に転写する場合には、図7に示すように、二次転写ロールユニット60側の第1の偏芯カム66、67と、背面支持ロールユニット61側の第2の偏芯カム74、75を予め定められた量だけ回転駆動することにより、1.2mm程度の喰い込み量に増加される。
そして、中間転写ベルト25上に一次転写されたトナー像Tは、図3(b)に示すように、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値Rsh未満であると、一次転写電荷の移動や減衰等によってトナー像が広がり、トナー像の高さ(パイルハイト)が本来の高さよりも低くなる場合がある。
また、記録媒体34がエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い用紙である場合には、図4に示すように、相対的に高さが低下したトナー像と、記録媒体34の凹部34aとの間隙が相対的に大きくなり、中間転写ベルト25から記録媒体34上に本来転写されるべきトナー像が、記録媒体34上に転写されずに一部のトナー像が中間転写ベルト25上に残留し、トナー像の転写不良や一部の色のトナー像の転写不良によって、図19に示すように、色抜け量による画質のグレードが許容レベルを超えて画質低下が発生する虞れがある。
そこで、この実施の形態では、図7に示すように、CPU100からの信号に基づいて圧接力調整手段200を制御することにより、背面支持ロール30に圧接する二次転写ロール33の圧接力が相対的に高くなるように調整することで、図15(a)(b)に示すように、中間転写ベルト25上に一次転写されたトナー像Tと、記録媒体34の凹部34aとの間隙を小さくすることで、中間転写ベルト25に一次転写されたトナー像を表面に凹凸を有する記録媒体34上に良好に転写可能とし、画像濃度の低下や色味の変化といった画質低下が発生するのを抑制乃至防止するように構成されている。
実験例1
本発明者は、本発明の実施の形態の効果を確認するため、図1に示すような画像形成装置のベンチモデルを試作し、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満であるものを使用して、レザック66と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い記録用紙34上に画像を形成することで、記録用紙34上に形成されたテスト画像の色抜けの程度を目視観察によって評価し、色抜け量のグレードがレベル5以下であればOKとする実験を行った。
図16は上記実験例の結果を示すグラフである。
この図16から明らかなように、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満であるものを使用して、且つレザック66と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い記録用紙34を使用した場合、本実施の形態の対策実施する以前のものでは、色抜け量のグレードがレベル6と高く、許容範囲を超えていたのに対して、本実施の形態の二次転写の圧接力を増加させた場合には、色抜け量のグレードがレベル5であり、許容範囲内に抑えることができることが判った。
実施の形態2
図17はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記画質調整手段は、前記像保持体上に保持されるトナー像の単位面積当たりのトナー量を調整する手段からなるように構成されている。
すなわち、この実施の形態2では、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満である場合であって、且つ記録媒体がエンボス紙やラフ紙、あるいはレザック紙と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い用紙であると判別された場合には、次に示すような画質調整動作が実行される。
上記画像形成装置では、図17に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に画像データに応じて対応する色のトナー像を形成する際に、各感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に画像データに応じて画像露光を施す画像露光装置16の半導体レーザ19のレーザ光量を、予め定められた値だけ増加させることにより、各感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に画像データに応じて形成される各色のトナー像の単位面積当たりのトナー量を、通常の画像形成時に比較して予め定められた値だけ増加させるように制御される。
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kでは、図17に示すように、感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面がスコロトロン15によって予め定められた負極性の電位Vhに一様に帯電された後、上述したように、画像データに応じて画像露光装置16によってレーザ光が照射されて露光部の電位VLが低下し、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面に形成された静電潜像は、予め定められた現像バイアス電圧が印加される現像装置17によって負極性に帯電したトナーによって反転現像され、対応する色のトナー像が形成される。
その際、上述したように、各感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面に画像露光を施す画像露光装置16のレーザ光量を予め定められた値だけ増加させることにより、各感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に画像データに応じて形成される画像部の電位VL’が相対的に低くなり、現像バイアス電圧に対する現像電界が大きくなって、感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成されるトナー像の濃度が高くなり、図18に示すように、中間転写ベルト25上に一次転写されるトナー像の高さが相対的に高くなり、当該トナー像の単位面積当たりの量が増加することになる。
そのため、この実施の形態2では、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値Rsh未満である場合であっても、各感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成されるトナー像のトナー量を予め定められた値だけ増加させることにより、中間転写ベルト25上に一次転写されたトナー像のトナーの高さが低下するのを抑制することができ、中間転写ベルト25上から表面に凹凸34aを有する記録媒体34であっても、濃度低下や色抜け等が発生するのを抑制乃至防止するように構成されている。
実験例2
本発明者は、本発明の実施の形態の効果を確認するため、図2に示すような画像形成装置のベンチモデルを試作し、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満であるものを使用して、レザック66と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い記録用紙34上に画像を形成することで、記録用紙34上に形成されたテスト画像の色抜けの程度を目視観察によって評価し、色抜け量のグレードがレベル5以下であればOKとする実験を行った。
図16は上記実験例の結果を示すグラフである。
この図16から明らかなように、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満であるものを使用して、且つレザック66と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い記録用紙34を使用した場合、本実施の形態の対策実施する以前のものでは、色抜け量のグレードがレベル6と高く、許容範囲を超えていたのに対して、本実施の形態2のトナー量(TMA)を増加させた場合には、色抜け量のグレードがレベル5であり、許容範囲内に抑えることができることが判った。
実験例3
本発明者は、本発明の実施の形態の効果を確認するため、図2に示すような画像形成装置のベンチモデルを試作し、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満であるものを使用して、レザック66と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い記録用紙34上に画像を形成することで、記録用紙34上に形成されたテスト画像の色抜けの程度を目視観察によって評価し、色抜け量のグレードがレベル5以下であればOKとする実験を行った。
図16は上記実験例の結果を示すグラフである。
この図16から明らかなように、中間転写ベルト25の裏面の抵抗値が予め定められた閾値R未満であるものを使用して、且つレザック66と呼ばれる革のような模様の凹凸が表面にある表面平滑度が相対的に低い記録用紙34を使用した場合、本実施の形態の対策実施する以前のものでは、色抜け量のグレードがレベル6と高く、許容範囲を超えていたのに対して、実験例1と実験例2の対策を同時に講じることで、色抜け量のグレードがレベル4であり、許容範囲内に抑えることができることが判った。