JP5964123B2 - 筆記具用クリップの支持構造 - Google Patents
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Description
前記従来技術では、前述したようにクリップ(10)をクリップ支持体(20)に組み付ける過程で、クリップ(10)の両側板部(22,22)間を比較的広く弾性的に広げる必要がある。このため、両側板部(22,22)が割れてしまうことのないように、各側板部(22)を適宜に厚肉に形成する必要がある。しかし、各側板部(22)を厚肉にした場合、各側板部(22)が弾性変形し難くなるため、組立性を損ねる結果となってしまう。
しかしながら、後者の従来技術によれば、装着のために前方から後方へ移動するクリップ(20)が圧縮コイルバネ(30)に擦れて、該圧縮コイルバネが外れたり、クリップ(20)の後方への移動が圧縮コイルバネ(30)に妨げられて組立性を損ねてしまったり等するおそれがある。
また、完成後、悪戯等によりクリップ(10)に強引な前方への押圧力が加わった場合には、枢支凸部(22a,22a)が前記案内溝内の突部(11a,11a)を逆方向へ乗り越えて、クリップ(10)が外れてしまうおそれがある。
この構成によれば、クリップをクリップ支持体に装着する際、枢支凸部が導入開口部に導かれてスムーズに第一溝部内に挿入される。そして、枢支凸部は、第一溝部から第二溝部に進み、枢支凹部に嵌まり合う。よって、二つの突片部間が無理に広げられるようなことがなく、製造時の作業性が良好な上、突片部を薄肉化することも可能である。また、枢支凸部を、軸筒中心方向へ移動させた後に軸筒軸方向へ移動させて枢支凹部に嵌合するようにしているため、クリップを外れ難くすることができる。
なお、前記「軸筒」には、先端側にボールペンチップやペン先等の筆記部を装着するようにした筒状の部材や、該部材の先端側に装着されるキャップ、該部材の後端側に装着される尾栓等を含む。
また、前記「クリップ支持体」には、軸筒の外周部に設けられたクリップ支持体や、キャップの外周部に設けられたクリップ支持体、軸筒の外周部で軸筒軸方向へスライドするスライド駒に設けられたクリップ支持体等を含む。
この構成によれば、クリップを第一溝部に挿入する際に、その挿入方向と略平行に圧縮コイルバネが収縮する。よって、装着時のクリップが圧縮コイルバネに引っ掛かって、圧縮コイルバネが外れたり、圧縮コイルバネがクリップ装着作業の妨げになったりするようなことを防ぐことができる。
そして、この筆記具用クリップの支持構造1は、クリップ20の後述する枢支凸部22aよりも後側(図1によれば右側)がクリップ支持体10側へ押圧されることで、クリップ20の枢支凸部22aよりも前側(図1によれば左側)を、枢支凸部22aを支点にして、軸筒Aから離隔するように回動させ、前記押圧力が解除された際には、圧縮コイルバネ30の弾発力によりクリップ20の枢支凸部22aよりも前側を軸筒Aに接近するように回動させる。
この被当接傾斜面10aは、後方へ行くに従って軸筒中心方向(図2によれば下方)へ近づく平坦状の傾斜面であり、開放した際のクリップ20の後端側の内面に当接して、該クリップ20を安定した開放状態に保持する。
この構成によれば、クリップ20の両枢支凸部22a,22aを、両第一溝部11,11内へ挿入する際に、一方の枢支凸部22aよりも他方の枢支凸部22aにおける軸筒軸方向の遊びが大きくなり、その挿入作業における位置合わせを容易にすることができる。
この枢支凹部12bにおける前端の壁面は、前方へ移動しようとした際の枢支凸部22aに当接する当接面12b1として機能する。
そして、バネ嵌合凹部13は、二つの抱持部13a,13b及び開口部13c,13dによって囲まれた空間部に、圧縮コイルバネ30を、軸筒軸方向に対し略直交し且つ軸筒周方向に対しても略直交するように保持する。
各抱持部13a,13bの内面には、図2に示すように、軸筒中心寄りに、その軸筒遠心方向側の部分よりも縮径された縮径部13a1,13b1を有する。これら縮径部13a1,13b1は、圧縮コイルバネ30が挿入された際に、該圧縮コイルバネ30の外周部に接触して、該圧縮コイルバネ30が容易に抜けないようにする。
すなわち、クリップ支持体10を成形するための金型は、クリップ支持体10をクリップ幅方向の両側から挟むようにして二つ設けられる。そして、これら金型のうち、二つの開口部13c,13dに挿通される二つの部分(中子)は、二つの開口部13c,13dに対し、クリップ幅方向の両側から挿入されて、バネ嵌合凹部13内で当接し合うようになっている。
これらの金型構成によれば、軸筒径方向へ移動する金型を用いることなく、クリップ幅方向へ移動する金型のみによって、第一溝部11、第二溝部12及びバネ嵌合凹部13を成形することができ、生産性が良好である。
より詳細に説明すれば、各突片部本体22bの前端側の部分は、その後側の部分よりも軸筒A側へ突出して、後述する玉部23の側面を覆う。また、各突片部本体22bの後端側の部分は、その前側の部分よりもクリップ支持体10側へ突出し、この突出する部分の内面に、クリップ支持体10の第一溝部11及び第二溝部12内へ挿通されて枢支凹部12bに嵌り合う枢支凸部22aが設けられる。
より詳細に説明すれば、枢支凸部22aは、図5及び図6に示すように、突片部内側(図5によれば上側)へ突出するように曲げられた第一片部22a2と、第一片部22a2の突端側に接続されるとともに該第一片部22a2を基準にして突片部外側(図5によれば下側)へ曲げられた第二片部22a3とを有する。
また、この構成によれば、切断縁22a1の少なくとも一部は、枢支凸部22aが枢支凹部12bに嵌り合った状態において、第二溝部12の軸筒遠心方向側(図1によれば上端側)の内壁に向いている。
また、図5によれば、第二片部22a3を突片部本体22bと平行に図示しているが、実際の曲げ加工においては、第二片部22a3は、復元力によって突片部内側(図5の上側)へ若干傾斜する。
この圧縮コイルバネ30のより好ましい態様としては、クリップ20内面に当接する一端部に、他の部分よりも一回りほど外径の大きい座巻き部を有するようにしてもよい。この構成によれば、前記座巻き部によって圧縮コイルバネ30をクリップ20内面に対し安定的に当接させることができる。
図2に示すように、クリップ20をクリップ支持体10に装着する際、クリップ20の枢支凸部22aが導入開口部11aに導かれてスムーズに第一溝部11内に挿入される。そして、枢支凸部22aは、第一溝部11から第二溝部12へ進み、乗越え突起12a(図2及び図4参照)を乗越えて、枢支凹部12bに嵌まり合う。
よって、二つの突片部22,22間(図6参照)が無理に広げられるようなことがなく、各突片部22を薄肉化することも可能である。
また、クリップ20が悪戯等により軸筒遠心方向へ引っ張られた場合にも、枢支凸部22aの切断縁22a1の一部が第二溝部12の内壁に係止されるため、クリップ20が外れてしまうのを防ぐことができる。
すなわち、例えば、図15に要部を示す従来のクリップ100では、プレス加工等により膨出された枢支凸部110に切断縁が無く、該枢支凸部110の突端縁がR面取り状の曲面であるため、クリップ100に対しクリップ幅方向に対する交差方向の力が加わると、枢支凸部110が枢支凹部(図示せず)から抜け出てしまうおそれがあるが、本実施例ではこのようなことを低減することができる。
クリップ20’は、上記クリップ20における枢支凸部22aを、枢支凸部22a’に置換した構成としている。
枢支凸部22a’は、上記枢支凸部22aと、切断縁の向きが異なる。すなわち、枢支凸部22a’の切断縁22a1’は、中心角度が180度以上の扇形の円弧状部分として形成され、前記円弧状部分の中央部を、図7に示すように、枢支凸部22a’が枢支凹部12bに嵌り合った状態において、第二溝部12の軸筒遠心方向側(図7によれば上端側)の内壁に向けている。
なお、切断縁22a1’は、前記したように中心角度が180度以上の扇形に形成されるため、該切断縁22a1’の少なくとも一部は、枢支凸部22aが枢支凹部12bに嵌り合った状態において、乗越え突起12a側(図7によれば右方向)へ向いている。
クリップ40は、上記クリップ20が板金材料の曲げ加工により形成されたのに対し、合成樹脂材料の射出成型によって形成される。
このクリップ40は、軸筒軸方向へわたる略長尺平板状の表板部41と、該表板部41の幅方向の両側からクリップ支持体10側へ突出する二つの突片部42,42と、表板部41の前端側から軸筒側へ突出して軸筒本体a1の外周面に近接又は接触する玉部43とを備える。
より詳細に説明すれば、各突片部本体42bの後端側の部分は、その前側の部分よりもクリップ支持体10側へ突出し、この突出する部分の内面に、クリップ支持体10の第一溝部11及び第二溝部12内へ挿通されて枢支凹部12bに嵌り合う枢支凸部42aが設けられる。
また、図示例によれば、尾栓a2の外周部にクリップ支持体10を設けるようにしているが、他例としては、軸筒本体a1の外周部にクリップ支持体10を設けた態様や、前記キャップの外周にクリップ支持体10を設けた態様、軸筒に対し前後方向へスライドする部材に対しクリップ支持体10を設けた態様等とすることが可能である。
10:クリップ支持体 11:第一溝部
12:第二溝部 11a:導入開口部
12a:乗越え突起 12b:枢支凹部
20,40:クリップ 22,42:突片部
22a,22a’,42a:枢支凸部 22a1:切断縁
22a2:第一片部(傾斜面部) 22a3:第二片部
30:圧縮コイルバネ
Claims (4)
- 軸筒の外周部から突出するように形成されたクリップ支持体と、該クリップ支持体に嵌め合せられて軸筒外周部に対する接近離隔方向へ回動可能なクリップとを具備してなる筆記具用のクリップ支持構造において、
前記クリップには、前記クリップ支持体をクリップ幅方向の両側から挟むようにして突出する二つの突片部と、各突片部から突出して前記クリップ支持体の側面に嵌り合う枢支凸部とが設けられ、
前記クリップ支持体の側面には、第一溝部と第二溝部が設けられ、
第一溝部は、一端側を軸筒中心から離れる方向へ延設し、その延設方向の端部に、前記枢支凸部を導き入れるための導入開口部を有し、
第二溝部は、第一溝部の前記一端側に対する他端側に連通して軸筒軸方向へ延設されるとともに、その延設方向側に、前記枢支凸部を回転自在に嵌合する枢支凹部を有することを特徴とする筆記具用のクリップ支持構造。 - 第一溝部と第二溝部は、前記クリップ支持体の側面に略L字状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の筆記具用のクリップ支持構造。
- 第二溝部内に、前記枢支凸部を乗越えさせる乗越え突起を設け、前記枢支凸部が前記乗越え突起を乗越えた後に前記枢支凹部に嵌合するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用のクリップ支持構造。
- 前記クリップにおける前記枢支凸部よりも後側の部分と、前記クリップ支持体との間に、前記後側の部分を弾発するように圧縮コイルバネを設けるとともに、該圧縮コイルバネを、第一溝部の延設方向と略平行に配置したことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の筆記具用のクリップ支持構造。
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