JP5962072B2 - 放射性物質除染システム、および放射性物質除染方法 - Google Patents

放射性物質除染システム、および放射性物質除染方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性物質を除去する放射性物質除染システム、および放射性物質除染方法に関する。
近年、原子力発電所や、家屋、ビル等の建造物の表面(屋根や外壁)に付着した放射性物質の除染が進められている。例えば、高圧の水を用いて建造物の表面を洗浄(以下、単に高圧洗浄と称する)することで、放射性物質の除染を行っている。しかし、高圧洗浄を行っても、放射線線量がほとんど低下しないという報告がある。また、除染効果の向上を図るために水圧を上昇させると、建造物自体を破壊しかねない。さらに、洗浄方法によっては、放射性物質が周囲に拡散してしまい、除染効果を得られないという問題もある。また、高圧洗浄では、放射性物質を含んだ水が建造物の軒下や雨樋等に貯留される可能性もある。
そこで、放射性物質除染剤として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を主剤とし、ベンゼン等の無極性溶媒を溶媒とし、さらに高級アルキルアミン化合物を配合した可剥性塗料(ストリッパブルペイント)が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開昭61−264296号公報
上述した特許文献1に記載された放射性物質除染剤の使用方法は、まず、建造物の表面に放射性物質除染剤を塗布する。そうすると、塗布した放射性物質除染剤が乾燥する間に、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が、建造物の表面に付着した放射性物質を固着する。そして、乾燥した放射性物質除染剤(スチレン−ブタジエンブロック共重合体の皮膜)を放射性物質とともに建造物から剥離することで、建造物から放射性物質を除去する。
しかし、上述した特許文献1の放射性物質除染剤は、無極性溶媒にのみ溶解する高分子化合物を利用しているため、皮膜の膜厚が可剥性を有する程度の膜厚になるような高分子化合物の濃度にすると、粘度が大きくなり、建造物の表面に形成された隙間にまで浸透しない。したがって、特許文献1の放射性物質除染剤は、建造物の表面の隙間に入り込んだ放射性物質を除去することができないといった問題があった。
また、原子力発電所で用いられるウランの核分裂によって生じる放射性物質(例えば、セシウム(Cs)137、ストロンチウム(Sr)90、ヨウ素(I)131)は、イオン化しやすいため、水等の極性溶媒に溶解しやすいが、特許文献1に利用される無極性溶媒には難溶である。したがって、特許文献1に記載されたような無極性溶媒系の放射性物質除染剤を利用して、これらの放射性物質を除去するのは困難である。
そこで本発明は、このような課題に鑑み、高分子化合物の材質、高分子化合物を分散させる溶媒、および混合する吸着剤を工夫することで、建造物の表面や表面に形成された隙間に付着した放射性物質を、容易かつ確実に除去することが可能な放射性物質除染システム、および放射性物質除染方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、放射性物質を固着する本発明の放射性物質除染システムは、建造物に付着した放射性物質を固着する放射性物質除染システムであって、極性溶媒と、極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤と、放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる帯電部と、を備え、帯電部は、放射性物質除染剤に電気的に接触する第1電極と、建造物に電気的に接触する第2電極と、第1電極および第2電極を定電流で通電して、第1電極を負極として機能させるとともに、第2電極を正極として機能させる電力供給部と、第1電極と第2電極との間の電圧値を測定する電圧測定部と、を有し、電力供給部は、電圧測定部が測定した電圧値が、放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第1の閾値以上になると、通電を停止することを特徴とする。
上記課題を解決するために、放射性物質を固着する本発明の他の放射性物質除染システムは、建造物に付着した放射性物質を固着する放射性物質除染システムであって、極性溶媒と、極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤と、放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる帯電部と、を備え、帯電部は、放射性物質除染剤に電気的に接触する第1電極と、建造物に電気的に接触する第2電極と、第1電極および第2電極を定電圧で通電して、第1電極を負極として機能させるとともに、第2電極を正極として機能させる電力供給部と、第1電極、第2電極、放射性物質除染剤、および、建造物のうち、少なくともいずれか1を流れる電流値を測定する電流測定部と、を有し、電力供給部は、電流測定部が測定した電流値が、放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第2の閾値以下になると、通電を停止することを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の放射性物質除染方法は、極性溶媒と、極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤を用いた放射性物質除染方法であって、建造物に放射性物質除染剤を塗布する工程と、塗布した放射性物質除染剤に第1電極を電気的に接触させるとともに、建造物に第2電極を電気的に接触させる工程と、第1電極および第2電極を定電流で通電して、第1電極を負極として機能させるとともに、第2電極を正極として機能させて、放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる工程と、塗布した放射性物質除染剤の乾燥を許容する雰囲気中に放射性物質除染剤を曝露する工程と、第1電極と第2電極との間の電圧値を測定する工程と、測定した電圧値が、放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第1の閾値以上になると、第1電極および第2電極への通電を停止する工程と、乾燥した放射性物質除染剤を剥離する工程と、を含むことを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の他の放射性物質除染方法は、極性溶媒と、極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤を用いた放射性物質除染方法であって、建造物に放射性物質除染剤を塗布する工程と、塗布した放射性物質除染剤に第1電極を電気的に接触させるとともに、建造物に第2電極を電気的に接触させる工程と、第1電極および第2電極を定電圧で通電して、第1電極を負極として機能させるとともに、第2電極を正極として機能させて、放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる工程と、塗布した放射性物質除染剤の乾燥を許容する雰囲気中に放射性物質除染剤を曝露する工程と、第1電極、第2電極、放射性物質除染剤、および、建造物のうち、少なくともいずれか1を流れる電流値を測定する工程と、測定した電流値が、放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第2の閾値以下になると、第1電極および第2電極への通電を停止する工程と、乾燥した放射性物質除染剤を剥離する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、高分子化合物の材質、高分子化合物を分散させる溶媒、および混合する吸着剤を工夫することで、建造物の表面や表面に形成された隙間に付着した放射性物質を、容易かつ確実に除去することが可能となる。
第1の実施形態にかかる放射性物質除染方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 高分子化合物と水との混合物の重量の経時変化および吸着剤の重量の経時変化を説明するための図である。 第2の実施形態にかかる放射性物質除染システムを説明するための図である。 電極の構成例を説明するための図である。 第2の実施形態にかかる放射性物質除染方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態にかかる放射性物質除染剤は、極性溶媒と、高分子化合物と、吸着剤とを含んで構成される。
極性溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、酢酸等の親水性の溶媒である。なお、極性溶媒は、極性(親水性)を有する溶媒であれば、水およびエタノールといった溶媒の混合物であってもよい。本実施形態では、極性溶媒として水を例に挙げて説明する。
高分子化合物(高分子ポリマー、樹脂、プラスチックともいう)は、水に分散され、極性(親水性、または、水溶性ともいう)かつ可剥性を有する。高分子化合物は、例えば、酢酸ビニルの重合体、酢酸ビニルの共重合体(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体)、または、ビニルアルコールの重合体を採用することができる。高分子化合物は、分解速度が遅いものが好ましく、特に細菌等の微生物の存在下において、生分解性の高分子化合物と比較して、分解速度が数倍から数十倍程度遅い非生分解性の高分子化合物が好ましい。ここで、非生分解性の高分子化合物とは、生分解性でない高分子化合物のことを示し、例えば、崩壊性の高分子化合物や、光分解性の高分子化合物を示す。非生分解性の高分子化合物を採用することで、後述する剥離工程の遂行が想定より遅延した場合であっても、放射性物質の外部への拡散を防止することが可能となる。
吸着剤は、水に分散され、放射性物質を吸着する物質である。吸着剤は、例えば、フェロシアン化鉄、フェロシアン化鉄および凝集剤としての硫酸アルミニウムの混合物、フェロシアン化コバルト、結晶性ケイチタン酸塩、多孔質の物質の群から選択される1または複数の物質である。
多孔質である物質は、シリカ(二酸化ケイ素)、ゼオライト、シリコンナノワイヤ、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノウォール、フラーレンの群から選択される1または複数である。ここで、陽イオン交換樹脂は、例えば、スルホン酸基(−SOH)を有する樹脂や、カルボン酸基(−COOH)を有するメタクリル酸系、またはアクリル酸系の樹脂である。また、陰イオン交換樹脂は、例えば、トリメチルアンモニウム基(−N(CH)(CH)や、ジメチルエタノールアンモニウム基(−N(CH)(CH(COH))といった四級アンモニウム基を有する樹脂や、一級アミノ基や二級アミノ基を有する樹脂である。
また、放射性物質除染剤における、高分子化合物に対する吸着剤の濃度は、5〜50wt%であり、好ましくは、10〜30wt%である。ここで、放射性物質除染剤における吸着剤の濃度を高くすればするほど、放射性物質の吸着量を向上させることができるが、50wt%以上にすると、放射性物質除染剤における高分子化合物の機能が損なわれる可能性がある。詳細に説明すると、剥離工程において乾燥後の放射性物質除染剤を剥離する際、高分子化合物の皮膜が裂けてしまい、可剥性が低下する。
そこで、吸着剤の濃度を5〜50wt%、好ましくは10〜30wt%とすることで、可剥性を低下させることなく放射性物質の吸着量を向上させることが可能となる。
(放射性物質除染方法)
図1は、第1の実施形態にかかる放射性物質除染方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図1に示すように、第1の実施形態にかかる放射性物質除染方法は、塗布工程(S110)と、乾燥・固着工程(S120)と、剥離工程(S130)とを含む。以下、各工程について詳述する。
(塗布工程:S110)
塗布工程S110は、上述した放射性物質除染剤を建造物の表面(例えば、屋根や外壁)に塗布する工程である。
上述したように本実施形態にかかる放射性物質除染剤の高分子化合物を、極性を有する高分子化合物(水溶性(水系)の高分子化合物)とすることで、溶媒として極性溶媒(水)を利用することができる。したがって、皮膜の膜厚が可剥性を有する程度の膜厚になるように高分子化合物の濃度を上昇させても、無極性(疎水性、または非水溶性ともいう)の高分子化合物と無極性溶媒とで構成された放射性物質除染剤と比較して、粘度を低くすることが可能となる。そうすると、コンクリート、アスファルト等の表面が凹凸形状である構造物の表面に形成された凹部(隙間)にも、放射性物質除染剤を浸透させることができる。これにより、構造物の表面に形成された隙間に侵入した放射性物質を放射性物質除染剤に取り込ませることが可能となる。
(乾燥・固着工程:S120)
乾燥・固着工程S120は、塗布工程S110で塗布した放射性物質除染剤の乾燥を許容する雰囲気中に放射性物質除染剤を曝露する工程である。
除染の対象となる放射性物質(例えば、セシウムの放射性同位体、ストロンチウムの放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体)は、イオン化しやすいため水等の極性溶媒へ容易に溶解する。したがって、放射性物質除染剤が水を含むことにより、乾燥・固着工程S120を遂行している間に、建造物の表面に付着した放射性物質を、放射性物質除染剤中の水に溶解させることができる。
また、放射性物質除染剤は吸着剤を含んでいるため、吸着剤に放射性物質を吸着させることができ、放射性物質除染剤における放射性物質の取り込み量を増加させることが可能となる。さらに、吸着剤を多孔質の物質、すなわち比表面積が大きい物質で構成することにより、吸着剤に放射性物質を効率よく吸着させることができる。
例えば、社団法人日本原子力学会が公表している「東電福島第一原子力発電所内汚染水処理技術のための基礎データ」(http://www.nuce-aesj.org/doku.php?id=projects:clwt:start)によると、ゼオライトは、海水(10%)中のセシウムイオンを96%吸着し、ストロンチウムイオンを98%吸着することが分かる。また、フェロシアン化鉄および凝集剤の混合物は、人工海水中のセシウムイオンを100%吸着し、ストロンチウムイオンを96%吸着することが分かる。さらにフェロシアン化コバルトは、海水中のセシウムイオンを100%吸着し、ストロンチウムイオンを12%吸着することが分かる。また、フェロシアン化コバルトは、海水(10%)中のセシウムイオンを100%吸着し、ストロンチウムイオンを25%吸着することが分かる。さらに、結晶性ケイチタン酸塩は、0.6MのNaCl水溶液中のセシウムイオンを99.8%吸着し、ストロンチウムイオンを99%吸着することが分かる。したがって、吸着剤として、ゼオライト、フェロシアン化鉄および凝集剤の混合物、フェロシアン化コバルト、結晶性ケイチタン酸塩を用いることにより、セシウムの放射性同位体やストロンチウムの放射性同位体を効率よく吸着することが可能となる。
また、吸着剤として陽イオン交換樹脂を用いることにより、セシウムの放射性同位体やストロンチウムの放射性同位体といった、放射性物質の陽イオンを効率よく吸着することが可能となる。また、吸着剤として陰イオン交換樹脂を用いることにより、ヨウ素の放射性同位体といった放射性物質の陰イオンを効率よく吸着することが可能となる。
なお、乾燥・固着工程S120を遂行する間に、放射性物質除染剤中の水は蒸発し、高分子化合物が絡まり合って網目形状の皮膜を形成する。この際、高分子化合物における網目形状の隙間に放射性物質自体が固着されたり、吸着剤が放射性物質を吸着した状態で固着されたりすることとなる。
(剥離工程:S130)
剥離工程S130は、乾燥した放射性物質除染剤(以下、単に皮膜と称する)を建造物から剥離する工程である。剥離工程S130において、建造物から皮膜を剥離することによって、皮膜ごと放射性物質を除去することが可能となる。
また、本実施形態にかかる放射性物質除染剤(特に、高分子化合物)は、乾燥・固着工程S120を遂行しても弾性を有するため、構造物の表面に形成された隙間に浸透した後に形成された皮膜も、隙間に残留することなく剥離することができる。
続いて、放射性物質除染剤における、水に対する高分子化合物の濃度と、吸着剤の濃度について説明する。
図2は、高分子化合物と水との混合物の重量の経時変化および吸着剤の重量の経時変化を説明するための図である。ここでは、高分子化合物と水との混合物の重量と吸着剤の重量とを独立して検証する。図2(a)に示すように、高分子化合物と水の混合物(以下、単に混合物と称する)の重量は、塗布してから時刻t1までは、混合物中の水が蒸発していくため、時間経過に伴って低下する。そして、時刻t1において混合物中の水が概ね蒸発すると、時刻t1以降において、混合物(高分子化合物)の重量は略一定となる。
一方、図2(b)に示すように、物質を吸着した吸着剤の重量は、塗布してから時刻t2までは、時間経過に伴って増加する。そして、時刻t2において物質の吸着が飽和すると、時刻t2以降において、物質を吸着した吸着剤の重量は略一定となる。
そこで、図2(c)に示すように、時刻t1と時刻t2が実質的に等しくなるように、すなわち、吸着剤による吸着が飽和したときに放射性物質除染剤が乾燥するように、水に対する高分子化合物の濃度と、吸着剤の濃度とを決定するとよい。
以上説明したように、本実施形態にかかる放射性物質除染剤、および、これを用いた放射性物質除染方法によれば、放射性物質除染剤を建造物に塗布して、乾燥させた後、剥離するだけといった簡単な作業で、建造物の表面や表面に形成された隙間に付着した放射性物質を容易に除去することが可能となる。
また、従来用いられていた高圧洗浄は、専用の機材が必要、かつ、専門の作業員が必要となるため、コストがかかってしまい、頻繁に行うことができないという問題があったが、本実施形態にかかる放射性物質除染剤は、上述した簡単な作業で除染できるため、専門の知識を有さずとも低コストで簡単に放射性物質の除染を行うことが可能となる。例えば、一般家庭においても容易に利用することができる。
さらに、放射性物質は、皮膜に固着されることになるため、高圧洗浄と比較して外部(周囲)への拡散を防止することができる。また、放射性物質で汚染される前に本実施形態にかかる放射性物質除染剤を建造物の表面に塗布しておくことにより、放射性物質が建造物の表面に直接付着することを未然に防止することが可能となる。この場合、汚染後に、皮膜を剥離することで、建造物の汚染を回避することができる。
(第2の実施形態:放射性物質除染システム200)
図3は、第2の実施形態にかかる放射性物質除染システム200を説明するための図である。図3(a)に示すように、放射性物質除染システム200は、放射性物質除染剤210と、帯電部220とを含んで構成される。
放射性物質除染剤210は、極性溶媒(ここでも、水を例に挙げる)と、高分子化合物と、吸着剤とを含んで構成され、建造物202の表面に塗布される。ここで、本実施形態にかかる極性溶媒と、高分子化合物とは、上述した第1の実施形態と実質的に等しいため、重複説明を省略し、構成の異なる吸着剤について説明する。
本実施形態にかかる吸着剤は、多孔質であり、かつ導電性を有する物質である。吸着剤は、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノウォール、フラーレンの群から選択される1または複数である。
帯電部220は、電力供給部(ポテンショスタット)222と、電極224a、224bとを含んで構成され、放射性物質除染剤210を負電荷に帯電させる。具体的に説明すると、電極224aを放射性物質除染剤210に、電極224bを建造物202に電気的に接触させた状態で(アースした状態で)、電力供給部222は、電極224aを負極(カソード)として機能させ、電極224bを正極(アノード)として機能させる。
ここで、放射性物質除染剤210を構成する吸着剤は、導電性を有する物質であるため、電極224aによって放射性物質除染剤210全体を負電荷に帯電させることが可能となる。
そうすると、図3(b)に示すように、電極224aから放射性物質除染剤210へ電子が移動し、建造物202の表面や放射性物質除染剤210中に存在するセシウムの放射性同位体やストロンチウムの放射性同位体といった陽イオンとなる放射性物質が電極224aの方向へ移動する。
このように、帯電部220が放射性物質除染剤210を負電荷に帯電させる構成により、建造物202の表面に存在する放射性物質の陽イオンを放射性物質除染剤210に効率よく引き寄せることができる。なお、電極224bを接触させる建造物202は、トタン屋根等の導電性を有するものであるとよい。
ここで、帯電部220が通電する時間について説明する。帯電部220が定電流で通電する場合には電圧値に応じて通電を停止する。具体的に説明すると、放射性物質除染剤210中の水が蒸発しきる(完全に乾燥する)と、電圧値が急激に上昇するため、帯電部220は、電圧をモニタリングしておき、電圧値が予め定められた第1の閾値以上となったときに通電を停止するとよい。また、帯電部220が定電圧で通電する場合は電流値に応じて通電を停止する。具体的に説明すると、放射性物質除染剤210中の水の蒸発に伴って電流値が低下するため、電流をモニタリングしておき、電流値が予め定められた第2の閾値以下となったときに通電を停止するとよい。
図4は、電極224aの構成例を説明するための図である。電極224aは、建造物202に塗布した放射性物質除染剤210に満遍なく接触していることが好ましい。例えば、図4(a)に示すように、アルミニウム箔等の金属製薄膜や、導電性薄膜といった平板形状の電極224aであってもよいし、図4(b)に示すように、金属や導電性物質のワイヤで構成された網目形状の電極224aであってもよい。
(放射性物質除染方法)
続いて、上述した放射性物質除染システム200を利用した放射性物質除染方法について説明する。図5は、第2の実施形態にかかる放射性物質除染方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図5に示すように、第2の実施形態にかかる放射性物質除染方法は、塗布工程(S110)と、帯電工程(S310)と、乾燥・固着工程(S320)と、剥離工程(S130)とを含む。以下、各工程について詳述する。なお、塗布工程S110、剥離工程S130は、上述した第1の実施形態と実質的に処理が等しいので重複説明を省略し、ここでは処理の異なる帯電工程S310と、乾燥・固着工程S320とについて詳述する。
(帯電工程:S310)
帯電工程S310は、帯電部220を用いて、塗布した放射性物質除染剤210を負電荷に帯電させる。
(乾燥・固着工程:S320)
乾燥・固着工程S320は、帯電工程S310と並行して行われ、塗布工程S110で塗布した放射性物質除染剤210の乾燥を許容する雰囲気中に放射性物質除染剤210を曝露する工程である。
以上説明したように、本実施形態にかかる放射性物質除染システム200、および、これを用いた放射性物質除染方法によれば、放射性物質除染剤210を負電荷に帯電させることにより、建造物202の表面や表面に形成された隙間に付着した放射性物質の陽イオンを放射性物質除染剤210に効率よく引き寄せることで、建造物202から容易に除去することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態において、高分子化合物は非生分解性の高分子化合物である場合について説明したが、乾燥・固着工程S120、S320を経た後、すぐに剥離工程S130を遂行する場合、極性溶媒に分散可能であれば、生分解性の高分子化合物を利用することもできる。
また、上述した実施形態において、平板形状や網目形状の電極224aについて説明したが、電極224aの形状に限定はなく、例えば、複数の棒形状の電極224aを用いることもできる。
さらに、乾燥後の放射性物質除染剤の皮膜が、剥離するには薄すぎる場合には、皮膜の上から放射性物質除染剤を再度塗布することによって、膜厚を厚くして可剥性を向上させることもできる。
また、吸着剤の比重が極性溶媒より大きい場合、放射性物質除染剤を攪拌して、吸着剤を実質的に均一に分散させた後に、塗布するとよい。
本発明は、放射性物質を除去する放射性物質除染システム、および放射性物質除染方法に利用することができる。
S110 …塗布工程
S120、S320 …乾燥・固着工程
S130 …剥離工程
S310 …帯電工程
200 …放射性物質除染システム
202 …建造物
210 …放射性物質除染剤
220 …帯電部
222 …電力供給部
224a、224b …電極

Claims (4)

  1. 建造物に付着した放射性物質を固着する放射性物質除染システムであって、
    極性溶媒と、該極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、該極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤と、
    前記放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる帯電部と、
    を備え、
    前記帯電部は、
    前記放射性物質除染剤に電気的に接触する第1電極と、
    前記建造物に電気的に接触する第2電極と、
    前記第1電極および前記第2電極を定電流で通電して、該第1電極を負極として機能させるとともに、該第2電極を正極として機能させる電力供給部と、
    前記第1電極と前記第2電極との間の電圧値を測定する電圧測定部と、
    を有し、
    前記電力供給部は、前記電圧測定部が測定した電圧値が、前記放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第1の閾値以上になると、通電を停止することを特徴とする放射性物質除染システム。
  2. 建造物に付着した放射性物質を固着する放射性物質除染システムであって、
    極性溶媒と、該極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、該極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤と、
    前記放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる帯電部と、
    を備え、
    前記帯電部は、
    前記放射性物質除染剤に電気的に接触する第1電極と、
    前記建造物に電気的に接触する第2電極と、
    前記第1電極および前記第2電極を定電圧で通電して、該第1電極を負極として機能させるとともに、該第2電極を正極として機能させる電力供給部と、
    前記第1電極、前記第2電極、前記放射性物質除染剤、および、前記建造物のうち、少なくともいずれか1を流れる電流値を測定する電流測定部と、
    を有し、
    前記電力供給部は、前記電流測定部が測定した電流値が、前記放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第2の閾値以下になると、通電を停止することを特徴とする放射性物質除染システム。
  3. 極性溶媒と、該極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、該極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤を用いた放射性物質除染方法であって、
    建造物に前記放射性物質除染剤を塗布する工程と、
    塗布した前記放射性物質除染剤に第1電極を電気的に接触させるとともに、前記建造物に第2電極を電気的に接触させる工程と、
    前記第1電極および前記第2電極を定電流で通電して、該第1電極を負極として機能させるとともに、該第2電極を正極として機能させて、前記放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる工程と、
    塗布した前記放射性物質除染剤の乾燥を許容する雰囲気中に該放射性物質除染剤を曝露する工程と、
    前記第1電極と前記第2電極との間の電圧値を測定する工程と、
    測定した前記電圧値が、前記放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第1の閾値以上になると、前記第1電極および前記第2電極への通電を停止する工程と、
    乾燥した前記放射性物質除染剤を剥離する工程と、
    を含むことを特徴とする放射性物質除染方法。
  4. 極性溶媒と、該極性溶媒に分散され、極性かつ可剥性を有する高分子化合物と、該極性溶媒に分散され、多孔質であり、導電性を有する吸着剤とを備えた放射性物質除染剤を用いた放射性物質除染方法であって、
    建造物に前記放射性物質除染剤を塗布する工程と、
    塗布した前記放射性物質除染剤に第1電極を電気的に接触させるとともに、前記建造物に第2電極を電気的に接触させる工程と、
    前記第1電極および前記第2電極を定電圧で通電して、該第1電極を負極として機能させるとともに、該第2電極を正極として機能させて、前記放射性物質除染剤を負電荷に帯電させる工程と、
    塗布した前記放射性物質除染剤の乾燥を許容する雰囲気中に該放射性物質除染剤を曝露する工程と、
    前記第1電極、前記第2電極、前記放射性物質除染剤、および、前記建造物のうち、少なくともいずれか1を流れる電流値を測定する工程と、
    測定した前記電流値が、前記放射性物質除染剤が乾燥したことを示す予め定められた第2の閾値以下になると、前記第1電極および前記第2電極への通電を停止する工程と、
    乾燥した前記放射性物質除染剤を剥離する工程と、
    を含むことを特徴とする放射性物質除染方法。
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