JP5961423B2 - 高芳香族炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

高芳香族炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族炭化水素を多く含有する特定の炭化水素油の水素化処理方法に関するものである。
芳香族分を80容量%以上含有するような高芳香族炭化水素油として、例えば、エチレン製造装置等の、ナフサ留分等を熱分解してエチレン、プロピレン等の化学品を製造するスチームクラッカーのボトム油(塔底油ともいう)であるHeavy Aromatic Residue油(以下、HAR油という)が知られている。しかしながら、HAR油のような高芳香族炭化水素油は臭気が強く、安定性が悪いため、従来はボイラー等で燃焼させる以外に使用方法がなかった。特に、所内にボイラー設備のない製油所においては、HAR油の処理ができず、エチレン製造装置の稼動に大きな制約を受けていた。
なお、HAR油の利用方法としては、エチレンヘビーエンドを固体酸触媒の存在下、水素雰囲気下で処理し、炭素繊維の原料となる500℃までの軽沸留分を除いた改質ピッチを得ることが知られているが(特許文献1、2)、さらなる利用方法が求められている。
特公平4−30436号公報 特公平4−30437号公報
そこで、高芳香族炭化水素油の臭気をなくし、かつ安定性を改善できれば、エチレン製造装置等の稼動率向上に貢献できるだけでなく、軽油基材や重油基材に活用する道も開け、燃料の製造コスト低減にも貢献できる。また、高芳香族炭化水素油は、単独で処理しても、処理条件をかなりシビアにする必要があるので、経済性の観点ではできるだけマイルドな条件で処理したいという課題があり、さらには、他の炭化水素油と混合処理する場合は、混合先の他の炭化水素油によっては、スラッジ等の析出物が生成し易いことがあるので、特定の性状を持つ高芳香族炭化水素油と、特定の性状を持つ炭化水素油との最適な組合せを見出す必要がある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、HAR油に代表されるような高芳香族炭化水素油を水素化処理し、臭気がなく、安定性に優れる水素化処理油を生成させることが可能な水素化処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定の高芳香族炭化水素油を特定の炭化水素油基材と特定の混合比で混合した後、水素化処理することにより、臭気を改善し、かつ安定性に優れる水素化処理油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の高芳香族炭化水素油の水素化処理方法は、次のとおりのものである。
15℃における密度が0.98〜1.2g/cm3、90容量%留出温度が500〜750℃、硫黄分が0.02〜8質量%、芳香族分が80〜100容量%である高芳香族炭化水素油を2〜50容量%と、
15℃における密度が0.9〜0.99g/cm3、硫黄分が3〜5質量%、芳香族分が60〜78容量%である炭化水素油基材を50〜98容量%混合する混合工程と、
前記混合工程で得た原料炭化水素油を、水素化処理する水素化処理工程と
を含み、
前記高芳香族炭化水素油が、スチームクラッカーのボトム油であることを特徴とする、高芳香族炭化水素油の水素化処理方法。
本発明によれば、高芳香族炭化水素油を含む原料炭化水素油を水素化処理して、臭気を改善し、かつ安定性に優れる水素化処理油が得られる。さらには、本発明の水素化処理方法は、水素化処理に供する触媒の寿命や運転コストが良好で、経済的に有利であるという格別な効果を奏する。
以下、本発明の高芳香族炭化水素油の水素化処理方法の実施形態について、詳細に説明する。本発明の高芳香族炭化水素油の水素化処理方法は、(1)混合工程で、特定の高芳香族炭化水素油と特定の炭化水素油基材を特定の混合比で混合し、(2)水素化処理工程で、得られた原料混合油に水素化処理を行い、水素化処理油を得る。
[高芳香族炭化水素油]
本発明の水素化処理方法に用いる高芳香族炭化水素油は、15℃における密度が0.98〜1.2g/cm3、好ましくは1.0〜1.1g/cm3である。高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材との相溶性を良好にするために、高芳香族炭化水素油の15℃における密度は0.98g/cm3以上であり、また、水素化処理の経済性を良好にするために、高芳香族炭化水素油の15℃における密度は1.2g/cm3以下である。
本発明の水素化処理方法に用いる高芳香族炭化水素油は、90容量%留出温度が500〜750℃、好ましくは500〜540℃である。水素化処理油中の軽油留分の得率を高くするために、高芳香族炭化水素油の90容量%留出温度は500℃以上である。また、高沸点留分が多過ぎると、水素化処理の運転条件を厳しくする必要があるので、水素化処理の経済性を良好にするために、高芳香族炭化水素油の90容量%留出温度は750℃以下である。
前記高芳香族炭化水素油は、硫黄分が0.02〜8質量%、好ましくは0.03〜1質量%である。水素化処理触媒の寿命を良好にするために、また、水素化処理の経済性を良好にするために、高芳香族炭化水素油の硫黄分は8質量%以下である。また、高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材との相溶性を良好にするために、高芳香族炭化水素油の硫黄分は0.02質量%以上である。
前記高芳香族炭化水素油の窒素分は、窒素分により水素化処理触媒が被毒され触媒寿命が短くなるので、0.5質量ppm以下が好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。
前記高芳香族炭化水素油は、芳香族分が80〜100容量%、好ましくは86〜90容量%である。なお、本願が課題とする、臭気が強く安定性が悪い炭化水素油の芳香族分は、80容量%以上である。また、前記高芳香族炭化水素油は、炭素分/水素分(C/H)の質量比が8〜15であることが好ましく、12〜13であることが更に好ましい。
前記高芳香族炭化水素油は、炭化水素油基材との相溶性を良好にするために、50℃における動粘度が20〜1300mm2/sであることが好ましく、20〜30mm2/sであることが更に好ましい。また、前記高芳香族炭化水素油は、塩基性窒素分が0.1質量%以下であることが好ましく、0.0001以下であることが更に好ましい。本願発明のすべての工程で、貯蔵安定性を良好にする観点で、塩基性窒素分は0.1質量%以下が好ましい。
なお、前記高芳香族炭化水素油としては、HAR油を用いることが好ましい。ここで、HAR油とは、Heavy Aromatic Residue油のことであり、ナフサ留分等の原料を熱分解してエチレン、プロピレン等の化学品を製造するエチレン製造装置のボトム油(塔底油ともいう)である。ここで、エチレン製造装置としては、スチームクラッカー(スチームクラッキング装置ともいう)、エチレンクラッカー(エチレンクラッキング装置ともいう)等を挙げることができ、前記高芳香族炭化水素油としては、特には、スチームクラッカーのボトム油が好ましい。また、エチレン製造装置の原料に関しては特に限定されないが、通常80%以上が石油由来のナフサ留分が使用される。ナフサ留分以外のものとしては、軽油、分解ガソリン、分解軽油、脱硫軽油などを使用することができる。
ナフサ留分等の原料を熱分解してエチレン、プロピレン等の化学品を製造するエチレン製造装置の運転条件は、一般的な条件を用いることができ特に限定されるものではない。例えば、原料を希釈水蒸気とともに、熱分解反応温度770〜850℃で、滞留時間(反応時間)0.1〜0.5秒で運転する方法が挙げられる。熱分解温度が770℃を下回ると分解が進まず、目的生産物が得られないことから、熱分解反応温度の下限は、775℃以上がより好ましく、780℃以上がさらに好ましい。一方、熱分解温度が850℃を超えると、ガス生成量が急増するため、スチームクラッカーの運転に支障が出るため、熱分解反応温度の上限は、845℃以下がより好ましく、840℃以下がさらに好ましい。なお、スチーム/原料(質量比)は0.2〜0.9が望ましく、より望ましくは0.25〜0.8、さらに望ましくは0.3〜0.7である。また、原料の滞留時間(反応時間)は、より望ましくは0.15〜0.45秒であり、さらに望ましくは0.2〜0.4秒である。
前記高芳香族炭化水素油は、臭気、貯蔵安定性、酸化安定性が悪く、また、他の炭化水素油と混合した場合に、混合先の他の炭化水素油によっては、スラッジ等の析出物が生成し易い炭化水素油である。
[炭化水素油基材]
本発明の水素化処理方法に用いる炭化水素油基材は、15℃における密度が0.9〜0.99g/cm3、好ましくは0.96〜0.99g/cm3である。炭化水素油基材の密度が軽質過ぎない方が高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材との相溶性が良好なので、炭化水素油基材の15℃における密度は0.9g/cm3以上であり、また、水素化処理の経済性を良好にするために、炭化水素油基材の15℃における密度は0.99g/cm3以下である。
本発明の水素化処理方法に用いる炭化水素油基材は、90容量%留出温度が好ましくは710〜750℃、更に好ましくは720〜740℃である。水素化処理油中の軽油留分の得率を高くするために、炭化水素油基材の90容量%留出温度は710℃以上であることが好ましく、また、水素化処理の経済性を良好にするために、炭化水素油基材の90容量%留出温度は750℃以下であることが好ましい。
前記炭化水素油基材は、硫黄分が3〜5質量%、好ましくは4〜5質量%であり、窒素分が好ましくは0.1〜0.3質量ppm、更に好ましくは0.1〜0.2質量ppmである。使用する炭化水素油基材の硫黄分が5質量%より高いと、水素化処理触媒が被毒されて触媒寿命が短くなり、経済的に不利である。また、窒素分も水素化処理反応の阻害要因になるので、水素化処理の運転条件を厳しくせず経済的に有利にするために、窒素分は0.3質量ppm以下であることが好ましい。
前記炭化水素油基材は、芳香族分が60〜78容量%、好ましくは65〜75容量%である。高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材との相溶性を良好にするために、炭化水素油基材の芳香族分は60容量%以上であり、また、水素化処理の経済性を良好にするために、炭化水素油基材の芳香族分は78容量%以下である。
前記炭化水素油基材は、50℃における動粘度が好ましくは550〜750mm2/s、更に好ましくは600〜700mm2/sである。前記高芳香族炭化水素油との相溶性が良好であることが好ましく、本発明の混合工程及び水素化処理工程においてスラッジ等の分離成分が析出することによる配管や反応装置内の触媒層の閉塞トラブル等を避けるために、前記炭化水素油基材は、50℃における動粘度が550〜750mm2/sの範囲であることが好ましい。同じ理由で、炭化水素油基材の残留炭素分は8〜14質量%が好ましく、更に好ましくは9〜13質量%であり、また、炭化水素油基材のC/H質量比は7〜8が好ましく、更に好ましくは7〜7.5である。
なお、本発明に用いる炭化水素油基材としては、原油の常圧蒸留残渣油や、これに近い性状の基材が好ましく用いられ、特定の性状を持つ常圧蒸留残渣油が特に好ましい。本発明に用いる炭化水素油基材は、高芳香族炭化水素油との相溶性がなるべく良好で、かつ、製油所内で安価、容易に用いられる基材であることが好ましい。前記の相溶性が悪過ぎると、本発明の混合工程で十分に混合できない恐れや、混合工程で得た原料炭化水素油の貯蔵安定性が悪化して、スラッジ等の析出物を生成し、タンク内や配管内、更には水素化処理装置の反応器内の触媒充填層等で、閉塞を招く恐れがあるからである。
[混合工程]
本発明の水素化処理方法は、上述した高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材の混合工程を含む。該混合工程における高芳香族炭化水素油の混合割合は2〜50容量%、好ましくは2〜10容量%、更に好ましくは2〜4容量%である。また、炭化水素油基材の混合割合は50〜98容量%、好ましくは90〜98容量%、更に好ましくは96〜98容量%である。水素化処理費用の経済性の観点で、高芳香族炭化水素油は50容量%以下であり、好ましくは10容量%以下、更に好ましくは4容量%以下である。一方、本発明においては、高芳香族炭化水素油の処理量をなるべく多くしたいので、高芳香族炭化水素油の混合割合は2容量%以上である。
前記混合工程の混合方法は特に限定されないが、水素化処理に供する反応器の入り口に連結された配管内で高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材を混合することが好ましい。通常のタンク内で混合すると、得られた原料炭化水素油は、高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材の相溶性の問題から、タンク内で長期間(数日〜数ヶ月)滞留するうちにスラッジを生成することがあるが、水素化処理に供する反応器入り口の配管内で混合することで、原料炭化水素油が滞留する箇所を無くし、上記のスラッジの生成に起因するトラブルを回避することができる。
[原料炭化水素油]
上記混合工程で得られる原料炭化水素油は、水素化処理工程における処理条件をなるべくマイルドにするために、15℃における密度が好ましくは0.98〜1.0g/cm3、更に好ましくは0.985〜0.995g/cm3であり、90容量%留出温度は好ましくは600〜700℃である。
前記原料炭化水素油は、硫黄分が好ましくは3.5〜4.5質量%、更に好ましくは4.0〜4.3質量%であり、窒素分が好ましくは0.15〜0.25質量ppm、更に好ましくは0.18〜0.23質量ppmである。原料炭化水素油の硫黄分が4.5質量%より高いと、水素化処理触媒が被毒されて触媒寿命が短くなり経済的に不利である。また、窒素分も水素化処理反応の阻害要因になるので、水素化処理の運転条件を厳しくせず経済的に有利にするために、窒素分は0.25質量ppm以下が好ましい。
[水素化処理工程]
前記原料炭化水素油の水素化処理における反応器入口における水素分圧は、15〜20MPaであることが好ましく、下限としては16MPa以上が更に好ましく、17MPa以上が特に好ましく、上限としては19MPa以下が更に好ましく、18MPa以下が特に好ましい。水素分圧が15MPa未満の場合は、触媒上のコーク生成が激しくなり、触媒寿命が短くなる。一方、水素分圧が20MPaを超える場合は、反応器や周辺機器等の建設費が上昇し、経済性が失われる懸念がある。
前記原料炭化水素油の水素化処理におけるLHSVは、0.15〜2h-1であることが好ましく、下限としては0.2h-1以上が更に好ましく、0.4h-1以上が特に好ましく、上限としては1.9h-1以下が更に好ましく、1.8h-1以下が特に好ましい。LHSVが0.15h-1未満の場合には、反応器の建設費が過大となり、経済性が失われる懸念がある。一方、LHSVが2h-1を超える場合には、原料炭化水素油の水素化処理が十分に達成されず、安定性が悪化する懸念がある。
前記原料炭化水素油の水素化処理における水素化反応温度は320℃〜430℃であることが好ましく、下限としては330℃以上が更に好ましく、340℃以上が特に好ましく、上限としては400℃以下が更に好ましく、380℃以下が特に好ましい。反応温度が320℃を下回る場合には、原料炭化水素油の水素化処理が十分に達成されない傾向にある。一方、反応温度が430℃を上回る場合には、副生成物であるガス分の発生が増加するため、目的とする生成油の収率が低下することとなり望ましくない。
前記原料炭化水素油の水素化処理における水素/油比は、100〜1500Nm3/kLであることが好ましく、下限としては300Nm3/kL以上が更に好ましく、500Nm3/kL以上が特に好ましく、上限としては1300Nm3/kL以下が更に好ましく、1200Nm3/kL以下が特に好ましい。水素/油比が100Nm3/kL未満の場合には、反応器出口での触媒上のコーク生成が進行し、触媒寿命が短くなる傾向にある。一方、水素/油比が1500Nm3/kLを超える場合には、リサイクルコンプレッサーの建設費が過大になり、経済性が失われる懸念がある。
前記原料炭化水素油の水素化処理における反応形式は特に限定されないが、通常は、固定床、移動床等の種々のプロセスから選ぶことができるが、固定床が好ましい。また、水素化処理に使用する反応器は、特に限定されるものではないが、塔状であることが好ましく、また、原料炭化水素油を導入するための入口と、生成した水素化処理油を排出するための出口を具えることが好ましい。そして、該反応器の入り口には、配管が連結されており、該配管内で前記高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材を混合できることが好ましい。
前記原料炭化水素油の水素化処理においては、水素化処理用触媒を使用することが好ましく、該水素化処理用触媒は、少なくとも1種の周期表第6族金属及び少なくとも1種の周期表第8〜10族金属を含有することが好ましい。ここで、周期表第6族金属としてはモリブデン、タングステン、クロムが好ましく、モリブデン、タングステンが特に好ましい。また、周期表第8〜10族金属としては、鉄、コバルト、ニッケルが好ましく、コバルト、ニッケルがより好ましい。これらの金属はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的な金属の組み合わせ例としては、モリブデン−コバルト、モリブデン−ニッケル、タングステン−ニッケル、モリブデン−コバルト−ニッケル、タングステン−コバルト−ニッケルなどが好ましく用いられる。なお、ここで周期表とは、国際純正・応用化学連合(IUPAC)により規定された長周期型の周期表をいう。
前記水素化処理用触媒は、上記金属がアルミニウム酸化物を含む無機担体に担持されたものであることが好ましい。前記アルミニウム酸化物を含む無機担体の好ましい例としては、アルミナ、アルミナ−シリカ、アルミナ−ボリア、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−マグネシア、アルミナ−シリカ−ジルコニア、アルミナ−シリカ−チタニア、あるいは各種ゼオライト、セビオライト、モンモリロナイト等の各種粘土鉱物などの多孔性無機化合物をアルミナに添加した担体などを挙げることができ、中でもアルミナが特に好ましい。
前記水素化処理用触媒は、アルミニウム酸化物を含む無機担体に、全触媒質量を基準として、周期表第6族金属から選択される少なくとも1種の金属を10〜30質量%と、周期表第8〜10族金属から選択される少なくとも1種の金属を1〜7質量%とを担持させて得られる触媒であることが好ましい。周期表第6族金属及び周期表第8〜10族金属それぞれの担持量が、それぞれの下限未満である場合には、触媒が充分な水素化処理活性を発揮しない傾向にあり、一方、それぞれの上限を超える場合には、触媒コストが上昇する上に、担持金属の凝集等が起こり易く、触媒が充分な水素化処理活性を発揮しない傾向にある。
前記金属を前記無機担体に担持する際に用いる前記金属種の前駆体は限定されないが、該金属の無機塩、有機金属化合物等が使用され、水溶性の無機塩が好ましく使用される。担持工程においては、これら金属前駆体の溶液、好ましくは水溶液を用いて担持を行うことが好ましい。担持操作としては、例えば、浸漬法、含浸法、共沈法等の公知の方法が好ましく採用される。
前記金属前駆体が担持された担体は、乾燥後、好ましくは酸素の存在下に焼成され、金属種は、一旦酸化物とされることが好ましい。さらにHAR油等を含む原料炭化水素油の水素化処理を行う前に、予備硫化と呼ばれる硫化処理により、前記金属種を硫化物とすることが好ましく行われる。
前記予備硫化の条件は特に限定されないが、留出石油留分または原料炭化水素油(以下、予備硫化原料油という)に硫黄化合物を添加し、これを温度200〜380℃、LHSVが1〜2h-1、圧力は水素化処理運転時と同一、処理時間48時間以上の条件にて、前記水素化処理用触媒に連続的に接触せしめることが好ましい。前記予備硫化原料油に添加する硫黄化合物としては限定されないが、ジメチルジスルフィド(DMDS)、サルファゾール、硫化水素等が好ましく、これらを予備硫化原料油に対して予備硫化原料油の質量基準で1質量%程度添加することが好ましい。なお、水素化処理の前処理として、適宜、原料炭化水素油を常法により脱メタル処理をしてもよい。
[水素化処理油]
本発明の水素化処理方法により得られる水素化処理油は、臭気の改善、及び、貯蔵安定性や酸化安定性を良好にするために、15℃における密度が好ましくは0.86〜0.94g/cm3、更に好ましくは0.88〜0.92g/cm3であり、90容量%留出温度が好ましくは600〜700℃である。
また、前記水素化処理油は、臭気の改善、及び、貯蔵安定性や酸化安定性を良好にするために、硫黄分が好ましくは0.05〜0.5質量%、更に好ましくは0.1〜0.4質量%であり、窒素分が好ましくは0.005〜0.1質量ppm、更に好ましくは0.03〜0.1質量ppmである。また、水素化処理条件をなるべくマイルドにして、例えば水素化処理時に消費される水素量をなるべく低くする等、経済性を良好にする観点から、水素化処理油の硫黄分は0.05質量%以上であることが好ましく、水素化処理油の窒素分は0.005質量ppm以上であることが好ましい。
更に、前記水素化処理油は、臭気の改善、及び、貯蔵安定性や酸化安定性を良好にするために、芳香族分が好ましくは40〜65容量%、更に好ましくは40〜60容量%であり、C/H質量比が好ましくは6〜8、更に好ましくは6.4〜7.4である。また、水素化処理条件をなるべくマイルドにして、例えば水素化処理時に消費される水素量をなるべく低くする等、経済性を良好にする観点から、水素化処理油の芳香族分は40容量%以上であることが好ましく、水素化処理油のC/H質量比は6以上であることが好ましい。さらに、臭気改善の観点で、2環芳香族分は15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましい。一方、2環芳香族分が少な過ぎると貯蔵安定性が悪化する可能性があるので、2環芳香族分は2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、蒸留性状、密度、硫黄分、窒素分、動粘度、水銀濃度は、以下の方法に従って行った。
・蒸留性状:JIS K 2254に規定する「石油製品―蒸留試験方法」で測定される。
・密度:15℃における密度は、JIS K 2249に規定する「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表(抜粋)」の「振動式密度試験方法」に準拠して測定されるものである。
・硫黄分:JIS K 2541―1992に規定する「原油及び石油製品―硫黄分試験方法」の「放射線式励起法」に準拠して測定される。
・窒素分:JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して測定される。
・動粘度:50℃における動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られる。
・芳香族分:芳香族分とは全芳香族分のことである。全芳香族分、2環芳香族分は、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ」で測定される。
[実施例1]
高芳香族炭化水素油としては、スチームクラッカーのボトム油である高芳香族炭化水素油1を使用した。また、炭化水素油基材としては、原油の常圧蒸留残渣油である炭化水素油基材1を使用した。使用した高芳香族炭化水素油1と炭化水素油基材1の性状を表1に示す。また、両者の混合比率と得られた原料炭化水素油1の性状を表2に示す。
(水素化処理反応)
固定床連続流通式反応装置に市販のNiMo系アルミナ担体の水素化脱硫触媒を充填し、まず、触媒の予備硫化を行った。すなわち、15℃における密度851.6kg/m3、蒸留試験における初留点231℃、終留点376℃、予備硫化原料油の質量を基準とした硫黄原子としての硫黄分1.18質量%、色相L1.5である直留系軽油相当の留分(予備硫化原料油)に、該留分の質量基準で1質量%のDMDS(ジメチルジスルフィド)を添加し、これを48時間前記触媒に対して連続的に供給した。
その後、表2に示す原料炭化水素油1を供給し、水素化処理をした。原料炭化水素油は、高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材を記載のとおりの比率で混合して得た。本発明の混合工程は、水素化処理に供する反応器入り口の配管内で混合することが好ましいので、反応器に原料炭化水素油を供給する直前に、高芳香族炭化水素油と炭化水素油基材を混合し、該混合後24時間以内に消費することで、水素化処理に供する反応器入り口の配管内で混合することを模擬した。
水素化処理条件は、反応温度380℃、水素分圧17MPa、LHSV0.4h-1、水素/油比700Nm3/kLとした。なお、上記原料炭化水素油は、水素化処理の直前で市販触媒を用いメタル分(Ni+V)を30質量ppm以下まで脱メタル処理をして用いた。得られた水素化処理油の性状を表3に示す。なお、各々の性状の分析は上述の方法による。
このときの触媒劣化速度および水素化処理油の評価結果(臭気、誘導期間)を表3に示す。
触媒劣化速度に関しては、水素化処理条件を同一処理条件に補正したときの反応温度(補正反応温度)の1日あたりの変化量で規定したものであり、0.15℃/日以下で劣化速度が良好とした。
水素化処理油の臭気に関しては、任意に選ばれた10人において、臭いと感じた人数で評価を行い、臭いと感じた人数が8人以上の場合は臭気ありと、2人以下の場合は臭気なしと判断することとした。
水素化処理油の安定性の指標に関しては、潜在全セジメント(ISO 010307-1準拠)のセジメント量(スラッジ量)を水素化処理油の貯蔵安定性として規定した。具体的には水素化処理油を空気雰囲気下100℃で24時間放置した後、試料10gをろ過温度100℃でろ過したセジメント量(スラッジ量)で規定され、0.05質量%以下で貯蔵安定性が良好とした。
参考例2
高芳香族炭化水素油としては、溶剤抽出装置のエキストラクトである高芳香族炭化水素油2を使用した。高芳香族炭化水素油2と炭化水素油基材1との混合比率と得られた原料炭化水素油2の性状を表2に示す。その他は実施例1と同様にして水素化処理した。このときの触媒劣化速度および水素化処理油の評価結果(臭気、誘導期間)を表3に示す。
参考例3
高芳香族炭化水素油としては、溶剤抽出装置のエキストラクト25容量%、減圧蒸留装置の残渣油60容量%及び流動接触分解装置の分解軽油15容量%を混合して得た高芳香族炭化水素油3を使用した。高芳香族炭化水素油3と炭化水素油基材1との混合比率と得られた原料炭化水素油3の性状を表2に示す。その他は実施例1と同様にして水素化処理した。このときの触媒劣化速度および水素化処理油の評価結果(臭気、誘導期間)を表3に示す。
Figure 0005961423
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実施例1については、本発明の混合工程及び水素化処理工程において、スラッジ等の析出物によるトラブルは発生しなかった。また、何れも、触媒劣化速度は0.1℃/日以下であった。以上の結果から、本発明によれば、高芳香族炭化水素油を含む原料炭化水素油を水素化処理して、臭気を改善しつつ、安定性に優れる水素化処理油が得られることが分かる。さらに、本発明の方法は、水素化処理に供する触媒の寿命や運転コストが良好で経済的に有利でもある。

Claims (1)

  1. 15℃における密度が0.98〜1.2g/cm3、90容量%留出温度が500〜750℃、硫黄分が0.02〜8質量%、芳香族分が80〜100容量%である高芳香族炭化水素油を2〜50容量%と、
    15℃における密度が0.9〜0.99g/cm3、硫黄分が3〜5質量%、芳香族分が60〜78容量%である炭化水素油基材を50〜98容量%混合する混合工程と、
    前記混合工程で得た原料炭化水素油を、水素化処理する水素化処理工程と
    を含み、
    前記高芳香族炭化水素油が、スチームクラッカーのボトム油であることを特徴とする、高芳香族炭化水素油の水素化処理方法。
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