JP5961340B2 - 風味改良剤 - Google Patents
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Description
(1)ペプチドと植物性油脂との加熱反応物を含有する、風味改良剤。
(2)動物性油脂の加熱調理風味の付与剤である、(1)に記載の風味改良剤。
(3)ペプチドが、ホエー蛋白質、カゼイン蛋白質、卵白蛋白質、筋原繊維蛋白質、血漿蛋白質、細胞外基質蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質および酵母菌体由来蛋白質からなる群から選択される少なくとも一つの蛋白質に由来するペプチドである、(1)または(2)に記載の風味改良剤。
(4)植物性油脂が、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸を含む植物性油脂である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の風味改良剤。
(5)(1)〜(4)のいずれか一つに記載の風味改良剤を添加してなる、飲食品。
(6)ペプチドと植物性油脂との混合物を加熱することを含んでなる、風味改良剤の製造方法。
(7)(1)〜(4)のいずれか一つに記載の風味改良剤を飲食品に添加することを含んでなる、飲食品の風味改良方法。
(8)(1)〜(4)のいずれか一つに記載の風味改良剤を飲食品に添加することを含んでなる、飲食品の製造方法。
本発明に用いられるペプチドは、上述のような蛋白質を、酵素または酸・アルカリによる加水分解処理に供することによって好適に得ることができる。
加水分解処理により得られた反応液はそのまま次の処理に供することもできるが、加熱処理、酸処理等によって酵素を失活させた後に次の処理に供することもできる。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機塩、クエン酸等の有機塩が挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、有機塩基等が挙げられる。
酸・アルカリによる加水分解の条件は、ペプチドが得られる条件であれば特に限定されず、適宜調節してよい。
また、本発明に用いられるペプチドは、アミノ酸等からペプチド合成により上記分子量となるように調製したペプチドを用いてもよい。
かかる飲食品としては、素材の観点からは、デミグラスソース、ミートソース、ベシャメルソース、各種フォン、ハンバーグ、餃子、肉まん、シュウマイ、とんかつ、フライドチキン、エビフライ等の油脂を含有する動物性素材を用いる飲食品、畜肉系フライ、魚介系フライ、スナック、フライドポテト等や、チャーハン、焼きそば、各種バターソテー等の動物性油脂を加熱媒体として用いる飲食品等が挙げられる。
(1)風味改良用ペーストA〜Iの調製
グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、セリン、トレオニン、プロリン、タウリン、グリシン、バリン、メチオニンの各アミノ酸およびアミノ酸の酸化生成物がそれぞれ等モル量となるようにアミノ酸混合物を調製した。
また、上記アミノ酸混合物を用いない以外はペーストAの調製と同様の操作を行って、ペーストBを得た。
また、ひまわり油を用いない以外はペーストAの調製と同様の操作を行って、ペーストCを得た。
また、3gのひまわり油、および7gのゼラチン(豚由来)の酸加水分解物(キリン協和フーズ(株)製)を水3mlと混合して溶液を調製し、該溶液を100℃で1時間加熱して、ペーストDを得た。
なお、上記ゼラチンの酸加水分解物中の総アミノ酸量および遊離アミノ酸量をアミノ酸アナライザー(日本電子(株)製)を用い、公知手法に準じて測定したところ、それぞれ456mgと451mgであった(この結果から、ペプチド態アミノ酸率:1.1重量%、分解率98.9重量%と算出した)。
また、ひまわり油を用いない以外はペーストDの調製と同様の操作を行って、ペーストEを得た。
また、ペーストDの調製においてゼラチン酸加水分解物の代わりに、ゼラチン(豚由来)の酵素分解物(キリン協和フーズ(株)製:酵素としてエンドペプチダーゼを用いた分解物)を用いる以外は同様の操作を行って、ペーストFを得た。
なお、上記ゼラチン酵素分解物1g中の総アミノ酸量、遊離アミノ酸量を、上記方法に準じて算出したところ、それぞれ534mgと153mgであった(この結果から、ペプチド態アミノ酸率:71.5重量%、分解率28.5重量%と算出した)。
また、ひまわり油を用いない以外はペーストFの調製と同様の操作を行って、ペーストGを得た。
また、3gのひまわり油および7gのコラーゲン(魚由来、タンパク質含量90〜95%:協和発酵バイオ(株)製)を水3mlと混合して溶液を調製し、該溶液を100℃で1時間加熱して、ペーストHを得た。
また、ひまわり油を用いない以外はペーストHの調製と同様の操作を行って、ペーストIを得た。
塩化ナトリウム、上白糖、オニオンエキスパウダー、セロリパウダー、グルタミン酸ナトリウム、ビーフエキスパウダーおよび乳糖を含有するコンソメスープの素15gに熱水を加えて全量1Lとしてコンソメスープを調製した。
該コンソメスープ 1Lに上記(1)で調製したペーストA〜Iをそれぞれ 3gずつ添加し、溶解させて、コンソメスープA〜Iを調製した。
+++:かなり強く感じられる(嗜好性:かなり高い)
++ :強く感じられる(嗜好性:高い)
+ :やや強く感じられる(嗜好性:やや高い)
± :差異を感じられない(嗜好性:コントロールと変わらない)
(1)風味改良用ペーストJ〜Nの調製
3gのサフラワー油および7gの大豆蛋白質の加水分解物(キリン協和フーズ(株)製)を水3mlと混合し、該溶液を100℃で1時間加熱して、ペーストJを得た。
なお、該大豆タンパク質の酸加水分解物1g中の総アミノ酸量、遊離アミノ酸量を実施例1記載の方法に準じて算出したところ、それぞれ311mgと227mgであった(この結果から、ペプチド態アミノ酸率:26.9重量%、分解率:73.1重量%と算出した)。
また、サフラワー油を用いない以外はペーストJの調製と同様の操作を行って、ペーストKを得た。
また、大豆タンパク質の酸加水分解物を用いない以外はペーストJの調製と同様の操作を行って、ペーストLを得た。
3gのサフラワー油および7gの大豆タンパク質の酵素分解物(キリン協和フーズ(株)製:酵素としてエンドペプチダーゼを用いた分解物)を水3mlと混合して溶液を調製し、該溶液を100℃で1時間加熱して、ペーストMを得た。
なお、上記大豆タンパク質酵素分解物1g中の総アミノ酸量、遊離アミノ酸量を、実施例1に記載の方法に準じて算出したところ、それぞれ364mgと97mgであった(この結果から、ペプチド態アミノ酸率:73.4重量%、分解率:26.6重量%と算出した)。
また、サフラワー油を用いない以外はペーストMの調製と同様の操作を行って、ペーストNを得た。
実施例1で調製したコンソメスープにペーストJ〜Nをそれぞれ3g添加して溶解させて、コンソメスープJ〜Nを調製した。
++ :強さを感じられる(嗜好性:高い)
+ :強さをやや感じられる(嗜好性:やや高い)
± :差異を感じられない(嗜好性:コントロールと変わらない)
(1)風味改良用ペーストO〜Xの調製
実施例1で調製したアミノ酸混合物5gとステアリン酸1gを水3gとを混合し、該溶液を120℃で3時間加熱して、ペーストOを得た。
また、アミノ酸混合物を用いない以外はペーストOの調製と同様の操作を行って、ペーストPを得た
また、実施例1で調製したアミノ酸混合物5gとオレイン酸1gを水3gとを混合して溶液を調製し、該溶液を120℃で3時間加熱して、ペーストQを得た。
また、アミノ酸混合物を用いない以外はペーストQの調製と同様の操作を行って、ペーストRを得た
また、実施例1で調製したアミノ酸混合物5gとリノール酸1gを水3gとを混合して溶液を調製し、該溶液を120℃で3時間加熱して、ペーストSを得た。
また、アミノ酸混合物を用いない以外はペーストSの調製と同様の操作を行って、ペーストTを得た
また、実施例1で調製したアミノ酸混合物5gとリノレン酸1gを水3gとを混合して溶液を調製し、該溶液を120℃で3時間加熱して、ペーストUを得た。
また、アミノ酸混合物を用いない以外はペーストUの調製と同様の操作を行って、ペーストVを得た。
また、上記アミノ酸混合物の代わりに、実施例1で使用したゼラチン酵素分解物5gおよび、ステアリン酸1g、水3gと混合して溶液を調製し、該溶液を100℃で1時間加熱して、ペーストWを得た。
ステアリン酸の代わりに、オレイン酸を用いる以外はペーストWと同様の操作を行って、オレイン酸とゼラチン酵素分解物の加熱反応物のペーストXを得た。
塩化ナトリウム、グラニュー糖、オニオンエキスパウダー、ガーリックパウダー、グルタミン酸ナトリウム、チキンエキスパウダー、チキンオイル、核酸、ホワイトペッパーおよび乳糖を含有するチキンコンソメスープの素15gに熱水を加えて全量1Lとして、チキンコンソメスープを調製した。
ペーストO〜Xを、上記チキンコンソメスープ1Lにそれぞれ3gずつ添加して溶解させて得られたチキンコンソメスープO〜Xにおいて、動物性油脂の関与する加熱調理感、特に、鶏脂由来の豊かな香り立ちと広がりのある風味の強さについて、各ペーストを添加していないチキンコンソメスープをコントロールとし、以下に示す基準に従って、5名のパネラーによって官能評価を行った。
++ :強さを感じられる(嗜好性:高い)
+ :強さをやや感じられる(嗜好性:やや高い)
± :差異を感じられない(嗜好性:コントロールと変わらない)
(1)風味改良剤の調製
実施例1で使用したゼラチン酵素分解物6gおよび大豆油6gを混合して溶液を調製し、該溶液を130℃で1時間加熱し、ゼラチン酵素分解物と大豆油の加熱反応物を得た。
牛豚合挽き肉、食塩、ソテーオニオン、胡椒、パン粉、卵およびラード等を用いて、常法により、ハンバーグ種Aを作製した。
ラードを用いない以外はハンバーグ種Aと同様の方法でハンバーグ種Bを得た。
上記(1)のゼラチン酵素分解物と大豆油の加熱反応物をハンバーグ種B100gに1g添加して再度練りこみを行い、ハンバーグ種Cを得た。
上記ハンバーグ種A〜Cをそれぞれ焼成し、得られたハンバーグA〜Cの動物性油脂の関与する加熱調理感、特に、牛、豚脂由来の余韻のある濃厚な甘い香り、豊かな香り立ち、ジューシー感、の風味の強さについて、以下に示す基準に従って、3名のパネラーによって官能評価を行った。
++ :強く感じられる(嗜好性:高い)
+ :やや強く感じられる(嗜好性:やや高い)
± :強さは感じられない(嗜好性:低い)
(1)風味改良剤の調製
実施例1で使用したゼラチン酵素分解物7gおよび菜種油3gを混合して溶液を調製し、該溶液を80℃で1時間加熱し、ゼラチン酵素分解物と菜種油の加熱反応物を得た。
豚挽き肉、食塩、砂糖、ソテーオニオン、ごま油、清湯スープ、濃口醤油、生姜、にんにく、胡椒、パン粉およびラード等を用いて、常法により、シュウマイ餡Aを作製した。
ラードを用いない以外はシュウマイ餡Aと同様の方法でシュウマイ餡Bを得た。
上記(1)のゼラチン酵素分解物と菜種油との加熱反応物を、シュウマイ餡Bの挽肉100gに1g添加して再度練りこみを行い、シュウマイ餡Cを得た。
上記シュウマイ餡A〜Cをそれぞれ蒸し上げ、得られたシュウマイA〜Cの動物性油脂由来の加熱調理感、特に、豚脂由来の、余韻のある濃厚な香り、豊かな香り立ち、肉質感、甘い香り、ジューシー感、の風味の強さについて、以下に示す基準に従って、3名のパネラーによって官能評価を行った。
++ :強く感じられる
+ :やや強く感じられる(嗜好性:)
± :強さは感じられない(嗜好性:低い)
(1)風味改良剤の調製
実施例1で使用したゼラチン酵素分解物7gおよびコーン油3gを混合し、該溶液を100℃で1時間加熱し、ゼラチン酵素分解物とコーン油との加熱反応物を得た。
ウスターソース、食塩、砂糖、ソテーオニオン、MSG、カラメル、濃口醤油、オールスパイス、生姜、にんにく、胡椒、および水等を用いて、常法により、焼きそばソースAを作製した。
上記(1)の加熱反応物を、焼きそばソースA100gに1g添加して、焼きそばソースBを得た。
お湯で戻した市販の即席焼きそば麺と、上記焼きそばソースA、Bをそれぞれ混ぜ合わせ、焼きそばA、Bを得た。得られた焼きそばA、Bの動物性油脂の関与する加熱調理感、すなわち豚脂由来の、余韻のある濃厚な香り、豊かな香り立ち、炒め感の風味の強さについて、以下に示す基準に従って、4名のパネラーによって官能評価を行った。
++ :強さを感じられる(嗜好性:高い)
+ :強さをやや感じられる(嗜好性:やや高い)
± :強さは感じられない(嗜好性:低い)
(1)風味改良剤の調製
実施例1で使用したゼラチン酵素分解物6gおよびひまわり油6gを混合し、該溶液を130℃で1時間加熱し、ゼラチン酵素分解物とひまわり油の加熱反応物を得た。
バーベキューオイル、食塩、砂糖、MSG、ビーフパウダー、ガーリック粉末、オニオン粉末、唐辛子粉末、セロリシード、パプリカ粉末、クエン酸、およびデキストリン等を用いて、常法によりバーベキューシーズニングAを作製した。
上記(1)の加熱反応物を、バーベキューシーズニングA100gに1g添加して混合し、バーベキューシーズニングBを調製した。
細切りしたジャガイモに小麦粉をまぶし、市販サラダ油で約10分の揚げ工程を行い、フライドポテトを作製した。
上記フライドポテト100gに対し、上記バーベキューシーズニングA、Bをそれぞれ3g添加して混合し、フライドポテトA、Bを得た。得られたフライドポテトA、Bの動物性油脂の関与する加熱調理感、すなわち、動物性油脂由来の甘いフライ香、香り立ち、香りの濃厚感、香りの余韻の風味の強さについて、以下に示す基準に従って、6名のパネラーによって官能評価を行った。
++ :強く感じられる(嗜好性:高い)
+ :やや強く感じられる(嗜好性:やや高い)
± :強さは感じられない(嗜好性:低い)
Claims (2)
- ゼラチンまたは大豆蛋白質を酵素処理して得たペプチドと植物性油脂との加熱反応物(粉末状態での加熱反応物を除く)を飲食品に添加することを含んでなる、飲食品の動物性油脂の加熱調理風味の付与方法。
- 前記植物性油脂が、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸を含む植物性油脂である、請求項1に記載の方法。
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