JP2022538418A - ジペプチドの塩味増強剤としての使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのプロリン及びアラニンを含むジペプチドの使用、ジペプチドプロリン-アラニンを含む食用組成物、並びにそれを含む食用物品に関する。また、本発明は、食品及び飲料において、塩味を増強し、塩含有量を低減する方法に関する。【選択図】なし

Description

(関連出願の参照)
本出願は、2019年6月28日に出願された欧州特許出願第19382552.8号の利益(優先権)を主張する。
本発明は、飲食品産業の分野に属する。特に、本発明は、塩含有量の低減を可能にする、食品又は飲料における塩味増強剤としてのジペプチドの使用に関する。本発明はまた、そのようなジペプチドを含有する食用組成物及び食用物品に関する。
ナトリウムは、人体における正常な生理学的機能のために必須な栄養素であるが、現在、1日のナトリウム摂取量は、世界保健機関によって推奨されているナトリウム量2g/日を超えている。食塩(NaCl)として摂取される高いナトリウム消費は、高血圧、脳卒中、うっ血性心不全、腎疾患、骨粗鬆症及び腎結石などの心血管疾患に直接関連する。ナトリウム摂取を減らすことが推奨されているものの、食品の大幅なナトリウム低減は、製品が不味くなり苦味が増してしまうことが妨げとなっている。
摂取されるほとんどのナトリウムは、加工(調理済み、缶詰、冷凍、脱水、又は粉砕)食品に由来する。今日、消費者からは、美味しく安全であることに加えて、便利で手早く調理できる製品への高い需要がある。その結果、インスタント食品は、近年消費者からの人気がますます高まっている。
食品産業では、適切な塩代替物又は味増強剤を使用することによって減塩を達成することができる。工業レベルでは、最も広く使用されている塩代替物は塩化カリウム(KCl)であるが、高レベルで使用すると食品に苦味及び/又は金属味を付与することが示されている。さらに、カリウムの高摂取はまた、カリウム恒常性におけるその影響のために高カリウム血症をもたらし得るので、健康上有害である。塩味増強剤として、グルタミン酸(モノ)ナトリウムが広く使用されているが、その使用は病気、多動及び片頭痛を引き起こす可能性がある。
L-リジン、アルギニン、アルギニンとアスパラギン酸との混合物などのいくつかのアミノ酸は、塩味増強剤としても報告されているが、不都合な異風味を呈する(非特許文献1,非特許文献2)。例えばグリシンを含有するジペプチド(特許文献1)、グルタミン酸を含有するジペプチド(特許文献2及び特許文献3)、タンパク質材料の酵素分解物及び/又はアルギニンなどの塩基性アミノ酸と組み合わせたグルタミン酸を含有するジペプチド(特許文献4)、及びアルギニンを含有するジペプチド(非特許文献2,非特許文献3)などの非天然及び/又は天然のアミノ酸を含有するジペプチドもまた、塩味増強剤として開示されている。
いくつかのペプチドは、例えば甘味(特許文献5)又は苦味(特許文献6)を付与するために使用されている。
味増強剤の発見は困難で予測不可能である。アミノ酸は多くの受容体と相互作用可能である。個々のアミノ酸の味は複雑であり、人間の感覚試験では2つ以上の味特性によって記述されてきた。さらに、ジペプチドの味と構成アミノ酸との間に厳密な関係はない(非特許文献3)。さらに、現在、真の塩味受容体については不確実性があり、そのため、細胞ベースのアッセイは、塩味増強剤の識別においてあまり成功していない(非特許文献2)。さらに、使用される細胞の種類は、細胞ベースのアッセイにおける結果に影響を及ぼし得る(非特許文献3)。
食品の選択は、味の質に大きく依存する。塩含有量は、スープ、ソース、ドレッシング、インスタント食品、及びスナックなどの香味料食品だけでなく、パン、ビスケット、及びケーキを含むベーカリー製品の官能受容性を直接決定する。品質及び味を維持しながら食品の減塩を緊急に行う必要がある。
米国特許出願公開US2016374380 米国特許出願公開US2011064861 米国特許出願公開US2003091721 米国特許US8409653 日本特許出願公開JP2003104997 英国特許GB1420909
Israr T et al. 2016 Trend in Food Science and Technology 51:98-105. Schindler A et al. 2011 J. Agric. Food Chem.59:12578-12588. Xu JJ et al. 2017 Scientific Reports 7:7483.
驚くべきことに、本発明者らは、望ましくない感覚刺激特性を有することなく塩味を増強するプロリン及びアラニンを含むジペプチドを見出した。さらに、本発明のジペプチドは取り扱いが容易であり、したがって食品産業における食用組成物又は物品に添加することができる。
本発明者らは、標準化された味評価試験を実施し、本発明のジペプチドが塩味増強物質であることを見出した。パネル試験では、水に溶解したプロリン-アラニン(proline-alanine:PA)ジペプチドの塩味がパネラーによって識別され(実施例1)、既知の塩味増強剤ジペプチドとの比較において、本発明のジペプチドPAは、この既知の塩味増強剤よりも後味が少なかった(実施例2)。食品マトリックスでは、例としてブイヨンを使用すると、ジペプチドPAは水に溶解した場合よりも塩味を増強し、後味が少なかった(実施例3)。
本発明の塩味増強剤を、食塩を含有する一般的な食品、飼料又は飲料に添加することには、食品に含有される食塩由来の塩味を増強する効果がある。このように、本発明の塩味増強剤を用いることにより、食品中の食塩量が少なくても、塩味を有する食用製品を製造することができる。したがって、プロリン及びアラニンを含むジペプチドを使用することにより、食用物品に使用される食塩の量を減らすことが可能である。
したがって、本発明の第1の態様は、塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのプロリン及びアラニンを含むジペプチドの使用に関する。
本発明の第2の態様は、ジペプチドプロリン-アラニンと、1つ以上の適切な食用として許容される賦形剤又は担体とを含む食用組成物に関する。
本発明の塩味増強剤は、特定の食品への使用を制限する味を有さないため、多種多様な食品、飼料、飲料に使用することができる。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の食用組成物と、塩を含む食品基材とを含む食用物品に関する。
本発明の第4の態様は、塩を含む食用物品の塩味を増強する方法であって、プロリン及びアラニンを含むジペプチド、又は本発明の第2の態様の食用組成物を食用物品に添加することを含む方法に関する。
各試料に起因すると判定者が考えた塩味の強さを、所与のスケール(44.5~140.3mMのNaCl)で示したグラフである。
[発明の詳細な説明]
本発明の第1の態様は、塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのプロリン及びアラニンを含むジペプチドの使用に関する。
本発明の第1の態様の一実施形態は、下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのジペプチドプロリン-アラニンの使用を指す。
本発明の第1の態様のこの実施形態では、プロリン(3文字表記でProとして、また1文字表記で「P」としても当業者に知られている)のカルボキシル基が、アラニン(3文字表記でAlaとして、また1文字表記で「A」としても当業者に知られている)のアミノ基にペプチド結合によって結合され、「Pro-Ala」又は「PA」ジペプチドとしても知られるプロリン-アラニンジペプチドを形成する。
本発明の第1の態様の別の一実施形態は、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのジペプチドアラニン-プロリンの使用を指す。
本発明の第1の態様のこの実施形態では、アラニンのカルボキシル基は、プロリンのアミノ基にペプチド結合によって結合され、「Ala-Pro」又は「AP」ジペプチドとしても知られるアラニン-プロリンジペプチドを形成する。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、アミノ酸Ala及び/又はProはL-アミノ酸である。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドはPro-Alaであり、アミノ酸はL-アミノ酸である。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドは直鎖ジペプチドである。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドはPro-Alaであり、直鎖ジペプチドである。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドはPro-Alaであり、直鎖ジペプチドであり、アミノ酸はL-アミノ酸である。
本発明の第1の態様の別の一実施形態では、ジペプチドは合成ジペプチドである。本発明のジペプチドの合成方法は、例えばYagasaki M他、2008において当業者に公知である。
本発明の第1の態様の別の一実施形態では、ジペプチドは、有機材料から得られるジペプチドであり、例えば有機材料の酵素加水分解によって得られる、例えば植物由来又は動物由来の共生成物の副生成物である。
「味増強剤」(又は「味増強物質」)という用語は、塩を含む食用物品において、(味を誘発する化合物である)味物質の味及び香りの知覚作用を増強させることができ、味増強剤がそれ自体のそのような味を有さない、任意の物質、化合物又は成分を指す。したがって、味増強剤は、風味(味及び香りを含む)を増強させる。
「塩味増強剤」という用語は、塩の知覚作用を増強させ、塩を含む食用物品の塩味を増加させる任意の物質、化合物又は成分を指す。塩味増強剤は、塩風味を増強する。
味の評価は、国際標準化機構(ISO)の原則に従って行うことができる。例えば、味覚評価試験を行う。
味覚評価試験(官能試験、味覚パネル試験又は味覚試験とも呼ばれる)は、十分に制御された手順内での健康なヒトボランティアにおける味覚反応の推定を含む、味物質の従来の生理学的又は心理物理学的評価である。本発明で行われた味覚評価試験は、当業者の基準に従って行われた。例えば、官能試験は、Schindler A他、2011 J.Agric.Food Chem.59:12578-12588に記載の方法に従って実施され得る。
「食用」という用語は、重大な有害な健康上の結果を伴わずにヒトによって消費され得る本発明のジペプチド、組成物又は物品を含む成分を指す。
本発明の第1の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は低塩食用物品である。
「低塩」又は「低ナトリウム」という用語は、当業者によって認識される用語である。例えば、「食品における栄養及び健康強調表示に関する2006年12月20日付欧州議会及び閣僚理事会規則(EC)第1924/2006号」は、「低ナトリウム/塩」食品は、100g又は100mL当たり0.12g以下のナトリウム又は同等の値の塩を含有する食用製品であり、「超低ナトリウム/塩」製品は、100g又は100mL当たり0.04g以下のナトリウム又は同等の値の塩を含有する製品であり、「ナトリウムフリー又は無塩」という用語は、100g当たり0.005g以下のナトリウム又は同等の値の塩を含有する食品を指すと制定している。
2006年12月20日付欧州議会及び閣僚理事会規則1924/2006号による指令80/777/EECの範囲内に含まれる天然ミネラルウォーター以外の「低塩/ナトリウム」と見なされる水の場合、この値は100ml当たりナトリウム2mgを超えてはならない。
したがって、本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩含有量(例えば、ナトリウム)は、0.120g/100mg又は0.120g/100ml以下である。
したがって、本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩含有量(例えば、ナトリウム)は、0.04g/100mg又は0.04g/100ml以下である。
したがって、本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩含有量(例えば、ナトリウム)は、0.005g/100g以下である。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は減少した塩含有量を有し、特定の実施形態では、従来の食用物品と比較して減少した塩含有量を有する。
従来の食用物品とは、通常の塩含有量を有する食用物品、又は塩含有量が変更されていない食用物品を指す。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩は塩化ナトリウムである。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、減少した塩含有量を有する食用物品において、塩含有量は、塩を含む元の食用物品の重量に対して重量で1%~99%減少している。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩、例えば塩化ナトリウムの量は、少なくとも0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は99%減少している。
添加される塩味増強剤の量は、食用物品の種類に依存し、例えば官能評価を行うことによって当業者が調整することができる。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドは、塩を含む食用物品に、食用物品の重量に対して重量で0.1%~15%添加される。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドは、塩、例えば塩化ナトリウムの量を0.1%~25%減少させるために、塩を含む食用物品に、食用物品の重量に対して重量で0.1%~15%添加される。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチド、例えばPro-Alaジペプチドは、食用物品の重量に対して、重量で、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%など、0.01%~15%である。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチド、例えばPro-Alaジペプチドは、0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、0.07mM、0.08mM、0.09mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、又は15mMの濃度で使用される。
本発明の第1の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩味増強剤によって提供される増強は、例えば、訓練された判定者が、本発明のジペプチドを含む試料を、塩味知覚の強度に基づき、ある範囲の既知の塩濃度の対照試料と比較して順序付ける官能評価によって定量化される。
本発明の第2の態様は、ジペプチドプロリン-アラニンと、1つ以上の適切な食用として許容される賦形剤又は担体とを含む食用組成物(食用添加剤)に関する。
「食用として許容される賦形剤又は担体」という用語は、風味成分の官能特性を有意に変化させない限り、風味の観点から実質的に中性である賦形剤又は担体を指す。さらに、それらは、重大な有害な健康上の結果を伴うことなくヒトによって消費され得る組成物の調製における使用に適している。
例えば、本発明の第2の態様の食用組成物は、着色剤及び/又は耐光剤を含むことができる。
本発明の第2の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用組成物は、本発明の第1の態様で定義されるジペプチドを含む、例えば植物又は動物由来の天然抽出物を含む。
本発明の第2の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用組成物は、1つ以上の別の風味化合物をさらに含む。
本発明の第2の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせから選択される塩をさらに含む。
本発明の第2の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用組成物は塩化ナトリウムをさらに含む。
本発明の第2の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用組成物は、固体又は液体形態を含むがこれらに限定されないいくつかの形態で製剤化することができる。
本発明の食用組成物は、当業で周知の方法に従って調製することができる。適切な食用として許容される賦形剤及び/又は担体、並びにそれらの量は、調製される組成物の種類に従って当業者によって容易に決定することができる。
食用組成物は、食用物品に添加可能な食用添加剤である。
したがって、本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の食用組成物と、塩を含む食品基材とを含む食用物品に関する。
「食品基材」という用語は、1つ以上の塩(塩味化合物)を有する食用製品、例えば人間の食品、動物の食品(すなわち、飼料)又は飲料を指す。
本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、食品基材が人間の食品であるものである。
適切な食品基材は、油で揚げられた又は揚げられていない、冷凍された又は冷凍されていない、低脂肪の又は低脂肪でない、マリネ化された、衣がつけられた、冷却された、脱水された、インスタントの、缶詰の、還元された、レトルト処理された、あるいは保存された製品であってもよい。本発明のための食品の例としては、限定されないが、例えば、ストック、香味料キューブ、濃縮物、粉末ミックス、風味付けされた油、(トマトケチャップ、醤油、マスタード、マヨネーズなどの)ソース、又はサラダドレッシングなどのシーズニング又は調味料、チーズ、スプレッド、通常の又は低脂肪のマーガリン、バター/マーガリンブレンド、バター、ピーナッツバター、ショートニング、加工及び風味付けされたチーズなどの乳製品又は脂肪製品、(チキンブイヨンなどの)ブイヨン、澄ましスープ、クリームスープ、チキンスープ、ビーフスープ、トマトスープ又はアスパラガススープなどのスープ、スナック又はアペタイザー、(ポテトチップスなどの)チップス又はポップコーンクリスプ、ナッツ、ビスケット、種子、又はピクルスなどの香味料製品、(ソーセージ、ハンバーグ、ナゲットなどの)鶏肉、牛肉又は豚肉を利用した製品などの畜肉製品、すり身、魚肉ソーセージ、魚ハンバーグなどの魚製品又は海産物製品、卵製品、ピザ、即席麺、パスタ、ポテトフレーク又はフライドポテト、麺、トルティーヤ又はラップ、米、ライスケーキ又は米クラッカーなどの米ベースの食品などの炭水化物製品、(油、脂肪及び増粘剤から作られた改質チーズなどの)乳製品類似物、海産物類似物又は(野菜代用肉、野菜バーガーパテなどの)肉類似物などの模倣製品、パン、クッキー、ケーキ、ブレッツェルなどの焼成品、パイ、春巻、団子、カレー、シチュー、揚げ物、家畜加工品などの調理済み食品などが挙げられる。
本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、食品基材が飼料及び餌などの動物用食品(飼料)であるものである。
本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、食品基材が、例えば水、ジュース又はソーダなどの飲料であるものである。
本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食品基材に含まれる塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される。
本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食品基材に含まれる塩は塩化ナトリウムである。
本発明の第1又は第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は食品、飼料又は飲料である。
本発明の第1又は第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は人間の食品である。
本発明の第1又は第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、シーズニング又は調味料、乳製品又は脂肪製品、ブイヨン、スープ、香味料製品、畜肉製品、海産物製品、魚製品、卵製品、炭水化物製品、焼成品、模倣食品製品からなるリストから選択される。
本発明の第1又は第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、ストック、香味料キューブ、濃縮物、粉末ミックス、風味付けされた油、(トマトケチャップ、醤油、マスタード、マヨネーズなどの)ソース、又はサラダドレッシングなどのシーズニング又は調味料、チーズ、スプレッド、通常の又は低脂肪のマーガリン、バター/マーガリンブレンド、バター、ピーナッツバター、ショートニング、加工及び風味付けされたチーズなどの乳製品又は脂肪製品、ブイヨン、澄ましスープ、クリームスープ、チキンスープ、ビーフスープ、トマトスープ又はアスパラガススープなどのスープ、スナック又はアペタイザー、(ポテトチップスなどの)チップス又はポップコーンクリスプ、ナッツ、ビスケット、種子、又はピクルスなどの香味料製品、(ソーセージ、ハンバーグ、ナゲットなどの)鶏肉、牛肉又は豚肉を利用した製品などの畜肉製品、すり身、魚肉ソーセージ、魚ハンバーグなどの魚製品又は海産物製品、卵製品、ピザ、即席麺、パスタ、ポテトフレーク又はフライドポテト、麺、トルティーヤ又はラップ、米、ライスケーキ又は米クラッカーなどの米ベースの食品などの炭水化物製品、(油、脂肪及び増粘剤から作られた改質チーズなどの)乳製品類似物、海産物類似物又は(野菜代用肉、野菜バーガーパテなどの)肉類似物などの模倣製品、パン、クッキー、ケーキ、ブレッツェルなどの焼成品、パイ、春巻、団子、カレー、シチュー、揚げ物、及び家畜加工品などの調理済み食品から選択される。
本発明の第1又は第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、包装、缶詰、冷凍、脱水、粉砕又は加工される。
本発明の第1又は第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、飼料及び餌などの動物用食品(飼料)である。
本発明の第1又は第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、例えば水、ジュース又はソーダなどの飲料である。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、本発明の第1の態様で定義されるのと同様に、重量で0.1%~15%のジペプチドを含み、一例では、重量で0.1~10%、又は0.1~5%、又は0.1~2.5%のジペプチドを含む。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、食用物品の重量に対して、例えば重量で0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%など、少なくとも0.01%~15%のジペプチドを含む。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、0.07mM、0.08mM、0.09mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、又は15mM(のジペプチド)を含む。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、例えばブイヨン又は飲料などの液体食品であり、本発明の第1の態様で定義されるジペプチドを、一例では5mM~20mM、さらに別の例では8mM~12mM、又は0.01mM~1mM、例えば0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、0.07mM、0.08mM、0.09mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、又は15mMなど、0.1mM~30mM含む。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は「低塩」又は「低ナトリウム」食用物品である。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩含有量(例えば、ナトリウム)は、0.120g/100mg又は0.120g/100ml以下である。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は「超低塩」又は「超低ナトリウム」食用物品である。
したがって、本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩含有量(例えば、ナトリウム)は、0.04g/100mg又は0.04g/100ml以下である。
したがって、本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩含有量(例えば、ナトリウム)は、0.005g/100g以下である。
本発明の第3の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、飲料は水であり、塩含有量(例えば、ナトリウム)は、塩2mg/100ml未満である。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の食塩含有量は、従来の食品又は飲料におけるよりも低い。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、少なくとも1%~99%の減少した塩含有量、好ましくは塩化ナトリウム含有量を有する。一例では、少なくとも0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は99%である。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、0.1~50%、一例では0.1~30%、別の例では0.1~25%、別の例では0.1~15%の減少した含有量の塩化ナトリウムを含む。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品はブイヨンである。一例では、ブイヨンは、10~45%、一例では20~30%の減少した含有量の塩化ナトリウムを含む。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の塩の減少は、塩化ナトリウムを含み、本発明の第2の態様で定義される食用組成物を含まない元の又は従来の食用物品と比較したものである。一例では、本発明の第3の態様の食用物品は、例えば、Schindler A他、2011に記載されている官能試験などの官能評価試験において、元の又は従来の食用物品と同じ塩味を有する。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品はブイヨンであり、ジペプチドプロリン-アラニンを0.10g/100mL~0.50g/100mL、別の例では0.14g/100mL~0.30g/100mL、別の例では0.20g/100mL~0.30g/100mL、さらに別の例では0.22g/100mL含有し、塩化ナトリウムを0.10g/100mL~0.50g/100mL、別の例では0.20g/100mL~0.30g/100mL、さらに別の例では0.26g/100mL含有する。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品はブイヨンであり、ジペプチドプロリン-アラニンを0.14g/100mL又は0.22g/100mL含有し、塩化ナトリウムを0.26g/100mL含有する。
本発明の第3の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品中の食品基材は、少なくとも1つの別の風味化合物をさらに含む。
別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、本発明の第2の態様の食用組成物中、又は本発明の第3の態様の食用物品中のさらなる風味化合物は、甘味化合物、苦味化合物、酸味化合物、うま味化合物、こく味化合物、香味及びこく味を付与する風味化合物、甘味を付与する風味化合物、酸味を付与する風味化合物、苦味を付与する風味化合物、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される。
別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、本発明の第2の態様の食用組成物中、又は本発明の第3の態様の食用物品中の別の味化合物は、うま味化合物又はこく味化合物であり、風味化合物は、塩味を付与する風味化合物並びに香味及びこく味を付与する風味化合物である
本発明の食用物品は、当業で周知の方法に従って調製することができる。食用物品の調製のための適切な成分及びプロセスは、調製される食用物品の種類に従って当業者によって容易に決定することができる。
本発明の第3の態様の食用物品のすべての実施形態は、本発明の第1、第2及び第4の態様の実施形態でもある。
本発明の第4の態様は、塩を含む食用物品の塩味を増強する方法であって、プロリン及びアラニンを含むジペプチド、又は本発明の第2の態様の食用組成物を食用物品に添加することを含む方法に関する。
本発明の第1、第2及び第3の態様の食用物品のすべての実施形態は、本発明の第4の態様の実施形態でもある。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、ジペプチドはプロリン-アラニンジペプチドである。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、塩は塩化ナトリウムである。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、この方法は、食用物品の塩味を減少させることなく、食用物品中の塩化ナトリウムの量を減少するためのものであり、好ましくは、塩化ナトリウムの量の減少は、少なくとも0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は99%である。
本発明の第4の態様の別の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は「低塩」、「低ナトリウム」、「超低塩」又は「超低ナトリウム」食用物品である。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、本発明の第2の態様のプロリン及びアラニンを含むジペプチド(例えば、プロリン-アラニンジペプチド)又は食用組成物の添加は、食用物品の調理中、又は食用物品の調理後に行われる。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、本方法は、以下の工程を含む、即ち、
(a)プロリン及びアラニンを含むジペプチド、好ましくは本発明の第1の態様で定義されるジペプチドプロリン-アラニンを得る工程、又は、本発明の第2の態様で定義される食用組成物を得る工程と、
(b)食材として少なくとも1つの食品基材を選択する工程と、
(c)塩味を維持するのに必要な量の工程(a)で得られたジペプチド又は工程(a)の食用組成物を、工程(b)の食品材料に添加して、塩味の低塩又は低ナトリウム食用物品を製造する工程と、
を含む。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、本方法は、以下の工程を含む、即ち、
a.本発明の第1の態様の塩味増強剤ジペプチド、又は本発明の第2の態様の組成物を提供する工程と、
b.少なくとも1つの食品材料(少なくとも1つの食品基材)を選択する工程と、
c.塩味を維持するのに必要な量の、工程(a)の塩味増強剤ジペプチド又は食用組成物を、工程(b)の食品材料に添加して、塩味の低塩又は低ナトリウム食用物品を製造する工程と、
d.オプションとして(任意的に)、食用物品を調理する工程と、
を含む。
食用物品を調理することは、例えば、茹でること、揚げること、料理すること、焼くこと、又は蒸すことを含む。
例えば、工程(c)において、ジペプチド(例えば、プロリン-アラニン)は、食用物品に対して、重量で、例えば0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%など、少なくとも0.01%~15%添加される。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は低塩又は低ナトリウムのブイヨンである。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、0.26g/100mL、又は0.120g/100mL未満の塩化ナトリウムを含有するブイヨンである。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、食用物品は、0.26g/100mL、又は0.120g/100mL未満の塩化ナトリウムを含有するブイヨンであり、0.10g/100mL~0.40g/100mLのジペプチドを含有し、一例では、0.22g/100mLのジペプチドを含有する。
本発明の第4の態様の一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意に組み合わせて、本方法は、塩(例えば、含有量0.26g/100mL以下の塩化ナトリウム)を含有するブイヨンの塩味を増強する方法であり、この方法は、ブイヨンの調理中に、ジペプチドプロリン-アラニン、又は、ジペプチドプロリン-アラニンを含有する本発明の第2の態様の食用組成物を添加することを含む。例えば、ブイヨンはチキンブイヨンである。
本発明の第4の態様の一実施形態では、工程(a)において、ジペプチドは、有機材料の酵素加水分解によって得られる。例えば、植物由来又は動物由来の共生成物の副生成物から(有機材料の酵素加水分解によって)。
本発明の第4の態様の別の一実施形態では、工程(a)において、ジペプチドは、化学合成、化学酵素合成又は酵素合成によって得られる。本発明のジペプチドの合成方法は、例えばYagasaki M他、2008において当業者に公知である。
本発明の第1及び第4の態様の別の一実施形態では、塩味の増強は、塩味の後味の増加を含む。
本発明はまた、本発明の第4の態様の方法によって得ることができる食用物品に関する。
「によって得ることができる(obtainable by)」という用語は、本発明の食用物品をその調製プロセスによって定義するために本明細書で使用され、本明細書で定義する通りの工程を含む調製プロセスによって得ることができる製品を指す。
本発明の目的のために、「得ることができる(obtainable)」、「得られた(obtained)」という表現及び同様の同等の表現は互換的に使用され、いずれの場合も、「得ることができる(obtainable)」という表現は「得られた(obtained)」という表現を包含する。
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」という単語及びその単語の変形は、他の技術的特徴、添加剤、構成要素、又はステップを除外することを意図するものではない。さらに、「含む(comprise)」という言葉は、「からなる(consisting of)」の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点、及び特徴は、明細書を検討することで当業者に明らかになるか、又は本発明を実施することで理解され得る。以下の実施例及び図面は、例示として提供されており、本発明を限定することを意図するものではない。図面に関連し、クレームの括弧内に配置された参照記号は、クレームの理解を助けることのみを目的としており、クレームの範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを包含する。
1.第1の感覚試験:
ジペプチドプロリン-アラニンを使用して、ジペプチドプロリン-アラニンが塩味の増強物質であるかどうかを解明するための味覚パネルを実施した。
a)一連の塩溶液の順序付け(ランキング):
材料及び方法:
ジペプチドの試験の前に、7名のボランティア(25~45歳を含む年齢の男性及び女性)を対象として、30、40、50、60、70及び80mMの一連のNaCl塩溶液を低濃度からより高濃度へと順序付けすることができるかどうかを調べる試験を行った。続いて、上述の一連の溶液と比較した溶液(50mMのNaCl)の塩濃度を予測した。これを行うために、6つの塩溶液(市販の塩である「SAL COSTA」社の「sal marina clasica」;組成:海塩、固結防止剤E-536(フェロシアン化カリウム))を、(塩が100%NaClであると見なして)30mM~80mMのNaClの低ミネラル化ボトル水(Bezoya)中で(塩を秤量して水に溶解することによって)調製した。ボランティアらは、各溶液の塩の濃度を知らされずに、最も薄い塩味から最も濃い塩味へと溶液を順序付けるように求められた。
結果:
Figure 2022538418000001
表1に示すように、3名が完答し、その他の人々はかなり正確に溶液を順序付けた。
b)問題試料の評価:
材料及び方法:
次に、50mMのNaClに相当する塩の溶液(「問題試料」)を調製した(実施例1aと同様に調製した)。問題試料の塩の濃度を知らされていないが、より低い濃度からより高い濃度に順序付けられた上記の一連の塩溶液(実施例1aについては表1を参照されたい)を提供された7名のボランティアに、どの塩溶液が問題試料の塩味に似ているかを示すように求めた。
結果:
4名のボランティアが、問題溶液は40mM及び50mMのNaClに相当する塩溶液の間の塩溶液に相当する塩味を有すると述べ(これらの人々は45mMのNaClの溶液に相当する塩味を予測したと見なされた)、2名のボランティアが、問題試料は50mMのNaClに相当する塩溶液と同じ塩味を有すると述べ、1名のボランティアが、問題試料は60mMのNaClに相当する塩溶液と同じ塩味を有すると考えた。したがって、問題試料について知覚された塩味強度の平均値及び標準偏差は、48.57mM±5.56であった。
c)本発明のジペプチドを使用した味覚パネル:
材料及び方法:
本発明のジペプチドの塩味増強特性を確認するために、12mMのジペプチドと、さらに110mMのNaCl溶液と同等の塩とを含む溶液を調製した(まず、ジペプチドを秤量してBezoyaボトル水に溶解し、この溶液をボトル水中のNaCl溶液に添加し、最後に必要な体積の水を添加して、必要なNaCl濃度を得た)。
Pro-Ala(PA)ジペプチド(純度99%超)は、Phoenix Pharmaceuticals,Inc.(ロット番号432688)で購入した。ジペプチドPro-Alaは直鎖ジペプチドであった。
前記7名のボランティアが試験を行い、この溶液の塩味を、最低濃度から最高濃度までに分類された一連の塩溶液(80、90、100、110、120、130、140mMのNaCl)(実施例1aに示すのと同様に調製した)と比較した。ジペプチドを含有しない110mMのNaClに相当する塩溶液についても同様の試験を行った。これらの溶液は、低ミネラル化ボトル水(Bezoya)を使用して調製した。
塩を含有しない12mMのジペプチド溶液(Bezoya低ミネラル化水に溶解)の味も試験した。
PAジペプチドが塩味増強剤であるかどうかを試験するための実験手順は、Schindlerら、2011の論文に基づいていた(Schindlerら、2011の論文に記載の方法を、以下の実験で行われたスケーリング試験でも使用した)。
結果:
ボランティア全員が、同じ量の塩を含有するがジペプチドを含有しない溶液に対して、ジペプチドを含有する溶液の方により濃い塩味を観察した。7名のうち2名は、ジペプチドを含有する溶液が、場合によってはあまり快くない味を塩味に加えて有することを見出した。知覚された塩濃度の平均値及び偏差は、ジペプチドを含有しない110mMの塩溶液については103.57mM±8.02であり、ジペプチドを含有する110mMの溶液については123.57mM±9.45であった。有意に異なる値:p=0.0011(スチューデントのt検定)及びp=0.0023(マン・ホイットニー検定)は、統計的な差を示した。
塩を含有しない12mMのジペプチド溶液の味については、いずれのボランティアも溶液に塩味を感じなかった。
2.ジペプチドの塩味増強能力の比較感覚試験
PAジペプチドの塩味増強効果を、塩味を増強することが既に知られているペプチドであるジペプチドプロリン-グリシン(PG)の効果と比較した。
材料及び方法:
[判定者の選定:]
この第2の試験は、塩味及びその強さの良好な認識能力を有する12名の判定者(パネリスト)をその後の試験用に選出するために、24名(年齢25~45歳の男性及び女性)で行われた。
a)試験a
この試験の目的は、24名のボランティアが漸増する塩濃度(30~80mmol/L)の6つの溶液を正しく区別できるかどうかを判定することであった(塩溶液は実施例1aと同様に調製した)。ボランティアらは、各試料を味見し、知覚された塩味強度に従ってこれらの試料を順位付けすることを求められた。判定者は、必要と考えた場合、試料を複数回味見することができた。ボランティアは、試料を所与のスケールで順位付けすることを求められた。
24名のボランティアのうち15名が、等級を昇順で良好に順序付けした。
b)試験b:3点試験法
24名のボランティアのそれぞれに、3つの試料(実施例1と同様に調製した、2つが等しく1つが異なる既知のNaCl濃度)であって、1つはR(50mMのNaCl)でマークされ、2つはコード化された(「A」は50mMのNaCl、「B」は60mMのNaCl)試料を提供した。ボランティアらはRを味見し、続いて所与の順序でコード化された2つの試料を味見することを求められた(影響を避けるために、24名の判定者らに同じ順序ではなく異なる組み合わせで提供された)。ボランティアらは、Rとは異なる試料を識別することを求められた。ボランティアらは、必要と考えた場合、試料を2回以上試すことができた。ボランティアらは、提供された2つの選択肢のうちの1つを選択することを求められた。
24名のボランティアのうち20名が良好であった。
これらの試験(試験(a)及び(b))の結果に基づいて、後の試験のために15人の判定者が選出された。
[2つのジペプチドの塩味増強能力の比較のための感覚試験:]
PAジペプチドの塩味増強効果を確認し、それを、塩味を増強することが既に知られているペプチドであるジペプチドプロリン-グリシン(PG)(米国特許出願公開US2016374380)が有する効果と比較するために、前の試験に合格した10名の判定者でさらなる試験を行った。
既知の濃度(30~80mM)の塩(NaCl)の6つの希釈物を(実施例1aと同様に)調製した。
さらに、12mMのPA+50mMのNaCl(試料コード「C」)及び12mMのPG+50mMのNaCl(試料コード「D」)を含有する2つの溶液を調製した。
ジペプチドPAを含有する溶液を実施例1と同様に調製した。
ジペプチドPGをCASLO社から購入し、低ミネラル化水(Bezoya)に同様に溶解した(最初にジペプチドを秤量してボトル水に溶解し、次いで、この溶液をNaCl水溶液に添加し、最後に、水を添加して所望のNaCl濃度を得た)。
溶液を調製する間、ジペプチドPGが非常に粘着性であり、捕捉して秤量するのが困難であった一方で、ジペプチドPAは秤量及び取り扱いが非常に容易な粉末であったことは注目に値する。
10名の判定者に、塩味の強さが漸増する塩味評価スケール内に位置する「C」及び「D」としてコード化された試料を提示した。判定者は全員、最初に塩味スケールを試し、その正しい順序を知っていた。
判定者は全員、最初に塩味スケールを味見することを求められた。次に、判定者らは、2つの問題試料(「C」及び「D」)を味見し、塩味の強さに従って、これらがスケール内のどの度合いに位置するかを示すことを求められた。
判定者らは、2つの試料(A及びB)を、組成を知らされずに(味、香り、強さ、見た目などについて)記述評価することを求められた。
結果:
Figure 2022538418000002
これらの結果に基づき、判定者が問題試料を2つの既知の塩濃度の間に分類した場合に、中間値を平均とみなした(表3参照)。
Figure 2022538418000003
ジペプチドPAとジペプチドPGとの間で塩味知覚に統計的に有意な差は見られなかった(p=0.097、t-スチューデント)。したがって、両方のジペプチドは、同様に増強された塩味を示した。
記述評価では、ジペプチドPGはジペプチドPAよりも不快な後味を示した。
3.食品材料中のジペプチドPAの感覚評価
3.1.ジペプチドPAを食品マトリックスに添加した官能評価:
この試験の目的は、ジペプチドPAが(例えばチキンスープブイヨンなどの)食品マトリックスの塩味を増強するかどうかを評価することであった。
材料及び方法:
市販のチキンブイヨン(ラベル上では低塩と記載されていたが、実際には塩含有量は0.26g/100mLであった)(GALLINA BLANCA(登録商標))(以降、「市販の低塩チキンブイヨン」という)で、塩1.1g/Lから漸増する塩味スケール(最低で市販のブイヨンの44.5mM(1)から最高で140.3mM(6)の6つの溶液)(表4を参照)を調製した。塩(NaCl)は、前の実験で使用したものと同じであった。
同時に、8mM及び12mMの濃度のPAジペプチド(実施例1及び2のPAジペプチド)を用いて2つの溶液を調製した。調製は、市販の低塩のチキンブイヨン(塩0.26g/100mL)に、それぞれ8mM(PA0.146g/100mL)及び12mM(PA0.22g/100mL)のPAジペプチドを添加することによって行った。
判定者ら(実施例2の15名の判定者から選択)に、4つの試料:即ち、
「E」とコードされた試料:低塩の市販のチキンブイヨン(44.5mM)
「F」とコードされた試料:低塩の市販のチキンブイヨン+8mMのPA
「G」とコードされた試料:低塩の市販のチキンブイヨン+12mMのPA
「H」とコードされた試料:低塩の市販のチキンブイヨン+塩(140.3mM)
を評価させた。
すべての試料を、官能評価の時点まで62℃に維持した。
官能評価は、2~3名の判定者の群で、ブイヨンを評価の直前に提供し、温度を可能な限り維持することができるように実施した。
判定者らは、最初に1から6のスケール(44.5mM、63.7mM、82.8mM、102mM、121.1mM、140.3mM)を味見するように求められた(表4を参照)(食品試料のスケーリング方法)。次に、判定者らは4つの問題試料(試料「E」、「F」、「G」及び「H」)を味見し、所与のスケールに分類した。同時に、判定者らは、試料の評価中に知覚された属性を記述するように求められた。
結果:
Figure 2022538418000004
Figure 2022538418000005
対照試料「E」及び「H」は、ほとんどの判定者によってスケール上で正しく識別された。すべての判定者が、PAを含有する2つの試料(「F」及び「G」)を対照試料「E」(市販の低塩のチキンブイヨン)よりも塩味強度が高いと評価したことが分かる。
一元配置分散分析(1-way ANOVA)+Tukeyの事後検定(posthoc Tukey test)の後、パネリストらは、異なる試料間で有意に異なる塩味強度を知覚した。結果は、パネリストらによる4つの試料の知覚の強度に有意差があることを示した(p<0.001、一元配置分散分析)。Tukeyの事後検定を用いて行われた二群比較は、パネリストらがいずれの試料(a、b、c、d)とも異なる塩味の強度を知覚したことを示し、ジペプチドを8mM及び12mM含有する試料の塩味の強度が、市販の低塩ブイヨンよりも高く、ジペプチドを含有せず塩含有量の多いストックよりも低いことを明らかにした。さらに、PAを12mM含有する試料は、PAを8mM含有する試料よりも塩味強度が高い。
ジペプチドPAは、低塩ブイヨン(図1参照)に含有されている場合、低塩ブイヨンと比較して、8mM及び12mMの両方で塩味を増強した。PAジペプチドは、濃度8mMで使用した場合よりも12mMで使用した場合の方が、塩味を増強した。
通常の塩含有量の市販のブイヨンが塩約0.75g/100mL(塩128mM)であることを考慮すると、「H」としてコードされる試料(0、82g/100mL)はその塩含有量を超えている。低塩ブイヨンにおける塩の減少は、通常の塩含有量の市販のブイヨンと比較して約60%であった。
食品マトリックス中に存在する場合のPAジペプチドは、水に溶解して調製した場合(前の実施例1に記載)よりも後味が少なく、異風味/不快な風味の強度は、ボトル水を用いた最初の試験では、チキンブイヨンを使用した場合よりも高かった。
3.2-ジペプチドPAを含む食品マトリックスを調理した場合の官能評価
この試験の目的は、レシピの成分として使用される場合に、PAが塩風味を増加させる増強能力に食品加工が及ぼす影響を評価することであった。
材料及び方法:
Eurecat社のパイロットプラントで、新鮮な原材料を使用して(実施例3.1のものと同様の「低塩」の)チキンブイヨンを調製した。2Lのチキンブイヨンを調製するために使用した材料は、以下の通りであった:
- 骨付き鶏もも肉 2本
- リーキ 60g
- セロリ 25g
- ニンジン 60g
- 塩 2.6g
- PA 8mM
パイロットプラントでのチキンブイヨンの手順:
新鮮な材料を洗い、細かく切り、調理した。さらに、肉及び塩を加えた。
レシピ「A」では塩のみを使用し、一方、レシピ「B」では塩+8mMのPAを使用した。調理時間はいずれのレシピも2.5時間であった。
調理完了後、ブイヨンを濾過し、ISOガラス瓶に入れた。設定温度65℃の湯煎を使用した官能評価まで、試料を62℃に保った。
官能評価:
官能評価を、21名の訓練された判定者を用いて行った。官能評価を、2~3名のグループごとに試料を提供し、ブイヨンの温度を維持して実施した。3点試験法を実施した。すべての判定者は、3つの試料を与えられ、与えられた3つの試料のうちで異なる試料を廃棄することを求められた。官能試験後、より多くの情報を得るために、追加のコメントが判定者に要求された。最後に、好みを回答するように求めた。
試料を3点試験法用のコード規則(AAB、ABA、ABB、BAA、BAB、BBA)に従ってコード化し、「A」は塩含有量が低いチキンブイヨン、「B」は低塩+ジペプチドPAのチキンブイヨンであった。
結果
結果は、21名の判定者のうち19名が3点試験法で異なる試料を識別し、正しく回答したことを示している。データに基づき、PAを含有するチキンブイヨンは、判定者が知覚した塩味強度が高いことを示した。
ジペプチドPAを成分として用いると、塩風味強度が増強されることが確認された。
成分としてPAを添加したために調理プロセスで異風味が生じることはなかった。
判定者によって示された2つのチキンブイヨン(低塩のチキンブイヨン及び低塩+PAのチキンブイヨン)間の好みは、低塩+PAのチキンブイヨンの方が高かった。
[付記] 完全を期すために、本発明の様々な態様を、以下の番号付けされた項(第1項~第15項)に記載する。
[第1項] 塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのプロリン及びアラニンを含むジペプチドの使用。
[第2項] 前記ジペプチドがプロリン-アラニンである、第1項に記載のジペプチドの使用。
[第3項] 前記ジペプチドがアラニン-プロリンである、第1項に記載のジペプチドの使用。
[第4項] 前記塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、第1項から第3項のいずれか一項に記載の使用。
[第5項] 前記塩が塩化ナトリウムである、第4項の使用。
[第6項]
前記食用物品が減少した塩含有量を有し、該減少した含有量が前記従来の食用物品に対して重量で1%~99%である、第1項から第5項のいずれか一項に記載の使用。
[第7項]
前記食用物品が、前記食用物品100mg又は100mL当たり0.120g以下の塩含有量を有する、第1項から第6項のいずれか一項に記載の使用。
[第8項]
前記ジペプチドが、前記食用物品に、前記食用物品の重量に対して重量で0.1%~15%添加される、第1項から第7項のいずれか一項に記載の使用。
[第9項]
前記食用物品は、シーズニング又は調味料、乳製品又は脂肪製品、ブイヨン、スープ、香味料製品、畜肉製品、海産物製品、魚製品、卵製品、炭水化物製品、焼成品、模倣食品製品、ペット用食品又は動物用食品、及び飲料からなる群から選択される、第1項から第8項のいずれか一項に記載の使用。
[第10項] ジペプチドプロリン-アラニンと、1つ以上の適切な食用として許容される賦形剤又は担体とを含む食用組成物。
[第11項] 少なくとも1つの他の風味化合物をさらに含む、第10項に記載の食用組成物。
[第12項] 第10項又は第11項の食用組成物と、塩を含む食品基材とを含む、食用物品。
[第13項] 前記塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、第12項の食用物品。
[第14項]
前記食用物品が、前記食用物品100mg又は100mL当たり0.120g以下の塩含有量を有する、第13項に記載の食用物品。
[第15項]
シーズニング又は調味料、乳製品又は脂肪製品、ブイヨン、スープ、香味料製品、畜肉製品、海産物製品、魚製品、卵製品、炭水化物製品、焼成品、模倣食品製品、調理済み食品、ペット用食品又は動物用食品、及び飲料からなる群から選択される、第12項から第14項のいずれか一項に記載の食用物品。
<引用リスト(Citation List)>
(特許文献)
US2016374380
US8409653
(非特許文献)
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(引用リスト、以上)

Claims (22)

  1. 塩を含む食用物品における塩味増強剤としてのプロリン及びアラニンを含むジペプチドの使用。
  2. 前記ジペプチドがプロリン-アラニンである、請求項1に記載のジペプチドの使用。
  3. 前記ジペプチドがアラニン-プロリンである、請求項1に記載のジペプチドの使用。
  4. 前記ジペプチドが直鎖状である、請求項1~3のいずれか一項に記載のジペプチドの使用。
  5. 前記塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 前記塩が塩化ナトリウムである、請求項5に記載の使用。
  7. 前記食用物品が減少した塩含有量を有し、当該減少した含有量が前記従来の食用物品に対して重量で1%~99%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 前記食用物品が、前記食用物品100mg又は100mL当たり0.120g以下の塩含有量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記ジペプチドが、前記食用物品に、当該食用物品の重量に対して重量で0.05%~15%添加される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
  10. 前記食用物品は、シーズニング又は調味料、乳製品又は脂肪製品、ブイヨン、スープ、香味料製品、畜肉製品、海産物製品、魚製品、卵製品、炭水化物製品、焼成品、模倣食品製品、ペット用食品又は動物用食品、及び飲料からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
  11. プロリン-アラニンジペプチドである塩味増強剤と、1つ以上の適切な食用として許容される賦形剤又は担体とを含む食用組成物。
  12. 前記プロリン-アラニンジペプチドが直鎖状である、請求項11に記載の食用組成物。
  13. 少なくとも1つの他の風味化合物をさらに含む、請求項11又は12に記載の食用組成物。
  14. 請求項11~13のいずれか一項に記載の食用組成物と、
    塩を含む食品基材と、
    を含んでなる、食用物品。
  15. 前記塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の食用物品。
  16. 前記食用物品が、前記食用物品100mg又は100mL当たり0.120g以下の塩含有量を有する、請求項15に記載の食用物品。
  17. 前記食用物品が、
    シーズニング又は調味料、乳製品又は脂肪製品、ブイヨン、スープ、香味料製品、畜肉製品、海産物製品、魚製品、卵製品、炭水化物製品、焼成品、模倣食品製品、調理済み食品、ペット用食品又は動物用食品、及び飲料からなる群から選択されるものである、
    請求項14~16のいずれか一項に記載の食用物品。
  18. 塩を含む食用物品の塩味を増強する方法であって、当該方法は、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の塩味増強剤ジペプチド、又は請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物を、食用物品に添加すること、
    を備えてなる、塩味増強方法。
  19. 食用物品の調理中に又は食用物品の調理後に、請求項1~10のいずれか一項に記載のジペプチド、又は請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物を添加すること、
    を備えてなる、請求項18に記載の塩味増強方法。
  20. 請求項18又は19に記載の塩味増強方法であって、当該方法は、
    a.請求項1~10に記載の塩味増強剤ジペプチド塩味増強剤、又は請求項11~13に記載の組成物を提供する工程と、
    b.少なくとも1つの食品材料を選択する工程と、
    c.塩味を維持するのに必要な量の工程(a)の前記塩味増強剤ジペプチド又は前記食用組成物を、工程(b)の前記食品材料に添加して、塩味が低塩の又は低ナトリウムの食用物品を製造する工程と、
    d.必要に応じて前記食用物品を調理する工程と、
    を備えてなる、塩味増強方法。
  21. 前記塩味増強剤ジペプチドがプロリン-アラニンである、請求項20に記載の塩味増強方法。
  22. 請求項18~21のいずれか一項に記載の方法によって得られる食用製品。
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