JP5960553B2 - 耐火処理材 - Google Patents
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請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の耐火処理材において、前記クッション体は、難燃性の発泡体で形成されていることを要旨とする。
図1に示すように、防火区画体としての防火区画壁Wには、配線・配管材33を防火区画壁Wの厚み方向に貫通させるための四角孔状の貫通孔34(貫通部)が形成されている。
図2に示すように、耐火処理材11は、直方体状に形成されている。図3(a),(b)に示すように、耐火処理材11は、六面体状、より詳しくは直方体状に形成されたクッション体としてのブロック体12と、四角箱状をなす熱膨張性耐熱材製の外装部材13(熱膨張性耐火材)とを有する。より詳しくは、耐火処理材11を構成するブロック体12の全体が、四角箱状をなす熱膨張性耐熱材製の外装部材13内に収容されている。そして、ブロック体12は外装部材13によって全体が包まれることにより、外装部材13から脱落不能になっており、ブロック体12と外装部材13は分離不能に一体化されている。
耐火処理材11を形成するブロック体12は、ウレタン、ポリスチレン系樹脂等の難燃性の発泡性材料によって直方体状に形成されるとともに、ブロック体12自身はクッション性を有し、所要の弾性を有する。すなわち、ブロック体12は圧縮変形可能であるとともに、圧縮変形した状態から原形状に復帰可能である。
図3(a),(b)に示すように、外装部材13は、外装部材13の内部空間にブロック体12を収容可能となるよう、ブロック体12の外形よりも僅かに大きく形成されている。また、外装部材13は、難燃性の熱膨張性耐熱材よりなり、該熱膨張性耐熱材は、120℃以上の熱を受けると体積が加熱前の3倍以上に膨張する膨張材(膨張黒鉛)を混入し、所定形状に成形した(成形工程を経た)ゴム(熱膨張性ゴム)に加硫工程を経てなるものである。なお、加硫工程とは、成形工程を経たゴムに熱を加え、加硫(架橋)反応や接着反応を起こさせ、ゴム弾性を有する製品を得る工程である。そして、加硫工程を経ることで熱膨張性耐熱材を四角箱状の外装部材13に成形することが可能となるとともに、外装部材13にゴム性を付与することが可能となる。
まず、図2に示すような四角箱状の外装部材13を製造する。次に、図2の2点鎖線に示す位置から外装部材13の短手方向における一側部を切断する。すなわち、外装部材13を、開口部13aを有する袋状部材13bと、該開口部13aを閉鎖する蓋部材13cとに分離する。そして、袋状部材13bの開口部13aからその内部空間にブロック体12を収容し、蓋部材13cを袋状部材13bに溶着する。すると、外装部材13が四角箱状に成形され、ブロック体12全体が外装部材13によって包まれるとともに、ブロック体12と外装部材13とが一体化される。
図4に示すように、貫通孔34の内部に配線・配管材33を配置するための配線・配管材支持ラック20を、防火区画壁Wに形成された貫通孔34に配設する。次に、配線・配管材支持ラック20に複数の配線・配管材33を支持させるとともに、防火区画壁Wに配線・配管材33を貫通させる。なお、配線・配管材33とは、建築物内に配設される配線(制御用ケーブル、同軸ケーブル、光ケーブル等)及び配管材(合成樹脂製可撓電線管、鋼製電線管等)の総称のことである。
次に、耐火処理材11及び耐火構造の作用について記載する。
(1)クッション性を有し、かつ非飛散性の材料で形成したブロック体12を熱膨張性耐熱材製の外装部材13で覆うことで、耐火処理材11を構成した。これによれば、ブロック体12を形成する材料が飛散することがなく、かつ、耐火処理材11の切断加工又は折り曲げ加工を行ってブロック体12の露出面が形成されても、その露出面からブロック体12を形成する材料が飛散することがない。そして、ブロック体12を形成する材料が飛散しないことで、ブロック体12の露出面を外装部材13とは別部材で覆う必要もなくなり、耐火処理材11を簡単に施工することができる。
(3)耐火処理材11は、ブロック体12の全体を熱膨張性耐熱材製の外装部材13で包むことにより形成されている。このため、耐火処理材11を圧縮変形させることができ、貫通孔34への充填状態では耐火処理材11の原形状への復帰によって隣接する耐火処理材11同士を圧接させることができる。また、ブロック体12が熱膨張性耐熱材製の外装部材13で包まれていることから、ブロック体12に熱が伝わらない限り、ブロック体12が外装部材13の外部に逃げることがないので、耐火処理材11がクッション性を失うことがない。
○耐火処理材11において、ブロック体12の全体を外装部材13で覆わなくても良い。例えば、ブロック体12を形成する六つの面のうち互いに対向する最も大きい二つの面のみ、外装部材13で覆うようにしても良い。又は、貫通孔34に耐火処理材11を充填した状態における耐火処理材11の前面及び背面を除く上下左右4方向のブロック体12の外面を、外装部材13で覆うようにしても良い。つまり、実施形態では、ブロック体12が非飛散性の材料によって形成されているため、ブロック体12の露出面からブロック体12を形成する材料が飛散することがないので、ブロック体12の露出面全体を外装部材13で覆う必要がないからである。そして、耐火構造において、火災等の発生時に、配線・配管材33が燃焼して隙間が形成されたとしても、配線・配管材33が燃焼して形成された隙間に向けて外装部材13が膨張し、互いに圧接する外装部材13同士が接合(溶着)する。したがって、外装部材13の膨張によって複数の耐火処理材11が一つの塊状となるのであれば、ブロック体12全体を外装部材13で覆わなくても、ブロック体12の一部を外装部材13で覆うだけでも、外装部材13同士を接合(溶着)させることができる。よって、耐火処理材11の製造コストを抑えながらも、貫通孔34が火炎、煙、有毒ガス、熱の流入経路になることを防止して耐火機能を発揮することができる。
○外装部材13を、軟質合成樹脂を主体とする熱膨張性耐火材で形成しても良い。
○外装部材13を形成する六つの面のうち互いに対向する最も大きい二つの面の外面において、外装部材13の長手方向に直交する方向へ延びる目盛りを、外装部材13の長手方向に沿って等間隔おきに複数設けても良い。これによれば、耐火処理材11の切断の際、目盛りを指標とすることができるので、耐火処理材11の切断作業が行い易くなる。
○耐火処理材11は直方体状でなくてもよく、球状、八面体状、三角錐状のように形状を変更しても良い。
○防火区画体として、コンクリート壁のような中実壁や床、天井、又は造営材を一対の壁材で挟んで形成する中空壁の貫通孔に耐火処理材11を用いて耐火処理構造を設けても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記ブロック体は、前記耐火処理材を折り曲げ加工又は切断加工した際に形成された露出面から前記ブロック体を形成する材料が飛散しない請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の耐火処理材。
Claims (4)
- 建築物の防火区画体を厚み方向に貫通して形成された貫通部の内面と該貫通部内に挿通された配線・配管材の外面との間に充填される耐火処理材であって、
クッション性を有し、かつ非飛散性の材料で形成されたクッション体を、膨張材を混入したゴムに加硫工程を経てなる熱膨張性耐火材又は軟質合成樹脂を主体とする熱膨張性耐火材からなる外装部材で全体を覆って形成される耐火処理材。 - 前記クッション体は、六面体状のブロック体であって、前記外装部材は、前記ブロック体の全ての面を覆って形成される請求項1に記載の耐火処理材。
- 袋状をなす前記外装部材によって前記クッション体の全体が覆われている請求項1に記載の耐火処理材。
- 前記クッション体は、難燃性の発泡体で形成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の耐火処理材。
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