JP5959040B2 - 気泡土の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、土木建築工事で発生した気泡土、特に気泡シールド工事で発生した気泡土の処理方法に関する。
密閉型シールドのうち、土圧式シールド工法は、シールドマシンの先端に設けられたカッターヘッドにより地盤を掘削し、該掘削で生じた土をいったんチャンバー内に取り込んだ後、該チャンバーに連通接続されたスクリューコンベアで後方に排出するとともに、チャンバー内の土圧を適正に保つことでカッターヘッド前方に拡がる切羽の安定を図る工法であり、泥水式シールド工法に比べて小規模な設備で足りることから、都心部における地下トンネル工事等に広く採用されている。
特に、気泡シールド工法は、界面活性剤からなる特殊気泡材で形成されたクリーム状の気泡をチャンバー内に注入し、あるいは切羽に向けて噴出させるようになっており、かかる気泡によって掘削土の流動性と止水性を向上させることができる。
そのため、チャンバー内での土粒子の付着やスクリューコンベアからの地下水の噴出が防止されることとなり、粘性地盤や砂礫地盤にも土圧式シールド工法を適用することが可能となる。
一方、スクリューコンベアを介してチャンバー内から排出された掘削土については、これに消泡剤を添加することにより、該掘削土に含まれる気泡を速やかに消滅させて流動性を元に戻し、残土処理の迅速化を図ることも行われている。
特開2005−021888号公報
しかしながら、消泡剤は、鉱物油を主成分としたものが一般的であるところ、鉱物油の地下水系への流入や河川あるいは海域への滲出による環境負荷が懸念される。
そのため、鉱物油を主成分とした消泡剤が添加された掘削土は、生態系に直接的な影響を及ぼす海洋投棄や、盛土や埋立土として再利用する際にこれらの成分が問題視され、産業廃棄物として扱わざるを得ない場合がある。
これに対し、消泡剤を用いずに掘削土内の気泡を自然に消滅させれば、上述した問題は解決されるが、そのためには、掘削土を一定期間静置しておく必要があるところ、大量の掘削土が発生する気泡シールド工事では、残土処理のために広大な処理ヤードの確保が必要となり、都心部における対策としては経済性に欠ける。
また、流動性が高い気泡混合土に固化剤を混合して、運搬性能を高めた上で処理する方法もあるが、処理費用が高価な上に場所を選ばずに処分できるものではないため、汎用性の高い対処方法とは言えない。
上記のような点があるため、特に近年の大断面シールドのような場合、排出される掘削土の量が莫大であることから、素早く安価に気泡混合土の処理を行う方法が求められている。
また、界面活性剤自体、最近では生分解性を有するものが用いられているものの、生分解には時間を要するため、掘削土内の界面活性剤が溶出しないようにすることで、地下水系や海域といった環境への負荷を可能な限り低減することが望ましい。特に、界面活性剤の濃度が一時的に高くなることが懸念される場合には、溶出防止の必要性はより高くなる。
ここで、掘削土に界面活性剤が混入している場合、該掘削土の含水比をいったん高めることで界面活性剤を水に遊離させた上、その水を集水し、活性汚泥を利用した生物処理や酸化処理を行った後、掘削土の含水比を元に戻す手法も考えられるが、処理土量が多い場合には経済的な負担が大きく、現場で実施するのは難しい状況であった。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、気泡シールド工事で生じた掘削土のように気泡によって流動性が高くなっている気泡土に対し、消泡剤や固化剤を用いることなくかつ速やかに流動性を低下させることが可能な気泡土の処理方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、気泡の元になっていた界面活性剤の溶出を防止することが可能な気泡土の処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る気泡土の処理方法は請求項1に記載したように、気泡土を、該気泡土に対して相対移動する衝撃付与部材から衝撃が付与されるように該衝撃付与部材に接触させることにより、前記気泡土を破砕しつつ該気泡土中の気泡を破泡する気泡土の処理方法であって、円筒状ケーシングの材軸に沿ってほぼ鉛直になるように配置されたシャフトの周面に前記衝撃付与部材をその基端側で取付け、前記シャフトをその材軸廻りに回転させつつ、その回転に伴う前記衝撃付与部材の旋回範囲に前記気泡土を自然落下させることで、該気泡土を前記衝撃付与部材に接触させるとともに、前記気泡土を自然落下させる際、下方から上方に向かう空気流を前記円筒状ケーシングの内部空間で発生させるものである。
また、本発明に係る気泡土の処理方法は、前記衝撃付与部材を鎖部材で構成したものである。
また、本発明に係る気泡土の処理方法は、前記シャフト、前記衝撃付与部材及び前記円筒状ケーシングからなる破砕破泡設備を土砂搬送方向に沿って列状に複数設置するとともに、それらの円筒状ケーシングのうち、上流側の円筒状ケーシングの下方に機首が位置し下流側の円筒状ケーシングの上方に尾端が位置するように該2つの円筒状ケーシングの間にベルトコンベヤを配置したものである。
また、本発明に係る気泡土の処理方法は、前記衝撃付与部材による破砕破泡処理を行うとともに、該破砕破泡処理と同時に又は相前後して、その処理土に活性炭を添加するものである。
また、本発明に係る気泡土の処理方法は、前記気泡土を気泡シールドのチャンバーから排出される掘削土としたものである。
本発明に係る気泡土の処理方法においては、気泡土を衝撃付与部材に接触させることにより、該気泡土を破砕しつつ、該気泡土中の気泡を破泡しあるいは消泡する。
このようにすると、気泡の消滅に伴い、気泡によるベアリング効果も消滅するとともに、粘性土の場合には、気泡土の破砕によって気泡土全体の表面積が増加するので、気泡の原材料である界面活性剤が土粒子に吸着保持されやすくなる。
そのため、衝撃付与部材に接触させた後の処理土は、接触前の気泡土よりも流動性が大幅に低下することとなり、かくして搬送や積込みといった残土処理を容易に行うことが可能になる。
衝撃付与部材は、気泡土に対して相対移動することにより、該気泡土に接触して衝撃を付与し得るものであって、材軸がほぼ鉛直になるようにかつ該材軸廻りに回転自在となるように保持されたシャフトの周面に衝撃付与部材をその基端側で取付け、シャフトを回転させつつ、その回転に伴う衝撃付与部材の旋回範囲に気泡土を自然落下させる構成とする。
衝撃付与部材は、シャフトの回転に伴って該シャフトの材軸回りに旋回することにより、自然落下する気泡土に衝撃を付与し得るものであれば、その構造や形状は任意であって、全体を剛体で形成する、全体を可撓性材料で形成する、複数の鋼製ピースを長尺状に連結するといった構成が可能であり、具体的には鋼製のロッド材で衝撃付与部材を構成したり、鋼製の鎖部材、すなわち鋼製チェーンで構成することが可能である。ちなみに、鋼製の鎖部材で構成した場合、鎖部材は、シャフト静止時には該シャフトから垂れ下がった状態であるが、シャフト回転時には該シャフトの材軸廻りに旋回し、その旋回力によって、気泡土を粉砕しつつ、該気泡土内の気泡を破泡する。
シャフトは、円筒状ケーシングの内部空間であってその材軸に沿うように配置する。このようにすれば、衝撃付与部材の旋回による気泡土への衝撃の際、該気泡土が周囲に飛散するのを防止することができる。
ここで、衝撃付与部材による破砕破泡処理において気泡土を自然落下させる際、下方から上方に向かう空気流を円筒状ケーシングの内部空間で発生させることにより、処理土の流動性がさらに低下することがわかった。
これは、衝撃付与部材による衝撃力に加えて、空気流による空気圧が気泡土に作用することにより、該気泡土中に存在していた気泡がより確実に破泡しあるいは消泡するからであると思われる。
衝撃付与部材は、旋回の際、所定角度ごとに放射方向に延びるよう、複数設置することができるとともに、自然落下する気泡土が次々に衝撃力を受けることができるよう、鉛直方向に沿って複数段に配置することが可能である。
気泡土は、円筒状ケーシングの上部開口から投入し、シャフトの回転によって衝撃付与部材を旋回させながら、円筒状ケーシング内を自然落下させ、しかる後、円筒状ケーシングの下方から気泡が破泡された処理土を回収すればよく、気泡土を連続的に投入するのか、間欠的に投入するのか、あるいは、ベルトコンベヤの尾端を円筒状ケーシングの上方に位置決めすることで気泡土を投入するのか、ホッパーを用いて円筒状ケーシングの上方から自然落下させるのかといった選択も任意である。
ここで、シャフト、衝撃付与部材及び円筒状ケーシングからなる破砕破泡設備を土砂搬送方向に沿って列状に複数設置するとともに、それらの円筒状ケーシングのうち、上流側の円筒状ケーシングの下方に機首が位置し下流側の円筒状ケーシングの上方に尾端が位置するように該2つの円筒状ケーシングの間にベルトコンベヤを配置するようにすれば、気泡土を搬送しながら、その破砕破泡処理を並行してかつ繰り返し行うことが可能となる。
上述したように、衝撃付与部材による破砕破泡処理によって処理土の流動性を低下させ、気泡が加わる前の状態に戻すことができるが、衝撃付与部材による破砕破泡処理を行うとともに、該破砕破泡処理と同時に又は相前後して、その処理土に活性炭を添加するようにすれば、処理土内の界面活性剤が活性炭に吸着保持されることにより、搬送や積込みといった残土処理がさらに容易になる。
また、界面活性剤自体が処理土から溶出しなくなるため、海洋投棄した場合や盛土あるいは埋立土として再利用した場合において、界面活性剤の海域への滲出や地下水系への流入が確実に防止される。特に、生分解可能な界面活性剤を用いるようにすれば、溶出防止作用と相俟って、環境への影響をより確実に回避することが可能となる。
界面活性剤は、活性炭によって吸着され得るものであれば、その種類は任意であり、例えば、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(以下、AOS)も含まれる。AOSは、魚の生息する水域に高濃度で溶け出すと、魚のエラに付着して呼吸困難を起こさせることで魚毒性を示す性質があるが、本発明によれば、活性炭に吸着されることでその溶出が防止されるため、生分解性が良好であることとも相俟って、埋立土としての再利用や海中投棄が可能となる。
活性炭は、処理土に含まれる界面活性剤が確実に吸着保持されるように、原材料の種類や粉末や粒体といった形態を適宜選択すればよい。例えば、おがくず由来の粉末活性炭を用いることが可能であり、活性炭を粉末状とすることで、処理土内への均一な添加混合が容易となる。
上述した衝撃付与部材による破砕破泡処理は、建築土木工事において発生するすべての気泡土に適用することが可能であるが、気泡シールド工事で発生する掘削土に適用するようにすれば、大量に発生する掘削土の運搬を効率よく行うことができるとともに、活性炭を添加する場合においては、界面活性剤の溶出が防止されるため、その大量の処理土を海中投棄したり、盛土や埋立土として再利用することも可能となる。
本実施形態に係る気泡土の処理方法の実施手順を示したフローチャート。 本実施形態に係る気泡土の処理方法を実施するための処理システムを示した概略図。 変形例に係る気泡土の処理方法を実施するための処理システムを示した概略図。 円筒状ケーシング12内に下方から上方に向かう空気流を発生させる様子を示した概略図。 変形例に係る気泡土の処理方法を実施するための処理システムを示した概略図。 実証試験の結果を示したグラフ。
以下、本発明に係る気泡土の処理方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る気泡土の処理方法の実施手順を示したフローチャート、図2は同処理方法を実施するための処理システムを示した概略図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る気泡土の処理方法においては、まず、シールドマシン5のチャンバー6から該チャンバーに連通接続されたスクリューコンベア1を介して気泡土としての掘削土を排出する(ステップ101)。
ここで、シールドマシン5には、界面活性剤からなる特殊気泡材で形成されたクリーム状の気泡8を切羽に向けて噴出させる気泡供給ライン7を設けてあり、かかる気泡によってチャンバー6内の掘削土の流動性及び止水性が向上する。
そのため、チャンバー6内での土粒子の付着やスクリューコンベア1からの地下水の噴出が防止されるが、チャンバー6から排出された掘削土には多くの気泡が含まれているため、そのままでは流動性が高くて残土処理が行いにくい。
そのため、本実施形態では、スクリューコンベア1の吐出側に設置された破砕破泡設備11に該スクリューコンベアから吐出された掘削土を投入することにより、該掘削土を破砕しつつ該掘削土中の気泡を破泡する(ステップ102)。
破砕破泡設備11は、円筒状ケーシング12と、その材軸に沿ってほぼ鉛直になるようにかつ回転自在となるように配置されたシャフト13と、該シャフトの周面に基端側が取り付けられた衝撃付与部材としての鎖部材14とからなり、シャフト13は、図示しないモータによってその材軸回りに回転できるようになっているとともに、鎖部材14は、リング状をなす複数の鋼製ピースを列状に相互に連結した、いわゆるチェーンであり、シャフト13の回転に伴って円筒状ケーシング12の内部空間をほぼ旋回範囲とした旋回運動をするようになっており、かかる円筒状ケーシング12の上部開口から掘削土を投入すると、掘削土は、円筒状ケーシング12内を自然落下しながら、旋回する鎖部材14によって衝撃が付与されて破砕され、掘削土内の気泡が破泡する。
このようにすると、気泡の消滅に伴い、気泡によるベアリング効果も消滅するとともに、粘性土の場合には、掘削土の破砕によって土塊が小さくなり、掘削土全体の表面積が増加するので、気泡の原材料である界面活性剤が土粒子に吸着保持されやすくなる。
そのため、鎖部材14に接触させた後の処理土は、接触前の掘削土よりも流動性が大幅に低下し、搬送や積込みといった残土処理を容易に行うことが可能になる。
鎖部材14は、所定角度ごとに放射方向に延びるよう、90゜ごとであれば4本、120゜ごとであれば3本というように複数設置することができる。また、鎖部材14は、十分な衝撃力を掘削土に与えることができるよう、その先端に錘を適宜取り付けるとともに、自然落下する掘削土に次々に衝撃力を与えることができるよう、鉛直方向に沿って複数段に配置するのが望ましい。
次に、破砕破泡設備11によって気泡が破泡された処理土を、円筒状ケーシング12の下方に機首側が位置決めされたベルトコンベヤ15に落として後方に搬送し、その尾端側でラインミキサー2に送り込む(ステップ103)。
次に、ラインミキサー2内に活性炭を投入し、該ラインミキサー内の処理土と攪拌混合することで活性炭を処理土に均一に分散させる(ステップ104)。
活性炭は、ラインミキサー2に連通接続された活性炭供給ライン3を介して、地上に設置された活性炭貯留タンク(図示せず)から供給するようにすればよく、例えばおがくず由来の粉末活性炭を用いることが可能である。
このように、破砕処理及び破泡処理が終わった処理土に活性炭を添加すると、砂質土はもちろん、粘性土の場合であっても、処理土を構成する土塊の大きさが格段に小さくなっているため、活性炭が処理土内に均一に分散することとなり、処理土内の界面活性剤が活性炭に効率よく吸着保持されるとともに、搬送や積込みといった残土処理がさらに容易になる。
次に、活性炭処理が終わった土をラインミキサー2の下流側に配置されたベルトコンベヤ4でトンネル後方へと搬出する(ステップ105)。
以上説明したように、本実施形態に係る気泡土の処理方法によれば、シールドマシン5のチャンバー6内から排出される気泡土としての掘削土を破砕破泡設備11に投入することにより、シャフト13の回転に伴って旋回する鎖部材14に接触させて掘削土を破砕し、該掘削土中の気泡を破泡しあるいは消泡するようにしたので、砂質土か粘性土かといった土質性状にかかわらず、気泡によるベアリング効果が消滅するとともに、粘性土の場合には、細かく破砕された掘削土の土塊に界面活性剤が吸着保持される。
そのため、鎖部材14に接触した後の処理土は、接触前の掘削土よりも流動性が大幅に低下することとなり、かくして従来使われていた油性の消泡剤を使用せずとも、大量の掘削土を元の流動性に戻した上、搬送や積込みといった残土処理を容易に行うことが可能になる。加えて、自然消泡では必要不可欠となる広大な処理ヤードも不要となる。
また、本実施形態に係る気泡土の処理方法によれば、破砕破泡処理が終わった処理土に活性炭を添加するようにしたので、処理土内の界面活性剤が活性炭に吸着保持され、搬送や積込みといった残土処理がさらに容易になる。
また、破砕処理によって格段に小さくなった土塊や活性炭に界面活性剤が確実に吸着するため、界面活性剤は処理土から溶出しなくなる。そのため、海洋投棄した場合や盛土あるいは埋立土として再利用した場合において、界面活性剤の海域への滲出や地下水系への流入が確実に防止される。特に、生分解可能な界面活性剤を用いるようにすれば、溶出防止作用と相俟って、環境への影響をより確実に回避することが可能となる。
本実施形態では、本発明に係る気泡土の処理方法を気泡シールド工事に適用した例で説明したが、本発明はかかる工事に限定されるものではなく、気泡混入によって流動性が高くなった土を元の流動性に戻す必要がある全ての場合に適用することが可能である。
また、本実施形態では、破砕破泡処理が終わった後の処理土に活性炭を添加するようにしたが、処理土が砂質土であればもちろんのこと、粘性土の場合でも破砕処理によって土塊寸法が格段に小さくなるので、全体表面積は掘削土よりもはるかに大きくなる。そのため、活性炭を添加せずとも、処理土を構成する土塊あるいは土粒子への吸着だけで界面活性剤の溶出が防止できるのであれば、活性炭添加工程を省略してもかまわない。
特に、掘削土が砂質土の場合、所要の流動性を得るための気泡添加量は本来的に少量で足りる。そのため、上述した破砕破泡処理によって界面活性剤を液体として挙動し得る状態(破泡によって空気が追い出された状態)にしてやれば、砂質土の透水係数の高さとも相俟って、処理土中の界面活性剤は、該処理土をベルトコンベヤで搬送する途中やストックヤードで積置きしている間に処理土から容易に排出されることとなり、かくして、より確実に処理土を締まった状態にすることができるのみならず、活性炭添加による界面活性剤の溶出防止が不要になることが期待できる。
また、本実施形態では、鎖部材14で衝撃付与部材を構成するとともに、該鎖部材を、円筒状ケーシングの内部空間であってその材軸に沿うように配置されたシャフトに取り付けるようにしたが、鎖部材に代えて、例えばロッド材、鋼線、プロペラ状の羽根材等でもかまわないし、自然落下する気泡土に物理的な衝撃を加えることができるのであれば、衝撃付与部材の構成や形態は任意である。
さらに言えば、本発明に係る気泡土の処理方法は、気泡土を該気泡土に対して相対移動する衝撃付与部材に接触させることにより、気泡土を破砕しつつ該気泡土中の気泡を破泡させることができるのであれば、衝撃付与部材を気泡土に対してどのように相対移動させるかは、公知の相対移動手段から任意に選択し得るものであり、例えば衝撃付与部材を回転運動させる代わりに、水平面内で往復動させ、その往復動範囲に気泡土を自然落下させる構成を採用することが可能である。
また、本実施形態では、破砕破泡設備11を単体で用いる例を説明したが、図3に示すように破砕破泡設備11を土砂搬送方向に沿って列状に複数設置するとともに、それらの間にベルトコンベヤ21をそれぞれ配置するようにしてもよい。
各ベルトコンベヤ21は、それらの機首が上流側の破砕破泡設備11を構成する円筒状ケーシング12の下方に位置するように、かつそれらの尾端が下流側の破砕破泡設備11を構成する円筒状ケーシング12の上方に位置するようにそれぞれ配置してある。
このようにすると、シールドマシン5のチャンバー6内から排出される気泡土としての掘削土を後方に搬送しつつ、破砕破泡処理を繰り返し行うことが可能となる。
なお、このように破砕破泡処理を繰り返し行う場合には、最下流側の破砕破泡設備11の下流側にラインミキサー2を設置することにより、該最下流の破砕破泡設備を構成する円筒状ケーシング12に投入される処理土に予め活性炭を添加し、あるいは該円筒状ケーシングから排出された処理土に活性炭を添加する。
かかる構成においては、破砕処理と衝撃付与による破泡処理が十分に行なわれた後で、界面活性剤を活性炭に確実に吸着させることが可能となる。
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図4に示すように、円筒状ケーシング12の内部空間に連通する給気管41を該円筒状ケーシングの下端近傍に接続するとともに該給気管の基端側に給気ブロワ42を接続し、同じく円筒状ケーシング12の内部空間に連通する排気管43を該円筒状ケーシングの上端近傍に接続するとともに該排気管の先端側に排気ブロワ44を接続するようにしてもよい。
かかる構成において給気ブロワ42及び排気ブロワ44を作動させると、下方から上方に向かう空気流が円筒状ケーシング12の内部空間で発生し、かかる空気流は、円筒状ケーシング12内で自然落下する掘削土にぶつかって該掘削土に空気圧を作用させる。
そのため、掘削土には、鎖部材14による衝撃力に加えて、空気流による空気圧が作用することとなり、かくして掘削土中に存在する気泡をより確実に破泡させあるいは消泡させ、ひいては、掘削土の流動性をさらに低下させることが可能となる。
また、本実施形態では、気泡シールド工事への適用において、掘削土の破砕破泡処理や活性炭の添加及び攪拌混合処理をシールドマシン5で掘削されたトンネル内で行う例を説明したが、破砕破泡設備11がトンネル内に収まらない場合には、掘削土の破砕破泡処理や活性炭の添加及び攪拌混合処理を地上で行うようにしてもかまわない。
図5は、かかる変形例を示したものであり、同変形例においても上述した実施形態と同様、シールドマシン5のチャンバー6から該チャンバーに連通接続されたスクリューコンベア1を介して気泡土としての掘削土を排出するが、本変形例においては、かかる掘削土をベルトコンベヤやスラリーポンプ等を介して坑外に搬出した後、地上に設置された3台の破砕破泡設備11に順次投入することにより、該掘削土を破砕しつつ該掘削土中の気泡を破泡する。
このような地上処理であってもその作用効果は上述の実施形態と同様であって、破泡によるベアリング効果の消滅作用と、粘性土の場合における破砕による界面活性剤の土粒子への吸着保持作用により、処理土の流動性が掘削土よりも大幅に低下し、搬送や積込みといった残土処理が容易になる。
また、3台の破砕破泡設備11は図3と同様、土砂搬送方向に沿って列状に複数設置するとともに、それらの間にベルトコンベヤ21をそれぞれ配置してあり、チャンバー6からの掘削土に対し、破砕破泡処理を繰り返し行うことができるようになっているが、最下流側の破砕破泡設備11を構成する円筒状ケーシング12に投入される処理土に活性炭を添加するように構成すれば、上述した破泡によるベアリング効果の消滅作用と、破砕による界面活性剤の土粒子への吸着保持作用が十分に発揮された後で、界面活性剤を活性炭に確実に吸着させることが可能となる。
活性炭処理が終わった土については、掘削現場から搬出した後、海洋投棄処分し、あるいは盛土や埋立土として適宜再利用すればよい。
[実証試験]
次に、本発明による気泡土の流動性変化について実証試験を行った。
実証試験においては、まず、粘性土(土丹)からなる掘削土に、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(以下、AOS)を起泡剤とし、その1.5%溶液を15倍発泡させた気泡を50%添加し、ミキサーで混合することで気泡混合土を作製した。
次に、かかる気泡混合土を破砕破泡設備11に投入した場合のコーン指数の変化を調べた。結果を表1及び図6に示す。
Figure 0005959040
これらの図表でわかるように、鎖部材14を旋回させることなく、単に破砕破泡設備11に投入した場合(ケース1)、投入を5回繰り返しても、コーン指数は、20〜30kN/m2にとどまり、目標値である200kN/m2を大幅に下回った。また、上記条件に加え、送風(常温)を併せて行った場合についても(ケース2)、概ね同様の結果にとどまった。ここで、目標値の200kN/m2は、一般残土としてダンプトラックで運搬できる点を目安とした。
一方、鎖部材14の旋回速度を500rpmとした場合(ケース3〜4)、送風しないケース3では、コーン指数が100kN/m2程度にとどまったが、送風を行ったケース3では、3回の繰り返しで、ほぼ目標値である200kN/m2をクリアすることができた。
以上の結果から、破砕破泡設備11による衝撃力付与によって、気泡土の流動性を改善することが可能であり、特に、送風を加えた場合には、数度の繰り返しだけで、気泡土の流動性を十分に改善できることがわかった。
なお、送風しないケースでは、コーン指数が100kN/m2程度にとどまったものの、例えば粘性土ではなく砂質土の場合には、目標値である200kN/m2を確実にクリアできるであろうと推測できる。
1 スクリューコンベア
2 ラインミキサー
3 活性炭供給ライン
4 ベルトコンベヤ
5 シールドマシン
6 チャンバー
7 気泡供給ライン
11 破砕破泡設備
12 円筒状ケーシング
13 シャフト
14 鎖部材(衝撃付与部材)
15,21 ベルトコンベヤ

Claims (5)

  1. 気泡土を、該気泡土に対して相対移動する衝撃付与部材から衝撃が付与されるように該衝撃付与部材に接触させることにより、前記気泡土を破砕しつつ該気泡土中の気泡を破泡する気泡土の処理方法であって、円筒状ケーシングの材軸に沿ってほぼ鉛直になるように配置されたシャフトの周面に前記衝撃付与部材をその基端側で取付け、前記シャフトをその材軸廻りに回転させつつ、その回転に伴う前記衝撃付与部材の旋回範囲に前記気泡土を自然落下させることで、該気泡土を前記衝撃付与部材に接触させるとともに、前記気泡土を自然落下させる際、下方から上方に向かう空気流を前記円筒状ケーシングの内部空間で発生させることを特徴とする気泡土の処理方法。
  2. 前記衝撃付与部材を鎖部材で構成した請求項1記載の気泡土の処理方法。
  3. 前記シャフト、前記衝撃付与部材及び前記円筒状ケーシングからなる破砕破泡設備を土砂搬送方向に沿って列状に複数設置するとともに、それらの円筒状ケーシングのうち、上流側の円筒状ケーシングの下方に機首が位置し下流側の円筒状ケーシングの上方に尾端が位置するように該2つの円筒状ケーシングの間にベルトコンベヤを配置した請求項2記載の気泡土の処理方法。
  4. 前記衝撃付与部材による破砕破泡処理を行うとともに、該破砕破泡処理と同時に又は相前後して、その処理土に活性炭を添加する請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の気泡土の処理方法。
  5. 前記気泡土を気泡シールドのチャンバーから排出される掘削土とした請求項1乃至請求項4のいずれか一記載の気泡土の処理方法。
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