JP5958234B2 - 画像形成装置用部材、プロセスカートリッジ、画像形成装置、およびクリーニングブレード - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する像保持体と、
前記像保持体の表面に先端の角部を接触させて該表面をクリーニングし、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、且つ前記像保持体表面との動摩擦係数が0.4以上1.2以下であり、ヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成され、前記像保持体が停止している状態での前記角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での前記角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下であるクリーニングブレードと、
を備える画像形成装置用部材である。
前記クリーニングブレードは、少なくとも前記像保持体と接触する部分を含む領域を構成し、前記ポリウレタン部材で構成される接触部材と、
前記接触部材以外の領域を構成し、前記接触部材と異なる材料で構成され、且つ25℃の反撥弾性が35%以上55%以下である非接触部材と、
を有する請求項1に記載の画像形成装置用部材である。
前記接触部材のJIS A硬度より前記非接触部材のJIS A硬度が小さい請求項2に記載の画像形成装置用部材である。
表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する像保持体と、
前記像保持体の表面に先端の角部を接触させて該表面をクリーニングし、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、且つ前記像保持体表面との動摩擦係数が0.4以上1.2以下であり、ヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成され、前記像保持体が停止している状態での前記角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での前記角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下であるクリーニングブレードと、
を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記像保持体の表面に先端の角部を接触させて該表面をクリーニングし、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、且つ前記像保持体表面との動摩擦係数が0.4以上1.2以下であり、ヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成され、前記像保持体が停止している状態での前記角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での前記角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下であるクリーニングブレードと、
を備える画像形成装置である。
駆動する像保持体に接触して前記像保持体の表面をクリーニングする接触角部と、
前記接触角部が1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向の上流側を向く先端面と、
前記接触角部が1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向の下流側を向く腹面と、
前記先端面と1つの辺を共有し且つ前記腹面に対向する背面と、を有し、
前記接触角部から前記先端面が形成されている側の方向を厚み方向とした場合に、
少なくとも前記接触角部を含む領域を構成し、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、動摩擦係数が0.4以上1.1以下であり、且つヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成される接触部材と、
前記接触部材以外の領域を構成し、前記接触部材と異なる材料で構成され、且つ25℃の反撥弾性が35%以上55%以下である非接触部材と、
前記背面に接着され且つ接着された状態での先端面側端部から前記背面の先端面側端部までの長さが6.0mm以上8.0mm以下となるよう配置された支持部材と、を有し、
且つ前記接触部材と非接触部材とからなる部材の厚み方向長さが1.5mm以上2.0mm以下であるクリーニングブレードである。
本実施形態に係る画像形成装置用部材は、表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する像保持体と、前記像保持体の表面に先端の角部(以下「接触角部」と称す)を接触させて該表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備える。前記クリーニングブレードは、前記像保持体が停止している状態での接触角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での接触角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下である。
また、接触角部3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、図1には便宜上、像保持体(感光体ドラム)31が駆動する方向を矢印Aとして描いたが、図1は像保持体31が停止している状態を示している。
本実施形態に係る画像形成装置用部材では、クリーニングブレードの像保持体が停止している状態での接触角部の位置を基準とした場合の、像保持体が駆動している状態での接触角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下である。
ここで、図1および図2に示すごとく、像保持体(感光体ドラム)31が駆動した際にはクリーニングブレード342と像保持体31との接触部に動摩擦が生じ、この動摩擦によってクリーニングブレード342の前記駆動方向への巻き込みが発生する。移動距離とは、図1に示す像保持体31が駆動していない状態での接触角部3Aの位置と、図2に示す像保持体31が駆動しクリーニングブレード342の駆動方向(矢印A方向)への巻き込みが発生した状態での接触角部3Aの位置と、の差(図2中の「T」)を表す。
クリーニングブレードの腹面(図1における3C)の奥行き方向中央部において、接触角(図1における3A)から1mmあけた位置に歪みゲージ(共和電業(株)製、KFG−1−1−20−C1−11/2M2R)を貼り付ける。尚、貼り付けには接着剤(コニシ(株)製、ボンドアロンアルファ)を用い、クリーニングブレードの接触角部には接着剤が付着しないよう貼り付けを行う。前記歪みゲージを動歪み測定器(共和電業(株)製、DPM−602B)に接続し、クリーニングブレードを像保持体の表面に配置して像保持体を駆動させ、駆動前後でのクリーニングブレードの歪みを測定する。
移動距離については、事前にクリーニングブレードを透明の板に押し付けながら該板をゆっくりと移動させてその際のクリーニングブレードの移動距離と歪みを測定することで、移動距離と歪みとの関係を検証しておく。この事前に検証した関係、および前記の測定された歪みから、移動距離を算出する。
例えば、クリーニングブレードの像保持体と接触する部分の硬度が低いほど、移動距離は大きくなる傾向にある。
また、クリーニングブレードと像保持体との摩擦力が大きいほど、移動距離は大きくなる傾向にある。
尚、前記摩擦力は、クリーニングブレードの像保持体と接触する部分の材質、クリーニングブレードの像保持体への押し付け力、クリーニングブレードと像保持体との摩擦係数等により調整される。
また、前記押し付け力は、クリーニングブレードが像保持体に食込む長さ、クリーニングブレードと像保持体との接触部における角度W/A(Working Angle)、クリーニングブレード全体の反撥弾性、クリーニングブレードの自由長、クリーニングブレードの厚み方向長さ、クリーニングブレードのヤング率等により調整される。
まず、本実施形態に係る画像形成装置用部材が適用される、画像形成装置およびプロセスカートリッジの構成について、図面を用い一例を挙げて、詳細に説明する。但し、本実施形態に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジの構成は、図3に示す態様に限定されるものではない。
図3中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像エンジン、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム(像保持体の一種)、33は各現像ユニット(現像装置の一種)、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。尚、一次転写装置51と中間転写ベルト230と二次転写装置52とで本実施形態における転写装置を構成する。
また、図3中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像エンジン22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を、排出ロール67を逆転させ且つ入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
次に、図3に示すタンデム型画像形成装置内に配置されたクリーニング装置34について詳述する。
図4は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図3中に示すクリーニング装置34と共に、一体化されてプロセスカートリッジ化されている感光体ドラム31、帯電ロール32、現像ユニット33を示した図である。
図4中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
本実施形態のクリーニングブレードは、像保持体が停止している状態での接触角部の位置を基準とした場合の前記像保持体が駆動している状態での接触角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下となる。
また、クリーニングブレードが、前記接触部材と該接触部材以外の領域とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合には、接触部材以外の領域を構成する部材を「非接触部材」と称する。非接触部材は、1種の材料で構成されていても材料異なる2種以上の部材から構成されていてもよい。
尚、図6では接触部材として1/4にカットされた円柱の形状を有する部材の例を示したが、これに限定されるものではない。接触部材としては、例えば楕円状の円柱が1/4にカットされた形状や、正方形の四角柱、長方形の四角柱等の形状であってもよい。
例えば、クリーニングブレードの像保持体と接触する部分(接触部材)の硬度が低いほど、移動距離は大きくなる傾向にある。
例えば、クリーニングブレードの接触部材の材質がポリウレタンである場合であれば該ポリウレタンの結晶性を高めることによって、ヤング率は高くなる傾向にある。
また、NCOインデックス(NCO/OH比)を高くすることや、架橋剤を増量することによってヤング率は高くなる傾向にある。
また、クリーニングブレードと像保持体との摩擦力が大きいほど、移動距離は大きくなる傾向にある。尚、前記摩擦力とは、摩擦係数と垂直抗力との積により算出される物性である。
尚、クリーニングブレードと像保持体との動摩擦係数は、0.6以上0.8以下であることがより望ましい。
また、クリーニングブレード自体の動摩擦係数は、以下の方法にて測定される。装置として上記のものを用い、測定は、像保持体の表面にポリエチレンフィルムシールを張り付けたものを相手材とし、10mm×10mmのクリーニングブレード片を前記ポリエチレンフィルムシール部に押し付け、像保持体を回転させる。回転させた時の摩擦力を測定し、垂直抗力との除算(=摩擦力/垂直抗力)により算出する。
尚、上記押し付けられる力NFは、クリーニングブレードのバネ定数(gf/mm2)とクリーニングブレードを像保持体に押しつけた際の像保持体への食い込み量との積により算出される。
尚、通常は支持部材3423と背面3Dとの接着面はその全面に接着剤が塗布されて貼り付け合わされる。しかし、接着剤が支持部材3423の先端面3B側端部よりも更に先端面3B側にはみ出た状態で貼り付けられていてもよいし、逆に支持部材3423の先端面3B側端部にまで接着剤が塗布されていない状態、つまり支持部材3423の端部側に接着されない領域を有している状態で貼り付けられていてもよい。但し、上記いずれの場合であっても、ブレード自由長(F)は接着剤が塗布されている領域の端部ではなく支持部材3423の先端面3B側端部を基準とする。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおける接触部材は、特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。尚、前記の移動距離の要件を満たす観点から、ポリウレタンゴムが望ましく、特に高結晶化されたポリウレタンゴムがより望ましい。
結晶性の指標としては、吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が挙げられる。本実施形態におけるクリーニングブレードでは、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が180℃以上であることが望ましく、更には185℃以上であることがより望ましく、190℃以上であることが更に望ましい。尚、上限値としては220℃以下であることが望ましく、更には215℃以下であることがより望ましく、210℃以下であることが更に望ましい。
また、本実施形態では、ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、前記ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であることが望ましい。
ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上であることにより、ブレード表面での結晶面積が増え、摺動性向上の利点がある。一方、20μm以下であることにより、低摩擦化を維持しつつ、靱性(耐欠け性)を失わないとの利点がある。
上記平均粒子径は、更に5μm以上15μm以下であることがより望ましく、5μm以上10μm以下であることが更に望ましい。
ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2以上であることは、つまり様々な粒子径のものが混在していることを表し、小さい凝集体によって、ソフトセグメントとの接触面積が増えることによる高硬度化の効果が得られ、一方大きい凝集体によって、摺動性向上の効果が得られる。
上記粒度分布は、更に2以上5以下であることがより望ましく、2以上3以下であることが更に望ましい。
尚、画像の2値化は、画像処理ソフトOLYMPUS Stream essentials(オリンパス社製)を用い、結晶部を黒、非晶部を白になるよう色相/彩度/輝度の閾値を調整する。
標準偏差σ=√{(X1−M)2+(X2−M)2+・・・
・・・+(X500−M)2}/500
Xn:測定粒径n(n=1から500)
M:測定粒径の平均値
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリオールとして、ジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。なお、ソフトセグメント材料として用いられる上記ポリオールの市販品としては、例えば、ダイセル化学社製のプラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
また、ハードセグメント材料としては、イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂を用いることが望ましい。また、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を用いることが望ましい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られ、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されて、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、クリーニングブレードの欠けの発生が抑制される。
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
本実施形態における前記接触部材を構成するポリウレタンゴム部材の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
具体的には、ポリウレタン組成物を調整する際に、ポリオールやプレポリマーの温度を低くしたり、硬化・成形の温度を低くしたりすることにより、架橋の進行が遅くなるよう調整する。これらの温度(ポリオールやプレポリマーの温度、硬化・成形の温度)を低く設定して反応性を下げることにより、ウレタン結合部が凝集し、ハードセグメントの結晶体が得られるので、ハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう温度を調整する。
これにより、ポリウレタン組成物に含まれる分子が並んだ状態となり、DSCを測定した際に、結晶融解エネルギーの吸熱ピークトップ温度が前記範囲の結晶体を含むポリウレタンゴム部材が成形される。
なお、ポリオール、ポリイソシアネート、および架橋剤の量や、架橋剤の比率等は求められる範囲に調整する。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加えて、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、架橋剤(例えば1,4−ブタンジオールやトリメチロールプロパン)を加えて混合し、クリーニングブレード形成用の組成物を調製する。
更に架橋反応させ、冷却した後にカットしクリーニングブレードが形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
前記特定部材においては、ポリウレタンゴム中における化学架橋(架橋剤による架橋)「1」に対する物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)の比率が、1:0.8乃至1:2.0であることが望ましく、更には1:1乃至1:1.8であることが望ましい。
化学架橋に対する物理架橋の比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体がより成長され結晶由来の低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
σ=2C1(λ−1/λ2)+2C2(1−1/λ3)
σ:応力、λ:歪、C1:化学架橋密度、C2:物理架橋
尚、引張り試験による応力−歪曲線より10%伸長時のσとλを用いる。
ソフトセグメントに対するハードセグメントの比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体量も増えることにより低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおける非接触部材は、特に限定されずに公知の如何なる材料をも用い得る。
・反撥弾性
非接触部材は、50℃の反撥弾性が70%以下である材料で構成されることが望ましい。更には、60%以下であることがより望ましく、50%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に30%以上であることが望ましく、40%以上であることがより望ましい。
また、本実施形態に係るクリーニングブレードにおける非接触部材は、100%永久伸びが1.0%以下である材料で構成されることが望ましく、0.5%以下であることがより望ましく、0.4%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に0.1%以上であることが望ましく、0.2%以上であることがより望ましい。
JIS K6262(1997年)に準拠して、短冊状試験片を用い、100%引張りひずみを与えて24時間放置し、下記式の通り標線間距離より求められる。
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6262に規定の短冊状試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から短冊状試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が短冊状試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって短冊状試験片を形成し、この短冊状試験片について上記の測定が行われる。
ポリオールとしては、ポリテトラメチルエーテルグリコール、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。中でもMDIが望ましい。
更に、ポリウレタンを硬化させる硬化剤として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの硬化剤が挙げられる。
尚、図5に示す二層構成などの複数層構成の場合には、接触部材としての第一層および非接触部材としての第二層(3層以上の層構成である場合には複数の層)を、相互に貼り合わせることによりクリーニングブレードが作製される。上記貼り合わせる方法としては、両面テープ、各種接着剤等が好適に用いられる。また、成型時に時間差を置いて各層の材料を金型に流し込み、接着層を設けずに材料間で結合させることによって複数の層を接着してもよい。
次に、図3に示すタンデム型画像形成装置内に配置された像保持体(感光体ドラム)31について詳述する。
本実施形態における像保持体としては、例えば、基体と感光層と表面層とを有する態様が挙げられる。
ここで、本実施形態における感光層は電荷輸送能と電荷発生能とを併せ持つ機能一体型の感光層であってもよいし、電荷輸送層と電荷発生層とを含む機能分離型の感光層であってもよい。さらには、下引層等のその他の層を設けてもよいし、表面層を有しない態様であってもよい。
図8は、本実施形態における像保持体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図8中、1は基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、4は下引層、5は表面層を表す。
図8に示す像保持体は、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される(第1の態様)。
図9に示す像保持体は、基体1上に、下引層4、感光層6、表面層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図8に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である(第2の態様)。
第1の態様に係る像保持体は、図8に示す通り、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面層5がこの順に積層された層構成を有する。
基体1としては、導電性を有する基体が用いられ、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、または、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
リン酸、クロム酸およびフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
下引層4は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有した層として構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
また、下引層4は、ビッカース強度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層4はいかなる厚さに設定してもよいが、厚さが15μm以上が望ましく、さらに望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
電荷発生層2Aは、少なくとも電荷発生材料および結着樹脂を含有する層であることが望ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属フタロシアニン顔料や無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以下800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
電荷輸送層2Bは、少なくとも電荷輸送材料と結着樹脂とを含有する層であるか、または高分子電荷輸送材を含有する層であることが望ましい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
表面層5は、少なくともフッ素含有樹脂および電荷輸送性材料が縮合重合された重合体を含有する。
フッ素含有樹脂としては、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられ、これらの中から1種あるいは2種以上を選択して用いる。尚、より望ましくは4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂であり、特に望ましくは4フッ化エチレン樹脂である。
尚、上記フッ素含有樹脂の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用いて、フッ素含有樹脂が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値をいう。
縮合重合される電荷輸送性材料とは、少なくとも1つの反応性官能基を有する電荷輸送性材料が挙げられ、例えば該反応性官能基としては−OH、−OCH3、−NH2、−SH、−COOH等が挙げられる。これらの反応性官能基を少なくとも2つ持つものが好適に挙げられ、さらには3つ以上持つものが好適に挙げられる。
F−((−R7−X)n1(R8)n3−Y)n2 (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R7およびR8はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0または1を示し、n2は1以上4以下の整数を示し、n3は0または1を示す。Xは酸素、NH、または硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH3、−NH2、−SH、または−COOHを示す。
尚、特にn1が0、n3が1であることが望ましく、その場合のR8はメチレン基、エチレン基、プロピレン基が望ましく、メチレン基がより望ましい。また、Yとしては−OHがより望ましい。
また、電荷輸送性材料が縮合重合された重合体は、更にグアナミン構造またはメラミン構造を有する化合物と架橋された架橋重合体であってもよい。
表面層5には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いてもよい。また、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させてもよい。
熱潜在性触媒として、たとえば有機スルホン化合物等をポリマーで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライトの如く空孔化合物に酸等を吸着させたもの、プロトン酸やプロトン酸誘導体を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒や、プロトン酸やプロトン酸誘導体を一級もしくは二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸やプロトン酸誘導体をビニルエーテル類やビニルチオエーテル類でブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などが挙げられる。
熱潜在性プロトン酸触媒のプロトン酸として、硫酸、塩酸、酢酸、ギ酸、硝酸、リン酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ポリカルボン酸類、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、o、m、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、プロトン酸誘導体として、スルホン酸、リン酸等のプロトン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属円などの中和物、プロトン酸骨格が高分子鎖中に導入された高分子化合物(ポリビニルスルホン酸等)等が挙げられる。プロトン酸をブロックする塩基として、アミン類が挙げられる。
これらの熱潜在性触媒は単独または二種類以上組み合わせても使用される。
表面層5は、溶媒中に前述の各成分を含む表面層形成用の塗布液を準備し、該塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱して少なくとも電荷輸送性材料を縮合重合して重合体を形成させ且つ乾燥させて溶媒を除去する加熱工程と、を経て形成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の作動を説明する。
図3に示す画像形成装置において、先ず各作像エンジン22(22a乃至22d)が各色に対応した単色トナー像を形成すると、各色の単色トナー像は中間転写ベルト230表面に、元の原稿情報と一致するよう順次重ね合わせて一次転写される。続いて、中間転写ベルト230表面に転写されたカラートナー像は、二次転写装置52にて記録媒体表面に転写され、カラートナー像が転写された記録媒体は定着装置66による定着処理を経た後、排紙部68へと排出される。
一方、各作像エンジン22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃される。
−クリーニングブレードA1−
接触部材(エッジ部材)と非接触部材(背面部材)とを有する、図6に示す形状のクリーニングブレードA1を、二色成形法により製造した。
まず、接触部材(エッジ部材)を2つ、腹面側同士を重ね合わせた形状に対応する空洞(接触部材形成用の組成物を流し込む領域)を有する第一金型と、接触部材および非接触部材(背面部材)を2つ、腹面側同士を重ね合わせた形状に対応する空洞を有する第二金型と、を準備した。
まず、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)およびポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)と、をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学社製、アクトフローUMB−2005B)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
脱水処理したポリテトラメチルエーテルグリコールに、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを混入し120℃で15分反応させ、生成したプレポリマーに硬化剤として1,4−ブタジオールおよびトリメチロールプロパンを併用したものを、非接触部材形成用組成物A1として用いた。
・下引層
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤にて酸化亜鉛に表面処理を施した。
この下引層用塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mmのアルミニウム基材上に浸漬塗布し、厚さ21μmの下引層を形成した。
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1部とともに酢酸ブチル100部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させて、電荷発生層用塗布液を得た。
この電荷発生層用塗布液を前記下引層表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
下記式で示される電荷輸送材料A1を2部、および下記構造式1で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3部を、テトラヒドロフラン10部およびトルエン5部に溶解して電荷輸送層用塗布液を得た。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、135℃にて35分加熱乾燥して、膜厚22μmの電荷輸送層を形成した。
分散剤(商品名:GF−400、東亞合成(株)製)0.1部をシクロペンタノン16部に溶解したのち、フッ素含有樹脂として四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)12部を加え、攪拌混合して、四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。その後、下記式で示される電荷輸送性材料B1を85部、ベンゾグアナミン樹脂(商品名:ニカラックBL−60、三和ケミカル(株)製)を2.8部、NACURE5225(キングインダストリー社製)を0.1部、シクロペンタノン240部に加えて、表面層形成用塗布液を調製した。
この表面層形成用塗布液を浸漬塗布法で、前述の電荷輸送層上に塗布し155℃で40分乾燥し、膜厚6μmの表面層を形成して、感光体A1を得た。
・クリーニングブレードの接触部材の動摩擦係数 :0.49
・クリーニングブレードの接触部材のヤング率 :28MPa
・クリーニングブレードの非接触部材の25℃の反撥弾性 :40%
・クリーニングブレードの接触部材のJIS A硬度 :93°
・クリーニングブレードの非接触部材のJIS A硬度 :63°
・クリーニングブレードの自由長 :7.5mm
・クリーニングブレードの厚み :2mm
画像形成装置として富士ゼロックス社製のDocuCentre IV C5570を用い、該画像形成装置の像保持体として前述の感光体A1を設置し、更に該感光体用のクリーニング装置におけるクリーニングブレードとして前記クリーニングブレードA1を装着した。尚、クリーニングブレードA1の装着の条件は以下の通りである。
・クリーニングブレードの像保持体に押し付けられる力NF
(Normal Force) :2.4gf/mm
・クリーニングブレードが像保持体に食込む長さ :1.2mm
・クリーニングブレードと像保持体との接触部における角度
W/A(Working Angle) :10.5°
・クリーニングブレードと像保持体との動摩擦係数 :0.6
上記の通り画像形成装置に装着したクリーニングブレードと感光体を用いて、感光体が停止している状態での接触角部の位置を基準とした場合の、感光体が駆動している状態での接触角部の位置までの移動距離を、前述の方法により測定した。
下記試験を高温高湿(28℃、85%)下にて実施し、試験後のクリーニングブレードA1における摩耗の発生の程度を観測した。1万枚プリントした後の、クリーニングブレード先端を超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500,KEYENCE社)にて観察し、摩耗度合いを測定した。
実施例1のクリーニングブレードA1作製において、接触部材における架橋剤の量を変更して、接触部材のJIS A硬度およびヤング率を下記に示すとおり調整した以外は、実施例1に記載の方法により、クリーニングブレードを作製した。
尚、クリーニングブレードの物性が以下の通り変化した。
・実施例2
・クリーニングブレードの接触部材のJIS A硬度 :92°
・クリーニングブレードの接触部材のヤング率 :26MPa
・実施例3
・クリーニングブレードの接触部材のJIS A硬度 :87°
・クリーニングブレードの接触部材のヤング率 :16MPa
・比較例1
・クリーニングブレードの接触部材のJIS A硬度 :78°
・クリーニングブレードの接触部材のヤング率 :8MPa
Claims (6)
- 表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する像保持体と、
前記像保持体の表面に先端の角部を接触させて該表面をクリーニングし、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、且つ前記像保持体表面との動摩擦係数が0.4以上1.2以下であり、ヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成され、前記像保持体が停止している状態での前記角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での前記角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下であるクリーニングブレードと、
を備える画像形成装置用部材。 - 前記クリーニングブレードは、少なくとも前記像保持体と接触する部分を含む領域を構成し、前記ポリウレタン部材で構成される接触部材と、
前記接触部材以外の領域を構成し、前記接触部材と異なる材料で構成され、且つ25℃の反撥弾性が35%以上55%以下である非接触部材と、
を有する請求項1に記載の画像形成装置用部材。 - 前記接触部材のJIS A硬度より前記非接触部材のJIS A硬度が小さい請求項2に記載の画像形成装置用部材。
- 表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する像保持体と、
前記像保持体の表面に先端の角部を接触させて該表面をクリーニングし、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、且つ前記像保持体表面との動摩擦係数が0.4以上1.2以下であり、ヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成され、前記像保持体が停止している状態での前記角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での前記角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下であるクリーニングブレードと、
を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記像保持体の表面に先端の角部を接触させて該表面をクリーニングし、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、且つ前記像保持体表面との動摩擦係数が0.4以上1.2以下であり、ヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成され、前記像保持体が停止している状態での前記角部の位置を基準とした場合の、前記像保持体が駆動している状態での前記角部の位置までの移動距離が10μm以上30μm以下であるクリーニングブレードと、
を備える画像形成装置。 - 駆動する像保持体に接触して前記像保持体の表面をクリーニングする接触角部と、
前記接触角部が1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向の上流側を向く先端面と、
前記接触角部が1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向の下流側を向く腹面と、
前記先端面と1つの辺を共有し且つ前記腹面に対向する背面と、を有し、
前記接触角部から前記先端面が形成されている側の方向を厚み方向とした場合に、
少なくとも前記接触角部を含む領域を構成し、前記像保持体と接触する部分が、ソフトセグメント材料としてのポリオールと、ハードセグメント材料としての樹脂であるイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂と、ポリイソシアネートと、を含む組成物の重合体であるポリウレタン部材であって、動摩擦係数が0.4以上1.1以下であり、且つヤング率が12MPa以上28MPa以下であるポリウレタン部材で構成される接触部材と、
前記接触部材以外の領域を構成し、前記接触部材と異なる材料で構成され、且つ25℃の反撥弾性が35%以上55%以下である非接触部材と、
前記背面に接着され且つ接着された状態での先端面側端部から前記背面の先端面側端部までの長さが6.0mm以上8.0mm以下となるよう配置された支持部材と、を有し、
且つ前記接触部材と非接触部材とからなる部材の厚み方向長さが1.5mm以上2.0mm以下であるクリーニングブレード。
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