JP2016009078A - 画像形成装置、およびプロセスカートリッジ - Google Patents

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小関 一浩
Kazuhiro Koseki
一浩 小関
景子 小野
Keiko Ono
景子 小野
太野 大介
Daisuke Tano
大介 太野
岩崎 真宏
Masahiro Iwasaki
真宏 岩崎
大輔 春山
Daisuke Haruyama
大輔 春山
山本 真也
Shinya Yamamoto
真也 山本
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Abstract

【課題】外添剤の除去性に優れた画像形成装置画像形成装置の提供。
【解決手段】導電性支持体、感光層、並びに、グアナミン構造およびメラミン構造を有する化合物から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SHおよび−COOHから選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層をこの順に有し、表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する電子写真感光体31と、少なくとも電子写真感光体31と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードを備えるクリーニング手段34と、を有する画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置、およびプロセスカートリッジに関する。
近年、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段を有する、いわゆるゼログラフィー方式の画像形成装置は、各部材、システムの技術進展により一層の高速化、長寿命化が図られている。これに伴い、各サブシステムの高速対応性、高信頼性に対する要求が従来にまして高くなっている。特に、画像書き込みに使用される電子写真感光体は、帯電装置、現像装置、転写装置、およびクリーニング装置などにより、電気的、機械的外力を多く受けるため、高速対応性や、高い信頼性が求められている。
例えば、特許文献1には、光導電材料と結着樹脂を主体としてなる光導電層を有する電子写真感光体において、結着樹脂が、イミダゾール化合物およびイミダゾリン化合物が選ばれる硬化剤により硬化されたエポキシ樹脂である電子写真感光体が開示されている。
また特許文献2には、感光層または裏面保護層に特定のオキシラン化合物A、或いは更にエポキシ基を2個以上有するオキシラン化合物Bを含有させた電子写真感光体が開示されている。
また特許文献3には、支持体上に感光層および保護層を有する電子写真感光体において、該保護層が硬化性フェノール樹脂を含有し、かつ、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基および置換基を有してもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される基の少なくとも1つを有する電荷輸送物質を含有する電子写真感光体が開示されている。
また特許文献4には、保護層がフェノール樹脂を含有し、かつ、該感光層が特定の化合物を含有する電子写真感光体が開示されている。
また、従来からゼログラフィー方式の画像形成装置においては、感光体等の像保持体の表面の残存トナー等を除去するための清掃手段として、クリーニングブレードが用いられている。
例えば特許文献5には、感光体ベルトに、高分子樹脂粉末,ステアリン酸亜鉛粉末,シリカ粉末等からなるトナー、またはステアリン酸亜鉛粉末を塗布することによって、表面に低摩擦膜が形成され、低摩擦膜は、クリーニングブレードの接触位置から、感光体ベルトの移動方向における上流側の定められた面積に形成された画像形成装置が開示されている。
また特許文献6には、ポリオール、イソシアネート化合物を少なくとも含むポリウレタン組成部を硬化・成形してなる注型タイプのポリウレタン部材からなるものであり、前記ポリウレタン部材は、外径0.5μm以上12μm未満のハードセグメント凝集体を含み、且つ、ハードセグメントの外径をa(μm)とし、その個数をb(個)としたとき、1000μmあたりのa×bが70以上1050未満であるクリーニングブレードが開示されている。
特開昭56−51749号公報 特開平8−278645号公報 特開2002−82469号公報 特開2003−186234号公報 特開平5−119676号公報 特開2010−134111号公報
本発明は、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
導電性支持体、感光層、並びに、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードを前記転写手段によって前記トナー像が転写された後の前記電子写真感光体の表面に接触させてクリーニングするクリーニング手段と、
を有する画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、
前記表面保護層が、フッ素含有粒子を含む請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、
前記クリーニングブレードにおける前記ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、前記ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であり、且つ前記ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、
導電性支持体、感光層、並びに、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層をこの順に有し、表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する電子写真感光体と、
少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードを前記記録媒体に前記トナー像が転写された後の前記電子写真感光体の表面に接触させてクリーニングするクリーニング手段と、
を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジである。
請求項5に係る発明は、
前記表面保護層が、フッ素含有粒子を含む請求項4に記載のプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
前記クリーニングブレードにおける前記ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、前記ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であり、且つ前記ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上である請求項4または請求項5に記載のプロセスカートリッジである。
請求項1に係る発明によれば、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層を備える電子写真感光体と、少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードと、を有するとの要件を満たさない場合に比べ、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れた画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、表面保護層がフッ素含有粒子を含まない場合に比べ、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れた画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であり且つハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上であるとの要件を満たさない場合に比べ、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れた画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層を備える電子写真感光体と、少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードと、を有するとの要件を満たさない場合に比べ、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れたプロセスカートリッジが提供される。
請求項5に係る発明によれば、表面保護層がフッ素含有粒子を含まない場合に比べ、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れたプロセスカートリッジが提供される。
請求項6に係る発明によれば、ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であり且つハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上であるとの要件を満たさない場合に比べ、トナー像を記録媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナー外添剤の除去性に優れたプロセスカートリッジが提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略模式図である。 本実施形態におけるクリーニング装置の一例を示す模式断面図である。 本実施形態における感光体およびクリーニングブレードの一例を示す概略図である。 本実施形態における感光体およびクリーニングブレードの他の一例を示す概略図である。 本実施形態における感光体およびクリーニングブレードの他の一例を示す概略図である。 本実施形態におけるクリーニングブレードが支持部材に支持されている状態を示す概略図である。 本実施形態における感光体の第1の態様を示す概略部分断面図である。 本実施形態における感光体の第2の態様を示す概略部分断面図である。 (A)乃至(C)はそれぞれゴースト評価の基準を示す説明図である。
以下、本発明の画像形成装置およびプロセスカートリッジの実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体(以下単に「感光体」とも称する)と、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、クリーニングブレードを前記転写手段によって前記トナー像が転写された後の前記電子写真感光体の表面に接触させてクリーニングするクリーニング手段と、を有する。
また、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する電子写真感光体と、クリーニングブレードを前記記録媒体に前記トナー像が転写された後の前記電子写真感光体の表面に接触させてクリーニングするクリーニング手段と、を備え、画像形成装置に対して脱着自在である。
尚、本実施形態に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体は、導電性支持体、感光層、並びに、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層をこの順に有する。
また、前記クリーニングブレードは、少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成される。
画像形成装置およびプロセスカートリッジにおいて、トナー転写後の感光体表面に残留するトナー粒子やトナー外添剤(トナー粒子表面に添加されている外添剤)は、クリーニング手段によって除去される。しかし、トナー外添剤はクリーニング手段をすり抜けて、感光体上に残留することがあり、この外添剤のすり抜けによって、画像形成の次のサイクルで前サイクルの露光履歴(露光像)が残る現象、いわゆるゴーストが発生することがある。
これに対し本実施形態では、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層を有する感光体と、接触部分の部材が吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つクリーニングブレードと、を有する。これにより、外添剤がすり抜けて感光体上に残留することが抑制され、画像におけるゴーストの発生が抑制される。その結果、長期に亘って画質に優れた画像を繰り返し形成し得る。
この効果が奏されるのは、上記構成の感光体とクリーニングブレードとを組み合わせることで相乗的に奏される、接触部分でのクリーニングブレードの安定的な挙動に起因するものと考えられる。尚、本実施形態によってクリーニングブレードの挙動が安定し、その結果長期に亘って繰り返し良好な画像が得られるメカニズムについては、必ずしも明確ではないものの、以下のように推察される。
つまり、上記構成の表面保護層によって感光体の粘性が低下することと、上記構成によってクリーニングブレードが高硬度化されることとが組み合わさり、クリーニングブレードの歪みが低減され、挙動が安定するものと推察される。
また従来、フッ素含有粒子が添加されていない表面保護層を有する感光体を用いた場合に、クリーニングブレードとの接触部分においてトルクが高くなり過ぎ、その結果該接触部分において異音が発生することがあった。
これに対し本実施形態によれば、上記構成を満たす感光体とクリーニングブレードとを組み合わせることにより、例え表面保護層中にフッ素含有粒子を含まない場合であっても、トルクの上昇が抑制され、感光体とクリーニングブレードとの接触部分での異音の発生が抑制される。
・クリーニングブレード:吸熱ピークトップ温度
本実施形態のクリーニングブレードは、感光体との接触部分を構成する部材の示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が180℃以上220℃以下である。更には185℃以上215℃以下であることが望ましく、190℃以上210℃以下であることがより望ましい。
従来においては、クリーニングブレードに耐摩耗性を付与しようとすると求められるゴム物性が得られず、その結果トナー中の外添剤がすり抜けて感光体上に残留し、この残留外添剤によりゴースト画像が発生することがあった。つまり、クリーニングブレードの挙動を安定させることが困難であった。これに対し本実施形態のクリーニングブレードであれば、優れたクリーニング性が得られる。吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が180℃以上と高いポリウレタン部材は、ポリウレタンの結晶性を高めることで達成され、本実施形態のクリーニングブレードは、結晶性を高めることでクリーニングブレードの歪みが低減されるものと推察される。
また、本実施形態では、接触部分を構成する部材の吸熱ピークトップ温度が上記範囲のクリーニングブレードと本実施形態の感光体とを組み合わせることで、優れたクリーニング性がより顕著に実現され、長期に亘って繰り返し良好な画像を得られる。
吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が180℃未満である、即ち結晶性が低いと、優れたクリーニング性が達成されず、感光体上での外添剤のすり抜けを抑制し得ない。また、耐摩耗性にも劣る。一方、吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が220℃を超える、即ち結晶性が高過ぎると、ゴム弾性が失われるために永久伸び性に劣り、被クリーニング部材と摺動することで欠けの発生が生じる。
本実施形態のクリーニングブレードは、結晶性を高めつつ且つ適正な範囲に制御し、つまり吸熱ピークトップ温度(溶融温度)を適正な範囲とすることで、感光体との接触の際の挙動の安定を実現し、また欠けを抑制し且つ優れた耐摩耗性をも実現している。
尚、吸熱ピークトップ温度(溶融温度)は、示差走査熱量測定(DSC)にてASTM D3418−99に準じて行なわれる。測定には、パーキンエルマー社製Diamond−DSCを使用し、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空のパンをセットし測定を行う。
吸熱ピークトップ温度(溶融温度)を上記範囲に制御する手段としては、ポリウレタン部材の結晶性を高めつつ且つ適正な範囲に制御する方法が挙げられる。特に限定されるものではないが、結晶性をより高めるには、ポリウレタンにおけるハードセグメント凝集体をより成長させる方法が挙げられ、より具体的にはポリウレタンにおける架橋構造の形成の際に化学架橋(架橋剤による架橋)よりも物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)がより効率的に進行するよう調整する方法が挙げられる。尚、ポリウレタンの重合の際に重合温度を低く設定するほど熟成時間が長くなり、その結果物理架橋がより多く進行する傾向にある。
上記制御方法の詳細については、後に詳述する。
・感光体:フッ素含有粒子
本実施形態においては、感光体の表面保護層に、更にフッ素含有粒子を含むことが好ましい。
フッ素含有粒子を含むことで、外添剤がすり抜けて感光体上に残留することがより顕著に抑制され、画像におけるゴーストの発生がより顕著に抑制される。その結果、長期に亘って画質に優れた画像を繰り返し形成し得る。
この効果が奏されるのは、表面保護層にフッ素含有粒子を含むことによって感光体の粘性がより低下し、上記構成のクリーニングブレードとの相乗効果により、クリーニングブレードの歪みが低減され、挙動が安定するためと推察される。
−画像形成装置およびプロセスカートリッジの構成−
まず、本実施形態に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジの構成について、図面を用い一例を挙げて、詳細に説明する。但し、本実施形態に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジの構成は、図1に示す態様に限定されるものではない。
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図1中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム(像保持体の一種)、33は各現像ユニット(現像装置の一種)、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。尚、一次転写装置51と中間転写ベルト230と二次転写装置52とで本実施形態における転写装置を構成する。
図1に示すタンデム型画像形成装置は、本体ハウジング21内に四つの色(本実施形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の作像ユニット22(具体的には22a乃至22d)を配列し、その図1内における上方には各作像ユニット22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト230が含まれるベルトモジュール23を配設する。一方、本体ハウジング21の図1内における下方には用紙等の記録媒体(図示せず)が収容される記録媒体供給カセット24を配設する。また、この記録媒体供給カセット24からの記録媒体の搬送路となる記録媒体搬送路25を垂直方向に配置したものである。
本実施形態において、各作像ユニット22(22a乃至22d)は、中間転写ベルト230の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、各感光体ユニット30と、各現像ユニット33と、共通する一つの露光ユニット40と、を備えている。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム(像保持体)31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電ロール(帯電装置)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34と、を一体的にサブカートリッジ化したものである。
また、現像ユニット(現像装置)33は、帯電された感光体ドラム31上に露光ユニット40にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施形態では例えば負極性)で現像するものである。尚、感光体ユニット30からなるサブカートリッジとクリーニング装置34とは、一体化されてプロセスカートリッジ(所謂Customer Replaceable Unit)を構成している。
また、図1中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
一方、露光ユニット40は、ユニットケース41内に例えば四つの半導体レーザ(図示せず)、一つのポリゴンミラー42、結像レンズ(図示せず)および各感光体ユニット30に対応するそれぞれのミラー(図示せず)を格納し、各色成分毎の半導体レーザからの光をポリゴンミラー42で偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体ドラム31上の露光ポイントに光像を導くよう配置したものである。
また、本実施形態において、ベルトモジュール23は、例えば一対の支持ロール(一方が駆動ロール)231,232間に中間転写ベルト230を掛け渡したものであり、各感光体ユニット30の感光体ドラム31に対応した中間転写ベルト230の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)51が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体ドラム31上のトナー像を中間転写ベルト230側に静電的に転写する。更に、中間転写ベルト230の最下流作像ユニット22dの下流側の支持ロール232に対応した部位には二次転写装置52が配設されており、中間転写ベルト230上の一次転写像を記録媒体に二次転写(一括転写)する。
本実施形態では、二次転写装置52は、中間転写ベルト230のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール521と、中間転写ベルト230の裏面側に配置されて二次転写ロール521の対向電極をなす背面ロール(本例では支持ロール232を兼用)と、を備えている。そして、例えば二次転写ロール521が接地されており、また、背面ロール(支持ロール232)にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加されている。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
また、記録媒体供給カセット24には記録媒体を送り出す送出しロール61が設けられ、この送出しロール61の直後には記録媒体を送出する搬送ロール62が配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録媒体搬送路25には記録媒体を定められたタイミングで二次転写部位へ供給するレジストレーションロール(位置合わせロール)63が配設されている。一方、二次転写部位の下流側に位置する記録媒体搬送路25には定着装置66が設けられ、この定着装置66の下流側には記録媒体排出用の排出ロール67が設けられており、本体ハウジング21の上部に形成された排紙部68に排出記録媒体が収容される。
更に、本実施形態では、本体ハウジング21の側方には手差し供給装置71が設けられており、この手差し供給装置71上の記録媒体は送出しロール72および搬送ロール62にて記録媒体搬送路25に向かって送出される。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を、排出ロール67を逆転させ且つ入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
[クリーニング装置]
次に、図1に示すタンデム型画像形成装置内に配置されたクリーニング装置34について詳述する。
図2は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図1中に示すクリーニング装置34と共に、一体化されてプロセスカートリッジ化されている感光体ドラム31、帯電ロール32、現像ユニット33を示した図である。
図2中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
クリーニング装置34は、残留トナーが収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するクリーニングケース341を有し、このクリーニングケース341の開口下縁には感光体ドラム31に接触配置されるクリーニングブレード342を図示外のブラケットを介して取り付ける一方、クリーニングケース341の開口上縁には感光体ドラム31との間が気密に保たれるフィルムシール344を取り付けたものである。尚、符号345はクリーニングケース341内に収容された廃トナーを側方の廃トナー容器に導く搬送部材である。
尚、本実施形態では、各作像ユニット22(22a乃至22d)の全てのクリーニング装置34において、クリーニングブレードとして本実施形態のクリーニングブレードが用いられている。また、クリーニングブレード342は、図2にはクリーニング装置34内のフレーム部材に直接固定した態様を示したが、これに限られず、バネ材を介して固定されてもよい。
次いで、本実施形態におけるクリーニングブレードの構成について説明する。
尚、ここでまず、クリーニングブレードの各部について説明する。以下においては、図3に示すごとく、クリーニングブレードは、駆動する感光体31に接触して感光体31の表面をクリーニングする接触角部3Aと、接触角部3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の上流側を向く先端面3Bと、接触角部3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の下流側を向く腹面3Cと、先端面3Bと1つの辺を共有し且つ腹面3Cに対向する背面3Dと、を有する。
また、接触角部3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、本明細書において、クリーニングブレードの感光体と接触する部分を含む領域を構成する部材を「接触部材」と称する。つまり、本実施形態のクリーニングブレードは前記接触部材のみからなっていてもよい。
また、クリーニングブレードが、前記接触部材と該接触部材以外の領域とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合には、接触部材以外の領域を構成する部材を「非接触部材」と称する。非接触部材は、1種の材料で構成されていても材料の異なる2種以上の部材から構成されていてもよい。
ここで、図面を用いて、本実施形態のクリーニングブレードの構成について詳述する。図3は、第1の実施形態に係るクリーニングブレードを示す概略図であり、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。また、図4は第2の実施形態に係るクリーニングブレードが、図5は第3の実施形態に係るクリーニングブレードが、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。
図3に示す第1の実施形態に係るクリーニングブレード342Aは、感光体ドラム31と接触する部分つまり接触角部3Aを含めて、全体が単一の材料から構成されており、即ち接触部材のみからなる態様である。
尚、本実施形態のクリーニングブレードは、図4に示す第2の実施形態のごとく、感光体ドラム31と接触する部分つまり接触角部3Aを含み、腹面3C側全面に渡って形成され且つ接触部材からなる第一層3421Bと、該第一層よりも背面3D側に形成され且つ接触部材とは異なる材料からなる背面層としての第二層3422Bと、が設けられた2層構成であってもよい。
更に、本実施形態のクリーニングブレードは、図5に示す第3の実施形態のごとく、感光体ドラム31と接触する部分つまり接触角部3Aを含み、1/4にカットされた円柱が奥行き方向に伸びた形状を有し該形状の直角部分が接触角部3Aを形成する、接触部材からなる接触部材(エッジ部材)3421Cと、接触部材3421Cの厚み方向の背面3D側および幅方向の先端面3Bとは反対側を覆い、つまり前記接触部材3421C以外の部分を構成する、接触部材とは異なる材料からなる背面部材3422Cと、が設けられた構成であってもよい。
尚、図5では接触部材として1/4にカットされた円柱の形状を有する部材の例を示したが、これに限定されるものではない。接触部材としては、例えば楕円状の円柱が1/4にカットされた形状や、正方形の四角柱、長方形の四角柱等の形状であってもよい。
ついで、本実施形態のクリーニングブレードにおいて少なくとも感光体と接触する部分を構成する接触部材の組成について説明する。
(接触部材)
本実施形態のクリーニングブレードにおける接触部材は、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ。
ポリウレタンの結晶性を高め、吸熱ピークトップ温度を上記範囲に制御する方法としては、例えば、ポリウレタンにおけるハードセグメント凝集体をより成長させる方法が挙げられる。具体的には、ポリウレタンにおける架橋構造の形成の際に化学架橋(架橋剤による架橋)よりも物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)がより効率的に進行するよう調整することで、ハードセグメント凝集体がより成長しやすい環境となる。尚、ポリウレタンの重合の際に重合温度を低く設定するほど熟成時間が長くなり、その結果物理架橋がより多く進行する傾向にある。
・吸熱ピークトップ温度
結晶性の指標としては、吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が挙げられる。本実施形態におけるクリーニングブレードでは、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱ピークトップ温度(溶融温度)が180℃以上であり、更には185℃以上であることがより望ましく、190℃以上であることが更に望ましい。尚、上限値としては220℃以下であり、更には215℃以下であることがより望ましく、210℃以下であることが更に望ましい。
・ハードセグメント凝集体の粒子径および粒度分布
また、本実施形態では、ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、前記ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であることが望ましい。
ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上であることにより、ブレード表面での結晶面積が増え、摺動性向上の利点がある。一方、20μm以下であることにより、低摩擦化を維持しつつ、靱性(耐欠け性)を失わないとの利点がある。
上記平均粒子径は、更に5μm以上15μm以下であることがより望ましく、5μm以上10μm以下であることが更に望ましい。
また、前記ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上であることが望ましい。
ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上であることは、つまり様々な粒子径のものが混在していることを表し、小さい凝集体によって、ソフトセグメントとの接触面積が増えることによる高硬度化の効果が得られ、一方大きい凝集体によって、摺動性向上の効果が得られる。
上記粒度分布は、更に2μm以上5μm以下であることがより望ましく、2μm以上3μm以下であることが更に望ましい。
尚、ハードセグメント凝集体の平均粒子径および粒度分布は、以下の方法により測定される。偏光顕微鏡(オリンパス製BX51−P)を用い、倍率×20にて画像を撮影し、画像処理を施して画像を2値化し、クリーニングブレード1本につき5点(1点につき5個の凝集体を測定)、クリーニングブレード20本について粒子径を測定し、計500個から平均粒子径を算出する。
尚、画像の2値化は、画像処理ソフトOLYMPUS Stream essentials(オリンパス社製)を用い、結晶部を黒、非晶部を白になるよう色相/彩度/輝度の閾値を調整する。
また、測定された500個の粒子径から以下の式により粒度分布(標準偏差σ)を算出する。
標準偏差σ(μm)=√{(X1−M)+(X2−M)+・・・
・・・+(X500−M)}/500
Xn:測定粒径n(n=1から500)
M:測定粒径の平均値
ハードセグメント凝集体の粒子径および粒度分布を上記範囲に制御する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、触媒による反応制御、架橋剤による三次元ネットワーク制御、熟成条件による結晶成長制御等の方法が挙げられる。
ポリウレタンゴムは、通常ポリイソシアネートとポリオールとを重合することで合成される。また、ポリオール以外にイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂を用いてもよい。尚、ポリウレタンゴムはハードセグメントとソフトセグメントとを有していることが望ましい。
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
ハードセグメントを構成する材料(ハードセグメント材料)とソフトセグメントを構成する材料(ソフトセグメント材料)との組み合わせとしては、特に限定されず、一方が他方に対して相対的に硬く、他方が一方に対して相対的に柔らかい組み合わせとなるよう公知の樹脂材料から選択し得るが、本実施形態においては、以下の組み合わせが好適である。
・ソフトセグメント材料
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリオールとして、ジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。なお、ソフトセグメント材料として用いられる上記ポリオールの市販品としては、例えば、ダイセル化学社製のプラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
・ハードセグメント材料
また、ハードセグメント材料としては、イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂を用いることが望ましい。また、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を用いることが望ましい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂の市販品としては、例えば、綜研化学社製のアクトフロー(グレード:UMB−2005B、UMB−2005P、UMB−2005、UME−2005等)が挙げられる。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、従来の一般的なエポキシ樹脂のごとく硬くて脆い性質を有するものではなく、従来のエポキシ樹脂よりも柔軟強靭性であるものが望ましい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、分子構造の面では、その主鎖構造中に、主鎖の可動性を高くし得る構造(柔軟性骨格)を有するものが好適であり、柔軟性骨格としては、アルキレン骨格や、シクロアルカン骨格、ポリオキシアルキレン骨格等が挙げられ、特にポリオキシアルキレン骨格が好適である。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料を用いる場合、ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下「ハードセグメント材料比」と称す)が10質量%以上30質量%以下の範囲内であることが望ましく、13質量%以上23質量%以下の範囲内であることがより望ましく、15質量%以上20質量%以下の範囲内であることが更に望ましい。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られ、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されて、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
・ポリイソシアネート
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
ポリイソシアネートのイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂100質量部に対する配合量は、20質量部以上40質量部以下が望ましく、更には20質量部以上35質量部以下がより望ましく、20質量部以上30質量部以下が更に望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、クリーニングブレードの欠けの発生が抑制される。
・架橋剤
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
架橋剤のイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂100質量部に対する配合量は2質量部以下が望ましい。2質量部以下であることにより、分子運動が化学架橋で拘束されることなく、熟成によるウレタン結合由来のハードセグメントが大きく成長し、求められる硬度が得やすくなる。
・ポリウレタンゴムの製造方法
本実施形態における前記接触部材を構成するポリウレタンゴム部材の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
尚、接触部材における吸熱ピークトップ温度(溶融温度)を前記範囲に制御する手段としては、ポリウレタン部材の結晶性を高めつつ且つ適正な範囲に制御する方法が挙げられ、例えばポリウレタンにおけるハードセグメント凝集体をより成長させる方法が挙げられる。具体的には、ポリウレタンにおける架橋構造の形成の際に化学架橋(架橋剤による架橋)よりも物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)がより効率的に進行するよう調整する方法が挙げられ、ポリウレタンの重合の際に重合温度を低く設定するほど熟成時間が長くなり、その結果物理架橋がより多く進行する傾向にある。
かかるポリウレタンゴム部材は、上述したポリオールに、イソシアネート化合物および架橋剤等を配合して、分子配列のムラが抑制され得る成形条件で成形する。
具体的には、ポリウレタン組成物を調整する際に、ポリオールやプレポリマーの温度を低くしたり、硬化・成形の温度を低くしたりすることにより、架橋の進行が遅くなるよう調整する。これらの温度(ポリオールやプレポリマーの温度、硬化・成形の温度)を低く設定して反応性を下げることにより、ウレタン結合部が凝集し、ハードセグメントの結晶体が得られるので、ハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう温度を調整する。
これにより、ポリウレタン組成物に含まれる分子が並んだ状態となり、DSCを測定した際に、結晶融解エネルギーの吸熱ピークトップ温度が前記範囲の結晶体を含むポリウレタンゴム部材が成形される。
なお、ポリオール、ポリイソシアネート、および架橋剤の量や、架橋剤の比率等は求められる範囲に調整する。
尚、クリーニングブレードの成形は、上記方法により調製されたクリーニングブレード形成用の組成物を、例えば、遠心成形や押し出し成形等を利用して、シート状に形成し、切断加工等を施すことにより作製される。
ここで、一例を挙げて、接触部材の製造方法の詳細を説明する。
まず、ソフトセグメント材料(例えばポリカプロラクトンポリオール)と、ハードセグメント材料(例えば2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂)を、混合(例えば質量比8:2)する。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加えて、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
続いて、イソシアネート化合物を更に加え、例えば窒素雰囲気下で反応させてプレポリマーを得る。この際の温度は40℃以上100℃以下であることが望ましく、更には60℃以上90℃以下であることが望ましい。また反応時間は30分間以上6時間以下であることが望ましく、更には1時間以上4時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、架橋剤(例えば1,4−ブタンジオールやトリメチロールプロパン)を加えて混合し、クリーニングブレード形成用の組成物を調製する。
次いで、遠心成形機の金型に上記クリーニングブレード形成用の組成物を流し込み、硬化反応させる。この際の金型温度は80℃以上160℃以下であることが望ましく、更には100℃以上140℃以下であることが望ましい。また反応時間は20分間以上3時間以下であることが望ましく、更には30分間以上2時間以下であることが望ましい。
更に架橋反応させ、冷却した後にカットしクリーニングブレードが形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
・物性
前記特定部材においては、ポリウレタンゴム中における化学架橋(架橋剤による架橋)「1」に対する物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)の比率が、1:0.8乃至1:2.0であることが望ましく、更には1:1乃至1:1.8であることが望ましい。
化学架橋に対する物理架橋の比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体がより成長され結晶由来の低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
尚、上記化学架橋と物理架橋との比率は、以下のMoobey−Rivilin式を用いて算出する。
Z=2C(λ−1/λ)+2C(1−1/λ
Z:応力、λ:歪、C:化学架橋密度、C:物理架橋
尚、引張り試験による応力−歪曲線より10%伸長時のZとλを用いる。
前記特定部材においては、ポリウレタンゴム中におけるソフトセグメント「1」に対するハードセグメントの比率が、1:0.15乃至1:0.3であることが望ましく、更には1:0.2乃至1:0.25であることが望ましい。
ソフトセグメントに対するハードセグメントの比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体量も増えることにより低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
尚、上記ソフトセグメントとハードセグメントとの比率は、H−NMRを用い、ハードセグメント成分としてイソシアネート、鎖延長剤、ソフトセグメント成分としてポリオールのスペクトル面積から組成比を算出する。
本実施形態における前記ポリウレタンゴム部材の重量平均分子量は、1000乃至4000の範囲内であることが望ましく、1500乃至3500の範囲内であることがより望ましい。
ついで、本実施形態のクリーニングブレードが、図4に示す第2実施形態や図5に示す第3実施形態のごとく、接触部材と該接触部材以外の領域(非接触部材)とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合における、非接触部材の組成について説明する。
(非接触部材)
本実施形態のクリーニングブレードにおける非接触部材は、特に限定されずに公知の如何なる材料をも用い得る。
・反撥弾性
非接触部材は、50℃の反撥弾性が70%以下である材料で構成されることが望ましい。更には、60%以下であることがより望ましく、50%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に30%以上であることが望ましく、40%以上であることがより望ましい。
50℃の反撥弾性(%)の測定は、JIS K6255(1996年)に準じて50℃環境下にて行われる。尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6255に規定の試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって試験片を形成し、この試験片について上記の測定が行われる。
非接触部材における50℃反撥弾性の制御方法としては、特に限定されるものではないが、例えば非接触部材がポリウレタンである場合であればポリオールの低分子量化や疎水性化によりガラス転移温度(Tg)を調整することで大きくなる傾向にある。
・永久伸び
また、本実施形態のクリーニングブレードにおける非接触部材は、100%永久伸びが1.0%以下である材料で構成されることが望ましく、0.5%以下であることがより望ましく、0.4%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に0.1%以上であることが望ましく、0.2%以上であることがより望ましい。
ここで、上記100%永久伸び(%)の測定方法について説明する。
JIS K6262(1997年)に準拠して、短冊状試験片を用い、100%引張りひずみを与えて24時間放置し、下記式の通り標線間距離より求められる。
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6262に規定の短冊状試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から短冊状試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が短冊状試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって短冊状試験片を形成し、この短冊状試験片について上記の測定が行われる。
非接触部材における100%永久伸びの制御方法としては、特に限定されるものではないが、例えば架橋剤量や、非接触部材がポリウレタンである場合であればポリオールの分子量を調整することで変動する傾向にある。
非接触部材に用いられる材料としては、例えば、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ポリウレタンゴムがよい。ポリウレタンゴムとしては、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタンが挙げられ、特にエステル系ポリウレタンが望ましい。
尚、ポリウレタンゴムを製造する際には、ポリオールとポリイソシアネートとを用いる方法がある。
ポリオールとしては、ポリテトラメチルエーテルグリコール、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。中でもMDIが望ましい。
更に、ポリウレタンを硬化させる硬化剤として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの硬化剤が挙げられる。
具体例を一例挙げて説明すると、例えば脱水処理したポリテトラメチルエーテルグリコールにジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを混入し反応させ生成したプレポリマーに、硬化剤として1,4−ブタジオールおよびトリメチロールプロパンを併用したものを用いることが望ましい。尚、反応調整剤等の添加剤を添加してもよい。
非接触部材の作製方法は、作製に用いる原材料に応じて、従来公知の方法が利用され、例えば、遠心成形や押し出し成形等を利用して形成し、定められた形状に切断加工等することにより作製される。
(クリーニングブレードの製造)
尚、図4に示す二層構成などの複数層構成の場合には、接触部材としての第一層および非接触部材としての第二層(3層以上の層構成である場合には複数の層)を、相互に貼り合わせることによりクリーニングブレードが作製される。上記貼り合わせる方法としては、両面テープ、各種接着剤等が好適に用いられる。また、成型時に時間差を置いて各層の材料を金型に流し込み、接着層を設けずに材料間で結合させることによって複数の層を接着してもよい。
また、図5に示す接触部材(エッジ部材)と非接触部材(背面部材)とを有する構成の場合には、図5に示す接触部材3421Cを2つ、腹面3C側同士を重ね合わせた半円柱の形状に対応する空洞(接触部材形成用の組成物を流し込む領域)を有する第一金型と、接触部材3421Cおよび非接触部材3422Cを2つ、腹面3C側同士を重ね合わせた形状に対応する空洞を有する第二金型と、を準備する。前記第一金型の前記空洞に接触部材形成用の組成物を流し込んで硬化させ接触部材3421Cが2つ重なった形状の第一成形物を形成する。次いで、上記第一金型を取り外した後、更に第二金型の空洞の内部に前記第一成形物が配置されるよう、第二金型を設置する。その後、第二金型の空洞内に、前記第一成形物を覆うよう非接触部材形成用の組成物を流し込み硬化させ、前記接触部材3421Cおよび非接触部材3422Cが2つ腹面3C側同士で重なった形状の第二成形物を形成する。次いで、形成された第二成形物を真ん中、つまり腹面3Cとなる部分で切断して、半円柱形状の接触部材が真ん中で分断されて1/4に切断された円柱形状となるようカットし、更に定められた寸法にカットすることで図5に示すクリーニングブレードが得られる。
また、前記垂直抗力は、言い換えればクリーニングブレードの感光体への垂直方向への押し付け力である。該垂直抗力は、クリーニングブレードが感光体に食込む長さ、クリーニングブレードと感光体との接触部における角度W/A(Working Angle)、クリーニングブレード全体の反撥弾性、クリーニングブレードの自由長、クリーニングブレードの厚み方向長さ等により調整される。
本実施形態におけるクリーニングブレードは、感光体に押し付けられる力NF(Normal Force)が1.35gf/mm以上3.15gf/mm以下の範囲であることが望ましく、1.5gf/mm以上2.25gf/mm以下の範囲であることがより望ましい。
また、クリーニングブレードの先端部が感光体に食込む長さが0.7mm以上1.5mm以下の範囲であることが望ましく、1.0mm以上1.4mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと感光体との接触部における角度W/A(Working Angle)は6°以上15°以下の範囲であることが望ましく、8.5°以上12.5°以下の範囲であることがより望ましい。
図2および図6に示すごとく、クリーニングブレード342は背面3Dに支持部材(ホルダー)3423が接着されて支持される。クリーニングブレード342の背面3Dの先端面3B側端部から、背面3Dに接着されている状態での支持部材3423の先端面3B側端部までの長さ、つまり背面3Dにおいて支持部材3423にて支持されていない領域の幅方向長さ(所謂ブレード自由長(F))は6.0mm以上8.0mm以下の範囲であることが望ましく、7mm以上7.5mm以下の範囲であることがより望ましい。
尚、通常は支持部材3423と背面3Dとの接着面はその全面に接着剤が塗布されて貼り付け合わされる。しかし、接着剤が支持部材3423の先端面3B側端部よりも更に先端面3B側にはみ出た状態で貼り付けられていてもよいし、逆に支持部材3423の先端面3B側端部にまで接着剤が塗布されていない状態、つまり支持部材3423の端部側に接着されない領域を有している状態で貼り付けられていてもよい。但し、上記いずれの場合であっても、ブレード自由長(F)は接着剤が塗布されている領域の端部ではなく支持部材3423の先端面3B側端部を基準とする。
また、クリーニングブレード(支持部材を含まず)の厚さ(図6に示す厚み方向長さ(T))は1.5mm以上2.0mm以下の範囲であることが望ましく、1.9mm以上2.0mm以下の範囲であることがより望ましい。
[感光体]
次に、図1に示すタンデム型画像形成装置内に配置された感光体31について詳述する。
本実施形態における感光体としては、例えば、導電性支持体と感光層と表面保護層とを有する。
ここで、本実施形態における感光層は電荷輸送能と電荷発生能とを併せ持つ機能一体型の感光層であってもよいし、電荷輸送層と電荷発生層とを含む機能分離型の感光層であってもよい。さらには、下引層等のその他の層を設けてもよい。
以下、本実施形態における感光体の構成について、図7乃至図8を参照して説明するが、本実施形態は図7乃至図8によって限定されることはない。
図7は、本実施形態における感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図7中、1は支持体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、4は下引層、5は表面保護層を表す。
図7に示す感光体は、支持体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面保護層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成され、表面保護層5が最外表面を構成する(第1の態様)。
図8は、本実施形態における感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図8中、6は機能一体型の感光層を表し、他は、図7中に示したものと同義である。
図8に示す感光体は、支持体1上に、下引層4、感光層6、表面保護層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図7に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層であり、表面保護層5が最外表面を構成する(第2の態様)。
以下、本実施形態における感光体の各層について、図7に示す感光体を代表例として取り上げて説明する。
(第1の態様)
第1の態様に係る感光体は、図7に示す通り、支持体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面保護層5がこの順に積層された層構成を有する。
・導電性支持体
支持体1としては、導電性を有する支持体が用いられ、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、または、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
第1の態様に係る感光体がレーザープリンターに使用される場合であれば、支持体1の表面は中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。但し、非干渉光を光源に用いる場合には粗面化は特に行わなくてもよい。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を接触させ、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、支持体1表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であるため、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、支持体1には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。
リン酸、クロム酸およびフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行われる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の他種に比べ被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
・下引層
下引層4は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有した層として構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
中でも上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、または、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60nm以上1000nm以下)の範囲であることが望ましい。
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m/g以上のものが望ましく用いられる。
さらに無機粒子に加えて、アクセプター性化合物を含有させてもよい。アクセプター性化合物としてはいかなるものでも使用し得るが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は任意に設定してもよいが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。さらに0.05質量%以上10質量%以下が望ましい。
アクセプター化合物は、下引層4の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、または、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接または有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加または噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加または噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間については任意の範囲で実施される。
湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌し、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌または分散したのち、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過または蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間については任意の範囲で実施される。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子はアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が望ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤も望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としてはいかなる物を用いてもよいが、具体的例としては3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用し得るが、乾式法または湿式法を用いることがよい。また、アクセプター付与とカップリング剤等による表面処理とを並行して行ってもよい。
下引層4中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は、任意に設定されるが、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
下引層4に含有される結着樹脂としては、公知のいかなるものでも使用し得るが、例えばポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が用いられる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
尚、下引層形成用塗布液中のアクセプター性を付与した金属酸化物とバインダー樹脂、または無機粒子とバインダー樹脂との比率は、任意に設定される。
下引層4中には種々の添加剤を用いてもよい。添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は金属酸化物の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いてもよい。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン等である。
ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独で若しくは複数の化合物の混合物または重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から選択される。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独または2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。さらにこの下引層4を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、支持体1上に下引層4が成膜される。
また、下引層4は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層4はいかなる厚さに設定してもよいが、厚さが15μm以上が望ましく、さらに望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
また、下引層4の表面粗さ(十点平均粗さ)はモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整される。表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。
塗布したものを乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜し得る温度で行われる。
・電荷発生層
電荷発生層2Aは、少なくとも電荷発生材料および結着樹脂を含有する層であることが望ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属フタロシアニン顔料や無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以下800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
電荷発生材料としては、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いることが望ましい。このヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とは異なるものであり、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料よりも短波長側にシフトさせたものである。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが望ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが望ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより望ましく、一方、BET比表面積が45m/g以上であることが望ましく、50m/g以上であることがより望ましく、55m/g以上120m/g以下であることが特に望ましい。平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、更に望ましくは0.3μm以下である。
更に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m/g以上であることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に回折ピークを有するものであることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0%以上4.0%以下であることが望ましく、2.5%以上3.8%以下であることがより望ましい。
電荷発生層2Aに使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2Aは、例えば、上記電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が用いられる。さらにこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2Aを形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2Aの膜厚は、望ましくは0.01μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.05μm以上2.0μm以下である。
・電荷輸送層
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料、結着樹脂等を含んで構成される。
電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。これらの結着樹脂は、単独または2種以上混合して用いてもよい。
なお、電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は、例えば10:1乃至1:5が望ましい。
電荷輸送層は、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
・表面保護層
表面保護層5は、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する。
〔電荷輸送材料〕
重合される電荷輸送材料は、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基(反応性官能基)を有する。これらの反応性官能基を少なくとも2つ持つものが好適に挙げられ、さらには3つ以上持つものが好適に挙げられる。
また、中でも、反応性官能基として水酸基(−OH)を有する反応性電荷輸送材料と、反応性基として−OCHを有する反応性電荷輸送材料と、の少なくとも2種の反応性電荷輸送材料を併用することが望ましい。
反応性官能基を有する電荷輸送材料としては、特に下記一般式(I)で示される化合物が望ましい。
F−((−R−X)n1(Rn3−Y)n2 (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0または1を示し、n2は1以上4以下の整数を示し、n3は0または1を示す。Xは酸素、NH、または硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、または−COOHを示す。
一般式(I)中、Fで示される正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が好適に挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が好適に挙げられる。
そして、一般式(I)で示される化合物は、更に下記一般式(II)で示される化合物であることが望ましい。
一般式(II)中、Ar乃至Arは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基または置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R−X)n1(Rn3−Yを示し、cはそれぞれ独立に0または1を示し、kは0または1を示し、Dの総数は1以上4以下である。また、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0または1を示し、n3は0または1を示し、Xは酸素、NH、または硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、または−COOHを示す。
一般式(II)中、Dを示す「−(−R−X)n1(Rn3−Y」は、一般式(I)と同義であり、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基である。
尚、特にn1が0、n3が1であることが望ましく、その場合のRはメチレン基、エチレン基、プロピレン基が望ましく、メチレン基がより望ましい。また、Yとしては−OHがより望ましい。
また、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn2に相当し、望ましくは、2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、望ましくは一分子中に2以上4以下、さらに望ましくは3以上4以下の、上記反応性官能基(−OH、−OCH、−NH、−SH、または−COOH)を有することが望ましい。
一般式(II)中、Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、各Ar乃至Arに連結され得る「−(D)」と共に示す。
[式(1)乃至(7)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R10乃至R12はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換または未置換のアリーレン基を表し、Dおよびcは一般式(II)における「D」、「c」と同義であり、sはそれぞれ0または1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。]
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)または(9)で表されるものが望ましい。
[式(8)、(9)中、R13およびR14はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。]
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
[式(10)乃至(17)中、R15およびR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、qおよびrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。]
上記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはAr乃至Arの説明で例示された上記(1)乃至(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記(1)乃至(7)のアリール基から1つの水素原子を除いたアリーレン基であることが望ましい。
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられる。なお、上記一般式(I)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
表面保護層の形成に用いられる全成分(固形分として残る材料)中における上記の電荷輸送材料の含有量は、85質量%以上であることが好ましく、またその上限値としては98質量%以下であることが好ましい。より好ましくは90質量%以上95質量%以下である。
〔グアナミン構造を有する化合物、メラミン構造を有する化合物〕
また、反応性電荷輸送材料が重合された重合体は、更にグアナミン構造またはメラミン構造を有する化合物と架橋された架橋重合体であってもよい。
グアナミン構造を有する化合物(グアナミン化合物)は、グアナミン骨格を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物およびその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、または炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R乃至Rは、それぞれ独立に水素、−CH−OH、または−CH−O−Rを示す。Rは、水素、または炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基を示す。
一般式(A)において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以上8以下であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
一般式(A)中、Rを示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、Rを示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R乃至Rを示す「−CH−O−R」において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以上8以下であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(A)で示される化合物としては、特に望ましくは、Rが炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R乃至Rがそれぞれ独立に−CH−O−Rで示される化合物である。また、Rは、メチル基またはn−ブチル基から選ばれることが望ましい。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ参照)で合成される。
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
一般式(A)で示される化合物の市販品としては、例えば、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126”以上DIC社製、”ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000”以上三和ケミカル(株)、などが挙げられる。
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後または市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
次に、メラミン構造を有する化合物(メラミン化合物)は、特に下記一般式(B)で示される化合物およびその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同じく、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物またはその多量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物またはその多量体と併用してもよい。
一般式(B)中、R乃至R12はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−R13を示し、R13は炭素数1以上5以下の分岐してもよいアルキル基を示す。R13としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂に準じて合成される)で合成される。
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。

一般式(B)で示される化合物の市販品としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日油社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(三和ケミカル(株))、などが挙げられる。
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後または市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
〔その他の成分〕
・フッ素含有粒子
表面保護層5には、フッ素含有粒子を含むことがより好ましい。
フッ素含有粒子としては、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられ、これらの中から1種あるいは2種以上を選択して用いる。尚、より望ましくは4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂であり、特に望ましくは4フッ化エチレン樹脂である。
表面保護層に含まれるフッ素含有粒子の平均粒子径は、1600nm以下であることが好ましい。更には1400nm以下であることがより好ましく、1200nm以下であることが更に好ましい。
フッ素含有粒子の平均粒子径が上記上限値以下であることにより、クリーニングブレードの摩耗が更に効果的に抑制される。この理由は、必ずしも明確でないものの、以下のように推察される。即ち、平均粒子径が上記範囲であることは表面保護層においてフッ素含有粒子が凝集せずに良好に分散されていることを表しているものと考えられ、そのためフッ素含有粒子の凝集に基づく表面保護層の表面の荒れが効果的に抑制されるものと思われる。その結果、クリーニングブレードが感光体との接触部分で削られることが抑制され、クリーニングブレードの摩耗が更に効果的に抑制されるものと推察される。
尚、上記平均粒子径は、大塚電子社製の濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000を使用し、測定サンプルにはフッ素含有粒子の分散液をTHF(テトラヒドロフラン)で10倍に希釈した液を用いて、測定時間300sec、繰り返し回数1回、測定前待ち時間300の条件で測定される。
また、フッ素含有粒子の下記方法によって測定される一次粒径は、0.05μm以上1μm以下が好ましく、更には0.1μm以上0.5μm以下が好ましい。一次粒径が0.05μm以上であることにより、分散の際の凝集が効果的に抑制される。一方、1μm以下であることにより、画質欠陥の発生が効果的に抑制される。
フッ素含有粒子の一次粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)の撮影画像から測定される。
尚、フッ素含有粒子の平均粒子径を上記範囲に制御する観点から、用いるフッ素含有粒子の粒子径を事前に制御することが好ましく、また凝集を抑制する観点で表面保護層を形成するための塗布液の調製の際により分散させるほど平均粒子径が小さくなる傾向にある。
フッ素含有粒子の含有量は、表面保護層の全固形分に対して、5質量%以上12質量%以下であることが好ましく、より好ましくは7質量%以上10質量%以下である。
・他の添加剤
表面保護層5には、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いてもよい。また、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させてもよい。
また、表面保護層5には界面活性剤を添加してもよい。用いる界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を含む界面活性剤が好適に挙げられる。
表面保護層5には、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系またはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
表面保護層5には、前記電荷輸送材料や前記グアナミン化合物およびメラミン化合物の硬化を促進するための硬化触媒を含有させてもよい。硬化触媒として酸系の触媒が望ましく用いられる。酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、および芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料を用いることが望ましい。
硬化触媒としての含硫黄系材料は、常温(例えば25℃)、または加熱後に酸性を示すものが望ましく、有機スルホン酸およびその誘導体の少なくとも1種が最も望ましい。表面保護層5中にこれら触媒の存在は、エネルギー分散型X線分析(EDS)、X線光電子分光法(XPS)等により容易に確認される。
有機スルホン酸およびその誘導体としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が望ましい。また、硬化性樹脂組成物中で、解離し得るものであれば、有機スルホン酸塩を用いてもよい。
また、熱をかけた際に触媒能力が高くなる、所謂熱潜在性触媒を用いてもよい。
熱潜在性触媒として、たとえば有機スルホン化合物等をポリマーで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライトの如く空孔化合物に酸等を吸着させたもの、プロトン酸やプロトン酸誘導体を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒、プロトン酸やプロトン酸誘導体を一級もしくは二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸やプロトン酸誘導体をビニルエーテル類やビニルチオエーテル類でブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などが挙げられる。
中でも、プロトン酸やプロトン酸誘導体を塩基でブロックしたものが望ましい。
熱潜在性プロトン酸触媒のプロトン酸として、硫酸、塩酸、酢酸、ギ酸、硝酸、リン酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ポリカルボン酸類、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、o、m、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、プロトン酸誘導体として、スルホン酸、リン酸等のプロトン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属円などの中和物、プロトン酸骨格が高分子鎖中に導入された高分子化合物(ポリビニルスルホン酸等)等が挙げられる。プロトン酸をブロックする塩基として、アミン類が挙げられる。
アミン類は、1級、2級または3級アミンに分類される。特に制限はなく、いずれも使用してもよい。
1級アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミン等が挙げられる。
2級アミンとして、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、N−イソプロピルN−イソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジセカンダリーブチルアミン、ジアリルアミン、N−メチルヘキシルアミン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、モルホリン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
3級アミンとして、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−エチルピリジン、N−プロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノ−ル、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’ −テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾ−ル、N−メチルピペラジン等が挙げられる。
市販品としては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上pH6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p−トルエンスルホン酸解離、エチレングリコール溶媒、pH3.5以上pH4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−357」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上pH4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP−386」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上pH6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC−2211」(p−トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上pH8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上pH7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2−ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49−110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP−383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上pH7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃、「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度110℃)等が挙げられる。
これらの熱潜在性触媒は単独または二種類以上組み合わせても使用される。
ここで、触媒の配合量は、塗布液におけるフッ素含有粒子を除いた全固形分に対し、0.1質量%以上10質量%以下の範囲であることが望ましく、特に0.1質量%以上5質量%以下が望ましい。
〔表面保護層の形成方法〕
表面保護層5は、溶媒中に前述の各成分を含む表面保護層形成用の塗布液を準備し、該塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を加熱して少なくとも反応性電荷輸送材料を重合して重合体を形成させ且つ乾燥させて溶媒を除去する加熱工程と、を経て形成される。
尚、表面保護層用塗布液に用いられる溶媒としては、例えばシクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等の環状脂肪族ケトン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロペンタノール等の環状または直鎖状アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の直鎖状ケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状または直鎖状エーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒等が挙げられる。溶媒は1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
前記加熱工程においては、例えば温度100℃以上170℃以下で30分以上60分以下加熱することで前述の反応性官能基を有する電荷輸送材料が重合され、更に前述のグアナミン化合物やメラミン化合物を添加した場合であれば架橋重合が進行することで重合体が形成され、且つ溶媒が除去されて表面保護層5が得られる。
(単層型の感光層)
単層型の感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、結着樹脂、電荷発生材料、電荷輸送材料を含んで構成される。これら材料については、電荷発生層や電荷輸送層で説明したものが好適に挙げられる。
単層型の感光層において、電荷発生材料の含有量は10質量%以上85質量%以下が望ましく、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。
単層型の感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法が適用される。単層型感光層の厚さは5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下とするのがさらに望ましい。
(その他)
本実施形態に係る電子写真感光体において、感光層や表面保護層には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、または光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
また、感光層や表面保護層には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を添加してもよい。
また、感光層や表面保護層には、各層を形成する塗布液にレベリング剤としてシリコーンオイルを添加し、塗膜の膜厚ムラを抑制してもよい。
[現像剤]
以下、現像ユニット(現像装置)に使用される現像剤について説明する。
現像剤は、トナー単独の一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であってもよい。
・トナー
トナーは、体積平均粒径4.0μm以下(望ましくは2.5μm以上3.8μm以下、より望ましくは3.0μm以上3.5μm以下)の小径トナーが好ましく用いられる。体積平均粒径が上記範囲であることにより、階調性が優れ且つ高い解像度の画像が形成される。
また、トナーの平均円形度は、0.900以上0.998以下であることがよく、望ましくは0.950以上0.980以下である。
なお、トナーの体積平均粒径および平均円形度は、トナー粒子の体積平均粒径および平均円形度に相当する。
更に、トナーの平均形状係数SF1は100以上130以下がよく、望ましくは110以上130以下である。
ここで、トナー(トナー粒子)の体積平均粒径D50vの測定法は、次の通りである。
まず、分散剤として界面活性剤(望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
一方、トナー(トナー粒子)の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められ、測定対象となるトナーを吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(例えばシスメックス社製のFPIA−2100)によって求める。なお、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個である。
また、形状係数SF1は下記式により求められる。
式:SF1=100π×(ML)/(4×A)
上記式中、MLは粒子の最大長、Aは粒子の投影面積である。粒子の最大長と投影面積は、スライドガラス上にサンプリングした粒子を光学顕微鏡により観察し、ビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEX III、NIRECO社製)に取り込んで、画像解析を行うことにより求められる。この際のサンプリング数は100個以上で、その平均値を用いて、上記式に示す形状係数を求める。
−トナーの構成−
トナーは、トナー粒子と外添剤とを含んで構成される。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂や、その他、着色剤、離型剤、その他内添剤等を含有して構成される。
結着樹脂としては、特に制限はないが、スチレン類(例えばスチレン、クロロスチレン等)、モノオレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等)、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、代表的な結着樹脂としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、磁性粉(例えばマグネタイト、フェライト等)、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
その他内添剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤の表面は、予め疎水化処理をしてもよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−トナーの製造方法−
トナーは、例えば、トナー粒子を得た後、外添剤と混合してもよい。
トナー粒子の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、結着樹脂や、その他着色剤、離型剤その他内添剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液や、その他着色剤、離型剤その他内添剤等の分散液と、を混合し、凝集、加熱融着する乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体や、その他着色剤、離型剤その他内添剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂や、その他着色剤、離型剤その他内添剤等の溶液と、を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。
また、トナー粒子は、上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造のトナー粒子としてもよい。
なお、トナー粒子の製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナーは、トナー粒子および外添剤をヘンシェルミキサーまたはVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
・キャリア
キャリアとしては、例えば、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが挙げられる。
なお、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、例えば、トナー:キャリア=1:100から30:100程度の範囲が挙げられる。
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、前記した本実施形態における感光体ドラム(電子写真感光体、像保持体)31とクリーニング装置34とを備えたプロセスカートリッジを着脱させる形態であってもよい。
本実施形態に係るプロセスカートリッジの構成は、少なくとも、前記本実施形態に係る電子写真感光体およびクリーニング装置を備えていればよく、これらのほかに、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、および転写手段から選択される少なくとも1つの構成部材を備えていてもよい。
−作動−
次に、本実施形態に係る画像形成装置の作動を説明する。
図1に示す画像形成装置において、先ず各作像ユニット22(22a乃至22d)が各色に対応した単色トナー像を形成すると、各色の単色トナー像は中間転写ベルト230表面に、元の原稿情報と一致するよう順次重ね合わせて一次転写される。続いて、中間転写ベルト230表面に転写されたカラートナー像は、二次転写装置52にて記録媒体表面に転写され、カラートナー像が転写された記録媒体は定着装置66による定着処理を経た後、排紙部68へと排出される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃される。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」は「質量部」を意味する。
−電子写真感光体A1−
・下引層
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100部をメタノール500部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学工業社製)1.25部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60部と、アリザリン0.6部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製)15部と、をメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0部と、を添加し下引層用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引層を得た。
・電荷発生層
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜および28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10部およびn−ブチルアルコール300部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
・電荷輸送層
電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)6部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1部を混合してテトラヒドロフラン24部およびトルエン11部を混合溶解し、十分に攪拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で35分間乾燥し、膜厚が32μmの電荷輸送層を形成した。
・表面保護層
以下の方法により表面保護層を形成し、電子写真感光体A1を得た。
メラミン構造を有する化合物として前述の化合物(B)−1を2部、電荷輸送性材料として前述の化合物I−16を70部、酸化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを1部、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.15部、シクロペンタノン50部およびシクロペンタノール35部に加え混合溶解して調製液(1)を調製した。
次に、フッ素含有粒子としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE、平均一次粒径:0.2μm)を6部、フッ素くし型グラフトポリマー(商品名:GF400、東亞合成社製)を0.15部、シクロペンタノン20部およびシクロペンタノール15部に加え20℃の液温に保ち24時間攪拌混合し、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を6回繰り返し、調製液(2)を得た。上記調製液(1)と調製液(2)とを混合し、表面保護層用塗布液を得た。
この塗布液を前記電荷輸送層上に浸漬塗布法により塗布し、室温(25℃)で30分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚7μmの表面保護層を形成し、電子写真感光体A1を得た。
−電子写真感光体A2−
電子写真感光体A1の表面保護層において、調製液(1)の調製でシクロペンタノン50部を70部に、シクロペンタノール35部を50部に代え、調製液(2)を用いずに保護層用塗布液を得た以外は、同様にして表面保護層を形成し、電子写真感光体A2を得た。
−電子写真感光体A3−
電子写真感光体A1の表面保護層において、メラミン構造を有する化合物(B)−1をグアナミン構造を有する前述の化合物(A)−1に代えた以外は、同様にして表面保護層を形成し、電子写真感光体A3を得た。
−電子写真感光体A4−
電子写真感光体A3の表面保護層において、電荷輸送性材料としての化合物I−16:70部を、化合物I−16:50部と化合物I−8:50部に代えた以外は、同様にして表面保護層を形成し、電子写真感光体A4を得た。
−比較用電子写真感光体B1−
電子写真感光体A1の表面保護層において、メラミン構造を有する化合物(B)−1をレゾール型フェノール樹脂(フェノライトJ−325、DIC(株)製)に代えた以外は、同様にして表面保護層を形成し、比較用電子写真感光体B1を得た。
−比較用電子写真感光体B2−
比較用電子写真感光体B1の表面保護層において、調製液(1)の調製でシクロペンタノン50部を70部に、シクロペンタノール35部を50部に代え、調製液(2)を用いずに保護層用塗布液を得た以外は、同様にして表面保護層を形成し、比較用電子写真感光体B2を得た。
−クリーニングブレードA1−
まず、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)およびポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)と、をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学社製、アクトフローUMB−2005B)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物100部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)を6.26部加えて、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させた。尚、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるよう選択したものである。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14部加え、3分間泡を巻き込まないように混合し、クリーニングブレード形成用組成物A1を調製した。
次いで、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記クリーニングブレード形成用組成物A1を流し込み、1時間硬化反応させた。次いで、110℃で24時間熟成加熱し、冷却した後カットして、長さ320mm、幅12mm、厚さ2mmのクリーニングブレードA1を得た。
−クリーニングブレードA2−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を75℃に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードA2を得た。
−クリーニングブレードA3−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を85℃に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードA3を得た。
−クリーニングブレードA4−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を100℃に変更し、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を50/50に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードA4を得た。
−クリーニングブレードA5−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を75℃に、熟成加熱時間を32時間に変更し、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を65/35に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードA5を得た。
−クリーニングブレードA6−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を70℃に変更し、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を35/65に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードA6を得た。
−クリーニングブレードA7−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を70℃に、熟成加熱時間を32時間に変更し、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を35/65に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードA7を得た。
−比較用クリーニングブレードB1−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を150℃に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードB1を得た。
−比較用クリーニングブレードB2−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を115℃に変更し、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を45/55に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードB2を得た。
−比較用クリーニングブレードB3−
クリーニングブレードA1において、熟成加熱温度を75℃に、熟成加熱時間を32時間に変更し、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を70/30に変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードB3を得た。
−比較用クリーニングブレードB4−
クリーニングブレードA1において、ソフトセグメント材料を1,9−ノナンジオールとアジピン酸とから得た分子量2000の1,9−NDアジペートに変更した以外は、クリーニングブレードA1に記載の方法によりクリーニングブレードB4を得た。
〔物性の測定〕
クリーニングブレードの示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度(溶融温度)は、示差走査熱量測定(DSC)にてASTM D3418−99に準じて行なった。測定には、パーキンエルマー社製Diamond−DSCを使用し、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空のパンをセットし測定を行った。このときのDSCでの測定の際の昇温速度は3℃/mimとし、測定温度範囲は20℃から250℃とした。
また、クリーニングブレードのハードセグメントの凝集体の平均粒子径および粒度分布(標準偏差σ)を前述の方法により測定した。
また、ポリウレタンゴム中における化学架橋(架橋剤による架橋)と物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)との比率、ポリウレタンゴム中におけるハードセグメントとソフトセグメントとの比率を前述の方法により測定した。
更に、クリーニングブレードの硬度(JIS−A)を下記の方法により測定した。
硬度(JIS−A)は、JISK6253(1997)に記載のタイプA デュロメータを用いて測定した硬さであり、ブレードの感光体接触面を軸方向に3点測定し、平均値を求めることによって測定した。
<評価試験>
〔画像形成装置の構成〕
前記より得た電子写真感光体およびクリーニングブレードを下記表2乃至表7に記載の組み合わせの通り、それぞれ画像形成装置Docucenter−II C7500(富士ゼロックス社製)に装着した。
・電子写真感光体:φ=30mm
・プロセス速度:220mm/sec
・帯電装置:交流重畳直流の帯電ロール
・現像装置:2成分磁気ブラシ現像装置
・クリーニングブレード:長さ320mm、幅12mm、厚さ2mm、自由長8.0mm、接触角25度、押し付け力NF2.0gf/mm
試験は、重合法によって作製され、形状係数が123から128の範囲に分布し、平均粒径が6μmのトナー粒子に、TiO(STT100:平均粒子径30nm、チタン工業社製)、SiO(X24:平均粒子径100nm、信越化学工業社製)、SiO(RY50:平均粒子径40nm、日本アエロジル社製)および潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)からなる外添剤が、外添されてなるトナーを用い、このトナーを含む2成分現像剤を上記画像形成装置における現像器に収容して使用した。
この画像形成装置によるテストプリント(1色当たりの面積率5%)の画像をプリント枚数5枚の繰り返しで50,000枚分、高温高湿(28℃、85%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)、および中温中湿(22℃、55%RH)のそれぞれの環境で行った。
−外添剤すり抜け評価−
感光体表面のクリーニングブレードとの接触部分での、外添剤のすり抜けについて、以下の方法により評価した。
画像密度100%、幅50mmの帯チャートを採取中に画像形成装置を強制停止し、電子写真感光体を備えるドラムカードリッジを引き抜いた後に、クリーニングブレード通過後、帯電ロール突入前の、感光体ドラム表面を、レーザ顕微鏡(キーエンス社製Vk−9500)にて250μm×250μmの範囲内を撮影した。撮影範囲全体に対する外添剤の存在比率(シリカ被覆率(%))を指標として用いて、以下の基準で評価した。
A:シリカ被覆率2.5%未満
B:シリカ被覆率2.5%以上5.0%未満
C:シリカ被覆率5.0%以上
−ゴースト評価−
形成された画像でのゴーストの発生について、以下の方法により評価した。
図9に示すように、Gの文字と黒領域(黒べた部分)を有するパターンのチャートをプリントし、黒べた部分でのGの文字の現れ具合を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:図9(A)のごとく良好乃至軽微である
B:図9(B)のごとく若干目立つ
C:図9(C)のごとくはっきり確認される
−トルク評価−
感光体とクリーニングブレードとの接触部分でのトルクを、以下の方法により測定した。
トルクは、ドラムカードリッジ駆動部にシャフトを挿入し、当該駆動シャフトの先端にトルク計(東日製作所製:ATG24CN)を取り付け、回転させた動き出しの荷重読み値を静トルクとした。3回測定した平均値を用いて、以下の基準で評価した。
A:35N・cm未満
B:35N・cm以上45N・cm未満
C:45N・cm以上
−異音評価−
感光体とクリーニングブレードとの接触部分での異音の発生について、以下の方法により評価した。
プロセス速度を110mm/sec、55mm/secに変更して更に上記の試験を実施し、感光体とクリーニングブレードのこすれ時に発生する鳴き(異音)の発生の有無を確認し、以下の評価基準により評価した。
A:装置駆動音のみ聞こえる
B:装置駆動音以外わずかにブレードの鳴きが聞こえる程度
C:ブレード鳴きがひどく誰が確認しても耳障りと判断されるレベル
1 支持体、2 感光層、2A 電荷発生層、2B 電荷輸送層、4 下引層、5 表面保護層、6 機能一体型の感光層、21 本体ハウジング、22、22a乃至22d 作像ユニット(現像手段)、23 ベルトモジュール、24 記録媒体供給カセット、25 記録媒体搬送路、30 感光体ユニット、31 感光体ドラム(感光体)、32 帯電ロール(帯電手段)、33 現像ユニット、34 クリーニング装置(クリーニング手段)、35、35a乃至35d トナーカートリッジ、40 露光ユニット(静電荷像形成手段)、41 ユニットケース、42 ポリゴンミラー、51 一次転写装置(転写手段)、52 二次転写装置、53 ベルトクリーニング装置、61 送出しロール、62 搬送ロール、63 位置合わせロール、66 定着装置、67 排出ロール、68 排紙部、71 手差し供給装置、72 送出しロール、73 両面記録用ユニット、74 案内ロール、76 搬送路、77 搬送ロール、230 中間転写ベルト、231、232 支持ロール、331 ユニットケース、332 現像ロール、333 トナー搬送部材、334 搬送パドル、335 トリミング部材、341 クリーニングケース、342、342A、342B、342C クリーニングブレード、344 フィルムシール、345 搬送部材、521 二次転写ロール、531 クリーニングブレード、3421B 第一層、3422B 第二層、3421C 接触部材、3422C 背面部材

Claims (6)

  1. 導電性支持体、感光層、並びに、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層をこの順に有する電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードを前記転写手段によって前記トナー像が転写された後の前記電子写真感光体の表面に接触させてクリーニングするクリーニング手段と、
    を有する画像形成装置。
  2. 前記表面保護層が、フッ素含有粒子を含む請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記クリーニングブレードにおける前記ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、前記ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であり、且つ前記ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 導電性支持体、感光層、並びに、グアナミン構造を有する化合物およびメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、−OH、−OCH、−NH、−SH、および−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する電荷輸送性材料と、の架橋物を含有する表面保護層をこの順に有し、表面にトナー像が形成され且つ該トナー像を記録媒体上に転写する電子写真感光体と、
    少なくとも前記電子写真感光体と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度を180℃以上220℃以下の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードを前記記録媒体に前記トナー像が転写された後の前記電子写真感光体の表面に接触させてクリーニングするクリーニング手段と、
    を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
  5. 前記表面保護層が、フッ素含有粒子を含む請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
  6. 前記クリーニングブレードにおける前記ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、前記ハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であり、且つ前記ハードセグメントの凝集体の粒度分布(標準偏差σ)が2μm以上である請求項4または請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
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