JP5956775B2 - 反応性ポリシロキサン化合物、塗料組成物およびポリシロキサン変性樹脂フィルム - Google Patents

反応性ポリシロキサン化合物、塗料組成物およびポリシロキサン変性樹脂フィルム Download PDF

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本発明は、新規な反応性ポリシロキサン化合物、塗料組成物およびポリシロキサン変性樹脂フィルムに関する。さらに詳しくは、特に、紫外線硬化性、電子線硬化性或いは熱硬化性の塗料用材料として有用であり、塗料材料に利用した場合に、耐熱性、表面滑性、耐汚染性、撥水性、離型性といった機能性に優れた塗膜形成を可能にすることができ、且つ、その合成原料として二酸化炭素を利用することができるので、近年における環境問題への対応の点でも優れた製品の提供を可能にする反応性ポリシロキサン化合物及びその利用技術に関する。
ポリシロキサン系樹脂は無機構造であるシロキサン結合を主骨格に持つことに起因して、撥水性、耐熱性、表面滑性、離型性、絶縁性等の機能性に優れるため、従来より、塗料やコーティング剤の皮膜形成成分や改質剤として使用されている。ここで、ポリシロキサン樹脂の単独塗膜を得る方法としては、シラン化合物を加水分解して得られるシラノール基を有する化合物をモノマー単位として利用し、該化合物を含むものを塗料化し、該塗料を基材に塗布した後に、シラノール基を脱水縮合させ硬化させる方法が一般的である。
しかしながら、硬化塗膜を形成するための反応性基としてシラノール基を用いた場合、その硬化反応は高温で長時間を要するという欠点があり、さらに、無溶剤化や他の有機成分との併用が困難といった問題からも、その高い機能性を有する材料であるにもかかわらず、その応用には限界があった。これに対し、上記の課題を改良する目的で、化学構造中に反応性を有する有機基を導入したポリシロキサン化合物が考案されており、例えば、カルボキシル基、カルビノール基、不飽和基、エポキシ基といった官能基を導入したポリシロキサン化合物が、広く工業的に使用されている。
これら化合物の中でも不飽和基を有するポリシロキサン化合物は、UV硬化による塗膜形成材料やアクリル樹脂やスチレン樹脂への共重合による改質といった用途に用いられており、特に有用である。一般に、末端に不飽和基を有する化合物は、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランのような不飽和基を含むシラン化合物と、環状シロキサンとから合成される。このようにして合成した末端に不飽和基を含むポリシロキサン化合物はシンプルな構造を持つが、極性基を持たないことから硬化塗膜の機械的強度や基材への密着性に劣り、また、他の硬化成分と併用する場合に、疎水性の強いシロキサンセグメントが相分離を起し、均一な硬化塗膜が得られないといった欠点を有する。
そこで、機械強度・密着性・相溶性の改善を目的として、末端の不飽和基を、極性基であるウレタン結合を介して導入する方法が考案されている(特許文献1)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、この方法は、製造工程の第一段階である末端水酸基を有するポリシロキサン化合物とイソシアネートとの付加反応において繰り返し単位が発生し、高分子量化し、機械強度の向上が不十分となるという問題がある。一方、繰り返し単位の発生しない、メタクリル基とイソシアネート基とを併せ持つ化合物を利用する方法も考案されている(例えば、特許文献2)。しかし、このような化合物には、腐食性や変異原性などの有害性を有するものも含まれており、その取扱いが難しいという問題がある。また、本発明者らの検討によれば、上記したいずれの方法においても、塗膜に適用した場合における密着性や、塗料に適用した場合における他の材料との相溶性を改質する効果において、シロキサンセグメント量が多くなった場合にウレタン結合の導入のみでは効果が不十分である。
一方、近年、ウレタン結合の生成反応として、イソシアネート化合物とポリオールを使用する方法とは異なる、五員環環状カーボネート化合物とアミン化合物の反応を用いる方法が開発されている(特許文献3)。この方法で得られるウレタン結合は、従来の反応で得られるウレタン結合と異なりカルボニルのγ位に水酸基を有することから、特にヒドロキシウレタン構造と呼ばれ、通常のウレタン結合と比較して親水性が高いという特徴を有する。更に、その反応は、工業的な観点から、有害なイソシアネート化合物や有機錫などの触媒を使用しない点、これに加えて、二酸化炭素を原材料の一つとして製造することができる点において、近年注目されるべき技術である。
しかしながら、現在までのところヒドロキシウレタンの合成条件や機能性についての検討が進んでおらず、使用できる材料が限られることから工業的な応用は殆ど進んでいない。そのような中、ヒドロキシウレタンを応用した光硬化性化合物が考案されており、基材への密着性を向上させる効果が見出されている(特許文献4)。しかしながら、この技術は架橋剤成分として使用した例であり、ヒドロキシウレタン化合物そのものが機能性材料として利用された例という訳ではない。また、現在までに、ポリシロキサン化合物のような疎水性の強い化合物を改質する目的で、このヒドロキシウレタン構造を応用した例も報告はされていない。
特開平3−181509号公報 特開昭61−271277号公報 特許第3840347号公報 特許第4400306号公報
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、形成した塗膜や被膜が、撥水性、耐熱性、表面滑性、離型性、絶縁性に優れるものになる塗料やコーティング剤の材料として使用可能な、反応性ポリシロキサン化合物、該化合物を含む塗料組成物、該化合物を硬化してなるポリシロキサン変性樹脂フィルムを提供することにある。特に、本発明の目的は、従来の化合物と比較し、当該化合物を形成材料としてなる塗膜や被膜が機械強度や密着性に優れ、しかも他の材料との相溶性にも優れ、且つ、環境負荷の低減にも貢献する新しい反応性ポリシロキサン化合物を提供することである。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。すなわち、本発明は、紫外線、電子線或いは熱により不飽和基が反応する反応性ポリシロキサン化合物であって、不飽和基と5員環環状カーボネート基(以下、単に環状カーボネートと略す場合がある)の両方を一個ずつ有する化合物と、2個のアミノ基を有するポリシロキサン化合物とを反応させて得られた、その水酸基価が12〜170mgKOH/gの範囲で、重量平均分子量が1,000〜20,000の範囲にあり、且つ、下記の一般式(1)で表されることを特徴とする反応性ポリシロキサン化合物を提供する。
Figure 0005956775
[式(1)中、nおよびmは、それぞれ独立に、0〜200から選ばれるいずれかの整数あって、且つn+mが5以上となるものを表す。Xは下記式(2)または(3)の構造部を表し、Yは下記式(4)または(5)の構造部を表し、Zは、その構造中にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合またはウレア結合のいずれかを含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。また、式(1)中のR1はCH3またはHであり、R2は炭素数1〜30のアルキレン基かアリール基のいずれかであり、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
Figure 0005956775
本発明の好ましい形態としては、更に下記の要件を具備してなるものが挙げられる。前記一般式(1)中のX及びYで表される構造中にある−O−CO−結合が、二酸化炭素を原材料として構成されたものであること。その全質量のうちに占める0.1〜15質量%が、原料の二酸化炭素由来の−O−CO−結合で構成されていること。塗料組成物の膜形成材料として使用されることである。
また、本発明は、別の形態として、上記した反応性ポリシロキサン化合物の製造方法であって、不飽和基と5員環環状カーボネート基の両方を一個ずつ有する化合物と、2個のアミノ基を有するポリシロキサン化合物とを混合した後、反応させて、ヒドロキシウレタン結合を形成して反応性ポリシロキサン化合物を得ることを特徴とする反応性ポリシロキサン化合物の製造方法を提供する。
本発明は、別の実施形態として、上記いずれかの反応性ポリシロキサン化合物を、単独のモノマー単位として含むか、または、他の反応性モノマー単位と併有して含むことを特徴とする塗料組成物を提供する。その好ましい形態としては、他の反応性モノマー単位が光重合性モノマーであることが挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、上記塗料組成物を、紫外線、電子線或いは熱で硬化させてなることを特徴とするポリシロキサン変性樹脂フィルムを提供する。
本発明によれば、ヒドロキシウレタン合成技術を応用した新しい反応性ポリシロキサン化合物が提供される。より詳しくは、従来の化合物と異なった化学構造であるヒドロキシウレタン構造の導入によって、該反応性化合物を形成材料に使用することで、塗膜の機械強度や密着性、他の形成材料との相溶性に優れ、さらに、撥水性、耐熱性、表面滑性、離型性、絶縁性を有する機能性に優れる塗膜或いは被膜が得られる塗料或いはコーティング剤を実現できる反応性ポリシロキサン化合物が提供される。また、本発明によって提供される反応性ポリシロキサン化合物は、二酸化炭素を原材料に使用することが可能な化合物であり、この点で、本発明は、環境負荷の低減にも貢献することができる。
A−1のIRチャート B−1のIRチャート
次に、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、下記一般式(1)で示される化学構造のものであるが、特に、一般式(1)中のX及びYで略された化学構造が、Xが式(2)または式(3)で示されるいずれかの構造、Yが式(4)または式(5)で示されるいずれかの構造のものであることを特徴とする。以下、上記した一般式(1)中におけるX及びYの構造部をヒドロキシウレタン構造、或いはヒドロキシウレタン結合と略す場合がある。
Figure 0005956775
[式(1)中、nおよびmは、それぞれ独立に、0〜200から選ばれるいずれかでの整数あって、且つn+mが5以上となるものを表す。Xは下記式(2)または(3)の構造部を表し、Yは下記式(4)または(5)の構造部を表し、Zは、その構造中にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合またはウレア結合のいずれかを含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。また、式(1)中のR1はCH3またはHであり、R2は炭素数1〜30のアルキレン基かアリール基のいずれかであり、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
Figure 0005956775
一般式(1)で示される本発明の反応性ポリシロキサン化合物中にあるX及びYで示されるヒドロキシウレタン結合部は、環状カーボネート化合物とアミン化合物との付加反応により形成される。環状カーボネートとアミンとの反応においては、下記に示すように環状カーボネートの開裂が2種類あるため、2種類の構造の生成物が得られることが知られている。
Figure 0005956775
従って、上記反応を利用して製造される本発明の反応性ポリシロキサン化合物中のヒドロキシウレタン結合であるX部の構造は、前記した(2)または(3)のいずれかであり、Y部の構造は(4)または(5)のいずれかとなり、更に、その組み合わせはランダムに存在すると考えられる。
ここで、ポリシロキサン化合物にウレタン結合を介して不飽和基を導入した化合物は、例えば、ウレタンアクリレートとして一般的に広く用いられている。通常、ウレタン結合の導入は、機械強度、密着性、相溶性等の向上を意図して行われるが、本発明の反応性ポリシロキサン化合物もそのような化合物の仲間であるといえる。しかしながら、本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、従来のウレタン結合とは異なるヒドロキシウレタン結合を有したものである点で大きく異なっている。ヒドロキシウレタン結合が通常のウレタン結合と区別される理由は、上記の如く水酸基を有することにあり、水酸基とイソシアネート基とを反応させる従来の合成方法ではこのような化学構造を得ることはできない。ヒドロキシウレタン結合は、ウレタン結合と同様に機械強度を向上させる効果を持ち、且つ、水酸基の効果で親水性が向上し、その相溶性や基材への密着性向上に寄与する。特に、通常のポリシロキサン化合物は疎水性が強く機械強度にも劣る化合物であることから、ヒドロキシウレタン結合の改質効果は、より効果的に発揮される。
本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、上記の環状カーボネートとアミンとの反応を利用して合成されるものであるが、ここで使用される環状カーボネート化合物は、エポキシ化合物と二酸化炭素の反応により合成されたものであることが好ましい。すなわち、そのような環状カーボネートを原材料に使用することにより、得られるポリシロキサン化合物の一般式(1)中のX及びYで略された構造部が有する−O−CO−結合は、二酸化炭素を原材料として構成されたものとなる。この結果、本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、環境問題へ対応できる製品を提供し得る化合物としても価値あるものとなる。
本発明の化合物を利用して得られる塗膜の物性を考慮すると、上記特有の化学構造を有する本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、その重量平均分子量が1,000〜20,000の範囲のものが好ましい。また、本発明の反応性ポリシロキサン化合物における、化合物中の水酸基量を示す水酸基価(JIS K1557)の好ましい範囲は、12〜170mgKOH/gである。また、本発明の反応性ポリシロキサン化合物では、その原料として用いた二酸化炭素に由来するヒドロキシウレタン結合中の−O−CO−結合が、二酸化炭素の含有として化合物の全質量のうち0.1〜15質量%を占める量となるが、この量は、できるだけ多い方が環境対応性の点からは好ましい。
具体的には、下記のようにして得られる環状カーボネート化合物を原料に用い、本発明の反応性ポリシロキサン化合物を合成することが好ましい。例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0℃〜160℃の温度にて、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で、4〜24時間反応させる。この結果、二酸化炭素を、エステル部位に固定化した5員環環状カーボネート化合物を得ることができる。
Figure 0005956775
上記したエポキシ化合物と二酸化炭素との反応に使用される触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化塩類や、4級アンモニウム塩が好ましいものとして挙げられる。その使用量は、原料のエポキシ化合物100質量部当たり1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部である。また、これら触媒となる塩類の溶解性を向上させるために、トリフェニルホスフィンなどを同時に使用してもよい。
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応は、有機溶剤の存在下で行うこともできる。この際に用いる有機溶剤としては、前述の触媒を溶解するものであれば使用可能である。具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が、好ましい有機溶剤として挙げられる。
本発明で使用するエポキシ化合物は分子内に不飽和結合を有するものであることから、反応時に、不飽和結合の重合を抑制するための重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。この際、重合禁止剤として使用できる化合物に特に制限はなく、例えば、p−メトキシフェノールなどのフェノール系重合禁止剤、ベンゾキノンなどのキノン系重合禁止剤、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)などのヒンダートフェノール系重合禁止剤、フェノチアジンなどの芳香族アミン系重合禁止剤、ジフェニルチオ尿素などの硫黄系重合禁止剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルなどの安定ラジカル化合物のいずれも使用可能である。
本発明の反応性ポリシロキサン化合物を合成する際に使用可能な環状カーボネート化合物の構造に特に制限はなく、一分子中に不飽和結合と環状カーボネート構造を有するものであればいずれも使用できる。不飽和結合としては二重結合を有する、アリル基、アクリル基、メタクリル基のいずれも使用可能であり、以下に使用可能な化合物を例示する。
Figure 0005956775
本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、上記したような環状カーボネート化合物と、アミノ基を有するポリシロキサン化合物とを反応させることで容易に得ることができる。この際に使用するアミノ基を有するポリシロキサン化合物としては、分子中少なくても1個のアミノ基を有するポリシロキサンであれば使用可能である。以下に、本発明において好適に使用される化合物を例示する。
Figure 0005956775
Figure 0005956775
Figure 0005956775
上記に例示したような環状カーボネート化合物とアミノ基含有ポリシロキサン化合物とを反応させて、本発明の反応性ポリシロキサン化合物を得る方法としては、例えば、下記のような方法によって行うことができる。すなわち、溶剤の存在下或いは溶剤を不存在下で、前記したような環状カーボネート化合物とアミン化合物とを混合し、40〜200℃の温度で4〜24時間反応させることで、ヒドロキシウレタン結合が形成され、目的のポリシロキサン化合物を得ることができる。
環状カーボネート化合物とアミノ基含有ポリシロキサン化合物との反応は、溶剤の存在下でも不存在下でも行うことが可能である。溶剤を使用する場合、使用する原料及び得られたポリシロキサン化合物に対して不活性な有機溶剤であれば、いずれも使用可能である。好ましい有機溶剤を例示すると、例えば、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
環状カーボネート化合物とアミノ基含有ポリシロキサン化合物との反応は特に触媒を使用せずに行うことができるが、反応を促進させるために、下記に挙げるような触媒の存在下で行うことも可能である。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジンなどの塩基性触媒、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウリレートなどのルイス酸触媒などが使用できる。また、これらの触媒の好ましい使用量は、反応に使用するカーボネート化合物とアミン化合物との総量100質量部に対して、0.01〜10質量部である。
上記のようにして得られる本発明の反応性ポリシロキサン化合物は、分子内にポリシロキサンセグメントと反応性の不飽和結合を有する化合物であり、通常は流動性を有する液状の物質である。このため、本発明の反応性ポリシロキサン化合物によれば、その構造中に含有する不飽和結合を分子間で、或いは、他の化合物と反応させることによって、硬化被膜を形成することができる。
上記した本発明の反応性ポリシロキサン化合物を塗料材料として使用する場合、塗料組成物中における好ましい含有量は、全被膜形成成分中の質量%で0.1〜100%である。また、塗料組成物中に、必要に応じて、その他の反応性モノマーや、溶剤、各種添加剤、樹脂成分などを添加してもよい。本発明の反応性ポリシロキサン化合物を含有してなる塗料組成物では、これを基材に塗布した後に、紫外線(UV)、電子線(EB)或いは熱により不飽和結合を反応させるような方法で塗膜形成に用いられる。この結果、形成された硬化塗膜或いは被膜は、ポリシロキサンの特徴である、撥水性、耐熱性、表面滑性、離型性、絶縁性といった機能性を示すものとなる。
本発明の反応性ポリシロキサン化合物を塗料組成物の膜形成材料として使用する場合、塗工性や、塗膜或いは被膜強度の調整を目的として、反応性モノマー単位を希釈剤成分として含有させることができる。このような目的で併有させる好ましい反応性モノマー単位を例示すると、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのラジカル重合性化合物や、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などのカチオン重合性化合物が挙げられるが、これらはいずれも使用できる。また、これらの成分は、その分子中の重合性基が単官能でも多官能でも特に制限なく使用することができる。
本発明の反応性ポリシロキサン化合物を塗料材料として使用する場合、使用できる溶剤に特に制限はない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が、好ましい有機溶剤として挙げられる。
さらに、本発明の反応性ポリシロキサン化合物を塗料組成物の膜形成材料として使用する場合、必要に応じて、光重合開始剤やラジカル重合開始剤などの各種開始剤を含有させることができる。好ましい化合物を例示すると、例えば、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。また、カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩型化合物、スルホニウム塩型化合物、ヨードニウム塩型化合物などが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過酸化ベンソイル、メチルエチルケトンペルオキシドなどの有機過酸化物などが挙げられる。これら開始剤の好ましい使用量は0.1〜10質量%であり、必要に応じて2種以上を併用して使用することもできる。
本発明の反応性ポリシロキサン化合物を塗料組成物の膜形成材料として使用する場合、保存時の安定性を向上させるために前述の重合禁止剤を添加することができる。また、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、着色剤などの各種塗料用添加剤を添加することもできる。
次に、具体的な合成例、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
<合成例1>
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、分子量114.1のアリルグリシジルエーテル(商品名:ネオアリルG、ダイソー(株)製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン100部とを仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間反応を行った。反応終了後の溶液に、水200部とトルエン200部を添加し混合した。混合液を分液ロートに移し、分離した水槽(下層)を除去し、その後同様にして、分液ロート中で水50部にて3回の洗浄を行うことによって反応液から触媒を除去した。洗浄後のトルエン層(上層)からロータリーエバポレーターにてトルエンを蒸発留去し、淡黄色の液状物質を得た。その収率は92%であった。
上記で得られた液状物質を、IR(堀場製作所製の赤外分光光度計FT−720で測定。以下の合成例、実施例でも同様)にて分析でしたところ、910cm-1付近の原材料のエポキシ基由来の吸収は消失しており、1,800cm-1付近に、原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来の吸収が確認された。また、ガスクロマトグラフ(島津製作所製のGC−2014で測定。カラムDB−1。以下の合成例、実施例でも同様)による分析の結果、原材料のアリルグリシジルエーテルのピークが消失し、原材料より保持時間の長い新たなピークの出現が確認された。この出現したピーク物質は、単純面積百分率法による純度が98%であった。以上のことから、この液状物質は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された、下記式で表わされる構造の化合物と確認された。これをA−1と略称した。A−1の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、27.8%である(化学構造式上の分子量からの計算値)。図1に、A−1のIRチャートを示した。
Figure 0005956775
<合成例2>
エポキシ化合物として、分子量142.1のグリシジルメタクリレート(商品名:アクリエステルG、三菱レイヨン製)を用いた以外は合成例1と同様の方法で、下記式で表される環状カーボネート化合物(A−2)を合成した(収率93%)。IR分析の結果は、A−1と同様であり、GC分析による純度は97%であった。また、A−2の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、23.6%である(計算値)。
Figure 0005956775
<合成例3>
エポキシ化合物として、分子量200.2の4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(商品名:4HBAGE、日本化成(株)製)を用いた以外は合成例1と同様の方法で、下記式で表される環状カーボネート化合物(A−3)を合成した(収率92%)。IR分析の結果は、A−1と同様であり、GC分析による純度は95%であった。また、A−3の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、18.0%である(計算値)。
Figure 0005956775
<実施例1>
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、合成例1で得た環状カーボネート化合物A−1を10.5部、下記に示す構造の、官能基当量が1,500g/molである両末端アミノ変性シリコーン100部を加え、60℃の温度で撹拌しながら反応液が均一な透明溶液になるまで、15時間の反応を行った。
Figure 0005956775
得られた物質をIRにて分析したところ1,760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され、1,800cm-1付近の環状カーボネートのカルボニル由来のピークは消失していた。この物質の水酸基価(JIS K1557)を測定したところ32.0mgKOH/gであった。また、THFを移動相としたGPC分析(東ソー製、GPC−8020;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000で測定。以下の実施例も同様)における重量平均分子量は6,370(分子量はポリエチレングリコール標準による換算値。以下の実施例も同様)であり、化合物A−1のピークは観察されなかった。
以上のことから、目的とする、両末端にヒドロキシウレタン結合を介して不飽和結合を含有するポリシロキサン化合物が合成できていることが確認された。この化合物をB−1と略称した。また、B−1の化学構造中に二酸化炭素由来の成分の占める割合は、2.7%であった。該値は、合成例1で合成したA−1における二酸化炭素の含有質量%と、本実施例で得たB−1における配合比率からの計算値である。以下の実施例における値も同様である。図2に、得られたポリシロキサン化合物B−1のIRチャートを示した。
上記で得られた化合物B−1の100部に、光開始剤としてイルガキュア500(BASF社製光重合開始剤)を5部添加し、塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製、ルミラーS10(商品名)]に、バーコーターを用い膜厚が5μmになるように塗布し、塗布面の上方から、メタルハライドランプにて積算光量が800mJ/cm2となるように紫外線を照射して硬化被膜を形成させた。そして、これを化合物B−1の評価試料とした。
<実施例2>
合成例2で得たA−2の8.5部と、実施例1で使用したと同様の構造を有する官能基当量が2,200g/molである両末端アミノ変性シリコーン00部とを用い、実施例1と同様に反応させてポリシロキサン化合物(B−2)を得た。B−2のIR分析の結果はB−1と同様であり、その水酸基価は21.3mgKOH/gであり、GPC分析による重量平均分子量は8,810であった。また、B−2の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は1.9%であった(計算値)。
得られたB−2を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<実施例3>
合成例3で得たA−3の30.5部と、実施例1で使用したと同様の構造を有する官能基当量が800g/molである両末端アミノ変性シリコーン100部とを実施例1と同様に反応させてポリシロキサン化合物(B−3)を得た。B−3のIR分析の結果はB−1と同様であり、その水酸基価は52.6mgKOH/gであり、GPC分析による重量平均分子量は3,950であった。B−3の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は4.2%であった(計算値)。
得られたB−3を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<実施例4>
合成例1で得たA−1の73.5部と、実施例1で使用したと同様の構造を有する官能基当量が430g/molである両末端アミノ変性シリコーン100部とを用い、実施例1と同様に反応させてポリシロキサン化合物(B−4)を得た。B−4のIR分析の結果はB−1と同様であり、その水酸基価は148.1mgKOH/gであり、GPC分析による重量平均分子量は1,320であった。また、B−4の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は11.8%であった(計算値)。
得られたB−4を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<実施例5>
実施例2で得られたポリシロキサン化合物B−2を100部と、反応性希釈剤として反応性オリゴマーであるエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(商品名:エポキシエステル40EM、共栄社化学(株)製。表1では40EMと略称)を100部、光重合開始剤としてイルガキュア500(商品名、BASF社製)10部を添加し、塗料組成物を作製した。得られた塗料組成物を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<実施例6>
実施例2で得られたポリシロキサン化合物B−2を70部、反応性希釈剤として2−ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬製。表1中ではHEAと略称)を30部、光重合開始剤としてイルガキュア500(BASF社製)10部を添加し、塗料組成物を作製した。得られた塗料組成物を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<比較例1>
合成例2で得たA−2の185.5部と、実施例1で用いたシロキサン化合物の代わりのアミン化合物として、1,12−ジアミノドデカン(和光純薬製)100部とを、実施例1と同様に反応させて化合物(B−5)を得た。B−5のIR分析の結果はB−1と同様であり、その水酸基価は191.4mgKOH/gであり、GPC分析による重量平均分子量は820であった。また、B−5の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は15.4%であった(計算値)。
得られたB−5を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<比較例2>
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、水酸基当量62mgKOH/gである両末端カルビノール変性シリコーンオイル(商品名:KF−6001、信越化学工業(株)製)100部、2−イソシアナトチルメタクリレート(商品名:カレンズMOI、昭和電工(株)製)17.1部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.02部を添加し、70℃で10時間の反応を行った。反応後の溶液をIRにて分析したところ2,200cm-1のイソシアネート基由来のピークは消失し、1760cm-1にウレタン結合のカルボニル由来のピークが生成しており、反応が進行したことを確認した。得られた化合物は、ポリシロキサンセグメントの両側にウレタン結合を介してアクリル基が導入された化合物でありB−6と略称する。
得られたB−6を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングし、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させて、硬化被膜を形成させた。そして、これを評価試料とした。
<比較例3>
比較例2で得られポリシロキサン化合物B−6を70部、反応性希釈剤として2−ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬製)を30部、光重合開始剤としてイルガキュア500(BASF社製)10部を添加し塗料組成物を作製した。得られた塗料組成物を用い、実施例1と同様にして100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに5μm厚にコーティングした。次いで、実施例1と同様に紫外線照射により硬化させ、評価試料の作製を試みたが、塗膜表面で成分の分離が起こり白濁したため、透明性以外の評価を中止した。
(評価)
上記の各実施例及び比較例で得られた評価試料を以下の項目及び評価基準により評価した。結果を表1にまとめて示した。
[透明性]
各評価試料のフィルムについて、JIS K7105に準拠してヘイズメーター(スガ試験機(株)製のHZ−1を使用)によりヘイズ値を測定し、該測定値を用いて判定した。試料とは別に、基材に使用したポリエチレンテレフタレートのヘイズ値を測定しブランク値とし、各評価試料の測定値からブランク値を差し引いた値を評価値とした。そして、評価値のヘイズを以下の基準により3段階で評価し、透明性の判定をした。
○:5未満
△:5以上10未満
×:10以上
[耐溶剤性]
各評価試料の塗膜の硬化状態を確認するために、メチルエチルケトン(MEK)及び酢酸エチル(EAc)を用いたラビング試験を行い評価した。試験は荷重500g×10往復の条件で行い、ラビング試験後の塗膜表面を目視で評価し判定した。
○:いずれの溶剤においても塗膜に変化は見られなかった
×:塗膜の溶解や剥がれが確認された
[撥水性]
20℃における水の接触角を測定し、以下基準で4段階に評価した。
◎:105度以上
○:95度以上105度未満
△:85度以上95度未満
×:85度未満
[離型性]
各評価試料の塗膜にセロハンテープを貼り付けて、180°剥離における剥離強度を測定した。剥離強度が弱いものを離型性が良好であるとし、以下の基準により3段階で評価した。
○:剥離強度 20g未満
△:剥離強度 20g以上100g未満
×:剥離強度 100g以上
[基材密着性]
各評価試料の塗膜に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン製)をその上に貼り付け指で強く押し付けた後、90°方向に急速に剥離し、残存した塗膜の個数を測定した。そして、残存した数によって下記の基準で4段階の評価をした。
◎:100
○:80〜99
△:50〜79
×:0〜49
[環境対応性]
以下の基準により塗膜を形成している成分の環境対応性を3段階で評価した。
○:材料の一部が二酸化炭素であり、且つ有機錫触媒を使用していない。
△:材料の一部が二酸化炭素であるか有機錫触媒を使用していないかのどちらかの条件を満たしている。
×:材料に二酸化炭素を使用しておらず、有機錫触媒を使用している。
Figure 0005956775
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例のポリシロキサン化合物(B−1〜B−4)を使用して得られた各塗膜はいずれも、従来の製造方法で得られたポリシロキサン化合物(B−6)の塗膜と比較して同等の表面特性を有したものでありながら、基材への密着性が大きく改善されており、これは、その構造中に導入されたヒドロキシウレタン結合による改質効果である。また撥水性及び離型性にも向上が見られており、これはヒドロキシウレタン結合の親水性が強いことよりシリコーンセグメントの塗膜表面への配向がより進んだためであると考えられる。また、本発明の実施例のポリシロキサン化合物は、他の有機成分との相溶性が良好であり、様々な配合で使用することができることを確認した。更に、環境対応性の評価において、本発明の実施例のポリシロキサン化合物は、有機錫触媒に代表される触媒類を一切使用せずに製造することが可能であり、且つ、二酸化炭素を原材料の一部として使用していることより、既存のウレタンアクリレートと比較し、優れた環境対応性を有している。
以上のように、本発明の活用例としては、従来の技術では得られなかった、ポリシロキサン化合物を用いた、撥水性、離型性、基材密着性を併せ持つ機能性に優れた硬化塗膜を形成できる塗料を提供することができ、その利用が期待される。更に、本発明は、環境対応性に優れた技術であり、地球環境保全の立場から、既存の反応性ポリシロキサン化合物の代替としての利用が期待される。

Claims (8)

  1. 紫外線、電子線或いは熱により不飽和基が反応する反応性ポリシロキサン化合物であって、
    不飽和基と5員環環状カーボネート基の両方を一個ずつ有する化合物と、2個のアミノ基を有するポリシロキサン化合物とを反応させて得られた、その水酸基価が12〜170mgKOH/gの範囲で、重量平均分子量が1,000〜20,000の範囲にあり、且つ、下記の一般式(1)で表されることを特徴とする反応性ポリシロキサン化合物。
    Figure 0005956775
    [式(1)中、nおよびmは、それぞれ独立に、0〜200から選ばれるいずれかの整数であって、且つn+mが5以上となるものを表す。Xは下記式(2)または(3)の構造部を表し、Yは下記式(4)または(5)の構造部を表し、Zは、その構造中にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合またはウレア結合のいずれかを含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。また、式(1)中のR1はCH3またはHであり、R2は炭素数1〜30のアルキレン基か、アリーレン基のいずれかであり、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
    Figure 0005956775
  2. 前記一般式(1)中のX及びYで表される構造中にある−O−CO−結合が、二酸化炭素を原材料として構成されたものである請求項1に記載の反応性ポリシロキサン化合物。
  3. その全質量のうちに占める0.1〜15質量%が、原料の二酸化炭素由来の−O−CO−結合で構成されている請求項2に記載の反応性ポリシロキサン化合物。
  4. 塗料組成物の膜形成材料として使用される請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応性ポリシロキサン化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応性ポリシロキサン化合物の製造方法であって、不飽和基と5員環環状カーボネート基の両方を一個ずつ有する化合物と、2個のアミノ基を有するポリシロキサン化合物とを混合した後、反応させて、ヒドロキシウレタン結合を形成して反応性ポリシロキサン化合物を得ることを特徴とする反応性ポリシロキサン化合物の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応性ポリシロキサン化合物を、単独のモノマー単位として含むか、または、他の反応性モノマー単位と併有して含むことを特徴とする塗料組成物。
  7. 他の反応性モノマー単位が光重合性モノマーである請求項6に記載の塗料組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の塗料組成物を、紫外線、電子線或いは熱で硬化させてなることを特徴とするポリシロキサン変性樹脂フィルム。
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