JP5956058B2 - コネクタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、双方のハウジング部間を嵌合して端子間を電気的に接続するコネクタ装置に関する。
従来より、エンジンに装着される種々のコネクタ装置が提案されている(特許文献1参照)。かかるコネクタ装置の一従来例が図15に示されている。図15に示すコネクタ装置50は、エンジンのシリンダヘッド70に装着され、内蔵された燃料圧センサ素子(図示せず)の出力を取り出すために使用される。コネクタ装置50は、ワイヤハーネス側コネクタ51とセンサ側コネクタ60とを備えている。
ワイヤハーネス側コネクタ51は、ハウジング部52を有する。このハウジング部52の一端側の内部には第1端子53が配置され、他端側の内部には外部端子54が配置されている。第1端子53と外部端子54間は、ハウジング部52内に収容された電線Wで接続されている。ハウジング部52は、外部端子54を内蔵するコネクタ嵌合部52aを有し、このコネクタ嵌合部52aには、外部コネクタ(図示せず)が嵌合される。
センサ側コネクタ60は、内部にセンサ素子(図示せず)が配置されたセンサ本体部61と、このセンサ本体部61に固定され、第2端子62が内部に配置されたハウジング部63とを有する。センサ本体部61の外周には、ネジ部61aが形成されている。センサ本体部61をシリンダヘッド70のネジ孔70aに螺入することによって、センサ側コネクタ60がシリンダヘッド70に装着されている。
シリンダヘッド70にセンサ側コネクタ60が装着され、その後、シリンダヘッド70上にヘッドカバー71が装着される。ワイヤハーネス側コネクタ51は、このヘッドカバー71の孔71aに挿入され、コネクタ60に嵌合される。
センサ側コネクタ60は、シリンダヘッド70のネジ孔70aにネジ締結される(screwed)ため、センサ側コネクタ60のハウジング部63の回転位置(向き)が一定ではない。その上、ワイヤハーネス側コネクタ51の嵌合に際して、センサ側コネクタ60のハウジング部63がヘッドカバー71の孔71aの奥に位置する。従って、センサ側コネクタ60のハウジング部63を明確に目視で認識できず、ワイヤハーネス側コネクタ51のハウジング部52をセンサ側コネクタ60のハウジング部63に対し、嵌合させるための正規の回転位置に位置合わせするのが困難である。つまり、嵌合作業性が悪い。
米国特許出願公開2010/0003841号明細書
本発明の態様は、第1端子を配置した第1ハウジング部を有する第1コネクタと、第2端子を配置した第2ハウジング部を有する第2コネクタとを備え、前記第1ハウジング部が前記第2ハウジング部との嵌合向きが異なる場合に回転して第2ハウジング部に嵌合し、嵌合完了位置では前記第1端子と前記第2端子間を接続するコネクタ装置であって、前記第1コネクタは、前記第1ハウジング部に回転自在に取り付けされた第3コネクタを有し、前記第3コネクタは、第3端子を配置した第3ハウジング部を有し、前記第1端子と前記第3端子間が電線で接続され、前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部のいずれか一方には、第1及び第2回転防止壁を有する第1及び第2回転レール部が、他方には前記各回転レール部に沿って移動する第1及び第2回転抑制ロック部が設けられ、前記第1回転防止壁と前記第1回転抑制ロック部は、一方の回転方向では前記第1回転抑制ロック部が前記第1回転防止壁を乗り越えて回転を許容し、且つ、他方の回転方向では前記第1回転抑制ロック部が前記第1回転防止壁を乗り越えられずに回転を阻止し、第2回転防止壁と前記第2回転抑制ロック部は、一方の回転方向では前記第2回転抑制ロック部が前記第2回転防止壁を乗り越えられずに回転を阻止し、且つ、他方の回転方向では前記第2回転抑制ロック部が前記第2回転防止壁を乗り越えて回転を許容し、前記第1回転防止壁は、前記第1回転抑制ロック部の他方の回転方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定され、前記第2回転防止壁は、前記第2回転抑制ロック部の一方の回転方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定されたことを要旨とする。
前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部のいずれか一方には、回転ベースレール部が、他方には前記回転ベースレール部にガイドされて移動する回転ガイド部がそれぞれ設けられてもよい。前記第1及び前記第2ハウジング部のいずれか一方には、誘導リブを設け、他方には、前記第1端子及び前記第2端子が接触開始する前の位置までに、前記誘導リブがいずれの回転位置に位置する場合でも前記第1及び前記第2ハウジング部が正規の嵌合回転位置となるよう前記誘導リブをガイドする回転方向誘導部を設けることにより、前記第1ハウジング部が前記第2ハウジング部との嵌合向きが異なる場合に回転して第2ハウジング部に嵌合するようにしてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジンの概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るコネクタ装置の分解斜視図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るコネクタ装置の組み付け前の斜視図である。 図4(a)は本発明の一実施形態に係る円筒部の斜視図、図4(b)は図4(a)のA部の拡大斜視図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る円筒部の正面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る第2コネクタの斜視図である。 図7(a)は本発明の一実施形態に係る第1ハウジング部の斜視図、図7(b)は(a)のB部の内部から見た拡大斜視図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る、嵌合前位置の円筒部及び第1ハウジング部の断面図である。 図9(a)は図8のC−C線に沿う断面図、図9(b)は図8のD−D線に沿う断面図である。 図10は、本発明の一実施形態に係る、嵌合回転位置の円筒部及び第1ハウジング部の断面図である。 図11(a)は図10のE−E線に沿う断面図、図11(b)は図10のF−F線に沿う断面図である。 図12(a)〜(d)はそれぞれコネクタの各嵌合過程を示す斜視図である。 図13(a)は第1比較例としての第1コネクタ及び円筒部の断面図、図13(b)は図13(a)に示す第1コネクタ及び円筒部間の回転範囲の説明図である。 図14(a)は第2比較例としての第1コネクタ及び第3コネクタの断面図、図14(b)は図14(a)に示す第1コネクタ及び第3コネクタ間の回転範囲の説明図である。 図15は、一従来例として示すコネクタ装置の概略斜視図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図13は本発明の一実施形態を示す。この実施形態のコネクタ装置1は、図1に示すように、燃焼圧センサ素子(図示せず)を一体として有し、エンジン20のシリンダヘッド21に装着される。以下、説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態のコネクタ装置1は、第1コネクタであるワイヤハーネス側コネクタ2と、第2コネクタであるセンサ側コネクタ3とを備えている。ワイヤハーネス側コネクタ2は、第1端子T1が配置された第1ハウジング部4と、第1ハウジング部4に取り付けされた第3ハウジング部6を有する第3コネクタ5とを備えている。
第3ハウジング部6は、第3端子T3を内蔵するコネクタ嵌合部7を有する本体部8と、第1ハウジング部4及び本体部8間に介設され、本体部8に嵌合される円筒部9とから構成されている。中空である円筒部9を通る電線Wにより、第1端子T1と第3端子T3間は、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6内に収容された電線Wで接続されている。
コネクタ嵌合部7は、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6の嵌合方向に対しほぼ垂直方向を嵌合方向とする。コネクタ嵌合部7には、車体側ワイヤハーネスの外部コネクタ(図示せず)が嵌合される。
円筒部9の上端側の外周には、軸方向に延びる複数の係合リブ10が形成され、各係合リブ10が本体部8の内側に係合することにより円筒部9及び本体部8が嵌合されている。これにより、円筒部9と本体部8は、一体的に回転する。
第3ハウジング部6の円筒部9は、第1ハウジング部4内にオーバーラップした状態で配置されている。第1ハウジング部4は、下記に詳述するように、第3ハウジング部6に対し、図8に示す嵌合前位置とオーバーラップ量を大きくする方向の図10に示す嵌合回転位置との間で軸方向に変位できる。円筒部9と第1ハウジング部4のオーバーラップ箇所に、嵌合前位置で第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の回転を阻止する回転阻止部(回転阻止手段)と、嵌合回転位置で第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の回転をガイドする回転ガイド部(回転ガイド手段)と、嵌合回転位置で第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の過度の回転を規制する過度回転規制部(過度回転規制手段)とが設けられている。以下、説明する。
図4、図5、図7〜図11に示すように、第3ハウジング部6の円筒部9の外周面には、被ロック部であるロック溝12が形成されている。ロック溝12は、下記する第2回転抑制ロック部11bの幅より若干だけ大きく寸法に設定されている。第3ハウジング部6の円筒部9の外周面には、ロック溝12より上方位置に、回転ベースレール部13、第1回転レール部13a及び第2回転レール部13bがこの順序で上から形成されている。回転ベースレール部13は、円周状の全域に亘って形成された円周溝である。第1回転レール部13aと第2回転レール部13bは、一部が第1回転防止壁14aと第2回転防止壁14bによって閉塞された円周溝である。第1回転防止壁14aと第2回転防止壁14bは、円周方向の異なる位置に設定されている。第1回転防止壁14aと第2回転防止壁14bは、円周方向にテーパ面t(図11(a)、(b)に示す)と垂直面h(図11(a)、(b)に示す)を有するが、テーパ面tと垂直面hは互いに異なる方向に設定されている。又、第2回転防止壁14bとロック溝12も円周方向の異なる位置に設定されている。さらに、第2回転防止壁14bのテーパ面tには垂直面kが形成されている。後述するように、垂直面kは第1回転抑制ロック部11aの垂直面11eに当接するように形成される。従って、垂直面kは、例えば円筒部9の円周方向に対して垂直に形成される。なお、同様の垂直面を第1回転防止壁14aのテーパ面tに設けてもよい。
第1ハウジング部4の内周側には、回転ガイド部11、第1回転抑制ロック部11a及び第2回転抑制ロック部11bが上方から順に設けられている。回転ガイド部11は、内周に突出する突起であり、スリットsによって内周面より外側に弾性変形によって退出できる。
図7(a)、(b)に示すように、第1回転抑制ロック部11aと第2回転抑制ロック部11bは、それぞれ弾性アーム部11cを介して第1ハウジング部4に一体に形成されている。第1回転抑制ロック部11aと第2回転抑制ロック部11bは、各弾性アーム部11cの弾性変形によって内周面より外側に退出できる。第1回転抑制ロック部11aと第2回転抑制ロック部11bは、弾性アーム部11c側の面がテーパ面11d(図9、図11に示す)に、先端側の面が垂直面11e(図9、図11に示す)に形成されている。
図8及び図9(a)、(b)に示すように、嵌合前位置では、回転ガイド部11が第1回転レール部13a内に入り込んだ位置に位置する。第1回転抑制ロック部11aが第2回転レール部13b内で、且つ、第2回転防止壁14bの当接位置に位置する。具体的には第1回転抑制ロック部11aの垂直面11eが、第2回転防止壁14bの垂直面kに当接する。これにより、第1ハウジング部4が第3ハウジング部6に対して反時計方向の回転(図9(a)参照)が阻止されている。第2回転抑制ロック部11bがロック溝12内に入り込み、第1ハウジング部4が第3ハウジング部6に対して時計方向の回転(図9(b)参照)が阻止されている。以上により、嵌合前位置では、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の双方の回転が阻止されている。つまり、第1回転抑制ロック部11a及び第2回転抑制ロック部11bと第2回転防止壁14b及びロック溝12とによって回転阻止部が構成されている。
嵌合前位置にあって、第1ハウジング部4に軸方向の上方に向かう力が作用すると、回転ガイド部11、第1回転抑制ロック部11a及び第2回転抑制ロック部11bが弾性変形によって円筒部9の内周面より外周側に退出する方向に変位し、嵌合回転位置に変位する。
図10及び図11(a)、(b)に示すように、嵌合回転位置では、回転ガイド部11が回転ベースレール部13内に入り込んだ位置に位置する。第1回転抑制ロック部11aが第1回転レール部13a内に入り込む。第2回転抑制ロック部11bが第2回転レール部13b内に入り込む。これにより、第1ハウジング部4が第3ハウジング部6に対して回転可能とされる。つまり、回転ガイド部11、第1回転抑制ロック部11a及び第2回転抑制ロック部11bと、回転ベースレール部13、第1回転レール部13a及び第2回転レール部13bとによって回転ガイド部が構成されている。
図11(a)に示すように、嵌合回転位置では、第1回転抑制ロック部11aは、時計方向の回転では、そのテーパ面11dが第1回転防止壁14aのテーパ面tに当接するため、第1回転防止壁14aと第1回転抑制ロック部11aは、時計方向の回転では第1回転抑制ロック部11aのテーパ面11dが第1回転防止壁14aのテーパ面tに当接するため、第1回転抑制ロック部11aが第1回転防止壁14aを乗り越えて回転を許容する。反時計方向の回転では、第1回転抑制ロック部11aの垂直面11eが第1回転防止壁14aの垂直面hに当接するため、第1回転抑制ロック部11aが第1回転防止壁14a乗り越えられずに回転を阻止する。第1回転防止壁14aは、第1回転抑制ロック部11aの反時計方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定されている。具体的には、約270度の回転位置に設定されている。
図11(b)に示すように、嵌合回転位置では、第2回転抑制ロック部11bは、時計方向の回転では、第2回転抑制ロック部11bの垂直面11eが第2回転防止壁14bの垂直面hに当接するため、第2回転抑制ロック部11bが第2回転防止壁14b乗り越えられずに回転を阻止する。第2回転抑制ロック部11bは、反時計方向の回転では、そのテーパ面11dが第2回転防止壁14bのテーパ面tに当接するため、第2回転抑制ロック部11bのテーパ面11dが第2回転防止壁14bのテーパ面tに当接するため、第2回転抑制ロック部11bが第2回転防止壁14bを乗り越えて回転を許容する。第2回転防止壁14bは、第2回転抑制ロック部11bの時計方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定されている。具体的には、約270度の回転位置に設定されている。
嵌合回転位置では、第1回転抑制ロック部11aと第2回転抑制ロック部11bの回転開始位置が図11(a)、(b)に示す各回転位置とすると、時計方向の回転では、先ず、第1回転抑制ロック部11aが第1回転防止壁14aに当接するが、これを乗り越える。回転が進み、第2回転抑制ロック部11bが第2回転防止壁14bに当接する位置でこれ以上の回転が規制される。この回転範囲は、180度を超える回転角度(実施形態では約270度)である。又、第1回転抑制ロック部11aと第2回転抑制ロック部11bが図11(a)、(b)に示す各回転位置とすると、反時計方向の回転では、第2回転抑制ロック部11bが第2回転防止壁14bに当接するが、これを乗り越える。回転が進み、第1回転抑制ロック部11aが第1回転防止壁14aに当接する位置でこれ以上の回転が規制される。この回転範囲は、180度を超える回転角度(実施形態では約270度)である。以上より、第1ハウジング部4は、第3ハウジング部6に対して各方向で180度を超える回転が可能である一方で、最大で約270度以上の過度の回転が規制される。最大回転範囲は、第1回転抑制ロック部11a及び第1回転防止壁14aと、第2回転抑制ロック部11b及び第2回転防止壁14bの相対的回転位置によって調整できる。最大回転範囲の限度は、360度である。つまり、第1回転抑制ロック部11a及び第1回転防止壁14aと、第2回転抑制ロック部11b及び第2回転防止壁14bとによって過度回転規制部が構成されている。
第1ハウジング部4の下端側の外周には、誘導リブ16が突設されている。この誘導リブ16は、その下端面の全域が円弧面16aに形成されている。円弧面16aは、中央が最も低く、その左右側が徐々に上方に上がるものである。
センサ側コネクタ3は、内部に燃焼圧センサ素子(図示せず)が配置されたセンサ本体部17と、このセンサ本体部17に固定されたアウターガイド筒部18と、センサ本体部17に固定され、アウターガイド筒部18内に配置された第2ハウジング部19とを有する。
センサ本体部17の外周には、ネジ部17aが形成されている。センサ本体部17をシリンダヘッド21のネジ孔21aに螺入することによって、センサ側コネクタ3がシリンダヘッド21に装着されている。このようにネジ締結であるため、センサ側コネクタ3の第2ハウジング部19は、特定の向き(回転位置)ではなく任意の向き(回転位置)で装着される。
アウターガイド筒部18は、円筒形状であり、上面が開口している。
第2ハウジング部19は、下記に詳述するような円筒形状であり、上面が開口している。第2ハウジング部19は、上面開口している嵌合室内に第2端子T2が配置されている。第2端子T2は、燃焼圧センサ素子からの出力を取り出すためのものである。
第2ハウジング部19は、上端面が斜め方向となるよう切断された円筒形状である。この斜め方向の上端面が回転方向誘導部である誘導レール面19aとして形成されている。つまり、誘導レール面19aは、円筒状の第2ハウジング部19の上端面を、正規の回転嵌合位置の対向位置で最も高く、正規の回転嵌合位置で最も低くした傾斜面である。誘導レール面19aは、誘導リブ16が当接すると、第1端子T1と第2端子T2間が接触を開始する前の嵌合位置までに、第1ハウジング部4と第2ハウジング部19が正規の回転嵌合位置となるように誘導リブ16をガイドする。
第2ハウジング部19には、誘導レール面19aの最下方位置に開口するストレートなガイド溝19bが形成されている。ガイド溝19bは、誘導リブ16の回転を規制し、第1ハウジング部4が第2ハウジング部19に正規の嵌合回転位置で嵌合する移動のみを許容する。誘導リブ16がガイド溝19bに入り込んでから第1ハウジング部4の第1端子T1と第2端子T2間の接触を開始し、誘導リブ16がガイド溝19bの奥まで入り込む嵌合完了位置では、第1端子T1と第2端子T2が適正な接触状態となる。
上記構成において、シリンダヘッド21にワイヤハーネス側コネクタ2を装着し、その後、シリンダヘッド21上にヘッドカバー22が装着される。ヘッドカバー22には、センサ側コネクタ3の装着位置に孔22aが形成され、この孔22aよりワイヤハーネス側コネクタ2を嵌合する。
ここで、ワイヤハーネス側コネクタ2は、嵌合前位置にセットされている。図9(a)に示すように、嵌合前位置では、第1回転抑制ロック部11aが第2回転防止壁14bに当接して、一方の回転方向(図9(a)の半時計方向)の回転が阻止されている。図9(b)に示すように、第2回転抑制ロック部11bがロック溝12に入り込んで、他方の回転方向(図9(b)の時計方向)の回転が阻止されている。つまり、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の正逆回転が阻止されている。これにより、嵌合作業前において、電線Wに捻れが発生するのを防止できる。
次に、ワイヤハーネス側コネクタ2の嵌合作業を説明する。コネクタ嵌合部7の向き(回転位置)を所望の向きとし、ワイヤハーネス側コネクタ2をヘッドカバー22の孔22aを経てアウターガイド筒部13内に挿入する。すると、図12(a)に示すように、第1ハウジング部4を第2ハウジング部19に正規の嵌合回転位置で挿入した場合を除き、第1ハウジング部4の誘導リブ16が第2ハウジング部19の誘導レール面19aの任意の箇所に当接する。
この状態より更に嵌合を進めると、誘導レール面19aからの反力によって第1ハウジング部4に上方への押圧力が作用し、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の位置が図10及び図11に示す嵌合回転位置に移動する。嵌合回転位置では、第1ハウジング部4の第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bが、第3ハウジング部6の円筒部9の回転レール部13a,13bによりそれぞれガイドされるので、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の回転が可能となる。
そして、図12(b)に示すように、誘導リブ16が図6のA領域に当接すれば、第1ハウジング部4が図5のa矢印方向に回転しつつ第1ハウジング部4が嵌合を深める方向に移動する。誘導リブ16が図6のB領域に当接すれば、第1ハウジング部4が図5のb矢印方向に回転しつつ第1ハウジング部4が嵌合を深める方向に移動する(図12(b)はこの状態を示す)。このようにして、図12(c)に示すように、第1ハウジング部4は、誘導リブ16が誘導レール面19aの最下方位置に位置する回転位置となる。これにより、第1ハウジング部4と第2ハウジング部19は、正規の嵌合回転位置となる。その後、更に第1ハウジング部4の嵌合を進めると、誘導リブ16がストレートなガイド溝19bに入り、図12(d)に示すように、嵌合完了位置まで挿入される。誘導リブ16がストレートなガイド溝19bを進む過程で、第1端子T1と第2端子T2が接続を開始し、嵌合完了位置では適正な接続位置となる。これで完了する。
また、第1ハウジング部4を第2ハウジング部19に正規の嵌合回転位置の状態で嵌合を開始した場合には、誘導リブ16が誘導レール面19aを摺動することなくストレートなガイド溝19bに直接入り、図12(d)に示すように、嵌合完了位置まで挿入される。この嵌合過程で、第1ハウジング部4を軸方向の上方に押圧する外力が作用し、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の位置が図10及び図11に示す嵌合回転位置に移動する。これにより、第3ハウジング部6が第1ハウジング部4、ひいては第2ハウジング部19に対して回転可能となる。
コネクタ嵌合部7の開口向きを調整する必要がある場合には、第3ハウジング部6を回転して調整する。
以上説明したように、第3ハウジング部6には円周方向の互いに異なる位置に第1及び第2回転防止壁14a,14bを有する第1及び第2回転レール部13a,13bが、第1ハウジング部4には、嵌合回転位置では、第1及び第2回転レール部13a,13bに沿って移動する第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bが設けられ、第1回転防止壁14aと第1回転抑制ロック部1aは、一方の回転方向では第1回転抑制ロック部11aが第1回転防止壁14aを乗り越えて回転を許容し、且つ、他方の回転方向では第1回転抑制ロック部11aが第1回転防止壁14aを乗り越えられずに回転を阻止し、第2回転防止壁14bと第2回転抑制ロック部11bは、一方の回転方向では第2回転抑制ロック部11bが第2回転防止壁14bを乗り越えられずに回転を阻止し、且つ、他方の回転方向では第2回転抑制ロック部11bが第2回転防止壁14bを乗り越えて回転を許容し、第1回転防止壁14aは、第1回転抑制ロック部11aの他方の回転方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定され、第2回転防止壁14bは、第2回転抑制ロック部11bの一方の回転方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定されている。従って、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間は、嵌合回転位置では、最大回転範囲としては左右各回転方向で180度以上の相対回転が可能である。コネクタ嵌合時には左右各回転方向で最大180度の回転が必要であるため、コネクタ嵌合動作を確実に行うことができる。一方、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6は、嵌合回転位置では、左右各回転方向の最大回転範囲が360度(この実施形態では約270度)未満に抑制できるため、電線Wの過度の捻れを防止できる。
図13(a)、(b)は、第1比較例としての回転抑制ロック部11aと回転防止壁14aを示す。図13(a)に示すように、この第1比較例では、単一の回転抑制ロック部11aと回転防止壁14aのみ設けられている。回転抑制ロック部11aは、前記実施形態と同様に、弾性変形により内面より外側に退出可能に設けられている。回転防止壁14aは、前記実施形態と同様に、その両側の面がテーパ面tと垂直面hに設けられている。この第1比較例では、一方の回転方向(図13の反時計方向)の過度の回転を阻止できるが、他方の回転方向(図13の時計方向)の過度の回転を防止できない。
図14(a)、(b)は、第2比較例としての回転抑制ロック部11Aと回転防止壁14Aの第2比較例を示す。図14(a)に示すように、この第2比較例では、単一の回転抑制ロック部11Aと回転防止壁14Aのみ設けられている。回転抑制ロック部11Aは、弾性変形により変位しない。回転防止壁14Aは、その両側の面が共に垂直面hとする。この第2比較例では、双方の回転方向の過度の回転を防止できるが、図14(b)に示すように、360度の領域の一部に回転不可領域ができるため、左右各回転方向で最大回転範囲として180度を確保できず、コネクタ嵌合動作を確実に行うことができない恐れがある。
回転阻止部は、第1ハウジング部4に設けられた第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bと、第3ハウジング部6に設けられ、嵌合前位置で第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bが嵌合するロック溝12より構成され、回転ガイド部は、第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bと、第1ハウジング部4に設けられ、嵌合回転位置で第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bがガイドされる第1及び第2回転レール部13a,13bが兼用するよう構成されている。従って、第1及び第2回転抑制ロック部11a,11bが回転阻止部と回転ガイド部の部材を兼用するので、構成の単純化、部品点数の削減等を図ることができる。
第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間が嵌合前位置では、第1ハウジング部4と第3ハウジング部6間の回転が阻止されるため、コネクタ嵌合前の回転を防止できる。これにより、コネクタ嵌合前における電線Wの捻れ自体を防止できる。
第1回転レール部13a及び第2回転レール部13bと第1回転抑制ロック部11a及び第2回転抑制ロック部11bとは別に、回転ベースレール部13と、回転ベースレール部13にガイドされて移動する回転ガイド部11が設けられている。従って、第1回転防止壁14aや第2回転防止壁14bに干渉しない回転ガイドを有するため、第1ハウジング部4が第3ハウジング部6に対してスムーズに回転する。
コネクタ装置1は、第1ハウジング部4を本体部8に回転自在に設け、且つ、誘導リブ16を設け、第2ハウジング部19には、第1端子T1と第2端子T2が接触開始する前の位置までに、誘導リブ16がいずれの回転位置に位置する場合でも誘導リブ16を正規の回転位置までガイドする回転方向誘導部である誘導レール面19aを設けた。従って、第1ハウジング部4と第2ハウジング部19が正規の嵌合回転位置でない状態で嵌合を開始しても、第1端子T1と第2端子T2間が接続を開始する位置までに、誘導リブ16と誘導レール面19aによって第1ハウジング部4と第2ハウジング部19が正規の嵌合回転位置とされる。従って、センサ側コネクタ3の第2ハウジング部19の回転位置が分からなくても簡単に第1ハウジング部4と第2ハウジング部19間の嵌合作業ができるので、相手側のハウジング部が目視で明確に分からなくても簡単にハウジング部間の嵌合作業ができ、しかも、電線Wの過度の捻れを防止できる。
前記実施形態では、第3ハウジング部6に回転レール部13a,13bを設けて、第1ハウジング部4に回転抑制ロック部11a,11bを設けたが、逆に、第3ハウジング部に回転抑制ロック部を設けて、第1ハウジング部に回転レール部を設けてもよい。
前記実施形態では、第3ハウジング部6に回転ベースレール部13を設けて、第1ハウジング部4に回転ガイド部11を設けたが、逆に、第3ハウジング部に回転ガイド部を設け、第1ハウジング部に回転ベースレール部を設けてもよい。
前記実施形態では、ワイヤハーネス側コネクタ2の第1ハウジング部4に誘導リブ16を設け、センサ側コネクタ3の第2ハウジング部19に誘導レール面19aを設けたが、逆に、ワイヤハーネス側コネクタの第1ハウジング部に誘導レール面を設け、センサ側コネクタの第2ハウジング部に誘導レール面を設けてもよい。
前記実施形態では、コネクタ装置1は、燃焼圧センサ素子(図示せず)を一体として有し、エンジン20のシリンダヘッド21に装着されるものであるが、本発明はこれに限定されない。本発明のコネクタ装置は、例えばセンサ素子の有無を問わず適用できるし、センサ素子以外の部品を一体として有するものでも適用できることはもちろんである。本発明のコネクタ装置は、相手側のハウジング部が目視で明確に分からなく場合に有効であるが、相手側のハウジング部が目視できる場合でも利用可能である。つまり、相手側ハウジング部の向き(回転位置)を配慮することなく嵌合作業を容易に行うことができる。
何れの実施形態においても、第1ハウジング部と第3ハウジング部の間は、左回転方向及び右回転方向の何れにも180度以上の相対回転が可能である。そのため、コネクタ嵌合に必要な回転範囲を確保でき、コネクタ嵌合を支障なく行うことができ、しかも、何れの回転方向においても最大回転角度を360度未満に抑制できるため、電線の過度の回転を防止できる。

Claims (3)

  1. 第1端子を配置した第1ハウジング部を有する第1コネクタと、第2端子を配置した第2ハウジング部を有する第2コネクタとを備え、
    前記第1ハウジング部が前記第2ハウジング部との嵌合向きが異なる場合に回転して第2ハウジング部に嵌合し、嵌合完了位置では前記第1端子と前記第2端子間を接続するコネクタ装置であって、
    前記第1コネクタは、前記第1ハウジング部に回転自在に取り付けされた第3コネクタを有し、前記第3コネクタは、第3端子を配置した第3ハウジング部を有し、前記第1端子と前記第3端子間が電線で接続され、
    前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部のいずれか一方には、第1及び第2回転防止壁を有する第1及び第2回転レール部が、他方には前記各回転レール部に沿って移動する第1及び第2回転抑制ロック部が設けられ、
    前記第1回転防止壁と前記第1回転抑制ロック部は、一方の回転方向では前記第1回転抑制ロック部が前記第1回転防止壁を乗り越えて回転を許容し、且つ、他方の回転方向では前記第1回転抑制ロック部が前記第1回転防止壁を乗り越えられずに回転を阻止し、
    前記第2回転防止壁と前記第2回転抑制ロック部は、一方の回転方向では前記第2回転抑制ロック部が前記第2回転防止壁を乗り越えられずに回転を阻止し、且つ、他方の回転方向では前記第2回転抑制ロック部が前記第2回転防止壁を乗り越えて回転を許容し、
    前記第1回転防止壁は、前記第1回転抑制ロック部の他方の回転方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定され、前記第2回転防止壁は、前記第2回転抑制ロック部の一方の回転方向で180度以上の位置で回転を阻止する回転位置に設定されたことを特徴とするコネクタ装置。
  2. 請求項1記載のコネクタ装置であって、
    前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部のいずれか一方には、回転ベースレール部が、他方には前記回転ベースレール部にガイドされて移動する回転ガイド部がそれぞれ設けられたことを特徴とするコネクタ装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載のコネクタ装置であって、
    前記第1及び前記第2ハウジング部のいずれか一方には、誘導リブを設け、
    前記第1及び前記第2ハウジング部の他方には、前記第1端子及び前記第2端子が接触開始する前の位置までに、前記誘導リブがいずれの回転位置に位置する場合でも双方の前記第1及び前記第2ハウジング部が正規の嵌合回転位置となるよう前記誘導リブをガイドする回転方向誘導部を設けることにより、前記第1ハウジング部が前記第2ハウジング部との嵌合向きが異なる場合に回転して第2ハウジング部に嵌合するようにしたことを特徴とするコネクタ装置。
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