本発明は、例えば前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、例えば、植物を損傷することなくこれをソフトに保持でき且つ該植物を作業性よく確実に支柱やネット等に保持させることができる等、物の保持をソフトにしかも簡易且つ確実に行うことのできる保持具、人型保持具の提供を課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る保持具は、弾性変形可能の合成樹脂を以て一体成形されてなる保持具本体を具え、該保持具本体は、胴部に、被抱持部を抱持し得るように屈曲可能の一対の線状抱持片が設けられており、該一対の線状抱持片の夫々には、その延長方向に金属線材が埋入され、各線状抱持片の屈曲形態が該金属線材の形状保持作用によって保持される如くなされており、且つ、前記一対の線状抱持片の先端部分には、該一対の線状抱持片が前記被抱持部を抱持した状態で互いに係合して該先端部分相互の外れを防止する外れ止め突部が設けられており、前記一対の線状抱持片の夫々に埋入されている前記金属線材の先端側の部分は、前記外れ止め突部において埋入状態とされており、該先端側の部分は、前記線状抱持片の前記延長方向に対して屈曲する係合屈曲部とされていることを特徴とするものである。
該保持具において、1本の直線状の金属線材の中央部分が前記胴部を左右方向に貫通した状態とし、該金属線材の中央部分からみて左右方向へ延びる両側部分が、前記一対の線状抱持片の夫々にその延長方向に埋入状態とするのがよい。
本発明に係る人型保持具は、弾性変形可能の合成樹脂を以て一体成形されてなる保持具本体を具え、該保持具本体は、胴部の上端に首部を介して頭部を設けてなり、又該胴部の上部に、左右方向逆向きに突出する一対の腕部としての一対の線状抱持片が設けられる一方、該胴部の下部に、左右方向逆向きに突出する一対の脚部としての一対の線状抱持片が設けられ、該一対の腕部と該一対の脚部は、夫々、被抱持部を抱持し得るように屈曲可能である。そして、前記一対の腕部の夫々及び前記一対の脚部の夫々には、その延長方向に金属線材が埋入されており、各腕部と各脚部の屈曲形態が該金属線材の形状保持作用によって保持される如くなされている。且つ、前記一対の腕部の先端部分には、該一対の腕部が前記被抱持部を抱持した状態で互いに係合して該一対の腕部の先端部分相互の外れを防止する外れ止め突部が設けられると共に、前記一対の脚部の先端部分には、該一対の脚部が前記被抱持部を抱持した状態で互いに係合して該一対の脚部の先端部分相互の外れを防止する外れ止め突部が設けられている。そして、前記首部と、前記胴部のうちの少なくとも前記上部と前記下部との間の中間部分は、金属線材が埋入されておらず前記合成樹脂のみを以て形成されており、前記一対の腕部が前記被抱持部を抱持した状態で、前記頭部が、前記首部を弾性変形させて前記被抱持部に当接状態となり得ることを特徴とするものである。
該人型保持具において、1本の直線状の金属線材の中央部分が前記胴部の上部を左右方向に貫通した状態とし、該金属線材の中央部分からみて左右方向へ延びる両側部分が、前記一対の腕部の夫々にその延長方向に埋入状態とすると共に、1本の直線状の金属線材の中央部分が前記胴部の下部を左右方向に貫通した状態とし、該金属線材の中央部分からみて左右方向へ延びる両側部分が、前記一対の脚部にその延長方向に埋入状態とするのがよい。
前記人型保持具において、前記一対の腕部としての前記一対の線状抱持片の夫々に埋入されている前記金属線材の先端側の部分及び、前記一対の脚部としての前記一対の線状抱持片の夫々に埋入されている前記金属線材の先端側の部分を、前記外れ止め突部において埋入状態とし、該先端側の部分は、前記線状抱持片の前記延長方向に対して屈曲する係合屈曲部とするのがよい。
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明は、弾性変形可能の合成樹脂を以て一体成形されてなる保持具本体を具え、該保持具本体は、胴部に、被抱持部を抱持し得るように屈曲可能の一対の線状抱持片が設けられており、該一対の線状抱持片の夫々には、その延長方向に金属線材が埋入され、各線状抱持片の屈曲形態が該金属線材の形状保持作用によって保持される如くなされ、且つ、前記一対の線状抱持片(人型保持具の場合は、前記一対の腕部と前記一対の脚部)の先端部分には、該一対の線状抱持片が前記被抱持部を抱持した状態で互いに係合して該先端部分相互の外れを防止する外れ止め突部が設けられている。
従って本発明によるときは、前記一対の線状抱持片(人型保持具の場合は前記一対の腕部と前記一対の脚部)の先側部分が交差され、或いは必要に応じて緩く捩られることにより、前記左右の外れ止め突部が互いに係合して該先端部分相互の外れが防止される。これによって、物の保持をソフトにしかも簡易且つ確実に行うことができる。
(2) 特に、1本の直線状の金属線材の中央部分が前記胴部を左右方向に貫通した状態とし、該金属線材の両側部分を、前記一対の線状抱持片にその延長方向に埋入状態としたときは、夫々の線状抱持片(前記人型保持具の場合は腕部や脚部)を、前記胴部に対する付け根部分において安定的に屈曲させることができる。これによって、保持具の屈曲形態を安定的に持続させることができる。
(3) 本発明に係る保持具を人型に構成した場合は、例えば、該人型保持具が植物の茎を保持したり、キッチンまわり等で洗浄スポンジやブラシ等の物をハンガー等に保持させたとき、該人型保持具のとるポーズによって装飾的な効果を付与できる。
特に該人型保持具を植物の保持に用いる場合において、該人型保持具を構成する保持具本体を、弾性変形可能の合成樹脂を以て一体成形したものとし、その胴部の上部に、左右方向逆向きに突出する腕部としての一対の線状抱持片を設ける一方、該胴部の下部に、左右方向逆向きに突出する脚部としての一対の線状抱持片を設け、該一対の腕部の夫々及び該一対の脚部の夫々に、その延長方向に金属線材を埋入する一方、前記首部と、前記胴部のうちの少なくとも前記上部と前記下部との間の中間部分は、金属線材を埋入せず前記合成樹脂のみを以て構成する場合は、該首部と該中間部分が、前記合成樹脂の有する弾性変形可能の性質によって、ある程度自由に弾性変形でき且つ弾性復元できる。
このように構成したときは、前記一対の腕部が被抱持部(植物の茎やこれを保持する支柱等)を抱持した状態で、前記首部は、前記合成樹脂の有する弾性変形可能の性質によって、ある程度自由に弾性変形でき且つ弾性復元できる。その結果、本発明によるときは、前記一対の腕部が前記被抱持部を安定抱持するように前記頭部が前記被抱持部に当接した状態にあっても、該頭部が、前記首部の弾性変形によって外向きに屈曲できるため、茎の成長を阻害しにくい。
又、かかる人型保持具によるときは、前記一対の腕部と前記一対の脚部との間の距離を確保できるので、支柱やネット等としての植物を保持する被抱持部から稍離れた状態にある茎であっても、それを該支柱等に確実に保持させることができる。これによって、茎を無理やり支柱側に引き寄せた状態で茎を保持させる不自然さがなく、植物を自然な状態で安定的に保持できる。
のみならず、風が吹いて植物がばたついたとしても前記胴部の中間部分には背骨となる金属線材が何も埋入されていないため、該胴部の弾性変形作用によって該胴部が茎の動きにある程度自由に追随できる。従って、茎の損傷を極力防止でき、風が収まれば、該胴部の弾性復元によって茎は当初の状態に戻りやすい。もしも胴部に金属線材が埋入されていると、該胴部が屈曲しにくいために、茎が風に吹かれた場合にその揺れが制約され、茎を損傷する恐れがある。
(4) 前記一対の線状抱持片の夫々に埋入されている前記金属線材の先端側の部分を前記外れ止め突部において埋入状態とし、該先端側の部分を、前記線状抱持片の前記延長方向に対して屈曲する係合屈曲部とする場合は、前記腕部や前記脚部等としての一対の線状抱持片の前記先側部分を捩ることによって前記両外れ止め突部を互いに係合させるために該外れ止め突部をその基部の周方向に捩る際、該外れ止め突部を該基部で空回りを生じさせることなく、前記金属線材を芯線として確実に捩ることができ、所要角度の捩れに伴う前記外れ止め突部相互の係合状態を安定的に持続させることができる。
図1〜3において本発明に係る保持具1は、弾性変形可能の合成樹脂を以て一体成形されてなる保持具本体2を具え、該保持具本体2は、胴部3に、被抱持部5を抱持し得るように屈曲可能(例えば図8〜10)の一対の線状抱持片6,6が設けられ、該一対の線状抱持片6,6の夫々には、図3に示すように、その延長方向に金属線材7が埋入されており、各線状抱持片6の屈曲形態が該金属線材7の形状保持作用によって保持される如くなされている。本発明において抱持とは、抱きしめることを意味することの他、緩く抱え込むことも意味する。そして該一対の線状抱持片6,6の先端部分9,9には、該一対の線状抱持片6,6が前記被抱持部5を抱持した状態で互いに係合して該一対の線状抱持片の先端部分9,9相互の外れを防止する外れ止め突部10,10が設けられている。以下、これをより具体的に説明する。
本実施例においては、図1〜3に示すように、前記保持具本体2の全体形態が人の形態を模した人型に形成されており、該保持具本体2は、胴部3の上端4に、首部12を介して頭部13が設けられてなり、該胴部3の上部15に、左右方向逆向きに直線状に突出する腕部16,16としての第1の一対の線状抱持片6a,6aを具える一方、該胴部3の下部17に、左右方向逆向きに直線状に突出する脚部19,19としての第2の一対の線状抱持片6b,6bが設けられている。前記一対の腕部16,16の夫々及び前記一対の脚部19,19の夫々には、図3に示すように、その延長方向に金属線材7が埋入されており、各腕部16,16と各脚部19,19の屈曲形態が該金属線材7の形状保持作用によって保持される如くなされている。
そして、前記左右の腕部16,16の先端部分9(9a),9(9a)には、該左右の腕部16,16が前記被抱持部5を抱持した状態で互いに係合して該左右の先端部分9a,9a相互の外れを防止する外れ止め突部10a,10aが設けられている(即ち、該先端部分9a,9aが該外れ止め突部10a,10aとされている)。又、前記左右の脚部19,19の先端部分9(9b),9(9b)には、該左右の脚部19,19が前記被抱持部5を抱持した状態で互いに係合して該左右の脚部19,19の先端部分9b,9b相互の外れを防止する外れ止め突部10b,10bが設けられている(即ち、該先端部分9b,9bが該外れ止め突部10b,10bとされている)。
特に本実施例においては、前記首部12と、前記胴部3の内の少なくとも前記上部15と前記下部17との間の中間部分20には、金属線材7が埋入されておらず、前記合成樹脂のみを以て形成されており、前記一対の腕部16,16が前記被抱持部5を抱持した状態で、前記頭部13が、例えば図4(A),図5(A)に示すように、前記首部12を弾性変形させて該被抱持部5に当接状態となり得る。前記頭部13を前記被抱持部5に当接状態とすることにより、前記一対の腕部16,16による前記被抱持部5の抱持状態が安定する。
前記胴部3と前記首部12と前記頭部13は軸線が同一であり、該胴部3は、前記上部15から前記下部17に向けて拡径する円錐台状に形成され、その底面部21は、図1(A)に示すように湾曲面状を呈している。又前記首部12は円柱状を呈しており、又、前記頭部13は、図6〜7に示すように、正面側22と背面側23が球面状に稍盛り上がった膨出部25,25とされてなる碁石状を呈しており、その下部中央部が前記首部12に連結されている。そして、後述のように(例えば図8〜10)前記一対の腕部16,16が前記正面側22で被抱持部5を抱持する際に、該正面側22の膨出部25が支柱27や植物の茎29に当接状態となる。又、前記一対の腕部16,16が前記背面側23で被抱持部5を抱持する際に、該背面側の膨出部25が支柱27や植物の茎29に当接状態となる。
前記左右の腕部16,16は、図1〜3に示すように、前記胴部3の上部15の左右部位において左右方向逆向きに線状に突出しており、横断面円形状を呈し先側に向けて若干細く形成されている。そして各腕部16,16の先端部分9a,9aには、上下に稍長く形成され且つ上下端が円弧面30,30に形成された握り拳状の前記外れ止め突部10a,10aが設けられている。又、前記左右の脚部19,19は前記胴部3の下部17の左右部位に、左右方向逆向きに直線状に突出しており、横断面円形状を呈し先側に向けて若干細く形成されている。そして各脚部19の先端部分9b,9bには、上部分31が前記胴部3に向けて屈曲した靴状を呈する外れ止め突部10b,10bが設けられている。
又、図3、図6〜7に示すように左右方向に延長する1本の直線状の金属線材(例えば0.8〜1.5mm径の鉄線やステンレス線材、アルミニウム線材等の金属線材、本実施例においては1.2mm径の鉄線)7aを用いて、その中央部分32が前記胴部3の上部15を左右方向に貫通した状態とし、前記左右一対の腕部16,16の夫々に、その延長方向に且つ該腕部16,16の軸線に沿って延長する如く、該金属線材7aの両側部分51,51を埋入された状態としている。該金属線材7aの両端部33,33は前記左右の外れ止め突部10a,10aの先端35,35と合致させてもよいのであるが、本実施例においては該端部33,33で怪我をしないように該先端35,35の内方に2〜3mm程度控えた状態としている。
又、左右方向に延長する別の1本の金属線材(例えば0.8〜1.5mm径の鉄線やステンレス線材、アルミニウム線材等の金属線材、本実施例においては1.2mm径の鉄線)7bを用いて、その中央部分36が前記胴部3の下部17を左右方向に貫通した状態とし、前記左右一対の脚部19,19の夫々に、その延長方向に且つ該脚部19,19の軸線に沿って延長する如く、該金属線材7bの両側部分51,51を埋入状態としている。該金属線材7bの両端部37,37は前記左右の外れ止め突部10b,10bの先端39,39と合致させてもよいのであるが、本実施例においては該端部37,37で怪我をしないように該先端39,39の内方に2〜3mm程度控えた状態としている。
このように1本の金属線材7a,7bを用いて、一対の腕部16,16と一対の脚部19,19に金属線材7を埋入状態としていることから、夫々の腕部16,16、夫々の脚部19,19を、前記胴部3に対する付け根部分40,40、40,40(図3)においても安定的に屈曲させることができる。
そして、本実施例において前記金属線材7a,7bは、前記胴部3についてはその上部15と下部17においてのみ、これらを左右方向に貫通する如く埋入されているだけであって、該上部15と該下部17との間の前記中間部分20には金属線材7が埋入されていない。
かかる構成を有する人型保持具1aは、前記一対の腕部16,16と前記一対の脚部19,19が夫々、各種形態に屈曲でき、その屈曲形態が前記金属線材7の形状保持作用によって保持される。そして前記首部12と、前記胴部3のうちの前記中間部分20には金属線材7が埋入されていないため、該首部12と、該胴部3の該中間部分20は、前記合成樹脂の有する弾性変形可能の性質によって、ある程度自由に弾性変形でき且つ弾性復元できる。
ここで、前記構成を有する人型保持具1aの主要部の寸法を例示すれば、その上下方向の長さは60mm程度に設定されると共にその胴部3の上下長さは37mm程度に、その首部12の上下長さは4mm程度に、その頭部13の上下長さは22mm程度に設定されている。又、前記上部15の左右幅は10mm程度に、前記下部17の左右幅は12mm程度に設定されている。又、前記左右の腕部16,16の夫々の突出長さは46mm程度に設定され、前記左右の脚部19の突出長さは45mm程度に設定されている。
図8〜10、図4〜5は、前記構成を有する人型保持具1aを用いて、土壌に立設した支柱27に植物の茎29を保持させた状態の一例を示すものであり、前記一対の腕部16,16と前記一対の脚部19,19は適宜屈曲されて前記被抱持部(支柱27及び/又は茎29)5のまわりに巻かれ、左右の腕部16,16の先側部分41,41が交差され、或いは必要に応じて所要に捩られることにより、前記左右の外れ止め突部10a,10aが互いに係合して両腕部16,16の該先端部分9a,9a相互の外れが防止される。又、前記左右の脚部19,19が前記被抱持部(支柱27及び/又は茎29)5を抱持した状態で該脚部の先側部分が相互が交差され、或いは捩じられることにより前記左右の外れ止め突部10b,10bが互いに係合して両脚部19,19の先端部分9b,9b相互の外れが防止される。そして、該人型保持具1aがとるポ−ズによって植物の保持状態に装飾的な効果を付与できる。なお本発明においては、前記両腕部16,16が前記支柱27や茎29のまわりに巻かれることを支柱27や茎29を抱持するといい、又、前記両脚部19,19がこれらのまわりに巻かれることも抱持するという。
図8、図4〜5は、植物の茎29を支柱27に略沿わせた状態で、人型保持具1aが前記被抱持部5に抱き付いたポ−ズを示すものであり、前記頭部13の前記膨出部25を前記被抱持部(本態様においては茎29及び支柱27)5に当接させた状態で前記左右の腕部16,16が、該支柱27と該茎29の双方からなる該被抱持部5を抱持した状態にある。そしてこの状態で、該両腕部16,16の先側部分41,41を捩ることによって前記両外れ止め突部10a,10aが互いに係合され、該両腕部16,16の先端部分9a,9a相互の外れが防止されている。この抱持状態で、図4(A)に示すように、前記頭部13の前記膨出部25が前記被抱持部5に当接した状態にあるため、前記左右の腕部16,16の先側部分41,41を捩ることによって形成されたループ部42に、前記茎29が緩く挿通されている。又この状態で、前記左右の脚部19,19が、該支柱27と 該茎29の双方からなる該被抱持部5を緩く抱持している。そしてこの状態で、該両脚部19,19の先側部分41,41を捩ることによって前記両外れ止め突部10a,10aが互いに係合され、該両脚部19,19の先端部分9a,9a相互の外れが防止されている。
前記抱持状態では、前記左右の腕部16,16が、該支柱27と該茎29の双方からなる該被抱持部5を緩く抱え込んだ状態にはあるが、前記頭部13の前記膨出部25が前記被抱持部5に当接した状態で前記左右の腕部16,16による抱持が行なわれているため、人型保持具1aによって、植物の茎29が支柱27に、がたつきを生じさせることなく安定的に保持されている(図4)。そして、この状態で茎29が太く成長したときは、前記頭部13が、前記首部12の外向きの弾性変形によって例えば図4(A)に示す状態から図5(A)に示す状態に外向きに傾くことができる。これによって、該頭部13が前記被抱持部5に当接状態にはあっても該頭部13が無理なく外向きに弾性変形できるため、茎29の成長を阻害しにくい。
図9、図10は、植物の茎29が支柱27から稍離れている状態で、前記人型保持具1aを用いて該茎29を該支柱27に保持させた態様を示すものである。本実施例に係る人型保持具1aは上下に長い胴部3を具えて、前記一対の腕部16,16と前記一対の脚部19,19との間の距離が確保されているため、支柱27から稍離れた状態にある茎29を該支柱27に無理なく保持させることができるのである。これによって、茎29を無理やり支柱27側に引き寄せた状態で茎29を保持させる不自然さがなく、植物を自然な状態で保持できる。
図9にあっては、前記頭部13が前記支柱27に当接した状態で、前記と同様にして左右の腕部16,16が該支柱27を抱持し、且つ、該両腕部16,16の先側部分41,41が捩られることにより、両外れ止め突部10a,10aが互いに係合して、該先側部分41,41相互の外れが防止されている。前記頭部13の前記膨出部25が前記被抱持部5(支柱27)に当接した状態で前記左右の腕部16,16による抱持が行なわれているため、人型保持具1aの上部分43が支柱27に確実に保持されている。そしてこの状態で、前記左右の脚部19,19が茎29を緩く抱持し、且つ、該両脚部19,19の先側部分46,46が捩られることによって、両外れ止め突部10b,10bが互いに係合して、該先端部分9b,9b相互の外れが防止されている。これらの抱持状態によって人型保持具1aは、茎29を保持した状態で支柱27をキャッチしたようなポ−ズをとっている。この状態で茎29が太く成長したときは、該茎29が、左右の脚部19,19が形成するル−プ部44内に遊びのある状態で収容され且つ両脚部19,19の先側部分46,46の内側で支持されるため、該茎29の成長が阻害されることがない。
図10にあっては、前記頭部13の前記膨出部25を茎29の表面に当接させた状態で前記左右の腕部16,16で該茎29を抱持状態とし、該両腕部16,16の先側部分41,41を捩ることによって前記外れ止め突部10a,10aを係合させ、これによって該腕部16,16の先端部分9a,9a相互の外れを防止する一方、前記両脚部19,19が前記支柱27を抱持した状態とすると共にその先側部分46,46を捩り、両外れ止め突部10b,10bを互いに係合させることによって該両脚部19,19の先端部分9b,9bの外れを防止している。
この抱持状態においては、図10に示すように、前記頭部13の前記膨出部25が前記被抱持部5に当接した状態にあるため、前記左右の腕部16,16の先側部分41,41を捩ることによって形成されたループ部42には、前記茎29が緩く挿通されている。そして該抱持状態は、前記左右の脚部19,19が、該支柱27からなる被抱持部5を抱持し、且つ、両脚部19,19の先側部分46,46が捩られることにより、両外れ止め突部10b,10bが互いに係合して、該先側部分46,46相互の外れが防止されている。従って、人型保持具1aの上部分43が支柱27に確実に保持されている。この状態で茎29が太く成長したときは、前記首部12が、図5(A)に示すと同様に外向きに適度に弾性変形できるため、茎29の成長が阻害されない。これらの抱持状態によって人型保持具1aは、逆様の状態で茎をキャッチしたポ−ズをとっている。
茎29が支柱27から離れた状態で該茎29が支柱27に保持されている図9、図10に示す態様において、風が吹いて植物がばたついたとしても前記胴部3の前記中間部分20には背骨となる金属線材7が何も埋入されていないため、該胴部3が良好に弾性変形可能であって該胴部3が茎29の動きにある程度自由に追随できる。従って、茎29の損傷を極力防止できる。そして風が収まれば、該胴部3の弾性復元によって茎29は当初の状態に戻り易い。
図11〜12、図13〜14、図15〜16、図17は、本発明に係る保持具1の他の態様を示すものであり、図11に示す保持具1は、前記と同様にして、弾性変形可能の合成樹脂を以て一体成形されてなる保持具本体2を具え、前記胴部3の上端59と下端60に、夫々、首部12a,12bを介して頭部13a,13bが設けられている。そしてこの場合も前記と同様にして、該胴部3の上部15に、左右方向逆向きに突出する第1の一対の線状抱持片6(6a),6(6a)を具える一方、該胴部3の下部17に、左右方向逆向きに突出する第2の一対の線状抱持片6(6b),6(6b)が設けられている。
そして、夫々の線状抱持片6a,6a、6b,6bには、その延長方向に金属線材7が埋入されており、各線状抱持片6a,6a、6b,6bの屈曲形態が該金属線材7の形状保持作用によって保持される如くなされている。本実施例においては前記実施例1におけると同様、1本の直線状の金属線材7aの中央部分32が前記胴部3の上部15を左右方向に貫通した状態とし、該金属線材7aの両側部分51,51を、前記第1の一対の線状抱持片6a,6aにその延長方向に埋入させると共に、別の1本の直線状の金属線材7bの中央部分32が前記胴部3の下部17を左右方向に貫通した状態とし、該金属線材7bの両側部分51,51を、前記第2の一対の線状抱持片6b,6bにその延長方向に埋入させてなる。
且つ、前記第1の一対の線状抱持片6a,6aの先端部分9a,9aには、該一対の線状抱持片6a,6aが前記被抱持部5を抱持した状態で互いに係合して該左右の先端部分9a,9a相互の外れを防止する外れ止め突部10a,10aが設けられると共に、前記第2の一対の線状抱持片6b,6bの先端部分9b,9bには、該一対の線状抱持片6b,6bが前記被抱持部5を抱持した状態で互いに係合して該左右の先端部分9b,9b相互の外れを防止する外れ止め突部10b,10bが設けられている。
そして本実施例においては、前記首部12a,12bと、前記胴部3の内の、少なくとも前記上部15と前記下部17との間の中間部分20には、金属線材7が埋入されておらず、前記合成樹脂のみを以て形成されており、前記第1、第2の一対の線状抱持片6a,6a、6b,6bが前記被抱持部5(支柱27及び/又は茎29)を抱持した状態で、前記頭部13a,13bの夫々が、前記首部12a,12bを弾性変形させて該被抱持部5に当接状態となり得る。
図12は、かかる保持具1の使用状態の一例を示すものであり、前記一方の頭部13aが、前記首部12aを外向きに弾性変形させて前記支柱27に当接した状態にあり、他方の頭部13bが、前記首部12bを外向きに弾性変形させて植物の茎29に当接した状態にある。この状態で、前記第1の一対の線状抱持片6a,6aが前記被抱持部(支柱27)5を抱持した状態で該一対の線状抱持片6a,6aの先側部分34,34が交差され、或いは必要に応じて所要に捩られることにより、前記左右の外れ止め突部10a,10aが互いに係合して前記両線状抱持片6a,6aの先端部分9a,9a相互の外れが防止されている。又、前記第2の一対の線状抱持片6b,6bが前記被抱持部(茎29)5を抱持した状態で該一対の線状抱持片6b,6bの先側部分38,38が交差され、或いは捩られることにより前記左右の外れ止め突部10b,10bが互いに係合して両線状抱持片6b,6bの先端部分9b,9b相互の外れが防止されている。
そしてこの状態で、前記首部12a,12bが外向きに弾性変形して前記頭部13a,13bが外向きに傾くことができるため、該頭部13a,13bが茎29の成長に追随でき、従って茎29の成長を阻害しにくい。そして本実施例においては、前記首部12a,12bと前記胴部3の前記中間部分20には金属線材7が埋入されておらず、これらは、前記弾性変形可能の合成樹脂のみを以て形成されている。従って、前記したと同様に、風が吹いて植物がばたついたとしても、該胴部3が茎29の動きにある程度自由に追随できるので、茎29の損傷を極力防止できる。そして風が収まれば、該胴部3の弾性復元によって茎29は当初の状態に戻り易い。
図13に示す保持具1は、これを構成する保持具本体2が、図1〜2に示す人型保持具1aにおける場合と相違する。即ち、該人型保持具1aにおける前記第1の一対の線状抱持片6a,6aは設けられているが、前記第2の一対の線状抱持片6b,6bは省略された構成を有している。該一対の線状抱持片6a,6aの先端部分9a,9aには、前記と同様に外れ止め突部10a,10aが設けられている。そして該保持具本体2は、図14に示すように、その頭部13が、その首部12を弾性変形させて前記被抱持部5に当接状態となり得るように構成されている。そして図13に示すように、該首部12と、該胴部3のうちの、一対の線状抱持片6a,6aが設けられてなる上部15の下側部分50には金属線材7が埋入されておらず、前記合成樹脂のみを以て形成されている。この場合も、該首部12が外向きに弾性変形して前記頭部13が外向きに傾くことができるため該頭部13が茎29の成長に追随でき、従って茎29の成長を阻害しにくい。
図15に係る保持具1を構成する保持具本体2は、前記胴部3に、正面視でX字状に線状抱持片6,6、6,6が突設され、各線状抱持片6に、その延長方向に金属線材7が埋入されており、各線状抱持片6の屈曲形態が該金属線材7の形状保持作用によって保持される如くなされている。本実施例においては図15に示すように、前記実施例1におけると同様、1本の直線状の金属線材7a,7bの中央部分36が前記胴部3を貫通した状態とし、該金属線材7a,7bの両側部分51,51を、直線状を呈する線状抱持片6c,6cと直線状を呈する線状抱持片6d,6dの夫々について、その延長方向に埋入させてなる。そして、夫々の線状抱持片6c,6c、6d,6dの先端部分9c,9c、9d,9dには前記と同様に外れ止め突部10c,10c、10d,10dが設けられている。
図16は、かかる構成を有する保持具1を用いて、支柱27に茎29を沿わせてなる被抱持部5を前記線状抱持片6c,6d、6c,6dを所要に屈曲させて抱持状態とすると共に、前記と同様にして両外れ止め突部10c,10d相互、両外れ止め突部10d,10cを互いに係合状態にして該一対の線状抱持片6c,6dの先端部分9c,9d相互、一対の線状抱持片6d,6cの先端部分9d,9c相互の外れが防止されている。
図17は、前記胴部3に、平面視でX字状を呈する如く線状抱持片6,6、6,6を設けてなる保持具1を示すものであり、夫々の線状抱持片6に、図17(B)に示すように金属線材7が埋入されている。本実施例においては、一直線状を呈する一対の線状抱持片6e,6e、6f,6fの夫々に、該胴部3を貫通する1本の直線状の金属線材7a,7bの夫々の両側部分51,51が埋入されている。そして前記と同様にして、夫々の線状抱持片6,6、6,6の先端部分9,9、9,9に外れ止め突部10が設けられている。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1) 図18は、前記人型保持具1aの他の使用態様を示すものであり、一対の腕部16,16の先端部分9a,9aと、一対の脚部19,19の先端部分9b,9bには、前記と同様に外れ止め突部10a,10a、10b,10bが設けられている。該人型保持具1aは、前記頭部13を該茎29に当接させ且つ前記一対の腕部16,16が該茎29を抱持した逆様の状態で前記一対の脚部19,19がネット52に取り付いた状態を示している。
(2) 前記外れ止め突部10の形態は、互いに係合して一対の線状抱持片6,6の先端部分9,9相互の外れを防止できる限り、各種形態に構成され得る。例えば図19や図20に示すようなものでもよい。
(3) 本発明に係る保持具1は、前記した植物の茎を支柱等に保持させる用途には限られず、例えば図21に示すように植物支持環48としての被抱持部5にぶら下がった態様で使用することもできる。この場合、左右の腕部16,16の先端部分9a,9a相互の外れが前記外れ止め突部10a,10aで防止される。又、例えば図22に示すように、一対の脚部19,19がハンガー53としての被抱持部5を抱持した状態とし(該被抱持部5に巻き付いた状態とし)、該左右の脚部19,19の先端部分9b,9b相互の外れを前記外れ止め突部10b,10bで防止した逆様状態とし、前記左右の腕部16,16をL字状に屈曲させて構成したL字状フック部55,55を、ブラシ等の柄56を掛着させるため等に利用することもできる。
又図23は、人型保持具1aの腕部16を前記ハンガ−53に掛けた状態にすると共に、左右の脚部19,19間で、例えば洗浄スポンジ56を挾んで保持させた状態を示している。
本発明に係る保持具及び人型保持具1(1a)は、その他、浴室やトイレ等においてタオルを保持するためや、電気コ−ド等のコ−ドの束を結束状態に保持するため、開けたカ−テンを束ねて止めるため等、物を結束保持するために用いることもできる。
(4) 前記金属線材7は、前記線状抱持片6が前記被抱持部5を抱持するように所要に屈曲し得るものであれば、丸線状を呈するものには特定されず、横断面が角形の角線状や、幅狭のプレ−ト状に構成されてもよい。
(5) 前記金属線材7は、例えば図24に示すように、一対の線状抱持片6,6の夫々に独立的に埋入されてもよい。この場合は、前記首部12と、前記胴部6の全長に亘る部分に金属線材が埋入されていない。
(6) 前記保持具1を構成する保持具本体2は、前記した人型の他、各種の動物や昆虫などの像を模して構成されてもよい。又前記保持具1は、図25に示すように、前記頭部13を省略して構成することもできる。
(7) 本発明に係る抱持具は、一対の線状抱持片6,6の所要の屈曲による被抱持部5の抱持によって、各種形態に使用できる。特に保持具本体2を人型に構成する場合は、これが各種ポ−ズをとるように線状抱持片6を所要に屈曲させることにより、被抱持部5に対して装飾的な効果を付与できることなる。
(8) 図26〜29は、保持具1、例えば人型保持具1aとして構成された左右一対の腕部16,16としての第1の一対の線状抱持片6a,6aと、左右一対の脚部19,19としての第2の一対の線状抱持片6b,6bの夫々にその延長方向に埋入されている金属線材7の先端側の部分8の他の構成を示すものであり、該先端側の部分8は、前記外れ止め突部10a,10bにおいて埋入状態とされており、前記線状抱持片6a,6bの前記延長方向Fに対して屈曲する係合屈曲部65として構成されている。
このように構成した結果、前記両腕部16,16の前記先側部分41,41を捩ることによって前記両外れ止め突部10a,10aを互いに係合させる際や、前記両脚部19,19の前記先側部分46,46を捩ることによって前記両外れ止め突部10b,10bを互いに係合させるために、該外れ止め突部10a,10bをその基部66,66の周方向に捩る際、該外れ止め突部10a,10bを該基部66,66で空回りを生じさせることなく、前記金属線材7を芯線として確実に捩ることができ、所要角度の捩れに伴う前記外れ止め突部10a,10a相互の係合状態や前記外れ止め突部10b,10b相互の係合状態を安定的に持続させることができる。
図26に示されている前記先端側の部分8の形態は、前記腕部16にあっては、前記延長方向Fに対して直角に屈曲する上下の屈曲片からなる係合屈曲部65として構成されている。又、前記脚部19にあっては、前記延長方向Fに対して上側に直角に屈曲した屈曲片からなる係合屈曲部65として構成されている。
又図27に示されている前記先端側の部分8は、前記腕部16、前記脚部19共に、前記延長方向Fに対して内方側に、直角よりも小さい角度に屈曲した屈曲片からなる係合屈曲部65として構成されており、特に左右の腕部16,16については、該屈曲片の屈曲方向が逆向きとされている。
又図28に示されている前記先端側の部分8は、前記腕部16にあっては、前記延長方向に対して屈曲したC字状片からなる係合屈曲部65として構成され、前記脚部19にあっては、前記延長方向に対して直角に屈曲した屈曲片からなり上端部分67が下向きの円弧状を呈する係合屈曲部65として構成されている。
又図29に示されている前記先端側の部分8は、前記腕部16にあっては、前記延長方向Fに対して上側に直角に屈曲した屈曲片からなる係合屈曲部65として構成され、前記脚部19にあっては、前記延長方向Fに対して上側に略直角に屈曲され且つくの字状を呈する屈曲片からなる係合屈曲部65として構成されている。
なお図27〜29においては、係合屈曲部65に関係する符号のみを記載しているがその他の部分の符号は、図26における場合と同様であるため省略されている。
前記係合屈曲部65の形態は前記したものに限定されない。前記外れ止め突部10a,10bを、その基部66,66での空回りを生じさせることなく確実に捩じることができるように該係合屈曲部65が前記外れ止め突部10a,10bにおいて埋入状態となされ、前記延長方向Fに対して屈曲していればよいのであり、該係合屈曲部65の屈曲形態は前記外れ止め突部10の形態に応じて各種に構成され得る。
又、該係合屈曲部65は、前記腕部16、前記脚部19の何れか一方のみに設けられることがある他、図11〜図17、図24〜25に例示した保持具1においても同様に構成できる。