以下、上記課題を解決するのに適した他の手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
1.遊技機本体の前面の少なくとも一部を覆う装飾枠を備えた遊技機において、
前記装飾枠には前方へ膨出形成された膨出部が設けられると共に、その膨出部を前記本体にて下方から支持する支持構造が設けられたことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、本体に設けられた遊技球貯留用の上皿や操作部等を覆うために装飾枠には膨出部が前方へ膨出形成されており、その膨出部を本体にて下方から支持する支持構造が設けられているので、膨出部の強度(特に、下向きの力に対する強度)を高めることができる。よって、遊技者が膨出部に肘を突く等の動作を行って上体の体重を掛けた場合にも膨出部が破損することを防止できる。
さらに、膨出部に掛かる荷重が支持構造を介して本体側にて分担されるため、装飾枠の本体に対する取り付け部分に過大な荷重が掛かることが防止され、取り付け部材(例えば、ヒンジ機構)が破損することを防止することができる。また、支持構造によって強度が増大されることにより、装飾枠において膨出部やその他の立体的装飾をさらに大型化することが可能となり、これにより優れた視覚的効果が発揮される。具体的には、遊技ホールにおいて遊技者の興味を惹きつけて当該遊技機の選択を促したり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果を発揮することが期待される。
2.前記装飾枠は、前記本体に対して開閉可能に設けられ、
前記支持構造は、前記装飾枠を前記本体側へ閉じた際に前記膨出部を支持する支持状態とされると共に前記装飾枠を開放した際に前記支持状態が解除されることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、遊技者が遊技を行う際は装飾枠を本体側へ閉じることにより膨出部が本体にて下方から支持される支持状態とされるので、膨出部の強度が高められ、膨出部に上体の体重を掛けた場合にも破損が防止される。一方、装飾枠を本体側から開放すると膨出部の支持状態が解除されるので、遊技機のメンテナンス作業等を支障なく行うことができる。
3.前記装飾枠は、上方へ開放可能に構成されたことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段3によれば、遊技者が遊技を行う際は装飾枠を下方の本体側へ閉じることにより膨出部が本体にて下方から支持される支持状態とされるので、膨出部の強度が高められ、膨出部に上体の体重を掛けた場合にも破損が防止される。一方、装飾枠を本体側から上方へ開放すると膨出部の支持状態が解除されるので、遊技機のメンテナンス作業等を支障なく行うことができる。また、装飾枠が上方へ開放されるので、大型の立体的装飾が形成された場合でも、隣の遊技者の邪魔になることなく大きく開放することができる。
4.前記支持構造が、前記本体より延設されて前記膨出部を支持する本体延設部からなることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、装飾枠の膨出部が、本体より延設された本体延設部によって下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
5.前記本体は、遊技領域を有する本体枠と、その本体枠の前面側にて開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する窓枠と、前記本体枠を矩形開口内にて開閉可能に支持する外枠とを備え、
前記装飾枠は、前記窓枠の前面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記本体延設部は、前記外枠より延設されたことを特徴とする手段4に記載の遊技機。
手段5によれば、本体枠を外枠側へ閉じ、更に窓枠を本体枠側へ閉じることにより、装飾枠の膨出部が外枠より延設された本体延設部によって下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。また、装飾枠により窓枠の前面の少なくとも一部を覆って窓枠と装飾枠とが前後に重層する構造を形成することによっても、強度向上及び不正行為防止が図られ、視覚的効果に優れた立体的装飾の形成が可能となる(以下、手段6,8,9,11,12において同様の効果が奏される)。
6.前記本体は、遊技領域を有する本体枠と、その本体枠の前面側にて開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する窓枠とを備え、
前記装飾枠は、前記窓枠の前面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記本体延設部は、前記本体枠より延設されたことを特徴とする手段4に記載の遊技機。
手段6によれば、窓枠を本体枠側へ閉じることにより、装飾枠の膨出部が本体枠より延設された本体延設部によって下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
7.前記支持構造が、前記装飾枠の膨出部より延設されて前記本体に当接する装飾枠延設部からなることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段7によれば、装飾枠の膨出部より延設された装飾枠延設部が本体に当接することにより膨出部が下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
8.前記本体は、遊技領域を有する本体枠と、その本体枠の前面側にて開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する窓枠と、前記本体枠を矩形開口内にて開閉可能に支持する外枠とを備え、
前記装飾枠は、前記窓枠の前面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記装飾枠延設部は、前記外枠に当接するように延設されたことを特徴とする手段7に記載の遊技機。
手段8によれば、本体枠を外枠側へ閉じ、更に窓枠を本体枠側へ閉じることにより、装飾枠の膨出部より延設された装飾枠延設部が外枠に当接し、膨出部が装飾枠延設部を介して外枠にて下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
9.前記本体は、遊技領域を有する本体枠と、その本体枠の前面側にて開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する窓枠とを備え、
前記装飾枠は、前記窓枠の前面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記装飾枠延設部は、前記本体枠に当接するように延設されたことを特徴とする手段7に記載の遊技機。
手段9によれば、窓枠を本体枠側へ閉じることにより、装飾枠の膨出部より延設された装飾枠延設部が本体枠に当接し、膨出部が装飾枠延設部を介して本体枠にて下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
10.前記支持構造が、前記本体より延設された本体延設部と、前記装飾枠の膨出部より延設されて前記本体延設部と互いに当接する装飾枠延設部とからなることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段10によれば、本体より延設された本体延設部と装飾枠の膨出部より延設された装飾枠延設部とが互いに当接することにより、膨出部が本体延設部及び装飾枠延設部を介して本体にて下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度が増大される。
11.前記本体は、遊技領域を有する本体枠と、その本体枠の前面側にて開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する窓枠と、前記本体枠を矩形開口内にて開閉可能に支持する外枠とを備え、
前記装飾枠は、前記窓枠の前面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記本体延設部は、前記外枠より延設されたことを特徴とする手段10に記載の遊技機。
手段11によれば、本体枠を外枠側へ閉じ、更に窓枠を本体枠側へ閉じることにより、装飾枠の膨出部より延設された装飾枠延設部と外枠より延設された本体延設部とが互いに当接し、膨出部が本体延設部及び装飾枠延設部を介して外枠にて下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
12.前記本体は、遊技領域を有する本体枠と、その本体枠の前面側にて開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する窓枠とを備え、
前記装飾枠は、前記窓枠の前面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記本体延設部は、前記本体枠より延設されたことを特徴とする手段10に記載の遊技機。
手段12によれば、窓枠を本体枠側へ閉じることにより、装飾枠の膨出部より延設された装飾枠延設部と本体枠より延設された本体延設部とが互いに当接し、膨出部が装飾枠延設部及び本体延設部を介して本体枠にて下方から支持されるので、簡単な構造で確実に膨出部の強度を高めることができる。
13.前記本体延設部及び前記装飾枠延設部の当接部分のいずれか一方に係合凸部を設け、他方に係合凹部を設けたことを特徴とする手段10乃至12のいずれかに記載の遊技機。
手段13によれば、本体延設部及び装飾枠延設部のいずれか一方に設けられた係合凸部と他方に設けられた係合凹部とが係合して、本体延設部と装飾枠延設部とが強固に接続され、膨出部が本体枠にて下方から確実に支持される。
14.前記本体延設部は、遊技機が載置される床面に当接するように設けられたことを特徴とする手段4乃至6又は10乃至13のいずれかに記載の遊技機。
手段14によれば、遊技機を床面(遊技機島台の載置面)に載置した際に、本体延設部が床面に当接しているので、装飾枠の膨出部がより強固に支持され、膨出部に変形や破損が生じることを一層確実に防止することができる。
15.前記本体延設部の下面に弾性体が設けられていることを特徴とする手段14に記載の遊技機。
手段15によれば、本体延設部の下面に弾性体が設けられているので、本体延設部はより安定して装飾枠を支持することができると共に、床面の段差を弾性体により吸収することができる。
16.前記支持構造は、前記膨出部を左右両側で支持するように構成されたことを特徴とする手段1乃至15のいずれかに記載の遊技機。
手段16によれば、支持構造が膨出部を左右両側で安定して支持することができると共に、荷重が左右両側で分担されるため支持構造への負荷を軽減することができる。
17.前記遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする手段1乃至16のいずれかに記載の遊技機。
手段17によれば、装飾枠に本体側の上皿等を覆う膨出部が形成されたパチンコ遊技機において、膨出部を本体にて下方から支持する支持構造によって膨出部の強度が高められ、膨出部に上体の体重を掛ける動作を行った場合にも膨出部が破損することを防止できる。
18.前記遊技機は、複数種類の図柄が表示された複数の回転リールを有し、前記各回転リールの回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じて遊技球が払い出されるパチロット遊技機であることを特徴とする手段1乃至16のいずれかに記載の遊技機。
手段13によれば、装飾枠に本体側の上皿や操作部等を覆う膨出部が形成されたパチロット遊技機において、膨出部を本体にて下方から支持する支持構造によって膨出部の強度が高められ、膨出部に上体の体重を掛ける動作を行った場合にも膨出部が破損することを防止できる。
19.前記遊技機は、スロットマシンであることを特徴とする手段1乃至16のいずれかに記載の遊技機。
手段19によれば、装飾枠に本体側の操作部や遊技メダル用受皿等を覆う膨出部が形成されたスロットマシンにおいて、膨出部を本体にて下方から支持する支持構造によって膨出部の強度が高められ、膨出部に上体の体重を掛ける動作を行った場合にも膨出部が破損することを防止できる。
以下、本発明の遊技機を具体化した各実施形態について説明する。
最初に、第一の実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」と称する)1について説明する。パチンコ機1は、内部の遊技球払い出し機構を利用して遊技球の貸し出しを行うCR機と称されるタイプのパチンコ機であり、図1に示すように、カードユニット20が隣接配置され且つ電気的に接続されている。カードユニット20は、予め金額情報が記録された価値媒体としての図示しないプリペイドカードを投入可能なカード投入口21を有し、プリペイドカードから金額情報の読み出し及び書き込みが可能となっている。
パチンコ機1は、図1乃至図4に示すように、外枠2と、その外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持され且つ遊技領域14を有する本体枠3とを備えている。外枠2は、パチンコ機1のベースとなる枠であり、板材により全体として矩形状に構成され、本体枠3を矩形開口内にて開閉可能に支持している。また、外枠2前面下部には、合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂からなり、前方へ突出形成された左右一対の脚状部67a,67aを有する下部装飾部材67が取り付けられている。また、左右一対の脚状部67a,67aの下面には弾性体としてのゴム部材67c,67cが取り付けられており、脚状部67a,67aがゴム部材67c,67cにてパチンコ機1が載置される床面(遊技機島台の載置面)に当接するように設けられている。尚、本実施の形態では、外枠2は木製であって、上下方向の長さは808mm、左右方向の長さは520mmとなっている。また、脚状部67a,67aが、本発明の本体延設部を構成するものである。
本体枠3は、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。本体枠3の開閉軸線はパチンコ機1の正面から見て左側に上下に延びるように設定されている。尚、外枠2は樹脂により構成されていてもよく、あたかも外枠2及び本体枠3が一体物に見えるように構成されていてもよい。
本体枠3には、後述する下皿ユニット51を除く本体枠3の前面側を覆うように、ガラス扉枠4が本体枠3左端の垂直軸心回りに開閉自在に設けられている。さらに、本体枠3には、装飾枠60が本体枠3上端の水平軸心回りに開閉自在に設けられている。尚、ガラス扉枠4が本発明の窓枠を構成するものであり、装飾枠60を除き、外枠2、本体枠3及びガラス扉枠4を主要構成とするパチンコ機1の全ての部分が、本発明の遊技機本体を構成するものである。
本体枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、図5に示すように、遊技盤5が着脱可能に装着されている。なお、遊技盤5は、その周縁部が本体枠3の裏側に当接した状態で取り付けられており、図5では、遊技盤5の前面部の略中央部分だけが本体枠3の前面側に露出した状態となっている。この遊技盤5の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは451mmとなっている。また、遊技盤5には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には、普通入賞チャッカー6、可変入賞装置7、作動チャッカー8、スルーチャッカー10等が配設されている。
尚、後述する図柄変動表示装置57の制御を行う表示制御基板や、スピーカ59における音声出力の制御を行う音声制御基板を含む各種の制御基板は、図4に示すように、遊技盤5の背面側に設けた透明樹脂製の裏パック5aによって覆われている。また、パチンコ機1の主制御を行うメイン基板はメイン基板ボックス5bに、入賞による遊技球の払い出しやカードユニット20からの貸し出し要求に基づいて遊技球の払い出しを行う払出ユニット5d及び遊技球の発射を行う発射装置31の制御を行う払出発射制御基板は払出発射制御基板ボックス5cにそれぞれ収納されている。
また、可変入賞装置7は、通常、遊技球Bが入賞できない状態又は入賞し難い状態になっている。より詳しくは、作動チャッカー8に対し遊技球Bが入賞することに基づいて、図柄変動表示装置57の液晶表示部の図柄が可変表示される。そして、確定された図柄の組合わせが予め設定した特定の図柄の組合わせとなったこと、ここでは停止した図柄が特定の組み合わせであることを必要条件に特別遊技状態が発生し、可変入賞装置7の大入賞口が所定の開放状態となり(具体的には所定時間、所定回数だけ開く)、遊技球Bが入賞しやすい状態(大当り遊技状態)になるよう構成されている。尚、図柄変動表示装置57において変動表示される複数の図柄列のうち、1つを除く他の図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せであるリーチ遊技状態となったときに、図柄変動表示装置57においてリーチ演出画面が表示されると共に、リーチ遊技状態の発生がスピーカ59から出力される効果音によって報知される。
また、周知のとおり、前記一般入賞口6、可変入賞装置7、作動チャッカー8に遊技球Bが入賞することに基づいて、後述する上皿54(場合によっては下皿53)に対し所定数の遊技球が景品球として払い出されるようになっている。また、遊技盤5には、遊技球Bの落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車9等の各種部材(役物)が配設されている。
さて、本体枠3は、外形が前記外枠2とほぼ同一形状をなす樹脂ベース11と、この樹脂ベース11の最内周側に位置し略円弧状をなすよう一体形成された内レール12と、主として図の左側の内レール12に対し所定間隔を隔てて前記樹脂ベース11に一体形成された外レール13とを備えている。これら内レール12及び外レール13は遊技球発射ハンドル52の回動操作に基づき発射装置31から発射された遊技球Bを遊技盤5上部へ案内する発射路としての役割を主として果たすものである。従って、内レール12と外レール13とが並行する部分(向かって左側の部分)によって、誘導レールが構成されることとなる。
前記内レール12の下端部付近において、遊技盤5には遊技球Bを導出するアウト口25が形成されている。そして、遊技盤5の下部に落下した遊技球の多くは、このアウト口25を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。このような構成の下、本体枠3の内周側の窓孔によって主として遊技領域の外延が確定されており、本体枠3に対し遊技盤5が装着された状態にあっては、内レール12及び外レール13が遊技盤5に当接又は近接した状態となる。そして、発射装置31により発射された遊技球Bは、主として外レール13によって遊技盤5の上部へと案内される。また、遊技盤5には、遊技球の払い出しを行う払出口32が設けられ、この払出口32に連通するようにガラス扉枠4側に払出口45が設けられている(図7参照)。
次に、遊技領域14について説明する。本実施の形態では、遊技領域14を、パチンコ機1の正面から見て、内レール12及び外レール13によって囲まれる領域のうち、内外レール12,13の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。また、パチンコ機1において、外レール13の最上部地点から遊技盤5下部までの間の距離は462mm、外レール13の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は449mmとなっている。また、内レール12の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は432mmとなっている。
併せて、図1及び図6に示すように、ガラス扉枠4の存在していない本体枠3下部は、例えばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂よりなる下皿ユニット51となっている。下皿ユニット51の右下部からは、遊技球発射用ハンドル52が手前側に延設されている。また、下皿ユニット51のほぼ中央部には球受け皿としての景品球払出用の下皿53が設けられている。さらに、下皿ユニット51には下皿53の左側に隣接して灰皿56が設けられている。
次に、ガラス扉枠4について、図6及び図7を参照しつつ説明する。ガラス扉枠4には、前記遊技領域14の殆どを外部から視認することができるように略楕円形状の窓部41が形成されている。具体的には、前記窓部41は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、前記窓部41の上端(外レール13の最上部、遊技領域の上端)と、ガラス扉枠4の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は50mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べ、著しく短くなっている。なお、上記距離は、80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。勿論、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、窓部41の左端と、ガラス扉枠4の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅)は、ガラス扉枠4自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。より詳しくは、図1及び図7を相互に比較すると明らかなように、ガラス扉枠4が閉じられた状態において、外レール13の左側部は勿論、内レール12の左側部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。すなわち、誘導レールの一部が覆い隠される。このように遊技球Bが一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球Bが遊技領域14に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球Bが視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、ガラス扉枠4の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、外レール13の左端位置と外枠2の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール12の右端位置)と外枠2右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。また、ガラス扉枠4には、図7に示すように、その左右フレーム部分の裏側において、そのガラス扉枠4を補強するための例えば金属製の補強部材43,44が取り付けられている。
また、ガラス扉枠4の開閉軸線(軸支部)もパチンコ機1の正面から見て左側に上下に延びるように設定されている。詳しくは、ガラス扉枠4の背面図である図7に示すように、ガラス扉枠4の裏側から見て右側の上端部付近に回動軸91が設けられ、図7に示すように本体枠3の正面から見て左側の上端部付近には回動軸91が嵌め込まれる軸受部92が設けられている。また、軸受部92の下方には、上方に突出する突回動軸93が設けられ、ガラス扉枠4の下側面には、前記回動軸91の下方位置において、前記突回動軸93を嵌め込むための図示しない軸受凹部が設けられている。そして、突回動軸93を前記軸受凹部に嵌め込み、回動軸91を軸受部92に嵌め込むことによって、ガラス扉枠4が軸支され開閉可能となる。このように本実施の形態では、回動軸91と突回動軸93を結ぶ線がガラス扉枠4の開閉軸線として設定されている。
また、ガラス扉枠4には、裏側から一対のガラス板42が並行して取り付けられている。ガラス扉枠4の左右方向の長さは、本体枠3とほぼ同等であり、そのガラス扉枠4によって本体枠3下部に設けられた下皿ユニット51を除く殆どの部分が覆われるようになっている。
ガラス扉枠4における窓部41下方の下部フレームには、上皿54が一体的に設けられている。上皿54は、合成樹脂を成形することによって製造され、ガラス扉枠4の払出し口45より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部54a、払出し口45より払い出された遊技球を貯留部54aへ流入させる流入口54l、及び貯留部54aに貯留された遊技球をガラス扉枠4の供給穴49を通して発射装置31側へ供給する供給口54rを有し、流入口54l及び供給口54rの後端面においてガラス扉枠4にビス等を用いて取り付け固定されている。
上皿54の貯留部54aは、流入口54l及び供給口54rに連続する底面部54bと、底面部54bの周囲を取り囲むように立設された前壁部54cと、底面部54bを挟んで前壁部54cと対向するように流入口54lと供給口54rとの間に立設され且つ前壁部54c側へ凸状となるようにに湾曲形成された後壁部54dとを有している。底面部54bは、左右方向に細長く且つガラス扉枠4から前方へ張り出すように形成されている。また、底面部54b後部の流入口54lと供給口54rとの間には前方側へ凹状をなす凹状輪郭部54uが形成され、上述した後壁部54dは凹状輪郭部54uに沿って立設されている。後壁部54dは、左右方向中央部でガラス扉枠4より数十mm程度(例えば、30〜50mm)前方側へ離間しており、後壁部54d背面とガラス扉枠4前面との間に空間部54hが形成される構造となっている。尚、図8(a)は上皿54の平面図、(b)は(a)の上皿54のA−A線断面図である。
貯留部54aの底面部54b上には、後壁部54dの右側に、遊技球を一列に整列させて供給口54rより供給穴49を通して発射装置31側へ流下させる整流部54eが設けられている。整流部54eには、遊技球を後述する直線部54fへ誘導するための傾斜壁54kが、直線部54fを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に形成されており、遊技球の流路が徐々に狭まる構造となっている。また、整流部54eには、底面部54b上で前後方向に延設され且つ前方側から供給穴49の位置する後方側に向かって下り傾斜する直線部54fが設けられ、この直線部54fの底面に細長い長方形状の金属板54mが装着されている。金属板54mは、遊技球の流れをスムーズにする機能、底面を補強して摩擦による削れを防止する機能、ノイズを防止する機能等を有している。また、金属板54mの下流端側には球抜き穴54jが形成されている。この球抜き穴54jは、通常の状態において直線部54fの底面裏側をスライド自在に設けられる開閉弁54iによって閉塞されており、開閉弁54iが前壁部54cに設けられる球抜きレバー54gの操作により移動されたときに、球抜き穴54jが開放されて貯留部54a内に貯留されていた遊技球を図示しない球抜き通路を介して下皿53に移動せしめるものである。
ここで、上皿54の貯留部54aにおける遊技球Bの流れについて、図9を参照しつつ説明する。遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54bと、前壁部54c及び後壁部54dとに案内されて貯留部54a右側の供給口54rへ向かって転動して整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは整流部54eの直線部54fを挟んで両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、直線部54f上を下り傾斜する後方側(ガラス扉枠4側)へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。供給穴49から球送り装置48へ供給された遊技球は、1個ずつ発射レール33に導かれ、発射装置31によって発射される。
次に、装飾枠60について、図10乃至図13を参照しつつ説明する。装飾枠60は、合成樹脂の成形加工により四方連携状に形成され且つ背面の各コーナー近傍(4箇所)に立脚部60fが突設された装飾枠本体60Aと、鋼材やアルミダイキャスト等の金属材料によりガラス扉枠4の窓部41を囲むフレーム状に形成され且つ装飾枠本体60Aの立脚部60fに取り付け固定されるベース部材60Bとを備え、ガラス扉枠4の窓部41の隠蔽を回避しつつ、ガラス扉枠4の前側表面の略全域を立ち上がった状態で覆うよう構成されている。ここで、図10(a)は、装飾枠本体60Aの正面図であり、(b)は装飾枠本体60A上部の張出し部61を透視して示す正面図である。また、図11(a)は、ベース部材60Bを示す正面図である。尚、装飾枠本体60Aは、各コーナー近傍(4箇所)に突設された立脚部60fにおいてベース部材60B前面に固定される。具体的には、装飾枠本体60Aの各立脚部60fにネジ孔60gが形成され、ビス60hを背面側からベース部材60Bの各コーナー(4箇所)に形成された取り付け孔60eを通してネジ孔60gに螺着することによって装飾枠本体60Aがベース部材60Bに固定される(図11(c)参照)。
ベース部材60B上部中央には、図11(a)に示すように、窓部41上端に図柄変動表示装置57が配設されている。図柄変動表示装置57は、液晶ディスプレイを備え、例えば、図11(b)に示すように、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の3つの表示列が画面表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が各図柄列毎にスクロールされるように表示画面に可変表示されるようになっている。尚、図柄変動表示装置57は、液晶ディスプレイからなるので、高精細で見易い画面表示を行うことができる。
ベース部材60B下部中央には、遊技球の貸し出しに関する操作を行うための貸球操作部46が配設されている。貸球操作部46は、図1及び図11(a)に示すように、遊技球の貸し出し可能状態をランプによって示す貸出ボタンランプ46a、遊技球の貸し出しを行うための貸出ボタン46b、プリペイドカードの返却を行うための返却ボタン46c、プリペイドカードの残り度数を表示する度数表示LED46dとを備えている。遊技者は、後述する装飾枠本体60Aの操作部用開口部60cを介して露出する貸球操作部46各部の視認及び貸出ボタン46bや返却ボタン46cの操作を行うことができる(図1参照)。
装飾枠本体60A上部中央には、図10に示すように、逆台形状の表示用切り欠き60aが形成され、ベース部材60B上に配設された図柄変動表示装置57が表示用切り欠き60aにおいて前面側に露出し、遊技者より視認可能とされる。装飾枠本体60A前面上部には、前方へ張り出し状に形成され且つベース部材60Bを介してガラス扉枠4との間に空間部61hを有する張出し部61が設けられている。張出し部61は、装飾枠本体60Aの左右両端を跨ぐアーチ状の外観を呈しており、中央では前方に数cm〜十数cm程度張り出している(図2(b),図3参照)。装飾枠本体60Aの略中央には、略円形状の窓部用開口部60bが形成され、ガラス扉枠4の窓部41に装着されたガラス板42を介して遊技領域14を視認可能となっている。
窓部用開口部60bの周囲には、各種ランプ、LED等の発光手段を備えた電飾部材62が設けられている。これら電飾部材62は、大当り時や所定のリーチ時等の遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光手段の発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすようになっている。勿論、これら電飾部材62を、ガラス扉枠4に設ける構成や遊技盤5に設ける構成(コーナー飾りと称される電飾部材62を遊技盤5のコーナー部等に配設する)としてもよいし、場合によっては本体枠3に設ける構成としてもよい。更には、前後一対のガラス42間に配設する構成としてもよい。
装飾枠本体60Aの窓部用開口部60bの下方には、逆台形状の操作部用開口部60cが形成され、ベース部材60B上に配設された貸球操作部46が操作部用開口部60cにおいて前面側に露出している。装飾枠本体60Aの操作部用開口部60cよりもさらに下方には、上皿54前面を覆うように前方へ膨出形成された膨出部63が設けられている。膨出部63は、図9に示すように、装飾枠60がガラス扉枠4に対して閉じた際に上皿54を収容可能な空間が内部に形成されつつ、所望形状で前側(遊技者側)に膨出形成されたものであり、上皿54上面を開口させる上皿用開口部63aが形成されている。この上皿用開口部63aにより、上皿54に貯留された遊技球を取り出したり、或いは上皿54の貯留部に遊技球を補充したりすることができる。また、膨出部63の前面右寄りにレバー用開口部63bが形成されている。上皿54前面に配設された球抜きレバー54gは、レバー用開口部63bより前面側に露出し、遊技者によって左右にスライド操作可能とされる。また、膨出部63には、左右において下方へ延設された一対の装飾枠延設部64,64が設けられている。本体枠3を外枠2側へ閉じ、更に装飾枠60を本体枠3に対して閉じた際に、装飾枠延設部64,64が外枠2下部前面の左右に設けられた脚状部67a,67aにてそれぞれ当接支持される。
尚、装飾枠延設部64,64下面に係合凸部64a,64aが、下部装飾部材67の脚状部67a,67a上面に係合凹部67b,67bがそれぞれ整合するように設けられている。従って、装飾枠60と下部装飾部材67とを閉状態とした際に、係合凸部64a,64aと係合凹部67b、67bとが係合して装飾枠60が脚状部67a,67aにて強固に支持される。
また、本体枠3が外枠2に対し閉じられると自動的にロックがかかるようになっており、所定のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。同様に、ガラス扉枠4が本体枠3に対し閉じられると自動的にロックがかかり、別途のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。さらに同様に、装飾枠60が本体枠3に対し閉じられると自動的にロックがかかり、別途のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。このようにロック及びロック解除を行うためのロック機構が本体枠3の右下部、つまり下皿ユニット51の右端部に設けられている。ロック機構には、鍵穴を有するキーシリンダ(解除キー)55、本体枠3及び外枠2間でのロック及び解除を行うための第2ロック機構が含まれる。本実施の形態では、最も幅狭で、遊技領域の拡張を阻害する本体枠の右中央部ではなく、比較的にスペースにゆとりのある本体枠3の右下部に、キーシリンダ55をはじめとする上記ロック機構(特にキーシリンダ55)が配設されている。換言すれば、キーシリンダ55は、遊技領域の最大幅となる位置を避けて配置されている。このような構成により、遊技領域の拡張をより容易且つ確実に図ることができる。
勿論、最も幅狭な部分以外であれば、上記以外の部位に設けてもよく、例えば、本体枠3の右上部に設けるような構成としてもよい。また、上記例では、第1ロック機構及び第2ロック機構をキーシリンダ55でともにロック状態を解除可能としたが、それぞれの解除のためのキーシリンダを別体で設けることとしてもよい。
また、ベース部材60B上端には、折り曲げ板形状のヒンジ65が左右一対に取り付けられており、装飾枠60はヒンジ65を介して本体枠3に対して水平軸心回りに(すなわち、上下に)開閉自在に枢着されている。尚、ヒンジ65はベース部材60B上端に配設されているが、これに代えて上部の左右両側面に配設してもよい。ここで、図12は、装飾枠60が上方へ開放されて水平姿勢となった状態を示している。また、図13(a)は、装飾枠60を上方に開放すると共にガラス扉枠4を左側へ開放し、この状態で装飾枠60をガラス扉枠4の上端で支持させることにより、装飾枠60を開放位置に保持した様子を示す図である。具体的には、図13(b)に示すように、ベース部材60B背面に係合突起60dが、ガラス扉枠4上端に係合突起60dに整合する係合凹部4aがそれぞれ形成され、係合突起60dと係合凹部4aとが係合することにより、上方に開放された装飾枠60がガラス扉枠4上端に載置された状態が保持される。
ここで、パチンコ機1と遊技者の視界との関係について、図14を参照しつつ説明する。図14に示すように、装飾枠60の窓部用開口部60bは、ガラス扉枠4の窓部41よりも一回り小さい開口となっている。つまり、装飾枠60の窓部開口部60bを正面視でガラス扉枠4の窓部41に一部が重なるように形成されている。尚、遊技領域14は、図14に示すように、遊技者により所定の視野角を持って視認され、遊技領域14の周縁部に対して遊技者の視線が斜めに注がれるので、装飾枠本体60Aが遊技者の視界を妨げることがなく、装飾枠開口部60bを通して遊技領域14全体が視認される。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、本体枠3を外枠2側へ閉じ、更にガラス扉枠4及び装飾枠60を本体枠3側へそれぞれ閉じることにより、装飾枠60の膨出部63より延設された装飾枠延設部64,64と外枠2の下部装飾部材67より延設された脚状部67a,67aとが互いに当接し、膨出部63が装飾枠延設部64,64及び脚状部67a,67aを介して外枠2にて下方から支持される支持構造が形成されるので、簡単な構造で確実に膨出部63の強度(特に、下向きの力に対する強度)を高めることができる。よって、遊技者が膨出部63に肘を突く等の動作を行って上体の体重を掛けた場合にも膨出部63が破損することを防止できる。さらに、膨出部63に掛かる荷重が支持構造を介して本体側(外枠2)にて分担されるため、装飾枠60の本体枠3に対する取り付け部分に過大な荷重が掛かることが防止され、ヒンジ65が破損することを防止することができる。また、上述した支持構造によって強度が増大されることにより、装飾枠60において膨出部63やその他の立体的装飾をさらに大型化することが可能となり、これにより優れた視覚的効果が発揮される。具体的には、遊技ホールにおいて遊技者の興味を惹きつけて当該パチンコ機1の選択を促したり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果を発揮することが期待される。尚、下部装飾部材67の左右に設けられた脚状部67a,67aの中間に空間が形成されるため、遊技球を貯留するための貯留箱(いわゆるドル箱)を遊技機島台上でパチンコ機1の手前中央に載置することができる。
また、装飾枠60がガラス扉枠4側へ突設された立脚部60fを有するので、装飾枠60がガラス扉枠4から立ち上がった構造が形成され、ガラス扉枠4と装飾枠60との二段構成からなる立体的装飾を容易に形成することができる。そして、装飾領域が拡大されることにより、遊技ホールにおいて遊技者の注目を集めたり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果が発揮される。また、装飾枠60が四方連携状に形成されることによって、遊技機前面の少なくとも一部を構成する装飾枠60において強度を確保することができるので、製品輸送やホール設置に伴う作業負荷や遊技ホールで遊技者が装飾枠に手を置いたり乱暴な扱いをするなどの行為によって装飾枠60が破損することを確実に防止可能である。
また、装飾枠60には窓部用開口部60bが設けられているので、遊技者は窓部用開口部60bより奥まって位置するガラス扉枠4の窓部41を介して遊技領域14を確実に視認することができる。また、装飾枠60に開口部を設けるとその周囲が強度不足となり易いが、窓部用開口部60bを囲んで四方連携状に形成されているので確実に強度を確保することができる。さらに、装飾枠60の窓部用開口部60fを囲んで連続的に装飾を施すことができるので、視覚的効果に優れた装飾の形成が可能である。
また、装飾枠60の窓部用開口部60bが正面視でガラス扉枠4の窓部41に一部が重なるように形成されることによって装飾枠60の表面積を大きく確保可能であり、装飾枠60に設けられる装飾の大型化や設計上の自由度が向上される。また、正面視で装飾枠60の窓部用開口部60bとガラス扉枠4の窓部41とが周縁部近傍で重なっていても、遊技領域41は遊技者により所定の視野角を持って視認され、遊技領域41の周縁部に対して遊技者の視線が斜めに注がれるので、装飾枠60が遊技者の視界を妨げることがなく、装飾枠60の窓部用開口部60bを通して遊技領域41全体が視認される(図14参照)。
また、四方連携状に形成された装飾枠60の各コーナー近傍に立脚部60fが設けられ、装飾枠60が各コーナー近傍の四点で立ち上がる構造が形成されることにより、装飾枠60のガラス扉枠4に対する安定性向上が図られ、装飾枠60が傾いたり、がたついたりすることを防止することができる。
また、装飾枠60が立脚部60fにおいてガラス扉枠4から立ち上がっているので、ガラス扉枠4の形状に拘らずに開閉可能な構造を実現することができる。すなわち、装飾枠60がガラス扉枠4を略密着状に覆う構造では、装飾枠60を円滑に開閉可能とするためにガラス扉枠4の形状(例えば、突出部分の高さや形状)が制約されるが、装飾枠60が立脚部60fのみにおいてガラス扉枠4から立ち上がる本実施形態の構造では、ガラス扉枠4上に適宜設けられたポイントに立脚部60fを当接させればよいので、ガラス扉枠4の形状に関する自由度が極めて高い。また、装飾枠60とガラス扉枠4との独立性が高いため、装飾枠60をこじ開ける等の不正が試みられた場合でも、ガラス扉枠4には影響が及ばないので、ガラス扉枠4が有する遊技領域41への不正なアクセスに対する防止機能が損なわれることがない。また、装飾枠60がガラス扉枠4から立ち上がっているため、ヒンジ機構等の配設スペースを容易に確保でき、開閉可能な構造を容易に実現することができる。さらに、装飾枠60を四方連携状とすることにより強度が確保されているので、装飾枠60の開閉による破損を防止できる。
また、装飾枠60が本体枠3に対して開閉可能に取り付けられており、装飾枠60がガラス扉枠4によって支持されていないので、ガラス扉枠4側の重量負荷が軽く、ガラス扉枠4の強度を極端に高めることなく装飾枠60に大型の装飾を形成することが可能となる。さらに、装飾枠60とガラス扉枠4とで重量が分担されるので、装飾枠60及びガラス扉枠4をそれぞれ軽く開閉することができ、メンテナンス作業等を行う作業者の負担が軽減される。
また、装飾枠60は重量の大きいガラス板42を有しないため相対的に軽量であり、小さな力で装飾枠60を上下に軽く且つ安全に開閉することができる。よって、電動で装飾枠を開閉するための開閉駆動装置等を設ける必要がなく、遊技機全体の構成が複雑化せず且つコストを低く抑えることができる。また、ガラス板が装着されたガラス扉枠が上方に開放される従来構成では、作業者がガラス板に頭をぶつける危険性があるが、本実施形態によればそのような危険性はなく、安全性が高い。さらに、装飾枠60が本体枠3に対して上方に開放されるので、装飾枠60に大型の立体的装飾が施された場合でも、隣の遊技者の邪魔にならずに装飾枠60を大きく開放することができる。一方、装飾枠60を上方へ開放すると膨出部63の支持状態が解除されるので、パチンコ機1のメンテナンス作業等を支障なく行うことができる。
また、電飾部材62、図柄変動表示装置57などの電気部品が装飾枠60に配設されているので、光や表示を伴う優れた視覚的効果を発揮することができる。また、装飾枠60がガラス扉枠4から立ち上がる構造を有しているため、装飾枠60上の電気部材と本体枠3等に設けられた電源や制御部等との電気的接続を図る配線を設けるためのスペース確保が容易である。また、装飾枠60が四方連携状に形成されているので、配線引き回しの自由度が高く、例えば、配線のユニット化を図ることも可能となる。
また、合成樹脂からなる装飾枠本体60Aが、強度の高い鋼材やアルミニウム等の金属からなるフレーム状のベース部材60Bによって支持される構造の採用により強度が向上されるため、装飾枠本体60Aにおいて様々な形状を有する大型の立体的装飾の形成が可能となる。
また、ガラス扉枠4と装飾枠60の張出し部61とが前後に重層した視覚的効果に優れた立体的装飾を形成することができる。また、張出し部61によって立体的構造が形成されることにより、各種部材の配設スペースを拡大することができる。すなわち、装飾枠60の張出し部61とガラス扉枠4との間に形成される空間部61h内を、遊技領域14を臨む窓部41の一部や各種部材の配設スペースとして活用しつつ、前方へ立体的に設けられた張出し部61に表示部や音声出力部等の各種部材を配設することができるので、遊技機前面における各種部材の配設スペースを確実に拡大することができる。また、張出し部61の空間部61hを通して下方に光が取り込まれるので、張出し部61の下方が暗くなって遊技に支障を来たすことが防止される。また、張出し部61が装飾枠60の左右両端に跨って設けられるアーチ状に形成されているので、大型の立体的装飾を形成することができると共に、各種部材の配設スペースを大幅に拡大することができる。
また、パチンコ機1を床面に載置した際に、左右一対の脚状部67a,67aがゴム部材67c、67cにて床面に当接しているので、装飾枠60をより強固に支持することができ、変形や破損が生じることをより一層確実に防止することができる。さらに、脚状部67a,67aの下面に弾性体としてのゴム部材67c、67cが設けられているので、より安定して装飾枠60を支持することができると共に、遊技機島台の載置面の段差を吸収することができる。
そして、ダイナミックな遊技を実現するために遊技球が打ち込まれる遊技領域の大型化に対する要求が高いパチンコ遊技機において、遊技領域の大型化と遊技機前面における装飾の充実とを同時に図ることが可能となるという効果が奏される。
次に、本発明の第二の実施形態について、図15乃至図20を参照しつつ説明する。第二の実施形態は、複数種類の図柄が表示された複数の回転リールを有し、各回転リールの回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じて遊技球が払い出されるパチロット遊技機(以下、単に「パチロット機」と称する)である。本実施形態のパチロット機101は、図15に示すように、正面側に開口すると共に、複数種類の図柄が表示された図示しない複数(3個)の回転リールが収容される本体枠120と、本体枠120の前面を覆うように左右に開閉可能に取り付けられ、ガラス板143aが装着されて各回転リールの図柄を視認可能とされた表示窓143を有する合成樹脂製のフロントパネル140と、フロントパネル140前面の大部分を覆うように上下に開閉自在に設けられる装飾パネル160とを備えている。本体枠120前面下部には、合成樹脂、具体的にはABS樹脂からなり、前方へ突出形成された左右一対の脚状部167a,167aを有する下部装飾部材167が取り付けられている。尚、フロントパネル140が本発明の窓枠を、装飾パネル160が装飾枠を、脚状部167a,167aが本体延設部をそれぞれ構成するものである。また、装飾パネル160を除き、本体枠120及びフロントパネル140を主要構成とするパチロット機101の全ての部分が、本発明の遊技機本体を構成するものである。また、本実施形態では、3個の回転リールにおいて表示窓143から視認される領域が遊技領域114である。
また、フロントパネル140の前面には、上部の左右に音声出力部159,159、払い出された遊技球を貯留する上皿144、払い出された遊技球又は上皿144より誘導された遊技球を受けて貯留する下皿170等が設けられている。音声出力部159には、図示しない接続コードを介して音声制御基板と電気的に接続されたスピーカ本体159aが収納されている。また、音声出力部159においてスピーカ本体159aの前面を覆うカバー159bには多数の小孔159cが形成されており、スピーカ本体159aから出力される音声が遊技者から聞こえやすくなっている。上皿144の上面には、各回転リールの回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じてフロントパネル140の払出し口145より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部144a、払出し口145より払い出された遊技球を貯留部144aへ流入させる流入口144l、及び貯留部144aに貯留された遊技球をフロントパネル140の供給穴149を通して本体側へ供給する供給口144rが設けられている。
装飾パネル160は、合成樹脂の成形加工により四方連携状に形成され且つ背面の各コーナー近傍(4箇所)に立脚部160fが突設された装飾パネル本体160Aと、鋼材やアルミダイキャスト等の金属材料によりフロントパネル140の表示窓143を囲むフレーム状に形成され且つ装飾パネル本体160Aの立脚部160fに取り付け固定されるベース部材160Bとを備え、フロントパネル140の表示窓143の隠蔽を回避しつつ、フロントパネル140の前側表面の略全域を立ち上がった状態で覆うよう構成されている。また、図17(a)は、ベース部材160Bを示す正面図である。尚、装飾パネル本体160Aは、図16で点線により示される背面の各コーナー近傍(4箇所)に突設された立脚部160fにおいてベース部材160B前面に固定される。具体的には、装飾パネル本体160Aの各立脚部160fにネジ孔160gが形成され、ビス160hを背面側からベース部材160Bの各コーナー(4箇所)に形成された取り付け孔160eを通してネジ孔160gに螺着することによって装飾パネル本体160Aがベース部材160Bに固定される(図17(b)参照)。装飾パネル本体160Aは、フロントパネル140の表示窓143より上方部分を覆う張出し部161と、フロントパネル140の表示窓143より下方部分を覆う膨出部163及び164とを備え、張出し部161と膨出部163及び164とが左右両側で上下に連結されて一体化された構造を有している。
より具体的に説明すると、装飾パネル本体160A上部には、前方へ張り出し状に形成され且つフロントパネル140との間に空間部161hを有してフロントパネル140の前面上部を覆うように張出し部161が設けられ、張出し部161より後方へ左右一対の取り付け片162が延設されている。張出し部161は、音声出力部159,159を左右方向に跨ぐアーチ状の外観を呈しており、中央では前方に数cm〜十数cm程度張り出している。一対の取り付け片161には、折り曲げ板形状のヒンジ165がそれぞれ取り付けられており、装飾パネル160はヒンジ165を介して本体枠120に対して水平軸心回りに(すなわち、上下に)開閉自在に枢着されている。ここで、図16は、装飾パネル160を本体枠120側へ閉じた状態を、図18は、装飾パネル160を上方へ開放して水平姿勢とされた状態を示している。
張出し部161前面の中央には情報表示部157が配設されている。尚、図19は、張出し部161付近を示す正面図であり、図20は、図19におけるC−C線断面及び張出し部161と遊技者との位置関係を示す側面図である。情報表示部157は、横長の長方形状を呈する液晶ディスプレイからなり、通信回線305を介してホールサーバ304から受信した表示用データに基づいて画面表示を行う。また、空間部161h内で音声出力部159,159から音声が出力されて、音声が必要以上に周囲に広がらないので、当該遊技者には音声が明瞭に聴取され且つ周囲の遊技者には聴取されにくい。
装飾パネル本体160Aの略中央には、長方形状の窓部用開口部160aが形成され、フロントパネル140の表示窓143に装着されたガラス板143aを介して回転リールの遊技領域114を視認可能となっている。窓用開口部160aの下方には、上皿144前面を覆うように前方へ膨出形成された膨出部163が設けられている。膨出部163は、図16,17に示すように、装飾枠160がフロントパネル140に対して閉じた際に上皿144を収容可能な空間が内部に形成されつつ、所望形状で前側(遊技者側)に膨出形成されたものであり、上皿144上面を開口させる上皿用開口部163aが形成されている。この上皿用開口部163aにより、上皿144に貯留された遊技球を取り出したり、或いは上皿144の貯留部に遊技球を補充したりすることができる。膨出部163の下方には、下皿170前面を覆うように前方へ膨出形成された膨出部164が設けられている。膨出部164は、図15,16に示すように、装飾枠160がフロントパネル140に対して閉じた際に下皿170を収容可能な空間が内部に形成されつつ、所望形状で前側に膨出形成されたものであり、下皿170上面を開口させる下皿用開口部164aが形成されている。この下皿用開口部164aにより、下皿170に貯留された遊技球を取り出すことができる。装飾パネル160を本体枠120に対して閉じた際に、膨出部164下面が本体枠120下部前面の左右に設けられた脚状部167a,167aにてそれぞれ当接支持される。
また、膨出部163の上面には、クレジットされている遊技球を投入するためのベットスイッチ146aや、クレジットされている遊技球を払い出すためのキャンセルスイッチ146bが設けられている。また、膨出部163の前面は操作部147となっており、回転リールの回転起動操作を行うスタートレバー147a、及び左・中・右の回転リールにそれぞれ対応して設けられたストップスイッチ147bが設けられている。また、窓部用開口部160aを挟む両側や、膨出部163前面には装飾ランプ142が配設されている。
次に、上述したパチロット機101を用いた情報提供システム301のシステム構成について、図24を参照しつつ説明する。情報提供システム301は、図24に示すように、遊技ホール外の情報提供センタ等に設けられる情報サーバ302と、情報サーバ302が接続されたインターネット網303と、遊技ホール側に設けられてインターネット網303に接続されたホールサーバ304と、遊技ホール内に設けられた通信線305と、遊技ホール内に設置されて通信線305を介してホールサーバ304と接続された複数のパチロット機101,・・101とから構成される。
情報サーバ302には、各種情報の表示用データが記憶されており、当該記憶された表示用データを、インターネット網303を介して各遊技ホールのホールサーバ304に対して定期的に配信する。情報サーバ302によって配信される表示用データは、地域の飲食店情報等の広告情報、ニュース、天気予報等である。ホールサーバ304は、インターネット網303を介して表示用データを受信して内部の記憶装置に記憶する。また、ホールサーバ304は、遊技ホールにおいて入力された表示用データをも記憶装置に記憶する。尚、遊技ホールにおいて入力される表示用データは、新台入れ替え情報、遊技機の新機種情報、景品情報、遊技ホールからのお知らせ等である。そして、ホールサーバ304は、記憶した表示用データを通信回線305を介して所定のタイミングで各パチロット機101へ送信する。各パチロット機101において、情報表示部157が受信した表示用データに基づいて画面表示を行う。図25は、情報表示部157において、新台入れ替え情報を表示した例を示している。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、装飾パネル160を本体枠120側へ閉じることにより、装飾パネル160の膨出部164下面が下部装飾部材167の脚状部167a,167aにて当接支持される支持構造が形成されるので、簡単な構造で確実に膨出部164の強度(特に、下向きの力に対する強度)を高めることができる。よって、遊技者が膨出部164に手を置く等の動作を行った場合にも膨出部164が破損することを防止できる。さらに、膨出部164に掛かる荷重が支持構造を介して本体側(本体枠120)にて分担されるため、装飾パネル160の本体枠120に対する取り付け部分に過大な荷重が掛かることが防止され、ヒンジ165が破損することを防止することができる。また、上述した支持構造によって強度が増大されることにより、装飾パネル160において膨出部164やその他の立体的装飾をさらに大型化することが可能となり、これにより優れた視覚的効果が発揮される。具体的には、遊技ホールにおいて遊技者の興味を惹きつけて当該パチロット機101の選択を促したり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果を発揮することが期待される。尚、下部装飾部材167の左右に設けられた脚状部167a,167aの中間に空間が形成されるため、遊技球を貯留するための貯留箱(いわゆるドル箱)を遊技機島台上でパチロット機101の手前中央に載置することができる。
また、装飾枠パネル160がフロントパネル140側へ突設された立脚部160fを有するので、装飾パネル160がフロントパネル140から立ち上がった構造が形成され、フロントパネル140と装飾パネル160との二段構成からなる立体的装飾を容易に形成することができる。そして、装飾領域が拡大されることにより、遊技ホールにおいて遊技者の注目を集めたり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果が発揮される。また、装飾パネル160が四方連携状に形成されることによって、遊技機前面の少なくとも一部を構成する装飾パネル160において強度を確保することができるので、製品輸送やホール設置に伴う作業負荷や遊技ホールで遊技者が装飾枠に手を置いたり乱暴な扱いをするなどの行為によって装飾パネル160が破損することを確実に防止可能である等、第一の実施形態と略同様の効果を奏する。
また、フロントパネル140の前面にて前方へ張り出し且つフロントパネル140との間に空間部161hを有する張出し部161を備えた装飾パネル160を設けることにより、フロントパネル140前面に立体的構造を形成して各種部材の配設スペースを拡大することができる。また、情報表示部157がフロントパネル140の前面にて前方へ張り出す装飾パネル160の張出し部161に配設されているので、より遊技者に近い位置で見易い画面表示を行うことができる。特に、情報表示部157は、情報サーバ302からインターネット網303を介して配信された表示用データや遊技ホールにおいて入力された広告宣伝情報、ニュース、お知らせ等に関する表示用データをホールサーバ304より受信して画面表示することができる。
次に、本発明の第三の実施形態について、図21乃至図23を参照しつつ説明する。尚、第二の実施形態で説明した図24に示す情報提供システム301は、第三の実施形態においても共通に用いられるものとする。第三の実施形態の遊技機であるスロットマシン201は、図21及び図22に示すように、正面側に開口すると共に、複数種類の図柄が表示された複数(3個)の回転リール221が収容される本体キャビネット220と、本体キャビネット220の前面を覆うように左右に開閉可能に取り付けられ、各回転リール221の図柄を視認可能な表示窓243を設けたフロントパネル240と、フロントパネル240前面の大部分を覆うように上下に開閉自在に設けられる装飾パネル260とを備えている。本体キャビネット220前面下部には、合成樹脂、具体的にはABS樹脂からなり、前方へ突出形成された左右一対の脚状部267a,267aを有する下部装飾部材267が取り付けられている。また、本体キャビネット220が本発明の本体枠を、フロントパネル240が窓枠を、装飾パネル260が装飾枠を、脚状部267a,267aが本体延設部をそれぞれ構成するものである。また、装飾パネル260を除き、本体キャビネット220及びフロントパネル240を主要構成とするスロットマシン201の全ての部分が、本発明の遊技機本体を構成するものである。また、本実施形態では、3個の回転リール221において表示窓243から視認される領域が遊技領域214である。
本体キャビネット220は、天板、左右の側板、底板、裏板などから構成され、例えば、薄板板金素材を切断、孔あけ、曲げ加工等して所定のパネル形状に加工した後、これ等の部材を溶接して図示する正面側に開口する箱状に形成される。
フロントパネル240は、合成樹脂の成型加工によって、本体キャビネット220の開口部分を覆う扉状に形成される。フロントパネル240には、本体キャビネット220に収容された左・中・右の回転リール221の前面側に対向する位置に、ガラス板243aが嵌め込まれた表示窓243が設けられ、各回転リール221に表示された図柄が視認可能となっている。フロントパネル240上部には、情報表示部257が配設されている。情報表示部257は、横長の長方形状を呈する大型の液晶ディスプレイからなり、通信回線305を介してホールサーバ304から受信した表示用データに基づいて画面表示を行う(図24、25参照)。フロントパネル240の高さ方向略中央部分は前方へ突出状に形成され、上面に遊技メダルを投入するためのメダル投入口246が設けられている。
フロントパネル240の下部には、各回転リール221の回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じて払い出された遊技メダルを受けて貯留するメダル受皿270が設けられている。メダル受皿270は、合成樹脂の成型加工により上面が開口する箱状に形成されている。
装飾パネル260は、合成樹脂の成形加工により四方連携状に形成され且つ背面の各コーナー近傍(4箇所)に立脚部260fが突設された装飾パネル本体260Aと、鋼材やアルミダイキャスト等の金属材料によりフロントパネル240の表示窓243を囲むフレーム状に形成され且つ装飾パネル本体260Aの立脚部260fに取り付け固定されるベース部材260Bとを備え、フロントパネル240の表示窓243の隠蔽を回避しつつ、フロントパネル240の前側表面の略全域を立ち上がった状態で覆うよう構成されている。ベース部材260Bは、図17に示す第二の実施形態におけるベース部材160Bと同様の形状を呈しており、装飾パネル本体260Aはベース部材260Bの各コーナー(4箇所)に形成された取り付け孔を介して図示しないビス等によってベース部材260B前面に固定される。装飾パネル本体260Aは、フロントパネル240の表示窓243より上方部分を覆う張出し部261と、フロントパネル240の表示窓243より下方部分を覆う膨出部263及び264とを備え、張出し部261と膨出部263及び264とが左右両側で上下に連結されて一体化された構造を有している。
より具体的に説明すると、装飾パネル本体260Aの上部には、前方へ張り出し状に形成され且つフロントパネル240との間に空間部261hを有してフロントパネル240の前面上部を覆う張出し部261が設けられ、張出し部261より後方へ左右一対の取り付け片262が延設されている。張出し部261は、情報表示部257の上部を左右方向に跨ぐアーチ状の外観を呈しており、中央では前方に数cm〜十数cm程度張り出している。一対の取り付け片262には、折り曲げ板形状のヒンジ265がそれぞれ取り付けられており、装飾パネル260はヒンジ265を介して本体キャビネット220に対して水平軸心回りに(すなわち、上下に)開閉自在に枢着されている。ここで、図22は、装飾パネル260を本体キャビネット220側へ閉じた状態を、図23は、装飾パネル260を上方へ開放して水平姿勢とされた状態をそれぞれ示している。装飾パネル260前面には、複数の発光ダイオード(LED)261bを左右方向に整列させて配設した電飾部261aが全体に亘って形成されている。尚、LEDに代えて、多数の電球を配設することにより電飾部261aを構成してもよい。
装飾パネル本体260Aの略中央には、長方形状の窓部用開口部260aが形成され、フロントパネル240の表示窓243に装着されたガラス板243aを介して各回転リール221の遊技領域214を視認可能となっている。窓部用開口部260aの下方には、前方に突出する台状の膨出部263が設けられている。この膨出部263の上面には、クレジットされている遊技メダルを投入するためのベットスイッチや、クレジットされているメダルを払い出すためのキャンセルスイッチ等を含む各種スイッチ263aが設けられている。また、メダル投入口246に対応する箇所には開口が形成され、装飾パネル260が本体キャビネット220側へ閉じた状態でメダル投入口246が露出するようになっている。また、膨出部263の前面には、回転リール221の回転起動操作を行うスタートレバー263b、及び左・中・右の回転リール221にそれぞれ対応して設けられたストップスイッチ263dが設けられている。また、フロントパネル240上下方向中央に設けられた膨出部263の下方の領域には、機種名称等が描かれた化粧パネル266が取り付けられている。
装飾パネル本体260Aの下部には、メダル受皿270前面を覆うように前方へ膨出形成された膨出部264が設けられている。膨出部264は、図22,23に示すように、装飾枠260がフロントパネル240に対して閉じた際にメダル受皿270を収容可能な空間が内部に形成されつつ、所望形状で前側に膨出形成されたものであり、メダル受皿270上面を開口させるメダル受皿用開口部264aが形成されている。このメダル受皿用開口部264aにより、メダル受皿270に貯留された遊技メダルを取り出すことができる。装飾パネル260を本体キャビネット220に対して閉じた際に、膨出部264下面が本体キャビネット220下部前面の左右に設けられた脚状部267a,267aにてそれぞれ当接支持される。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、装飾パネル260を本体キャビネット220側へ閉じることにより、装飾パネル260の膨出部264下面が下部装飾部材267の脚状部267a,267aにて当接支持される支持構造が形成されるので、簡単な構造で確実に膨出部264の強度(特に、下向きの力に対する強度)を高めることができる。よって、遊技者が膨出部264に手を置く等の動作を行った場合にも膨出部264が破損することを防止できる。さらに、膨出部264に掛かる荷重が支持構造を介して本体側(本体キャビネット220)にて分担されるため、装飾パネル260の本体キャビネット220に対する取り付け部分に過大な荷重が掛かることが防止され、ヒンジ265が破損することを防止することができる。また、上述した支持構造によって強度が増大されることにより、装飾パネル260において膨出部264やその他の立体的装飾をさらに大型化することが可能となり、これにより優れた視覚的効果が発揮される。具体的には、遊技ホールにおいて遊技者の興味を惹きつけて当該スロットマシン201の選択を促したり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果を発揮することが期待される。尚、下部装飾部材267の左右に設けられた脚状部267a,267aの中間に空間が形成されるため、遊技メダルを貯留するための貯留箱(いわゆるドル箱)を遊技機島台上でスロットマシンの手前中央に載置することができる。
また、装飾枠パネル260がフロントパネル240側へ突設された立脚部260fを有するので、装飾パネル260がフロントパネル240から立ち上がった構造が形成され、フロントパネル240と装飾パネル260との二段構成からなる立体的装飾を容易に形成することができる。そして、装飾領域が拡大されることにより、遊技ホールにおいて遊技者の注目を集めたり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果が発揮される。また、装飾パネル260が四方連携状に形成されることによって、遊技機前面の少なくとも一部を構成する装飾パネル260において強度を確保することができるので、製品輸送やホール設置に伴う作業負荷や遊技ホールで遊技者が装飾枠に手を置いたり乱暴な扱いをするなどの行為によって装飾パネル260が破損することを確実に防止可能である等、第一又は第二の実施形態と略同様の効果を奏する。
また、フロントパネル240の前面にて前方へ張り出し且つフロントパネル240との間に空間部261hを有する装飾パネル260を備えることにより、大型の情報表示部257をフロントパネル240前面上部に配設する構成を採用しつつ、フロントパネル240前面に立体的構造を形成して各種部材の配設スペースを拡大することができる。また、遊技者の目に付きやすく且つ立体的構造を有する装飾パネル260に複数のLED261bを有する電飾部261aが形成されているので、光による効果的な演出を行うことにより遊技の興趣を増大させることができる。また、フロントパネル240前面のスペースが小さい場合でも、装飾パネル260上に大型の電飾部261aを構成することができる。
尚、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、前記第一の実施形態では、図柄変動表示装置57を液晶ディスプレイにより構成したが、図柄変動表示装置57をELディスプレイ(ELは、エレクトロルミネッセントの略)により構成してもよい。本変形例によれば、図柄変動表示装置57が高輝度で見易い画面表示を行うことができる。尚、図柄変動表示装置57を可撓性を有する材質からなるELディスプレイにより構成する場合、ELディスプレイを曲面状に配設する構成としてよい。本変形例によれば、外部からの光の写り込みが防止されて図柄変動表示装置57における画面表示の視認がより一層容易となる。
或いは、図柄変動表示装置57をLEDディスプレイにより構成してもよい。本変形例によれば、図柄変動表示装置57が安価な構成で見易い画面表示を行うことができる。さらに、第二の実施形態において、情報表示部157をタッチパネル式ディスプレイにより構成してもよい。本変形例によれば、遊技者が指で情報表示部157の表面に触れることによって容易に各種の入力操作を行うことができる。入力操作としては、表示したい情報の選択入力を行えるようにしてもよいし、タッチパネル式ディスプレイ上に球貸しボタン等を設けて貸し球操作部を構成するようにしてもよい。さらに、情報表示部157の両端を回転自在に支持して、情報表示部157が所定の傾斜角となるように上下に回動可能に配設してもよい。本変形例によれば、情報表示部157が遊技者の視線方向となるように傾斜角を調整可能であるので、遊技者は、より一層容易に画面表示を視認することができる。
また、前記第一の実施形態において、図26に示す第一の変形例のように、装飾枠60の上辺部から下辺部まで連続的に電飾部材としての多数個の発光ダイオード62’を配設する構成としてもよい。本変形例によれば、遊技機1前面に連続的で視覚的効果に優れた立体的装飾を形成することができる。
また、前記第一の実施形態では、上皿54の上面を開放して遊技球を投入可能に構成されたパチンコ遊技機に本発明を適用した例を示したが、上皿54の上面がカバー部材で封鎖された構造或いは上皿を設けることなく発射装置へ遊技球が供給される構造を有し且つ獲得された賞球数がポイントカードに書き込まれるように構成された封入式と称されるパチンコ遊技機に本発明を適用してもよい。
また、前記第一の実施形態では、上皿54がガラス扉枠4に一体的に設けられる構成としたが、上皿54が本体枠3側に設けられる構成としてもよい。本変形例によれば、貯留された遊技球によって大きな重量がかかる上皿54が、装飾枠60側ではなく本体枠3側に設けられているので、装飾枠60の強度をあまり高く設定する必要がない。また、上方に開放される装飾枠60には上皿54が設けられていないので、上皿54内に貯留された遊技球が装飾枠60開放時にこぼれ落ちる事態は発生しない。
また、前記各実施形態では、装飾枠60(装飾パネル160,装飾パネル260)が本体枠2(本体枠120,本体キャビネット220)に対して上方へ開放されるように構成したが、下方へ開放されるように構成してもよい。例えば、装飾枠60等の下端をヒンジを介して本体枠2等の下部に取り付けて水平軸心回りに開閉自在に枢着してもよい。本変形例によれば、隣の遊技者の邪魔にならずに装飾枠60等を大きく下方へ開放した状態で、本体枠2等の遊技領域に対するメンテナンス作業等を行うことができる。
前記第一の実施形態では、装飾枠60を装飾枠本体60Aとベース部材60Bとから構成したが、図27乃至29に示す第二の変形例のように、ベース部材60Bを省略して装飾枠本体60Aのみにより装飾枠60を構成してもよい。第二の変形例では、図27に示すように、図柄変動表示装置57が装飾枠本体60Aの上部中央に、貸球操作部46が装飾枠本体60Aの窓部用開口部60b下方にそれぞれ設けられている。また、図28,29に示すように、装飾枠本体60A背面の各コーナー近傍(4箇所)に立脚部60fが突設されており、装飾枠本体60Aをガラス扉枠4側へ閉じることにより(図29参照)、立脚部60fがガラス扉枠4前面に当接するので、装飾枠本体60Aはガラス扉枠4から立ち上がった状態で、窓部41を除くガラス扉枠4前面の略全域を覆う構造が形成される。
前記第一の実施形態では、装飾枠60を本体枠2に対して開閉可能に取り付ける構成としたが、図30に示す第三の変形例のように、装飾枠60をガラス扉枠4前面に固定する構成としてもよい。すなわち、第三の変形例は、装飾枠60と本体枠2とを連結するためのヒンジ65を設けず、立脚部60fにおいてビス60iを用いて装飾枠本体60Aをガラス扉枠4前面に固定する構成としたものである。本変形例においても、装飾枠本体60Aはガラス扉枠4から立ち上がった状態で、窓部41を除くガラス扉枠4前面の略全域を覆う構造が形成される。
また、図31に示す第四の変形例のように、下部装飾部材67の左右一対の脚状部67a,67aに、遊技球を貯留するための貯留箱を下皿53の真下位置に案内する案内部67d,67dを形成する構成としてもよい。本変形例によれば、貯留箱が左右両側で案内部67d,67dに当接して案内されるので、遊技者は貯留箱を遊技機島台上で下皿53の真下位置へ容易に位置決めして載置することができる。
また、前記第一の実施形態では、装飾枠60の膨出部63より延設された装飾枠延設部64,64と外枠2より延設された本体延設部としての脚状部67a,67aとが互いに当接することにより膨出部63を外枠2にて下方から支持する支持構造としたが、図32に示す第五の変形例のように、本体枠3より前方に本体延設部3a,3aを延設して膨出部63より延設された装飾枠延設部64,64と互いに当接することにより膨出部63を本体枠3にて下方から支持する支持構造としてもよい
また、図33に示す第六の変形例のように、装飾枠延設部64,64を各々の先端が外枠2に当接するように膨出部63より延設することにより、膨出部63が装飾枠延設部64,64を介して外枠2にて下方から支持される支持構造としてもよい。或いは、図34に示す第七の変形例のように、装飾枠延設部64,64をそれらの先端が本体枠3に当接するように膨出部63より延設することにより、膨出部63が装飾枠延設部64,64を介して本体枠3にて下方から支持される支持構造としてもよい。これらの変形例では、外枠2の脚状部67a,67aが不要となるので、上述した実施形態よりも簡単な構造となる。
また、図35に示す第八の変形例のように、装飾枠延設部64,64を省略すると共に、外枠2より膨出部63下面に向かって本体延設部67e,67eを延設し、装飾枠60を本体枠3側へ閉じた際に膨出部63下面が本体延設部67e,67eを介して外枠2にて下方から当接支持される支持構造としてもよい。或いは、図36に示す第九の変形例のように、本体枠3より膨出部63下面に向かって本体延設部3a、3aを延設し、装飾枠60を本体枠3側へ閉じた際に膨出部63下面が本体延設部3a、3aを介して本体枠3にて下方から支持される支持構造としてもよい。これらの変形例も、外枠2の脚状部67a,67aが不要となるので、第六又は第七の変形例と同様、上述した実施形態よりも簡単な構造となる。