JP5951331B2 - 微細構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、露光量が過大になると、フォトレジスト内においてレーザ光の焦点部及びその近傍の温度上昇によって、脱離した脱離基がベースポリマに再結合してフォトレジストが部分的にアルカリ不溶物に戻る現象が生じる。そのため、ある一定値以上の露光量でフォトレジストを露光しても、それ以上露光深さを深くすることができず、得られるパターンの凸部の高さをそれ以上大きくすることができない。また、露光量が過大では、レーザ光の焦点部及びその近傍である凸部の頭頂部に不要な窪みが生じるなど、得られるパターン形状が設計通りのものとはならなくなる場合がある。
具体的には、従来の方法では、凸部の高さが20μm以上では、所望の高さ及び形状の凸部を安定的に形成することが難しい傾向がある。
特許文献3には、マスク露光法においてレジスト感光閾値未満の露光量にて複数回露光を行い、複数回合計の露光によりレジスト感光閾値を超える露光量とした後に現像することで、回折光による形状崩れの影響を低減し、設計通りのパターンを形成する方法が開示されている(請求項1)。
表面に凹凸パターンを有する微細構造体の製造方法であって、
基板上にポジ型のフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記フォトレジストに対してレーザ光を走査しながら照射して前記フォトレジストを露光する露光工程と、
前記フォトレジストを現像する現像工程とを備え、
前記露光工程において、同一箇所に対して同一パターンで複数回の露光を行うものである。
前記フォトレジストに対して、同一のレーザ装置を用い、レーザ光量の条件のみを変えて1回の露光を行い、現像後に得られる前記凹凸パターンの凸部の最大高さをパターン高さとして求め、レーザ光量とパターン高さとの関係を示すレジスト感度曲線を取得し、当該レジスト感度曲線から求められるパターン高さが最大となる最小のレーザ光量をXmaxとしたとき、
前記露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザ光量を、各回それぞれXmax未満とし、かつ、複数回の露光のレーザ光量の合計をXmax以上とすることが好ましい。
前記フォトレジストに対して、同一のレーザ装置を用い、レーザパワーの条件のみを変えて1回の露光を行い、現像後に得られる前記凹凸パターンの凸部の最大高さをパターン高さとして求め、レーザパワーとパターン高さとの関係を示すレジスト感度曲線を取得し、当該レジスト感度曲線から求められるパターン高さが最大となる最小のレーザパワーをYmaxとしたとき、
前記露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザパワーを、各回それぞれYmax未満とし、かつ、複数回の露光のレーザパワーの合計をYmax以上とするようにしてもよい。
凹凸パターンのパターン形状は特に限定されない。
凹凸パターンにおける凸部のパターンは、ドーム状、プリズム状、円柱状、及び角柱状等、任意である。
塗布工程では、基板上にポジ型のフォトレジストを塗布する。
フォトレジストの塗布膜の膜厚は特に限定されない。
本発明は特に、高さ20μm以上の凸部を含む凹凸パターンを有する微細構造体に好ましく適用できる。
ドーム状、プリズム状、円柱状、及び角柱状等の形状を有する高さ20μm以上の凸部を含む凹凸パターンを有する微細構造体を製造する場合、フォトレジストの塗布膜の膜厚は、例えば30〜50μmが好ましい。
凸部が傾斜角90度未満の直斜面あるいはドーム状のような緩斜面を有する場合、後記レジスト感度曲線の傾きが比較的小さいものを選択することが好ましい。これは、凸部が傾斜角90度未満の直斜面あるいはドーム状のような緩斜面を有する場合、レジスト感度曲線の傾きが比較的大きいレジストを用いると、パターン深さに応じて露光量を変化させるステップ幅を小さくしようとしても、レジスト感度曲線の傾きが大きいのでステップ幅が大きくなり、傾斜角90度未満の直斜面あるいはドーム状のような緩斜面が滑らかに形成できず段差を生じる場合があるためである。
露光工程では、上記塗布工程で塗布されたフォトレジストに対してレーザ光を走査しながら照射して、フォトレジストを露光する。
この工程では、同一箇所に対して同一パターンで複数回の露光を行う。
本発明者は例えば、後記実施例1に示すように、高さ40μmのパターンの形成に成功している。
フォトレジストに対して、同一のレーザ装置を用い、レーザ光量の条件のみを変えて1回の露光を行い、現像後に得られる凹凸パターンの凸部の最大高さをパターン高さとして求め、レーザ光量とパターン高さとの関係を示すレジスト感度曲線を取得し、このレジスト感度曲線から求められるパターン高さが最大となる最小のレーザ光量をXmaxとしたとき、
露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザ光量を、各回それぞれXmax未満とし、かつ、複数回の露光のレーザ光量の合計をXmax以上とすることが好ましい。
また、1回あたりのレーザ光量を小さく設定し過ぎて、露光回数が増えると、トータルの露光時間が長くなり、高コストとなる。したがって、複数回の露光のレーザ光量は、各回それぞれXmaxの30%以上とすることがより好ましい。
このように各回の露光のレーザ光量を設定することで、脱離した脱離基がベースポリマに再結合してフォトレジストがアルカリ不溶物に戻る現象を安定的に抑制しつつ、なるべく少ない露光回数で所望のトータルの露光量を確保し、所望の高さ及び形状の凹凸を、良好にかつ低コストに形成することができる。
露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザパワーを、各回それぞれYmax未満とし、かつ、複数回の露光のレーザパワーの合計をYmax以上とするようにしてもよい。
同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザパワーの条件を、各回それぞれYmaxの30〜70%とすることが好ましい。
各回の露光のレーザパワーは、Ymaxの30〜70%の範囲内でなるべく高い値に設定することが特に好ましい。各回の露光のレーザパワーは、Ymaxの50〜70%の範囲内とすることがより好ましく、Ymaxの60〜70%の範囲内とすることが特に好ましい。
複数回の露光のレーザパワーは、各回それぞれ240mWの30〜70%の範囲内でなるべく高い値に設定することが特に好ましい。
後記実施例1では、各回の露光のレーザパワーをYmaxの30〜70%の範囲内で上限に近い160mW(約66.7%)に設定している。
例えば、Ar+レーザ(351nm、364nm、458nm、488nm)、Kr+レーザ(351nm、406nm、413nm)、He−Cdレーザ(352nm、442nm)、半導体励起固体パルスレーザ(355nm、473nm)、及び半導体レーザ(375nm、405nm、445nm、488nm)等を用いることができる。()内は発振波長である。
現像工程では、露光後のフォトレジストを現像する。
フォトレジストの露光は、公知方法により実施することができる。現像液としては特に制限なく、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等のアルカリ現像液を用いることができる。
以下のようにして、直径80μm高さ40μmのドーム型レンズパターンを作製した。
厚み6mmのガラス基板の表面に、ポジ型のフォトレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ社製のレジストAZP4400)を50μmの厚さで塗布した。
次に、ホットプレートを用い、熱源から9mmのクリアランスを取り、上記のフォトレジストに対して、温度95℃90分間のベーキング処理を施した。
この工程において用いたレーザ装置は、対物レンズのNA0.7、レーザ光波長413nm、レーザ光走査速度1.6μm/msec、レーザ光走査ピッチ100μmの設定とした。
図中縦軸の「パターン高さ」は、得られたパターン高さの最大値である。
この予備実験においては、レジスト感度曲線から求められるパターン高さが最大となる最小のレーザパワーYmaxは240mWであった。
露光条件を下記に変える以外は予備実験と同様にして、レジストパターンを形成した。その後、得られたレジストパターン面にニッケルを蒸着し、電気メッキを行って、微細構造体(スタンパ)を製造した。
露光条件:レーザパワー160mWで同一箇所に対して4回露光。
図2に示すように、表面に直径80μm高さ40μmの設計通りの形状のドーム型レンズパターンを有する微細構造体を製造することができた。
露光条件を下記に変える以外は実施例1と同様にして、レジストパターン及び微細構造体(スタンパ)を製造した。
露光条件:レーザパワー240mWで同一箇所に対して2回露光。
得られたレンズパターンは、全体的に設計よりも高さが低く、最大高さは20μmであった。しかも、凸部の頭頂部には不要な窪みが見られ、きれいなドーム状の凸部を形成することができなかった。
Claims (5)
- 基板上にポジ型のフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記フォトレジストに対してレーザ光を走査しながら照射して前記フォトレジストを露光する露光工程と、
前記フォトレジストを現像する現像工程とを備え、
前記露光工程において、同一箇所に対して同一パターンで複数回の露光を行う、表面に凹凸パターンを有する微細構造体の製造方法であって、
前記フォトレジストに対して、同一のレーザ装置を用い、レーザ光量の条件のみを変えて1回の露光を行い、現像後に得られる前記凹凸パターンの凸部の最大高さをパターン高さとして求め、レーザ光量とパターン高さとの関係を示すレジスト感度曲線を取得し、当該レジスト感度曲線から求められるパターン高さが最大となる最小のレーザ光量をX max としたとき、
前記露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザ光量を、各回それぞれX max 未満とし、かつ、複数回の露光のレーザ光量の合計をX max 以上とする微細構造体の製造方法。 - 前記露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザ光量の条件を、各回それぞれXmaxの30〜70%とする請求項1に記載の微細構造体の製造方法。
- 基板上にポジ型のフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記フォトレジストに対してレーザ光を走査しながら照射して前記フォトレジストを露光する露光工程と、
前記フォトレジストを現像する現像工程とを備え、
前記露光工程において、同一箇所に対して同一パターンで複数回の露光を行う、表面に凹凸パターンを有する微細構造体の製造方法であって、
前記フォトレジストに対して、同一のレーザ装置を用い、レーザパワーの条件のみを変えて1回の露光を行い、現像後に得られる前記凹凸パターンの凸部の最大高さをパターン高さとして求め、レーザパワーとパターン高さとの関係を示すレジスト感度曲線を取得し、当該レジスト感度曲線から求められるパターン高さが最大となる最小のレーザパワーをYmaxとしたとき、
前記露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザパワーを、各回それぞれYmax未満とし、かつ、複数回の露光のレーザパワーの合計をYmax以上とする微細構造体の製造方法。 - 前記露光工程において、同一箇所に対して実施する複数回の露光のレーザパワーの条件を、各回それぞれYmaxの30〜70%とする請求項3に記載の微細構造体の製造方法。
- 前記凹凸パターンの凸部の高さが20μm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の微細構造体の製造方法。
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