図1は、本発明の織布支持装置10が適用される空気噴射式織機の一例について、筬50の構成、筬50を固定する周辺部分の構成、及び織布支持装置10を支持する部分の構成を示す側面図である。また、図2は、前記空気噴射式織機の一例について、織布支持装置10を支持する部分の構成、及び織布支持装置10を示す平面図である。図3は、織布支持装置10の一例を示す側面図である。以下、これらの構成を順に詳述する。
筬50は、織布1の織幅方向に沿って間隔を空けて設けられる複数の筬羽51と、上部口金52と、下部口金53と、左右の口金(図示せず)とを含む。各筬羽51は、上下方向に延在し且つ略一定の厚さ寸法を有する板状に形成されている。また、各筬羽51は、上下方向に延在する帯板状の筬羽本体部51aを主体として有している。そして、この筬羽本体部51aの織前側とされる前面部には、上下方向の中央部に、略三角形状をした凸部51b、51eが形成されていると共に、両凸部51b、51eの間に凹部51cが形成されている。
各筬羽51は、上部口金52、下部口金53、左右の口金によって組まれた枠組みの内側に配置され、筬羽51の上端部及び下端部を上部口金52及び下部口金53の各溝52a、53aに収容する形態で形成されている。これら筬羽51は、その厚さ方向を緯入れ方向とするように、緯入れ方向に間隔をあけて並列的に並べられた状態に整列している。そして、これら複数の筬羽51に形成された凹部51cによって緯糸案内溝50aが画定され、この緯糸案内溝50aが筬50の前面側に形成される。
筬50は、その下部口金53において、リードホルダ60により支持されている。より詳しくは、空気噴射式織機には、織布1の織前1a近傍における経糸列の下方に織幅方向に延在するリードホルダ60が配置されており、また、リードホルダ60は、上向きに開口する取付溝60aを有している。そして、筬50は、下部口金53がリードホルダ60の取付溝60aに収容され、取付溝60a内に収容されたリードグリッパ61と取付溝60aの内壁とで下部口金53が挟持されることにより、リードホルダ60から立設する状態で支持されている。
リードホルダ60は、織幅方向に間隔をあけて設けられたスレソード62を介してロッキングシャフト(図示せず)に支持されている。また、リードホルダ60の前面側には、サブノズル71を固定するための取付溝60bが織幅方向に沿って形成されており、この取付溝60bに対し、所定間隔おきにサブノズルホルダ70を介してサブノズル71が固定されている。そして、給糸側から筬50の緯糸案内溝50a内に挿入された緯糸は、このサブノズル71から噴射されるエアによって助勢されて反給糸側に導かれ、緯入れされる。その緯入れ過程において、筬50は、ロッキングシャフトの回動に伴うリードホルダ60の揺動運動によって揺動運動を行っており、緯入れが完了した後の緯糸を織布1の織前1aに筬打ちする。
また、空気噴射式織機において、織幅方向の左右両側には、織機のフレーム(図示せず)がそれぞれ設けられており、両フレームに亘って本願発明で言う「梁部材」としてのフロントトップステー80が織幅方向に延在する状態で架設されている。また、フロントトップステー80の上面には、織幅方向に間隔をあけて、スペーサ81を介してスライドバーホルダ82がネジ部材83で固定されている。そして、これらスライドバーホルダ82の上面には、織幅方向に延在するスライドバー84が、ネジ部材(六角穴付きボルト)85によって固定されている。なお、スライドバー84は、上辺と下辺との長さが異なる台形形状の断面形状を有している。
このスライドバー84における織布1の織幅方向の両側には、テンプルホルダ91が固定され、このテンプルホルダ91には、織布1の織幅方向よりも外側にテンプルブラケット(図1〜図3には図示せず。但し、図11を参照。)92が固定されている。なお、このテンプルブラケット92は、織布1の織幅方向よりも外側に起立する部分と、その起立する部分から織布1の織幅方向に沿って織布1の上側に延在する部分とを有している。
また、経糸方向における織前1aの近傍の織端1b付近には、織幅方向に延在するかたちでテンプル93が設けられている。なお、図示の例では、テンプル93は、織布1の上側に設けられる所謂上置き型となっている。そして、このテンプル93は、織幅方向の外側端部がテンプルブラケット92の起立する部分で支持され、その織幅方向の内側端部をテンプルブラケット92の延在する部分で支持されている。
また、テンプルホルダ91には、テンプルベース94とテンプルガイド95が固定されている。このテンプルベース94及びテンプルガイド95は、いずれも断面L字状であり、テンプルガイド95は、テンプルホルダ91へ取り付ける部分における織前端が立ち上っており、この立上り部がテンプル93よりも反織前側に離間して配置されている。一方、テンプルベース94は、テンプルホルダ91へ取り付ける部分からテンプル93の下を通過して織前側に向かって延在し、その延在する先部から立上り部が円弧状に湾曲しながらテンプル93よりも織前側に離間して配置されるように立ち上っている。これらテンプルベース94とテンプルガイド95との立上り部の先端に織布1が当接しながら、テンプル93の下面側に対し織布1を巻き掛けるように案内し、織布1の織り縮みが防がれる。
そして、スライドバー84には、本発明の一例としての織布支持装置10が固定されている。なお、本実施例では、織布支持装置10は、第1のガイド部材としての1つのセンタガイドバー11と、第2のガイド部材としての2つ(一対)のサイドガイドバー12とを含む。また、サイドガイドバー12は、織布1における両織端側のそれぞれに配置され、センタガイドバー11は、両サイドガイドバー12、12の間に配置される。そして、本実施例では、サイドガイドバー12が本発明における第1のガイド部材及び第2のガイド部材のうちの「一方のガイド部材」に相当し、センタガイドバー11が「他方のガイド部材」に相当する。
更に、本実施例では、織布支持装置10は、第1のガイド部材(センタガイドバー11)及び第2のガイド部材(サイドガイドバー12)に加え、第3のガイド部材としてのクロスガイドバー13を備える。このクロスガイドバー13は、本実施例では、センタガイドバー11と同じ長さ寸法(長手方向の寸法)を有し、織幅方向においてセンタガイドバー11と同じ位置に配置される。これらのガイドバー11、12、13を含む本実施例の織布支持装置10は、両側のテンプルベース94、94の間に配置される。なお、図示の空気噴射式織機では、織前1aから織布進行方向における最初のガイドロール2へ向かう織布1の進行ラインは、下方へ向けて傾斜する傾斜ラインとなっている。
各ガイドバー11、12、13は、スライドバー84に対し織幅方向の所定位置に固定された複数の支持ブラケット20によって支持される。すなわち、各ガイドバー11、12、13は、支持ブラケット20を介してスライドバー84に支持されている。このように本実施例の織布支持装置10は、各ガイドバー11、12、13の支持構成として支持ブラケット20を含む。また、前記のように、スライドバー84は、梁部材としてのフロントトップステー80に支持されている。従って、スライドバー84による支持は、梁部材による支持と同義である。なお、各ガイドバー11、12、13は、後述の上方延在部11a、12a、13aにおいて支持ブラケット20に支持される。すなわち、本実施例では、各ガイドバー11、12、13における梁部材に支持される取付基部11y、12y、13yの全てが、後述する上方延在部11a、12a、13aとなっている。
各支持ブラケット20は、スライドバー84に固定されるガイドバーホルダ21と、ガイドバーホルダ21の先端(織前1a側端)側に設けられる挟持部材としてのクランプホルダ30とを含む。
各支持ブラケット20において、ガイドバーホルダ21は、後端側にスライドバー84に対する固定部を備え、この固定部に止め部材22をネジ部材23で締め付けることにより、前記台形形状の断面形状を有するスライドバー84を前後から挟持するかたちでスライドバー84に対し固定される。また、ガイドバーホルダ21は、前記固定部から織前側へ向けて斜め上方へ延びるように設けられており、その先端側の端部には、クランプ面21aが形成されている。そして、このクランプ面21aとクランプホルダ30とにより、各ガイドバー11、12、13の取付基部11y、12y、13yを前後方向から挟み込む挟持部24が形成される。
クランプホルダ30は、クランプ部31と取付部32とを主体として有している。取付部32は、織幅方向に見たときの厚さ方向(挟持方向)の寸法がクランプ部31よりも大きく形成されている。また、取付部32には、織幅方向に延在する前後面のうちの前面(反織前側の面)の下部に、前記厚さ方向に突出する突出部33が織幅方向に亘って一体的に形成されている。そして、クランプホルダ30は、取付部32における突出部33が形成される前面をガイドバーホルダ21における前記クランプ面21aに対向させた状態で配置される。
また、クランプホルダ30の取付部32には、その高さ方向の中央部に雌ネジ孔32aが厚さ方向に貫通して形成されている。一方、ガイドバーホルダ21の前記クランプ面21aが形成される部分には、貫通孔21bがクランプ面21aに直交する方向に貫通して形成されている。そして、クランプホルダ30は、ガイドバーホルダ21の前記貫通孔21bに対しガイドバーホルダ21側から挿入されたネジ部材25が前記雌ネジ孔32aに螺挿されることにより、前記突出部33の端面をガイドバーホルダ21の前記クランプ面21aに当接させた状態で固定される。
この構成の場合、クランプホルダ30は、突出部33のみでガイドバーホルダ21の前記クランプ面21aに当接しており、その当接位置よりも上方に前記ネジ部材25が螺挿されている。そのため、クランプホルダ30は、ネジ部材25を締め込むことにより、突出部33の上縁を支点としてガイドバーホルダ21のクランプ面21a側へ傾斜する。その結果、取付部32よりも上方に位置するクランプ部31がガイドバーホルダ21のクランプ面21a側へ変位する。
クランプ部31は、前記厚さ方向における寸法が取付部32よりも小さく形成されており、後面(筬側の面)を取付部32と一致させた状態で取付部32と一体的に形成されている。つまり、取付部32の上面における後側にのみクランプ部31が設けられ、取付部32の上面における前側にはクランプ部31が設けられていない。このため、取付部32の上面における前側には段部34が形成されている。従って、クランプホルダ30が前記ネジ部材25によってガイドバーホルダ21(クランプ面21a)に取り付けられた状態において、ガイドバーホルダ21のクランプ面21a、段部34及びクランプホルダ30のクランプ部31におけるガイドバーホルダ21側の面(クランプ面31a)により、上方及び織幅方向に開口する溝部24aが挟持部24に形成される。
各ガイド部材11、12、13は、前記溝部24aに対し上側の開口部から挿入され、前記のようにネジ部材25が締め込まれることにより、ガイドバーホルダ21のクランプ面21aとクランプホルダ30のクランプ面31aとにより前後方向(厚さ方向)において締め付け固定される。なお、図示の例では、前記溝部24a内に第1のシムS1が挿入されており、各ガイド部材11、12、13は第1のシムS1を介して固定される。
次に、織布支持装置10のセンタガイドバー(第1のガイド部材)11について詳述する。本実施例では、センタガイドバー11は、それ以外のガイドバー12、13に対し、経糸方向において最も織前側に配置される。従って、本実施例では、センタガイドバー11が本発明における「他方のガイド部材」に相当する。
図示の例では、センタガイドバー11は、幅方向へ所定の長さ寸法を有する板材を中間部付近で屈曲させて形成されたものであって、屈曲させた部分より下側の取付基部11yと、取付基部11yに連続すると共に幅方向に見て取付基部11yに対し所定の角度(図示の例は、約120°)を成して延在する織布支持部11xとを有する。
なお、センタガイドバー11は、取付基部11yにおいて前記支持ブラケット20に固定されるものであるが、図示の例では、この取付基部11yは、全体として上方へ向けて延在する上方延在部11aとなっており、上方延在部11a以外の部分を含んでいない。従って、本実施例では、取付基部11yは、その全てが上方延在部11aとなっており、取付基部11yから延在する織布支持部11xは、取付基部11yにおける上方延在部11aから延在しているとも言える。
また、本実施例では、織布支持部11xの先端部(反取付基部側の端部)は、織布支持部11xの延在方向に対し略90°を成すようにして上方へ向けて屈曲されている。そして、この屈曲されることにより上方へ延在する部分(より詳しくはその上端縁)が当接部11zとして機能するものとなっている。
センタガイドバー11は、取付基部11yの織前側の面を、支持ブラケット20における前記挟持部24のクランプホルダ30に当接させた状態で、支持ブラケット20に対し固定支持される。
経糸方向における取付基部11yからの織布支持部11xの延在長さは、センタガイドバー11の設置状態(支持ブラケット20に固定支持された状態)において、当接部11zが、織前1aの近傍(織前1aよりも僅かに反経糸列側)であって、筬打ち時において筬50の緯糸案内溝50aの底面に接触しない位置となるようなものに設定されている。
センタガイドバー11の高さ位置は、センタガイドバー11の前記設置状態において、織布支持部11xの先端(当接部11z)が、筬打ち時において筬50の緯糸案内溝50a内で織布1を支持する位置に設定される。なお、センタガイドバー(織布支持部11x)11の高さ位置は、支持ブラケット20における前記挟持部24の溝部24aに対する取付基部11yの挿入量によって設定される。
次に、織布支持装置10のサイドガイドバー(第2のガイド部材)12について詳述する。本実施例では、2つ(一対)のサイドガイドバー12、12が設けられ、各サイドガイドバー12が織幅方向における両織端側に設けられている前記のテンプルベース94に隣接するように配置される。
サイドガイドバー12は、図示の例では、当接部11zを除いてセンタガイドバー11と略同じ構成である。すなわち、サイドガイドバー12は、所定の角度で屈曲する板材であって、屈曲させた部分より下側の取付基部12yと、取付基部12yに対し所定の角度を成して延在する織布支持部12xのみから構成される。また、取付基部12yは、全体として上方へ向けて延在する上方延在部12aのみで構成されており、取付基部12yは、その全てが上方延在部12aとなっている。そして、サイドガイドバー12においては、織布支持部12xの上面が当接部12zとして機能するものとなっている。
サイドガイドバー12は、取付基部12yがセンタガイドバー11の取付基部11yよりも反織前側に位置し、織布支持部12xがセンタガイドバー11の織布支持部11xよりも上側に位置するように配置される。従って、本実施例では、サイドガイドバー12が本発明における「一方のガイド部材」に相当する。
このようなサイドガイドバー12とセンタガイドバー11との織幅方向における長さ寸法(幅寸法)の関係については、以下の通りである。
サイドガイドバー12は、前記のようにテンプルベース94に隣接させて配置され、織布1の中央側へ向けて織幅方向に沿って延在するように配置される。一方、センタガイドバー11は、織幅方向における両端部をサイドガイドバー12に重複させた状態で、両側のサイドガイドバー12,12の間に亘って織幅方向に沿って延在するように配置される。その上で、織布支持装置10の幅寸法について、前記のセンタガイドバー11とサイドガイドバー12との重複量を変更することで、織布支持装置10の幅寸法が調整される。
そこで、サイドガイドバー12の幅寸法は、所望の重複量(調整量)が得られるものに設定される。すなわち、サイドガイドバー12の幅寸法が小さいと、重複量が制限されるため、サイドガイドバー12は、少なくとも必要な重複量が得られる幅寸法を有するものに設定される。そして、センタガイドバー11の幅寸法は、その空気噴射式織機において製織が可能な最大の織幅に合わせてサイドガイドバー12が配置された状態において、両端部をサイドガイドバー12に重複させつつ両サイドガイドバー12、12の間に亘って延在するものに設定される。
また、センタガイドバー11及びサイドガイドバー12における取付基部11y、12y及び織布支持部11x、12xの長さ寸法について、本実施例では、サイドガイドバー12は、その設置状態(支持ブラケット20に固定支持された状態)において、取付基部12yの織前側の面をセンタガイドバー11の取付基部11yに当接させると共に、織布支持部12xの下面をセンタガイドバー11の織布支持部11xの上面に当接させた状態となっている。従って、サイドガイドバー12における織布支持部12xの取付基部12y(上方延在部12a)からの延在長さ(長さ寸法)は、取付基部12yをセンタガイドバー11の取付基部11yに当接させた前記設置状態において、その先端がセンタガイドバー11の当接部11zよりも反織前側に位置するものに設定される。言い換えれば、センタガイドバー11における織布支持部11xは、前記設置状態において、当接部11zを有する先端部がサイドガイドバー12における織布支持部12xの先端よりも織前側へ突出するような取付基部11y(上方延在部11a)からの経糸方向における延在長さ(長さ寸法)を有している。
また、サイドガイドバー12の取付基部12yの長さ寸法は、織布支持部12xの下面をセンタガイドバー11における織布支持部11xの上面に当接させた前記取付配置において、その下端が、取付基部12yの延在方向においてセンタガイドバー11の取付基部11yの下端と同じ位置となるように設定されている。従って、前記のような設置状態においては、センタガイドバー11の取付基部11yの下端面とサイドガイドバー12の取付基部12yの下端面とは、両取付基部11y、12yの延在方向と直交する方向に位置を揃えた状態となっている。
図示の構成では、取付基部12yに対する織布支持部12xの傾斜角度と前記の織布1の進行ラインとの関係で、サイドガイドバー12においては、織布支持部12xの上面全体で織布1を支持する状態となっている。従って、この場合は、織布支持部12xの全体の上面が当接部12zとなっている。
次に織布支持装置10のクロスガイドバー(第3のガイド部材)13について詳述する。クロスガイドバー13は、図示の例では、幅方向においてセンタガイドバー11と同じ長さ寸法(幅寸法)を有する板状の部材である。但し、クロスガイドバー13の幅寸法は、空気噴射式織機における最大織幅に対応する位置にサイドガイドバー12が配置された状態において、センタガイドバー11におけるサイドガイドバー12との重複部分を除く幅寸法と同じものであっても良い。すなわち、クロスガイドバー13は、幅方向において、センタガイドバー11におけるサイドガイドバー12との重複範囲を除く部分を包含する長さ寸法を有していれば良い。
クロスガイドバー13は、経糸方向において最も反織前側に配置され、幅方向におけるセンタガイドバー11とサイドガイドバー12とが重複する位置では、織前側の面をサイドガイドバー12における取付基部12yの反織前側の面に当接させた状態で支持ブラケット20に対し固定支持される。
クロスガイドバー13の高さ方向(延在方向)の寸法は、その下端位置を延在方向においてセンタガイドバー11及びサイドガイドバー12の下端に一致させた状態において、その先端が、センタガイドバー11(サイドガイドバー12)の織布支持部11x(12x)の延在方向と直交する方向において、センタガイドバー11の織布支持部11xにおける当接部11zを除く部分よりも上方に位置するように設定される。なお、図示の例では、クロスガイドバー13は、その先端位置が、前記織布支持部11x(12x)の延在方向と直交する方向において、サイドガイドバー12における織布支持部12xの上面と織布1の進行ラインに対し略同じ高さ位置となるように長さ寸法が設定されている。このような長さ寸法を有するクロスガイドバー13は、上方へ向けて延在する上方延在部13aのみから成る取付基部13yのみで構成されている。
次に、各ガイドバー11、12、13の高さ位置を規制する構成について詳述する。本実施例では、支持ブラケット20における挟持部24の溝部24a内での各ガイドバー11、12、13の高さ位置(溝部24aの深さ方向(=取付基部11y、12yの延在方向)の位置)を規制するための規制部材(ストッパ)40が設けられている。
この規制部材としてのストッパ40は、長方形状の薄板からなる部材であって、支持ブラケット20のガイドバーホルダ21における前記クランプ面21aが形成される部分の側面に取り付けられている。具体的には以下の通りである。
ストッパ40は、長手方向の上面が、ガイドバーホルダ21の前記クランプ面(前記溝部24aの深さ方向)21aと直交する方向に延在すると共に、ガイドバーホルダ21に対する取り付け位置からクランプホルダ30側へ向けて延在し、支持ブラケット20における挟持部24の溝部24aの幅方向における一方の開口の一部を覆うように設けられる。
このストッパ40の取り付けは、ストッパ40に形成された貫通孔41にネジ部材42を挿入し、そのネジ部材42をガイドバーホルダ21に形成された雌ネジ孔21cに螺挿することにより行われる。なお、ストッパ40に形成される貫通孔41は、前記長手方向と直交する方向(短辺方向)に長い長孔となっている。従って、ストッパ40は、前記溝部24aの深さ方向に位置調整可能となっている。
図4〜図6は、織幅方向の異なる部分における各ガイドバーの支持構造を示すものであり、以下、各図及び各支持構造について詳述する。
図4は、センタガイドバー11とサイドガイドバー12との重複部分、すなわち、センタガイドバー11、サイドガイドバー12及びクロスガイドバー13が共に支持される部分を示す。この部分については、センタガイドバー11とサイドガイドバー12とが取付基部11y、12yを当接させた状態で配置されると共に、クロスガイドバー13がサイドガイドバー12における取付基部12yの反織前側の面に当接した状態で配置され、更に、クロスガイドバー13とガイドバーホルダ21のクランプ面21aとの間に前記した第1のシムS1を介装した状態で、支持ブラケット20における挟持部24により締め付け固定されている。
図5は、織幅方向におけるサイドガイドバー12のみが存在する部分、すなわち、サイドガイドバー12が単独で支持される部分を示す。この部分については、クロスガイドバー13が存在しないことを補うために、図4の構成に対し、サイドガイドバー12とガイドバーホルダ21のクランプ面21aとの間に介装される第2のシムS2が、図4の構成における前記第1のシムS1よりも厚さ寸法の大きいシムとなっている。更に、センタガイドバー11が存在しないことを補うために、サイドガイドバー12とガイドバーホルダ21のクランプ面21aとの間に、第3のシムS3が介装される。
図6は、織幅方向におけるサイドガイドバー12が存在しない部分、すなわち、センタガイドバー11及びクロスガイドバー13のみが支持される部分を示す。この部分では、サイドガイドバー12が存在しないことを補うために、図4の構成に対し、クロスガイドバー13とガイドバーホルダ21のクランプ面21aとの間に介装される第1のシムS1に加え、センタガイドバー11の取付基部11yとクロスガイドバー13との間に第4のシムS4が介装されている。
次に、前記織布支持装置10の作用について説明する。機替えに伴って空気噴射式織機において製織される織布1の織幅が変更されるにあたり、反給糸側又は両側のテンプルベース94の位置が織幅方向に変更される(織幅変更の基準を給糸側とする場合には、反給糸側のテンプルベース94のみの位置が変更され、織布中央を基準とする場合には、両方のテンプルベース94の位置が変更される。)。
前記の織幅の変更に伴い、織布支持装置10の幅寸法も変更される。このとき、例えば、反給糸側のテンプルベース94の位置が変更される場合には、それに合せ、一対のサイドガイドバー12、12のうちの反給糸側のものの位置が織幅方向に変更される。具体的には、以下1)〜3)の手順の通りである。
1)まず、そのサイドガイドバー12を支持している支持ブラケット20による挟持を緩め、そのサイドガイドバー12を織幅方向へ移動可能とする。また、このとき、センタガイドバー11との重複量を増加させる場合は、変更後の重複位置に位置するセンタガイドバー11を支持する支持ブラケット20のセンタガイドバー11及びクロスガイドバー13に対する挟持も緩めると共に、その支持ブラケット20におけるセンタガイドバー11とクロスガイドバー13との間に介装されていた第4のシムS4を取り外す。
2)そして、サイドガイドバー12を織幅方向へ移動させ、センタガイドバー11との重複量を変更することにより、織布支持装置10の幅寸法が変更される。
3)サイドガイドバー12の位置の変更後は、サイドガイドバー12の移動のために緩められた支持ブラケット20による挟持を再び締め付け、各ガイドバー11、12、13を固定する。なお、その変更によってセンタガイドバー11とサイドガイドバー12との重複量が減少される場合において、支持ブラケット20によるガイドバーの支持が、センタガイドバー11とサイドガイドバー12とを共に支持する場合(図4)からサイドガイドバー12を支持しない状態(図6)に変更された場合は、その支持ブラケット20の挟持部24に対し、センタガイドバー11とクロスガイドバー13との間に新たに第4のシムS4が介装される。
このように、本実施例の織布支持装置10によれば、空気噴射式織機における製織される織布1の織幅変更に伴い、サイドガイドバー12を織幅方向へスライドさせてセンタガイドバー11とサイドガイドバー12との重複量を変更するのみで良いため、織幅変更への対応が容易に行える。
しかも、本発明による織布支持装置10では、第1のガイド部材(センタガイドバー11)及び第2のガイド部材(サイドガイドバー12)は、取付基部11y、12yにおける上方延在部11a、12aから織前側へ延びると共に、その先端側が筬打ち時の筬50の緯糸案内溝50a内に位置する織布支持部11x、12xを有しており、その織布支持部11x、12xの少なくとも先端側(織前側の端部)における当接部11z、12zによって織布1を支持するため、織前1aに接近した位置で織布1を支持することができる。
また、本実施例では、織布支持装置10は、他方のガイド部材としての第1のガイド部材(センタガイドバー11)及び一方のガイド部材としての第2のガイド部材(サイドガイドバー12)に加え、第3のガイド部材(クロスガイドバー13)を備えている。この構成によれば、例えば、前記のように織布1の進行ラインが反織前側へ傾斜している場合において、図6に示す一方のガイド部材(サイドガイドバー12)が存在しない部分で、織布1が他方のガイド部材(センタガイドバー11)における織布支持部11xの当接部11zを除く部分の上面に接触せずに織布1を案内(支持)することができる。この構成によれば、本実施例のような他方のガイド部材(センタガイドバー11)の織布支持部11xと一方のガイド部材(サイドガイドバー12)の織布支持部12xとを当接して配置する場合において、幅寸法の変更時に伴う他方のガイド部材(センタガイドバー11)における織布支持部11xの上面にカエリ等の傷が生じたとしても、その傷が生じた部分に織布1が接触することが避けられ、織布1の損傷が未然に防止できる。
更に、本実施例では、支持ブラケット20における挟持部24の溝部24a内での各ガイドバー11、12、13の高さ位置を規制する規制部材(ストッパ)40を備えている。この構成によれば、前記のような幅寸法の変更の作業時において、支持ブラケット20による挟持を緩めたとしても、ガイドバー11、12、13を規制部材40の上面に載せた状態とすることで、ガイドバー11、12、13の高さ位置を変更前と同じ高さ位置に設定することができる。従って、織布支持装置10の幅寸法の変更のためにガイドバー11、12、13を織幅方向へ変位させたときに、織布支持部11x、12xにおける当接部11z、12zの高さ位置が変化し、支持ブラケット20への固定に際し高さ位置を微調整するといった煩わしい作業が発生するのを防止できる。
なお、以上で説明した本実施例の織布支持装置10について、以下の1)〜8)で説明するような変形した実施形態(変形例)とすることも可能である。
1)本実施例では、一対(2つ)の第2のガイド部材(サイドガイドバー12)をそれぞれ織端側に設けるものとしたが、これに代えて、第2のガイド部材及び第1のガイド部材がそれぞれ1つずつ設けられて織布支持装置10を構成するものであっても良い。この場合、例えば、第1のガイド部材及び第2のガイド部材の幅寸法を略同じものとし、第1のガイド部材及び第2のガイド部材の一方を給糸側のテンプルベース94に隣接させた配置とすると共に、他方を反給糸側のテンプルベース94に隣接させて配置し、両者が織布中央部付近で重複するものとする、等が考えられる。
2)本実施例では、第1のガイド部材としてのセンタガイドバー11を本発明における「他方のガイド部材」とし、第2のガイド部材としてのサイドガイドバー12を本発明における「一方のガイド部材」としたが、これに代えて、その逆の構成、すなわち、第1のガイド部材(センタガイドバー11)を「一方のガイド部材」とし、第2のガイド部材(サイドガイドバー12)を「他方のガイド部材」とすることも可能である。すなわち、サイドガイドバー12が本実施例のセンタガイドバー11の形状を有すると共に、センタガイドバー11が本実施例のサイドガイドバー12の形状を有し、センタガイドバー11を、その取付基部11yがサイドガイドバー12の取付基部12yよりも反織前側に位置すると共に、織布支持部11xがサイドガイドバー12の織布支持部12xよりも上側に位置するように配置するものとしても良い。
3)本実施例では、第3のガイド部材としてのクロスガイドバー13を備えるものとしたが、この第3のガイド部材(クロスガイドバー13)は必ずしも必要ではなく、省略可能である。すなわち、本実施例の織布支持装置10において、他方のガイド部材(本実施例においての第1のガイド部材(センタガイドバー11))における織布支持部11xの当接部11zと当接部11zを除く部分との高さ位置の関係や、取付基部11yに対する織布支持部11xの傾斜角度と前記した織布1の進行ラインとの関係によっては、第3のガイド部材が無い場合であっても、織布1が他方のガイド部材における織布支持部に対し当接部以外で接触しない場合もあり得るため、その場合は、第3のガイド部材は省略できる。
4)本実施例では、織布支持装置10が各ガイドバー11、12、13の高さ位置を規制する規制部材(ストッパ)40を備えるものとしたが、この規制部材40についても省略が可能である。すなわち、本実施例の織布支持装置10において、例えば、各ガイド部材11、12、13が支持ブラケット20における挟持部24の溝部24aの底面に当接することにより、各ガイド部材11、12、13の高さ位置が、前記挟持部24の溝部24aの底面で常に位置決めされるような場合には、規制部材40は省略することができる。
5)本実施例では、反織前側に位置する一方のガイド部材(サイドガイドバー12)における取付基部12yの織前側の面及び織布支持部12xの下面を、織前側に位置する他方のガイド部材(センタガイドバー11)の取付基部11y及び織布支持部11xに当接させて配置するものとしたが、これに限らず、図7の(a)〜(c)に示すように、一方のガイド部材と他方のガイド部材とが、取付基部及び織布支持部の一方又は両方を離間させた状態で配置されるものとしても良い。なお、図7の(a)〜(c)に示す構成について、詳しくは以下の通りである。
図7(a)に示す織布支持装置110では、本実施例の構成に対し、一方のガイド部材としてのサイドガイドバー112の織布支持部112xの下面が、他方のガイド部材としてのセンタガイドバー111の織布支持部111xの上面に対し、織前側の端部のみで当接し、反織前側へ向かうにつれて離間する構成となっている。そして、そのために、サイドガイドバー112の取付基部112yがセンタガイドバー111の取付基部111yよりも長く形成され、サイドガイドバー112の取付基部112yと織布支持部112xとの屈曲角度が、センタガイドバー111のそれよりも急な角度に形成されている。なお、この構成において、一方のガイド部材(サイドガイドバー112)の織前側の端部についても、他方のガイド部材(センタガイドバー111)の織布支持部の上面から離間するものとしても良い。
図7(b)に示す織布支持装置210では、本実施例の構成に対し、一方のガイド部材としてのサイドガイドバー212が、取付基部212yを他方のガイド部材としてのセンタガイドバー211の取付基部211yから離間した状態で支持ブラケット20に支持される構成となっている。そして、そのために、サイドガイドバー212は、取付基部212yと織布支持部212xとの連続する部分が湾曲形状に形成されており、その設置状態において、取付基部212yとセンタガイドバー211の取付基部211yとの間の隙間に第5のシムS5が介装されるものとなっている。
図7(c)に示す織布支持装置310では、一方のガイド部材としてのサイドガイドバー312における取付基部312yと織布支持部312xとの連続する部分が湾曲形状に形成されており、この湾曲部分の中間部のみが他方のガイド部材としてのセンタガイドバー311における取付基部311yと織布支持部311xとの間の屈曲部分と当接し、両ガイドバー311、312の織布支持部311x、312xの間、並びに両ガイドバー311、312の取付基部311y、312yの間が離間する構成となっている。そして、図7(b)の構成と同様に、両ガイドバー311、312の設置状態において、取付基部311y、312yの間の隙間に第5のシムS5が介装される構成となっている。
6)本実施例では、各ガイド部材11、12、13は、前記のように取付基部11y、12y、13yを上方延在部11a、12a、13aのみで構成するものとしているが、これに代えて、各ガイド部材11、12、13が、上方延在部11a、12a、13a以外の部分で支持ブラケット20に支持されるものであっても良い。例えば、図8に示す例のように、織前側に位置する他方のガイド部材411及び反織前側に位置する一方のガイド部材412の構成を、取付基部411y、412yが、上方延在部411a、412aの下端から反織前側に延びる取付部411b、412bを有するものとし、この取付部411b、412bにおいて支持ブラケット420に支持されるものとしても良い。なお、この場合、ガイドバーホルダ421のクランプ面421aとクランプホルダ430とにより形成される挟持部424については、取付基部411y、412y(取付部411b、412b)を上下方向から挟み込むように構成すれば良い。
7)本実施例では、反織前側に位置する一方のガイド部材としてのサイドガイドバー12における織布支持部12xの上面全体が当接部12zに相当するものとしたが、これに代えて、図7(c)や図8に示すように、一方のガイド部材312、412が、織布支持部の先端部(織前側の端部)のみで織布1を支持する、すなわち、織布支持部312x、412xの先端部(より詳しくはその上面)のみが当接部312z、412zに相当する構成であっても良い。具体的には、以下の構成がその例として挙げられる。
図7(c)の構成の場合は、他方のガイド部材(センタガイドバー311)と同様に、一方のガイド部材(サイドガイドバー312)における織布支持部312xの先端部(反取付基部側の端部)は、取付基部312yの上端から連続する織布支持部312xの延在方向に対し上方へ向けて屈曲されている。そして、この屈曲された部分(より詳しくはその上端縁)が当接部312zとして機能する。
また、図8に示す織布支持装置410構成の場合は、織布1の進行ラインとの関係で、一方のガイド部材412の取付基部412yに対する織布支持部412xの傾斜角度が、その織布支持部412xにおける先端部のみで織布1に当接すると共に先端部から取付基部側に向かうにつれてその進行ラインよりも下側に離れるようになっており、織布支持部412xにおける先端側の部分のみが当接部412zとして機能するものとなっている。
8)本実施例では、織前側に位置する他方のガイド部材としてのセンタガイドバー11における織布支持部11xが、前記設置状態において、その先端部が反織前側に位置する一方のガイド部材としてのサイドガイドバー12における織布支持部12xの先端よりも織前側へ突出するような長さ寸法を有し、更に、その突出する先端部分(突出部分)に、織布支持部11xの延在方向に対し上方へ向けて屈曲されて形成された当接部11zを有するものとしたが、図9に示すように、他方のガイド部材511の織布支持部511xが前記突出部分を備えない構成や、図10に示すように、他方のガイド部材611の織布支持部611xが前記のような屈曲によって形成された当接部11zを備えない構成とすることも可能である。なお、図9、10の各構成について、詳しくは、以下の通りである。
図9に示す織布支持装置510の構成では、織前側に位置する他方のガイド部材511における織布支持部511xは、その先端の位置が織布支持部511xの延在方向において一方のガイド部材512の先端の位置に揃うように、取付基部(上方延在部511a)511yからの延在長さ(長さ寸法)が設定されている。従って、この構成の場合、織幅方向における一方のガイド部材512が存在する位置では、織布1は一方のガイド部材512のみによって支持される。なお、この構成の場合、一方のガイド部材512と他方のガイド部材511とは、その織布支持部511x、512xにおける当接部511z、512zの高さ位置が異なるため、織幅方向における両ガイド部材511、512の境界の両側で織布1の高さ位置が異なるものとなるが、そのような高さ位置の差(段差)が品質に影響を及ぼさないような織布1の製織であれば、このような構成を採用可能である。また、この構成の場合、好ましくは、前記段差を可及的に小さくすべく、反織前側に位置する一方のガイド部材512における織布支持部512xの厚さ寸法を、強度が許す限りにおいてできるだけ薄くした方が良い。
図10に示す織布支持装置610の構成では、織前側に位置する他方のガイド部材611における織布支持部611xは、その先端部分が、一方のガイド部材612における織布支持部612xの先端よりも織布支持部611xの延在方向において突出し、且つ、その先端の位置が、織布1の進行ラインとそれに対する織布支持部611xの延在方向(傾斜角度)との関係で、織布1の進行ラインに対し一方のガイド部材612における織布支持部612xの先端の位置とほぼ同じ高さ位置となるように、取付基部(上方延在部611a)611yからの延在長さ(長さ寸法)が設定されている。この構成によれば、一方のガイド部材612及び他方のガイド部材611は、共に一方向にのみ延在する(屈曲によって形成された当接部11zを備えない)織布支持部611xの先端において織布1を支持するものとなる。
以上で説明した前記実施例及びその変形例では、織布1の両織端側に設けられる一対のテンプルベース94、94の間に織布支持装置10、110、210、310、410、510、610を配置するものとしたが、本発明による織布支持装置はそのような構成のものに限らず、図11、図12に示すように、織布支持装置710が、前記実施例と同様に織端側のそれぞれに設けられた一対のサイドガイドバー712(第2のガイド部材)を備えると共に、そのサイドガイドバー712が、前記実施例でのテンプルベース94の織布支持部分(上方へ向けて立ち上がり、その上端部で織布1を支持する部分)を兼ねる構成であっても良い。この図11、12に示す構成について、詳しくは以下の通りである。
サイドガイドバー712は、織端側の端部が織布1の織端1bよりも外側に位置し、その位置から織布中央側へ向けて延在するように配置される。そして、サイドガイドバー712については、織幅方向に関するテンプル93の存在範囲(前記実施例(従来技術も含む。)においてテンプルベース94が存在する範囲(以下、「テンプル領域」という。))に位置する部分が、前記実施例でのテンプルベース94を支持するテンプルホルダ91に支持される。
従って、サイドガイドバー712におけるテンプル領域に位置する部分は、前記実施例におけるテンプルベース94の織布支持部分として機能する。因みに、サイドガイドバー712は、織幅方向におけるテンプルホルダ91よりも織布1の中央側においては、前記実施例と同様に、ガイドバーホルダ721で支持される。
なお、図示の構成では、長手方向(織幅方向)に関する寸法をサイドガイドバー712とほぼ同じくするサイドガイドバーブラケット26が設けられており、サイドガイドバー712は、テンプル領域に位置する部分については、サイドガイドバーブラケット26を介してテンプルホルダ91に支持されており、テンプル領域よりも織布1の中央側の部分については、サイドガイドバーブラケット26を介してガイドバーホルダ721に支持されている。
より詳しくは、サイドガイドバーブラケット26は、筬側に面する取付面26aを有しており、サイドガイドバー712は、その上方へ向けて延在する取付基部712yの下部において、この取付面26aに対しネジ部材26b等によって固定されている。また、サイドガイドバーブラケット26は、織端側のテンプル領域においてはテンプルホルダ91に固定され、テンプルホルダ91よりも織布中央側においてはガイドバーホルダ721に固定される。なお、テンプルホルダ91に対するサイドガイドバーブラケット26の固定は、例えば、図11に示すように、サイドガイドバーブラケット26に対し上方から挿入されたネジ部材26cをテンプルホルダ91に螺挿させることで行われる。ちなみに、サイドガイドバーブラケット26に対するテンプルガイド95の固定は、両者の間にスペーサ794を介して行われ、このスペーサ794は、前記実施例のテンプルベース94におけるテンプルホルダ91へ取り付ける部分に相当する。また、ガイドバーホルダ721に対するサイドガイドバーブラケット26の固定についても同様である。
このように固定されたサイドガイドバー712は、織幅方向に延在するため、サブノズル71との干渉を避ける配置となっている。具体的には、サイドガイドバー712は、図11に示すように、取付基部712y及び取付基部712yにおけるサイドガイドバーブラケット26に固定される部分よりも上方に延在する上方延在部712aが、筬50が最前進位置にあるときのサブノズル71の位置に対し反織前側に位置すると共に、上方延在部712aから織前側へ延びる織布支持部712xが、サブノズル71の上端よりも上方に位置する配置でサイドガイドバーブラケット26に固定されている。言い換えれば、サイドガイドバーブラケット26の取付面26aの位置が、サイドガイドバー712のそうような配置を実現するものとなっている。また、サイドガイドバー712における織布支持部712xの織前側への延在長さは、そのような上方延在部712aの配置において、織前1aの近傍で織布1を支持することが可能なものに設定されている。
前記実施例のような従来のテンプルベース94の場合、サブノズル71との干渉を避けるために、テンプルベース94の織布支持部に対し切欠き94a(図2参照。)が形成されている。但し、そのような構成の場合、織幅変更に伴い、テンプルベース94の切欠き94aの位置に合せてサブノズル71の位置調整等を行わなければならない。
これに対し、図11、図12による例では、サイドガイドバー712がテンプル領域においても織布1を支持する構成であって、サイドガイドバー712が前記のようにサブノズル71との干渉を避ける構成(配置)となっているため、織布1の織幅変更に伴うテンプル領域の織幅方向における位置調整を、サブノズル71の位置に影響を与えることなく行うことができる。
また、図示の例では、センタガイドバー711は、スライドバーホルダ82に固定されたセンタガイドバーブラケット27に支持されている。以下、センタガイドバー711の支持構造について詳述する。
梁部材としてのフロントトップステー80上に間隔をおいて固定されたスライドバーホルダ82の織前側の面には、センタガイドバーブラケット27を取り付けるためのサポートバー28が固定されている。このサポートバー28は、長手方向(織幅方向)における寸法がセンタガイドバー711と略同じものであって、センタガイドバー711の織幅方向における存在範囲に亘って位置するように設けられている。そして、サポートバー28の織前側の面には、複数のセンタガイドバーブラケット27が所定の間隔(例えば、サブノズル71のピッチに合せた間隔)で固定されている。但し、サポートバー28は必ずしも必要ではなく、スライドバーホルダ82にセンタガイドバーブラケット27を固定する構成とすることも可能である。
センタガイドバーブラケット27は、サポートバー28に対する固定位置から上方へ向けて延在すると共に、上端部が前記サイドガイドバーブラケット26におけるサイドガイドバー712の取付面26aよりも織前側に位置する形状を成す部材である。センタガイドバーブラケット27の上端部には、側方から見てサイドガイドバーブラケット26の前記取付面26aと間隔をおいて対向する(サイドガイドバー712とセンタガイドバー711との重複部分においては実際に対向する)取付面27aが形成されている。
このセンタガイドバーブラケット27における前記取付面27aに対し、センタガイドバー711は、上方へ向けて延在する取付基部711yの下部において固定されている。また、この図示の例では、取付基部711yの全てが上方延在部711aとなっている。従って、センタガイドバー711は、上方延在部711aがサイドガイドバー712の上方延在部712aよりも織前側に位置し、また、両ガイドバー711、712を織幅方向において重複させることから、センタガイドバー711の織布支持部711xは、サイドガイドバー712の織布支持部712xよりも下方に位置する配置で設けられる。よって、この例でも、前記実施例と同様に、センタガイドバー711が「他方のガイド部材」に相当し、サイドガイドバー712が「一方のガイド部材」に相当する。なお、当然ながら、センタガイドバー711も、筬50が最前進位置にあるときのサブノズル71との干渉を避ける構成となっている。
次に、図11、図12の例における織布支持装置710の作用について説明する。この例の場合、製織される織布1の織幅変更に伴い、織機上でのテンプル93の位置を変更すべくテンプルホルダ91の位置を変更すると、それに伴ってサイドガイドバー712の位置(センタガイドバー711との重複量)が変更される。これにより、前記実施例のようなサイドガイドバー12及びテンプルベース94(テンプルホルダ91、テンプル93)を別々に位置変更するものに比べ、作業が簡略化される。また、前記のように、サブノズル71の位置に影響を与えることなく、テンプルホルダ(テンプル93)91の位置変更を行うことができる。
なお、本発明による織布支持装置については、図11、図12の例においても、以下の1)〜3)のような変形が可能である。
1)反給糸側の第2のガイド部材(サイドガイドバー712)と第1のガイド部材(センタガイドバー711)との重複量の変更のみで織布1の織幅変更に対応する場合は、前記実施例に関する変形例1)と同様に、給糸側の第2のガイド部材を省略し、給糸側のテンプル領域においては、第1のガイド部材で織布1を支持するようにしても良い。
2)図11に示すように、第1、第2のガイド部材の重複部分において、織布支持部711x、712x及び上方延在部711a、712aの一部が当接した状態で両ガイド部材が配置されるものに限らず、前記実施例に関する変形例5)と同様に、織布支持部711x、712x及び/又は上方延在部711a、712aを離間させた状態で各ガイド部材を配置することも可能である。
3)取付基部711y、712yと上方延在部711a、712aとの関係や織布支持部(当接部711z、712z)711x、712xの構成についても、前記実施例に関する変形例6)の構成が適用できる。
なお、本発明は前記実施例等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能である。