JP5942330B2 - ゲルマニウムレンズ用溶融成形型及びその冷却方法並びにゲルマニウムレンズの溶融成形方法 - Google Patents

ゲルマニウムレンズ用溶融成形型及びその冷却方法並びにゲルマニウムレンズの溶融成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融成形型及び冷却方法に関し、さらには、ゲルマニウム材料に適し、特に赤外線レンズ等に有用なゲルマニウムレンズの溶融成形方法に関する。
従来、例えば特許文献1においては、赤外線計測用のゲルマニウムレンズは、ゲルマニウム原料を融点以上に昇温して、液体状のゲルマニウムを鏡面仕上げしたレンズ鋳型に鋳込み、鋳型を冷却して製造している。また、このものでは、不純物の侵入を防止するために、窒素ガス雰囲気とし、さらには、封入した窒素ガスを抜き取り真空にし、ゲルマニウム液体から空気等を脱泡している。これにより、ゲルマニウムレンズを一度に必要な形状に成形する。
しかし、ゲルマニウムは、他の金属類やガラスとは異なり、凝固する際に体積が膨張し、クラックや、膨らみ、陥没が発生するという問題があった。そこで、特許文献2においては、鋳型にゲルマニウム融液を高圧注入して密度を高めながら冷却し、凝固点付近では、注入圧力を弱めて、材料の凝固膨張の圧力を吸収して内部歪みの発生を防止し、凝固点以下で再度注入圧力を高めながら鋳型により溶融成形している。また、成形型の温度及び加熱炉内の温度を温度モニターで測定し温度制御している。さらに、成形型の下部にガス供給管を設け、還元性ガスを供給して原料粉末中の水分等を置換している。
しかし、高圧注入しても、必ずしも、安定した形状を確保できないという問題があった。これは、ゲルマニウムの溶融液は流動性が期待できず、凝固時の膨張による流動はわずかであり鋳型形状にフィットし難い。このため、高圧注入しても、凝固点での熱膨張を防ぎきれず、依然としてクラックや膨らみ、陥没の発生が生じると考えられる。また、凝固時の膨張に対抗するためには大型の型締め装置が必要となり、装置全体も大きくコストもかかるという問題があった。また、温度モニターにより温度制御しているが詳細な温度分布や状態、変化については言及されていない。また、還元性ガスを供給しているが、空気等のガスとの置換のために用いているにすぎず、冷却方法等については言及していない。
一方、成形型の冷却方法して、射出成形の場合であるが、特許文献3においては、成形型の成形面(キャビティ面)と冷却通路との間の肉厚を均等にして、成形品を均一に効率よく冷却しているものが知られている。
特開昭63−157754号公報 特開平7−314123号公報 特開2005−219384号公報
しかしながら、ゲルマニウムの溶融成形においては、ゲルマニウムの溶融後に成形型内で均一に冷却するようにしても、依然としてクラックや膨らみ、陥没が発生するという問題があった。そこで、本願発明者はその原因は、ゲルマニウムが凝固する場合、成形部位において、結晶が一様に進展するのではなく、また、結晶の開始点も一定ではないため、一様に冷却したのみでは、精度を得られないものと考えた。そこで、この知得により、まず、不活性ガス雰囲気内の成形型内に溶融状態にされたゲルマニウムを封入し、成形型を外部より加熱溶融し、ゲルマニウム溶融させる。その後、成形型の外部周囲温度をゲルマニウム温度より高い温度で制御した状態で、成形型の中心に向かって冷却用不活性ガスを吹き付け、成形型を中心から外方に向かって冷却するようにした(特願2012−016603等)。これにより、ゲルマニウムを中心から外側に向かって凝固させ、クラックや膨らみ、陥没のない精度のよい成形品を得られることを知得した。しかしながら、さらに高精度の成形品を得ることが望まれた。
かかる問題に鑑みて、本発明の課題は、成形型を冷却した場合に該成形型の冷却面側を冷却したときの冷却面の冷却温度に対して成形面側の温度勾配を中心から外方に向かって大きくできることで、より精度の高い成形品得られるゲルマニウムレンズ用溶融成形型及び成形型の冷却方法並びにゲルマニウムレンズの溶融成形方法を提供することである。
本発明においては、溶融原料であるゲルマニウムを封入し、外部より加熱して前記溶融原料を溶融させて成形し、さらに冷却して成形品を得るための成形型であって、前記成形型は成形面が平面又は凸状又は凹状にされ、前記成形面と反対側に冷却面を有し、前記冷却面は凹状とされ、かつ前記成形面との厚みが成形中心部から外側になるに従って漸増されているゲルマニウムレンズ用溶融成形型とすることにより、前述した課題を解決した。
即ち、冷却面と成形面との厚みを成形中心部から外側になるに従って漸増するようにしたので、冷却面側を冷却したときの冷却面の冷却温度に対して成形面側の温度勾配を中心から外方に向かって大きくできる。これにより、冷却面の温度低下に対して成形面側の温度は成形中心部が最も早く低下し、外方に向かって徐々に冷却させることができる。
また、温度勾配や分布は肉厚を代えることにより容易に変更できる。成形面が凹状の場合は、冷却面が平面であっても、冷却面と成形面との厚みを成形中心部から外側になるに従って漸増する。しかし、本発明の冷却勾配を確実に得るためには、冷却面を凹状とすることにより厚みの変化を大きくする。
冷却温度を制御するためには、成形面内の温度をできる限り正確に知りたい。しかし、成形面内に温度センサ(検出器)を挿入することはできない。また、成形面には成形時の圧力がかかり、強度を確保しなければならない。そこで、請求項に記載の発明においては、ゲルマニウムレンズ用溶融成形型内の冷却面側に設けられた計測孔に温度センサの先端が挿入されているゲルマニウムレンズ用溶融成形型とした。温度センサを冷却面側に設置して成形面側の強度を確保する。また、中央部を測定位置とできる。
また、かかる溶融成形型を用いることにより、冷却制御が容易となる。そこで、請求項に記載の発明においては、少なくとも上下一対の成形型の何れかの成形型が前記請求項1または2に記載の成形型であって、前記冷却面の中心に冷却流体を供給し、前記冷却流体が前記冷却面の中心から外方に流れるようにして、前記成形型内の溶融原料を中心から外方に向かって徐々に冷却する溶融成形型の冷却方法を提供する。
冷却流体を中心から供給し外方に排出することにより、冷却流体の中心から外方への流れを作り成形型の中心から冷却し徐々に成形型の外方を冷却するようにする。成形型の厚みが外方に向かうほど厚くなるので熱伝達率が小さくなるので冷却は外方に向かうほど遅くさせることができる、これにより、冷却速度あるいは冷却順を制御できる。
さらに、かかる溶融成形型の冷却方法を用いることにより、ゲルマニウム原料の溶融成形を行える。そこで、請求項に記載の発明においては、不活性ガス雰囲気内の少なくとも1以上の請求項1または2に記載の成形型を有する成形型内に溶融状態にされたゲルマニウムを封入し、前記成形型を外部より加熱制御し、前記ゲルマニウム原料を溶融状態又は溶融後、前記成形型の外部周囲温度をゲルマニウムの温度より高い温度で制御した状態で、前記成形型の中心部から外側に向かって徐々に冷却しながら、前記中心部から徐々に全体に前記ゲルマニウムを凝固させ、前記ゲルマニウムの凝固が完了した後に、前記成形型の冷却を続行し、かつ前記外部周囲温度を降下させ、前記ゲルマニウム原料を成形するゲルマニウムの溶融成形方法を提供する。
即ち、ゲルマニウムの溶融後の成形型内での凝固工程において、溶融ゲルマニウムが入れられた成形型(鋳型)全体を均一又は自然のままに冷却するのではなく、中心から冷却を開始し、徐々に冷却範囲を全体に広げることにより、ゲルマニウムの凝固の開始点を制御する。成形型の外部周囲温度を比較的高温に保つことにより、冷却分布や冷却速度を安定させる。また、成形面と冷却面との厚みを中心から外方に向かって漸増させ、熱伝達を遅らせ、冷却速度、分布を制御し易くする。これにより、凝固の開始を安定させ、部分から全体に徐々に成形型にフィットした凝固が行われる。凝固が完了した時点で、加熱装置の電源を切り、成形型、ゲルマニウム(材料)、装置全体を冷却してゲルマニウム成形品を得る。なお、外部周囲温度は、成形型の冷却により、少なくとも成形型内のゲルマニウムの凝固が可能な温度あるいは熱量にされる。
本発明においては、冷却面と成形面との厚みを成形中心部から外側になるに従って漸増させ、冷却面の温度低下に対して成形面側の温度を成形中心部から外方に向かって徐々に冷却させることができ、肉厚の量により温度勾配、分布等を容易に変更できるので、凝固の開始を安定させ、部分から全体に徐々に成形型にフィットした凝固を行う。これにより、温度制御、冷却方法が容易になり、凝固時の膨張の影響がない又は少なく、クラックや膨らみ、陥没のない又は少ないものとなった。
また、発明においては、成形型はレンズ用に有用であり、また、精度がよく後工程の少ないレンズを提供する。さらに、本発明においては、溶融成形型の溶融原料をゲルマニウムとし、中心から外方に向かって確実に冷却でき、精度の高い成形品を得られる。また、請求項に記載の発明においては、温度センサを冷却面側に設置して成形面側の強度を確保し、冷却中心である中央部を測定位置としたので、冷却面中心部の温度を検出して、外周へ向かう温度勾配等の予測や設定を容易にすることができる。
さらにまた、請求項に記載の発明においては、冷却流体の中心から外方への流れを作り成形型の中心から冷却し徐々に成形型の外方を冷却するようにし、成形型の厚みを外方に向かうほど厚くして外方に向かうほど冷却速度を遅く、あるいは鈍感にさせ、冷却速度あるいは冷却順を制御できるので、冷却時の凝固状況を制御できるので、安定した品質を確保できる。
また、請求項に記載の発明においては、ゲルマニウムの溶融後の成形型内での凝固工程において、中心から冷却を開始し、徐々に冷却範囲を全体に広がりを制御して、ゲルマニウムの凝固の開始を安定させ、部分から全体に徐々に成形型にフィットした凝固を行ないゲルマニウム成形品を得るようにしたので、プレスによるゲルマニウムレンズ等の高精度な成形品を得るものとなった。
本発明の実施の形態を示すゲルマニウム溶解成形装置の断面説明図であり、上下型が当接してゲルマニウムが溶融している状態を示す。 本発明の溶融成形型の第二の実施の形態を示す断面図である、 本発明の実施の形態を示すゲルマニウムの溶融成形方法の温度変化を模式的に示す時間−温度関係図であり、縦軸が摂氏温度、横軸が経過時間である。 本発明の実施の形態を示すレンズ成形品の外観模式図である。 本発明の実施の形態を示すレンズ成形品の内部透過状況を示す模式図である。 従来の方法で成形したレンズの成形品の例を示す外観模式図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、ゲルマニウムの溶融成形装置1は、密閉断熱容器2(以下「密閉容器」という)内に上下(成形)型3,4及び上下型が挿入される上下支持部材5,6が設けられている。密閉容器2には窒素等の不活性ガスを供給する吸気弁9a、ガス流入路7及び不活性ガスを排気する排気口8及び排気弁9bが設けられており、図示しないガス源と接続され密閉容器内が不活性ガス雰囲気とされる。また、断熱材により、外部と断熱され熱効率を向上させる。
上下型3,4は鍔付き円筒状を為し、その材料はガラス状カーボンである。下型4は鍔側(上面)4aに上向きのレンズ状の凹状成形面4bを有し、ゲルマニウム原料10が供給される。下型の成形面の外周縁にリング状の逃げ部4cが設けられている。下型の成形面の反対側(下面)4fには、凹状成形面4bと対称に凹状の冷却面4gが形成されている。冷却面4gの外周縁は逃げ部4cの外周とほぼ同じ位置まで達している。成形面4bと冷却面4gとの厚みは中心から外方に向かって漸増している。
上型3は半鍔側(下面)3aに下向きの成形面3bを有する。本実施の形態の成形面3bは平面とされている。上型の成形面の反対側(上面)3fには、成形型中心軸cを中心にして凹状の冷却面3gが形成されている。冷却面3gの外周縁は、下型の逃げ部4cの外周とほぼ同じ位置まで達している。成形面3bと冷却面3gとの厚みは中心から外方に向かって漸増している。
上下型3,4の材料であるガラス状カーボンは、炭素電極等に用いられ、その性状は硬く稠密であり、酸化方向、還元方向に電位窓が広く、電気化学的に使いやすいといわれているものである。また、耐薬品性に優れた黒色ガラス状の炭素素材であり、耐熱性に優れ、表面荒さも小さい。本実施の形態では、ガラス状カーボンとして、東海カーボン株式会社のグラッシーカーボン(登録商標)を用いた。なお、同様な性状を有するものであれば、本材料に限定されることなく適宜使用可能であることはいうまでもない。
上型の成形面3b及び下型の成形面4bの中心軸c上の各冷却面側3g,4gに近接して上型3及び下型4の内部に上型及び下型温度センサ11,12が設けられている。これにより、成形面3b,4bの強度を確保しながら、成形型内部の温度の測定を行っている。上型3及び下型4の鍔3d,4dに隣接する円筒部3e,4eがそれぞれ上支持部材5の本体15の下側面段付き挿入穴15a及び下支持部材6の本体16の段付き上側面挿入穴16aに挿入されている。両鍔部3d,4dが上限支持部材5,6の蓋部25,26の下端25a及び上端26aと本体部15,16の段部15b,16bとで挟持固定され、上下型3,4がそれぞれ上下支持部材5,6に固定されている。
上支持部材5及び下支持部材6はそれぞれ移動装置である空気圧シリンダ35、36のロッド35a,36aに接続されている。空気圧シリンダ本体35b,36bはフランジ35c,36cで密閉容器2の外側の上下にそれぞれ取り付けられている。空気圧シリンダには図示しない空気圧源及び制御バルブが接続され、上下方向に上支持部材5及び上型3、又は下支持部材6及び下型4が移動可能にされ、上型及び下型が当接又は離隔可能にされている。なお、移動装置は空気圧シリンダ等以外に、ボールねじやラックピニオン等で駆動されるスライド機構等でもよい。
上支持部材蓋部25の下面25bの中心部25cと上型3の上面3fとの間に隙間17aが設けられている。上支持部材蓋部25の中央に冷却用不活性ガス吹き出し口18aが中心軸cと同芯に冷却面3gに中心に向かって開口している。また、冷却用不活性ガス吹き出し口18aはフレキシブルホース20aを介して密閉容器2外の図示しないバルブ及び不活性ガス供給装置に接続されている。さらに上支持部材蓋部25には、冷却面3gの外周縁近傍の等分4箇所位置に冷却用不活性ガス排出口19aが設けられている。冷却用不活性ガス排出口19aは、隙間17aに開口し、上支持部材蓋部25内の連通路21aを介して密閉容器2内と連通している。
同様に、下支持部材蓋部26の上面26bの中心部26cと下型4の下面4fとの間に隙間17bが設けられている。下支持部材蓋部の中央に冷却用不活性ガス吹き出し口18bが中心軸cと同芯に冷却面4g中心に向かって開口している。また、冷却用不活性ガス吹き出し口18bはフレキシブルホース20bを介して密閉容器2外の図示しないバルブ及び不活性ガス供給装置に接続されている。下支持部材蓋部26には、冷却面4gの外周縁近傍の等分4箇所位置に冷却用不活性ガス排出口19bが設けられている。冷却用不活性ガス排出口19bは、隙間17bに開口し、下支持部材蓋部26内の連通路21bを介して密閉容器2内と連通している。なお、確実に中心から冷却するためには、冷却用不活性ガス吹き出し口は小さい方が好ましい。しかし、あまり小さいと冷却流量が少なくなり冷却時間が長くなると品質が低下する。従ってφ30mm前後のレンズでφ6mm程度が好ましい。
上型3及び下型4が当接した位置を上下中心として、上下型の周囲に加熱装置(ヒータ)22が設けられ、上下型内3b,4bの温度をゲルマニウムの融点を超える温度となるように加熱できるようにされている。また、加熱装置内側の温度を測定する加熱装置温度センサ23が設けられている。
かかる構造の溶融成形プレス1において、冷却時にあっては、冷却用不活性ガス吹き出し口18a,18bから放出された冷却用不活性ガスは上下成形型の凹状の冷却面3g,4g中心に向かって放出され冷却面に沿って中心から外方に向かって成形型を冷却しながら排出口19a,19bから排出される。下型の成形面4bと冷却面4gは互いに凹状であり、上型の成形面3bは平面で冷却面4gは凹状であるので、上下成形面3b,4bと冷却面3g,4gとの厚みは中心から外方に向かって漸増している。厚みの設定、冷却ガスの温度流量等を調整することにより、中心を早く冷やし、周辺の冷却を遅くあるいは緩和して成形品の凝固を中心から外方に向かって制御することが可能になる。なお、ゲルマニウムの場合、冷却速度は早いほうが好ましい。中心位置での冷却速度は、冷却時のゲルマニウムの凝固温度上昇率と同程度の速度が適正である。これより緩やかにすると膨らみが発生し、成形品質が悪化する。
次に、本発明の成形型の第二の実施の形態について説明する。図2は本発明の第二の実施の形態を示す上型(成形型)の断面図である。前述したと同じ部分については同符号を付し説明の一部を省略する。前述した例では、成形面は凹面又は平面であったが、凸面の場合を示す。図2に示すように、成形面3bが凸面の場合は、冷却面3gは凹面であり、かつ、成形面3bの曲率より冷却面の曲率が大きくされている。これにより成形面3bと冷却面3g間の厚み(距離)は中心から外方に向かって漸増することとなる。なお、温度センサは計測孔3hに挿入される。また、成形型は実施の形態に限定されず、種々の形状、組み合わせが適宜選択されることはいうまでもない。
さらに、かかるゲルマニウム溶融成形装置1を用いたゲルマニウム溶融成形方法について詳述する。なお、説明の簡単のため、下型4の位置は固定し、上型3のみ上下させる。図1において、まず、上型が上昇端位置において、密閉容器2の図示しない開口部を開け、下型4の型内4bに所定の量のゲルマニウム塊を載置する。次に、密閉容器2を密閉し、排気バルブ9b、供給バルブ9aを開放して密閉容器内に窒素ガスを封入し、空気を追い出しながら、窒素ガスを充満させる。窒素ガスの封入が完了したら、両バルブ9a、9bを閉じる。次に加熱装置22を運転し、加熱装置内側温度がゲルマニウム溶融温度(融点939℃)より高い、約1050℃の所定温度となるように加熱する(「加熱工程」とよぶ)。なお、この所定温度は装置の大きさ加熱装置の装置に対する配置、大きさ等によりゲルマニウム溶解時の温度が安定的に推移できる温度又は熱量に適宜設定する。なお、図3は説明のために定性的なものを図示した。したがって、実際のデータとは異なる。
図3の符号A1に示すように時間と共に加熱装置内側温度が所定温度に達するが、上下型3,4内の温度上昇は符号B1、C1に示すように遅れる。さらに、下型4内の温度がゲルマニウム融点以上となるとゲルマニウムの溶解が始まる。このとき、符号A2に示すように加熱装置内側センサ23温度は所定温度に達し一定となり、さらに、符号B2に示すように、上型3の温度センサ11温度は上昇を続ける。しかし、符号C2−1に示すように下型4の温度センサ12の温度は横ばいとなる。一定時間経過後、符号C2−2に示すように、再び下型4の温度センサ12の温度が上昇を開始する(「溶融工程」とよぶ)。これは、ゲルマニウム溶解時の融解熱が吸収され温度上昇が緩和又は横ばいとなり、溶解が完了した後、再度加熱装置に加熱により温度が上昇するものと考える。下型温度センサの温度が横ばいより再度上昇に転じ、下型温度センサの温度は加熱装置の容量等によってばらつくが、実施例の装置では1000℃以上である。
下型温度センサの温度12が横ばいより再度上昇に転じた時点をゲルマニウムの溶解が完了したとして、再度上昇に転じた後(実際は、符号C2−3に示す所定時間経過後、又は下型温度センサの温度が1000℃以上となった後)、符号A3、B3、C3に示すように、加熱装置の制御温度を下降させ、加熱装置22及び上下型3,4温度が、溶融点よりやや高い温度(本実施の形態では950〜960℃ 以下同様)になるように下降させてゲルマニウム10が溶融状態のまま全体に安定した状態とする(「溶融安定化工程」とよぶ)。
このとき、下型4には表面張力により、液体ゲルマニウム10が型内面4bより盛り上がるように溶融している。加熱装置22の制御温度を下降させると同時に又は遅れて上型3を下降させ、下型4に当接させる。これにより、ゲルマニウム10は上下型内面3b、4bに充満する。但し、凝固後の逃げ部4cを充満させるまでには至っていない。
次に、図示しないバルブ及び不活性ガス供給装置から、冷却用不活性ガス吹き出し口18a、18bより隙間17a、17bに向かって冷却用不活性ガスとして常温の窒素ガス(以下「冷却ガス」という)を吹き出し、上下型3,4の中央部を強制冷却する。冷却ガスは冷却用不活性ガス排出口19a、19b連通路21a、21b通って密閉容器2内に排出される。さらに、排気弁9bを開いて、冷却ガスは排気口8、排気弁9bを通って外部へ排出される。
これにより、上下型3,4は中心部より外側に向かって徐々に冷却され、上下成形面内のゲルマニウム10が中心部より凝固を開始する(「凝固工程」とよぶ)。このとき、中心に比べ外方の冷却面3g,4gと成形面3b,4bとの厚みが厚いので、冷却面から成形面への温度の伝達が遅れあるいは緩和され、冷却速度の制御が容易又は可能になる。なお、冷却分布、速度等は冷却面3g,4gと成形面3b,4bとの厚み、冷却ガス温度、量等により適切になるように制御される。
ゲルマニウム10は溶融温度より低い、凝固温度に達し凝固するのであるが、そのまま上下型温度センサ11,12の温度は下降を続けるのではなく、符号BC4−1の下降から、符号BC4−2に示すように上昇に転ずる(910〜920℃)。その後再び、符号BC4−3に示すように下降に転ずる(925℃)。このときを、凝固完了とする。
この凝固工程で、成形型外部周囲温度は、符号A4に示すように、成形型外部周囲温度が徐々に一様に下降するように加熱装置により制御されるようにする。成形型外部周囲温度の制御温度は一様に降下(A4)するように設定されるが、成形型内温度の再上昇温度BC以下(測定誤差を考慮してやや高めの温度)にはならないように制御する。
温度が下降に転じた後、所定時間経過後、冷却ガスの供給を続行したまま、加熱装置22の電源を切り、符号A5、BC5に示すように、密閉容器2内全体を冷却する(「冷却工程」とよぶ)。常温又は取り扱い可能な温度までに下がったら、冷却ガスの供給を停止し、上下型3,4を開き、成形されたゲルマニウム成形品を取り出す。なお、記載した温度は実施の形態での測定温度であり、温度センサの性能、設置場所、状況により左右され、物性的に正確な温度を示すものではない。また、符号A5,BC5は異なる温度を示しているが、同温度又は逆転温度であってもよい。
かかる装置、方法により得られた実施例について説明する。図4(a)は、本発明の実施の形態で作成したレンズ成形品の外観写真である。図4(a)に示すように、本レンズ成形品50はレンズ本体51とバリ部52を有する。レンズ本体51は膨らみや欠陥がなく、上下型面内に沿った形状とされている。また、面粗度も良好であり、バリ部を除けばそのまま後加工なしにレンズとして使用可能な精度であった。バリ部52は逃げ部4c縁に沿って形成されている。バリ部52は凝固の際の逃げとなって最終的に固まるので面粗度や形状は悪い。
また、図4(b)は、非球面レンズの例である。本レンズ成形品53は、(a)の場合と同様、本体54は膨らみや欠陥がなく、面粗度、形状精度もよい。バリ部55はレンズ全周囲でなく、1箇所にまとまって舌状に延び凝固しており、形状は安定している。この(a)(b)の違いは、原料の量と型内3b、4b及び逃げ部4cの容量によって変えることができる。
一方、本発明の実施の形態の凝固工程を設けず冷却したものでは、図6に示すように、レンズ60の本体61に膨らみが発生し、形状も悪くそのままではレンズとして全く使用できない。また、バリ部62も数カ所に発生し、場所、大きさ、延び方向もばらばらであり、不安定な凝固が行われたと思われる状態であった。また、成形品のばらつきも大きく一定の形状を得られなかった。
さらに、図5は、シュリーレン法を用い赤外線及び赤外線カメラを利用して、レンズ成形品の内部透過状況を写した模式図である。なお、内部透過装置自体は特別に作成したものであるが、本願発明の内容とは直接関係ないので、説明を省略する。図5の(a)は、凝固工程時の成形型外部周囲温度を点線(符号A6)で示すようにほぼ溶融温度のまま一定に保持した場合の成形レンズの内部透過状況の模式図であり、図5の(b)は、凝固工程時の成形型外部周囲温度を実線(符号A4)で示すようにほぼ溶融温度から一定の速度で温度を降下させて場合の成形レンズの内部透過状況の模式図である。図4(a)に示すように、一定温度の場合は多角形の径方向に広がった結晶粒界と思われる不均一部63が認められる。これに対し、温度を徐々に降下させた場合は、結晶粒界と思われる部分64もぼやけ、数も減少し、レンズとしての品質が格段によくなることがわかる。
このように、冷却用不活性ガス吹き出し口と成形型に設けた冷却面により、成形型のゲルマニウム凝固時に中央部を冷却して、中央部から外方に向かって徐々に全体に凝固して行くように制御できるので、膨らみがなく、形状も安定し、ばらつきの少ないゲルマニウム成形品を得られる。また、制御も容易となり、再現性がよく、製品精度があがり、品質も良くなる。
なお、融点は939℃としたが、引用文献1では937.4℃、引用文献2では958.5℃であり、それぞれの条件や純度等により必ずしも一定ではなく、また、融点と凝固点の正確な値の測定も困難であり、材料及び装置により、適宜決定される。また、冷却ガスの量は、加熱装置の配置や、型の大きさ、配置等により適宜設定される。また、上下成形型は同じものに限らず、異ならせたり、変化させてもよい。また、上下成形型は1枚のレンズの場合について述べたが、複数のレンズや、レンズアレイ等にも適用できることはいうまでもない。また、ゲルマニウムレンズの場合について説明したが、同様の性質を持つ材料、その他の溶融成形型にも使用でき限定されるものではない。
1 ゲルマニウムの溶融成形装置
3 溶融成形型(上型)
3b 下向きの成形面(成形型内面)
3g (上型の)冷却面
4 溶融成形型(下型)
4b 上向きの凹状成形面(成形型内面)
4g (下型の)冷却面
10 溶融原料(ゲルマニウム)
11 上型温度センサ
12 下型温度センサ
18a、18b 冷却用不活性ガス吹き出し口
19a、19b 冷却用不活性ガス排出口
c 中心軸

Claims (4)

  1. 溶融原料であるゲルマニウムを封入し、外部より加熱して前記溶融原料を溶融させて成形し、さらに冷却して成形品を得るための成形型であって、前記成形型は成形面が平面又は凸状又は凹状にされ、前記成形面と反対側に冷却面を有し、前記冷却面は凹状とされ、かつ前記成形面との厚みが成形中心部から外側になるに従って漸増されていることを特徴とするゲルマニウムレンズ用溶融成形型。
  2. 前記ゲルマニウムレンズ用溶融成形型内の前記冷却面側に設けられた計測孔には温度センサの先端が挿入されていることを特徴とする請求項1記載のゲルマニウムレンズ用溶融成形型。
  3. 少なくとも上下一対の成形型の何れかの成形型が請求項1または2に記載のゲルマニウムレンズ用溶融成形型であって、前記冷却面の中心に冷却流体を供給し、前記冷却流体が前記冷却面の中心から外方に流れるようにして、前記ゲルマニウムレンズ用溶融成形型内の溶融原料であるゲルマニウムを中心から外方に向かって徐々に冷却することを特徴とするゲルマニウムレンズ用溶融成形型の冷却方法。
  4. 不活性ガス雰囲気内の少なくとも1以上の請求項1または2に記載のゲルマニウムレンズ用溶融成形型を有する成形型内に溶融状態にされたゲルマニウムを封入し、前記ゲルマニウムレンズ用溶融成形型を外部より加熱制御し、前記ゲルマニウムを溶融状態又は溶融後、前記ゲルマニウムレンズ用溶融成形型の外部周囲温度をゲルマニウムの温度より高い温度で制御した状態で、前記成形型の中心部から外側に向かって徐々に冷却しながら、前記中心部から徐々に全体に前記ゲルマニウムを凝固させ、前記ゲルマニウムの凝固が完了した後に、前記ゲルマニウムレンズ用溶融成形型の冷却を続行し、かつ前記外部周囲の温度を降下させ、前記ゲルマニウムレンズを成形することを特徴とするゲルマニウムレンズの溶融成形方法。
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