JP5942221B2 - 筒状ラベルの印刷方法、及び筒状ラベル開口用介在部材 - Google Patents
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Description
筒状ラベルは、通常、長尺状のフィルムを筒状に形成した筒状ラベル長尺体を、所定長さに切断することによって得られ、この筒状ラベルを被着体に被せることによってラベル付き被着体が得られる。
機械的且つ連続的にラベル付き被着体を製造する場合には、長尺状のフィルムを筒状に形成した筒状ラベル長尺体を扁平状に折り畳み、これをロールに巻き取り、このロールをラベラーに装填し、ロールから筒状ラベル長尺体を引き出してライン上に送り、その送り途中で必要に応じてミシン目などを形成した後、被着体の直前で筒状ラベル長尺体を所定長さに切断して1つの筒状ラベルを形成し、その筒状ラベルを開口させた状態で被着体に被せて装着するという一連の工程が行われる。
グラビア印刷法などの有版印刷法は、予めデザインが決まっている表示(例えば、商品名、商品に関する図柄、製造販売者名など。以下、定型表示という)を印刷することには適していても、状況に応じて個々に変化し得るオンデマンド的な表示(例えば、製造年月日、賞味期限、懸賞キャンペーンを行っている場合の懸賞応募IDなど。以下、可変表示という)を印刷することには適さない。
このような可変表示の印刷は、例えばレーザー印刷が適している。なお、レーザー印刷は、レーザー光を照射することにより所望の表示が表れる印刷方式である。
このようなレーザー印刷可能なラベルとして、レーザー発色層を有するフィルムを用いたラベルが知られている(特許文献1)。
かかるラベルにおいては、レーザーを照射することによりその発色層が部分的に炭化し、所望の表示が表れる。
上記(1)の場合、被着体に対して筒状ラベルを所定位置に装着してラベル付き被着体を得た後、そのラベル付き被着体の所定位置にある、筒状ラベルのレーザー発色層(レーザー印刷予定領域)にレーザー光を照射する。このため、筒状ラベルを被着体の所定位置に装着する必要がある上、レーザー印刷装置に対してラベル付き被着体のレーザー印刷予定領域が対面するように、ラベル付き被着体そのものを所定位置に固定する必要がある。
しかしながら、例えば、被着体の外形が略円柱状である場合には、筒状ラベルを被着体の所定位置に正確に装着し難く、さらに、ラベル付き被着体をレーザー印刷装置に対して所定位置に固定することが困難である。このため、レーザー印刷がレーザー印刷予定領域の所定位置からずれたり、レーザー印刷によって表される表示がレーザー印刷予定領域から外れてしまい、その一部が表れなかったりするおそれがある。
しかしながら、上述のように、長尺状のフィルムを筒状にし、それを切断して筒状ラベルを得た後、筒状ラベルを被着体に装着するので、長尺状のフィルムにレーザー印刷してからこれを筒状ラベルとして被着体に装着するまでに長いタイムラグがある。このような長いタイムラグがあると、レーザー印刷によって製造年月日や賞味期限等の可変表示の内容を正確に表すことができない。また、長尺状のフィルムから筒状ラベルを得るまでの間に、製造ラインなどの機械設備にレーザー印刷による表示が接触し、その表示が不鮮明になるおそれもある。
本発明者らは、被着体に装着する前の筒状ラベル(前記筒状ラベル長尺体の状態のとき又はこれを切断した直後の筒状ラベルの状態)に対してレーザー印刷すると、所定位置にレーザー印刷でき、且つ、タイムラグも短いことに着目した。
しかしながら、扁平状の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの印刷予定領域に対してレーザー印刷を行うと、筒状ラベルに微細な斑点が表れ、それが外観を損ねるという問題点に直面した。
かかる問題点について、さらに鋭意研究したところ、次のようなことが判ってきた。
そして、上記微細な斑点の発生は、レーザー光の照射時に粉塵が飛び散り、筒状ラベルの内面に付着することがその原因であることを見出した。2枚の製膜フィルムでレーザー発色層を挟み込んだラミネートフィルムを用いた場合には、斑点が生じる頻度が低いことから、前記粉塵は、レーザー光の照射時にレーザー発色層の形成材料や筒状ラベルの最内面に設けられたオーバーコート層の形成材料などが砕けることによって生じるものと推定される。
上記本発明の筒状ラベルの印刷方法は、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に粉塵収集手段を設けているので、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの外面からレーザー光を照射した際に、レーザー発色層などの形成材料に起因する粉塵が粉塵収集手段に集められる。そのため、粉塵が筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内面に付着することを防止でき、レーザー印刷によって所望の表示を綺麗に表すことができる。
また、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルに対してレーザー印刷すれば、比較的簡単に所定位置に印刷でき、さらに、レーザー印刷後から被着体に装着されるまでのタイムラグも短いので、例えば、可変表示をレーザー印刷する場合にもその内容を正確に表すことができる。
かかる介在部材は、レーザー光の照射に対応する部分に粉塵収容凹部が形成されているので、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの外面からレーザー光を照射した際に生じる粉塵が、粉塵収容凹部に収集される。
粉塵収容凹部に捕捉材が設けられている介在部材を使用することにより、粉塵収容凹部に収集された粉塵が捕捉材に保持される。そのため、一旦、粉塵収容凹部に集まった粉塵が、その凹部から筒状ラベル長尺体側へ飛散することを防止できる。
粉塵収容凹部の上方側が一部に開口部を有する天壁に覆われている介在部材を使用することにより、天壁の開口部から粉塵収容凹部に収集された粉塵がその凹部から筒状ラベル長尺体側へ飛散することを防止できる。
この介在部材は、扁平状に折り畳まれた筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを開口させるためにその内側に介在させて用いられ、前記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルから生じる粉塵を収容する粉塵収容凹部が設けられている。
本発明の筒状ラベルの印刷方法によれば、レーザー印刷時に生じる粉塵が筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内面に付着し難いので、綺麗な外観を有する筒状ラベルを製造できる。
また、本発明の筒状ラベル開口用介在部材は、レーザー印刷を行うときに筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを開口させる部材として好適である。
本発明の筒状ラベルは、少なくとも周方向に熱収縮しうる熱収縮性筒状ラベル、少なくとも周方向に伸縮しうる自己伸縮性筒状ラベル、又は、少なくとも周方向に熱収縮及び伸縮しうる熱収縮及び自己伸縮性筒状ラベルの何れでもよい。
なお、前記熱収縮性筒状ラベルは、シュリンクチューブ或いはシュリンクラベルとも呼ばれており、前記自己伸縮性筒状ラベルは、ストレッチ筒状ラベル或いはストレッチラベルとも呼ばれており、前記熱収縮及び自己伸縮性筒状ラベルは、シュリンクストレッチラベルとも呼ばれている。
筒状ラベルを構成するフィルムは、ベースフィルムと、ベースフィルムの裏面に積層されたレーザー発色層と、を少なくとも有し、必要に応じて、意匠印刷層、背景印刷層、オーバーコート層、断熱層、遮光層、ガスバリア層などを有していてもよい。
ベースフィルムは、その面内の少なくとも一方向に熱収縮性又は/及び自己伸縮性を有する。熱収縮性を有するベースフィルムを用いることにより、熱収縮性筒状ラベルを構成でき、自己伸縮性を有するベースフィルムを用いることにより、自己伸縮性筒状ラベルを構成でき、熱収縮性及び自己伸縮性を有するベースフィルムを用いることにより、熱収縮及び自己伸縮性筒状ラベルを構成できる。
また、ベースフィルムは、非透明でもよいが、通常、透明性に優れたものが用いられる。透明なベースフィルムとしては、全光線透過率が70%以上であるフィルムが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
ベースフィルムの厚みは、特に限定されないが、一般に、10μm〜100μmであり、好ましくは20μm〜80μmである。
意匠印刷層は、ベースフィルムの略全体にベタ状に設けられていてもよいし、或いは、ベースフィルムの一部の領域に設けられていてもよい。
意匠印刷層の厚みは、通常、1μm〜10μmである。
背景印刷層の厚みは、通常、1μm〜10μmである。
前記発色剤としては、例えば、レーザー光の照射によってそれ自身が発色する剤、レーザー光の照射によってその周囲に存するバインダー樹脂などを発色(例えば、炭化によって黒色に変化)させる剤、発色剤自身とバインダー樹脂等との協働によって発色する剤などが挙げられる。
添加剤としては、顕色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、難燃剤などが挙げられる。添加剤は、発色剤の発色を損ねない範囲で添加される。
なお、特開2008−279701号公報に記載されたレーザー発色層の形成材料を、本発明のレーザー発色層の形成に利用することもできる。
レーザー発色層の厚みは、特に限定されず、通常、0.5μm〜50μmであり、好ましくは1μm〜30μmである。
レーザー光としては、YAGレーザー光線(イットリウム・アルミニウム・ガーネットレーザー光線。波長=1,064nm)や、YVO4レーザー光線(イットリウム・バナデートレーザー光線。波長=1,064nm)などを使用できる。これらのレーザー光は、ベースフィルムを透過するので、ベースフィルムを損傷することなく発色剤を発色させることができる。
オーバーコート層は、筒状ラベルの最内面を形成する層である。オーバーコート層を設けることにより、意匠印刷層やレーザー発色層の脱落を防止でき、さらに、オーバーコート層の形成材料にシリコーン樹脂などを混合することにより、被着体に対する筒状ラベルの滑り性を向上できる。
オーバーコート層の形成材料は、特に限定されず、アクリル樹脂などの従来公知な樹脂を使用できる。
オーバーコート層の厚みは、特に限定されず、通常、1μm〜5μm程度である。
筒状ラベル1は、開口状態にして被着体に装着される(図1参照)。もっとも、図1では、筒状ラベル1は略真円筒状に開口されているが、被着体の装着時に、筒状ラベル1が略真円筒状に開口されるというわけではない。
筒状ラベル1は、フィルムを筒状に丸め、そのフィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより形成されている。
このフィルム2は、ベースフィルム21と、レーザー発色層22と、意匠印刷層23と、を有し、必要に応じて、オーバーコート層24と、背景印刷層25と、をさらに有する。
このフィルム2は、レーザー発色層22及び意匠印刷層23が、透明なベースフィルム21の裏面に設けられ、さらに、背景印刷層25及びオーバーコート層24が、レーザー発色層22及び意匠印刷層23の裏面を覆うようにこれらの裏面に設けられている。
なお、図示例のフィルム2は、レーザー発色層22がベースフィルム21の一部の領域に設けられているものであり、意匠印刷層23がレーザー発色層22に重ならないように設けられている。意匠印刷層23がレーザー発色層22に重なっていないことにより、レーザー光を照射したときに意匠印刷層23の変色などを防止できる。もっとも、レーザー発色層22の一部又は全部の領域に意匠印刷層23が重ねて設けられていてもよい。
また、背景印刷層25は、レーザー印刷層22の裏面全体及び意匠印刷層23の裏面全体に設けられていることが好ましいが、レーザー印刷層22の裏面全体若しくは裏面の一部、又は、意匠印刷層23の裏面全体若しくは裏面の一部に設けられていてもよい。
その他、本発明の筒状ラベル1を構成するフィルム2の層構成は、上述した事項及び従来技術を考慮して適宜変更できる。
製膜フィルムは、比較的長い分子の樹脂成分の複数が強固にバインドし合って層を成し、その層自身で枚葉状を維持できる。かかる製膜フィルムは、レーザー光をレーザー発色層に照射したときの衝撃によって砕け難いので、微細な斑点を発生し難いと推定される。
本発明の筒状ラベルは、例えば、次のようにして機械的に製造され、被着体に装着される。
好ましくは、下記筒状ラベル長尺体から筒状ラベルを得て、それが被着体に装着される前までの間に、レーザー印刷によりレーザー発色層の所定位置に所望の表示(可変表示など)が表される。
上記レーザー発色層及び意匠印刷層が所定箇所に形成された長尺状のフィルムを、引き出しながら、長手方向に沿った両側縁部を重ね合わせて接着することにより、長尺状の筒状体(筒状ラベル長尺体)を形成する。
この長尺状のフィルムは、概念的には、1つの筒状ラベル分に相当するレーザー発色層及び意匠印刷層が設けられた矩形状のフィルムが長手方向に連続的に繋がっているものであり、換言すると、レーザー発色層及び意匠印刷層の1つの特定パターン(1つの筒状ラベル)が長手方向に繰り返して設けられているものである。
形成された筒状ラベル長尺体は、扁平状に折り畳まれ、一旦、ロールに巻き取られる。
この時点での筒状ラベル長尺体においては、意匠印刷層に所望の表示(定型表示など)が表されているが、レーザー発色層は未発色(レーザー発色層には表示が表れていない)である。
このロールをラベラー(ミシン目刻設装置や折り返し装置を備えていてもよいラベラー)に装填する。
図4は、ラベラーAによる、筒状ラベル長尺体10から筒状ラベル1を形成する工程、それを被着体9に装着する工程までの概略を示した参考図である。
なお、図4では、ロール81から引き出された筒状ラベル長尺体10は、下方向に送られるように図示しているが、実際の設備では、右方向、上方向、斜め方向などの様々な方向に送られる場合がある。
図4の符号82は、ピンチロールを示す。
ロール81に巻き取られた扁平状の筒状ラベル長尺体10は、搬送装置(図示せず)によって、その長手方向に引き出される。なお、図4の矢印は、筒状ラベル長尺体の送り出し方向を示す。製造ライン上に送られる途中で、必要に応じて、ミシン目刻設装置83によって、扁平状の筒状ラベル長尺体10にミシン目が形成される。
ミシン目の形成時、扁平状の筒状ラベル長尺体10の重なった内面同士が擬似的に付着することがあるので、この筒状ラベル長尺体10の内面同士を一旦離反させる。すなわち、ミシン目刻設装置83の下流側には、インナーガイド3(介在部材の1種)が設けられている。なお、下流側は、筒状ラベル長尺体10の送り出し側(ロール81から離れる側)を指し、上流側は、その送り出し側とは反対側(ロール81に近い側)を指す。
インナーガイド3は、製造ラインの所定位置に保持されているが、その保持機構は、特に限定されず、例えば、特開平09−58626号や特開2010−70201号などに開示されているガイドユニットなどを利用できる。
もっとも、ミシン目は、上記ミシン目処理工程で形成する場合に限定されず、例えば、長尺状のフィルムの段階で予め形成しておいてもよい。例えば、上記筒状ラベル長尺体の形成工程において、長尺状のフィルムにミシン目を形成し、その後、筒状ラベル長尺体を形成する場合などが挙げられる。
インナーガイド3で一旦開口された筒状ラベル長尺体10は、ピンチロール82に挟まれて再び扁平状に折り畳まれ、ラインの下流側へと送られる。
その途中で、必要に応じて、筒状ラベル長尺体10の折り返し処理が行われる。すなわち、扁平状に折り畳まれた筒状ラベル長尺体10は、被着体9に被しやすい形状に開口し難いので、筒状ラベル長尺体10に対して折り返し処理が行われる。折り返し処理は、扁平状の筒状ラベル長尺体10を一旦開口して、扁平時の折り線同士が重なるようにして新たな折り線にて扁平状に折り畳む。これにより、筒状ラベル長尺体10の周方向に略等間隔で4本の折り線(元の2本の折り線及び折り返し後に生じる新たな2本の折り線)が形成される。
テトラガイド4の機能は、例えば、特開2011−63285号に開示されているのでそれも参照されたい。また、テトラガイド4は、製造ラインの所定位置に保持されているが、その保持機構は、特に限定されず、例えば、特開2010−70201号などに開示されているガイドユニットなどを利用できる。
上述の折り返し処理された筒状ラベル長尺体10は、新たな2本の折り線にて扁平状に折り畳まれ、ラインの下流側へと送られる。
その途中で、筒状ラベル長尺体10をカッター84で周方向の切断予定線に従って切断することにより、所定長さの扁平状の筒状ラベル1が得られる。
得られた扁平状の筒状ラベル1は、バキュームやマンドレルなどの拡張装置85によって開口され、その開口状態で被着体9に被せられる。
この筒状ラベル1が熱収縮性筒状ラベルである場合には、被せた後に拡張装置85による開口を解除すると共にそれを加熱することにより、被着体9にその筒状ラベル1が装着される。一方、筒状ラベル1が自己伸縮性筒状ラベルである場合には、拡張装置85による開口を解除することにより、被着体9にその筒状ラベル1が装着される。得られたラベル付き被着体は、事後、箱詰めなどに供される。
被着体9は、特に限定されず、飲料などが充填されたボトル型容器、化粧品などを充填した容器、調味料や食品などを充填した容器などが挙げられる。
上記筒状ラベル長尺体の装填工程から筒状ラベルの装着工程の間に、レーザー印刷を行うことが好ましい。
一例を挙げると、図4に示すように、折り返し処理工程において、扁平状の筒状ラベル長尺体10がテトラガイド4によって開口されたときに、レーザー光を照射するレーザー印刷装置Bを用いて筒状ラベル長尺体にレーザー印刷が行われる。
本発明の筒状ラベルの印刷方法は、上記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルにレーザー印刷を行うときに、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に発生する粉塵を収集することを特徴とする。
すなわち、本発明の筒状ラベルの印刷方法は、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの外面からレーザー光を照射してレーザー発色層を発色させつつ、前記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に発生する粉塵を収集することを特徴とする。
なお、「筒状ラベルの印刷方法」という記載は、「筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの印刷方法」を省略した記載である。
レーザー印刷を行うことができるレーザー印刷予定領域は、特に限定されず、レーザー発色層がベースフィルムの全体に積層されている場合には、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの全部がレーザー印刷予定領域となり得る。レーザー発色層がベースフィルムの一部の領域に設けられている場合には、その領域がレーザー印刷予定領域となる。
通常、レーザー印刷は賞味期限などの可変表示を表すために行われるので、その表示は、意匠印刷層に表された商品名などの定型表示を出来るだけ隠さないようにすることが好ましいことから、レーザー印刷は、通常、筒状ラベルの下方側の一部の領域に行われる。
レーザー印刷は、筒状ラベル長尺体を形成した後、上記[筒状ラベルの製造の概要]で説明した、各工程の中から選ばれる1つ又は2つ以上の工程における処理と併せて行ってもよいし、或いは、上記[筒状ラベルの製造の概要]では説明していない従来公知の工程における処理と併せて行ってもよい。また、上記[筒状ラベルの製造の概要]において、筒状ラベルを被着体に装着する前までの間にレーザー印刷のみを行うためのレーザー印刷工程を別途設けてもよい。
扁平状の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルのレーザー印刷予定領域に対してレーザー印刷を行うと、その領域に対応する内面から生じた粉塵が、その内面に重なった反対側の内面に付着するが、開口状態の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルにレーザー印刷を行うと、その開口状態の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に粉塵が飛散する。この飛散した粉塵が、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルに再付着すると、それが微細な斑点の原因となり、外観の綺麗な筒状ラベルを得ることができない。
(1)レーザー印刷時、開口状態の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に、その一方側から長手方向に向かってエアーを送る又はエアーを吸引し、そのエアーの流れによって筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの外側へ出された粉塵を回収する。
(2)粉塵が静電気を帯びている場合には、レーザー印刷時、開口状態の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に、静電吸着作用を有する部材を挿入し、その部材に粉塵を吸着させて収集する。
(3)扁平状の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを開口させるために用いられる、介在部材に粉塵収容凹部を設けておき、その介在部材を筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内側に介在させた状態でレーザー印刷を行う。
次に、レーザー印刷に用いられる、本発明の筒状ラベル開口用介在部材について説明する。
本発明において、介在部材は、扁平状の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの重なった内面同士を離反させるため、扁平状の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを挿通して使用される部材である。
本発明の介在部材は、このような基本的機能を発揮できるように構成されていれば、特に限定されない。介在部材としては、上記[筒状ラベルの製造の概要]で説明したような、インナーガイドやテトラガイドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
図5乃至図8に、第1実施形態に係る介在部材を示している。
この介在部材3aは、例えば、上記[筒状ラベルの製造の概要]で説明したミシン目処理工程のインナーガイドとして使用できる。この介在部材3aがミシン目処理工程のインナーガイドとして使用される場合には、介在部材3aは、ミシン目形成によって擬似的に付着した筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内面同士を一旦離反させるインナーガイドとしての機能と、粉塵収集手段と、を兼用する。
なお、この介在部材3aは、ミシン目処理工程でのみ使用されるというわけではなく、上述のように、この介在部材3aを他の処理を行う際に使用してもよいし、或いは、レーザー印刷のみを行うために使用してもよい。
本体31aは、その一端側に向かうに従って肉厚が薄くなる第1窄み部311aと、肉厚が略均一な中央部313aと、他端側に向かうに従って肉厚が薄くなる第2窄み部312aと、を有する。
なお、前記一面は、図6を参照するとその上側の面であり(図5を参照すると、表されている面であり)、前記他面は、図6を参照するとその下側の面である(図5を参照すると、表されていない)。
この介在部材3aをライン上に配置する場合には、通常、その第1窄み部311aを上流側に且つ第2窄み部312aを下流側に向けて配置される。
粉塵収容凹部32aは、凹みの底面321aと、その底面321aの周囲に起立した周壁面322aと、から区画されるスペースであり、本体31aの中央部313aの一面には、周壁面322aの上縁によって開口部323aが形成されている。この開口部323aは、粉塵が粉塵収容凹部32aに入る入り口であり、図示例では、開口部323aの開口面積は、底面321aの面積と略同じである。
レーザー光の照射により、筒状ラベル長尺体10の内側から粉塵が生じ(図中、粉塵をドットで示している)、かかる粉塵が、開口部323aから粉塵収容凹部32aの底面321aに収集されて溜まっていく。このため、粉塵が、レーザー光照射に対応する筒状ラベル長尺体10の内面に再付着したり、或いは、その内面に対向する内面に付着することを防止できる。
また、図12に示すように、粉塵収容凹部32aの底面321aが、凸凹状に形成されていてもよい。このような底面321aを有する粉塵収容凹部32aも、より多くの粉塵を開口部323aから離して溜めることができる。
前記捕捉材は、粉塵を容易に捕らえ且つ離れないような機能を有する材であれば特に限定されない。前記捕捉材としては、例えば、各種の粘着剤(例えば、粘着テープなどで使用されている感圧型粘着剤など)、粉塵を静電的に吸着する静電吸着剤、表面に微細な孔を有する多孔質材、不織布などのメッシュ材、水などの液体などが挙げられる。
粉塵収容凹部32aに捕捉材を設けることにより、粉塵収容凹部32aに収集された粉塵が捕捉材に保持される。そのため、一旦、粉塵収容凹部32に溜まった粉塵が、その凹部32aから飛散することがない。
次に、介在部材の第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係る介在部材は、上記第1実施形態の介在部材3aと同様に、筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの内面同士を離反させて開口させるインナーガイドとしての機能と、粉塵収集手段と、を兼用している。
第2実施形態に係る介在部材も、上記第1実施形態の介在部材3aと同様に、ミシン目処理工程、その他の処理工程、又は、レーザー印刷のみを行うレーザー印刷工程などに使用できる。
本体31bは、その一端側に向かうに従って肉厚が薄くなる第1窄み部311bと、肉厚が略均一な中央部313bと、他端側に向かうに従って肉厚が薄くなる第2窄み部312bと、を有する。本体31bの構成は、上記第1実施形態の介在部材3aの本体31aよりも厚肉状であることを除いて、上記第1実施形態と同様である。そのため、本体31bの説明は、ここでは省略する。
この介在部材3bをライン上に配置する場合には、上記第1実施形態と同様に、通常、その第1窄み部311bを上流側に且つ第2窄み部312bを下流側に向けて配置される。
天壁324bは、粉塵収容凹部32bの上方側に設けられている。粉塵収容凹部32bの上方側は、一部に開口部323bを有する天壁324bによって覆われている。
この開口部323bは、粉塵収容凹部32bに連通しており、粉塵は、開口部323bを通じて、粉塵収容凹部32bに収集される。
粉塵収容凹部32bの深さは、特に限定されないが、より多くの粉塵を収容でき且つ飛散を防止する観点から、その深さは、10mm以上が好ましく、さらに、15mm以上がより好ましい。粉塵収容凹部32bの深さは、介在部材3bの肉厚を限度として大きければ大きいほどよいが、その上限の一例を示せば、例えば、50mmである。
レーザー光の照射により、筒状ラベル長尺体の内側から粉塵が生じ、かかる粉塵が、開口部323bから粉塵収容凹部32bの底面321bに収集されて溜まっていく。このため、粉塵が、レーザー光照射に対応する筒状ラベル長尺体の内面に再付着したり、或いは、その内面に対向する内面に付着することを防止できる。
例えば、図15及び図16に示すように、天壁324bに形成された開口部323bに、下方に向かうに従い下端辺が互いに近づくように傾斜させた一対の板状傾斜壁325b,326bを設け、この傾斜壁325b,326bの下端辺間に隙間327bを空けておく。この隙間327bは、細長い帯状であり、粉塵収容凹部32bに連通する開口部となっている。
向かい合った下端辺の間に隙間327を有する傾斜壁325b,326bが、漏斗状の導き構造であり、かかる構造は、例えば、賽銭箱の構造に近似している。
このような導き構造を有する介在部材3bであれば、図13及び14の介在部材3bに比して、粉塵収容凹部3bに溜まった粉塵が外部へと飛散することをより確実に防止できる。
粉塵の補足材については、上記第1実施形態に例示のものなどを用いることができる。
次に、介在部材の第3実施形態を説明する。
この介在部材は、例えば、上記[筒状ラベルの製造の概要]で説明した折り返し処理工程のテトラガイドとして使用できる。この介在部材が折り返し処理工程のテトラガイドとして使用される場合には、介在部材は、筒状ラベル長尺体の内面同士を一旦離反させる機能と、粉塵収集手段と、を兼用する。
なお、この介在部材は、折り返し処理工程でのみ使用されるというわけではなく、上述のように、この介在部材を他の処理を行う際に使用してもよいし、或いは、レーザー印刷のみを行うために使用してもよい。
本体31cは、その一端側に向かうに従って肉厚が薄くなる第1窄み部311cと、他端側に向かうに従って肉厚が薄くなる第2窄み部312cと、第1窄み部311cと第2窄み部312cとを連結する中央部313cと、を有する。
本体31cは、2つの三角柱の一側面同士を接合し且つ接合状態で2つの三角柱の対向する2つの辺が90度ねじれの位置となる八面体構造を成している。換言すると、本体31cは、三角柱を寝かせた形のA型テントの2つの底面を、稜線が90度ねじれの位置となるようにその底面同士を接合したような八面体構造を成している。
第1窄み部311c及び第2窄み部312cの各一面及び他面は、それぞれ平坦面であり、中央部313cに向かって傾斜している。
この介在部材3cをライン上に配置する場合には、通常、その第1窄み部311cを上流側に且つ第2窄み部312cを下流側に向けて配置される。なお、この介在部材3cをライン上に配置する場合には、通常、天地方向に配置される。一方、第1及び第2実施形態のインナーガイドは、水平方向(天地方向と直交する方向)に配置される。
天壁324cは、粉塵収容凹部32cの上方側に設けられている。粉塵収容凹部32cの上方側は、一部に開口部323cを有する天壁324cによって覆われている。
この開口部323cは、粉塵収容凹部32cに連通しており、粉塵は、開口部323cを通じて、粉塵収容凹部32cに収集される。
レーザー光の照射により、筒状ラベル長尺体の内側から粉塵が生じ、かかる粉塵が、開口部323cから粉塵収容凹部32cの底面321cに収集されて溜まっていく(天地方向に配置される場合には、粉塵は、第2窄み部312c側の周壁面322cに収集されて溜まっていく)。このため、粉塵が、レーザー光照射に対応する筒状ラベル長尺体の内面に再付着したり、或いは、その内面に対向する内面に付着することを防止できる。
また、上記第3実施形態の介在部材3cの開口部323cに、上記第2実施形態で示したような漏斗状の導き構造を設けてもよい。
具体的には、図21に示すように、粉塵収容凹部32cの周壁面322cの近傍に、送風装置51(小型ファンなど)を配置する。送風装置51は、第1窄み部311c側における周壁面322cの近傍であって、開口部323cの下方(第1窄み部311cの先端部寄りの開口部323cの下方)に設けられていることが好ましい。
この送風装置51により、粉塵収容凹部32c内には第1窄み部311c側から第2窄み部312c側へと風が流れる。このため、開口部323cから入った粉塵は風に乗って粉塵収容凹部32cの端部に集まり易くなり、溜まった粉塵が開口部323cから外部へと飛散することを防止できる。
このような風下に捕捉材52を張架しておくことにより、送風装置51によって運ばれる粉塵を確実に捕捉材52にて保持して、粉塵収容凹部32cの空間中から除去できる。
その他、上記第1乃至第3実施形態で示した様々な構造を適宜組み合わせて、本発明の介在部材を構成することもできる。
Claims (5)
- レーザー発色層を有する長尺状のフィルムを筒状に形成した筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルに、レーザー光を照射して印刷する筒状ラベルの印刷方法であって、
前記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを開口してその内側に粉塵収集手段を設けた状態で、前記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルの外面からレーザー光を照射してレーザー発色層を発色させることを特徴とする、筒状ラベルの印刷方法。 - 前記粉塵収集手段が、前記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを挿通して扁平状の筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを開口させる介在部材であって、レーザー光の照射に対応する部分に粉塵収容凹部が形成されている介在部材である、請求項1に記載の筒状ラベルの印刷方法。
- 前記介在部材の粉塵収容凹部に、粉塵を捕捉する捕捉材が設けられている、請求項2に記載の筒状ラベルの印刷方法。
- 前記粉塵収容凹部の上方側が、一部に開口部を有する天壁によって覆われている、請求項2または3に記載の筒状ラベルの印刷方法。
- 扁平状に折り畳まれた筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルを開口させるためにその内側に介在させる介在部材であって、
前記筒状ラベル長尺体又は筒状ラベルから生じる粉塵を収容する粉塵収容凹部が設けられていることを特徴とする筒状ラベル開口用介在部材。
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