JP5939627B2 - 電子顕微鏡用試料、電子顕微鏡画像形成方法及び電子顕微鏡装置 - Google Patents

電子顕微鏡用試料、電子顕微鏡画像形成方法及び電子顕微鏡装置 Download PDF

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本発明は、高精度の三次元像を得ることに適した、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)トモグラフィーに用いる電子顕微鏡用試料、及び該試料を用いる電子顕微鏡画像形成方法、並びに該試料を用いて三次元像を形成する電子顕微鏡装置に関する。
近年、ナノメートルもしくはそれ以下のオーダーでの観察を必要とする材料や生物などの研究分野で、透過型電子顕微鏡が広く利用されている。TEMは、観察試料に電子線を照射し、試料を透過した電子の作る画像を得る装置である。その画像は2次元画像であり、試料の厚み方向(電子の入射方向)の詳細な情報は得られない。そこで、試料の三次元画像をナノメートルスケールで取得する手法としてTEMトモグラフィーが近年注目されている。これは、TEMの試料回転機構を用いて、一定の角度ステップの試料の回転と試料中の目的とする対象物が含まれる視野(観察領域)の画像の撮影を繰り返すことにより得られた一連の画像(回転像シリーズと呼ぶ)数十枚〜百数十枚に対して、CT(Computerized Tomography)法を用いて画像処理を行うことにより三次元像を得る手法である。病院などで用いられているX線CTと原理は同じであるが、得られる画像の分解能は、X線CTがサブミリメートルであるのに対し、TEMトモグラフィーでは数ナノメートルである。
例えば、半導体分野において、半導体材料の微細化が進んでおり、特性と構造を結びつけた検討が必要になってきている。そのため、TEMトモグラフィーを使って三次元構造を評価する例が増えている。
本発明者は、TEMトモグラフィーに関する研究開発を進め、関連した技術を提案してきた(特許文献1、非特許文献2参照)。
TEMトモグラフィーにおいて、透過型電子顕微鏡の試料回転機構の回転軸上に試料回転を配置させることは非常に困難であるため、また試料回転機構の性能の制約や透過型電子顕微鏡のレンズの設定により、観察領域は、観察領域面内での回転と平行移動、さらに観察領域と垂直な面内で回転(偏心)した状態で回転像シリーズの各画像に写っている。すなわち、試料の回転軸が撮影視野の中心軸に対して平行移動、傾斜、さらに偏心している状態で各画像に写っている。さらに、試料の回転角度も電子顕微鏡の制御システムに表示はされているが、その精度は正確に検討されていないことがほとんどである。したがってCT法で処理する前に、アライメントを行う必要がある。このアライメントとは、回転像シリーズから、撮影視野の中心軸に対する試料の回転軸の傾斜角と偏心角、観察領域の平行移動量、試料の回転角度を算出するための手法である。アライメントの手法としては、試料表面にのせた金微粒子などの粒子の位置をマーカーにする方法(マーカー法)(非特許文献1参照)が代表的である。マーカー法は、観察対象物が存在する画像に同時に写っている複数個の金微粒子をマーカーとして選択し、それぞれのマーカーの相対位置を使ってアライメントを行う方法である。従来のマーカー法で用いる金微粒子は、金微粒子の溶液を滴下して乾燥させることによって試料上にのせているため、所望の位置に所望の数の粒子をのせることはほとんど不可能である。
従来、マーカー法により理論的には試料の回転角度は計算できるが、マーカーの位置や数により得られる角度の精度が大きく変わるため、マーカー法では試料の回転角度は算出せずに電子顕微鏡の制御システムに表示されている角度が正しい回転角度として信頼して使われていることがほとんどである。
しかし、ある電子顕微鏡に関して傾斜計を用いて回転角度を正しく測定しなおすと、制御システムに表示されている角度は実際の回転角度に対して誤差があり、その誤差が三次元像の像質の劣化を招いていることを、本発明者は確認した(非特許文献2参照)。どのメーカーのどの機種の電子顕微鏡を用いるにしても、正確な三次元像を取得するためには、一度は制御システムに表示されている角度の精度を評価する必要がある。電子顕微鏡の種類によっては、傾斜計を設置することのできない構造の試料回転機構をもつものもあり、その場合は、マーカー法を使って回転角度を高精度で算出する必要がある。そのためには、マーカーを付ける位置を高精度で制御する必要がある。
ところで、TEMトモグラフィーにおいて、従来は薄膜上に観察対象物がのった試料の像が撮影される場合が多かったが、近年は真空中に突き出した針状形状の試料を観察する例が増えてきている。針状形状にすることにより、試料の回転角度によらず電子線に対する試料の厚みがほぼ一定であり、等方的な分解能の像が得られる利点がある。
特開2012−2552号公報
J.Frank,B.F.McEwen,1992. Alignment by Cross−Correlation. In: J.Frank edit,Electron Tomography.Plenum Press,New York,pp.205−213. M.Hayashida,S.Terauchi and T.Fujimoto,"Calibration method of tilt and azimuth angles for alignment of TEM tomographic tilt series", REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS 82,103706−1−6(2011)
従来、マーカー法では、マーカーとして用いられる金微粒子は、試料上に金微粒子の溶液を滴下して乾燥させることによって試料上にのせるのが一般的である。金微粒子は、観察領域(数十〜数百nm平方)に適当な密度で分散しているのが望ましい。しかしながら、溶液滴下法では、観察領域に金微粒子が全くのっていなかったり、逆に多くのりすぎて電子線の透過を妨げ、観察したい試料の画像を正確に得られなかったりするという問題がある。特に、観察領域が狭くなるほど、その領域に金粒子が存在する確率が低くなるため、100nm以下の対象物の三次元画像を十分な分解能で得ることは非常に困難である。
また、TEMトモグラフィーにおいて用いられる針状形状の試料は視野が狭く、金微粒子を所望の密度で分散付着させることが現実的に困難であった。そこで、金微粒子を針状形状の試料上に分散付着させるのに好適な作製方法を発明者が提案した(特許文献1参照)。この方法により、金微粒子を付着させる領域(マーカー領域)と観察領域とを分離して形成することができるようになった。しかし、この方法では試料が針状形状であることに限定され、さらにマーカー領域と観察領域を同一視野に撮影する必要があるため、それらが隣接している必要がある。そのため、観察領域のすぐ隣にマーカー領域として使うのに適したコントラストの薄い部分がない場合は、特許文献1の方法は使えないという問題がある。また、特許文献1の方法が使えたとしても、観察領域とマーカー領域を同一画像中に入れなければならないので、観察領域を広い視野で撮影することができない。視野が狭いと三次元像の分解能が小さくなるという問題がある。また、試料の片面にのみマーカーとなる金微粒子が蒸着されるため、マーカーの位置に偏りがあり、そのマーカーの位置関係から試料の回転角度を算出することは現実的に難しかった。
また、特許文献1の方法では、マーカーとなる金微粒子を付けるおおまかな領域しか制御できないという問題がある。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、高精度な三次元像を得るための電子顕微鏡画像形成方法を提供することを目的とする。また、電子顕微鏡画像形成方法に最適な電子顕微鏡用試料を提供することを目的とする。また、高精度な三次元画像を形成することができる電子顕微鏡装置を提供することを目的とする。特に、撮影視野の中心軸に対する試料の回転軸の傾斜角と偏心角、観察領域の平行移動量、試料の回転角度を高精度で算出するための試料を提供し、該試料を用いた方法や装置により、高精度な三次元像を得ることを目的とするものである。
本発明者は、マーカーを付ける位置を制御する方法を開発し、位置制御できるマーカーを用いてマーカーの配置を特定の配置とした。従来から、有機金属ガス雰囲気で試料表面にイオンビームや電子ビームを照射し、局所的に金属の構造物を作製する化学気相蒸着法については、知られている。特に電子ビームやヘリウムイオンビームを用いると、直径数nmのドット状の構造物ができることが確認されている。これをマーカーとしてTEMトモグラフィーに応用するものである。特許文献1では、マーカーとなる金微粒子を付けるおおまかな領域しか制御できないのに対し、化学気相蒸着法ではマーカーとなる構造物ひとつひとつを、数nmの分解能で位置制御して付けることができる。したがって、それにより作製した構造物をマーカーとして用いれば試料の回転角度を高精度で算出することができる。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有する。
本発明は、試料を回転させて透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影して、試料の三次元像を得る電子顕微鏡画像形成方法であって、前記試料は、観察対象が存在する観察領域と独立させて、マーカー領域を設けた試料であり、試料回転機構の回転軸と平行で前記観察領域と前記マーカー領域とを貫く軸を、前記試料の回転軸とし、前記マーカー領域において、複数のマーカーを前記試料回転軸方向の位置が異なるように位置制御して配置し、前記マーカー領域のマーカーを用いて、前記試料の回転角度、及び撮影視野の中心軸に対する前記試料の回転軸の傾斜角度と偏心角度、並びに前記観察領域の平行移動量を算出して、前記観察領域の三次元再構築処理を行うことを特徴とする。前記試料が針状形状または円柱状形状である場合は、前記マーカー領域において、前記複数のマーカーが前記試料回転軸方向の位置及び前記試料回転軸を中心をする回転方向の位置が異なるように並んで配置されていることが好ましい。前記試料が板状の場合は、同一板上に、観察対象が存在する観察領域と独立させて、マーカー領域を設けた試料であり、板面内の観察領域とマーカー領域とを貫く軸を試料の回転軸とし、前記マーカー領域において、前記複数のマーカーが、前記試料回転軸上以外に配置され、かつ前記回転軸方向の位置が異なるように並んで配置されていることが好ましい。
前記観察領域にも、1つ以上のマーカーを配置することができる。本発明の電子顕微鏡画像形成方法は、試料回転機構を備えた電子顕微鏡を用い、前記電子顕微鏡内に設置した前記試料の、前記マーカー領域と前記観察領域とを個別の画像として撮影するものであり、個別撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行い、回転像シリーズを撮影することを特徴とする。
本発明の電子顕微鏡画像形成方法は、試料回転機構を備えた電子顕微鏡を用い、前記電子顕微鏡内に設置した前記試料の、前記マーカー領域と前記観察領域の両方の領域が含まれる画像を撮影するものであり、該画像の撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行い、回転像シリーズを撮影することを特徴とする。
本発明は、試料の三次元像を形成するための電子顕微鏡用の試料であって、前記試料は、観察対象が存在する観察領域と独立させて、マーカー領域を設けた試料であり、前記マーカー領域には、前記試料回転軸方向の位置が異なるように1〜20nmの分解能で位置制御して配置された複数のマーカーが存在することを特徴とする。また、前記試料が針状形状または円柱状形状の場合は、前記マーカー領域において、前記複数のマーカーが、前記試料回転軸方向の位置及び前記試料回転軸を中心をする回転方向の位置が異なるように並んで配置されていることを特徴とする。また、前記試料が板状の場合は、同一板上に、前記観察対象が存在する前記観察領域と独立させて前記マーカー領域を設けた試料であり、板面内の前記観察領域と前記マーカー領域とを貫く軸を、前記試料の回転軸とし、前記マーカー領域に、前記複数のマーカーが前記試料回転軸上以外にも配置されていることを特徴とする。前記観察領域にも、1つ以上のマーカーを配置することを特徴とする。
本発明は、試料を回転させて透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影して、試料の三次元像を再構築する電子顕微鏡装置であって、観察対象が存在する観察領域と独立して位置するマーカー領域に、複数のマーカーが試料回転軸方向の位置が異なるように並んで配置された試料を、前記マーカー領域と前記観察領域を双方含む画像又は個別の画像として撮影し、該撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行うことにより、回転像シリーズを得る装置と、前記マーカー領域の複数のマーカーを用いて、前記試料の回転角度、及び撮影視野の中心軸に対する前記試料の回転軸の傾斜角度と偏心角度、並びに前記観察領域の平行移動量を算出して、算出した値を用いて前記観察領域の三次元再構築処理を行う処理装置とを備えることを特徴とする。
本発明において、マーカー領域と観察領域は試料の回転軸と平行な同一軸上に存在し、電子顕微鏡の光軸方向の高さがほぼ同じであることが望ましい。
本発明の試料のマーカー領域における複数のマーカーは、試料の回転角度、撮影視野の中心軸に対する回転軸の傾斜角と偏心角のパラメータを算出するためのマーカーである。特に試料の回転角度を算出する際には、試料が針状形状の場合は、例えばらせん状にマーカーを配置するとよい。
マーカー領域におけるマーカーの配置は、マーカー領域を貫き、試料回転機構の回転軸と平行な特定の軸において、その軸方向におけるマーカー位置の重なりがなく、その軸を通りかつ電子線と垂直な面で試料を分けたときに、試料がその軸を中心にいかなる角度回転してもその分断された部分の両方にいつもマーカーが存在するようにマーカーが配置されていることが望ましい。
観察領域とマーカー領域とを個別の撮影視野で撮影する場合には、試料の観察領域に、観察領域の平行移動量の算出のため1つ以上のマーカーが存在させる。
マーカーは、化学気相蒸着法、例えば有機金属ガス雰囲気で電子ビームまたはヘリウムイオンビームを用いて作製された構造物であることが望ましい。マーカーのサイズは適宜選択できるが、ナノメートルのオーダーでの観察をするためには、1〜20nmが望ましい。
マーカー領域はマーカーの存在が明瞭にできるようにするために軽元素から構成されている領域を使うことが望ましい。マーカーは、それが配置されている周囲の構成元素とは異なる元素から構成されていることが望ましい。
観察領域とマーカー領域とが独立して分離されていれば十分であるが、双方を空間的に分離領域を介して分離して配置することができる。本発明を利用することにより、観察領域に隣接してコントラストの濃い領域がある場合には、これを避けて、濃い領域を分離領域として、マーカー領域を設定するとよい。
本発明によれば、マーカー領域にマーカーを所望の位置に配置することにより、試料の回転角度、撮影視野の中心軸に対する回転軸の傾斜角と偏心角のパラメータを算出することが容易になる。回転像シリーズから、撮影視野の中心軸に対する試料の回転軸の傾斜角と偏心角、観察領域の平行移動量、試料の回転角度を算出する際に、マーカーが回転像シリーズの各回転像中に写っており欠如することや多く重なってしまうことがないので、マーカーによるアライメントが高精度で可能となる。
本発明によれば、観察領域と独立したマーカー領域を設けた試料を用いるので、観察領域のすぐ隣にマーカー領域として使うのに適したコントラストの薄い部分が存在する必要がない。また、本発明によれば、マーカー領域と観察領域を同一視野に入れる必要がないため、観察領域を広い視野で画像中に含めることができる。また、本発明によれば、マーカー領域に作製するマーカーの相対位置関係を工夫することにより、試料の回転角度を高精度に算出できるようになる。
本発明によれば、マーカー領域のマーカーが位置制御された配置であるので、TEMトモグラフィーの試料作製の成功率が向上し、得られる三次元像の分解能が向上し、結果として実用性が高まる。
本発明の第1の実施の形態の試料の構造を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の試料の構造を示す図である。 撮影視野とその中心軸を説明する図である。 本発明の試料と電子線と特定の軸の位置関係を示す図で、(a)はマーカー領域を貫く特定の軸方向から見た図で、(b)は電子線の向きから見た図である。
本発明の実施の形態について、以下説明する。
(第1の実施の形態)
針状試料の場合について図1を参照して説明する。本実施の形態の針状試料10は、観察対象物4が存在する観察領域1と、観察領域1と独立させて設けたマーカー領域2を有する。図中、Bは試料の回転軸を示す。マーカー領域2には、複数のマーカー21が、針状試料の外周に亘って、ドット形状で、ドットの整列が螺旋状になるように付着されている。即ち、複数のマーカーが試料の回転軸方向及び回転方向において異なる位置に並んで配置されている。全てマーカの位置が、試料回転軸方向及び回転方向において異なる位置に並んでいることが好ましい。複数のマーカーは、試料の回転方向において回転角180度を超える範囲に亘って配置されていることが望ましい。図1は、複数のマーカー21が螺旋状に並んでいる様子を透過して見えるように模式的に示したものである。マーカーの位置は、試料の回転方向において回転角180度を超える範囲に亘って配置されていれば、螺旋状のように回転角の小さい(または大きい)順番に回転軸方向に並んでいなくてもよい。
観察領域1に隣接してコントラストの濃い領域3が試料にある場合は、コントラストの薄い領域にマーカー領域2を形成するとよい。観察領域1に隣接している領域がコントラストの薄い領域であれば、観察領域1に隣接してマーカー領域2を形成するとよい。例えば、マーカーとして用いる構造物(ドット)に比べてコントラストの低い部分を試料中から探し、そこをマーカー領域2とし、同様にマーカーとして用いる構造物を所望の数だけ作製する。
図1に示すように、観察領域1内に、1つ以上のマーカー11を付着させることが好ましい。即ち、マーカー領域と観察領域のそれぞれの領域にマーカーが存在することが好ましい。特に、観察領域とマーカー領域とを個別の撮影視野で撮影する場合に、試料の観察領域に、観察領域の平行移動量の算出のため1つ以上のマーカーを存在させる。
マーカーは、化学気相蒸着法(CVD)より形成する。例えば、有機金属ガス雰囲気で、試料表面に電子ビームまたはヘリウムイオンビームを照射し、局所的に金属の構造物を作製してドット状のマーカーを形成する。
マーカー領域はマーカーの存在が明瞭にできるようにするために、例えばカーボンやシリカなどの軽元素から構成されている領域を使うことが望ましい。マーカーは、マーカーが配置されている周囲の構成元素とは異なる元素から構成されていることが好ましく、例えば、金属元素である。数nmの分解能の三次元画像を得るためには、マーカーのサイズは1〜20nmが望ましい。
(第2の実施の形態)
試料が板状又は薄膜形状の場合について図2を参照して説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態とは試料形状が異なるが、形状以外は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態の薄膜形状試料20は、観察対象物4が存在する観察領域1と、観察領域1と独立させて設けたマーカー領域2を有する。図中、Bは試料の回転軸を示す。マーカー領域2には、複数のマーカー21が存在する。マーカー領域において、複数のマーカーは、試料回転軸の方向の位置が異なるように配置されている。複数のマーカーは試料回転軸上以外の位置に配置されているが、試料回転軸上にもマーカーが設けられていてもよい。マーカーの形状はドット形状で、ドットが試料回転機構の回転軸と平行でかつマーカー領域の中心を通る特定の軸(試料の回転軸)からの距離ができるだけ離れた位置に並んで配置されていることが好ましい。図2は、複数のマーカー21が並んでいる様子を透過して見えるように模式的に示したものである。
第1及び第2の実施の形態で示した試料を用いて三次元像を形成する方法、及び三次元像を再構築できる電子顕微鏡装置について、以下説明する。透過電子顕微鏡(TEM)内に、試料を試料回転機構に回転可能に設置し、試料へ電子線を入射して観察する。例えば試料の回転軸の方向をy軸とし、電子線の入射方向をz軸方向として観察する。マーカー領域2と観察領域1は試料回転機構の回転軸と平行な同一軸上に存在し、電子顕微鏡の光軸方向の高さがほぼ同じであることが望ましい。マーカー領域と観察領域を貫き試料回転機構の回転軸と平行な特定の軸を試料の回転軸とする。
試料の回転像シリーズを撮影の際、試料を一定の角度ステップだけ回転させる度に、マーカー領域と観察領域の2つの画像を撮影する。マーカー領域と観察領域を個別に撮影する個別撮影方式の機構により2つの画像を撮影実行後に、三次元像電子顕微鏡用試料を所定角度で回転させる試料回転操作を行う、即ち、マーカー領域の画像と観察領域の画像の個別撮影と前述試料回転操作を繰り返して、回転像シリーズを得る。
図3は、撮影視野6と撮影視野の中心軸aを示す図である。マーカー領域に存在するマーカーを用いて、試料の回転角度と、撮影視野6の中心軸aに対する試料の回転軸の傾斜角度と偏心角度を算出し、観察領域に存在するマーカーを用いて回転像シリーズの一枚目に対する観察領域の平行移動量を算出し、それらの算出した値を使って観察領域の三次元再構築処理を実行する。
マーカー領域と観察領域が隣接している場合は2つの領域を一つの画像に含めることも可能であり、マーカー領域に存在するマーカーで観察領域の平行移動量を算出できるため、観察領域にはマーカーが存在しなくてもよい。
マーカーの存在する位置やマーカーの数により算出される値の精度が変わる。試料形状によらずマーカーの数が多いほど精度が上がる。
特に円柱形状や針状形状の試料を用いて試料の回転角度を算出する際には、マーカー領域を貫き、試料回転機構の回転軸と平行な特定の1つの軸において、その軸方向におけるマーカー位置の重なりがなく、その軸を通りかつ電子線と垂直な面で試料を分けたときに、試料がその軸を中心にいかなる角度回転してもその分断された部分の両方に必ずマーカーが存在するようにマーカー領域のマーカーが配置されていることが望まれる。図4に、その軸(マーカー領域を貫く軸b)と試料と電子線の向きの関係を、試料形状が円柱形状である場合を例にして示した。(a)はマーカー領域を貫く軸方向から見た図で、(b)は電子線の向きから見た図である。(b)図において、マーカー領域を貫く特定の軸(試料の回転軸)bとマーカーの位置の関係を、電子線の向きに投影させて示した。
本発明において観察領域1内に設けられるマーカーは、観察領域1に含まれている観察対象物4がすべて含まれる円のうち半径が最小となる半径rの円を描き、その円の中心から4r以内の距離内にマーカーを作製することが望ましい。観察領域内に設けるマーカーは、観察対象物に近い位置にある方が観察対象物を高い倍率で撮影できるからである。
従来の試料においては、観察領域に多数のマーカーが存在する必要があるが、観察領域が高コントラストを示す材質である場合、そのコントラストによりマーカーの位置の識別ができなくて、アライメントの精度が落ちることが考えられる。本実施の形態で作製した試料によれば、観察領域とマーカー領域を別画像で撮影する場合に、観察領域には1つ以上のマーカーが存在するだけでよく、軽元素から構成されているコントラストの低い領域をマーカー領域とすれば、すべてのマーカーの位置の識別が正しく行えるので、アライメントの精度を向上させることができる。さらに、本実施の形態のように、マーカーの位置を工夫することにより、従来のアライメントでは算出するのが難しい試料回転角度を高精度で算出できるようになる。
上記実施の形態で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
半導体分野等においてTEMトモグラフィーを使って三次元構造を評価する必要性が増加している。本発明を利用すれば、アライメントの精度が向上し、得られる三次元像の分解能が向上するので、更なるTEMトモグラフィーの高性能化が実現でき、ナノメートル又はそれ以下のオーダーでの観察を必要とする分野で利用可能である。
1 観察領域
2 マーカー領域
3 コントラストの濃い領域
4 観察対象物
6 撮影視野
10 針状試料
11 マーカー
20 薄膜形状試料
21 マーカー

Claims (11)

  1. 試料を回転させて透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影して、試料の三次元像を得る電子顕微鏡画像形成方法であって、
    前記試料は、観察対象が存在する観察領域と独立させて、マーカー領域を設けた試料であり、試料回転機構の回転軸と平行で前記観察領域と前記マーカー領域とを貫く軸を、前記試料の回転軸とし、前記マーカー領域において、複数のマーカーを前記試料回転軸方向の位置が異なるように、かつ、試料が前記試料回転軸を中心にいかなる角度回転しても前記試料回転軸を通りかつ電子線と垂直な面で分けられる部分の両方に必ずマーカーが存在するように、位置制御して配置し、
    前記マーカー領域と前記観察領域を双方含む画像又は個別の画像として撮影し、該撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行うことにより、回転像シリーズを得、
    前記マーカー領域のマーカーを用いて、前記試料の回転角度、及び撮影視野の中心軸に対する前記試料の回転軸の傾斜角度と偏心角度、並びに前記観察領域の平行移動量を算出して、前記観察領域の三次元再構築処理を行うことを特徴とする電子顕微鏡画像形成方法。
  2. 前記試料が針状形状または円柱状形状であり、前記マーカー領域において、前記複数のマーカーが前記試料回転軸方向の位置及び前記試料回転軸を中心する回転方向の位置が異なるように並んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡画像形成方法。
  3. 前記試料は、板状であり、同一板上に、観察対象が存在する観察領域と独立させて、マーカー領域を設けた試料であり、板面内の観察領域とマーカー領域とを貫く軸を試料の回転軸とし、前記マーカー領域において、前記複数のマーカーが、前記試料回転軸上以外に配置され、かつ前記回転軸方向の位置が異なるように並んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡画像形成方法。
  4. 前記観察領域にも、1つ以上のマーカーを配置することを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡画像形成方法。
  5. 試料回転機構を備えた電子顕微鏡を用い、前記電子顕微鏡内に設置した前記試料の、前記マーカー領域と前記観察領域とを個別の画像として撮影するものであり、個別撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行い、回転像シリーズを撮影することを特徴とする請求項4記載の電子顕微鏡画像形成方法。
  6. 試料回転機構を備えた電子顕微鏡を用い、前記電子顕微鏡内に設置した前記試料の、前記マーカー領域と前記観察領域の両方の領域が含まれる画像を撮影するものであり、該画像の撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行い、回転像シリーズを撮影することを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡画像形成方法。
  7. 試料の三次元像を形成するための電子顕微鏡用の試料であって、
    前記試料は、観察対象が存在する観察領域と独立させて、マーカー領域を設けた試料であり、前記マーカー領域には、前記試料回転軸方向の位置が異なり、かつ、試料が前記試料回転軸を中心にいかなる角度回転しても前記試料回転軸を通りかつ電子線と垂直な面で分けられる部分の両方に必ずマーカーが存在するように1〜20nmの分解能で配置されている複数のマーカーが存在することを特徴とする電子顕微鏡用試料。
  8. 前記試料が針状形状または円柱状形状であり、前記マーカー領域において、前記複数のマーカーが、前記試料回転軸方向の位置及び前記試料回転軸を中心する回転方向の位置が異なるように並んで配置され、試料の回転方向において回転角180度を超える範囲に亘って配置されていることを特徴とする請求項7記載の電子顕微鏡用試料。
  9. 前記試料は、板状であり、同一板上に、前記観察対象が存在する前記観察領域と独立させて前記マーカー領域を設けた試料であり、板面内の前記観察領域と前記マーカー領域とを貫く軸を、前記試料の回転軸とし、前記マーカー領域に、前記複数のマーカーが前記試料回転軸上以外にも配置されていることを特徴とする請求項7記載の電子顕微鏡用試料。
  10. 前記観察領域にも、1つ以上のマーカーを配置することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載の電子顕微鏡用試料。
  11. 試料を回転させて透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影して、試料の三次元像を再構築する電子顕微鏡装置であって、
    観察対象が存在する観察領域と独立して位置するマーカー領域に、複数のマーカーが試料回転軸方向の位置が異なるように並んで配置され、かつ、試料が前記試料回転軸を中心にいかなる角度回転しても前記試料回転軸を通りかつ電子線と垂直な面で分けられる部分の両方に必ずマーカーが存在するように配置された試料を、前記マーカー領域と前記観察領域を双方含む画像又は個別の画像として撮影し、該撮影と、前記試料を所定角度で回転させる試料回転操作とを繰り返し行うことにより、回転像シリーズを得る装置と、
    前記マーカー領域の複数のマーカーを用いて、前記試料の回転角度、及び撮影視野の中心軸に対する前記試料の回転軸の傾斜角度と偏心角度、並びに前記観察領域の平行移動量を算出して、算出した値を用いて前記観察領域の三次元再構築処理を行う処理装置とを備えることを特徴とする電子顕微鏡装置。
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