JP2011065912A - 電子顕微鏡における三次元像構築画像処理方法 - Google Patents

電子顕微鏡における三次元像構築画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透過型電子顕微鏡(TEM)三次元像構築画像処理方法のアライメントに関する技術において、従来よりも簡便なTEM三次元像構築画像処理方法を提供する。
【解決手段】
透過型電子顕微鏡で針状試料を回転軸を中心として数度ステップずつ回転させて撮影した連続回転シリーズを、画像輪郭抽出と位置ずれ量の検出工程、回転軸の方向の検出工程、回転軸の平行移動量の検出工程、及び前記位置ずれ量と回転の補正を行うことにより、アライメントを行い、その後CT法により三次元像構築画像処理を行う。
【選択図】図10

Description

本発明は、撮影画像から回転軸の情報を得ることのできる透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)三次元像構築画像処理方法に関する。
近年、ナノメートルもしくはそれ以下のオーダーでの観察を必要とする材料や生物などの研究分野で、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)が広く利用されている。TEMは、観察試料に電子線を照射し、試料を透過した電子の作る像をCCDカメラなどの撮像媒体に投影させる装置である。TEMで得られる画像は試料を透過した電子が形成する2次元像であり、試料の厚み方向(電子の入射方向)の詳細な情報は得られない。そこで、試料の構造をナノメートルスケールで、しかも3次元で取得する手法としてTEMトモグラフィーが近年注目されている。これは、TEMで試料を数度ステップずつ回転させ、その都度像を撮影し、撮影した一連の画像(以後連続回転シリーズと呼ぶ)数十枚〜百数十枚に対して、CT(Computerized Tomography)法を用いて画像処理を行うことにより三次元再構成像を得る手法である。病院などで用いられているX線CTと原理は同じであるが、得られる画像の分解能は、X線CTがサブミリメートルであるのに対し、TEMトモグラフィーでは数ナノメートルである。また、X線CTでは、測定対象物を固定して、光源(X線源)と検出器を回転させるのに対し、TEMトモグラフィーでは、光源(電子銃)と検出器(CCDカメラ)とを固定して、測定対象物を回転させる。測定対象物の回転と平行移動は、試料駆動機構により制御する。
TEMにおいて、撮影視野の中心軸と試料駆動機構の回転軸をナノメートルオーダーで機械的に一致させることは不可能であるため、試料を回転させる度に観察対象物が撮影視野の中心からずれてしまう。したがって、試料を回転させる度に、試料駆動機構や偏向器を用いて観察対象物を撮影視野の中心へと位置調整を行ってから像を撮影する。通常その調整精度は十分でないため、連続回転シリーズ撮影後、一般的にアライメントと呼ばれている精密な補正を行い、その後、CT処理を行う。アライメントとは、連続回転シリーズの各画像の位置ずれ補正量と、試料の回転軸の位置と方向とを算出し、各画像の平行移動と回転を行う操作のことである。これにより、試料の回転軸と画像の中心軸が一致するようになる。試料表面に目印として載せた金微粒子を使うマーカー法(非特許文献1参照)と、再構成を行う物体自体の位置を目印にして行う相関法(非特許文献2参照)が代表的である。マーカー法は画像中の複数個の金微粒子を目印として選択し、それぞれの目印の軌道から回転軸の方向と各画像の位置ずれ補正量の最適値を求める方法である。相関法は再構成の対象となる物体自体を目印として各画像の位置ずれ補正量を求める方法である。
また、TEMトモグラフィーのアライメントに関して、位置ずれ補正を相関法によって行う方法が特許文献1に示されている。また、針状の試料の輪郭を用いて位置ずれ補正を行う方法が非特許文献3に示されている。これは、完全自動化STEM−Tomographyの三次元再構築に関している。非特許文献3には、位置ずれ補正については記述されているが、試料の回転軸の方向を検出する方法については記述されていない。特許文献1においては、試料の回転軸の方向を検出する方法については「連続したプロジェクション像から確率的に求めることができる」と記述されているが具体的な方法については示されていない。
特開平4−337236号公報
J.Frank, B.F.McEwen, 1992. Alignment by Cross−Correlation. In: J.Frank edit, Electron Tomography. Plenum Press, New York, pp.205−213. M.C.Lawrence, 1992. Least−squares methods of alignment using markers, In: J.Frank edit, Electron Tomography. Plenum Press, New York, pp.197−204. 関口宏美他 日本電子顕微鏡学会第64回学術講演会予稿集(2008年5月)119頁
従来は、薄膜上に観察対象物が載った薄膜試料の画像が撮影される場合が多かったが、最近では、真空部分に突き出した針状形状の物体の中に微粒子などの構造が含まれた試料を観察する例が増えてきている。図1は、真空部分20に突き出た針状試料6を撮影した画像を模式的に示した正面図である。図1において、外枠は撮影視野の範囲(撮影画像の外枠)を示し、針状試料(斜線部)の中に黒で示す微粒子が含まれている試料の例を表している。図1の斜線部長手方向が針状試料の長手方向を示す。このような針状試料が用いられるのは、試料の回転角度によらず電子線に対する試料の厚みがほぼ一定であり、試料の回転の角度制限がなく、画像処理により等方的な分解能の三次元像が得られるからである。薄膜試料の場合は、60度以上の高角度に試料を回転させても試料同士の重なりは少なく、目印の選択は容易であり、一枚の画像上の目印を選択すれば、相互相関法を用いてほぼ自動で他の画像の目印の選択を行える。一方、針状試料の場合は、針状形状の物体の内部に粒子などの構造が分散している例が多く、画像には常に構造が重なって写っている。重なりを考慮して自動で目印の選択を行うのは困難であり、一枚一枚の画像に対してマニュアルで行う必要があるため非常に時間と労力を要するという問題があった。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)三次元像構築画像処理方法のアライメントに関する技術である特許文献1のような方法では、試料の三次元画像の再構築に必要な回転軸の情報を、顕微鏡像からは得ることができないという問題がある。
また、完全自動化STEM−Tomographyの三次元再構築に関する非特許文献3では、針状試料の位置ずれ補正を行っているが、試料の中心軸と試料の回転軸が一致していることや、試料の断面が真円であること等の条件を満たすことを指定しているので、満たしていない場合に適用できず、汎用性がなかった。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、針状試料を用いた場合の撮影画像の平行移動と回転を行う操作を自動的に行い、簡単に三次元像を構築できる画像処理方法を提供することを目的とするものである。また、回転軸の情報を画像から得ることができる方法を提供し、試料の中心軸と試料の回転軸との一致や、試料の断面が真円でなくとも、補正ができる汎用性のある方法を提供することを目的とする。また、これらの条件を満たすことを指定することにより、より高精度な補正を行うことのできる三次元像構築画像処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
本発明の方法は、透過型電子顕微鏡で試料を回転軸を中心として数度ステップずつ回転させて撮影した連続回転シリーズを、コンピュータトモグラフィー法を用いて画像処理を行う三次元像構築画像処理方法において、前記連続回転シリーズから、それぞれの画像の1枚目の画像に対する位置ずれ量を検出する工程と、前記透過型電子顕微鏡同一倍率で回転角度−90度と+90度で撮影された画像の輪郭抽出画像を用いて、試料の回転軸が画像の中心軸に対してどれだけ回転して投影されているかを検出する回転軸角度検出工程とを備えることを特徴とする。前記試料の回転軸が画像の中心軸に対してどれだけ回転して投影されているかを検出する回転軸角度検出工程は、具体的には、前記連続回転シリーズにおいて回転角度−90度と+90度で撮影された画像の輪郭抽出画像を用いる方法や、前記連続回転シリーズと同一透過型電子顕微鏡同一倍率で回転角度−90度と+90度で撮影された他の試料の画像の輪郭抽出画像を用いる方法がある。また、本発明の方法は、前記位置ずれ量に相当する量だけ前記連続回転シリーズの各画像を平行移動する補正を行った後、前記回転軸角度に相当する角度回転の補正を行う工程を備えることを特徴とする。本発明の方法における前記試料は、針状試料、薄膜試料、その他の形状の試料で実施することができる。針状試料を用いると高精度の検出ができるので好ましい。前記試料が、薄膜試料等である場合は、「前記連続回転シリーズと同一透過型電子顕微鏡同一倍率で回転角度−90度と+90度で撮影」に用いる「他の試料」として針状試料を用いるとよい。
また、具体的には、本発明の方法において、位置ずれ量を検出する工程は、前記連続回転シリーズから輪郭抽出画像シリーズを作製し、相互相関法によりそれぞれの画像の1枚目の画像に対する位置ずれ量を検出する工程を備えることを特徴とする。また、本発明の方法において、前記−90度と+90度で撮影した画像の輪郭抽出画像を、前記検出した前記位置ずれ量に相当する量だけ平行移動する補正を行い、かつ前記検出した回転軸角度に相当する角度回転の補正をした画像を用いて、前記回転軸の中心軸からの平行移動量を検出する工程を備えることを特徴とする。また、本発明の方法は、前記連続回転シリーズに対して、前記位置ずれ量に相当する量だけ平行移動する補正を行った後、前記回転軸角度に相当する角度回転の補正を行い、さらに前記検出された平行移動量に相当する量の平行移動の補正を行う工程を備えることを特徴とする。
本発明は、顕微鏡像から回転軸を検出するので、目印の選択など手作業を要する従来のアライメントの手法に比べて、アライメントの自動化ができ、TEMトモグラフィーにおいて三次元像の構築画像処理が簡便に行える。また、顕微鏡像から輪郭抽出画像を用いて、かつ特定の角度(―90度と+90度等)の画像の特徴を利用して回転軸の回転角度を検出するので、自動化ができる。特に、画像のコントラスト補正の際の最大階調値と最小階調値の設定、フィルターのパラメータの設定等も自動化すれば、すべて自動化することができる。
本発明で用いる針状試料を撮影した画像を模式的に示す図。 本発明で用いる透過型電子顕微鏡の全体構成図。 本発明で用いる透過型電子顕微鏡トモグラフィーの画像撮影の様子を模式的に示す図。 本発明で用いる撮影画像を模式的に示した図。 本発明で用いる試料が回転して投影されている撮影画像を模式的に示す図。 本発明のヒストグラムの概略を示す図。 本発明の輪郭抽出過程を示す図。 本発明の輪郭抽出と位置ずれ量の検出の過程を示す図。 本発明の回転軸の方向の検出の過程を示す図。 本発明の回転軸の平行移動量の検出過程を示す図。
本発明では、本発明の課題を解決するため、真空中に突き出した針状試料の連続回転シリーズの撮影後に、次の4つの手順でアライメントを行う。
(1)輪郭抽出と位置ずれ量の検出
(2)回転軸の方向の検出
(3)回転軸の平行移動量の検出
(4)位置ずれ量と回転の補正
本発明の実施の形態における透過型電子顕微鏡は、試料の透過像を観察するものであるため、試料を−90度回転させて撮影した画像と+90度回転させて撮影した画像は位置ずれがなければ回転軸対称である。すなわち、+90度の画像を回転軸に対して対称にした画像は−90度の画像と同じになる。(2)と(4)の手順では、この特性を利用するものである。以下、本発明の実施の形態を図2乃至10を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図2に透過型電子顕微鏡の全体構成を示す。透過型電子顕微鏡1において、試料6は試料ホルダー13の先端部分に取り付けられており、試料駆動機構14により、試料ホルダー13が、光軸12に垂直な回転軸15を中心として回転する機構となっている。また、光軸方向と光軸12に垂直な方向にも平行移動できる機構となっている。電子銃2から放出された電子線は、集束レンズ3で集束され、偏向器4と偏向器5により特定の試料位置に特定の角度で照射される。試料6を透過した電子線は対物レンズ7により結像され、中間レンズ9と投影レンズ10により拡大されてCCDカメラ11の撮像部分に投影される。偏向器8は像面に位置するものであり、像を光軸12の垂直方向に平行移動させるためのものである。外部コンピュータ16は、各レンズ、偏向器の設定、読み出し、CCDカメラの制御、試料駆動機構の制御などを行う。座標軸17は、電子線入射方向と試料の回転軸の向きを説明するためのものである。電子線入射方向と逆向きをz方向、試料6の回転軸15の紙面向かって右方向をy方向、紙面垂直手前方向をx方向とする。図3に像撮影の模式図を示す。図3は、図2のx−z断面図であり、簡単のためCCDカメラの撮像部分と試料を抜き出したものである。また、CCDカメラ11で撮影される画像の模式図を図4に示す。図4に示すように、画像の中央を原点とするx’軸とy’軸(画像全体の中心をとおり、直交する軸)を用いて方向を示すこととする。なお、本発明において、画像とは、針状試料及び真空部分を含む全体画像を指し、その画像の中央を原点、中心軸をy’軸と呼ぶ。試料を−90度から+90度までの範囲で数度ステップごとに回転軸15(y軸)を中心として回転させ、その都度像を撮影する。撮影の段階でy軸に存在する試料が画像のy’軸に投影されるように位置調整できていれば、連続回転シリーズ撮影終了後、そのままCT法での処理に持ち込むことができるが、実際は調整が不十分であることがほとんどである。それは、試料位置を機械的にナノメートルオーダーの精度で調整することは困難であり、さらに、図5のように回転して投影される場合があるからである。図5は、試料が回転して投影されている撮影像を模式的に示した図であり、試料の回転軸(y軸)が画像のy’軸(画像全体の中心軸)に対してθ回転して投影されている様子を示す。その回転の角度はTEMの投影レンズ10と中間レンズ9の電流の設定に依存し、TEMの種類や倍率によって異なるものであり、同一TEMで同一倍率で撮影したものであればその回転の角度は同一である。したがって、撮影した連続回転シリーズをCT法を用いて処理する前にアライメントを行う。具体的には、図2のy軸に存在する試料が画像のy’軸に投影されるように連続回転シリーズのすべての画像の平行移動と回転を行う。本発明のアライメント方法は以下の4つの工程に分けることができる。
(1)輪郭抽出と位置ずれ量の検出工程
撮影したN枚の連続回転シリーズから輪郭抽出画像シリーズを作製し、それを用いて相互相関法によりぞれぞれの画像の1枚目の画像に対する位置ずれ量D’=(Δx,Δy)を検出する(i=1〜N)。
(2)回転軸の方向の検出工程
試料の回転角度−90度と+90度で撮影した画像を用いて、試料の回転軸(y軸)が画像のy’軸に対してどれだけの角度回転して投影されているかを検出する。その角度をθとする。
(3)回転軸の平行移動量の検出工程
−90度と+90度で撮影した画像を−D’=(−Δx,−Δy)だけ平行移動し、−θ回転した画像I”とI”を用いて回転軸のy’軸からの平行移動量Δdを検出する。
(4)位置ずれ量と回転の補正工程
撮影した連続回転シリーズの各画像を(−Δx,−Δy)だけ平行移動する。その後、それらの画像すべてを原点を中心に−θだけ回転させ、さらにx’方向に−Δdだけ平行移動させる。
各工程について以下詳細に説明する。
(1)輪郭抽出と位置ずれ量の検出工程
針状試料は針の表面または内部に三次元的に分散している構造が重なって投影されるため、平面試料に比べて試料回転角度変化に対する画像の変化量が大きい。そのため、針状試料を撮影した画像に相互相関法を用いると、その変化の影響を受け、正しく位置ずれ量を求めることができない。したがって、本実施の形態では、針状試料の輪郭のみを抽出した画像シリーズを作り、それらの画像に相互相関法を用いて位置ずれ補正量を求める。輪郭抽出を行う際には、まず元の画像のコントラストを補正し、針とその表面または中を三次元的に分散している構造の階調の差が小さくなるようにする。図6は、階調値(明るさ)を横軸にとり画素数を縦軸にとったときの1枚の画像のヒストグラムの概略を示す図である。図6(a)は、原画像のヒストグラムを示し、図6(b)は、図6(a)をコントラスト補正した後のヒストグラムを示す。真空部分の明るさは試料存在部の明るさに比べて明るく、図6(a)のような画像の明るさのヒストグラムが得られる場合が多いので、試料部分が作る山と真空部分がつくる山の中間に閾値を設け、該閾値を新しい画像の最小階調値とする。コントラスト補正後の新しい画像のヒストグラムは図6(b)にようになる。必要に応じて最大階調値も設定する。この結果、原画像(図7(a))が図7(b)のようになり、針とその中の微細構造の明るさの違いをなくすことができる。ここで、図7は、輪郭抽出の過程を示す図である。図7(a)は原画像、(b)はコントラスト補正後の画像、(c)は輪郭抽出後の画像である。コントラスト補正の後、針状試料と真空部分の境界を強調するために微分フィルターを使う。また、元の画像にノイズが多い場合は、その前にlow pass filterをかける。このようにして、図7(c)のような輪郭が抽出された画像ができあがる。1つの画像に対して設定したパラメータ(最大階調値、最小階調値)は画素値の平均を使って規格化を行えば他の画像のパラメータを求める際に適用できる。実際は、画像による明るさの差をなくすため、画像の露光時間、電子線照射量、試料の厚みが試料回転角度によらず一定であることが望ましい。
本実施の形態では、次に輪郭抽出を施した画像を使って位置ずれ量の検出を行う。以下、その方法について図8を参照して説明する。図8に輪郭抽出と位置ずれ量の検出の過程を示す。N枚の連続回転シリーズをI(n=1,2,3・・・N)、それらを輪郭抽出した画像をI’(n=1,2,3・・・N)とする。nは撮影された順番であり、nが大きくなるにつれて、撮影時の試料回転角度φが大きくなり、n=1はφが−90度、n=Nはφが+90度で撮影された画像とする。I’に対するI’の移動量を相互相関関数を用いて計算し、それをD1,2=(X1,2,Y1,2)とする。続いてI’とI’、I’とI’・・・I’N−1とI’というように順番に隣り合う番号の画像の間の移動量を求める。一枚目の画像I’に対するI’からI’の画像の位置ずれ量D’=(Δx,Δy)は以下のように積算で表される。
Figure 2011065912
連続回転シリーズの撮影を市販のソフトで自動で行う場合でも、手動で行う場合でも一枚目の画像はユーザーによってほぼ理想的な位置に試料が写るように調整されているので、一枚目の画像を基準に位置ずれ量を求めるようにしている。連続回転シリーズの中で、試料が画像中に写っていない場合や、他の画像に比べて視野が大きくずれている画像はあらかじめ使わないようにしておくとよい。もしくは、撮影の段階でそうならないように注意を払っておくとよい。
(2)回転軸の方向の検出工程
図5のように試料の像がθ回転してCCDカメラに投影されている、すなわち、試料の回転軸(y軸)が画像のy’軸に対してθ回転して投影されているとする。像の位置ずれがなければφが−90度と+90度で撮影された画像I’とI’は回転軸対称である。この特性を使ってθの検出を行う。図9は、回転軸の方向の検出の過程を示す概略図である。まず、I’をy’軸に対して対称になるように反転させたI’N’を作成する。I’N’は、y’軸を対称軸としてI’と線対称になっている。I’N’の回転軸は、y’軸に対して−θ、I’の回転軸に対して−2θ回転していることになる。逆に言えば、I’N’を2θ回転することによりI’と一致することになる。したがって、θを検出するために、I’N’を、原点を中心にθ’回転させてI’との相互相関関数を計算していく。相互相関関数のピーク値が大きいほど一致度が高いことになるので、ピークが最大となるときの回転角度θ”を求める。
2θ=θ” すなわち、θ=θ”/2 であるので、θを求めることができる。位置ずれがあっても、像の位置ずれ量に対応するピークが相互相関関数の原点から離れたところに現れるだけであり、θを上記の方法で求めることができる。
(3)回転軸の平行移動量の検出工程
回転軸の平行移動量の検出過程を図10を参照して説明する。上記工程(1)で求めた位置ずれ量を補正すると、各画像に写っている試料の回転軸が同じ位置になり、さらにそれぞれの画像を原点中心にθ回転することにより、回転軸がy’軸と平行になる。本工程では、最後に回転軸をy’軸と一致させるために、y’軸に対する回転軸の距離Δdを求める。まず、I’を−θ回転した画像I”を作製する。一方、I’を−D’だけ平行移動して位置ずれ補正した後、さらに−θ回転した像I”を作製する。
回転軸がy’軸と同じ位置ならば、I”は、I”をy’軸対称にした画像I”N’と一致するはずである。一方、I”の画像の回転軸がy’軸からΔdだけずれていれば、I”N’はI”に対して、−2×Δdだけ動いていることになる。したがって、I”に対するI”N’の移動量Δd’は相互相関関数を用いて計算できるので、
−2×Δd=Δd’
すなわちΔdは、
Δd=−Δd’/2
となる。
(4)位置ずれ量と回転の補正の工程
撮影したN枚の連続回転シリーズI(n=1,2,3・・・N)の各画像を、−D’=(−Δx,−Δy)だけ平行移動する。その後、それらすべての画像を原点を中心に−θだけ回転させ、さらに(−Δd,0)だけ平行移動させたシリーズI”’(n=1,2,3・・・N)を作製する。以上の工程(1)〜(4)によって、y’軸を中心として回転している連続回転シリーズの作製が完了する。これをCT法で処理すると三次元再構成像が得られる。
上記実施の形態の一連の工程は針状形体の試料にのみ適用できるが、以下に示すように部分的に他の形状の試料にも適用できる。
上記(2)の工程で得られたθは透過型電子顕微鏡(TEM)の種類と倍率によって決まる値であるので、前もってIとINのみを撮影しI’とI’を作製し、上記(2)の工程のみ行ってθを検出しておけば、同一TEM、同一倍率で撮影した異なる試料の連続回転シリーズの補正にもθを使うことができる。例えば、薄膜試料は、試料を+90度または−90度回転させることが困難であり、連続回転シリーズはおおよそ+60度から−60度の範囲で撮影される。このような薄膜試料の連続回転シリーズの位置ずれ量は、従来から使われている輪郭抽出をしないで行う相関法等を使って検出し、補正した後、あらかじめ求めておいたθにマイナスをかけた、−θだけ回転させてからCT処理を行うという手順も取ることができる。
この手順において、θのみを検出する際に用いる試料は、+90度と−90度に回転させた際に透過像を撮影することが可能な形状であれば針状である必要はない。また、連続回転シリーズ撮影の際の試料の形状は限定されない。
上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
半導体材料などを針状に加工してTEMトモグラフィーを用いて観察する例が増加しているので、本発明は、簡便な方法として、ナノメーターオーダーの三次元構造を観察するために有用である。
1、 透過型電子顕微鏡
2、 電子銃
3、 集束レンズ
4、5、8、偏向器
6、 試料
7、 対物レンズ
9、 中間レンズ
11、 CCDカメラ
12、 光軸
13、 試料ホルダー
14、 試料駆動機構
15、 試料回転軸
16、 外部コンピュータ
17、 座標軸

Claims (2)

  1. 透過型電子顕微鏡で試料を回転軸を中心として数度ステップずつ回転させて撮影した連続回転シリーズを、コンピュータトモグラフィー法を用いて画像処理を行う三次元像構築画像処理方法において、
    前記連続回転シリーズから、それぞれの画像の1枚目の画像に対する位置ずれ量を検出する工程と、
    前記連続回転シリーズにおいて回転角度−90度と+90度で撮影された画像の輪郭抽出画像、もしくは前記連続回転シリーズと同一透過型電子顕微鏡同一倍率で回転角度−90度と+90度で撮影された他の試料の画像の輪郭抽出画像を用いて、試料の回転軸が画像の中心軸に対してどれだけ回転して投影されているかを検出する回転軸角度検出工程と、
    前記位置ずれ量に相当する量だけ前記連続回転シリーズの各画像を平行移動する補正を行った後、前記回転軸角度に相当する角度回転の補正を行う工程と、
    を備えることを特徴とする三次元像構築画像処理方法。
  2. 透過型電子顕微鏡で針状試料を回転軸を中心として数度ステップずつ回転させて撮影した連続回転シリーズを、コンピュータトモグラフィー法を用いて画像処理を行う三次元像構築画像処理方法において、
    前記連続回転シリーズから輪郭抽出画像シリーズを作製し、相互相関法によりそれぞれの画像の1枚目の画像に対する位置ずれ量を検出する工程と、
    前記試料の回転角度−90度と+90度で撮影した画像の輪郭抽出画像を用いて、前記試料の前記回転軸が画像の中心軸に対してどれだけの角度回転して投影されているかを検出する回転軸角度検出工程と、
    前記−90度と+90度で撮影した画像の輪郭抽出画像を、前記検出した前記位置ずれ量に相当する量だけ平行移動する補正を行い、かつ前記検出した回転軸角度に相当する角度回転の補正をした画像を用いて、前記回転軸の中心軸からの平行移動量を検出する工程と、
    前記連続回転シリーズに対して、前記位置ずれ量に相当する量だけ平行移動する補正を行った後、前記回転軸角度に相当する角度回転の補正を行い、さらに前記検出された平行移動量に相当する量の平行移動の補正を行う工程と、
    を備えることを特徴とする三次元像構築画像処理方法。
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