JP5939194B2 - 車両用エアバッグ - Google Patents
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Description
上記の構成によれば、上流側膨張部内の膨張用ガスは、車体側布部及び乗員側布部を互いに離間させて各上側の連通路から各下流側膨張部に流入する際、両上側の端末間の領域を通過する。また、上流側膨張部内の膨張用ガスは、両布部を互いに離間させて各下側の連通路から各下流側膨張部に流入する際、両湾曲部間の領域を通過する。この際、両布部の離間に伴い上側の端末及び湾曲部に応力が加わるところ、この応力は、広い領域に面している湾曲部におけるよりも、狭い領域に面している上側の端末において大きくなる。従って、各仮結合部による結合状態は、上流側膨張部の膨張に伴い上側の端末から下側の端末に向けてより一層解除されやすくなる。
図1及び図4に示すように、車両の運転席よりも前方には、回転軸線L1を中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)11が、運転席側(後側、図4の左側)ほど高くなるように傾斜した状態で配設されている。ステアリングシャフト11の後端部には、ステアリングホイール12が一体回転可能に取付けられている。
エアバッグカバー22は、上記パッドカバー14によって構成されている。エアバッグカバー22は、折り畳まれてケース24に収納されたエアバッグ30を後方から覆う天井壁部22aと、天井壁部22aの外周縁付近から前方へ延びる略四角筒状の側壁部22bとを備え、合成樹脂によって形成されている。天井壁部22aには、膨張するエアバッグ30に押されて上下両側に開く一対の扉部23が形成されている。図1では、両扉部23は開かれた状態で図示されている。
上記インフレータ21の作動は、制御装置27によって制御される。制御装置27に接続された衝突検知センサ28は、車両の衝突時の減速度を検知可能な加速度センサ等からなる。制御装置27は、衝突検知センサ28から入力される電気信号に基づきインフレータ21を作動させる。
図3及び図5に示すように、エアバッグ30は、膨張完了時に、車体側であるステアリングホイール12側に配置される車体側布部31と、膨張完了時に、乗員側である運転者P1側に配置される乗員側布部32とを備えている。車体側布部31及び乗員側布部32は、平らに展開された状態では、図1において二点鎖線で示すように、ステアリングホイール12のリム部13よりも大径の略円形状をなしている。車体側布部31及び乗員側布部32は、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部33によって結合されている。
本実施形態では、周縁結合部33は、両布部31,32の周縁部を、縫合糸で縫合することにより形成されている。この点は、後述する仮結合部38についても同様である。
車体側布部31の中央部には、インフレータ21を膨張部34内に挿入させるための開口35が形成されている。また、車体側布部31において、開口35の周りの複数箇所には、リテーナ26の図示しないボルトを挿通させるための取付孔36が形成されている。
ここで、平らに展開された状態の膨張部34について、その中央部の開口35に近づく側を内側といい、遠ざかる側を外側というものとする。周縁結合部33よりも内側には、ステアリングホイール12が中立状態にあるとき、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びる一対の仮結合部38が設けられている。両仮結合部38の少なくとも中間部分は、両布部31,32の外形形状に対応した形状、すなわち、外側へ膨らむ略円弧状をなしている。各仮結合部38は、両布部31,32を周縁結合部33よりも低い強度で結合している。膨張部34は、両仮結合部38により、同膨張部34の中央部分の領域を占める1つの上流側膨張部41と、上流側膨張部41の左右両側に位置する一対の下流側膨張部42とに区画されている。
車両に対し、前面衝突(前突)等による前方からの衝撃が加わらないときには、エアバッグ装置20では、制御装置27からインフレータ21に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、インフレータ21から膨張用ガスが上流側膨張部41に供給されない。そのため、エアバッグ30は、折り畳まれた状態でステアリングホイール12内に収納され続ける。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
そのため、膨張部34の膨張厚みを時間とともに上から下に向けて大きくしていき、十分な膨張厚みに膨張した膨張部34によって、前傾しようとする運転者P1を受け止めて衝撃から保護することができる。
そのため、両布部31,32の離間に伴う応力を、間隔の狭い領域に面する上側の端末45に加わりやすくし、間隔の広い領域に面する湾曲部48aに加わりにくくすることができ、各仮結合部38による結合状態の解除を、上流側膨張部41の膨張に伴い、上側の端末45から下側の端末46に向けて行なわせやすくすることができる。
そのため、接着剤等を用いた場合よりも仮結合部38の形成が容易となる。
(6)仮結合部38の形成に際し、車体側布部31と乗員側布部32との縫合に用いられる縫合糸T1,T2として、強度の異なるものを用いている(図2)。
そのため、両布部31,32の離間に伴う応力を、湾曲状をなす広い箇所で受け止めることができる。その結果、上記応力が各仮結合部38における中間部分の特定の箇所に集中して加わるのを抑制し、上側の端末45よりも早く同中間部分が破断するのを抑制することができる。
そのため、各仮結合部38の中間部分を緩やかに変化する形状とし、同形状が急激に変化するものに比べ、同仮結合部38の中間部分を縫製により容易に形成することができる。
そのため、結合状態の解除を左右の両仮結合部38においてバランスよく行なうことができる。
<仮結合部38について>
・各仮結合部38は、乗員側布部32及び車体側布部31を接着剤で接着させることにより形成されたものであってもよい。この場合には、膨張用ガスによる上流側膨張部41の膨張に伴い、接着部分が破断されて乗員側布部32及び車体側布部31が剥離されることにより、仮結合部38による結合状態の解除が行なわれる。
・両上側の端末45を対応する上側の連通路43に面した状態で互いに指向させ、両下端部48に湾曲部48aを形成することのみをもって、各仮結合部38による結合状態を上側の端末45から下側の端末46に向けて解除できる場合には、両上側の端末45間の間隔D1は、両湾曲部48a間の間隔D2と同一、又は広く設定されてもよい。
・上記実施形態とは逆に、強度の低い縫合糸T1が乗員側布部32側に配置され、強度の高い縫合糸T2が車体側布部31側に配置されてもよい。
・縫合糸T1,T2として、同等の強度を有するものが用いられてもよい。
・上記車両用エアバッグは、ステアリングホイール用のエアバッグ装置20とは異なるエアバッグ装置、例えば助手席用エアバッグ装置のエアバッグに適用可能である。
(A)請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用エアバッグにおいて、前記両仮結合部は、互いに強度の異なる縫合糸を上糸及び下糸として用いて前記車体側布部及び前記乗員側布部を縫合することにより形成されている。
(B)請求項1〜3及び上記(A)のいずれか1つに記載の車両用エアバッグにおいて、前記仮結合部の中間部分は湾曲状に形成されている。
Claims (3)
- 膨張用ガスにより膨張する膨張部を備え、膨張完了時に車体側に配置される車体側布部と、膨張完了時に乗員側に配置される乗員側布部とを、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部で結合することにより前記膨張部が形成された車両用エアバッグにおいて、
前記周縁結合部よりも内側には、互いに左右方向に離間した箇所でそれぞれ略上下方向に延びて前記車体側布部及び前記乗員側布部を前記周縁結合部よりも低い強度で結合し、前記膨張部を上流側膨張部と、その左右両側の下流側膨張部とに区画する一対の仮結合部が設けられ、
前記各仮結合部の上端部と前記周縁結合部との間、及び前記各仮結合部の下端部と前記周縁結合部との間には、前記上流側膨張部及び前記各下流側膨張部を連通させる連通路がそれぞれ形成され、
さらに、前記各仮結合部は、前記上流側膨張部の膨張に伴い前記仮結合部による結合状態が上側の端末から下側の端末に向けて解除されるように設けられていることを特徴とする車両用エアバッグ。 - 前記両上側の端末は、対応する上側の前記連通路に面した状態で互いに指向しており、前記各下端部は、前記上流側膨張部及び前記下流側膨張部の境界部分に湾曲部を有している請求項1に記載の車両用エアバッグ。
- 前記両上側の端末間の間隔は、前記両湾曲部間の間隔よりも狭く設定されている請求項2に記載の車両用エアバッグ。
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