JP3991736B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両衝突時に展開して自動車等の乗員の保護を行なうエアバッグに関する。好適には、本発明は、エアバッグが素早くステアリングの外方にまで展開するように改良された運転席用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のステアリングに設けられる運転席用エアバッグ装置は、車両衝突等の緊急時において、インフレータから放出されるガスの圧力により急速にエアバッグを膨張(展開)させて乗員を保護するものである。
【0003】
上記の運転席用エアバッグ装置においては、インフレータが作動したときに、エアバッグが乗員に対し側方(上下及び左右方向)に急速に展開することが好ましい。
【0004】
第11図は運転席用エアバッグ10の展開した状態を示す斜視図であり、それぞれ円形の布よりなるフロントパネル14とリヤパネル12との周縁部を縫い合わせることによりエアバッグが構成されている。リヤパネル12の中央には、インフレータの先端側を受け入れるための開口16が設けられている。この開口16の周囲には、エアバッグ10をリテーナに取り付けるためのボルト等の取付部材の挿通用の小開口(挿通孔)18が設けられている。リヤパネル12には、運転手がエアバッグ10に突っ込んできたときにエアバッグ10内の気体を逃がすためのベントホール20が設けられている。
【0005】
このエアバッグ10が前方へ向って突き出すように展開するのを防止するために、フロントパネル14とリヤパネル12とがテザーベルト(tether belt , 吊り紐)によって連結されることがある。
【0006】
このエアバッグ10及びインフレータがリテーナに取り付けられ、バッグ本体をモジュールカバーで覆うことによりエアバッグ装置が構成される。インフレータからのガスによってエアバッグ10が展開するときには、モジュールカバーが開裂する。このエアバッグ展開時にテザーベルトがピンと張ることにより、フロントパネル14がそれ以上前進することが阻止される。
【0007】
特開平8−198049号には、テザーベルトとして比較的短い第1のテザーベルトと、比較的長い第2のテザーベルトとを設けると共に、該第1のテザーベルトに低強度部を設けたエアバッグ装置が記載されている。このエアバッグ装置にあっては、インフレータが作動すると、まず第1のテザーベルトがピンと張りエアバッグがステアリングの外方にまで広がる。エアバッグの周縁部がステアリングの外方にまで十分に広がった後は、インフレータからのガスがフロントパネルの中央附近をリヤパネル中央附近から遠ざけるように前方に押圧し、第1のテザーベルトが断裂する。これにより、第2のテザーベルトがピンと張った状態となるまでフロントパネルが前進し、最終展開形状となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インフレータの作動によりエアバッグが膨張を開始した後にテザーベルトが破断するかもしくはテザーベルトの長さが増大するエアバッグ装置であって、乗員の体格に応じてこのテザーベルトの破断又は長さ増大が行われるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)のエアバッグ装置は、乗員に対面するフロント部及びそれと反対側のリヤ部を有したエアバッグ本体と、該エアバッグ本体の該フロント部とリヤ部とを繋いでいる第1のテザーベルトと、該エアバッグ本体の該フロント部とリヤ部とを繋いでいる該第1のテザーベルトよりも長さの大きい第2のテザーベルトと、該エアバッグを膨張させるインフレータと、衝突信号により該インフレータを作動させるインフレータ制御手段と、を有するエアバッグ装置において、乗員の体格の検出手段と、該検出手段で検出された体格が所定体格よりも大きい場合には、前記インフレータの作動時に該第1のテザーベルトの強度を低下させて破断させる強度低下手段と、を備えたエアバッグ装置であって、該強度低下手段は、前記インフレータの噴出ガスを第1のテザーベルトに当てて第1のテザーベルトの強度を低下させるものであることを特徴とするものである。
【0010】
かかるエアバッグ装置にあっては、乗員の体が小さいときには、インフレータが作動すると、第1のテザーベルトがピンと張った状態(以下、第1ステージということがある。)になり、エアバッグが側方に素早く膨張する。この場合、エアバッグの膨張厚みが小さなものとなるが、乗員の体格が小さいので、乗員を十分に受け止めることができる。
【0011】
乗員の体格が大きいときには、第1ステージに至る前、又は第1ステージの直後に第1のテザーベルトが破断し、第2のテザーベルトがピンと張るまでエアバッグのフロント部が前進し、最終展開形状(以下、第2ステージということがある。)となる。この第2ステージでは、エアバッグの厚みが十分に大きくなるまで膨張するので、体格の大きな乗員であっても十分に受け止めることができる。
【0012】
なお、この第2ステージでは、第1のテザーベルトが破断したことによりエアバッグの内容積が増大するが、第1及び第2のガス発生部の双方からエアバッグ内に十分にガスが供給されるので、エアバッグは早期のうちに膨張を完了することができる。
【0013】
本発明では、この第1のテザーベルトの強度を低下させて破断させる手段は、インフレータの噴出ガスを第1のテザーベルトに当ててその熱により第1のテザーベルトの強度を低下させるものなので、構成が簡便である。
【0014】
この場合、インフレータは第1のガス発生部と第2のガス発生部とを備えており、前記インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも小さいときには第1のガス発生部のみを作動させるか又は第1のガス発生部の作動後、所定時間遅延させて第2のガス発生部を作動させるものであると共に、該インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも大きいときには第1及び第2のガス発生部を全く又はほぼ同時に作動させるものであり、該エアバッグが該第1及び第2のガス発生部からのガスにより膨張するときに該第2のガス発生部からのガスが第1のテザーベルトに吹き付けられて第1のテザーベルトの強度が低下するよう構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0015】
このエアバッグ装置にあっては、第1のガス発生部のみが作動したときには、エアバッグは第1ステージまで膨張する。乗員の体格が大きいときには、第1のガス発生部と全く又はほぼ同時に第2のガス発生部も作動し、第2のガス発生部からのガスが第1のテザーベルトに吹き付けられて第1のテザーベルトの強度が低下し、第1のテザーベルトが破断する。このように、このエアバッグ装置にあっては、第2のガス発生部が作動した場合にはその噴出ガスにより第1のテザーベルトが確実に破断する。
【0016】
本発明(請求項7)のエアバッグ装置は、乗員に対面するフロント部及びそれと反対側のリヤ部を有したエアバッグ本体と、該エアバッグ本体の該フロント部とリヤ部とを繋いでいるテザーベルトと、該エアバッグを膨張させるインフレータと、衝突信号により該インフレータを作動させるインフレータ制御手段と、を有するエアバッグ装置において、乗員の体格の検出手段と、該検出手段で検出された体格が所定体格よりも大きい場合には、前記インフレータの作動時に該テザーベルトの長さを増大させる長さ増大手段と、を備えたエアバッグ装置であって、前記テザーベルトは、その長さを短くするように途中部分同士が結合手段によって結合されており、前記インフレータは第1のガス発生部と第2のガス発生部とを備えており、前記インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも小さいときには第1のガス発生部のみを作動させるか又は第1のガス発生部の作動後、所定時間遅延させて第2のガス発生部を作動させるものであると共に、該インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも大きいときには第1及び第2のガス発生部を全く又はほぼ同時に作動させるものであり、該エアバッグが該第1及び第2のガス発生部からのガスにより膨張するときに該第2のガス発生部からのガスがテザーベルトの前記途中部分に吹き付けられて結合手段の結合が熱により解除され、テザーベルトの長さが増大することを特徴とするものである。
【0017】
かかるエアバッグ装置にあっては、乗員の体が小さいときには、インフレータが作動すると、テザーベルトが長さの短い状態にてピンと張った第1ステージの膨張状態となり、エアバッグが素早く側方に展開する。この場合、エアバッグの膨張厚みが小さなものとなるが、乗員の体格が小さいので、乗員を十分に受け止めることができる。
【0018】
乗員の体格が大きいときには、第1ステージに至る前、又は第1ステージの直後にテザーベルトの長さが増大し、長いテザーベルトがピンと張るまでエアバッグのフロント部が前進し、第2ステージの膨張状態となる。この第2ステージでは、エアバッグの厚みが十分に大きくなるまで膨張するので、体格の大きな乗員であっても十分に受け止めることができる。
【0019】
なお、かかるエアバッグ装置にあっても、第2ステージにおいてテザーベルトの長さが増大したことによりエアバッグの内容積が増大するが、第1及び第2のガス発生部の双方からエアバッグ内に十分にガスが供給されるので、エアバッグは極めて早期のうちに膨張を完了することができる。
【0020】
このエアバッグ装置にあっては、テザーベルトは、その長さを短くするように途中部分同士が結合手段によって結合されており、前記インフレータは第1のガス発生部と第2のガス発生部とを備えており、前記インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも小さいときには第1のガス発生部のみを作動させるか又は第1のガス発生部の作動後、所定時間遅延させて第2のガス発生部を作動させるものであると共に、該インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも大きいときには第1及び第2のガス発生部を全く又はほぼ同時に作動させるものであり、該エアバッグが該第1及び第2のガス発生部からのガスにより膨張するときに該第2のガス発生部からのガスがテザーベルトの前記途中部分に吹き付けられて結合手段の結合が熱により解除され、テザーベルトの長さが増大するよう構成されている。
【0021】
このエアバッグ装置にあっては、第1のガス発生部のみが作動したときには、エアバッグは第1ステージまで膨張する。乗員体格が大きいときには、第1のガス発生部と全く又はほぼ同時に第2のガス発生部も作動し、第2のガス発生部からのガスがテザーベルトに吹き付けられてテザーベルトの結合部分の結合強度が低下して結合が解除され、テザーベルトの長さが増大する。このように、このエアバッグ装置にあっては、第2のガス発生部が作動した場合にはその噴出ガスの熱によりテザーベルトの結合が解除され、その長さが確実に増大する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0023】
第1図は実施の形態に係るエアバッグ30の断面斜視図である。このエアバッグ30は、それぞれ布製のフロントパネル32とリヤパネル34との周縁部を糸38で縫着してなるバッグ本体36と、フロントパネル32の中央附近とリヤパネル34の中央附近とをつなぐ第1のテザーベルト40及び第2のテザーベルト42とを備えている。この第2のテザーベルト42は第1のテザーベルト40よりも長さが大きい。
【0024】
フロントパネル32の中央附近には2枚の補強布44,46が糸48で縫着されている。第1のテザーベルト40はこの補強布44と一つづきとなっている。第2のテザーベルト42は補強布46と一つづきとなっている。なお、各1本のテザーベルト40,42を1枚の補強布44と一つづきとなるようにし、残りの各1本のテザーベルト40,42をもう1枚の補強布46と一つづきとなるようにしても良い。また、一部又はすべてのテザーベルトを縫合によりフロントパネル32に結合してもよい。
【0025】
リヤパネル34の中央附近にはインフレータ係合用開口50が設けられ、該開口50の周縁に環状の補強布52,54が糸55,56により縫着されている。補強布52,54及びリヤパネル34を貫通するように挿通孔58が設けられている。この挿通孔58は開口50の周囲に等間隔で設けられている。
【0026】
第2のテザーベルト42の後端は糸60によって補強布52に縫着されている。
【0027】
第1のテザーベルト40の後端はリヤパネル34及びフロントパネル32のいずれにも接合されておらず、フリーとなっている。この第1のテザーベルト40の後端には挿入孔62が設けられている。
【0028】
この第1のテザーベルト40には、両側にノッチ66を設けることにより低強度部68が形成されている。なお、図にはV字形のノッチ66が示されているが、半円形ノッチなど、他の形状のノッチであっても良い。
【0029】
2本の第1のテザーベルト40,40は開口50を挟んで直径方向に対峙しており、2本の第2のテザーベルト42,42も開口50を挟んで直径方向に対峙している。テザーベルト40,42は開口50の周囲に90°毎に設けられている。
【0030】
第2図は本発明の実施の形態に係るエアバッグ取付構造を示す分解斜視図であり、第1図のエアバッグ30をリテーナ70に対し、リング(押えリング)72によって取り付けた状態を示している。第3図は第2のテザーベルトの後端の取付構造を示す断面図である。第4,5図はエアバッグ装置の作動を示す断面図である。
【0031】
本実施の形態においては、押えリング72にスタッドボルト74が設けられている。
【0032】
リテーナ70には、インフレータ取付口78の周縁部分に前記スタッドボルト74が挿通されるボルト孔80が穿設されている。
【0033】
インフレータ86には、インフレータ取付口78の周縁部に重なるフランジ88が設けられ、該フランジ88には、スタッドボルト74が挿通されるボルト孔90が設けられている。このインフレータ86には、下段側に第1のガス発生部86Aが設けられ、上段側に第2のガス発生部86Bが設けられている。この第2のガス発生部86Bは、第3図の如く第1のテザーベルト40を指向するように配置されている。第1のガス発生部86Aはいずれのテザーベルト40,42も指向しないように配置されている。
【0034】
エアバッグ30は、インフレータ係合用開口50がリテーナ70のインフレータ取付口78と同心状となるようにリテーナ70上に配置され、更にその上側から押えリング72が重ね合わされる。この際、スタッドボルト74を第1のテザーベルト40の挿入孔62,62と、エアバッグ30の挿通孔58、リテーナ70のボルト孔80及びフランジ88のボルト孔90に挿通する。その後、このスタッドボルト74にナット92を締め込んで押えリング72をリテーナ70に固定し、該押えリング72とリテーナ70との間にエアバッグ30の開口50の縁部を挟持する。
【0035】
このようにエアバッグ30及びインフレータ86をリテーナ70に取り付けた後、エアバッグ30を折り畳み、モジュールカバー94(第4,5図)を被せ、該モジュールカバー94をリテーナ70に固定することによりエアバッグ装置が完成する。なお、第2図のリテーナ70には、モジュールカバー94の取付用のブラインドリベットを挿通させるための孔96が示されている。
【0036】
図示はしないが、このエアバッグ装置が設置されるステアリング後方の運転席には、着座した乗員の体格を検出する体格センサとして体重センサが設けられている。なお、体重センサの代りにCCDカメラ等によって乗員を撮像し、データ解析して体格を検出するようにしてもよく、また、その他の体格検出センサを用いてもよい。
【0037】
この体重センサはインフレータ制御回路に接続されている。このインフレータ制御回路には衝突検知手段も接続されている。
【0038】
インフレータ86には、第1のガス発生部86Aに通じた第1燃焼部と第2のガス発生部86Bに通じた第2燃焼部とが設けられ、各燃焼部は隔壁により隔別されている。各燃焼部にはそれぞれ点火器が設けられており、各点火器にそれぞれインフレータ制御回路から点火用電流が給電されるよう構成されている。
【0039】
この実施の形態では、乗員の体重が所定値(例えば50kg)よりも小さいときには、インフレータ制御回路は第1燃焼部の点火器にのみ点火信号を与え、乗員の体重が所定値以上であるときには、インフレータ制御回路から第1及び第2燃焼部の点火器にそれぞれ点火用電流が通電される。
【0040】
乗員の体重が所定値よりも小さい場合において、自動車の衝突が検知されると、第1のガス発生部86Aのみからガスが噴出し、エアバッグ30はモジュールカバー94を押し開けて膨張する。この場合、エアバッグ30は第1のテザーベルト40がピンと張った状態となり、ガスの多くがエアバッグ30内で側方に向って流れ、エアバッグ30は側方に素早く膨張する。
【0041】
この膨張したエアバッグ30に乗員が受け止められて保護される。この場合、第4図の通りエアバッグ30の膨張厚みは比較的小さいが、乗員の体重が少ないので、乗員の運転エネルギーは小さく、第4図の状態のエアバッグ30によって十分に衝撃が吸収される。
【0042】
乗員の体格が大きい場合に衝突が検知されると、インフレータ制御回路はインフレータ86の第1及び第2燃焼部の各点火器にそれぞれ通電し、ガス発生部86A,86Bの双方からガスを噴出させる。これにより、モジュールカバー94が開裂し、エアバッグ30が展開を開始する。展開初期(第1ステージ)においては、第4図の通り第1のテザーベルト40がフロントパネル32とリヤパネル34とをつないでおり、エアバッグ30はステアリング98の外方にまで急速に展開する。
【0043】
第2のガス発生部86Bのガスは、第1のテザーベルト40の低強度部68に吹き付けられ、この部分の強度が低下する。第1ステージの間にエアバッグ30内のガス圧が高まり、フロントパネル32が前方に強く押圧されることにより第1のテザーベルト40の低強度部68に所定以上の引張強度が負荷され、これにより低強度部68が断裂する。この結果、第2のテザーベルト42がピンと張るまでフロントパネル32が前進し、第5図に示す展開完了状態(第2ステージ)となる。
【0044】
なお、ガス発生部86A,86Bの双方から全く同時にガスを噴出させると、第1のテザーベルト40の低強度部86は第1ステージに至る前に断裂する。このとき、エアバッグ30はステアリング98の外方にまで展開することなく、速やかに第2ステージまで膨張を完了することができる。
【0045】
このように、このエアバッグ装置においては、乗員の体格が大きいときにはエアバッグ膨張時に第1のテザーベルト40が断裂し、フロントパネル32が前進し、十分に大きな厚みとなるので、体格の大きい乗員でも十分に受け止めて衝撃を吸収することができる。なお、第2ステージにおいては、フロントパネル32は第2のテザーベルト42がピンと張る位置にて停止するため、運転席乗員に過度に接近することがない。また、この第2ステージでは、第1のテザーベルト40が断裂したことによりエアバッグ30の内容積が増大するが、第1及び第2のガス発生部86A,86Bの双方からエアバッグ30内に十分にガスが供給されるので、エアバッグ30は早期のうちに膨張を完了することができる。
【0046】
上記実施の形態では第1のテザーベルト40にノッチ66を設けることにより低強度部68を形成しているが、第6図のテザーベルト40Aの如くスリット40aを設けることにより低強度部を形成してもよい。
【0047】
また、第7図,第8図のテザーベルト40B,40Cのように、テザーベルト40B,40Cを途中で分断し、一方のベルト40B’,40C’と他方のベルト40B"、40C"とを熱可塑性樹脂等の低耐熱性材料よりなるリベット40b又は糸40cにより結合してもよい。
【0048】
第9,10図は本発明(請求項7)の実施の形態に係るエアバッグ装置の説明図であり、それぞれ前記第1図,第3図と同様部分の構成を示している。
【0049】
この実施の形態のエアバッグ30Aでは、テザーベルト40,42の代りに1種類のテザーベルト110のみが設けられている。このテザーベルト110は長手方向の途中部分を折り重ね、この折り重ねた部分同士を低耐熱性材料よりなる糸120によって縫合したものである。
【0050】
第2のガス発生部86Bからの噴出ガスがこの折り重ね部分に吹き付けられることにより糸120が強度低下して断裂し、これによりテザーベルト110の長さが増大する。フロントパネル32とリヤパネル34との間にはこのテザーベルト110以外のテザーベルトは設けられていない。テザーベルト110は2本以上設けられることが好ましい。
【0051】
インフレータ86の第2のガス発生部86Bは、エアバッグ30Aが膨張した状態においてこの折り重ね部分を指向するよう配置されている。第1のガス発生部86Aはテザーベルト110を指向しないように配置されている。
【0052】
このエアバッグ30Aのその他の構成は前記エアバッグ30と同一である。
【0053】
このエアバッグ30Aを有するエアバッグ装置においても、インフレータ86の制御装置は乗員の体格に応じてインフレータ86を点火作動させる。
【0054】
乗員の体格が小さい場合に衝突が検知されると、第1のガス発生部86Aのみからガスが噴出し、エアバッグ30Aは、テザーベルト110がピンと張った第1ステージまで膨張する。この第1ステージにあってはエアバッグ30Aは側方に急速に膨張する。乗員の体格が小さいときには、第2のガス発生部86Bからはガスは噴出しないので、この第1ステージがエアバッグ30Aの最終展開形状となる。
【0055】
乗員の体格が大きい場合に衝突が検知されたときには、インフレータ86の第1及び第2のガス発生部86A,86Bの双方からガスが噴出する。この場合には、エアバッグ30Aはまず上記第1ステージの間に側方に素早く膨張する。この第1ステージの間に、糸120が第2のガス発生部86Bの噴出ガスの熱により強度低下して断裂し、テザーベルト110の長さが増大する。これにより、エアバッグ30Aは第2ステージまで膨張し、体格の大きな乗員を受け止める。
【0056】
なお、ガス発生部86A,86Bの双方から全く同時にガスを噴出させると、糸120は第1ステージに至る前に断裂する。このとき、エアバッグ30Aはステアリング98の外方にまで展開することなく、速やかに第2ステージまで膨張を完了することができる。
【0057】
この実施の形態においても、第2ステージでは、テザーベルト110の長さが増大したことによりエアバッグ30Aの内容積が増大するが、第1及び第2のガス発生部86A,86Bの双方からエアバッグ30A内に十分にガスが供給されるので、エアバッグ30Aは早期のうちに膨張を完了することができる。
【0058】
なお、上記いずれの実施の形態においても、乗員の体格が小さい場合、最初に第1のガス発生部86Aからガスを噴出させ、それから少し遅れて(例えば30msec以内に)第2のガス発生部86Bからガスを噴出させるようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のエアバッグ装置によると、乗員の体格が大きいときには、エアバッグは厚みを増大させるように膨張し、乗員に加えられる衝撃を十分に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るエアバッグの断面斜視図である。
【図2】実施例に係るエアバッグのリテーナへの取付構造を示す分解斜視図である。
【図3】実施例に係るエアバッグのリテーナへの取付構造を示す要部断面図である。
【図4】実施例に係るエアバッグを備えたエアバッグ装置の初期展開状態を示す断面図である。
【図5】実施例に係るエアバッグを備えたエアバッグ装置の後期展開状態を示す断面図である。
【図6】第1のテザーベルトの別の構造例を示す構成図であり、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。
【図7】第1のテザーベルトの別の構造例を示す構成図であり、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。
【図8】第1のテザーベルトの別の構造例を示す構成図であり、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。
【図9】別の実施の形態に係るエアバッグ装置のエアバッグを示す断面図斜視図である。
【図10】図9のエアバッグを備えたエアバッグ装置の要部縦断面図である。
【図11】エアバッグのリヤ側からの斜視図である。
【符号の説明】
30 エアバッグ
32 フロントパネル
34 リヤパネル
36 バッグ本体
40 第1のテザーベルト
42 第2のテザーベルト
62 挿入孔
66 ノッチ
68 低強度部
70 リテーナ
72 リング
74 ボルト
86 インフレータ
Claims (7)
- 乗員に対面するフロント部及びそれと反対側のリヤ部を有したエアバッグ本体と、
該エアバッグ本体の該フロント部とリヤ部とを繋いでいる第1のテザーベルトと、
該エアバッグ本体の該フロント部とリヤ部とを繋いでいる該第1のテザーベルトよりも長さの大きい第2のテザーベルトと、
該エアバッグを膨張させるインフレータと、
衝突信号により該インフレータを作動させるインフレータ制御手段と、
を有するエアバッグ装置において、
乗員の体格の検出手段と、
該検出手段で検出された体格が所定体格よりも大きい場合には、前記インフレータの作動時に該第1のテザーベルトの強度を低下させて破断させる強度低下手段と、
を備えたエアバッグ装置であって、
該強度低下手段は、前記インフレータの噴出ガスを第1のテザーベルトに当てて第1のテザーベルトの強度を低下させるものであることを特徴とするエアバッグ装置。 - 請求項1において、前記インフレータは第1のガス発生部と第2のガス発生部とを備えており、
前記インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも小さいときには第1のガス発生部のみを作動させるか又は第1のガス発生部の作動後、所定時間遅延させて第2のガス発生部を作動させるものであると共に、
該インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも大きいときには第1及び第2のガス発生部を全く又はほぼ同時に作動させるものであり、
該エアバッグが該第1及び第2のガス発生部からのガスにより膨張するときに該第2のガス発生部からのガスが第1のテザーベルトに吹き付けられて第1のテザーベルトの強度が低下することを特徴とするエアバッグ装置。 - 請求項2において、前記第1のテザーベルトのうち、該第2のガス発生部からのガスが吹き付けられる部分に、低強度部が設けられていることを特徴とするエアバッグ装置。
- 請求項3において、該低強度部は、該第1のテザーベルトの両側縁にノッチを設けることにより形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
- 請求項3において、該低強度部は、該第1のテザーベルトにスリットを設けることにより形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
- 請求項3において、該低強度部は、該第1のテザーベルトを途中で分断し、この分断された一方のベルトと他方のベルトとを低耐熱性材料よりなるリベット又は糸によって結合することにより形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
- 乗員に対面するフロント部及びそれと反対側のリヤ部を有したエアバッグ本体と、
該エアバッグ本体の該フロント部とリヤ部とを繋いでいるテザーベルトと、
該エアバッグを膨張させるインフレータと、
衝突信号により該インフレータを作動させるインフレータ制御手段と、
を有するエアバッグ装置において、
乗員の体格の検出手段と、
該検出手段で検出された体格が所定体格よりも大きい場合には、前記インフレータの作動時に該テザーベルトの長さを増大させる長さ増大手段と、
を備えたエアバッグ装置であって、
前記テザーベルトは、その長さを短くするように途中部分同士が結合手段によって結合されており、
前記インフレータは第1のガス発生部と第2のガス発生部とを備えており、
前記インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも小さいときには第1のガス発生部のみを作動させるか又は第1のガス発生部の作動後、所定時間遅延させて第2のガ ス発生部を作動させるものであると共に、
該インフレータ制御手段は、乗員の体格が所定体格よりも大きいときには第1及び第2のガス発生部を全く又はほぼ同時に作動させるものであり、
該エアバッグが該第1及び第2のガス発生部からのガスにより膨張するときに該第2のガス発生部からのガスがテザーベルトの前記途中部分に吹き付けられて結合手段の結合が熱により解除され、テザーベルトの長さが増大することを特徴とするエアバッグ装置。
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