JP5937731B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明の一実施形態はスパッタリングターゲットに係り、金属材料で成る接合材によってターゲット材と基材とが接合されるスパッタリングターゲットに関する。
スパッタリングによる薄膜形成に用いられるスパッタリングターゲット材は、これを支持する基材に張りあわされた状態でスパッタリング装置に装着される。代表的なスパッタリングターゲットは、板状に成形されたターゲット材を、同様に板状の支持基材(これは「バッキングプレート」とも呼ばれている。)に張り合わされた形態を有している。
スパッタリング装置に装着されたスパッタリングターゲットは、スパッタリングによる成膜時において減圧下に保持され、アルゴンガス等によるグロー放電プラズマ中で生成されたイオンが照射されてスパッタリングされる。ターゲット材はイオンが照射されることにより温度が上昇するため、スパッタリング装置にはスパッタリングターゲットの冷却機構が設けられている。冷却機構としては、支持基材の裏側に冷却水が流れるように構成されているものが多く採用されている。
ターゲット材と支持基材とは通常は材質が異なるため、両者を接合するために接合材が用いられる。接合材としては、インジウムやスズなどの融点が比較的低い金属材料が用いられている。
スパッタリングによる薄膜作製技術においては、マグネトロンスパッタリング法が主流である。マグネトロンスパッタリング装置に用いられる平板型のスパッタリングターゲットは、スパッタリングによりターゲット材が消耗するエロージョン領域が狭いため、ターゲット材の有効使用率は20%から30%程度であるとされている。これに対し、ターゲット材の形状を円筒型とした、円筒型スパッタリングターゲットが開発されている。
円筒型スパッタリングターゲットは、円筒状の基材の外周面に、筒型のターゲット材が装着された構造を有している。このような円筒型スパッタリングターゲットを回転させながらスパッタリング成膜を行うことにより、ターゲット材が消耗するエロージョン領域を広げ、ターゲット材の使用率の改善を図っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−018883号公報
スパッタリングターゲットは、ターゲット材と基材とを、接合材により貼り合わせている。このとき、ターゲット材と基材との間に設ける接合材が均一に充填されず空隙ができてしまうと、接合強度が低下することになる。また、接合材に空隙が存在すると、その部位はターゲット材の熱が基材を介して拡散しにくくなるため、熱歪みによりターゲット材が破損する不具合が発生するおそれがある。
円筒型スパッタリングターゲットでは、円筒型基材と、これと同軸に配置される円筒型スパッタリングターゲット材との間に間隙部が設けられ、この間隙部に接合材が充填されて両者を固定する構造を有している。接合材が円筒型基材と円筒型スパッタリングターゲット材との間の間隙部にうまく充填されず空隙ができてしまうと接合不良となり、スパッタリング成膜中に円筒型スパッタリングターゲット材が空転したり、歪みが生じて割れたりする不具合が発生する。
特許文献1に記載された円筒型スパッタリングターゲットでは、接合材を充填した後、円筒軸方向の一端より冷却を開始し他端に向けて順次冷却し、冷却中にさらに溶融状態の接合材を供給することにより、一定の水準まで空隙の割合を減らすことができることが記載されている。
平板型のスパッタリングターゲットはスパッタリング装置内に装着されると静止した状態で使用されるが、円筒型スパッタリングターゲットはそれ自体が回転して使用されるため、接合材はそれに耐えうるだけの接合強度が要求される。また、円筒型スパッタリングターゲット材は、円筒型基材によって一軸状に保持されるため、自重による撓みや、熱的又は機械的な歪みが作用してもターゲット材が簡単に割れないように保持されている必要がある。しかしながら、接合材を単に円筒型基材と円筒型スパッタリングターゲット材との間に空隙ができないように充填するだけでは、これらの要求を満たすことができないことが問題となっている。
本発明は、このような問題に鑑み、円筒型スパッタリングターゲット材の割れを防ぎ、円筒型基材に安定して保持される、円筒型スパッタリングターゲットを提供することを目的の一つとする。
本発明の一実施形態によれば、金属で形成された基材と、基材の一面に設けられたスパッタリングターゲット材と、基材とスパッタリングターゲット材との間に設けられた接合材とを有し、接合材は、第1の金属元素と第2の金属元素を少なくとも含み、第2の金属元素は第1の金属元素に対して10ppm以上、5000ppm以下の濃度で含まれるスパッタリングターゲットが提供される。
本発明の一実施形態によれば、金属で形成された円筒型基材と、円筒型基材の外周面に同軸に設けられた円筒型スパッタリングターゲット材と、円筒型基材と前記円筒型スパッタリングターゲット材との間に設けられた接合材とを有し、接合材は、第1の金属元素と、第2の金属元素を少なくとも含み、第2の金属元素は第1の金属元素に対して10ppm以上、5000ppm以下の濃度で含まれるスパッタリングターゲットが提供される。
本発明の一実施形態において、第1の金属元素はインジウム(In)であり、第2の金属元素は銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)から選ばれた1種であることが好ましい。
本発明の一実施形態において、第1の金属元素はインジウム(In)であり、第2の金属元素は銅(Cu)であり、第2の金属元素としての銅(Cu)は第1の金属元素としてのインジウム(In)に対して2000ppm以上、5000ppm以下の濃度で含まれることが好ましい。
本発明の一実施形態において、第1の金属元素はインジウム(In)であり、第2の金属元素はチタン(Ti)であり、第2の金属元素としてのチタン(Ti)は第1の金属元素としてのインジウム(In)に対して18ppm以上、120ppm以下の濃度で含まれることが好ましい。
本発明の一実施形態において、第1の金属元素はインジウム(In)であり、第2の金属元素はニッケル(Ni)であり、第2の金属元素としてのニッケル(Ni)は第1の金属元素としてのインジウム(In)に対して44ppm以上、480ppm以下の濃度で含まれることが好ましい。
接合材は、1.1以上1.7以下のショア硬度を有し、ITO表面に対する接触角が15°以上25°未満であってもよい。
スパッタリングターゲット材が、セラミックス焼結体であり、例えば当該セラミックス焼結体が酸化インジウムを含むものであってもよい。基材の外側表面は、表面粗さ(Ra)の値が1.8μm以上であってもよい。
本発明の一実施形態によれば、スパッタリングターゲット材と基材を接合するために、少なくとも第1の金属元素と第2の金属元素を含み、第2の金属元素は第1の金属元素に対して百分の一以下の濃度で含まれる接合材を用いることで、スパッタリングターゲット材の割れを防ぎ、基材に安定して保持されるスパッタリングターゲットを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの構成を示す断面である。 本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの製造方法を説明する断面図である。 接合材のぬれ性を評価する方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
[円筒型スパッタリングターゲット]
図1は、本実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの構成を説明するための斜視図を示す。図2は、本実施形態に係るスパッタリングターゲットの構成を断面図で示す。
円筒型スパッタリングターゲット100は、円筒型スパッタリングターゲット材102と、当該円筒型スパッタリングターゲット材102を支持する円筒型基材104とを含んでいる。円筒型スパッタリングターゲット材102は、接合材106によって円筒型基材104に固定されている。接合材106は、円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104との間に設けられた間隙部を充填するように設けられている。
円筒型スパッタリングターゲット材102は、円筒型基材104の外周面を囲むように設けられている。円筒型スパッタリングターゲット材102は、円筒型基材104の中心軸に対して同軸または略同軸に設けられていることが好ましい。このような構成により、円筒型スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着して、円筒型基材104を中心に回転させたとき、円筒型スパッタリングターゲット材102と被成膜面(試料基板)との間隔を一定に保つことができる。
円筒型スパッタリングターゲット100は、円筒型基材104に対して複数の円筒型スパッタリングターゲット材102を装着するようにしてもよい。複数の円筒型スパッタリングターゲット材102を円筒型基材104に装着するとき、各円筒型スパッタリングターゲット材102は間隙をもって配置されていていることが好ましい。間隙は1mm以下であればよく、例えば、0.2mmから0.5mmであればよい。このように複数の円筒型スパッタリングターゲット材102を、間隙をもって配置することにより破損を防止することができる。
本実施形態によれば、複数の円筒型スパッタリングターゲット材102を接合材106によって円筒型基材104に接合させることで、長さ100mm以上の円筒型スパッタリングターゲットを提供することができる。
[円筒型スパッタリングターゲット材]
図1及び図2で示すように、円筒型スパッタリングターゲット材102は中空に成形されており、円筒形状を有している。円筒型スパッタリングターゲット材102は、少なくとも数ミリメートルから数十ミリメートルの肉厚を有し、この肉厚部分全体をターゲット材として利用することが可能である。円筒型スパッタリングターゲット材102の中空部分に円筒型基材104が挿入され、接合材106によって接合される。円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104とは密着して設けられるのではなく、両者は間隙をもって配置され、この間隙部を充填するように接合材106が設けられている。円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104とを安定的に保持するために、好ましくは当該間隙部において接合材106に空隙がないように設けられている。
円筒型スパッタリングターゲット材102は円筒の外側表面がターゲット表面となり、円筒の内側表面が円筒型基材104に面して接合材106に接する面となる。このため製造時においては、円筒型スパッタリングターゲット材102の外側表面が平滑に成形加工され、円筒の内側表面は接着性を高めるために粗面化されていてもよい。
円筒型スパッタリングターゲット材102は、スパッタリング成膜が可能な各種材料によって作製される。例えば、円筒型スパッタリングターゲット材102はセラミックスであってもよい。セラミックスとしては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物の焼結体などを適用することができる。金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ガリウムなど典型元素に属する金属の酸化物を適用することができる。具体的には、酸化スズを含む酸化インジウムの焼結体(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化亜鉛の焼結体(Zinc Oxide:ZnO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)、酸化インジウム・酸化亜鉛・酸化ガリウム(Indium Gallium Zinc Oxide:IGZO)の焼結体などを、円筒型スパッタリングターゲット材102として適用することができる。なお、上記の例示は一例であり、本発明に係るスパッタリングターゲットは、ターゲット材として各種スパッタリング材料を適用することができる。
[円筒型基材]
円筒型基材104は、中空構造を有する円筒型スパッタリングターゲット材102の内側表面に沿うような外面形状を有していることが好ましい。円筒型基材104の外径は、円筒型スパッタリングターゲット材102の内径よりも僅かに小さく、両者を同軸に重ねたときに間隙ができるように調整されている。この間隙部には、接合材106が設けられる。
円筒型スパッタリングターゲット材102はスパッタリングによる成膜時のイオンの照射により加熱されて温度が上昇する。スパッタリング成膜時において円筒型スパッタリングターゲット材102の温度上昇を抑制するために、円筒型基材104には円筒型スパッタリングターゲット材102の冷却機能を有していることが好ましい。例えば、円筒型基材104を中空構造として、冷媒が流れるように構成されていることが好ましい。このため、円筒型基材104は、スパッタリングターゲットの構成部材として、良好な導電性と熱伝導性を有していることが好ましい。
また、円筒型基材104は接合材とぬれ性がよく、高い接合強度が得られる金属が好ましく、例えば、銅(Cu)又はチタン(Ti)、若しくは銅合金又はチタン合金などで形成されていることが好ましい。例えば、銅合金としては、クロム銅などの銅(Cu)を主成分とする合金を適用することができる。また、円筒型基材104としてチタン(Ti)を用いれば、軽量で剛性のある基材とすることができる。
円筒型基材104は単体金属又は金属合金で形成されるのみならず、金属基材の表面に他の金属による被膜が設けられたものであってもよい。例えば、チタン(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などを含む金属被膜が形成されていてもよい。
円筒型スパッタリングターゲットは、スパッタリング時に円筒型スパッタリングターゲット材102の全面にイオンが照射されるのではなく、一部の面にのみイオンが照射されつつ回転するので、イオンの照射面とその裏側面では円筒型スパッタリングターゲット材102に温度差が生じることとなる。しかし、円筒型基材104が冷却機能を有していることで、その外側にある円筒型スパッタリングターゲット材102の温度上昇を抑制し、また温度差による熱歪みの影響を抑制することができる。
円筒型基材104は、接合材と接する表面側が粗面化されていてもよい。円筒型基材104の表面が粗面化されることで、接合材と接する表面積を大きくすることができる。例えば、円筒型基材104の表面はサンドブラスト処理などにより粗面化され、表面粗さ(Ra)の値が1.8μm以上の値を有していてもよい。
[接合材]
接合材106は、円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104の間に設けられている。接合材106は、円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104とを接合するが、その以外にも耐熱性と熱伝導性が良好であることが求められる。また、真空中でガス放出が少ない特性を有していることが要求される。また、製造上の観点から、接合材106は円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104を接合するときに流動性を有していることが好ましい。これらの特性を満足するために、融点が300℃以下の低融点金属材料が接合材106として用いられる。例えば、接合材106として、インジウム、スズなどの金属、またはこれらのうちいずれか一種の元素を含む金属合金材料が適用される。具体的には、インジウム又はスズの単体、インジウムとスズの合金、スズを主成分とするはんだ合金などを接合材106として用いられる。
本実施形態において、接合材106は複数種の金属元素を含んで構成される。この複数種の金属元素のうち、第1の金属元素は主たる構成元素として接合材106に含まれ、第2の金属元素は第1の金属元素よりも極めて低濃度で含まれる。ここでは、接合材106を構成する主たる金属元素を「第1の金属元素」とし、この第1の金属元素よりも微量に含まれる副次的な金属元素を「第2の金属元素」として区別しているが、第1の金属元素及び第2の金属元素は各1種の金属元素に限定されず、第1の金属元素群及び第2の金属元素群として、各群がそれぞれ複数種の金属元素を含んで構成されるものあってもよい。
本実施形態において、主成分として含まれる第1の金属元素(または第1の金属元素群)とは全体に占める割合が99重量%以上、100重量%未満を占める金属元素であり、第1の金属元素よりも低濃度で含まれる第2の金属元素(または第2の金属元素群)とは0.001重量%以上、0.5重量%以下(10ppm以上、5,000ppm以下)の割合で含まれる金属元素である。すなわち、第2の金属元素は、第1の金属元素に対して百分の一以下の濃度で含まれるものである。
また、不可避的に含まれる不純物元素とは前述の主たる金属元素及び微量金属元素を除き1ppm以下の濃度で含まれる元素をいう。これを別言すれば、接合材106は、第2の金属元素(または第2の金属元素群)を0.001重量%以上、0.5重量%以下(10ppm以上、5,000ppm以下)の割合で含み、それ以外を第1の金属元素(または第1の金属元素群)及び不可避的不純物から成っている。
別言すれば、第2の金属元素(または第2の金属元素群)は、これと第1の金属元素(または第1の金属元素群)及び不可避的に含まれる不純物元素の合計が100重量%を超えない範囲において、0.001重量%以上、0.5重量%以下(10ppm以上、5000ppm以下)の濃度で含まれていることが好ましい。
接合材106は、主成分として含まれる第1の金属元素(または第1の金属元素群)が円筒型スパッタリングターゲット材102に含まれる少なくとも1種の金属元素と同種の金属元素であることが好ましい。接合材106が、円筒型スパッタリングターゲット材102と同種の金属元素を含んで構成されることにより、例えば、複数の円筒型スパッタリングターゲット材102が円筒型基材104に装着された円筒型スパッタリングターゲットにおいて、円筒型スパッタリングターゲット材102の継ぎ目領域に接合材106が露出しても、スパッタリングにより被着した被膜への不純物汚染を防ぐことが可能となる。
接合材106は、第1の金属元素としてインジウム(In)又はスズ(Sn)などの金属が選択される。これらの金属は融点が300℃以下であるため、溶融した状態で円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104の間隙部108に流し込むことができる。また、接合材106は第1の金属元素群として把握されるように、インジウム(In)及びスズ(Sn)の双方が含まれていてもよい。
円筒型スパッタリングターゲット材102が酸化インジウムを含むセラミックスである場合、接合材106に主成分として含まれる第1の金属元素としてインジウムを適用することができる。また、円筒型スパッタリングターゲット材102が酸化インジウムと酸化スズを含むセラミックスである場合、接合材106に主成分として含まれる第1の金属元素として、インジウム又はスズ、若しくはインジウムとスズの合金を用いることができる。
このような接合材106に含まれる第2の金属元素としては、第1の金属元素とは異種の金属元素であり、例えば、遷移元素であることが好ましい。また、接合材106に含まれる第2の金属元素としては、円筒型基材104を構成する金属を同種の金属元素であることが好ましい。そのような第2の金属元素としてチタン(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)を適用することができる。
接合材106は、円筒型スパッタリングターゲット材102とのぬれ性が高いと、円筒型基材104との間隙に充満させることが容易となり、接着不良となる空隙が残留しにくくなる。
また、接合材106は、スパッタリングに必要な導電性と熱伝導性の他に、衝撃吸収性(緩衝材効果)を有していることが好ましい。円筒型スパッタリングターゲット材102がセラミックスの場合には外力が作用すると割れやすくなる。このとき接合材106が円筒型スパッタリングターゲット材及び円筒型基材と同程度の硬度を有していると衝撃を吸収できない。しかし円筒型スパッタリングターゲット材及び円筒型基材よりも硬度が低ければ、両者の間に設けられる接合材106は緩衝材となり、衝撃を緩和することができる。
本実施形態において接合材106に含まれる第2の金属元素(または第2の金属元素群)は、少なくとも接合材106のぬれ性及び硬度を一定の範囲内に調整できる濃度で含まれていることが好ましい。例えば、第2の金属元素(または第2の金属元素群)を0.001重量%以上、0.5重量%以下(10ppm以上、5000ppm以下)の割合で含み、それ以外を第1の金属元素(または第1の金属元素群)及び不可避的不純物でなるようにすることで、接合材106のぬれ性及び硬さを所定の範囲に制御することができる。例えば、第2の金属元素が銅(Cu)である場合、0.2重量%以上、0.5重量%以下(2000ppm以上、5000ppm以下)の範囲で接合材に含まれていることが好ましい。また、第2の金属元素がチタン(Ti)である場合、0.0018重量%以上、0.012重量%以下(18ppm以上、120ppm以下)の範囲で接合材に含まれていることが好ましい。さらに、第2の金属元素がニッケル(Ni)である場合、0.0044重量%以上、0.048重量%以下(44ppm以上、480ppm以下)の範囲で接合材に含まれていることが好ましい。
接合材106は金属材料であるため、少なくとも金属酸化物などの異種材料で形成される円筒型スパッタリングターゲット材102とのぬれ性が悪いと、円筒型スパッタリングターゲット材と円筒型基材との間に充填してときに空隙が出来やすくなってしまう。接合材106のぬれ性は、円筒型スパッタリングターゲット材102に対する接合材106の接触角で評価することができる。すなわち、ぬれ性が高い場合は接触角が小さくなり、逆にぬれ性が悪い場合は接触角が大きくなる。本実施形態において、接合材106に含まれる第2の金属元素は、当該第2の金属元素を含まない場合に比べて接触角を40%改善(小さく)できる濃度範囲で含まれていることが望ましい。すなわち、接触角として15°以上25°以下であることが好ましい。このような数値範囲であれば、円筒型スパッタリングターゲット材102と円筒型基材104との間の間隙部に、接合材106を、空隙を含むことなく充填することができる。
また、接合材106は円筒型基材104に円筒型スパッタリングターゲット材102を接合し保持させるために所定の硬度を有している必要がある。しかし接合材106が硬すぎると緩衝材としての機能が低下してしまう。本実施形態において接合材106の硬度は、ショア硬度で表せば1.0以上を有していることが望ましく、1.0以上1.5以下のショア硬度を有していることが好ましい。ショア硬度をこの範囲とすることにより、スパッタリングターゲットの割れを防ぐことができる。
なお、本実施形態では接合材106の硬度をショア硬度で示しているが、ロックウェル硬度、ブリネリル硬度、ビッカース硬度など他の硬度に換算したときに、同程度の硬さの範囲にあればよい。
また、不可避的に含まれる不純物元素としては、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、リン(P)、硫黄(S)などの元素であり、これらの元素は10ppm、好ましくは1ppm以下の濃度で含まれていることにより、接合材106の特性に影響を与えないようにすることができる。
図3は、円筒型スパッタリングターゲット材102を円筒型基材104に接合する方法を示す。円筒型基材104に、中心軸が同軸または略同軸となるように円筒型スパッタリングターゲット材102を挿入する。円筒型基材104と円筒型スパッタリングターゲット材102とは、両者の間には間隙部108が設けられるように配置される。接合材106がこの間隙部108に流れ込むように、少なくとも当該間隙部108は減圧に保持されていることが好ましい。或いは、間隙部108に窒素ガス又は不活性ガスを流して空気と置換するようにしてもよい。いずれにしても溶融状態で供給される接合材の酸化を防ぐようにしておくことが好ましい。
接合材106は、円筒型基材104と円筒型スパッタリングターゲット材102を直立させた状態で、間隙部108の下側から供給される。円筒型基材104及び円筒型スパッタリングターゲット材102の周囲にはヒータ110が設けられている。接合材106を充填するときは、円筒型基材104及び円筒型スパッタリングターゲット材102付近の温度が、接合材106の融点以上の温度に加熱されている。温度の均一化を図るために、円筒型基材104の内側、すなわち中空部分に熱風を送り内側からも加熱されるようにしてもよい。
ヒータ110は、加熱ゾーンを複数に分け、それぞれの加熱ゾーンを個別に温度制御するようにしてもよい。例えば、接合材106を間隙部108に充填して冷却するとき、円筒型スパッタリングターゲット材102の長手方向において、一方から他方に向けて冷却されるようにしてもよい。このように温度制御をすることで、接合材106に空隙(気泡)の残留、溶融固化領域が重なりあってウェルドの生成を防ぐことができる。
なお、接合材106を充填する際には、円筒型スパッタリングターゲット材102の内面と円筒型基材104の外面に接合材106と同じ又は類似の被膜を設けておいても良い。この被膜はウェルダー処理によって設けることが可能である。
円筒型スパッタリング材を円筒型基材に固定するために用いる接合材は、空隙だけでなく接合材そのものの物性値が接合強度に影響する。接合材はぬれ性が高い程、接着強度が高まると考えられる。接合材のぬれ性は、本実施形態で述べる第2の金属元素(または第2の金属元素群)の含有量の増加に応じて高まる一方、その含有量が高すぎると硬化して対衝撃性が劣化する。本実施形態で示すように、第2の金属元素としては、少なくとも、チタン(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)が選択され、これらの金属元素は不可避的に含まれる不純物元素よりも高濃度であって、本実施形態で示すように、第2の金属元素(または第2の金属元素群)は、第1の金属元素(または第1の金属元素群)に対し0.001重量%以上、0.5重量%以下(10ppm以上、5000ppm以下)の濃度で含まれることが好ましい。
接合材106に含まれる第2の金属元素として、円筒型基材104を構成する金属と同種の金属が含まれていてもよい。円筒型基材104と同種の金属元素を含むことで、ぬれ性を高めることが可能となる。また、接合材106として接着強度を高めることができる。
本実施形態における接合材は、主成分として含まれる第1の金属元素(または第1の金属元素群)に加え、円筒型基材を構成する金属と同種の金属元素である第2の金属元素(または金属元素群)を含むことによりぬれ性を高めることができ、空隙ができるのを防ぐことができる。
[平板型スパッタリングターゲット]
上記では円筒型スパッタリングターゲット材について説明しているが、本発明はこれに限定されず、平板型スパッタリングターゲット材についても適用することができる。すなわち、平板状の基材(バッキングプレート)に平板型スパッタリングターゲットを接合するときに、本実施形態における接合材を用いることができる。
平板型スパッタリングターゲット材として、金属及びセラミックスなどのスパッタリング可能な各種材料を適用することができる。セラミックスとしては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物の焼結体などを適用することができる。金属酸化物としては、ITO、ZnO、IZO、IGZOなどの焼結体を平板型スパッタリングターゲットとして用いることができる。
平板型スパッタリングターゲットにおいても本実施形態に係る接合材を用いることにより、接合材のぬれ性を高めることができ、ショア硬度を前述した所定の範囲内とすることができる。それにより、平板型基材に平板状のスパッタリングターゲットを接合するときに、接合材に空隙ができるのが抑制され、接合後においてはスパッタリングターゲットの割れを防ぐことができる。
接合材としてインジウム(In)を用いた場合に、それに含まれる金属成分量に対する接触角を評価した結果を示す。接合材を構成する金属元素としてインジウム(In)を用い、含有する成分が異なる6種類の試料を準備した。
試料1は純度99.99%のインジウム(In)であり、試料2は銅(Cu)を2000ppm含有するインジウム(In)であり、試料3は銅(Cu)を5000ppm含有するインジウム(In)であり、試料4は銅(Cu)を7000ppm含有するインジウム(In)であり、試料5は銅(Cu)を10000ppm含有するインジウム(In)であり、試料6はチタン(Ti)を890ppm含有するインジウム(In)である。
本実施例において、インジウム(In)は、接合材を構成する第1の金属元素に相当し、銅(Cu)及びチタン(Ti)は第2の金属元素に相当するものである。
下地面には各試料と同種の金属をITO面に塗布した状態で評価した。この下地面はターゲットの表面に超音波ウェルダー処理をして接合材と同種の金属を塗布した状態を想定している。
接触角θは、図4に示すように、各下地面に試料を接触させたときの液滴の高さ:aと、中心までの距離:b/2から次式(1)で求めた。
各試料を評価した結果を表1に示す。試料1は接合材としてインジウム(In)を用いた場合の結果を示し、25.9°の接触角が得られている。これに対し、銅(Cu)を2000ppm含む試料2では16.7°、銅(Cu)を5000ppm含む試料3では16.4°、銅(Cu)を7000ppm含む試料4では19.4°、銅(Cu)を10000ppm含む試料5では12.8°の接触角がそれぞれ得られている。また、チタン(Ti)を890ppm含む試料6では24.4°の接触角が得られている。
本実施例によれば、接合材として、第1の金属元素に相当するインジウム(In)に対し、第2の金属元素に相当する銅(Cu)又はチタン(Ti)が含まれることで、相対的に見て接触角が低下することが示されている。本実施例によれば、接触角として10°以上、25°以下の接触角が得られている。この数値範囲は接合材として、第2の金属元素を含まない場合に比べていずれも小さい値となっている。
表1の結果から銅(Cu)においては2000ppmから10000ppmの範囲において、チタン(Ti)においては890ppmであれば、下地面に対する接触角が25°以下の値が得られている。すなわち、試料1に対して試料2乃至6の接触角はいずれも小さい値が得られており、接合材に含まれる第2の金属元素に相当する金属元素は20ppm以上5000ppm以下の濃度で含まれていればよいことが示唆されている。
上記各試料のショア硬度を評価した結果を表2に示す。インジウム(In)が99.99%である試料1ではショア硬度が1.09HSであるのに対し、銅(Cu)含有量が2000ppmの試料2ではショア硬度が1.20HS、銅(Cu)含有量が5000ppmの試料3ではショア硬度が1.49HS、銅(Cu)含有量が7000ppmの試料4ではショア硬度が1.61HS、銅(Cu)含有量が10000ppmの試料5ではショア硬度が1.72HS、チタン(Ti)含有量が890ppmの試料6ではショア硬度が1.77HSが得られている。なお、ショア硬度は、日本工業規格で規定されているショア硬さ試験方法(JISZ2246)に従い測定した。
表2の結果によれば、インジウム(In)に対して、銅(Cu)、またはチタン(Ti)の含有量が高くなるほどショア硬度は高くなっている。Inメタルの硬度はターゲットのクラック発生に影響する可能性があり、1.5以下に調整することが好ましい。
本実施例によれば、第1の金属元素を主成分とする接合材において、接合材に含まれる第2の金属元素として、銅(Cu)については少なくとも2000ppm以上、5000ppm以下の範囲において、接触角を15°以上25°以下とすることができ、その場合であってもショア硬度を1.1以上1.5未満とすることができることが示されている。
平板型スパッタリングターゲット材としてITOを用い、接合材における第1の金属元素としてインジウム(In)を用い、第2の金属元素の含有量を変化させたときの、ターゲット材の割れ(クラック)の発生を評価した。
ITOによる平板型スパッタリングターゲット材のサイズは、127mm×508mm×6.35mm(縦×横×厚さ)であり、接合材として実施例1における試料2又は試料3で用いたものと同様の接合材を用いた。
スパッタリング条件は、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)を用い、スパッタ圧を0.6Pa、スパッタリング電力密度(DC)として2.3W/cmとしてスパッタリングを行った。
スパッタリング後のターゲット材の外観評価を行ったところ、クラック等の発生は確認されなかった。
接合材における第1の金属元素としてインジウム(In)を用い、第2の金属元素としてチタン(Ti)を用いた場合における接触角を評価した結果を示す。本実施例では、インジウム(In)に対するチタン(Ti)の含有量が異なる試料を評価した結果を示す。
試料1は純度99.99%のインジウム(In)であり、実施例1と同様のものである。試料7はチタン(Ti)を18ppm含有するインジウム(In)であり、試料8はチタン(Ti)を60ppm含有するインジウム(In)であり、試料9はチタン(Ti)を120ppm含有するインジウム(In)である。また、試料6はチタン(Ti)を890ppm含有するインジウム(In)であり、実施例1と同様のものである。
本実施例において、インジウム(In)は、接合材を構成する第1の金属元素に相当し、チタン(Ti)は第2の金属元素に相当するものである。
下地面には各試料と同種の金属をITO面に塗布した状態で評価した。この下地面はターゲットの表面に超音波ウェルダー処理をして接合材と同種の金属を塗布した状態を有している。
各試料を評価した結果を表3に示す。チタン(Ti)を18ppm含む試料7では24.8°、チタン(Ti)を60ppm含む試料8では24.8°、チタン(Ti)を120ppm含む試料9では24.5°の接触角がそれぞれ得られている。なお、接触角θは、実施例1と同様な方法で求めている。
本実施例によれば、接合材として、第1の金属元素に相当するインジウム(In)に対し、第2の金属元素に相当するチタン(Ti)が含まれることで、接触角が低下することが示されている。具体的には、インジウム(In)に対するチタン(Ti)の含有量が18ppm以上890ppm以下の範囲内で、24°以上、25°以下の接触角が得られている。
表3の結果からチタン(Ti)が18ppmから890ppmであれば、下地面に対する接触角25°以下の接触角が得られている。すなわち、試料1に対して試料6乃至9の接触角はいずれも小さい値が得られており、接合材に含まれる第2の金属元素に相当するチタン(Ti)は18ppm以上890ppm以下の濃度で含まれていればよいことが示されている。
表3に示す各試料のショア硬度を評価した結果を表4に示す。インジウム(In)が99.99%である試料1ではショア硬度が1.09HSであるのに対し、チタン(Ti)含有量が18ppmの試料7ではショア硬度が1.28HS、チタン(Ti)含有量が60ppmの試料8ではショア硬度が1.52HS、チタン(Ti)含有量が120ppmの試料9ではショア硬度が1.70HSが得られている。なお、ショア硬度は、実施例1と同様に日本工業規格で規定されているショア硬さ試験方法(JISZ2246)に従い測定した。
表4の結果によれば、インジウム(In)に対して、チタン(Ti)の含有量が高くなるとショア硬度は高くなる傾向が示されている。接合材としてのインジウム(In)の硬度はターゲットのクラック発生に影響する可能性があり、ショア硬度は1.7以下、好ましくは1.5以下に調整することが好ましい。
本実施例によれば、インジウム(In)を主成分とする接合材において、当該接合材に含まれる第2の金属元素として、チタン(Ti)については少なくとも18ppm以上、120ppm以下の範囲において、接触角を25°以下とすることができ、その場合であってもショア硬度を1.1以上1.7以下とすることができることが示されている。
接合材における第1の金属元素としてインジウム(In)を用い、第2の金属元素としてニッケル(Ni)を用いた場合における各試料のショア硬度を評価した結果を表4に示す。本実施例では、インジウム(In)に対するニッケル(Ni)の含有量が異なる試料を評価した結果を示す。
試料1は純度99.99%のインジウム(In)であり、実施例1と同様のものである。試料10はニッケル(Ni)を44ppm含有するインジウム(In)であり、試料11はニッケル(Ni)を250ppm含有するインジウム(In)であり、試料12はニッケル(Ni)を480ppm含有するインジウム(In)である。
本実施例において、インジウム(In)は、接合材を構成する第1の金属元素に相当し、ニッケル(Ni)は第2の金属元素に相当するものである。
表5において、インジウム(In)が99.99%である試料1ではショア硬度が1.09HSであるのに対し、ニッケル(Ni)含有量が44ppmの試料10ではショア硬度が1.12HS、ニッケル(Ni)含有量が250ppmの試料11ではショア硬度が1.21HS、ニッケル(Ni)含有量が480ppmの試料12ではショア硬度が1.46HSが得られている。なお、ショア硬度は、実施例1と同様に日本工業規格で規定されているショア硬さ試験方法(JISZ2246)に従い測定した。
表5の結果によれば、インジウム(In)に対して、ニッケル(Ni)の含有量が高くなるとショア硬度は高くなる傾向が示されている。接合材としてのインジウム(In)の硬度はターゲットのクラック発生に影響する可能性があり、ショア硬度は1.7以下、好ましくは1.5以下に調整することが好ましい。
本実施例によれば、インジウム(In)を主成分とする接合材において、当該接合材に含まれる第2の金属元素として、ニッケル(Ni)については少なくとも44ppm以上含まれていればよいことが示されており、少なくとも44ppm以上、480ppm以下の範囲において、ショア硬度を1.1以上1.7以下とすることができることが示されている。
[比較例]
実施例1における試料4乃至試料6に相当する接合材を用いて、上記と同様の評価を行った。スパッタリング後のターゲット材の外観評価を行ったところ、クラック等の発生が確認された。
本実施例によれば、ぬれ性が良好で硬さ(ショア硬度)が所定の範囲内にある接合材を用いればスパッタリングターゲット材の割れを防ぐことができることが示された。
100・・・円筒型スパッタリングターゲット、102・・・円筒型スパッタリングターゲット材、104・・・円筒型基材、106・・・接合材、108・・・間隙部、110・・・ヒータ

Claims (12)

  1. 金属で形成された基材と、前記基材の一面に設けられたスパッタリングターゲット材と、前記基材と前記スパッタリングターゲット材との間に設けられた接合材と、を有し、
    前記接合材は、インジウム(In)と、銅(Cu)を少なくとも含み、前記銅(Cu)は前記インジウム(In)に対して2000ppm以上、5000ppm以下の濃度で含まれることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 金属で形成された基材と、前記基材の一面に設けられたスパッタリングターゲット材と、前記基材と前記スパッタリングターゲット材との間に設けられた接合材と、を有し、
    前記接合材は、インジウム(In)と、チタン(Ti)を少なくとも含み、前記チタン(Ti)は前記インジウム(In)に対して18ppm以上、60ppm以下の濃度で含まれることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  3. 金属で形成された基材と、前記基材の一面に設けられたスパッタリングターゲット材と、前記基材と前記スパッタリングターゲット材との間に設けられた接合材と、を有し、
    前記接合材は、インジウム(In)と、ニッケル(Ni)を少なくとも含み、前記ニッケル(Ni)は前記インジウム(In)に対して44ppm以上、480ppm以下の濃度で含まれることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  4. 前記接合材は、ITO表面に対する接触角が16.4°以上、16.7°以下であることを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記接合材は、ITO表面に対する接触角が25.0°未満であることを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記接合材は、1.20以上、1.49以下のショア硬度を有することを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 前記接合材は、1.28以上、1.70以下のショア硬度を有することを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  8. 前記接合材は、1.12以上、1.46以下のショア硬度を有することを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  9. 前記基材が円筒型基材であり、前記スパッタリングターゲットが円筒型スパッタリングターゲットであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  10. 前記円筒型スパッタリングターゲット材が、セラミックス焼結体であることを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  11. 前記セラミックス焼結体が酸化インジウムを含むことを特徴とする請求項10に記載のスパッタリングターゲット。
  12. 前記円筒型基材の外側表面の表面粗さ(Ra)が1.8μm以上であることを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
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