JP2009283752A - 均熱板並びにこれを使用した基板加熱装置及び基板冷却装置 - Google Patents

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Toyohiro Sato
豊弘 佐藤
Kazuaki Katagiri
一彰 片桐
Terumitsu Imanishi
輝光 今西
Akiyuki Shimizu
昭之 清水
Nobuhito Nakama
信人 仲摩
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Abstract

【課題】半導体ウエーハ等の基板を均一に加熱、冷却できる均熱板10を提供する。
【解決手段】表面が基板載置面13とされ、基板載置面13の裏面側に加熱又は冷却のための熱源30が基板載置面13に沿って配置された金属板を本体11とする。本体11中の基板載置面13と熱源30との間に、該母材を構成する金属材料と同系統の金属材料をマトリックスとし、該マトリックス中に繊維状炭素材料が分散して混合された均熱促進層12を基板載置面に沿って配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエーハ、液晶用ガラス基板等の均一加熱又は均一冷却に使用される均熱板、並びにこの均熱板を使用した基板加熱装置及び基板冷却装置に関する。
半導体デバイスは、半導体ウエーハに成膜処理を始めとする各種処理を繰り返し実施することにより製造される。各種処理は加熱を伴うことが多く、その場合のウエーハ加熱には、金属板の一方の表面を基板載置面とし、他方の表面にヒータを取付けた板状の加熱装置が使用される。また、加熱後のウエーハの冷却時間を短縮して処理能力を挙げるために、板状のウエーハ冷却装置も使用される場合がある。そのウエーハ冷却装置は、金属板の一方の表面を基板載置面とし、基板載置面裏側の金属板中に、冷媒が流通する流路を形成した構成になっている。
ホットプレート、クーリングプレートと呼ばれるこれらの板状加熱装置、冷却装置においては、基板載置面上のウエーハを均一に加熱・冷却するために、基板載置面の温度分布を均一化する必要があり、このために、加熱装置では加熱用熱源(加熱源)であるヒータの形状に、また冷却装置では冷却用熱源(抜熱源)である冷媒流路の形状に工夫が講じられている。また、金属板の構造に対する工夫も種々講じられており、その一つとして、金属板の基板載置面裏側、すなわち基板載置面と熱源との間に、熱伝導性の優れた銅板やアルミニウム板を配置することが提案されている(特許文献1、2)。
特開平11−302853号公報 特開2000−239847号公報
一方、金属板自体の材質については、比較的低温の加熱装置や冷却装置では、アルミニウムの粉末焼結体や溶製体が多用されている。なぜなら、アルミニウムが銅より軽量であるため、及び半導体製造装置においては銅による汚染が問題になるためである。本体である金属板がアルミニウムの場合、これにアルミニウム板を組み合わせることは無意味である。銅板はアルミニウム板より熱伝導性が良好であり、この点では銅板の組合せは有効である。
アルミニウム板に銅板を伝熱促進部材として組み合わせる場合、通常はろう付けによって両者が接合されるが、アルミニウムと銅とでは両者の線膨張係数の違いから接合部品が反るおそれがある。また、繰り返し使用による熱履歴に応じて接合面が剥離し、均熱性が阻害されるおそれもある。この問題を解決するために、特許文献1では、銅板の表面に応力緩和溝を設けて、線膨張率の差によって生じる応力を緩和することが提案されているが、その緩和に伴って接合面の溝部で剪断力が生じ、長期の使用においては接合面で剥離が生じるおそれがある。
これらの問題を解決するために、アルミニウム板と銅板を直接拡散接合して一体化することが試みられている。しかし、約200℃以上に加熱された場合、その温度域で現れる脆弱な金属間化合物が層状に析出し、これが接合部の強度低下と気密性低下をもたらすために、実用化には至っていないのが実情である。
本発明の目的は、均熱促進材の使用により均熱性に優れ、しかも、本体と均熱促進材との間の接合性に優れた均熱板を提供することにある。本発明の別の目的は、この均熱板を使用した高品質な基板加熱装置及び基板冷却装置を提供することにある。
ところで、本発明者らは、以前より、高熱伝導性材料として、繊維状炭素材料含有アルミニウム複合材料の開発を進めている。この複合材料は、アルミニウムの粉末焼結体をマトリックスとし、このマトリックス中にカーボンナノチューブや気相成長炭素繊維を混合したものである。
カーボンナノチューブも気相成長炭素繊維も共にグラフェンにより構成された極細のチューブ状構成物であり、以下に説明するごとく、積層構造及びこれに伴う繊維径の違いによって区別されている。
グラフェンとは、6個の炭素原子が二次元的に規則的に配列して構成されたハニカム構造のネットであって、炭素六角網面とも呼ばれ、このグラフェンが規則性をもって積層したものはグラファイトと呼ばれる。このグラフェンにより構成された単層又は多層で且つ極細のチューブ状構成物が繊維状炭素材料であり、カーボンナノチューブも気相成長炭素繊維も含んでいる。
すなわち、カーボンナノチューブは、グラフェンが円筒形状に丸まったシームレスのチューブであり、単層のものと同心円状に積層した複数層のものがある。単層のものは単層ナノチューブと呼ばれ、複数層のものは多層ナノチューブと呼ばれている。
また、気相成長炭素繊維は、グラフェンが円筒形状に丸まった単層又は複数層のグラフェンチューブ、すなわちカーボンナノチューブを芯部に有しており、その芯部を多重に且つ多角形状に取り囲むようにグラファイトがグラフェンチューブの径方向に積層されたものであり、その構造から超多層カーボンナノチューブとも呼ばれる。
換言すれば、気相成長炭素繊維の中心部に存在する単層又は多層のカーボンチューブがカーボンナノチューブである。
このような繊維状炭素材料をアルミニウムの粉末焼結体中に含有させて、アルミニウムの優れた熱伝導性を更に向上させたのが、前述した繊維状炭素材料含有アルミニウム複合材料であり、特許文献3などに詳しく説明されている。
国際公開WO2005/040067パンフレット
本発明者らは、この繊維状炭素材料含有アルミニウム複合材料の開発を進める過程で、この複合材料が、前述した基板加熱装置、基板冷却装置、特に本体がアルミニウム板である加熱装置、冷却装置の伝熱促進部材として、極めて優れた適性を示すことを知見をした。
すなわち、基板加熱装置、基板冷却装置の本体金属板がアルミニウム板である場合、そのアルミニウム板を本体としてこれに繊維状炭素材料含有アルミニウム複合材料を組み合わせると、その本体と複合材料のマトリックスが同じアルミニウム同士であるため、本質的に接合性がよく、しかも、線膨張係数の差が小さいために、その係数の相違に起因する反りや接合面の剥離が生じにくい。更に、複合材料の熱伝導性が良好なため、本体の均熱性が向上することは言うまでもない。更に又、アルミニウムと炭素の化合物は、アルミニウムの融点以下では生成しないので、接合部の強度低下も気密性低下も生じない。
本発明の均熱板はかかる知見を基礎として開発されたものであり、基板加熱装置又は基板冷却装置に使用される均熱板であって、表面が基板載置面とされた金属板からなる本体と、該本体中に基板載置面に沿って配置され、該本体を構成する金属材料と同系統の金属材料をマトリックスとし、該マトリックス中に繊維状炭素材料が分散して混合された均熱促進層とを具備している。
また、本発明の基板加熱装置は、上記均熱板の裏面側に加熱のための加熱源が設けられたものであり、本発明の基板冷却装置は、上記均熱板の裏面側に冷却のための抜熱源が設けられたものである。すなわち、本発明の基板加熱装置及び基板冷却装置は、均熱板の本体中の基板載置面と熱源との間に均熱促進層が配置されたものである。
本発明の均熱板においては、金属板からなる本体の表面の基板載置面に沿って、その本体中に均熱促進層が配置されている。均熱促進層は、本体を構成する金属材料と同系統の金属材料をマトリックスとし、該マトリックス中に繊維状炭素材料が分散して混合された複合材料であるため、本体より熱伝導性が良好であり、基板載置面の温度分布の均一化に寄与する。また、均熱促進層のマトリックスが本体を構成する金属材料と同系統の金属材料であるため、本体と均熱促進層の接合性が本質的に良好である。しかも、繊維状炭素材料の配合率により均熱促進層の線膨張率が変化する。このため、その配合率の操作により本体と均熱促進層との線膨張率の差を小さくでき、この点からも両者の接合性を高めることができる。
本体の材質は純アルミニウム又はアルミニウム合金が、軽量、熱伝導性、汚染の危険がない点などから好ましい。高温加熱装置等で耐熱性が要求される場合は、ステンレス鋼、インコネル等が好ましい。本体の組織構造は、粉末焼結体でも、溶融−凝固プロセスを経て製造された溶製体でも、或いはそれらの複合体でもよい。
均熱促進層のマトリックスは、本体を構成する金属材料と同系統の金属材料である。ここにおける同系統とは、純金属同士の場合はその金属が同じという意味であり、合金同士の場合は合金の母元素が同一という意味である。また、純金属と合金の場合は、合金の母元素が純金属における金属元素と同一という意味である。
本体が純アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末焼結体又は溶製体、或いはそれらの複合体の場合、均熱促進層のマトリックスは純アルミニウム又はアルミニウム合金であり、粉末焼結体でも溶製体でもよい。詳細は後で説明するが、均熱促進層のマトリックスとしては、一部溶製体が混じった粉末焼結体が、成形性、熱伝導性の両面から好ましい。溶製体は粉末焼結体より気孔率が小さく、繊維状炭素材料との密着性も良好である。本体が粉末焼結体の場合も、材質の選択により、その焼結過程で、均熱促進層のマトリックスの一部又は全部を溶製体とすることができる。
粉末焼結体は放電プラズマ焼結体が好ましい。放電プラズマ焼結法は、パルス通電法あるいはパルス通電加圧焼結法とも呼ばれ、粉末粒子間に発生する高温プラズマを利用することにより、隣接する粉末粒子間の密着性を高め、焼結体中の気孔率を限りなく0に近づけると共に、粒子表面の酸化物を消失させ、本体及びマトリックス自体の熱伝導性の向上、並びにマトリックスと繊維状炭素材料との間の熱伝導性の向上に寄与する。
均熱促進層に含有される繊維状炭素材料は、単層又は多層のグラフェンにより構成された極細のチューブ状構成体が熱伝導性の点から好ましい。チューブ状構成体がカーボンナノチューブ及び気相成長炭素繊維の両方を含むことは前述したとおりであり、熱伝導性の点からは直径が大きい気相成長炭素繊維が特に好ましい。均熱促進層では、繊維状炭素材料は、層厚方向の加圧により層表面に平行な方向に配向し、配向面内では複数方向に配向するかランダムな2次元配向となるため、均熱性が向上する。この配向性は、直径が大きい気相成長炭素繊維の方が顕著である。この点からも、気相成長炭素繊維は、均熱促進層中の繊維状炭素材料として好適である。
均熱促進層における繊維状炭素材料の混合比は、繊維状炭素材料の比重を2として計算した体積比で1〜75%が好ましく、5〜65%が特に好ましい。繊維状炭素材料は、熱伝導性を確保するために相応の含有量を確保する必要があるが、含有量が多すぎると、相対的にマトリックス量が減少し、マトリックスが本来保有する優れた加工性、延性等の他、本体との適合性が十分に得られなくなる。
繊維状炭素材料の製造方法は特に問わない。アーク放電法、レーザー蒸発法、熱分解法、化学気相成長法等のいずれでもよいが、気相成長炭素繊維は化学気相成長法により製造される。気相成長炭素繊維を表すVGCFはVapor Growth Carbon Fiber の略である。
本発明の基板加熱装置又は基板冷却装置における熱源は、加熱装置の場合は均熱板の裏面側に配置されたヒータ、或いは均熱板の裏面側に形成された、流動性の加熱媒体が流通する流路である。また、冷却装置の場合は均熱板の裏面側に形成された、冷媒が流通する流路である。ヒータや流路は、均熱板の伝熱促進層の更に裏面側に、伝熱促進層に沿って設けられ、基板載置面における温度分布が均一となるように渦巻き状、同心円状などに形成される。
本発明の均熱板は、金属板からなる本体の表面の基板載置面の裏面側に、その基板載置面に沿って均熱促進層を配置すると共に、その均熱促進層を、本体を構成する金属材料と同系統の金属材料をマトリックスとし、該マトリックス中に繊維状炭素材料が分散して混合された複合材料としたことにより、本体の均熱性を効果的に改善でき、しかも、本体と均熱促進材との間の接合性に優れ、剥離やこれによる均熱性低下、変形の問題を生じない。更に、接合部における脆弱な金属間化合物の析出を防止でき、その析出による接合部の強度低下及び気密性低下の問題も生じない。
また、本発明の基板加熱装置及び基板冷却装置は、その本体部分に上記均熱板を使用したことにより、基板載置面の均熱性に優れ、基板の均一加熱、均一冷却に寄与する。また、均熱板における本体と均熱促進層との接合性に優れ、機械的特性に優れる。更に、均熱板における接合部の気密性に優れるので、アウトガスによる汚染の問題も生じない。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す基板冷却装置の一部破断斜視図、図2(a)(b)(c)は同基板冷却装置の製造プロセスを段階的に示す模式断面図である。なお、図面は図示の都合上、高さ方向を誇張して記載されている。
本実施形態の基板冷却装置は、半導体ウエーハの冷却に使用されるものであり、その本体として、外径が350mm、厚みが約23mmのアルミニウム系の円板からなる均熱板10を具備している。この均熱板10は、図1及び図2(b)(c)に示すように、アルミニウム合金からなる円板状の本体11と、本体11中に埋設された薄い円板状の伝熱促進層12とからなる。本体11は、アルミニウム合金の粉末焼結体、より詳しくは放電プラズマ焼結体からなり、その底面には、アルミニウム合金の溶製体からなる円板状の底板20が接合されている。
均熱板10の表面は、冷却対象物である半導体ウエーハが載置される基板載置面13である。均熱板10の裏面は、基板載置面13に平行である。この裏面には、冷却用の冷媒(ここでは冷却水)が流通する冷媒流路30を形成するために、全面にわたって溝15が設けられている〔図2(b)参照)〕。そして、その均熱板10の裏面に底板20がろう付けによって接合され、前記溝15が閉止されることにより、均熱板10の裏面側に、冷却用熱源(抜熱源)である冷媒流路30が基板載置面13に沿って形成されている。底板20は均熱板10と同じ直径で、厚みが約15mmの円板である。
均熱板10中の伝熱促進層12は、本体11中の基板載置面13の近傍にその載置面に沿って埋設されている。この伝熱促進層12は、本体11を構成するアルミニウム合金と同じ第1合金又は純アルミニウムと、これらのアルミニウム系金属の焼結温度より融点が低いアルミニウム系の第2合金との混合粉末焼結体をマトリックスとし、そのマトリックス中に繊維状炭素材料(ここでは気相成長炭素繊維)が分散して混合された複合体である。伝熱促進層12の表面及び裏面だけでなく外周面も、本体11の構成材料(アルミニウム合金の粉末焼結体)に覆われている。
次に、本実施形態の基板冷却装置の製造方法を図2(a)(b)(c)によりその一例について説明する。
まず、図2(a)に示すように、グラファイトからなる内径が350mmの筒状の焼結ダイ40内の下部パンチ50上に、平均粒径が30μmのアルミニウム系粉末(アルミニウム合金6061)の粉末1aを、焼結後の厚さが20mmとなるように充填する。次いで、その粉末充填層上に、平均粒径が30μmのアルミニウム系粉末と気相成長炭素繊維との混合物2を、焼結後の厚さが1mmとなるように充填する。アルミニウム系粉末は、純アルミニウム粉末とAl−12Si合金粉末との混合粉末であり、Al−12Si合金粉末の混合比は20wt%である。
気相成長炭素繊維は、触媒を用いて基板表面から多数本を同時に気相成長させることにより製造される。その結果、基板上に多数本の繊維が二次元的に密集した形態で、気相成長炭素繊維は製造される。本実施形態では、その気相成長炭素繊維を基板から切り落として得た、太さが1〜50μm(平均10μm)で長さが約2〜3mmの気相成長炭素繊維を用い、これを純アルミニウムとAl−12Siの混合粉末と混練機で十分に混練して、前記混合物2とした。混合物2は、粉末1aの充填層の上の外周部(25mm)を除く部分に充填する。
更に、混合物2の充填層を挟んで、粉末1aの充填層の上に、平均粒径が30μmのアルミニウム系金属(アルミニウム合金6061)の粉末1bを、焼結後の厚さが2mmとなるように充填する。ここでの充填厚さは、混合物2の充填層上での厚さである。
焼結ダイ40内への粉末充填が終わると、下部パンチ50と図示されない上部パンチとの間で充填粉末を中心線方向に加圧し、放電プラズマ焼結する。放電プラズマ焼結では、下部パンチ50と上部パンチを介して充填粉末にパルス電圧を加える。放電プラズマ焼結条件は、例えば負荷圧30MPa、焼結温度560℃、焼結時間1時間である。この焼結温度はアルミニウム合金6061の焼結温度である。
製造された放電プラズマ焼結体が均熱板10である。この均熱板10は、直径が350mm、厚みが23mmの6061粉末放電プラズマ焼結体中に、直径が300mm、厚みが1mmの混合物層が埋設された円板状の複合体となる。6061粉末放電プラズマ焼結体は、均熱板10の本体11に対応し、混合物層は伝熱促進層12に対応する。この混合物層は、円板状のアルミニウム系粉末焼結体中に、太さが1〜50μm(平均10μm)で長さが約2〜3mmの気相成長炭素繊維が分散したものになり、その表面は製品表面から2mm下に位置する。
こうして均熱板10が製造されると、図2(b)(c)に示すように、その均熱板10の裏面に深さが約10mm、幅が約11mmの溝15が加工され、しかる後に、その均熱板10の裏面にアルミニウム合金6061の溶製板がろう付けにより接合される。均熱板10の底面に接合された溶製板は、その底面の溝15を塞いで、冷却用熱源(抜熱源)である冷媒流路30を形成する。この溶製板は底板20に対応し、厚みは約15mmである。
このようにして製造された本実施形態の基板冷却装置の機能上の特徴は以下のとおりである。
基板冷却装置は円板状の均熱板10とその裏面に接合された円板状の底板20とからなり、均熱板10は円板状の本体11と、その表面直下に埋設された薄い円板状の伝熱促進層12とからなる。
均熱板10の本体表面の基板載置面13においては、その真下に埋設された薄い円板状の伝熱促進層12に対応する直径300mmの領域が有効冷却面となる。均熱板10の本体11の裏面側(均熱板10と底板20の間)に形成された冷媒流路30に冷媒を流通させることにより、均熱板10が冷却され、基板載置面13に載置された半導体ウエーハが冷却される。
ここで、半導体ウエーハは基板載置面13の有効冷却面上に載置される。その有効冷却面の下には薄い円板状の伝熱促進層12が埋設されている。伝熱促進層12はアルミニウム系金属の粉末焼結体中に気相成長炭素繊維が分散して混合した複合体である。気相成長炭素繊維は、アルミニウム系金属より熱伝導性が格段に高いため、これを含む伝熱促進層12の熱伝導率は、本体11の熱伝導率より高い。
特に、本実施形態の基板冷却装置では、均熱板10中の伝熱促進層12のマトリックスが、純アルミニウムとAl−12Siの混合粉末焼結体である。Al−12Siは融点が純アルミニウムの焼結温度より低いために、焼結過程で溶融する。このため、マトリックスの気孔率は限りなく0に近くなり、かつマトリックスと繊維状炭素材料との密着性も良好となる。しかも、マトリックス中の繊維状炭素材料は、太くて真直な気相成長炭素繊維である上に、その太くて真直が故に、焼結過程での加圧により、加圧方向に直角な方向、すなわち基板載置面13に平行な方向に配向する。これらのために、基板載置面13に平行な方向の熱伝導性が特に良好となり、結果、基板載置面13における温度分布が均一化される。
均熱板10の本体11及び伝熱促進層12のマトリックスは、アルミニウム系粉末の放電プラズマ焼結体である。粉末焼結体は、溶製体に比べて熱伝導性は劣るが、成形が容易であり、特に放電プラズマ焼結体は、前述したとおり、粉末焼結体のなかでは熱伝導性に優れる。
したがって、本実施形態の基板冷却装置は、冷却対象物である半導体ウエーハを効率的に、かつ均一に冷却することができる。
また、均熱性向上のために伝熱促進層12を用いるにもかかわらず、反りや剥離の問題は生じない。それは、本体11と伝熱促進層12のマトリックスが共にアルミニウム系金属であり、物性的に接合性が優れると共に、伝熱促進層12中の繊維状炭素材料の配合率の変更により、伝熱促進層12の線膨張係数が変わり、本体11と伝熱促進層12の線膨張係数を近づけることができるためである。
ちなみに、アルミニウム系金属の線膨張係数は23〜24×10-6である。一方、Cuの線膨張係数は16.5×10-6であり、アルミニウム系金属の線膨張係数との差は大きく、本体11がアルミニウム系金属の場合、異種金属の組合せとなるため、この差は無視できない。しかるに、アルミニウム系金属と繊維状炭素材料との混合物からなる伝熱促進層12の場合は、その線膨張係数は、繊維状炭素材料の配合率が30vol%の場合で約20×10-6であり、Cuの線膨張係数より大きく、本体11の線膨張係数に近い。また、熱伝導率はCuと同程度である。伝熱促進層12における繊維状炭素材料の配合率を増やすと、熱伝導率は向上する。その反面、線膨張係数は減少するが、マトリックスが本体11と同種金属のため、異種金属の場合ほど線膨張係数の差は大きな問題とならない。
本実施形態の基板冷却装置の効能を具体的に示す。伝熱促進層12における気相成長炭素繊維の混合量は、気相成長炭素繊維の比重2として計算した体積比で60%である。
比較のために、伝熱促進層12を排除した均熱板を作製した。その均熱板は、伝熱促進層12が排除されていること以外は、本実施形態の基板冷却装置に使用されている均熱板と同じであり、全体が6061合金粉末焼結体にて構成されている。
比較対象用の基板冷却装置の均熱板表面の有効冷却面(基板載置面13の直径300mmの領域)に2140Wの加熱を行い、冷媒流路30に温度10℃のフッ素系液冷媒を17.5L/分の流量で流通させた。冷媒流路30の形状、冷媒の流通方向等の関係から、有効冷却面は、中心部から外周に向かうほど温度が上昇する分布を示した。これに対し、本実施形態の基板冷却装置では、均熱板表面の有効冷却面における温度差がほぼ解消された。両者の定常状態での均熱性能の比較を表1に定量的に示す。
Figure 2009283752
表1から分かるように、本実施形態の基板冷却装置では、均熱板表面の有効冷却面における温度偏差が大幅に小さくなり、平均温度も低下している。均熱板10中の伝熱促進層12の有効性は明らかである。また、6061合金粉末の放電プラズマ焼結体の熱伝導率は180W/mkであるのに対し、伝熱促進層12の表面に平行な方向の熱伝導率は約400W/mk、厚み方向の熱伝導率は約200W/mkである。このことから、伝熱促進層12の熱伝導性が良好なこと、表面に平行な方向の熱伝導率が特に高く、伝熱促進層12中の気相成長炭素繊維が同方向に強く配向し、均熱性能の向上に効果的に寄与していることが分かる。
伝熱促進層12の線膨張係数は約1.4×10-6で、Cuより小さいが、均熱板10の本体11が6061粉末焼結体、伝熱促進層12のマトリックスが純アルミニウムとAl−12Siの粉末焼結体で、共にアルミニウム系金属の粉末焼結体であるため、伝熱促進層12の線膨張係数の小ささに起因する剥離や変形は認められなかった。
本発明の一実施形態を示す基板冷却装置の構造を一部破断して示す斜視図である。 (a)(b)(c)は同基板冷却装置の製造プロセスを段階的に示す模式断面図である。
符号の説明
10 均熱板
11 本体
12 伝熱促進層
13 基板載置面
20 底板
30 冷媒流路(熱源)
40 焼結ダイ
50 下部パンチ

Claims (7)

  1. 基板加熱装置又は基板冷却装置に使用される均熱板であって、
    表面が基板載置面とされた金属板からなる本体と、該本体中に基板載置面に沿って配置され、該本体を構成する金属材料と同系統の金属材料をマトリックスとし、該マトリックス中に繊維状炭素材料が分散して混合された均熱促進層とを具備することを特徴とする均熱板。
  2. 請求項1に記載の均熱板において、繊維状炭素材料は単層又は多層のグラフェンにより構成された極細のチューブ状構成体である均熱板。
  3. 請求項1に記載の均熱板において、均熱促進層における繊維状炭素材料の混合比が体積比で1〜75%である均熱板。
  4. 請求項1に記載の均熱板において、本体は純アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末焼結体又は溶製体、若しくはそれらの複合体からなる均熱板。
  5. 請求項4に記載の均熱板において、均熱促進層は、純アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末焼結体中に繊維状炭素材料が分散して混合された複合焼結体である均熱板。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の均熱板の裏面側に加熱のための加熱源が設けられた基板加熱装置。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の均熱板の裏面側に冷却のための抜熱源が設けられた基板冷却装置。
JP2008135261A 2008-05-23 2008-05-23 均熱板並びにこれを使用した基板加熱装置及び基板冷却装置 Pending JP2009283752A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016535430A (ja) * 2013-09-26 2016-11-10 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 炭素繊維リングサセプタ
JP7481536B1 (ja) 2022-12-26 2024-05-10 ナノテック・カンパニー・リミテッド 基板処理用ヒータープレート

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