JP6658937B2 - 円筒型スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲット材、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

円筒型スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲット材、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、円筒形状をなし、金属酸化物を含有するスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に、In又はIn合金からなる接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲット、及び、スパッタリングターゲット材、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法に関するものである。
一般に、タッチセンサ等に用いられる導電性フィルムとしては、フィルムの両面に形成された透明導電体層と、各透明導電体層の表面に形成された金属層と、を有するものが知られている。
特許文献1には、フィルム基材に無機ナノコーティング層を形成したフィルムが提案されている。このフィルムにおいては、無機ナノコーティング層によって隣接するフィルム同士の密着を抑制することが可能となる。なお、この無機ナノコーティング層として、酸化銅膜を適用することができる。
上述の酸化銅膜等の酸化物膜の薄膜を成膜する手段として、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が広く用いられている。酸化銅膜を成膜する場合には、スパッタリングターゲット材として、酸化銅からなるもの、あるいは、酸化銅相と金属銅相とを有するものが使用可能である。酸化銅相と金属銅相とを有するスパッタリングターゲット材においては、導電性が確保されることになり、DC(直流)スパッタによって成膜することが可能となる。
ここで、上述のスパッタリングターゲットとしては、例えば、スパッタ面が円形または矩形状をなす平板型スパッタリングターゲット、及び、スパッタ面が円筒面である円筒型スパッタリングターゲットが提案されている。
上述の円筒型スパッタリングターゲットは、その外周面(円筒面)がスパッタ面とされており、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することから、ターゲット表面の一部に形成される軸線方向に沿った被スパッタ領域は、周方向に移動する。その結果、エロージョン部は周方向に広がる。したがって、平板型スパッタリングターゲットを用いた場合に比べて円筒形状のスパッタリングターゲット材の使用効率が60〜80%と高くなるといった利点を有している。
さらに、円筒型スパッタリングターゲットにおいては、バッキングチューブの内周側から冷却される構成とされている。また、円筒形状のスパッタリングターゲット材は回転しながらスパッタされる。以上により、上記被スパッタ領域の温度上昇が抑制され、スパッタリング時のパワー密度を上げることができるため、成膜のスループットをさらに向上させることが可能となる。
このため、最近では、円筒型スパッタリングターゲットに対するニーズが増加する傾向にある。
そして、上述の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、例えば特許文献2に記載されているように、成膜する薄膜の組成に応じて形成された円筒形状のスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に配置され、前記スパッタリングターゲット材を保持するバッキングチューブとが、接合層を介して接合された構造とされている。
ここで、スパッタリングターゲット材とバッキングチューブとの間に介在する接合層を構成する接合材としては、例えばIn及びIn合金等からなるはんだ材が挙げられる。接合時の作業性や歪を小さくするために、これら接合層を構成する接合材の融点は、例えば300℃以下と比較的低融点の材料が使用されている。
特表2014−529516号公報 特開2012−140658号公報 特開2014−037619号公報
ところで、スパッタリングターゲット材が金属酸化物を含有しており、この金属酸化物を構成する金属がInよりも酸化物生成自由エネルギーが高い場合には、In及びIn合金からなるはんだ材を用いて接合した際に、スパッタリングターゲット材に含まれる金属酸化物の酸素が接合層側に移動してInを酸化し、スパッタリングターゲット材とIn及びIn合金からなる接合層との界面に、In酸化物層が形成されることがあった。
このIn酸化物層が厚く形成された場合には、スパッタ成膜時にIn酸化物層を起点としてクラックが生じ、スパッタリングターゲット材がバッキングチューブから外れてしまうおそれがあった。このため、安定してスパッタ成膜を行うことができないといった問題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、スパッタリングターゲット材と接合層の接合界面におけるクラックの発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる円筒型スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲット材、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る円筒型スパッタリングターゲットは、円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に、In又はIn合金からなる接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであって、前記スパッタリングターゲット材は、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有し、前記スパッタリングターゲット材と前記接合層との界面において、前記スパッタリングターゲット材側に前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層が形成され、前記接合層側にIn酸化物層が形成されており、前記スパッタリングターゲット材と前記金属層、前記金属層と前記In酸化物層、前記In酸化物層と接合層が、それぞれ直接接する状態で位置しており、前記金属層の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされるとともに、前記In酸化物層の厚さが5μm以下とされていることを特徴としている。
なお、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属としては、例えば、Ag,Bi,Cu,Co,Ni,Sn,Ti等が挙げられる。
また、前記金属層は、前記金属酸化物を構成する前記金属の単相のみでなく、前記金属とInとの合金相を含んでいてもよいものとする。
このような構成とされた本発明の一態様に係る円筒型スパッタリングターゲットによれば、前記スパッタリングターゲット材と前記接合層との界面において、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層の厚さが2μm以上とされており、この金属層によって前記In酸化物層が厚く形成されることが抑制される。In酸化物層の厚さが5μm以下とされているので、In酸化物層を起点としてクラックが生じることを抑制できる。
また、金属層の厚さが35μm以下とされているので、金属層の内部でクラックが発生することを抑制できる。
よって、スパッタリングターゲット材がバッキングチューブから外れてしまうことを抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
ここで、本発明の一態様に係る円筒型スパッタリングターゲットにおいては、前記スパッタリングターゲット材は、前記金属酸化物として酸化銅を含有している構成としてもよい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材が前記金属酸化物として酸化銅を含有しているので、前記スパッタリングターゲット材と前記接合層との界面において、Cu単体相および/またはCu−In合金相からなる金属層の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされると、この金属層によって前記In酸化物層が厚く形成されることを抑制することが可能となる。また、上述の円筒型スパッタリングターゲットによって、酸化銅膜を効率良く、かつ、安定して成膜することができる。
本発明の一態様に係るスパッタリングターゲット材は、円筒形状をなし、その内周側にIn又はIn合金からなる接合層を介してバッキングチューブが接合されるスパッタリングターゲット材であって、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有し、その内周面に、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層が形成されており、前記金属層の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲット材によれば、その内周面に、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層が形成されており、前記金属層の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされている。このため、In又はIn合金からなる接合層を介してバッキングチューブを接合した際に、スパッタリングターゲット材の酸素が接合層側に移動することを抑制できる。
ここで、本発明の一態様に係るスパッタリングターゲット材においては、前記金属酸化物として酸化銅を含有しており、前記金属層が金属銅層とされていてもよい。
この場合、前記金属層である金属銅層によって、スパッタリングターゲット材の酸素が接合層側に移動することを抑制できる。また、スパッタ成膜によって酸化銅膜を成膜することができる。
本発明の一態様に係る円筒型スパッタリングターゲットの製造方法は、円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に、In又はIn合金からなる接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットの製造方法であって、前記スパッタリングターゲット材は、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有しており、前記スパッタリングターゲット材の内周面に、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層を形成する金属層形成工程と、前記スパッタリングターゲット材と前記バッキングチューブとを、In又はIn合金からなるはんだ材を用いてはんだ接合するはんだ接合工程と、を備えており、前記金属層形成工程において形成される前記金属層の厚さを2μm以上35μm以下の範囲内とすることを特徴としている。
この構成の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法によれば、前記スパッタリングターゲット材の内周面に、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層を形成する金属層形成工程を備えており、前記金属層形成工程において形成される前記金属層の厚さを2μm以上としている。このため、この金属層によって、スパッタリングターゲット材の金属酸化物の酸素がIn又はIn合金からなる接合層側に移動することが抑制され、In酸化物層が厚く形成されることを抑制できる。
また、金属層の厚さを35μm以下に制限しているので、In又はIn合金からなるはんだ材を用いてはんだ接合した後に形成される金属層の厚さを35μm以下に抑制することができ、金属層内部でのクラックの発生を抑制することができる。
よって、スパッタリングターゲット材がバッキングチューブから外れてしまうことを抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能な円筒型スパッタリングターゲットを製造することができる。
ここで、本発明の一態様に係る円筒型スパッタリングターゲットの製造方法においては、前記金属層形成工程では、前記スパッタリングターゲット材の内周面にカーボン含有材を塗布し、その後、熱処理することによって、前記金属層を形成する構成としてもよい。
この場合、円筒形状のスパッタリングターゲット材の内周面に還元剤となるカーボン含有材を確実に配設することができ、上述の金属層を比較的均一な厚さで形成することが可能となる。なお、カーボン含有材の塗布厚さを調整することで、形成される金属層の厚さを制御することができる。
また、本発明の一態様に係る円筒型スパッタリングターゲットの製造方法においては、前記スパッタリングターゲット材は、前記金属酸化物として酸化銅を含有しており、前記金属層として金属銅層を形成する構成としてもよい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材が前記金属酸化物として酸化銅を含有しているので、前記金属層形成工程において、前記スパッタリングターゲット材の内周面に、金属層として金属銅層が形成されることになり、この金属層(金属銅層)によって前記In酸化物層が厚く形成されることを抑制できる。
以上のように、本発明の一態様によれば、スパッタリングターゲット材と接合層の接合界面におけるクラックの発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる円筒型スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲット材、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの概略説明図である。(a)が軸線O方向に直交する断面図、(b)が軸線Oに沿った断面図である。 スパッタリングターゲット材と接合層の接合界面の拡大説明図である。 本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットにおいて、はんだ接合前のスパッタリングターゲット材の拡大説明図である。
以下に、本発明の実施形態である円筒型スパッタリングターゲット、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲット10は、図1に示すように、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなすスパッタリングターゲット材11と、このスパッタリングターゲット材11の内周側に挿入された円筒形状のバッキングチューブ12とを備えている。
そして、円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12は、In又はIn合金からなる接合層13を介して接合されている。
スパッタリングターゲット材11は、成膜する薄膜の組成に応じた組成とされており、金属酸化物を含有するものとされている。この金属酸化物を構成する金属、すなわち金属酸化物に含まれる金属は、200℃における酸化物生成自由エネルギーが、接合層13に含まれるInよりも高いものとされている。ここで、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属としては、例えば、Ag,Bi,Cu,Co,Ni,Sn,Ti等が挙げられる。これら金属群から選択されるいずれか1種であることが好ましい。本実施形態においては、金属酸化物として酸化銅を含有するものとした。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲット材11においては、金属銅相と酸化銅相とを有するものとされており、酸化銅相の含有量が80体積%以上とされている。なお、酸化銅相の含有量は85体積%以上であることが好ましい。また、酸化銅相の含有量の上限は97.5体積%以下であることが好ましく、95体積%以下であることがさらに好ましい。
このように、金属銅相と酸化銅相とを有する組織とすることにより、スパッタリングターゲット材11の導電性が確保されることになり、DC(直流)スパッタによって酸化銅膜を成膜することが可能となる。
200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属として、銅以外の金属が含まれる場合においても、スパッタリングターゲット材11は、金属相と酸化金属相とを有し、酸化金属相の含有量が80体積%以上であり、残部が金属相であることが好ましい。金属相と酸化金属相における金属は、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属である。
ここで、本実施形態においては、接合前のスパッタリングターゲット材11の内周面には、図4に示すように、金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層27が形成されており、この金属層27の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内に設定されている。金属層27は、スパッタリングターゲット材11の内周面に直接接する状態で位置し、金属層27は、スパッタリングターゲット材11の内周面の全面に渡って形成されている。金属層27は、金属酸化物を構成する前記金属のみからなることが好ましい。
本実施形態では、金属酸化物として酸化銅を含有しているので、金属層27は、金属銅層となる。
なお、本実施形態である円筒形状のスパッタリングターゲット材11のサイズは、例えば外径Dが145mm≦D≦170mmの範囲内、内径dが120mm≦d≦140mmの範囲内、軸線O方向長さLが0.10m≦L≦1.00mの範囲内とされている。
バッキングチューブ12は、円筒形状のスパッタリングターゲット材11を保持して機械的強度を確保するために設けられたものであり、さらにはバッキングチューブ12は、円筒形状のスパッタリングターゲット材11への電力供給、及び、円筒形状のスパッタリングターゲット材11の冷却といった機能を有するものである。
このため、バッキングチューブ12としては、機械的強度、電気伝導性及び熱伝導性に優れていることが求められており、例えばSUS304等のステンレス鋼、チタン等で構成されている。
ここで、このバッキングチューブ12のサイズは、例えば外径Dが119.5mm≦D≦139.5mmの範囲内、内径dが110mm≦d≦130mmの範囲内、軸線O方向長さLが0.50m≦L≦3.00mの範囲内とされている。
円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12との間に介在する接合層13は、接合材を用いて円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とを接合した際に形成されるものである。
接合層13を構成する接合材は、In又はIn合金からなるはんだ材とされている。接合層13は、接合材からなり、詳細にはIn又はIn合金からなる。なお、接合層13の厚さtは、0.5mm≦t≦4mmの範囲内とされている。
本実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲット10においては、図2に示すように、スパッタリングターゲット材11と接合層13の接合界面には、スパッタリングターゲット材11の金属酸化物を構成する金属を含む金属層17、及び、In酸化物層18が形成されている。接合界面において、スパッタリングターゲット材11側に金属層17が位置し、接合層13側にIn酸化物層18が位置する。詳細には、金属層17は、スパッタリングターゲット材11の内周面に直接接する状態で位置する。In酸化物層18は、接合層13に直接接する状態で位置する。金属層17とIn酸化物層18は互いに直接接している。そして、本実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲット10においては、上述の金属層17の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされるとともに、In酸化物層18の厚さが5μm以下とされている。
本実施形態では、スパッタリングターゲット材11の金属酸化物として酸化銅を含有していることから、金属層17は、金属層27が残存したCu単体相、及び、スパッタリングターゲット材11のCu原子と接合層13のIn原子とが相互拡散することで形成されたCu−In合金相を備えたものとされている。
200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属として、銅以外の金属がスパッタリングターゲット材11に含まれる場合においても、金属層17は、金属単体相と、金属−In合金相を含む。金属単体相と金属−In合金相における金属は、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属である。
なお、金属層27は、第1の金属層とも言い、スパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とが接合層13を介して接合される前の金属層である。金属層17は、第2の金属層とも言い、スパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とが接合層13を介して接合された後の金属層である。
以下に、本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10において、スパッタリングターゲット材11と接合層13の接合界面に形成される金属層17の厚さ、及び、In酸化物層18の厚さを、上述のように規定した理由について説明する。
(円筒型スパッタリングターゲットにおける金属層の厚さ)
本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10において、スパッタリングターゲット材11と接合層13の接合界面に形成される金属層17の厚さが2μm未満であると、スパッタリングターゲット材11の酸素が接合層13に移動することを十分に抑制することができず、In酸化物層18が厚く形成されてしまい、In酸化物層18においてクラックが生じるおそれがある。
一方、金属層17の厚さが35μmを超えると、比較的脆いCu−In合金相が厚く形成され、金属層17の内部でクラックが生じるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11と接合層13の接合界面に形成される金属層17の厚さを、2μm以上35μm以下の範囲内に設定している。
なお、スパッタリングターゲット材11の酸素が接合層13に移動することをさらに抑制するためには、金属層17の厚さの下限を5μm以上とすることが好ましく、10μm以上とすることがさらに好ましい。
一方、金属層17の内部でのクラックの発生をさらに抑制するためには、金属層17の厚さの上限を30μm以下とすることが好ましく、20μm以下とすることがさらに好ましい。
(In酸化物層の厚さ)
本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10において、スパッタリングターゲット材11と接合層13の接合界面に形成されるIn酸化物層18の厚さが5μmを超えると、In酸化物層18においてクラックが生じるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、スパッタリングターゲット材11と接合層13の接合界面に形成されるIn酸化物層18の厚さを5μm以下に制限している。
なお、In酸化物層18におけるクラックの発生をさらに抑制するためには、In酸化物層18の厚さの上限を3μm以下とすることが好ましく、1μm以下とすることがさらに好ましい。
また、In酸化物層18の厚さの下限には特に制限はなく、In酸化物層18が形成されていなくてもよい。
以下に、本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10の製造方法について、図3のフロー図を参照して説明する。
(金属層形成工程S01)
まず、図4に示すように、スパッタリングターゲット材11の内周面に、スパッタリングターゲット材11に含まれる金属酸化物を還元して金属層27を形成する。
ここで、形成する金属層27の厚さは、2μm以上35μm以下の範囲内としている。
本実施形態では、スパッタリングターゲット材11が、金属酸化物として酸化銅を含有しているので、金属層27は金属銅で構成されることになる。すなわち、金属層27は金属銅からなる。
本実施形態では、金属層形成工程S01においては、スパッタリングターゲット材11の内周面にカーボン含有材として炭素粉末をスプレー塗布し、その後、熱処理することによって金属層27を形成する構成とされている。
なお、熱処理条件は、大気雰囲気下で、熱処理温度を600℃以上900℃以下の範囲内、熱処理温度での保持時間を30min以上90min以下の範囲内とすることが好ましい。ここで、カーボン含有材の塗布厚さを調整することにより、形成される金属層27の厚さを制御することが可能となる。カーボン含有材の塗布厚さは、1μm以上が好ましい。
なお、上述の本実施形態では炭素粉末をスプレー塗布したが、炭素粉末のスプレー塗布だけに限らず、カーボン含有材としてカーボンを含む有機物系の材料がスパッタリングターゲット材11に塗布されていれば同様の効果が得られる。例えば、カーボン含有材として、有機バインダーなども適用可能である。
なお、金属層形成工程S01の熱処理によって、スパッタリングターゲット材11に歪みが生じる場合がある。歪みが生じた状態では、その後のはんだ接合工程S05等に悪影響を与えるおそれがあるため、熱処理後のスパッタリングターゲット材11の形状を整えるために機械加工工程S11を実施することが好ましい。特に、複数のスパッタリングターゲット材11を連ねて一本のスパッタリングターゲットを構成する場合には、スパッタリングターゲット材間をシールした状態ではんだ材を流し込むため、十分なシール性を確保できるように、スパッタリングターゲット材の端面形状を整える必要がある。
(はんだ下地層形成工程S02)
次に、スパッタリングターゲット材11の内周面、及び、バッキングチューブ12の外周面に、溶融したIn又はIn合金からなるはんだ材を塗布して、それぞれはんだ下地層を形成する。
このはんだ下地層形成工程S02においては、スパッタリングターゲット材11及びバッキングチューブ12を加熱しておき、ヒータを搭載した超音波コテ等で超音波振動を加えながら溶融したIn又はIn合金からなるはんだ材を塗布することにより、はんだ下地層を形成する。なお、このはんだ下地層形成工程S02における加熱温度は170℃以上250℃以下の範囲内とされている。ここで、このはんだ下地層形成工程S02においては、特開2014−037619号公報(特許文献3)に記載された方法で、はんだ下地層を形成することが好ましい。
(冷却工程S03)
次に、はんだ下地層を形成した状態で、スパッタリングターゲット材11及びバッキングチューブ12を組み立てるために、一旦、室温にまで冷却する。
(組み立て工程S04)
次に、はんだ下地層を形成したスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とを位置合わせして組み立てる。このとき、スペーサ等を用いて、スパッタリングターゲット材11の内周面とバッキングチューブ12の外周面との間に所定の寸法の隙間を形成しておく。なお、この組み立て工程S04においては、特開2014−037619号公報(特許文献3)に記載された方法で、スパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とを組み立てることが好ましい。
(はんだ接合工程S05)
次に、組み立てたスパッタリングターゲット材11の内周面とバッキングチューブ12の外周面との隙間に、溶融したはんだ材を流し込み、スパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とをはんだ接合する。これにより、In又はIn合金からなる接合層13が形成される。
このはんだ接合工程S05においては、還元性雰囲気、あるいは、NガスやArガスなどの不活性ガスで実施することが好ましい。また、このはんだ接合工程S05における加熱条件は、接合層13の材質に応じて適宜設定することが好ましい。本実施形態では、加熱温度が170℃以上250℃以下の範囲内とされ、この加熱温度での保持時間が10分以上120分以下の範囲内とされている。
なお、このはんだ接合工程S05においては、特開2014−037619号公報(特許文献3)に記載された方法で、スパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12との隙間にはんだ材を流し込むことが好ましい。
そして、このはんだ接合工程S05においては、スパッタリングターゲット材11の金属層27のCu原子が接合層13のIn原子と相互拡散し、Cu−In合金が形成される。これにより、スパッタリングターゲット材11と接合層13との接合界面に、金属層27が残存したCu単体相と、上述のCu−In合金相と、からなる金属層17が形成される。
また、スパッタリングターゲット材11の酸素が接合層13側に移動することで、In酸化物層18が形成される。このとき、上述の金属層27によって酸素の移動が阻害され、In酸化物層18が厚く形成されることが抑制され、In酸化物層の厚さが5μm以下となる。
以下に、本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10の製造方法において、金属層形成工程S01で形成される金属層27の厚さ、金属層形成工程S01の熱処理条件を、上述のように規定した理由について説明する。
(スパッタリングターゲット材の金属層の厚さ)
本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10の製造方法において、金属層形成工程S01で形成される金属層27の厚さが2μm未満であると、はんだ接合工程S05においてスパッタリングターゲット材11の酸素が接合層13に移動することを十分に抑制できない。このため、In酸化物層18が厚く形成されてしまい、In酸化物層18においてクラックが生じるおそれがある。
一方、金属層27の厚さが35μmを超えると、はんだ接合工程S05後に形成される金属層17の厚さが厚くなり、金属層17の内部でクラックが生じるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、金属層形成工程S01で形成される金属層27の厚さを、2μm以上35μm以下の範囲内に設定している。
なお、はんだ接合工程S05においてスパッタリングターゲット材11の酸素が接合層13に移動することをさらに抑制するためには、金属層27の厚さの下限を5μm以上とすることが好ましく、10μm以上とすることがさらに好ましい。
一方、はんだ接合工程S05に形成される金属層17の内部でのクラックの発生をさらに抑制するためには、金属層27の厚さの上限を30μm以下とすることが好ましく、20μm以下とすることがさらに好ましい。
(金属層形成工程S01における熱処理条件)
熱処理温度を600℃以上、かつ、熱処理温度での保持時間を30min以上とすることにより、酸化銅の還元反応を促進させることができ、金属層27を効率良く形成することが可能となる。
一方、熱処理温度を900℃以下、かつ、熱処理温度での保持時間を120min以下とすることにより、金属層27が必要以上に厚く形成されることを抑制できる。
以上のことから、本実施形態では、熱処理温度を600℃以上900℃以下の範囲内、熱処理温度での保持時間を30min以上120min以下の範囲内に設定している。
なお、金属層27をさらに効率良く形成するためには、金属層形成工程S01における熱処理温度の下限を700℃以上とすることが好ましく、800℃以上とすることがさらに好ましい。また、熱処理温度での保持時間の下限を40min以上とすることが好ましく、50min以上とすることがさらに好ましい。
一方、金属層27が必要以上に厚く形成されることをさらに抑制するためには、金属層形成工程S01における熱処理温度の上限を850℃以下とすることが好ましく、830℃以下とすることがさらに好ましい。また、熱処理温度での保持時間の上限を90min以下とすることが好ましく、60min以下とすることがさらに好ましい。
以上のような構成とされた本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10によれば、スパッタリングターゲット材が、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有し、スパッタリングターゲット材11と接合層13との界面において、金属酸化物を構成する金属を含む金属層17の厚さが2μm以上とされている。この金属層17によってIn酸化物層18が厚く形成されることが抑制され、In酸化物層18の厚さが5μm以下とされているので、In酸化物層18に起因してクラックが生じることを抑制できる。
また、金属層17の厚さが35μm以下とされているので、金属層17の内部でクラックが発生することを抑制できる。
よって、スパッタリングターゲット材11がバッキングチューブ12から外れてしまうことを抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
また、本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11が金属酸化物として酸化銅を含有しているので、スパッタリングターゲット材11と接合層13との界面において、Cu単体相あるいはCu−In合金相からなる金属層17の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされる。この金属層17によってIn酸化物層18が厚く形成されることを抑制することが可能となる。また、上述の円筒型スパッタリングターゲット10によって、酸化銅膜を効率良く、かつ、安定して成膜することができる。
さらに、本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11が、金属銅相と酸化銅相とを有するものとされており、酸化銅相の含有量が80体積%以上とされている。このため、スパッタリングターゲット材11の導電性が確保されることになり、DC(直流)スパッタによって酸化銅膜を成膜することが可能となる。
本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10の製造方法によれば、スパッタリングターゲット材11の内周面に、金属層27を形成する金属層形成工程S01を備えており、金属層形成工程S01において形成される金属層27の厚さを2μm以上としている。このため、この金属層27によって、スパッタリングターゲット材11の金属酸化物の酸素がIn又はIn合金からなる接合層13側に移動することが抑制され、In酸化物層18が厚く形成されることを抑制できる。
また、金属層27の厚さを35μm以下に制限しているので、はんだ接合工程S05後に形成される金属層17の厚さを35μm以下に抑制することができ、金属層17内部でのクラックの発生を抑制することができる。
よって、スパッタリングターゲット材11がバッキングチューブ12から外れてしまうことを抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能な円筒型スパッタリングターゲット10を製造することができる。
さらに、本実施形態においては、金属層形成工程S01は、スパッタリングターゲット材11の内周面にカーボン含有材をスプレー塗布し、その後、熱処理することによって、金属層27を形成する構成としている。このため、円筒形状のスパッタリングターゲット材11の内周面に還元剤となるカーボン含有材を確実に配設することができ、上述の金属層27を比較的均一な厚さで形成することが可能となる。
また、本実施形態においては、スパッタリングターゲット材11が金属酸化物として酸化銅を含有しているので、金属層形成工程S01において、スパッタリングターゲット材11の内周面に金属層27として金属銅層が形成されることになり、この金属層27によって、はんだ接合工程S05においてIn酸化物層18が厚く形成されることを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的要件を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、図1に示す円筒型スパッタリングターゲットを例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、この円筒形状のスパッタリングターゲット材の内周側に接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであればよい。
また、本実施形態では、スパッタリングターゲット材として酸化銅を含有するものとして説明したが、これに限定されることはなく、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属の酸化物を含有するものであればよい。
さらに、本実施形態では、金属層形成工程における熱処理条件を上述のように規定しているが、これに限定されることはなく、厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされた金属層を形成するものであればよい。
以下に、本発明に係る円筒型スパッタリングターゲット及び円筒型スパッタリングターゲットの製造方法の作用効果を確認すべく実施した確認試験の結果について説明する。
本発明例1〜11及び比較例1〜3においては、原料粉として、金属銅粉(純度:99.9mass%以上、平均粒径50μm)、酸化銅(CuO)粉(純度:99mass%以上,平均粒径5μm)を準備した。
また、本発明例12では、原料粉として、金属コバルト粉(純度:99.9mass%以上、平均粒径10μm)、酸化コバルト(CoO)粉(純度:99mass%以上,平均粒径3μm)を準備した。
さらに、本発明例13では、原料粉として、金属ニッケル粉(純度:99.9mass%以上、平均粒径5μm)、酸化ニッケル(NiO)粉(純度:99mass%以上,平均粒径3μm)を準備した。
これらの原料を、表1に記載の組成となるように秤量し、Arガス雰囲気とされたボールミル装置の容器内に、秤量した原料と、この原料の3倍の重量のジルコニアボール(直径:5mm)を投入し、3時間混合した。
得られた原料粉末を篩分けし、次いで円筒形状用の成形型に充填し、200kgf/cmの加圧下で、焼結温度を800℃として5時間保持した。
得られた焼結体を機械加工し、円筒形状のスパッタリングターゲット材((外径φ155mm−内径φ135mm)×長さL150mm)を製造した。
なお、得られたスパッタリングターゲット材の組成は、配合組成と同等であることを確認した。
得られたスパッタリングターゲット材の内周面に炭素粉末をスプレー塗布し、熱処理を行うことで、金属層(第1の金属層)を形成した。金属層形成工程の条件を表1に示す。また、形成された金属層の厚さを表1に示す。なお、金属層の厚さは、ワイヤーカット及び精密切断機を用いて切断したサンプルの断面を、EPMAを用いて観察することにより測定した。
次に、表1に示すはんだ材を用いて、SUS製のバッキングチューブ((外径φ133mm−内径φ125mm)×長さL640mm)に、4本のスパッタリングターゲット材を連ねて、はんだ接合し、接合層を形成した。
このようにして得られた円筒型スパッタリングターゲットについて、はんだ接合後にスパッタリングターゲット材と接合層との接合界面に形成された金属層(第2の金属層)の厚さ、In酸化物層の厚さを測定した。なお、はんだ接合後の金属層の厚さ、In酸化物層の厚さは、以下の方法で求めた。軸方向の3か所で、スパッタリングターゲット材と接合層との接合界面を、EPMAを用いて1000倍で観察して金属層の厚さ、In酸化物層の厚さを測定し、それぞれの測定値の平均値を算出して金属層の厚さ、In酸化物層の厚さとした。測定結果を表1に示す。
また、スパッタリングターゲット材とバッキングチューブとの接合界面を、超音波探傷装置を用いて観察し、未接合部の面積率を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006658937
金属層形成工程を実施しなかった比較例1においては、はんだ接合後に形成されるIn酸化物層の厚さが20μmと厚く、未接合部の面積率が40%となった。In酸化物層でクラックが生じたためと推測される。
スパッタリングターゲット材の金属層の厚さが1μmとされた比較例2においては、はんだ接合後に形成されるIn酸化物層の厚さが10μmと厚く、未接合部の面積率が30%となった。In酸化物層でクラックが生じたためと推測される。
スパッタリングターゲット材の金属層の厚さが75μmとされた比較例3においては、はんだ接合後に形成される金属層の厚さが75μmと厚く、未接合部の面積率が30%となった。はんだ接合後に形成される金属層でクラックが生じたためと推測される。
これに対して、スパッタリングターゲット材の金属層(第1の金属層)の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされた本発明例1〜13においては、はんだ接合後に形成される金属層(第2の金属層)の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされ、In酸化物層の厚さが5μm以下に抑えられていた。未接合部の面積率が10%以下とされており、スパッタリングターゲット材とバッキングチューブとを良好に接合することができた。
また、本発明例12では金属酸化物として酸化コバルトを含むものとし、本発明例13では金属酸化物として酸化ニッケルを含むものとしたが、これらについても、同様の作用効果が得られることが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、スパッタリングターゲット材と接合層の接合界面におけるクラックの発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる円筒型スパッタリングターゲット、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法を提供できることが確認された。
本実施形態の円筒型スパッタリングターゲットによれば、スパッタリングターゲット材は酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属の金属酸化物を含有し、接合層はIn又はIn合金からなる。このスパッタリングターゲット材と接合層の接合界面におけるクラックの発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。このため、本実施形態は、酸化銅膜等の酸化物膜を成膜するための円筒型スパッタリングターゲット及びその製造工程に好適に適用できる。
10 円筒型スパッタリングターゲット
11 スパッタリングターゲット材
12 バッキングチューブ
13 接合層
17 金属層
18 In酸化物層
27 金属層

Claims (7)

  1. 円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に、In又はIn合金からなる接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであって、
    前記スパッタリングターゲット材は、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有し、
    前記スパッタリングターゲット材と前記接合層との界面において、前記スパッタリングターゲット材側に前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層が形成され、前記接合層側にIn酸化物層が形成されており、前記スパッタリングターゲット材と前記金属層、前記金属層と前記In酸化物層、前記In酸化物層と接合層が、それぞれ直接接する状態で位置しており、
    前記金属層の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされるとともに、前記In酸化物層の厚さが5μm以下とされていることを特徴とする円筒型スパッタリングターゲット。
  2. 前記スパッタリングターゲット材は、前記金属酸化物として酸化銅を含有していることを特徴とする請求項1に記載の円筒型スパッタリングターゲット。
  3. 円筒形状をなし、その内周側にIn又はIn合金からなる接合層を介してバッキングチューブが接合されるスパッタリングターゲット材であって、
    200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有し、
    その内周面に、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層が形成されており、
    前記金属層の厚さが2μm以上35μm以下の範囲内とされていることを特徴とするスパッタリングターゲット材。
  4. 前記金属酸化物として酸化銅を含有しており、前記金属層が金属銅層とされていることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリングターゲット材。
  5. 円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に、In又はIn合金からなる接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットの製造方法であって、
    前記スパッタリングターゲット材は、200℃における酸化物生成自由エネルギーがInよりも高い金属で構成された金属酸化物を含有しており、
    前記スパッタリングターゲット材の内周面に、前記金属酸化物を構成する前記金属を含む金属層を形成する金属層形成工程と、
    前記スパッタリングターゲット材と前記バッキングチューブとを、In又はIn合金からなるはんだ材を用いてはんだ接合するはんだ接合工程と、
    を備えており、
    前記金属層形成工程において形成される前記金属層の厚さを2μm以上35μm以下の範囲内とすることを特徴とする円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
  6. 前記金属層形成工程では、前記スパッタリングターゲット材の内周面にカーボン含有材を塗布し、その後、熱処理することによって、前記金属層を形成することを特徴とする請求項5に記載の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
  7. 前記スパッタリングターゲット材は、前記金属酸化物として酸化銅を含有しており、前記金属層として金属銅層を形成することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
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