JP6331019B2 - 抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料 - Google Patents
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Description
抵抗溶接用電極としては、電極間に電流を流し、被溶接材を高温下で加圧することから、高温・高圧で変形しにくいこと、熱伝導性・電気伝導性にすぐれること、熱塑性変形を生じにくいこと、被溶接材料(あるいはこれを被覆するめっき材)と合金化しにくいこと、耐酸化性にすぐれること等の特性が求められている。
そして、これらの要求を満足させるべく、今まで、数多くの抵抗溶接用電極材料が開発されている。
従来から、抵抗溶接用電極材料としてタングステン系材料が好適に用いられているが、従来のタングステン系材料を用いて、例えば、10000A以上(例えば、10000〜55000A)の大電流を流し、被溶接材料に対して長時間の抵抗溶接を行った場合には、加圧条件下での高熱発生による電極材料の変形、熱衝撃による電極材料の割損・欠損、被溶接材料と電極間での溶着現象等のため、電極寿命が非常に短くなり、長時間に亘る継続的な抵抗溶接の実施は困難であった。
そこで、大電流を使用した抵抗溶接においても、電極寿命の長い抵抗溶接用電極材料が求められている。
「(1) 純タングステン粒子粉末と純モリブデン粒子粉末とを焼結したタングステンとモリブデンの合金焼結体からなる抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料であって、該合金焼結体におけるMo含有量は37.5〜87.5質量%であり、かつ、該合金焼結体の相対密度が98.5%以上であることを特徴とする抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料。
(2) 前記合金焼結体におけるMo含有量は50〜75質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の抵抗溶接用タングステン−モリブデン電極材料。
(3) 前記純タングステン粒子粉末および純モリブデン粒子粉末は、それぞれ、純度99.9質量%以上、かつ、平均粒径0.25〜50μmであることを特徴とする前記(1)、(2)に記載の抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料。
(4) 前記抵抗溶接用タングステン−モリブデン電極材料は、10000A以上の溶接電流が使用される抵抗溶接用電極材料として用いられることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の抵抗溶接用タングステン−モリブデン電極材料。」
に特徴を有するものである。
また、本発明における「相対密度」とは、アルキメデス法により測定されたタングステン−モリブデン合金焼結体の密度の、タングステンとモリブデンの含有比率によって求められる合金の理論密度に対する比率を意味する。
なお、仮に、酸素等の不純物元素がある程度存在したとしても、例えば、後記する真空、もしくは不活性ガス雰囲気中の熱処理によって除去・清浄化することにより、W及びMoの純度を99.9質量%以上に高めることができる。
本発明では上記所定の相対密度を備えた抵抗溶接用W−Mo合金電極材料を製造するためには、原料粉末であるW粒子粉末およびMo粒子粉末の平均粒径はそれぞれ0.25〜50μmであることが望ましい。
W粒子粉末あるいはMo粒子粉末の平均粒径が0.25μm未満である場合には、焼結時の焼結性を高め、焼結体の相対密度を98.5%以上にすることが難しくなり、また反対に平均粒径が50μmを超える場合も粒子間隙が大きくなるため焼結性を高めることが難しくなる。その結果、電極材料として要求される熱伝導性・導電性、耐熱衝撃性、耐熱塑性変形性を十分に満足させるためには、抵抗溶接用タングステン電極材料の製造用原料粉末であるW粒子粉末およびMo粒子粉末の平均粒径は0.25〜50μmとすることが望ましい。
したがって、本発明では、安定的な溶接を行い、かつ、電極の長寿命化を図るため、W−Mo合金焼結体におけるMo含有量を37.5〜87.5質量%、より好ましくは、50〜75質量%、と定めた。
前記のとおり、好ましくは、純度は99.9質量%以上で、かつ、平均粒径0.25〜50μmに整粒したW粒子粉末およびMo粒子粉末を、所定の組成になるように配合した混合原料粉末を作製し、この混合原料粉末を加圧焼結装置に装入し、該粉末に1GPa以上の加圧力を付加した状態で、1000℃以上の温度範囲で10min以上焼結することによって、本発明で規定する相対密度を有するW−Mo合金焼結体からなる抵抗溶接用W−Mo合金電極材料を製造することができる。
なお、所定の組成になるようにW粒子粉末とMo粒子粉末を配合した混合原料粉末は、焼結に先立って、予め圧粉成形体として作製しておくこともできる。
また、比表面積が大きい微粒W粒子粉末、微粒Mo粒子粉末(例えば、平均粒径4μm以下程度)を原料粉末として使用する場合には、これを圧粉成形体とし、焼結に先立って、例えば、10−1Pa以下の真空雰囲気中、もしくは熱処理容器を窒素ガスやアルゴンガス等で置換した雰囲気中で、到達温度450〜1200℃で30min以上の熱処理を行うことによって、W粒子表面、Mo粒子表面を清浄化すると、焼結反応が進行しやすくなるために、相対的に低圧条件、低温度領域であっても、短時間で焼結体の高密度化を図ることが可能である。
また、W粒子粉末およびMo粒子粉末のそれぞれの平均粒径は、0.25〜50μmの範囲内であることが望ましいが、それぞれの粒子粉末の粒径分布度数のピークが一つである(単峰ピークの粒度分布を示す)必要はなく、複数の粒径分布度数ピーク(多峰性の頻度粒度分布)を備えたW粒子粉末およびMo粒子粉末を用いることもできる。この場合、粒径の大きな粒子間隙に粒径の小さい粒子が入り込むことによって、空隙を少なくすることができるため、相対的に低圧条件、低温度領域であっても焼結反応が進行し、焼結体のより一層の高密度化が図られるとともに、熱衝撃に耐性を有する焼結体が得られる。
いずれにしても、上記のような条件で焼結し、十分な焼結時間を与えることで、高温・高圧下のW粒子粉末とMo粒子粉末からなる混合原料粉末を塑性変形させ、また、再配列させることで、高密度のタングステンとモリブデンの合金焼結体を得ることができる。
なお、焼結圧力、焼結温度の上限値は特に定めるものでないが、実操業の観点からは、焼結圧力は1〜10GPa、また、焼結温度は1000〜2000℃の範囲内であれば、本発明で規定する特性を備えた焼結体を得ることができる。
なお、本発明焼結体16〜18の作製に当たっては、原料粉末として、表1に示す複数の粒径分布度数ピーク(多峰性の頻度粒度分布)を備えたW粒子粉末およびMo粒子粉末を用いた。
ついで、これらの焼結体を加工し直径8(mm)×長さ50(mm)の抵抗溶接用W−Mo合金電極1〜19(以下、「本発明電極1〜19」という)を作製した。
なお、比較例焼結体12,13の作製に当たっては、原料粉末として、表2に示す複数の粒径分布度数ピーク(多峰性の頻度粒度分布)を備えたW粒子粉末およびMo粒子粉末を用いた。
ついで、これらの焼結体を加工し直径8(mm)×長さ50(mm)の抵抗溶接用W−Mo合金電極1〜13(以下、「比較例電極1〜13」という)を作製した。
なお、比較例焼結体1、2、7〜10、12、13、比較例電極1、2、7〜10、12、13は、Mo含有量が本発明範囲外であり、また、比較例焼結体3〜6、8、11、比較例電極3〜6、811は、相対密度が本発明範囲外の数値となっている。
ついで、これらの焼結体を加工し直径8(mm)×長さ50(mm)の抵抗溶接用W電極1〜6(以下、「参考例電極1〜6」という)を作製した。
なお、参考例焼結体1〜6、参考例電極1〜6は、Moを全く含有しないW焼結体、W電極である。
また、抵抗溶接打点(ショット)回数を測定した際の電極の状態、損傷の形態等を備考欄に記した。
また、本発明電極5、6、11〜19については、変形、クラック、溶着の発生等もなく200回以上の抵抗溶接打点(ショット)回数を示すばかりか、さらに継続使用も可能である。
そして、溶接電流値の大きさ、抵抗溶接打点(ショット)回数、電極損傷状況を総合的に判断すると、本発明電極の中でも、Mo含有量が50〜75質量%であり、また、純タングステン粒子粉末と純モリブデン粒子粉末の純度が99.9質量%以上、かつ、平均粒径0.5〜20μmである本発明電極2、4〜6は、極めて優れた電極特性を備えるといえる。
これに対して、Mo含有量、相対密度の少なくともいずれかが本発明範囲外の数値となっている比較例電極1〜13については、変形、クラック、割損、溶着の発生によって、抵抗溶接打点(ショット)回数が680回以下であり、いずれも電極寿命が短命であり、また、参考例電極1〜6として示したW電極については、クラック、割損、溶着発生のために、抵抗溶接打点(ショット)回数はせいぜい15回までであった。
つまり、本発明で規定する要件を備える本発明のW−Mo合金焼結体からなる抵抗溶接用W−Mo合金電極は、大電流条件下で使用した場合であっても、優れた特性を発揮し、長寿命を有するものであることが分かる。
Claims (4)
- 純タングステン粒子粉末と純モリブデン粒子粉末とを焼結したタングステンとモリブデンの合金焼結体からなる抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料であって、該合金焼結体におけるモリブデン含有量は37.5〜87.5質量%であり、かつ、該合金焼結体の相対密度が98.5%以上であることを特徴とする抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料。
- 前記合金焼結体におけるモリブデン含有量は50〜75質量%であることを特徴とする請求項1に記載の抵抗溶接用タングステン−モリブデン電極材料。
- 前記純タングステン粒子粉末および純モリブデン粒子粉末は、それぞれ、純度99.9質量%以上、かつ、平均粒径0.25〜50μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の抵抗溶接用タングステン−モリブデン合金電極材料。
- 前記抵抗溶接用タングステン−モリブデン電極材料は、10000A以上の溶接電流が使用される抵抗溶接用電極材料として用いられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の抵抗溶接用タングステン−モリブデン電極材料。
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