JP5937481B2 - 電子写真装置用の導電性ローラ - Google Patents
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Description
特許文献2(特開2005−4196号公報)には、ポリエーテル系ポリウレタン弾性層の表面にイソシアネート、カーボンブラック及びアクリルフッ素系ポリマーを含む表面処理剤にて表面処理した現像ローラであって、コーティングなどの複層構造とすることなく、実質的に単層ロールとすることによって、歪み回復性に優れた現像ロールが開示されている。
特許文献3(特開2007−316524号公報)には、弾性層の表面にフッ素樹脂、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレン等の熱可塑性樹脂からなる厚み5.0nm以上2.0μm未満、弾性層表面のマイクロゴム硬さHdが21以上50以下である表面層を設けた現像ロールが開示されている。薄い層にすることにより、表面層の硬さの影響を小さくして、弾性層の硬さをロールの硬さとすることができ、濃度ムラの発生しない画像を得ることができる現像ロールとされている。評価試験は10000枚出力後に行っている。
1.シャフトを中心軸として、ウレタン弾性層とその上に少なくとも1層を有するコート層(外層)を設けた構造からなる導電性ローラであって、該コート層は、バインダー樹脂がアクリル樹脂とアクリル・フッ素混合樹脂のブレンド物からなり、3〜7μmの厚さであり、該コート層にイオン導電材とカーボンを含むことを特徴とする導電性ローラ。
2.アクリル樹脂は、バインダー樹脂100部中、10〜90%であることを特徴とする1.記載の導電性ローラ。
3.コート層に含まれるイオン導電材は、バインダー樹脂100部に対して、0.5部未満であることを特徴とする1.又は2.記載の導電性ローラ。
4.電子写真装置、複写機、プリンター、FAX及びこれらの複合機の現像ローラであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の導電性ローラ。
5.帯電ローラ、転写ローラ又はクリーニングローラのいずれかであることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の導電性ローラ。
アクリル樹脂の混合比率は、バインダー樹脂100部中、10〜90%の割合が望ましい。10%以下の場合は、トナー帯電量が低くなりすぎ、白地かぶりが問題となる。一方90%以上の場合は、フッ素成分が極めて少ない事より、トナー離型性が悪くなり、供給ローラでのトナーリセット性が悪化し、現像ローラやDブレードでトナーフィルミングが発生しやすくなり問題である。膜厚は、5μm〜6μmが望ましい。3μm以下の場合、塗膜耐久性で難があり、逆に7μm以上は、粗さが下がり、Dブレードに積層したトナーがすり抜け流動しにくくなり、トナーフィルミングが発生しやすくなる。
一方、イオン導電量は、なしの場合Dブレード及びローラ表面へのトナーフィルミングが問題となり、0.5部以上では、白字かぶりが悪化する。
本発明の導電性ローラは、電子写真装置、複写機、プリンター、FAX及びこれらの複合機などの現像ローラ等の導電性ローラとして好適に用いることができる。導電性ローラとしては、帯電ローラ、転写ローラ、クリーニングローラなどとしても使用することができる。
導電性ローラは、図1、2に示された現像ローラと基本的には同様の構造である。現像ローラ1を図1、図2に示す。現像ローラ1は、導電性のシャフト2と、該シャフト2の外周面上に形成された導電性のウレタン弾性層3と、該ウレタン弾性層3の外周面上に少なくとも1層設けられるコート層4とを含む多層構造を有する。
シャフトは、両端を軸支し、駆動部品を嵌合するため両端を精密加工した細長い直円柱状であり、金属、たとえば鉄、アルミニウム合金、ステンレス鋼などが好適に用いられる。
導電性のウレタン弾性層は、導電剤を配合したポリウレタンから形成される。ポリウレタンの形成は、ポリオールとイソシアネートを主剤とする現像ローラなどの導電性ローラでは一般に用いられる樹脂組成である。
ポリオールとして、ポリエーテルポリオール(例えば、エクセノールS3003 旭硝子、エクセノールS3006 旭硝子製)を用いることができる。このポリエーテルポリオールに導電性カーボン(例えば、45L 三菱化学)と樹脂被覆カーボンをロール分散し、さらに反応性促進触媒として、ジメチル脂肪酸モノカルボン酸塩(例えば、UL28 活材ケミカル製)を添加混合して調整する。
ポリオールに硬化剤となるイソシアネートを混合する。イソシアネートとして、1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン メタ−キシレンジイソシアネート(例えば、タケネートT500三井武田ケミカル)を用いることができる。
配合する導電性付与材としては、カーボンブラックや、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物粒子を用いることができる。ゴムに対する分散性が良く、補強性にも優れる点で、カーボンブラックが好ましく用いられる。
ウレタンゴム製の弾性層の形成は、シャフトを固定した金型にポリオール成分とイソシアネート成分を混合して流し込み熱硬化させて成形する。この成形自体は従来と同様である。
また、前記ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどの中から適宜選択して採用することが出来る。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール及びそれらの混合物等が挙げられ、前記ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、2個以上の活性水素含有基を有する化合物を出発原料とし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシドの開環付加反応により得られるものを採用することができる。
なお、この2個以上の活性水素含有基を有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール、ショ糖等の3価以上の多価アルコール;レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等の多価フェノール;エチレンジアミン、トリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、イソホロンジアミン等の多価アミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、それらの変性物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いる。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸と多価アルコールの縮合反応により得られるものを採用することができる。
なお、このジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラブロモフタル酸等のハロゲン含有ジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体、これらの酸無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
このジカルボン酸とともにポリエステルポリオールを構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記イソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアナートメチル(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)などの脂環式ポリイソシアネート;上記の各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、または、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートなどが挙げられ、これらは、1種が単独で、又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。
コート層(表面層)は、バインダー樹脂として、アクリル樹脂とアクリル・フッ素混合樹脂のブレンド物を主成分とする。
アクリル樹脂の混合比率は、バインダー樹脂100部中、10〜90%の割合が望ましい。10%以下の場合は、トナー帯電量が低くなりすぎ、白地かぶりが問題となる。一方90%以上の場合は、フッ素成分が極めて少ない事より、トナー離型性が悪くなり、供給ローラでのトナーリセット性が悪化し、現像ローラやDブレードでトナーフィルミングが発生しやすくなり問題である。
さらにコート層には、導電性付与材や表面改質剤を添加、分散させて被膜を形成する。これらの添加剤は、イオン導電剤、カーボン、Siオイルなどである。
本発明の導電性ローラは、電子写真装置、複写機、プリンター、FAX及びこれらの複合機などの現像ローラとして好適に用いることができる。帯電ローラ、転写ローラ、クリーニングローラなどとしても使用することができる。
現像ローラ(導電性ローラ)1は、シャフト2の外周に導電性のウレタン弾性層3を従来公知の押出成形や型注入成形などによって製造することができる。導電性のウレタン弾性層3を整形、研磨したのち、コート層(表面層)4である外層をディッピング等の手段によりコートする。
図1に示す現像ローラ1は、シャフト2を中心軸として、導電性ポリウレタン弾性層3とその上に少なくとも1層を有するコート層(外層)4を設けた構造である。
シャフト2、導電性ポリウレタン弾性層3及びコート層4からなる現像ローラに用いられる基本構成要素は従来例と同様である。
ウレタンゴム製の弾性層の形成は、シャフトを固定した金型にポリオール成分とイソシアネート成分を混合して流し込み熱硬化させて成形する。この成形自体は従来と同様である。
[実施例1]
(ウレタン弾性層)
ポリオールとしてエクセノールS3003(ポリエーテルポリオール、旭硝子製 OHv=56mgKOH/g、MW3000:35WT%)とエクセノールS3006(ポリエーテルポリオール、旭硝子製 OHv=33mgKOH/g、MW5000:65wt%)に導電性カーボンである45L(三菱化学製)と樹脂被覆カーボン(三菱化学製)を6.5wt%となるようにロール分散したものと、さらに反応性促進触媒として、UL28(ジメチル脂肪酸モノカルボン酸塩 活材ケミカル製)をウレタン総量に対し、150ppm添加混合した。
これらポリオールと触媒を主剤として、硬化剤のイソシアネートは、タケネートT500(1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン メタ−キシレンジイソシアネート、三井武田ケミカル製)を主剤100gに対し、6.9g計量、混合し金型に流し込み熱硬化させた。
コート層は、アクリル樹脂(NK380:日本触媒製)とアクリル・フッ素混合樹脂(TR101:DIC製)のブレンド物を用いる。バインダー樹脂100部は、アクリル樹脂30部/アクリル・フッ素樹脂70部の混合割合の構成とし、このバインダー樹脂にイオン導電材0.1部(三光化学製)とカーボン12.5部(セイカブラックSS−01−942:大日精化製)とSiオイル0.25部(FM0721:チッソ株式会社製)を添加して調整した。
コート層の膜厚は、5μmとした。
実施例2〜8及び比較例1〜5について、実施例1と同様のウレタン弾性層の表面に表1に記載した組成のコート層を形成した現像ローラを作成した。
実施例1〜8及び比較例1〜5の現像ローラについて、Dブレードのフィルミング、現像ローラ表面のトナーフィルミング、現像ローラの耐摩耗評価及び加速試験機を用いて3時間試験を行った。及び、白地かぶり試験を行った。試験結果を表1に示す。
Dブレード・トナーフィルミング、耐摩耗評価:
加速試験用ユニットにローラをセットし、所定バアイス(−100V)を現像ロー ラに印加し、230rpmでローラを空回転させ、加速試験評価を実施。
その後、Dブレード表面・ローラ表面を目視にて観察。
白字かぶり:
白ベタ画像を出力し、OPC上のトナー残り(メンディングテープ貼り付け)をマ クベス濃度計で評価した。
(1)比較例1及び2は、バインダー樹脂として、アクリルを含まない例又はアクリル・フッ素樹脂を含まない例であって、白地かぶりが発生あるいはフィルミングが発生している。これに対して、コート膜厚が5μmと同じである実施例1〜6は全て良好な結果であることから、バインダー樹脂としてアクリルとアクリル・フッ素樹脂の双方をブレンドすることが有効であることがわかる。
(2)アクリルとアクリル・フッ素樹脂は、試験結果から、10〜90:90〜10の比率で有効である。アクリルが10%以下の場合は、トナー帯電量が低くなりすぎ、白地かぶりが発生(比較例1)し、一方90%以上の場合は、フッ素成分が極めて少ない事より、トナー離型性が悪くなり、供給ローラでのトナーリセット性が悪化し、現像ローラやDブレードでトナーフィルミングが発生(比較例2)しやすくなり問題である。
(3)コート層の膜厚については、2μmの比較例5では、対摩耗性が不良であり、白地かぶりも発生している。一方、膜厚8μmの比較例6では、Dブレードにトナーフィルミングが生じている。同組成である実施例1、7、8の結果から、コート層の膜厚は3〜7μmが適していることがわかる。5μm前後が極めて良好な評価が得られている。
(4)イオン導電材については、実施例1、6及び比較例3、4に着目すると、添加量は0.1〜0.5部未満が適量であることが判明した。
(5)以上を総合すると、アクリルとアクリル・フッ素樹脂を10〜90:90〜10の比率のブレンド物をバインダー樹脂とし、イオン導電剤を0.1〜0.5部未満添加した3〜7μmの膜厚を備えたコート層が、長寿命の現像用ローラとして適していることがわかる。
2 シャフト
3 導電性ポリウレタン弾性層
4 コート層(表面層)
Claims (5)
- シャフトを中心軸として、ウレタン弾性層とその上に少なくとも1層を有するコート層(外層)を設けた構造からなる導電性ローラであって、
該コート層は、バインダー樹脂がアクリル樹脂とアクリル・フッ素混合樹脂のブレンド物からなり、3〜7μmの厚さであり、
該コート層にイオン導電材とカーボンを含むことを特徴とする導電性ローラ。 - アクリル樹脂は、バインダー樹脂100部中、10〜90%であることを特徴とする請求項1記載の導電性ローラ。
- コート層に含まれるイオン導電材は、バインダー樹脂100部に対して、0.5部未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性ローラ。
- 電子写真装置、複写機、プリンター、FAX及びこれらの複合機の現像ローラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラ。
- 帯電ローラ、転写ローラ又はクリーニングローラのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ローラ。
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