JP5936982B2 - ブラシ装置及びこれを備えた直流モータ - Google Patents
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Description
ブラシは通常ブラシ装置に収められており、このブラシが厚み方向に沿って付勢されて整流子と当接することによって整流が実行される。そして、コイルに通電している電流の方向が切替ることにより回転子が回転する。
ところで、従来のブラシ付き直流モータにおいては、電流の方向が切替る際(以下、「整流時」と記す)、ブラシと整流子との接触の影響でチャタリングが起きると、ブラシと整流子間に火花が発生し、この火花によりブラシ寿命が短縮するという問題があった。
更に、騒音や電磁ノイズ等の原因となることが知られている。
このトーションスプリングは、組付け性及びコスト面において有利であるため、現在、多く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の直流モータには、ブラシボックスとその中に保持されたブラシが開示されており、このブラシを整流子に圧接させるための捩りコイルばね(トーションスプリング)が配設されている。
そして、ブラシの外側端面(整流子と圧接する面と反対側の面)は、緩やかな断面円弧状の曲面として形成されており、捩りコイルばねの自由端は、この外側端面を押圧するよう構成されている。
また、この技術を採用すると、組付け性や、コスト面においても有利である。
しかし、特許文献1のように、トーションスプリングを使用すると、このトーションスプリングの足長は一定であるため、ブラシが磨耗するに従い、トーションスプリングとブラシ被押圧面との接点位置が移動するという問題が生じる。
簡単に説明すると、図11に示すように、ブラシが磨耗する前では、トーションスプリングの先端は、ブラシの重心位置M11の直上に位置しており、トーションスプリングは、ブラシをその重心位置M11に向って押圧することができる。
このため、ブラシの接触が片当りとなって不安定となる。
図13に押圧位置の軌跡を示す。
上記のような状態が起きると、整流時間も短くなり、不足整流による火花発生も懸念される。
つまり、係合押圧部をブラシ本体方向に移動させる(引出す)ことができる。
ブラシ本体は整流を行うことにより磨耗すると、その径方向側端面(押圧面)は、整流子側へと後退することとなる。
つまり、径方向側端面(押圧面)は移動することとなる。
そして、トーションスプリングにおける問題点であった、ブラシ本体と整流子との接触安定性の問題は上記(請求項1)のように解消され、トーションスプリングの利点とともに、ブラシ本体と整流子との接触を恒常的に安定化させることも可能となる。
また、係合押圧部と係合凹部が係合しているため、長さ調整機構における係合押圧部の引出し(つまり、長さ調整)が容易かつ確実に行える。
よって、より確実に、ブラシ本体と整流子との接触を恒常的に安定化させることが可能となる。
このため、ブラシが磨耗するに従い、トーションスプリングからの押圧力を受ける接点位置が変わることなく、このため押圧位置は一定範囲となり、ブラシの接触が片当りとなって不安定になることが回避される。
また、整流時間を長く維持し、不足整流による火花発生を抑制することができる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、ブラシ装置におけるブラシ周りの構造を変更して、ブラシが使用に伴い磨耗した場合であっても、ブラシと整流子との接触を恒常的に安定化させることが可能なブラシ装置及びこれを備えた直流モータに関するものである。
本実施形態に係るモータMは、ブラシ装置Sを除いて、公知のブラシ付き直流モータの構成を採用したものである。
本実施形態に係るモータMは、図1に示すように、出力軸となるシャフト1と、コイル2が形成された鉄心3と、整流子4と、界磁機構としての磁石5と、ブラシ装置Sと、これらを内部に収納するハウジング6とを主たる構成要素として構成されている。
なお、本実施形態においてはモータMとして一方向回転モータを例示しているため、シャフト1は一方向に回転する構成となる。
シャフト1には鉄心3が固定されており、その周囲には鉄心3の外周を囲むように磁石5が配置されている。
また、シャフト1には整流子4もまた固定されている。
この整流子4は、回転に伴って、ブラシ装置Sのブラシ本体11と当接する整流子片4aが切り替わることにより、コイル2を流れる電流の向きを切り替える。
このブラシ装置Sは、エンドブラケット10に、整流子4の径方向に延びるように一対取付けられており、本実施形態においては、シャフト1を中心として略90°離隔して配設されている。
このブラシ本体11の外側端面(整流子4と摺接する面と反対側の端面)には、係合凹部11aが形成されている。
なお、このブラシ本体11の構成は、本発明の主要構成の一つであるため、後に詳述する。
なお、このスプリング13の構成もまた、本発明の主要構成の一つであるため、後にブラシ本体11の構成と併せて詳述する。
換言すると、整流子4は、その外周面においてブラシ本体11の前端面(摺接面11B)に接しながら同面上を摺動することとなる。
すなわち、ブラシ本体11は、未消費の状態からモータMの利用時間の経過に伴って徐々に厚み方向に磨耗し、ブラシ本体11として適当に機能することができなくなるまで消費される。
図2及び図3には、本実施形態に係るブラシ装置S及びスプリング13が示されている。
図2に示すように、エンドブラケット10には、スプリング支持柱10aが、ブラシ装置Sが配設される側に凸となるように突設されている。
螺旋部13Cは螺旋状に旋回されたバネ部であり、その中空部には、スプリング支持柱10aが嵌合する。
また、ブラシ側端部13Bは、螺旋部13Cの接線方向に延出した棒状の他端部であり、その先端部は、後述する長さ調整機構13Aに接続されている。
この本体側端部13eは、特許請求の範囲の「付勢手段のブラシ本体側端部」に相当する。
つまり、スプリング13の係合押圧部13bは、ブラシ本体11の係合凹部11aに係止されるよう構成されている。
以下、調整部13aの端部(係合押圧部13bが形成されている側と反対側の端部)を「調整部端部13d」と記す。
この調整部端部13dは、特許請求の範囲の「調整部のうち係合押圧部が形成された側と反対側の一端部」に相当する。
前述の通り、本体側端部13eは、ブラシ側端部13Bの先端部であり、調整部端部13dは、調整部13aの一端部(係合押圧部13bが形成されている側と反対側の一端部)である。
具体的には、スプリング13のブラシ本体11側に延びる側の端片を略中央部付近で切断して使用するとよい。
つまり、ブラシ本体11は、前述の通り、摺接面11B側の端部を突出させた状態で、その他部分が収納ボックス12に収納されており、この状態において、摺接面11Bは整流子4と圧接している。
よって、ブラシ本体11は、この係止点(係合凹部11aの位置)からスプリング13によりブラシ重心M1方向へと押圧されることとなる。
図5に示すように、初期状態では、ブラシ本体11は、摺接面11B側の端部を突出させた状態で、その他部分が収納ボックス12に収納される。そして、この状態において、摺接面11Bは整流子4と圧接しており、押圧面11Aに形成された係合凹部11aにスプリング13の係合押圧部13bが係止されていることとなる。
よって、ブラシ本体11は、この係止点からスプリング13によりブラシ重心M1方向へと確実に押圧されている。
つまり、押圧点は、ブラシ重心M1の直上(係合凹部11aの位置)であることは変わらず、よって、ブラシ本体11と整流子4とは安定的に圧接することとなる。
図7(a)には、初期状態(ブラシ本体11が磨耗していない状態)を示す。
この状態においては、調整部13aの露出部分はt1である。
この状態からブラシ本体11が磨耗すると、図7(b)に示す状態となる。
つまり、t2−t1分の距離だけ引出されることとなる。
換言すれば、t2−t1分の距離だけ長くなったこととなり、係合押圧部13bは係合凹部11a部分を押し、つまり、ブラシ重心M1に向ってブラシ本体11を押圧することとなる。
以上のように、ブラシ本体11が使用に伴い磨耗した場合であっても、ブラシ本体11と整流子4との接触を恒常的に安定化させることが可能となる。
このため、ブラシ本体11が磨耗するに従い、スプリング13からの押圧力を受ける接点位置が変わることなく、このため押圧位置は一定範囲となり、ブラシの接触が片当りとなって不安定になることが回避される。
また、整流時間を長く維持し、不足整流による火花発生を抑制することができる。
上記の実施形態に係る長さ調整機構13Aにおいては、チューブ13cに覆われた部位である本体側端部13eと調整部端部13dとの間には何も設けられていないものとして説明した。このような構成であっても、チューブ13cが調整部端部13dを一定の力で押し出すことが可能な素材で形成し、チューブ13cの内孔面と調整部端部13dの外面との相互の摩擦力が最適なものとなるように、チューブ13cの内孔面又は調整部端部13dの外面の表面性状を選定することで、上記のように、調整部端部13dは、チューブ13cの内孔からブラシ本体11方向に引き出される。このようにすれば、次に説明する変形例に係る長さ調整機構13Ax,13Ayよりも簡単な構成で、ブラシ本体11に、整流子4に向かう方向の応力を付加することができる。
10‥エンドブラケット、10a‥スプリング支持柱、10b‥スプリング支持片、
11‥ブラシ本体、11A‥押圧面、11B‥摺接面、11a‥係合凹部、
12‥収納ボックス、12a‥ピグテール突出孔、12b‥スプリング貫通孔、
13‥スプリング(付勢手段)、13A,13Ax,13Ay,13Az‥長さ調整機構、13B‥ブラシ側端部、13C‥螺旋部、13D‥固定側端部、13a‥調整部、13b‥係合押圧部、13c‥チューブ(被覆部)、13d‥調整部端部、13e‥本体側端部、
14‥ピグテール、
15a‥ゴム、15b,15c‥板ばね
M‥モータ(直流モータ)、S‥ブラシ装置
Claims (8)
- 整流子の径方向に延出するブラシ本体と、
該ブラシ本体の径方向側端面を径方向内側へ向かって押圧して、前記ブラシ本体を前記整流子に圧接させる付勢手段と、を少なくとも備えたブラシ装置であって、
前記付勢手段は、径方向以外の方向から前記ブラシ本体を前記整流子方向へと押圧するものであるとともに、前記付勢手段のブラシ本体側端部には、長さ調整機構が備えられており、
前記長さ調整機構は、
前記付勢手段の前記ブラシ本体側端部と分離して、前記ブラシ本体側に配設される調整部と、
該調整部の前記ブラシ本体側に形成された係合押圧部と、
前記付勢手段の前記ブラシ本体側端部と、前記調整部のうち前記係合押圧部が形成された側と反対側の一端部と、を被覆する被覆部と、を有して構成されており、
前記係合押圧部は、前記被覆部内を前記ブラシ本体方向へ移動可能に構成されていることを特徴とするブラシ装置。 - 前記ブラシ本体が収納される収納ボックスを備え、
前記付勢手段は、トーションスプリングであり、
前記長さ調整機構は、前記収納ボックスの側面であって前記ブラシ本体の径方向側端面よりも前記整流子から径方向に離隔する位置から前記収納ボックス内部に進入して、前記係合押圧部が前記ブラシ本体の径方向側端面に接していることを特徴とする請求項1に記載のブラシ装置。 - 前記長さ調整機構は、前記付勢手段の前記ブラシ本体側端部及び前記調整部の前記一端部双方の間に配置され、前記双方の端面に当接する弾性部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ装置。
- 前記弾性部材は、ゴム又はばねから形成されていることを特徴とする請求項3に記載のブラシ装置。
- 前記ブラシ本体の径方向側端面には、前記係合押圧部の形状に整合し、前記係合押圧部を係止する係合凹部が形成されており、
前記係合押圧部は、前記係合凹部に係合し、
前記ブラシ本体の磨耗により、前記ブラシ本体の径方向側端面が前記整流子方向に移動した際、前記長さ調整機構の前記係合押圧部が、前記被覆部内を移動して前記ブラシ本体方向へ引出されることにより、前記係合押圧部と前記係合凹部との係合状態は維持されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブラシ装置。 - 前記係合押圧部は、前記調整部の前記一端部の延出方向を基準として前記ブラシ本体側に膨出するように湾曲して形成されており、
前記係合凹部は、前記係合押圧部に係合する、断面略V字形状、断面略U字形上、断面略円弧形状、のいずれかに形成された溝若しくは孔部であることを特徴とする請求項5に記載のブラシ装置。 - 前記係合凹部は、前記ブラシ本体の重心点の径方向線上に形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載のブラシ装置。
- 前記整流子と、該整流子を有する回転子と、前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブラシ装置と、を少なくとも備えた直流モータ。
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