JP5935256B2 - p型拡散層形成組成物、p型拡散層の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法 - Google Patents

p型拡散層形成組成物、p型拡散層の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、p型拡散層形成組成物、p型拡散層の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う。また、裏面のn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面にアルミペーストを印刷し、これを焼成して、n型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミペーストによって形成されるアルミ層は導電率が低く、シート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミ層は焼成後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。さらに、シリコンとアルミニウムでは熱膨張率が大きく異なることから、焼成および冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、結晶粒界のダメージ、結晶欠陥増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、ペースト組成物の塗布量を減らし、裏面電極層を薄くする方法がある。しかしながら、ペースト組成物の塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不十分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
そこで、例えば、アルミニウム粉末と、有機質ビヒクルと、熱膨張率がアルミニウムよりも小さく、かつ、溶融温度、軟化温度および分解温度のいずれかがアルミニウムの融点よりも高い無機化合物粉末とを含むペースト組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アルミニウムの代わりにホウ素化合物を拡散源として用いる手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらにアルコキシシランの加水分解生成物と不純物拡散成分等を含む拡散剤組成物を用いた不純物拡散層の形成方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−223813号公報 特開2002−539615号公報 特開2011−82247号公報
しかしながら、特許文献1に記載のペースト組成物を用いた場合でも充分に反りを抑制することができないことがわかった。また、特許文献2に記載の、p型拡散層を形成するためのドーパント源にホウ酸を用いて拡散工程を行う場合、拡散能力が不十分であり、十分なBSF効果が得られないという課題があった。
また、従来知られているホウ素等のアクセプタ元素を含むペーストを拡散源として塗布してp型拡散層を形成する方法では、アクセプタ元素を有する化合物が揮散ガス化して、拡散が必要とされる領域以外にも拡散する(アウトディフュージョン)場合がある。そのため、特に選択エミッタと呼ばれる特定の領域にのみp型拡散層が形成された半導体基板を得ることが難しいという問題点がある。
さらに、アルコキシシランの加水分解生成物及びホウ素化合物を原料とする拡散液は、アウトディフュージョンの問題だけでなく、スクリーン印刷ができないという課題があった。
加えて、太陽電池のコストの大部分を占めるシリコン基板の薄型化は今後避けることはできず、ますます基板の反りを抑制する必要が重要となる。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、半導体基板を用いた太陽電池素子の製造工程において、必要とされる領域以外にもp型拡散層が形成されることを抑制しながら、p型拡散層を形成することが可能なp型拡散層形成組成物、並びにこれを用いたp型拡散層の製造方法及び太陽電池素子の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> シリコンアルコキシド及びホウ素化合物の反応生成物であるホウ素含有ケイ素酸化物の少なくとも1種を含み、前記ホウ素含有ケイ素酸化物が、体積平均粒径0.01μm〜50μmの粒子であるp型拡散層形成組成物、
<2> 前記ホウ素化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、及びホウ酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載のp型拡散層形成用組成物。
<3> 前記ホウ素化合物が下記一般式(I)で表されるホウ酸エステルである前記<1>又は<2>に記載のp型拡散層形成組成物。

(式中、R、R及びRは各々独立に、炭素数1〜10の有機基又は水素原子を示し、R〜Rのうち少なくとも1つは炭素数1〜10の有機基である)
<4> 前記ホウ素含有ケイ素酸化物は、ケイ素原子に対して0.1〜5.0のモル比でホウ素原子を含む前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物。
<5> さらに分散媒を含む前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物。
<6> 前記分散媒はバインダーを含む前記<5>に記載のp型拡散層形成組成物。
<7> 半導体基板上に、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を塗布する工程と、熱拡散処理を施す工程と、を有するp型拡散層の製造方法。
<8> 半導体基板上に、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を塗布する工程と、熱拡散処理を施してp型拡散層を形成する工程と、前記p型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
<9> 前記熱拡散処理は、800℃以上で行われる前記<8>に記載の太陽電池素子の製造方法。
本発明によれば、半導体基板を用いた太陽電池素子の製造工程において、必要とされる領域以外にもp型拡散層が形成されることを抑制しながら、p型拡散層を形成することが可能なp型拡散層形成組成物、並びにこれを用いたp型拡散層の製造方法及び太陽電池素子の製造方法を提供することができる。
本発明の太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 (A)は、太陽電池素子を表面から見た平面図であり、(B)は(A)の一部を拡大して示す斜視図である。 本発明の太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<p型拡散層形成組成物>
本発明のp型拡散層形成組成物は、シリコンアルコキシド及びホウ素化合物の反応生成物であるホウ素含有ケイ素酸化物の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
シリコンアルコキシド及びホウ素化合物の反応生成物を含むことで、アウトディフュージョンを抑制しながら、p型拡散層を所望の領域にのみ形成することができる。
また例えば、ホウ素化合物に起因する吸湿性も抑えることができるため、分散媒との反応や水分との反応を抑制できるため、p型拡散層形成組成物としての化学的安定性が向上する。さらにホウ素原子は前記反応生成物中で拡散することが可能であるため、熱拡散処理中においても、p型拡散層形成組成物の拡散性能を保持することが可能である。
これは例えば以下のように考えることができる。
シリコンアルコキシドとホウ素化合物とを反応させて得られるホウ素含有ケイ素酸化物においては、ホウ素化合物に由来する構造が酸化ケイ素ネットワーク(シリカゲルマトリクス)中に分散して存在していると考えられる。そのためホウ素化合物自体の性質と大きく異なる性質を示すと考えられる。例えば、ホウ素化合物自体の揮発性が抑制されるため、半導体基板(例えば、シリコン基板)にp型拡散層を形成する高温におけるホウ素化合物のアウトディフュージョンを抑制できる。すなわち所望の領域にのみp型拡散層を形成することができる。
従って、本発明のp型拡散層形成組成物を用いることで、従来は選択的な領域にのみp型拡散層を形成する際に必要とされたマスク処理工程が不要となる。
(ホウ素含有ケイ素酸化物)
前記ホウ素含有ケイ素酸化物は、シリコンアルコキシドとホウ素化合物とを反応させて得られる反応生成物であれば、特に制限されない。また前記ホウ素含有ケイ素酸化物は、シリコンアルキキシドとホウ素化合物とを反応させた後、未反応のホウ素化合物等の少なくとも一部を除去して得られるものであることが好ましい。これによりアウトディフュージョンをより効果的に抑制することができる。
前記シリコンアルコキシドとしては、ゾル−ゲル反応を起こしうる化合物であれば特に制限なく通常用いられる化合物から適宜選択することができる。ここでいうゾル−ゲル反応とは、シリケートの加水分解とシラノール基の縮合反応を意味し、結果としてケイ素−酸素結合を繰り返し単位とする三次元架橋したシリカゲルマトリックスを形成する反応である。
前記シリコンアルコキシドを構成するアルコキシ基の数は1以上であれば特に制限されない。アウトディフュージョン抑制の観点から、アルコキシ基の数が2〜4であることが好ましく、3〜4であることがより好ましく、4であることがさらに好ましい。
またシリコンアルコキシドを構成するアルコキシ基の数が3以下の場合、シリコンアルコキシドは、ケイ素原子の原子価が4になるように水素原子、ヒドロキシ基及び炭化水素基から選ばれる置換基をさらに有することが好ましい。
前記炭化水素基としては、脂肪族基であっても芳香族基であってもよい。中でも炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基等が好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基等を挙げることができる。
シリコンアルコキシドとしては、炭素数1〜10のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランであることが好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランであることがより好ましい。
前記アルコキシ基におけるアルキル基部分は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれのアルキル基であってもよい。中でも直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
またシリコンアルコキシドが有する複数のアルキコキシ基は、同一のアルコキシ基であっても、互いに異なるアルコキシ基であってもよい。
シリコンアルコキシドとして具体的には、シリコンメトキシド(例えば、テトラメトキシシラン)、シリコンエトキシド(例えば、テトラエトキシシラン)、シリコンプロポキシド(例えば、テトラプロピルオキシシラン)、シリコンブトキシド(例えば、テトラブトキシシラン)などを例示することができる。
中でも、入手の容易さからシリコンメトキシド、シリコンエトキシドを用いることが好ましい。
また前記ホウ素化合物としては、ホウ素原子と酸素原子を含んで構成される化合物であれば特に制限はない。具体的には、ホウ酸、酸化ホウ素、及びホウ酸エステル等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
酸化ホウ素とはBで表される化合物であり、結晶化物であっても、ガラス質であってもどちらでもよい。ホウ酸とはHBO、又はB(OH)で表される化合物である。これらの化合物は水に溶解してHBOの状態で存在し、シリコンアルコキシドと反応生成物を形成し得る。従って、酸化ホウ素、ホウ酸以外にも、水に溶解してHBOとなる化合物であれば前記ホウ素化合物として用いることができる。
また前記ホウ素化合物は、ホウ酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ホウ酸エステルは、シリコンアルコキシドと混合した状態でゾル−ゲル反応が進行する際に、例えば、B−O−Si結合を形成しやすく、ホウ素化合物に起因するアウトディフュージョンがより抑制されやすくなる傾向にある。
前記ホウ酸エステルは、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(I)中、R、R及びRは各々独立に、炭素数1〜10の有機基又は水素原子を示し、R、R及びRのうち少なくとも1つは炭素数1〜10の有機基である。
前記有機基としては炭素原子と水素原子を少なくとも含んで構成される基であれば特に制限されない。前記有機基は、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基等の脂肪族基であっても、芳香族基であってもよい。前記脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、さらに置換基を有していてもよい。また前記芳香族基は、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基のいずれであってもよく、さらに置換基を有していてもよい。
脂肪族基及び芳香族基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子等を挙げることができる。また芳香族複素環基におけるヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を挙げることができる。
前記有機基における炭素数は1〜10であるが、1〜5であることが好ましい。また前記有機基が置換基を有する場合、置換基に含まれる炭素原子を含めた炭素数が1〜10である。
前記炭素数1〜10の有機基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;プロペニル基、ブテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等)などが挙げられる。
これらのなかでも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
また一般式(I)におけるR〜Rのうち少なくとも1つは炭素数1〜10の有機基であるが、R〜Rのうち少なくとも2つが炭素数1〜10の有機基であることが好ましく、R〜Rのすべてが炭素数1〜10の有機基であることがより好ましい。
またR〜Rのうち2以上が炭素数1〜10の有機基の場合、それらは同一であっても、互いに異なっていてもよい。
前記ホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、及びホウ酸トリブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記ホウ素含有ケイ素酸化物に含まれるケイ素原子とホウ素原子との比率は特に制限されず目的に応じて適宜選択することができる。拡散性とアウトディフュージョン抑制の観点から、ケイ素原子1モルに対してホウ素原子が0.1〜5.0モルであることが好ましく、0.2〜3.0モルであることがより好ましい。
前記比率が、0.1以上であると拡散能力がより向上する傾向にある。また5.0以下であるとアウトディフュージョンをより効果的に抑制できる傾向にある。
なお、ホウ素含有ケイ素酸化物に含まれるケイ素原子とホウ素原子との比率は、ICP発光分光分析装置、グロー放電質量分析等を用いて常法により測定することができる。
前記ホウ素含有ケイ素酸化物の製造方法は、前記シリコンアルコキシドとホウ素化合物との反応生成物を得ることが可能であれば特に制限されない。例えば、シリコンアルコキシドとホウ素化合物とを、溶媒中に溶解又は分散し、必要に応じて酸又はアルカリ等の触媒を加えて、溶媒及びシリコンアルコキシドに由来するアルコールの少なくとも一部を除去する方法を挙げることができる。このような製造方法においては、シリコンアルコキシドの加水分解反応及び脱水反応に伴うゾル−ゲル反応が進行して、ケイ素−酸素結合のネットワーク(シリカゲルマトリクス)中にホウ素化合物に由来する構造を含むホウ素含有ケイ素酸化物を得ることができる。
前記溶媒としては、前記ゾル−ゲル反応の進行が可能な溶媒であれば特に制限はない。中でもシリコンアルコキシドの加水分解反応及び脱水反応によって生成する重合前駆体を溶解可能なものであることが好ましい。
具体的にはカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性溶剤(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性炭化水素溶剤(トルエン、キシレン等)、塩素系溶剤(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水等を用いることができる。
中でも、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が好ましい。
これらは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記製造方法に用いる溶媒の量は、シリコンアルコキシド1質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。100質量部以下であることでシリコンアルコシキドのゾル−ゲル反応の速度低下を抑制できる傾向がある。
また前記製造方法においては、酸及びアルカリ等の触媒を用いてもよい。触媒を用いることで加水分解及び脱水縮重合を容易に調節することができる。
アルカリとしては特に制限されず、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア等の一般的なものから適宜選択することができる。
また酸としては、無機プロトン酸及び有機プロトン酸を挙げることができる。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸等が挙げられる。また有機プロトン酸としては、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
前記製造方法に触媒を用いる場合、用いる触媒の量はその種類等に応じて適宜選択できる。例えばシリコンアルコキシド1質量部に対して0.0001質量部〜1質量部とすることができ、0.001〜0.1質量部であることが好ましい。
特に触媒として酸を用いる場合、酸の量によりゾルの溶媒への溶解度が変化するため、ゾルが可溶な溶解度になるように調節することが好ましい。
また前記製造方法においては、金属の塩を含む溶液をシリコンアルコキシドのゾル溶液に添加して、ゾル−ゲル反応を進行させて、複合酸化物を形成させてもよい。金属の塩としては、硝酸塩、塩化物塩等のハロゲン化物塩、及び硫酸塩等を挙げることができる。また金属としては、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、及びチタン等を挙げることができる。
前記金属の塩として具体的には、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、オキシ硝酸ジルコニウム、塩化チタン、塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸チタン、及び硫酸アルミニウム等が挙げられる。
これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属の塩の溶媒としては塩を溶解するものであれば特に制限はない。例えばカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水を用いることができる
前記製造方法に金属の塩を用いる場合、金属の塩の添加量は金属の塩の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、シリコンアルコキシド1質量部に対して、0.01〜1質量部とすることができ、アクセプター元素の基板内への拡散性観点から、0.02〜0.1質量部であることが好ましい。
前記製造方法におけるシリコンアルコキシドとホウ素化合物の反応温度は、用いるシリコンアルコキシド、ホウ素化合物及び溶媒等に応じて適宜選択することができる。例えば、シリコンアルコキシド及びホウ素化合物に由来して生成するアルコールの沸点以上であることが好ましく、前記アルコール及び溶媒の沸点以上であることが好ましい。具体的には40〜500℃であることが好ましく、100〜300℃であることがより好ましい。
また前記反応は、減圧下で行なってもよく、その場合は減圧下における前記アルコールや溶媒の沸点等に応じて反応温度を適宜選択することができる。
また前記製造方法におけるシリコンアルコキシドとホウ素化合物の反応時間は、反応温度等に応じて適宜選択することができる。例えば10分間〜20時間とすることができ、製造工程の簡略化の観点から、10分間〜10時間であることが好ましい。
前記製造方法におけるシリコンアルコキシドとホウ素化合物の添加量の比率は特に制限されず目的に応じて適宜選択することができる。拡散性とアウトディフュージョン抑制の観点から、ケイ素原子1モルに対してホウ素原子が0.1〜5.0モルとなるようにシリコンアルコキシドとホウ素化合物の添加量を調整することが好ましく、0.2〜3.0モルとなるように調整することがより好ましい。
前記比率が、0.1以上であると拡散能力がより向上する傾向にある。また5.0以下であるとアウトディフュージョンをより効果的に抑制できる傾向にある。
以下に前記ホウ素含有ケイ素酸化物の製造方法について具体例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
シリコンアルコキシド、例えばシリコンエトキシドをゾル−ゲル反応の溶媒、例えばエタノールに溶解し、酸またはアルカリとして、例えば硝酸水溶液を加え、室温で撹拌してシリカゾルを調製する。この水溶液にホウ酸エステル等のホウ素化合物を加えて撹拌する。次いで、25℃〜100℃で溶媒の少なくとも一部を除去することでシリコンアルコキシドの加水分解、脱水縮合が完結する。溶媒の除去は揮発成分が実質的になくなって固形物となるまで行なってもよいし、溶媒が一部残存したゲル状体となるまで行なってもよい。
またこの製造方法においては、ホウ素化合物としてホウ酸エステルを用いることが好ましい。ホウ酸エステル自体も縮合反応可能なため、より効率よくホウ素含有ケイ素酸化物を得ることができる。
ホウ素化合物が存在する状態でシリコンアルコキシドの加水分解、脱水縮合を行うことで、シリカゲルマトリクス内に、ホウ素化合物由来の構造として例えば酸化ホウ素様の構造が形成される。ホウ素原子がシリカゲルマトリクス内に取り込まれていることで、ホウ素化合物に由来する揮発成分の発生が抑制され、p型拡散層形成時におけるアウトディフュージョンを抑制することができる。
特に、ホウ素化合物をエステル類として加えることで、より効率的にシリカゲルマトリクス内にホウ素原子を化学結合した状態でとじこめることができる。
また、このような状態であってもホウ素原子はシリカネットワーク内を拡散することができるため、p型拡散層形成組成物の拡散性能を保持することが可能である。
また前記製造方法は、必要に応じて未反応のホウ素化合物の少なくとも一部を除去する精製工程をさらに有していてもよい。これによりアウトディフュージョンをより効果的に抑制することができる。
精製工程としては特に制限されない。例えばホウ素化合物を溶解可能な溶媒で洗浄する方法を挙げることができる。
ホウ素含有ケイ素酸化物を固形物として得る場合、適宜選択される粉砕方法によって粒子状とすることが好ましい。
この場合、ホウ素含有ケイ素酸化物の形状としては、略球状、扁平状、ブロック状、板状、および鱗片状等が挙げられる。p型拡散層形成拡散層形成組成物とした場合の基板への塗布性や均一拡散性の点から略球状、扁平状、または板状であることが望ましい。
またホウ素含有ケイ素酸化物の粒径は、50μm以下であることが望ましい。粒径が50μm以下のホウ素含有ケイ素酸化物を用いた場合には、平滑な塗膜が得られやすい。更に、前記粒径は10μm以下であることがより望ましい。なお、下限は特に制限されないが、0.01μm以上であることが好ましい。
ここで、ホウ素含有ケイ素酸化物の粒径は、体積平均粒径を表し、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置等により測定することができる。
p型拡散層形成組成物中のホウ素含有ケイ素酸化物の含有比率は、塗布性、アクセプタ元素の拡散性等を考慮し適宜決定される。一般には、p型拡散層形成組成物中のホウ素含有ケイ素酸化物の含有比率は、0.1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、1質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。
本発明のp型拡散層形成組成物はホウ素含有ケイ素酸化物の少なくとも1種を含むものであるが、前記ホウ素含有ケイ素酸化物は、p型拡散層を形成する際にp型拡散層形成組成物に含まれていればよい。すなわち例えば、後述するp型拡散層の製造方法において、半導体基板にシリコンアルコキシドとホウ素化合物とを含む組成物を付与して組成物層を形成し、半導体基板上の組成物層中でホウ素含有ケイ素化合物を生成させてから、熱拡散処理してp型拡散層を形成してもよい。
また前記p型拡散層形成組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で前記シリコンアルコキシド及び前記ホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
前記p型拡散層形成組成物がシリコンアルコキシドを含む場合、シリコンアルコキシドの含有率は、前記ホウ素含有ケイ素酸化物に対して、100質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。100質量%以下であると、p型拡散層形成組成物の拡散性能がより向上する傾向がある。
さらに前記p型拡散層形成組成物がホウ素化合物を含む場合、ホウ素化合物の含有率は、前記ホウ素含有ケイ素酸化物に対して、200質量%以下であることが好ましく、100質量%以下であることがより好ましい。200質量%以下であるとより効果的にアウトディフュージョンを抑制できる傾向にある。
前記p型拡散層形成組成物は、さらに分散媒を含むことが好ましい。分散媒を含むことで半導体基板への付与性が向上し、所望の形状にp型拡散層を形成することがより容易になる。
前記分散媒とは、p型拡散層形成組成物中において上記ホウ素含有ケイ素酸化物を分散させる媒体である。具体的に分散媒としては、溶剤、バインダーなどが採用される。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
p型拡散層形成組成物とした場合、基板への塗布性の観点から、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルが好ましい。
前記p型拡散層形成組成物は、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロースエーテル類、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム類、キサンタン、グア及びグア誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、又はこれらの共重合体、他にも、シロキサン樹脂を適宜選択しうる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
バインダーの分子量は特に制限されず、組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが望ましい。
またp型拡散層形成組成物中の分散媒の含有比率は、塗布性、ドナー濃度を考慮して適宜決定される。
p型拡散層形成組成物の粘度は、塗布性を考慮して、10mPa・s以上1000000mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以上500000mPa・s以下であることがより好ましい。
前記p型拡散層形成組成物は、上記成分に加えて、添加剤、増粘剤、湿潤剤等を含んでいてもよい。添加剤としては例えば、界面活性剤、無機粉末、有機ホウ素化合物、有機アルミニウム化合物、などが挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。半導体デバイスへのアルカリ金属や重金属等の不純物の持ち込みが少ないことからノニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤が好ましい。更にはノニオン系界面活性剤としてシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤が例示されるが、拡散等の過熱時に速やかに焼成されることより、炭化水素系界面活性剤が好ましい。
炭化水素系界面活性剤としては、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体、アセチレングリコール化合物等が例示されるが、半導体デバイスの抵抗値のバラツキをより低減することから、アセチレングリコール化合物がより好ましい。
無機粉末としては、フィラーとして機能させることができ、窒化ホウ素、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを例示することができる。
有機ホウ素化合物としては、有機ホウ素ポリマーなどが挙げられ、分子中に10個以上のホウ素原子を含むものであればよく、分子構造に特に制約はない。
また、本発明のn型拡散層形成組成物はSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt及びAuからなる群より選ばれる金属元素の合計含有量が1質量%未満であることが好ましい。これらの金属元素は空の3dまたは4d軌道を持っており、キラー元素として働く可能性がある。つまり、半導体中の少数キャリアのライフタイムを低下させるため、半導体性能を劣化させる可能性がある。
次に、本発明のp型拡散層及び太陽電池素子の製造方法について説明する。
まず、p型半導体基板であるシリコン基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得る。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する。太陽電池素子は、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
次に、p型半導体基板の裏面すなわち受光面ではない面のp型層の上に、上記p型拡散層形成組成物を塗布する。本発明では塗布方法には制限がない。例えば、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法がある。
なお、p型拡散層形成組成物の組成によっては、塗布後に、組成物中に含まれる溶剤を揮発させるための乾燥工程が必要な場合がある。この場合には、80℃〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分〜10分間、乾燥機などを用いる場合は10分〜30分間程度で乾燥させる。この乾燥条件は、p型拡散層形成組成物の溶剤組成に依存しており、本発明では特に上記条件に限定されない。
上記p型拡散層形成組成物を塗布した半導体基板を、600℃〜1250℃で熱処理する。この熱処理により、半導体基板中へホウ素元素が拡散し、p型拡散層が形成される。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。熱拡散雰囲気は酸素の割合が5体積%未満であることが好ましい。
熱処理の温度は、好ましくは800℃〜1000℃であり、600℃以上であると、不純物の拡散が充分に行なわれ、充分なBSF効果が得られる。また1250℃以下であると、半導体基板の劣化を抑制できる。
また熱拡散処理時間はp型拡散層形成組成物に含まれるアクセプタ元素の含有率等に応じて適宜選択することができる。例えば1分〜60分間とすることができ、2分〜30分間であることが好ましい。
さらに前記拡散処理は、短時間熱処理(RTP)技術を用いて実施することもできる。
熱処理後のp型拡散層の表面には、ガラス層が形成されているため、このガラスをエッチングにより除去する。エッチングとしては、ふっ酸等の酸に浸漬する方法、苛性ソーダ等のアルカリに浸漬する方法など公知の方法が適用できる。
次に、p型拡散層を形成した側をSiOなどでマスクし、オキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って片面にn型拡散層を形成する。このとき、オキシ塩化リン雰囲気を用いた方法では、リンの拡散は側面にも及び、n型拡散層は表面のみならず、側面にも形成される。そのために、側面のn型拡散層を除去するために、サイドエッチが施される。また、マスク材料をフッ酸などによって除去する。このようにして、片面にp型拡散層、もう片面にn型拡散層を形成されたp型半導体基板を作製できる。
さらに本発明のp型拡散層及び太陽電池素子の製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に表す模式断面図である。以降の図面においては、共通する構成要素に同じ符号を付す。
図1(1)では、p型半導体基板10であるシリコン基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得る。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する(図中ではテクスチャー構造の記載を省略する)。太陽電池素子は、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
次に、図1(2)では、オキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層12を形成する。このとき、オキシ塩化リン雰囲気を用いた方法では、リンの拡散は側面及び裏面にも及び、n型拡散層は表面のみならず、側面、裏面にも形成される。そのために、側面のn型拡散層を除去するために、サイドエッチングが施される。
そして図1(3)では、p型半導体基板10の裏面すなわち受光面ではない面のn型拡散層の上に、上記p型拡散層形成組成物を塗布して、p型拡散層形成組成物層13を形成する。本発明では、塗布方法には制限がないが、例えば、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法が挙げられる。
上記p型拡散層形成組成物の塗布量としては特に制限は無いが、例えば、ガラス粉末量として0.01g/m〜100g/mとすることができ、0.1g/m〜10g/mであることが好ましい。
なお、p型拡散層形成組成物の組成によっては、塗布後に、組成物中に含まれる溶剤を揮発させるための乾燥工程が必要な場合がある。この場合には、80℃〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分〜10分、乾燥機などを用いる場合は10分〜30分程度で乾燥させる。この乾燥条件は、p型拡散層形成組成物の溶剤組成に依存しており、本発明では特に上記条件に限定されない。
次いで、上記p型拡散層形成組成物層13を形成した半導体基板10を、600℃〜1200℃で熱拡散処理する。この熱拡散処理により、図1(3)に示すように半導体基板中へアクセプタ元素が拡散し、p型拡散層14が形成される。熱拡散処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。また、熱拡散処理時の炉内雰囲気は、空気、酸素、窒素等に適宜調整することもできる。
熱拡散処理時間は、p型拡散層形成組成物に含まれるアクセプタ元素の含有率などに応じて適宜選択することができる。例えば、1分間〜60分間とすることができ、2分間〜30分間であることがより好ましい。
形成されたp型拡散層14の表面には、ガラス層(不図示)が形成されているため、このホウ酸ガラスをエッチングにより除去する。エッチングとしては、ふっ酸等の酸に浸漬する方法、苛性ソーダ等のアルカリに浸漬する方法等公知の方法が適用できる。
従来の製造方法では、裏面にアルミペーストを印刷し、これを焼成してn型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。しかしながら、アルミペーストから形成されるアルミ層の導電率は低く、シート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミ層は焼成後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。さらに、シリコンとアルミでは熱膨張率が大きく異なることから、焼成および冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、反りの原因となる。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池素子の搬送や、タブ線と呼ばれる銅線との接続において、太陽電池素子を破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更に太陽電池素子が割れ易い傾向にある。
しかし本発明の製造方法によれば、上記本発明のp型拡散層形成組成物によってn型拡散層をp型拡散層に変換した後、別途このp型拡散層の上に電極を設ける。そのため裏面の電極に用いる材料はアルミニウムに限定されず、例えばAg(銀)やCu(銅)などを適用することができ、裏面の電極の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となり、さらに全面に形成する必要もなくなる。そのため焼成および冷却の過程で発生する半導体基板中の内部応力及び反りを低減できる。
図1(4)では、n型拡散層12の上に反射防止膜16を形成する。反射防止膜16は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜16がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHの混合ガスを原料とするプラズマCVD法により形成する。このとき、水素が結晶中に拡散し、シリコン原子の結合に寄与しない軌道、即ちダングリングボンドと水素が結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH/SiHが0.05〜1.0、反応室の圧力が13.3Pa(0.1Torr)〜266.6Pa(2Torr)、成膜時の温度が300℃〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
図1(5)では、表面(受光面)の反射防止膜16上に、表面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷塗布乾燥させ、表面電極18を形成する。表面電極用金属ペーストは、(1)金属粒子と(2)ガラス粒子とを必須成分とし、必要に応じて(3)樹脂バインダー、(4)その他の添加剤を含む。
次いで、上記裏面の高濃度電界層14上にも裏面電極20を形成する。前述のように、本発明では裏面電極20の材質や形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀、銅等の金属を含む裏面電極用ペーストを塗布し、乾燥させて、裏面電極20を形成してもよい。このとき、裏面にも、モジュール工程における太陽電池素子間の接続のために、一部に銀電極形成用銀ペーストを設けてもよい。
図1(6)では、電極を焼成して、太陽電池素子を完成させる。600℃〜900℃の範囲で数秒〜数分間焼成すると、表面側では電極用金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜16が溶融し、更にシリコン10表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)がp型半導体基板10と接触部を形成し凝固する。これにより、形成した表面電極18とp型半導体基板10とが導通される。これはファイアースルーと称されている。
表面電極18の形状について説明する。表面電極18は、バスバー電極30、及び該バスバー電極30と交差しているフィンガー電極32で構成される。図2(A)は、表面電極18を、バスバー電極30、及び該バスバー電極30と交差しているフィンガー電極32からなる構成とした太陽電池素子を表面から見た平面図であり、図2(B)は、図2(A)の一部を拡大して示す斜視図である。
このような表面電極18は、例えば、上述の金属ペーストのスクリーン印刷、又は電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着等の手段により形成することができる。バスバー電極30とフィンガー電極32とからなる表面電極18は受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
なお上述のp型拡散層及び太陽電池素子の製造方法では、p型半導体基板であるシリコン基板にn型拡散層を形成するのに、オキシ塩化リン(POCl)、窒素および酸素の混合ガスを用いているが、n型拡散層形成組成物を用いてn型拡散層を形成してもよい。n型拡散層形成組成物にはP(リン)やSb(アンチモン)などの第15族の元素がドナー元素として含有される。
n型拡散層の形成にn型拡散層形成組成物を用いる方法では、まず、p型半導体基板の表面である受光面にn型拡散層形成組成物を塗布し、裏面に本発明のp型拡散層形成組成物を塗布し、600℃〜1200℃で熱処理する。この熱処理により、表面ではp型半導体基板中へドナー元素が拡散してn型拡散層が形成され、裏面ではアクセプタ元素が拡散してp+型拡散層が形成される。この工程以外は上記方法と同様の工程により、太陽電池素子が作製される。
上記では、表面にp型拡散層、裏面にn型拡散層を形成し、更にそれぞれの層の上に表面電極及び裏面電極を設けた太陽電池素子について説明したが、本発明のp型拡散層形成組成物を用いればバックコンタクト型の太陽電池素子を作製することも可能である。
バックコンタクト型の太陽電池素子は、電極を全て裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまりバックコンタクト型の太陽電池素子では、裏面にn型拡散部位及びp型拡散部位の両方を形成しpn接合構造とする必要がある。本発明のp型拡散層形成組成物は、特定の部位にp型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池素子の製造に好適に適用することができる。
具体的には、例えば図3にその一例の概略を示すような製造工程を含む製造方法で、バックコンタクト型の太陽電池素子の製造することができる。
n型半導体基板1の表面にp型拡散層形成組成物及びn型拡散層形成組成物を、それぞれ部分的に塗布し、これを熱処理することで、p型拡散層3及びn型拡散層6を、それぞれ特定の領域に形成することができる。ペーストの塗布はインクジェットやパターン印刷法を用いることができる。n型拡散層形成組成物とは、リン元素などのドナー元素を含む拡散層形成組成物である。
これにより図3(a)に示すように、p型半導体基板1のp型拡散層3の上にはp型拡散層形成組成物の熱処理物層2が形成され、n型拡散層6の上にはn型拡散層形成組成物の熱処理物層5が形成される。
次いで、p型拡散層3の上に形成されたp型拡散層形成組成物の熱処理物層2、及び、n型拡散層6の上に形成されたn型拡散層形成組成物の熱処理物層5をエッチング等により除去する。
これにより図3(b)に示すように、図3(a)におけるp型拡散層形成組成物の熱処理物層2及びn型拡散層形成組成物の熱処理物層5がエッチング除去され、表面近傍にp型拡散層3とn型拡散層6とが選択的に形成されたn型半導体基板1が得られる。
次いでp型半導体基板1の上に反射膜又は表面保護膜7を常法により形成する。このとき図3(c1)に示すように、p型拡散層3とn型拡散層6とが表面に露出するように部分的に反射膜又は表面保護膜7を形成してもよい。
また図3(c2)に示すように、n型半導体基板1の全面に反射膜又は表面保護膜7を形成してもよい。
次いでp型拡散層3及びn型拡散層6の上に、電極ペーストを選択的に塗布し熱処理することで、図3(d)に示すようにp型拡散層3及びn型拡散層6の上に、電極4及び電極8をそれぞれ形成することができる。
尚、図3(c2)に示すようにn型半導体基板1の全面に反射膜又は表面保護膜を形成した場合は、電極ペーストとしてファイアースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図3(d)に示すようにp型拡散層3及びn型拡散層6の上に、電極4及び電極8をそれぞれ形成することができる。
図3に示す製造工程を含む製造方法で製造される太陽電池素子では、受光面に電極が存在しないため、太陽光を有効に取り込むことができる。
上述した図3で示される実施の形態では、基板の伝導型がn型の場合について説明を行ったが、この発明はp型でも適用可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に記述が無い限り、薬品は全て試薬を使用した。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
[実施例1]
(合成例1)〜ホウ素含有ケイ素酸化物の合成〜
トリイソプロピルボレート(東京化成工業製)1.0gをエタノール3gに溶解し、次いでテトラエトキシシラン(和光純薬工業製)1.1gを加えた。これに10%硝酸水溶液を1.0gを加えた。これを、40℃にて還流しながら1時間攪拌後、100℃にて攪拌しながら蒸発乾固した。得られた固体をメノウ乳鉢で粉砕し粉末として、ホウ素含有ケイ素酸化物を得た。ケイ素原子に対するホウ素原子のモル比は1.0であった。なお前記モル比はICP発光分光分析装置を用いて常法により測定した。
得られたホウ素含有ケイ素酸化物の体積平均粒子径を、レーザー回折法で測定したところ6μmであった。
(p型拡散層形成組成物の調製)
エチルセルロース(日進化成製エトセル)を6%含むテルピネオール(日本テルペン化学)溶液を調製した。この溶液9gと合成例1で合成した粉末1gとを自動乳鉢混練装置を用いて混合し、p型拡散層形成組成物を調製した。
(熱拡散及びエッチング工程)
得られたp型拡散層形成組成物をスクリーン印刷によって、スライスしたn型シリコン基板表面(156mm角)に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、窒素ガスを5L/分で流した950℃の環状炉で20分間熱拡散処理を行った。
その後ガラス層を除去するため基板を、2.5質量%HF水溶液に2分間浸漬し、流水洗浄し、乾燥を行って評価用サンプルを得た。
(シート抵抗の測定)
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗を三菱化学(株)製Loresta−EP MCP−T360型低抵抗率計を用いて四探針法により測定した。ペーストを塗布した部分は70Ω/□であり、ホウ素が拡散しp型拡散層が形成されていた。また、面内を9等分した各箇所の中心部のシート抵抗を測定したところ、標準偏差は5であった。塗布していない側(裏側)のシート抵抗は1000Ω/□以上であり、n型拡散層は実質的に形成されていないと判断された。
[実施例2]
トリイソプロピルボレート1.0gの代わりに酸化ホウ素(和光純薬工業製)0.37gを用いたこと以外は実施例1と同様にしてホウ素含有ケイ素酸化物を得て、これを用いてp型拡散層形成組成物を調製した。ホウ素含有ケイ素酸化物におけるケイ素原子に対するホウ素原子のモル比は1.0であった。
得られたp型拡散層形成組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型シリコン基板上にp型拡散層を形成して評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルのn型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は95Ω/□であった。面内シート抵抗の標準偏差は4であった。塗布していない側(裏側)のシート抵抗は750Ω/□以上であり、n型拡散層は実質的に形成されていないと判断された。
あった。
[実施例3]
実施例1においてトリイソプロピルボレートの量を1gから0.3gに変更した以外は実施例1と同様にしてホウ素含有ケイ素酸化物を得て、これを用いてp型拡散層形成組成物を調製した。ホウ素含有ケイ素酸化物におけるケイ素原子に対するホウ素原子のモル比は0.3であった。
得られたp型拡散層形成組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型シリコン基板上にp型拡散層を形成して評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルのn型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は60Ω/□であった。面内シート抵抗の標準偏差は3であった。塗布していない側(裏側)のシート抵抗は750Ω/□以上であり、n型拡散層は実質的に形成されていないと判断された。
[比較例1]
SiO粉末(和光純薬工業製)2gと、酸化ホウ素1gと、水1gとを混合し、120℃で蒸発乾固し、次いでメノウ乳鉢で粉砕して粉末を得た。
得られた粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペースト状の組成物を調製した。
得られた組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、熱拡散処理を行って評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルのn型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は95Ω/□であった。一方、裏側のシート抵抗は180Ω/□であり、塗布部以外にもホウ素が拡散していた。
[比較例2]
シランアルコキシド1.1gと、酸化ホウ素0.37gと、10%硝酸水溶液0.01gと、10%PVA水溶液0.5gと、エタノール1gとを混合した。この組成物を用いて、n型シリコン基板表面にスピンコート(回転数1000rpm)し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、窒素ガスを5L/分で流した950℃の環状炉で20分間熱拡散処理を行った。その後ガラス層を除去するため基板を、2.5質量%HF水溶液に2分間浸漬し、流水洗浄し、乾燥を行って評価用サンプルを得た。表面のシート抵抗は50Ω/□であった。また面内シート抵抗の標準偏差は10であった。塗布していない側(裏側)のシート抵抗は250Ω/□以上であった。
以上から、本発明のn型拡散層形成組成物を用いることでと、アウトディフュージョンを抑制しながら、低いシート抵抗値を有するn型拡散層を製造できることが分かる。
1 n型半導体基板
2、5 熱処理物層
3 p型拡散層
4、8 電極
6 n型拡散層
7 反射膜又は表面保護膜
10 p型半導体基板
12 n型拡散層
13 p型拡散層形成組成物層
14 p型拡散層
16 反射防止膜
18 表面電極
20 裏面電極(電極層)
30 バスバー電極
32 フィンガー電極

Claims (9)

  1. シリコンアルコキシド及びホウ素化合物の反応生成物であるホウ素含有ケイ素酸化物の少なくとも1種を含み、前記ホウ素含有ケイ素酸化物が、体積平均粒径0.01μm〜50μmの粒子であるp型拡散層形成組成物。
  2. 前記ホウ素化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、及びホウ酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のp型拡散層形成組成物。
  3. 前記ホウ素化合物が下記一般式(I)で表されるホウ酸エステルである請求項1又は請求項2に記載のp型拡散層形成組成物。

    (式中、R、R及びRは各々独立に、炭素数1〜10の有機基又は水素原子を示し、R〜Rのうち少なくとも1つは炭素数1〜10の有機基である)
  4. 前記ホウ素含有ケイ素酸化物は、ケイ素原子に対して0.1〜5.0のモル比でホウ素原子を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物。
  5. さらに分散媒を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物。
  6. 前記分散媒はバインダーを含む請求項5に記載のp型拡散層形成組成物。
  7. 半導体基板上に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を塗布する工程と、熱拡散処理を施す工程と、を有するp型拡散層の製造方法。
  8. 半導体基板上に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を塗布する工程と、熱拡散処理を施してp型拡散層を形成する工程と、前記p型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
  9. 前記熱拡散処理は、800℃以上で行われる請求項8に記載の太陽電池素子の製造方法。
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