JP2016213229A - p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法及び太陽電池素子の製造方法 - Google Patents

p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法及び太陽電池素子の製造方法 Download PDF

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明博 織田
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洋一 町井
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Abstract

【課題】シリコン基板にホウ素を位置選択的に拡散させることが可能な、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法及びこれを用いる太陽電池素子の製造方法を提供する。【解決手段】p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法は、ホウ素化合物を含有するp型拡散層形成用組成物を、シリコン基板の一部の領域に付与する工程と、p型拡散層形成用組成物を付与したシリコン基板に熱処理を施して、シリコン基板にp型拡散層を形成する工程と、p型拡散層形成用組成物の熱処理物であるガラス層又はボロンシリサイド層をシリコン基板の表面に配置した状態でシリコン基板をエッチングする工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法及び太陽電池素子の製造方法に関するものである。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャ構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って、p型シリコン基板の表面に一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行っている。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面にアルミニウムペーストを印刷し、これを熱処理(焼成)して、n型拡散層をp型拡散層にすることと、オーミックコンタクトを得ることを一括して行っている。
しかしながら、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極はシート抵抗が高いため、導電率が低い傾向にある。そこでシート抵抗を下げ、必要な導電率を得るために、通常、裏面全面に形成したアルミニウム層は熱処理(焼成)後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、シリコンとアルミニウムとでは熱膨張率が大きく異なることから、熱処理(焼成)及び冷却の過程で、アルミニウム層が、シリコン基板に大きな内部応力を発生させ、結晶粒界の損傷、結晶欠陥の増長及び反りの原因となる場合がある。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの付与量を減らし、裏面電極層を薄くする方法がある。しかしながら、アルミニウムペーストの付与量を減らすと、p型シリコン基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不十分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)が十分に得られず、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
前述の点から、p型拡散層を形成する方法として、例えば、BBrガスを用いて形成する方法がある。また、ホウ酸エステルを含む組成物を塗布することによって、選択的な塗布による所定パターンのp型拡散層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ホウ素の拡散は900℃以上の高温で実施するのが通常であり、付与されたホウ素化合物が揮発し、付与していない箇所にホウ素が拡散する、アウトディフュージョンと呼ばれる問題が発生する。そこで、例えば、特許文献2では、ホウ素化合物を付与した基板と、付与していない基板とを張り合わせ、ホウ素化合物の揮発を抑制する方法が提案されている。
また、ホウ素化合物を付与した2枚の基板を対向した状態で配置し、揮発したホウ素化合物の影響を小さくする方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、受光面の電極をすべて裏面に配置し、電極によるシャドウロスをなくした、裏面電極型(バックコンタクト型)太陽電池素子が高い発電効率を示すことが報告されている(例えば、特許文献4参照)
特開2013−77804号公報 特開2013−207185号公報 特開2011−171600号公報 特開2014−112600号公報
しかしながら、上述のBBrガスを用いてp型拡散層を形成する方法では、受光面のみならず、側面及び裏面にもp型拡散層が形成され、所望する位置に選択的にp型拡散層を形成することは困難である。
特に、特許文献4に記載のバックコンタクト型太陽電池素子では、シリコン基板に細線でn型拡散層とp型拡散層とを交互に形成するため、p型拡散層の形成位置を精密に制御する必要がある。しかしながら、また、特許文献3のような、基板の配置を変えて拡散する方法は、バックコンタクト型太陽電池素子には向かないことが分かった。つまり、特許文献3に記載の方法は、アウトディフュージョンを抑制する方法としては適さないことが明らかとなった。
そこで、本発明の課題は、シリコン基板にホウ素を位置選択的に拡散させることが可能な、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法及びこれを用いる太陽電池素子の製造方法を提供することである。
以上を踏まえ、発明者らが研究を行なった結果、ホウ素化合物を含有するp型拡散層形成用組成物をシリコン基板に付与して、熱処理を行なった後、形成されるガラス層又はボロンシリサイド層をシリコン基板の表面に配置した状態でレジストとして利用し、p型拡散層形成用組成物を付与していない箇所(非付与部)のシリコン基板の表面をエッチングすることで、非付与部に拡散したホウ素を除去するという、簡便な方法を見出した。
本発明は、以下の通りである。
<1> ホウ素化合物を含有するp型拡散層形成用組成物を、シリコン基板の一部の領域に付与する工程と、
前記p型拡散層形成用組成物を付与したシリコン基板に熱処理を施して、シリコン基板にp型拡散層を形成する工程と、
前記p型拡散層形成用組成物の熱処理物であるガラス層又はボロンシリサイド層をシリコン基板の表面に配置した状態でシリコン基板をエッチングする工程と、
を有する、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<2> 前記シリコン基板をエッチングする工程が、アルカリ水溶液又は酸水溶液を用いて行われる、前記<1>に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<3> 前記アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、前記<2>に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<4> 前記酸水溶液が、フッ酸、硝酸、酢酸、硫酸及び塩酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む、前記<2>に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<5> 前記シリコン基板をエッチングする工程の後に、ガラス層又はボロンシリサイド層を除去する工程を有する、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<6> 前記p型拡散層形成用組成物が、前記ホウ素化合物としてホウ素を含むガラス粒子と、分散媒と、を含有する前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<7> 前記ガラス粒子が、酸化ホウ素を含有する、前記<6>に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<8> 前記ガラス粒子が、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する前記<6>又は<7>に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
<9> 前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシリコン基板のp型拡散層上に、電極を形成する工程を有する、太陽電池素子の製造方法。
本発明によれば、シリコン基板にホウ素を位置選択的に拡散させることが可能な、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法及びこれを用いる太陽電池素子の製造方法を提供することができる。
太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
また、本明細書において、「含有率」とは、特に記載がなければ、p型拡散層形成用組成物の全量を100質量%としたときの、各成分の質量%を表す。また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本発明は、本明細書に記載された具体的且つ詳細な内容の一部又は全てを利用せずとも実施可能である。また、本発明の概念を不明確にすることを避けるべく、公知の点については詳細な説明又は図示を省略する場合がある。
また、本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折散乱法を用いて測定される粒度分布において、小粒径側からの体積累積が50%となる粒子径として求められる。
<p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法>
本発明のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法は、ホウ素化合物を含有するp型拡散層形成用組成物をシリコン基板の一部の領域に付与する工程(以下、「付与工程」と略称する場合がある。)と、p型拡散層形成用組成物を付与したシリコン基板に熱処理を施して、シリコン基板にp型拡散層を形成する工程(以下、「熱処理工程」と略称する場合がある。)と、p型拡散層形成用組成物の熱処理物であるガラス層又はボロンシリサイド層をシリコン基板の表面に配置した状態で、シリコン基板をエッチングする工程(以下、「エッチング工程」と略称する場合がある。)と、を有する。本発明のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法は、更に必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
〔付与工程〕
付与工程では、ホウ素化合物を含有するp型拡散層形成用組成物をシリコン基板の一部の領域に付与する。
シリコン基板は、p型拡散層形成用組成物を付与する前に、前処理することが好ましい。前処理としては、例えば、以下の工程が挙げられる。尚、以下では、n型シリコン基板を用いる場合で説明するが、p型シリコン基板を用いてもよい。
n型シリコン基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャ構造をエッチングにて得る。詳細には、インゴットからスライスした際に発生するn型シリコン基板の表面のダメージ層を20質量%水酸化ナトリウム水溶液で除去する。次いで、1質量%水酸化ナトリウムと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャ構造を形成する。太陽電池素子は、受光面側にテクスチャ構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
(p型拡散層形成用組成物)
p型拡散層形成用組成物は、ホウ素化合物を含有する。ここで、p型拡散層形成用組成物とは、ホウ素化合物を含有し、シリコン基板に付与した後に熱処理することで、ホウ素がシリコン基板に拡散してp型拡散層を形成する組成物をいう。p型拡散層形成用組成物は、分散媒及びバインダを更に含むことが好ましい。
ホウ素化合物としては、例えば、酸化ホウ素、ホウ酸エステル、ホウ素オキソ酸、ホウ素をドープしたケイ素粒子、ホウ酸カルシウム、ホウ酸、ホウ素含有酸化ケイ素化合物、窒化ホウ素、ホウ素アルコキシド、ホウ素を含むガラス化合物、及びシリコン基板へ熱拡散する高温(例えば、800℃以上)において酸化ホウ素を含む化合物へ変化し得る化合物(以下、「酸化ホウ素前駆体」ともいう)が挙げられる。
これらの中でも、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸エステル、窒化ホウ素、ホウ素含有酸化ケイ素化合物、ホウ素を含むガラス化合物及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、アウトディフュージョンの抑制に効果的な観点からは、ホウ素化合物としては、窒化ホウ素、ホウ素を含むガラス化合物、又はホウ素含有酸化ケイ素化合物であることが好ましく、窒化ホウ素又はホウ素を含むガラス化合物であることがより好ましく、ホウ素を含むガラス化合物を用いることが更に好ましい。ここでいうアウトディフュージョンとは、所望するp型拡散層の形成領域以外に、p型拡散層が形成されることをいう。
ホウ素化合物としてホウ素を含むガラス化合物を用いる場合、ホウ素を含むガラス化合物としては、酸化ホウ素を含むガラス化合物であることが好ましく、酸化ホウ素とガラス成分物質の双方を含むガラス化合物であることがより好ましい。ホウ素を含むガラス化合物は、ホウ素を含むガラス粒子であることが好ましい。
ホウ素を含むガラス化合物の例としては、B−SiO含有ガラス化合物(酸化ホウ素−ガラス成分物質の順で記載、以下同様)、B−ZnO含有ガラス化合物、B−PbO含有ガラス化合物、Bをアクセプタ元素の酸化物及びガラス成分物質の双方として用いるガラス化合物等が挙げられる。
上記では1成分又は2成分を含むガラス化合物を挙げているが、B−SiO−CaO等、3成分以上を含むガラス粒子でもよい。また、Al−B含有ガラス化合物等のように、2種以上のアクセプタ元素の酸化物を含むガラス化合物であってもよい。
ガラス成分物質は、一般的に用いられるものを用いることができる。
例えば、ガラス軟化点を所望する範囲とする観点、及びシリコン基板の熱膨張係数との差を小さくする観点からは、ガラス成分物質としては、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、WO、MoO、Y、CsO、TiO、TeO、La、Nb、Ta、GeO、Lu及びMnOからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。ホウ素のシリコン基板への拡散の均一性の観点からは、ガラス成分物質としては、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO及びZrOからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
ホウ素を含むガラス化合物は、形成されたp型拡散層の抵抗率の観点、及びアウトディフュージョンの観点からは、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、WO、MoO、GeO、Y、CsO、TiO、TeO、La、Nb、Ta、Lu及びMnOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することが好ましく、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することがより好ましく、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することが更に好ましく、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO及びZrOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することが特に好ましい。
ホウ素を含むガラス粒子の形状としては、特に制限はなく、例えば、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状が挙げられる。p型拡散層形成組成物とした場合の半導体基板への付与性、拡散均一性の向上等の観点から、ホウ素を含むガラス粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
ホウ素を含むガラス化合物の平均粒子径は、p型拡散層形成組成物中におけるガラス化合物の均一な分散の容易さ、及びホウ素のシリコン基板への拡散の均一性の観点から、0.01μm〜10μmであることが好ましく、0.05μm〜8μmであることがより好ましく、0.1μm〜5μmであることが更に好ましい。
ホウ素を含むガラス化合物の軟化温度は、熱処理(焼成)の際のp型拡散層形成組成物の成分の拡散性、液だれの抑制等の観点から、200℃〜1000℃であることが好ましく、300℃〜900℃であることがより好ましい。
ホウ素を含むガラス化合物中の酸化ホウ素の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素を含むガラス化合物中の酸化ホウ素の含有率は、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、1質量%〜55質量%であることがより好ましく、5質量%〜50質量%であることが更に好ましい。ガラス化合物中に0.1質量%以上の酸化ホウ素を含むことで、シリコン基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、60質量%以下とすることで、拡散後、エッチング工程で発生するエッチング残渣の量を減らせる傾向にある。
ホウ素化合物として窒化ホウ素を用いる場合、窒化ホウ素の結晶形は、六方晶(hexagonal)、立方晶(cubic)、及び菱面体晶(rhombohedral)のいずれの結晶状態でも所望の効果を得ることができ、粒子径を容易に制御できる観点からは、六方晶が好ましい。
窒化ホウ素の平均粒子径は、p型拡散層形成組成物中における窒化ホウ素の均一な分散の容易さ、及びホウ素のシリコン基板への拡散の均一性の観点から、0.01μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜30μmであることがより好ましく、2μm〜20μmであることが更に好ましい。
窒化ホウ素の調製方法は特に制限されず、通常の方法で調製することができる。具体的には、ホウ素粉末を窒素気流中で1500℃以上に加熱する方法、融解した無水ホウ酸と窒素又はアンモニアをリン酸カルシウム存在下で反応させる方法、ホウ酸又はホウ化アルカリと、尿素、グアニジン、メラミン等の有機窒素化合物とを高温の窒素−アンモニア雰囲気中で反応させる方法、融解ホウ酸ナトリウムと塩化アンモニウムとをアンモニア雰囲気中で反応させる方法、三塩化ホウ素とアンモニアとを高温で反応させる方法などを挙げることができる。また、上記以外の製造方法であっても本発明の効果を得られる範囲であれば、いかなる方法を選択してもよい。上記製造方法の中では、高純度の窒化ホウ素を得ることができることから、三塩化ホウ素とアンモニアとを高温で反応させる方法を用いることが好ましい。
また、ホウ素化合物は、ホウ素含有酸化ケイ素化合物であってもよい。ここでホウ素含有酸化ケイ素化合物について、例示的に説明する。ホウ素含有酸化ケイ素化合物はゾル−ゲル反応に基づいてホウ素含有化合物と酸化ケイ素前駆体とを反応させて合成された化合物を意味し、上記ガラス化合物とは、合成方法が異なるものであることを区別できるように、ホウ素含有酸化ケイ素化合物と表記することとする。
酸化ケイ素前駆体とホウ素含有化合物とをゾル−ゲル反応させて得られるホウ素含有酸化ケイ素化合物は、ホウ素含有化合物が酸化ケイ素(シロキサン)の化学結合によるネットワーク中に分散した構造となるため、ホウ素含有化合物の揮発性が抑制され、シリコン基板にp型拡散層を形成する高温においてアウトディフュージョンが抑制されうる。
さらに詳細には、酸化ケイ素前駆体と、ホウ素含有化合物と、ゾル−ゲル反応に用いる溶媒と、水と、酸触媒又はアルカリ触媒とを混合し、酸化ケイ素前駆体から脱離するアルコール及び水を所定の温度で除去することで酸化ケイ素前駆体の加水分解反応が生じ、シロキサンのネットワーク中にホウ素含有化合物を含んだ酸化ケイ素化合物を合成することができる。また、ホウ素含有酸化ケイ素化合物は、吸湿性も抑えることができるため、分散媒との反応及び水分との反応が抑制され、p型拡散層形成用組成物中での化学的安定性が向上する傾向がある。
酸化ケイ素前駆体としては、シリコンメトキシド、シリコンエトキシド、シリコンプロポキシド、シリコンブトキシド等のシリコンアルコキシドを挙げることができる。入手の容易さから、酸化ケイ素前駆体としては、シリコンメトキシド及びシリコンエトキシドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。酸化ケイ素前駆体はゾル−ゲル反応の原料であり、ここでいうゾル−ゲル反応とは、シリコンアルコキシドが加水分解してシラノール基を生成し、そのシラノール基が縮合反応することであり、結果としてケイ素−酸素結合を構造単位として有する三次元架橋したシリカゲルマトリックスを形成する反応である。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒は、酸化ケイ素前駆体の重合体を溶解するものであれば特に制限はなく、エタノール、イソプロパノール等のアルコール化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒の量は、酸化ケイ素前駆体に対して0当量〜100当量が好ましく、より好ましくは1当量〜10当量である。溶媒の量が多くなりすぎると酸化ケイ素前駆体のゾル−ゲル反応が遅くなる傾向がある。
酸触媒又はアルカリ触媒は、加水分解及び脱水縮重合を調節する触媒として用いられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが一般的である。酸触媒としては無機又は有機のプロトン酸を用いることができる。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸等が挙げられる。有機プロトン酸としては、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。酸の量によりゾルの溶媒への溶解度が変化するため、ゾルが可溶な溶解度になるように酸の量を調節すればよく、酸化ケイ素前駆体に対して0.0001当量〜1当量が好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ素含有化合物としては、例えば、酸化ホウ素、ホウ酸及びホウ酸塩が挙げられる。酸化ホウ素とはBで表される化合物であり、結晶化物であっても、ガラス質であってもどちらでもよい。ホウ酸とはHBO、B(OH)で表される化合物である。ホウ酸塩とはホウ酸の塩であり、例えば、ホウ酸の硝酸塩、アンモニウム塩、塩化物塩及び硫酸塩を挙げることができる。これらの化合物は水に溶解してHBOの状態で存在する。酸化ホウ素、ホウ酸及びホウ酸塩以外にも、水に溶解してHBOとなる化合物であれば、ホウ素含有化合物の種類に制限されない。水に溶解してHBOとなる化合物としては、例えば、ホウ酸エステルが挙げられる。
上記ホウ酸エステルとしては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(I)におけるR〜Rは各々独立に、炭素数1〜10の有機基又は水素原子であり、R〜Rの少なくとも1つは、炭素数1〜10の有機基である。
一般式(I)におけるR〜Rで表される有機基は、炭素数が1〜10であれば特に制限はなく、アルキル基、官能基を有する有機基、ヘテロ原子を有する有機基及び不飽和結合を有する有機基が挙げられる。
〜Rで表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐状であることが好ましい。また、R〜Rで表されるアルキル基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表されるアルキル基は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。
〜Rで表される官能基を有する有機基において、官能基としては、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基等が挙げられる。また、R〜Rで表される官能基を有する有機基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表される官能基を有する有機基は、具体的には、例えば、クロロエチル基、フルオロエチル基、クロロプロピル基、ジクロロプロピル基、フルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、クロロフェニル基及びフルオロフェニル基が挙げられる。
〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。また、R〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基は、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルスルホキシド基、エチルスルホキシド基、フェニルスルホキシド基等が挙げられる。
〜Rで表される不飽和結合を有する有機基は、炭素数が2〜10であり、炭素数が2〜6であることが好ましく、炭素数が2〜4であることがより好ましい。R〜Rで表される不飽和結合を有する有機基は、具体的には、例えば、エチレニル基、エチニル基、プロペニル、プロピニル基、ブテニル基、ブチニル基及びフェニル基が挙げられる。
このなかでも、R〜Rで表される有機基は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル及びホウ酸トリブチルからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
ホウ素含有酸化ケイ素化合物中のホウ素含有化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素含有酸化ケイ素化合物中のホウ素含有化合物の含有率は、1質量%〜95質量%であることが好ましく、3質量%〜90質量%であることがより好ましく、5質量%〜80質量%であることが更に好ましい。ホウ素含有酸化ケイ素化合物中に1質量%以上のホウ素含有化合物を含むことで、シリコン基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、95質量%以下とすることで、拡散後、エッチング工程で発生するエッチング残渣の量を減らせる傾向にある。
p型拡散層形成用組成物におけるホウ素化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、拡散性の観点からは、p型拡散層形成用組成物におけるホウ素化合物の含有率は、0.01質量%〜99質量%であることが好ましく、1質量%〜98質量%であることがより好ましく、1質量%〜50質量%であることが更に好ましく、10質量%〜50質量%であることが特に好ましい。p型拡散層形成用組成物が0.01質量%以上のホウ素化合物を含むことで、シリコン基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、99質量%以下とすることで、p型拡散層形成用組成物の付与性が向上する傾向にある。
p型拡散層形成用組成物は更に分散媒を含有してもよい。分散媒とは、組成物中において粘度を調節するためのものであり、溶剤及び水を挙げることができる。p型拡散層形成用組成物中の分散媒の含有率は、付与性及び粘度を考慮して決定される。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール等のテルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン等のピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤などが挙げられる。
分散媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
p型拡散層形成用組成物中の分散媒の含有量は、付与性及びアクセプタ濃度を考慮し決定することが好ましい。p型拡散層形成用組成物の付与性を考慮して、粘度が10mPa・s〜1000000mPa・sとなるように分散媒を含有させることが好ましく、50mPa・s〜500000mPa・sとなるように分散媒を含有させることがより好ましい。尚、粘度は、25℃でB型粘度計(スピンドルNo4、回転数30rpm)にて測定する。
p型拡散層形成用組成物は、高粘度溶剤を更に含有してもよい。高粘度溶剤としては、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノール、1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物及びp−メンテニルフェノールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、イソボルニルシクロヘキサノール及びイソボルニルフェノールからなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。
これらの化合物は低温(例えば、400℃以下)で分解又は揮発し、且つ、嵩高い構造のために粘度が高いため、従来用いられてきたエチルセルロースのようなバインダの代替として用いることができる。特に、p型拡散層形成用組成物をスクリーン印刷法でシリコン基板に付与する場合には、p型拡散層形成用組成物を高粘度化する必要があるため、エチルセルロース等のバインダの量を増加する必要がある。この場合、乾燥工程及び焼成工程において除去しきれないバインダが抵抗体となるために、太陽電池素子の発電特性に悪影響を及ぼす場合がある。一方、高粘度溶剤を用いることで、バインダの量を残存が問題とならない程度まで減らすことができる。
p型拡散層形成用組成物における高粘度溶剤の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、印刷による塗布物の面内均一性の観点からは、p型拡散層形成用組成物における高粘度溶剤の含有率は、0.01質量%〜90質量%であることが好ましく、1質量%〜80質量%であることがより好ましく、1質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
ホウ素化合物と高粘度溶剤との含有比率は特に制限は無く、p型拡散層形成用組成物中、ホウ素化合物を1質量%〜50質量%、高粘度溶剤を1質量%〜99質量%で含有することが好ましく、p型拡散層形成用組成物中、ホウ素化合物を5質量%〜40質量%、高粘度溶剤を5質量%〜95質量%で含有することがより好ましい。
p型拡散層形成用組成物は、基板上に付与し、乾燥した状態でのホウ素化合物の飛散を防止する観点、又は粘度を調節する観点から、バインダを含んでもよい。
バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド化合物、ポリビニルアミド化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド化合物、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロースエーテル化合物、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等)、ゼラチン、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム化合物、キサンタン、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、アクリル樹脂((メタ)アクリル酸樹脂及びアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等の(メタ)アクリル酸エステル樹脂)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂及びこれらの共重合体、シロキサン樹脂、金属アルコキシドなどを適宜選択しうる。
尚、「(メタ)アクリル酸樹脂」とは「アクリル酸樹脂」及びそれに対応する「メタクリル酸樹脂」を意味し、「アルキル(メタ)アクリレート樹脂」とは「アルキルアクリレート樹脂」及びそれに対応する「アルキルメタアクリレート樹脂」を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル樹脂」とは「アクリル酸エステル樹脂」及びそれに対応する「メタアクリル酸エステル樹脂」を意味する。
これらバインダのなかでも、セルロース誘導体又はアクリル樹脂を用いることが、少量においても容易に粘度及びチキソ性が調節できる観点から好適である。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
バインダの分子量は特に制限されず、p型拡散層形成用組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが望ましい。
p型拡散層形成用組成物中のバインダの含有率は特に制限は無く、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
p型拡散層形成用組成物は、無機フィラーを更に含有してもよい。無機フィラーとしてはシリカ、クレイ、炭化ケイ素等を挙げることができ、これらの中でも少なくともシリカを成分として含むフィラーを用いることが好ましい。無機フィラーを含有することで、シリコン基板に付与したp型拡散層形成用組成物が、乾燥工程において熱ダレするのが抑制される傾向にある。熱ダレが起きる原因としては、乾燥工程における100℃〜500℃程度の温度において、高粘度溶剤等の溶剤の粘度が低下するためである。これに対して、無機フィラーを含有するp型拡散層形成用組成物では、粘度の低下が抑制され、熱ダレが抑制される傾向にある。
無機フィラーのBET比表面積は、50m/g〜500m/gであることが好ましく、100m/g〜300m/gであることがより好ましい。このような高BET比表面積の無機フィラーとして、ヒュームドシリカを挙げることができる。ヒュームドシリカは、親水性であっても疎水性であってもよい。
高BET比表面積の無機フィラーは、乾燥工程において低粘度化した溶剤との間のファンデルワールス力による相互作用によって、p型拡散層形成用組成物の粘度の低下の抑制に寄与する。BET比表面積は77Kにおける窒素の吸着量を測定することで算出することができる。
p型拡散層形成用組成物中の無機フィラーの含有率は、0.01質量%〜40質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜5質量%であることが更に好ましい。p型拡散層形成用組成物中の無機フィラーの含有率を0.01質量%以上とすることで、乾燥工程における付与物の熱ダレの発生を抑制する効果が得られる傾向にあり、40質量%以下とすることでp型拡散層形成用組成物の付与特性が確保される傾向にある。
p型拡散層形成用組成物は、アルコキシシランを更に含有してもよい。p型拡散層形成用組成物がアルコキシシランを含有することで、乾燥工程におけるp型拡散層形成用組成物の粘度の低下が抑えられる傾向にある。
アルコキシシランを構成するアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基であることが好ましく、炭素数1〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基であることが更に好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルオキシ基であることが特に好ましい。
アルキルオキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、t−オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基及びオクチルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトライソプロポキシシランからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
p型拡散層形成用組成物がアルコキシシランを含有する場合、p型拡散層形成用組成物中のアルコキシシランの含有率は、例えば、0.01質量%〜50質量%とすることができ、0.05質量%〜40質量%とすることが好ましく、0.1質量%〜30質量%とすることがより好ましい。
p型拡散層形成用組成物は、シランカップリング剤を更に含有してもよい。シランカップリング剤は、一つの分子中にケイ素原子を有し、且つ有機官能基及びアルコキシ基を有するものである。シランカップリング剤としては特に制限は無く、下記一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(II)中、nは1〜3の整数を表す。
Xはメトキシ基又はエトキシ基等のアルコキシ基を表す。nが2又は3のとき、複数のXは互いに異なっていても同じであってもよい。
一般式(II)中、Yは有機官能基を表し、具体的には、例えば、ビニル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、スチリル基、ビニルフェニル基、イソシアヌレート基、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基、グリシドキシ基、ウレイド基、スルフィド基、カルボキシル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アルキレングリコール基、アミノアルコール基、及び4級アンモニウムが挙げられる。中でも、Yとしては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、アクリロキシ基、又はメタクリロキシ基が好ましく、アクリロキシ基がより好ましい。
一般式(II)中、Rは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は主鎖の原子数2〜5で主鎖に窒素原子若しくは酸素原子を含有する2価の連結基を表す。Rで表されるアルキレン基としては、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。主鎖に窒素原子を含有する2価の連結基としては、アミノ基等が好ましい。主鎖に酸素原子を含有する2価の連結基としては、エーテル基、エステル基、アルキルカルボン酸基等が好ましい。
一般式(II)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基を表し、中でもメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。nが1のとき、複数のRは互いに異なっていても同じであってもよい。
シランカップリング剤として具体的には、例えば、以下の(a)〜(d)グループに挙げるものを使用することできる。
(a)(メタ)アクリロキシ基を有するもの:
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等
(b)エポキシ基又はグリシドキシ基を有するもの:
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等
(c)アミノ基を有するもの:
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等
(d)メルカプト基を有するもの:
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等
尚、p型拡散層形成用組成物中に含まれる成分の種類及び各成分の含有量はTG/DTA(Thermo Gravimetry Analyzer/Differential Thermal Analysis、示差熱−熱重量同時測定法)等の熱分析、NMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴法)、HPLC(High Performance Liquid Chromatography、高速液体クロマトグラフィー法)、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー法)、GC−MS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer、ガスクロマトグラフ質量分析法)、IR(Infrared spectroscopy、赤外分光法)、MALDI−MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)等を用いて確認することができる。
p型拡散層形成用組成物がシランカップリング剤を含有する場合、p型拡散層形成用組成物中のシランカップリング剤の含有率は、例えば、0.001質量%〜5質量%とすることができ、0.005質量%〜3質量%とすることが好ましく、0.01質量%〜1質量%とすることがより好ましい。
p型拡散層形成用組成物は、ライフタイムキラー元素の総量が1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下がより好ましく、100pm以下が更に好ましく、50ppm以下が特に好ましい。ライフタイムキラー元素の総量が1000ppm以下であることで、基板のライフタイムが向上する傾向にある。
ライフタイムキラー元素としては、例えば、Fe、Cu,Ni、Mn、Cr、W及びAuが挙げられる。これらの元素量は、ICP(高周波誘導結合プラズマ、Inductively Coupled Plasma)質量分析装置、ICP発光分析装置、又は原子吸光分析装置で分析することができる。また、シリコン基板中のキャリアのライフタイムはマイクロ波光導電減衰法(μ−PCD法)により測定することができる。上記の元素は、シリコン基板中での拡散速度が速いことから、シリコン基板のバルク内の至る所へ到達し、再結合中心として働く。
p型拡散層形成用組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、ホウ素化合物及び高粘度溶剤を、ブレンダー、ミキサ、乳鉢、ローターを用いて混合することで得ることができる。また、混合する際は、必要に応じて加熱してもよい。混合に際して加熱する場合、加熱温度は、例えば、30℃〜100℃とすることができる。
上記のようにして得られるp型拡散層形成用組成物を、シリコン基板の一部の領域に付与する。バックコンタクト型の太陽電池素子用のシリコン基板の場合には、裏面(すなわち受光面に対する反対の面)の一部の領域に、p型拡散層形成用組成物を付与する。両面受光型の太陽電池素子用のシリコン基板の場合には、裏面に、p型拡散層形成用組成物を付与する。
p型拡散層形成用組成物の付与方法は特に制限はなく、印刷法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレーコート法、ドクターブレード法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
シリコン基板の単位面積当たりのp型拡散層形成用組成物の付与量は、0.01mg/cm〜50mg/cmであることが好ましく、0.1mg/cm〜30mg/cmであることがより好ましく、0.2mg/cm〜20mg/cmであることが更に好ましい。0.01mg/cm以上のp型拡散層形成用組成物を付与することで、十分な量のホウ素をシリコン基板中へ拡散することができ、低抵抗化する傾向がある。また、50mg/cm以下のp型拡散層形成用組成物を付与することで、不要なホウ素化合物の量を減らすことができ、アウトディフュージョンが抑制される傾向がある。
シリコン基板の単位面積当たりのホウ素化合物の付与量は、10μg/cm〜2000μg/cmであることが好ましく、20μg/cm〜1500μg/cmであることがより好ましく、50μg/cm〜1000μg/cmであることが更に好ましい。10μg/cm以上のホウ素化合物をシリコン基板に付与することで、十分な量のホウ素をシリコン基板中へ拡散することができ、低抵抗化する傾向がある。また、2000μg/cm以下のホウ素化合物をシリコン基板に付与することで、不要なホウ素化合物の量を減らすことができ、アウトディフュージョンが抑制される傾向がある。
p型拡散層形成用組成物の組成によっては、p型拡散層形成用組成物をシリコン基板に付与した後で、後述の熱処理工程の前に、溶剤を揮発させるための乾燥工程が必要な場合がある。この場合には、80℃〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分〜10分、乾燥機等を用いる場合は10分〜30分程度で乾燥させる。この乾燥条件は、p型拡散層形成用組成物の溶剤の種類及び量によって、適宜調整することができる。
〔熱処理工程〕
熱処理工程では、p型拡散層形成用組成物を付与したシリコン基板に熱処理を施して、シリコン基板にp型拡散層を形成する。
ホウ素をシリコン基板に拡散するための熱処理は、600℃〜1200℃で行うことが好ましく、850℃〜1000℃であることが好ましい。この熱処理により、シリコン基板中にホウ素が拡散し、例えば、p型拡散層及びp型拡散層が形成される。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。
熱処理を行なう際の雰囲気のガス組成は、特に制限は無く、ホウ素化合物に由来するボロンシリサイド層が形成されやすい雰囲気とすることが好ましい。例えば、ホウ素化合物がガラス化合物の場合には、熱処理によってガラス化合物が軟化し、p型拡散層形成用組成物を付与したシリコン基板の表面は、ガラス層で覆われる。ガラス層のようなp型拡散層形成用組成物の熱処理物が付与部においてシリコン基板の表面を覆うまでは、酸素等の酸化性ガスの割合を減らしてシリコン基板の表面の酸化を抑制することで、ボロンシリサイド層が形成されやすくなる。p型拡散層形成用組成物の熱処理物が付与部においてシリコン基板の表面を覆った後においては、酸素等の酸化性ガスの割合を多くしてもよい。
詳細には、ホウ素化合物がガラス化合物の場合には、ガラス化合物が軟化点で軟化して付与部においてシリコン基板の表面を覆うまでは、窒素単独等の不活性ガスの雰囲気で熱処理することが好ましい。このように雰囲気を調節することで、ゲッタリング能力が高いボロンシリサイド層が形成しやすくなる。
ボロンシリサイド層が形成された状態で熱処理すると、例えば、シリコン基板及び炉のチューブに含まれている重金属等の不純物金属(例えば、鉄及びニッケル)をボロンシリサイド層がゲッタリングする。そのため、シリコン基板中の再結合中心が減少し、シリコン基板のライフタイムを長くすることができる。
ボロンシリサイド層が形成された後の熱処理における雰囲気のガス組成は、酸素以外の成分に特に制限はなく、例えば、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン、ヘリウム、二酸化炭素、水素及び空気により構成することができる。これらの中でも、コスト及び安全性の観点から、酸素及び窒素を主成分とするガス組成であることが好ましい。尚、酸素以外のガスとして空気を用いる場合には、空気中に含まれる酸素の量も考慮して、酸素濃度を調整する。
酸素の割合は、熱処理に用いる拡散炉の排気側出口に設置した酸素濃度計で確認できる。酸素濃度計は特には制限されず、例えば、ジルコニア酸素濃度計(例えば、(株)堀場製作所製、NZ−3000)を用いることができる。
熱処理後、又は、熱処理の途中で、酸素の割合を変えて、更に熱処理してもよい。ボロンシリサイド層が形成された後に、酸素を含む雰囲気で熱処理することで、ボロンシリサイド層が酸化される。
尚、熱処理により形成したp型拡散層、p型拡散層等の表面には、p型拡散層形成用組成物の熱処理物(焼成物)としてボロンシリケートガラス層が形成されている。そのため、ボロンシリサイド層を酸化しておくことで、後の工程において、ボロンシリケートガラス層を除去するときに、ボロンシリサイド層も一括して除去することができる。
(エッチング工程)
エッチング工程では、p型拡散層形成用組成物の熱処理物であるガラス層又はボロンシリサイド層を除去せずにシリコン基板をエッチングする。これにより、p型拡散層形成用組成物を付与していない箇所(非付与部)に拡散したホウ素の少なくとも一部を除去することができる。具体的には、p型拡散層組成物を付与した箇所(付与部)と、付与していない箇所(非付与部)のシリコン基板のエッチング速度の差を利用し、非付与部の表面を多くエッチングすることで、ホウ素を除去することができる。非付与部のホウ素を除去することで、非付与部にリンなどを拡散してn型拡散層を形成する際にpn接合界面が良好となり、半導体特性が良好となる傾向にある。シリコン基板のエッチング方法としては、エッチング液に浸す方法を挙げることができる。エッチング液としては、所望の目的が達成できれば特に制限は無い。例えば、アルカリ水溶液又は酸水溶液を用いることができる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化リチウム水溶液及び水酸化バリウム水溶液を挙げることができ、これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化カリウム水溶液からなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。
エッチング液としてアルカリ水溶液を用いる場合、アルカリ水溶液を40℃〜100℃にすることが好ましく、60℃〜90℃にすることがより好ましい。アルカリ水溶液の濃度としては、10質量%〜50質量%であることが好ましく、15質量%〜40質量%であることがより好ましい。10質量%〜50質量%のアルカリ水溶液でエッチングすることで、シリコン基板の表面に欠陥が発生するのを抑制しながらエッチングすることができる。
酸水溶液としては、フッ酸、硝酸、酢酸、硫酸及び塩酸からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。酸を2種以上用いる例としては、フッ酸−硝酸−酢酸、フッ酸−硝酸、フッ酸−塩酸及びフッ酸−硫酸の混合水溶液を挙げることができる。これらの中でも、酸水溶液としては、フッ酸及び硝酸からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。エッチング液として酸水溶液を用いる場合、酸水溶液を5℃〜60℃にすることが好ましく、10℃〜50℃にすることがより好ましい。
エッチング時間は特に制限は無く、1秒間〜60分間であることが好ましい。エッチング時間は、例えば、非付与部に拡散したホウ素の濃度、及びシリコン基板表面からのホウ素の拡散の深さを考慮して決めることが好ましい。
(ガラス層又はボロンシリサイド層を除去する工程)
シリコン基板をエッチングした後、ガラス層又はボロンシリサイド層を除去することが好ましい。前述のように、熱処理の途中で酸素の割合を変えて、更に熱処理を行なった場合には、ボロンシリサイド層が酸化されるため、ガラス層の除去と一括してボロンシリサイド層も除去することができる。一方、エッチング工程までボロンシリサイド層が残って存在する場合には、上記のエッチング工程の後で、まずはボロンシリサイド層を酸化してから、エッチング液等によりボロンシリサイド層を除去することが好ましい。ボロンシリサイド層を除去することで、次いで形成されるパッシベーション層のパッシベーション効果を有効に引き出すことができる。
ガラス層を除去する方法としては、エッチング液に浸す方法を挙げることができる。ガラス層の除去のためのエッチング液としては、フッ酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶液、水酸化ナトリウムの水溶液等が挙げられる。
ボロンシリサイド層を酸化する方法としては、例えば、ドライ酸化法、水蒸気を用いたウェット酸化法、及び酸化性薬液を用いる湿式酸化法が挙げられる。
ドライ酸化法では、酸素ガスを用いる。ドライ酸化は、400℃〜780℃で行うことが好ましく、450℃〜750℃で行うことがより好ましく、500℃〜700℃で行うことが更に好ましい。ドライ酸化を400℃以上で行なうことで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化することができ、その後、エッチング液等によりボロンシリサイド層を除去しやすくなる傾向にある。また、ドライ酸化を780℃以下で行なうことで、ボロンシリサイド層にゲッタリングされたFe等の不純物金属元素がシリコン基板中へ再拡散するのを抑制することができる傾向にある。
ドライ酸化は、酸素の含有率が20体積%〜100体積%の雰囲気中で行うことが好ましく、50体積%〜100体積%の雰囲気中で行うことがより好ましく、80体積%〜100体積%の雰囲気中で行うことが更に好ましい。酸素の含有率を20体積%以上とすることで、ボロンシリサイド層の酸化速度を速めることができる。
酸素濃度は、熱処理に用いる拡散炉の排気側出口に設置した酸素濃度計で確認することができる。酸素濃度計は特には制限されず、例えば、ジルコニア酸素濃度計(例えば、(株)堀場製作所製、NZ−3000)を用いることができる。
ドライ酸化を行なう時間としては、ボロンシリサイドが酸化されれば特に制限は無い。例えば、1分間〜1時間であることが好ましく、2分間〜40分間であることがより好ましく、5分間〜30分間であることが更に好ましい。ドライ酸化を1分間以上行なうことで、一度に複数枚処理する場合にシリコン基板間の均熱性を十分に保つことができ、シリコン基板間の性能のばらつきを十分に抑えることができる。また、ドライ酸化を1時間以下で行なうことで、シリコン基板処理のスループットを向上することができる。
ドライ酸化における酸素以外のガス組成としては特に制限は無く、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン、ヘリウム、二酸化炭素、水素、空気等により構成することができる。
ドライ酸化においては、酸素に加えて、塩酸及びジクロロエタノールからなる群より選択される少なくとも一種の塩素化合物を加えてもよい。塩酸、ジクロロエタノール等を含む酸化性雰囲気とすることで、シリコン基板中に含まれる不純物アルカリ金属原子(例えば、Na)、重金属原子(例えば、Fe及びNi)等と塩素原子とが化合して揮発性物質を形成し、シリコン基板又は熱処理装置に存在する不純物金属元素を捕捉することができる。つまり、シリコン基板中への不純物アルカリ金属、重金属等の拡散を抑制することで、シリコン基板のライフタイムを長くすることができる。ガス組成中の塩素化合物の割合はガス組成分析計(例えば、京都電子工業(株)製、自動ガス測定器)を用いて測定することができる。
塩素化合物の含有率は、酸素に対して0.01体積〜5体積%であることが好ましく、0.1体積〜4体積%であることがより好ましく、0.2体積〜3体積%であることが更に好ましい。
ドライ酸化は、酸素プラズマ中で行なってもよい。酸素プラズマは、例えば、アルゴンガスと酸素ガスとからなり、酸素の流量比率が約1体積%の雰囲気中で、100Pa以上の高圧下にて、マイクロ波励起プラズマをシリコン基板の表面に作用させてプラズマ酸化処理を行なう。処理温度は20℃〜500℃で行うことが好ましい。
ウェット酸化の具体的な方法として、酸素ガスと水蒸気とを用いる酸化法、水蒸気のみを用いる酸化法、又は酸素ガスと水素ガスとを用いる酸化法であることが好ましい。
具体的には、キャリアガスによってバブラー内の脱イオン水をバブリングして水蒸気により酸化する方法、脱イオン水蒸気を流して酸化する方法、又は酸素ガスと水素ガスとを反応させて生成する水蒸気を用いて酸化する方法であることが好ましい。キャリアガスとしては、特に制限は無く、例えば、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン、ヘリウム、二酸化炭素、水素、空気、又はこれらの組み合わせにより構成することができる。
ウェット酸化は、300℃〜780℃で行うことが好ましく、350℃〜750℃で行うことがより好ましく、400℃〜700℃で行うことが更に好ましい。ウェット酸化を300℃以上で行なうことで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化することができ、その後、エッチング液等により除去しやすくなる傾向にある。また、ウェット酸化を780℃以下で行なうことで、ボロンシリサイド層にゲッタリングされたFe等の不純物金属元素がシリコン基板中へ再拡散するのを抑制することができる傾向にある。
バブリング後のガスの水分含有率として特に制限は無いが、10ppm(0.001質量%)〜30質量%であることが好ましく、100ppm(0.01質量%)〜20質量%であることがより好ましく、200ppm(0.02質量%)〜10質量%であることが更に好ましい。ガスの水分含有率を10ppm以上とすることで、ボロンシリサイドを効率よく酸化できる傾向にあり、30質量%以下とすることで、ボロンシリサイドの十分な酸化速度を達成しつつ、キャリアガスの水分含有率を制御しやすい傾向にある。
尚、水分含有率が1質量%以下の場合には、露点で水分量を管理することができ、露点は−72℃〜21℃であることが好ましい。
キャリアガス中の水分量は、水分計、露点計及び湿度計をインラインに導入して測定することができ、例えば、GEセンシング&インスペクション・テクノロージーズ社の「moisture I.Q.」、「MIS1」、「M Series Probe」、「Aurora」、(株)堀場製作所の「ガス濃度モニタIR−300Series」等を用いることができる。
酸素ガスと水素ガスとを用いて酸化する場合、水素ガス供給ラインと酸素ガス供給ラインとを有する外部燃焼装置を用い、この外部燃焼装置におけるバーニングにて生成した水蒸気を、熱処理装置に導入し、水蒸気を送り込む。この水蒸気を、乾燥窒素ガス、乾燥酸素ガス及びキャリアガスとともに熱処理部に供給して、雰囲気を制御することが好ましい。ガスの流量はマスフローコントローラーで制御することが好ましく、例えば、(株)堀場製作所製の「デジタルマスフローコントローラSEC−Z500X series」、「デジタルマスフローコントローラSEC−N100 seies」等を使用することができる。
酸化性薬液としては、ボロンシリサイド層を酸化できれば、特に制限は無い。例えば、硝酸、オゾン溶解水、過塩素酸水、硫酸、過酸化水素水、塩酸及び過酸化水素水の混合溶液、硫酸及び過酸化水素水の混合溶液、アンモニア及び過酸化水素水の混合溶液、硫酸及び硝酸の混合溶液、過塩素酸、並びに沸騰水からなる群より選択される少なくとも一つの酸化性薬液であることが好ましく、硝酸、オゾン溶解水、過酸化水素水、塩酸及び過酸化水素水の混合溶液、硫酸及び過酸化水素水の混合溶液、並びにアンモニア及び過酸化水素水の混合溶液からなる群より選択される少なくとも一つの酸化性薬液であることがより好ましく、硝酸、塩酸及び過酸化水素水の混合溶液、硫酸及び過酸化水素水の混合溶液、並びにアンモニア及び過酸化水素水の混合溶液からなる群より選択される少なくとも一つの酸化性薬液であることが更に好ましい。これらの酸化性薬液を用いることで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化することができる。
酸化性薬液として硝酸を用いる場合には、40質量%〜98質量%硝酸水溶液を用いることが好ましく、50質量%〜80質量%硝酸水溶液を用いることがより好ましく、60質量%〜75質量%硝酸水溶液を用いることが更に好ましい。共沸状態である68質量%硝酸水溶液に近い濃度の硝酸水溶液を用いることで、沸点が高くなるため、高温での処理が可能となる。具体的には、68質量%硝酸水溶液の沸点は約120℃であるため、水の沸点である100℃よりも高い温度での浸漬が可能となり、ボロンシリサイド層の酸化を促進できる傾向にある。
酸化性薬液としてオゾン溶解水を用いる場合には、1質量%〜80質量%のオゾンが溶解した水溶液であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、30質量%〜60質量%であることが更に好ましい。1質量%〜80質量%のオゾンが溶解した水溶液を用いることで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化することができる。
酸化性薬液として過酸化水素水を用いる場合には、1質量%〜60質量%の過酸化水素水溶液であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましく、20質量%〜40質量%であることが更に好ましい。1質量%〜60質量%過酸化水素水溶液を用いることで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化することができる。
酸化性薬液として、塩酸及び過酸化水素水の混合溶液を用いる場合には、1質量%〜60質量%塩酸水溶液、1質量%〜60質量%過酸化水素水の混合溶液であることが好ましい。酸化性薬液として、例えば、37質量%塩酸水溶液:30質量%過酸化水素水:HO=1:1:5(体積比)で混合したSC−2洗浄液を使用することができる。
酸化性薬液として、硫酸及び過酸化水素水の混合溶液を用いる場合には、1質量%〜99質量%硫酸水溶液、1質量%〜60質量%過酸化水素水の混合溶液であることが好ましく、例えば、97質量%硫酸水溶液:30質量%過酸化水素水=4:1(体積比)で混合したSPM洗浄液を使用することができる。
酸化性薬液として、アンモニア及び過酸化水素水の混合溶液を用いる場合には、1質量%〜50質量%アンモニア水溶液、1質量%〜60質量%過酸化水素水の混合溶液であることが好ましく、例えば、26質量%アンモニア水溶液:30質量%過酸化水素水:HO=1:1:5(体積比)で混合したSC−1洗浄液を使用することができる。
酸化性薬液として、硫酸及び硝酸の混合溶液の混合溶液を用いる場合には、1質量%〜99質量%硫酸水溶液、1質量%〜60質量%硝酸の混合溶液であることが好ましく、例えば、99質量%硫酸水溶液:69質量%硝酸水溶液=1:1(体積比)で混合した薬液を使用することができる。
酸化性薬液として過塩素酸水を用いる場合には、1質量%〜80質量%の過塩素酸水であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、30質量%〜60質量%であることが更に好ましい。1質量%〜80質量%の過塩素酸水を用いることで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化することができる。
酸化性薬液として硫酸を用いる場合には、1質量%〜99.5質量%の硫酸水溶液を用いることが好ましく、30質量%〜99質量%の硫酸水溶液を用いることがより好ましく、50質量%〜98.5質量%の硫酸水溶液を用いることが更に好ましい。1質量%〜99.5質量%の硫酸水溶液を用いることで、ボロンシリサイド層を効果的に酸化(又は分解)することができる。
酸化性薬液を用いたボロンシリサイド層の酸化は、25℃〜300℃で行うことが好ましく、40℃〜200℃で行うことがより好ましく、80℃〜180℃で行うことが更に好ましい。25℃〜300℃で行うことで、鉄の拡散速度が小さいため、ボロンシリサイド層にゲッタリングされた鉄等の不純物金属元素がシリコン基板内へ再拡散するのを抑制することができる傾向にある。つまり、シリコン基板中の不純物金属元素の含有量を可能な限り低くすることができ、基板中に発生するキャリアのライフタイムを長くすることができる。
ボロンシリサイド層を酸化する工程の処理時間に特に制限は無く、ボロンシリサイド層が酸化される時間であれば特に制限は無い。例えば、処理時間は、1分間〜1時間であることが好ましく、2分間〜40分間であることがより好ましく、5分間〜30分間であることが更に好ましい。処理時間を1分間以上とすることで、一度に複数枚処理する場合に、シリコン基板間の処理のばらつきが抑えられる傾向にある。また、処理時間を1時間以下とすることで、シリコン基板処理のスループットが向上する傾向にある。
ボロンシリサイド層を酸化した後、シリコン基板をエッチング液に浸漬する等の公知の方法によって、ボロンシリサイドの酸化層を除去する。エッチング液としては、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶液、水酸化ナトリウムの水溶液等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られるp型拡散層を有するシリコン基板は、その後、別途p型拡散層の上に電極を設けることができる。つまり、本発明によれば、p型拡散層の形成と電極の形成とを別個に行うことができ、以下の効果を奏する。
従来の製造方法では、裏面にアルミニウムペーストを印刷し、これを熱処理(焼成)してn型拡散層をp型拡散層にすることと、オーミックコンタクトを得ることを一括して行っている。しかしながら、アルミニウムペーストの導電率が低いため、シート抵抗を下げなければならず、裏面の全面に形成したアルミニウム層は熱処理(焼成)後において通常10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、シリコンとアルミニウムでは熱膨張率が大きく異なることから、熱処理(焼成)及び冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、反りの原因となる。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという傾向がある。また、反りは、モジュール工程における太陽電池素子の搬送及びタブ線と呼ばれる銅線との接続において、セルを破損させ易い傾向がある。近年では、スライス加工技術の向上から、シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れ易い傾向にある。
これに対し、本発明のシリコン基板の製造方法によれば、p型拡散層形成用組成物によってn型拡散層をp型拡散層に変換した後、別途このp型拡散層の上に電極を設ける。つまり、p型拡散層形成工程とオーミックコンタクト形成工程とを分離できる。そのため裏面の電極に用いる材料はアルミニウムに限定されず、例えば、Ag(銀)及びCu(銅)を適用することができ、裏面の電極の厚さも従来のものより薄く形成することが可能となり、更に全面に電極を形成する必要はなく、櫛型等の形状のように部分的に形成してもよい。そのため熱処理(焼成)及び冷却の過程で発生するシリコン基板中の内部応力及び反りを低減できる。
尚、n型シリコン基板にn型拡散層を形成する方法としては、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガスを用いる方法、及びn型拡散層形成用組成物を用いる方法のいずれであってもよい。n型拡散層形成用組成物には、P(リン)、Sb(アンチモン)等の第15族の元素がドナー元素として含有される。
〔p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法の一例〕
次に、図面を参照しながら、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法について説明する。図1は、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は本発明を制限するものではない。
図1は、バックコンタクト型の太陽電池素子の製造工程の例を説明する図である。図1では、n型シリコン基板10を用い、裏面側にp型拡散層13を形成し、その後、裏面側のp型拡散層13を形成していない領域にn型拡散層16を形成する。
まず、n型シリコン基板10は、アルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、n型シリコン基板10の表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄等を挙げることができる。例えば、アンモニア水−過酸化水素水の混合溶液にn型シリコン基板10を浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物及びパーティクルを除去し洗浄することができる。洗浄時間は、10秒間〜10分間であることが好ましく、30秒間〜5分間であることがより好ましい。
次いで、アルカリエッチング等によりn型シリコン基板10の両面に平坦性をもつ構造(図1(a)では図示せず)を形成する。アルカリエッチング液としては、30質量%NaOH水溶液又は30質量%KOH水溶液を用い、50℃〜95℃で行う方法を挙げることができ、例えば、特開2003−257927号公報に記載の条件を用いてもよい。
その後、図1(b)に示すように、p型拡散層形成用組成物11を裏面の一部に付与し、図1(c)に示すように熱処理して第1のp型拡散層13を形成する。熱処理温度としては850℃〜1100℃とすることが好ましい。熱処理の雰囲気としては特に制限は無く、例えば、窒素単独、酸素単独、及び大気が好適に使用される。熱処理により、p型拡散層形成用組成物11は、ガラス、ボロンシリサイド等の熱処理物(焼成物)12となっている。
その後、エッチング液にn型シリコン基板10を浸す。これにより、n型シリコン基板10の非付与部がエッチングされる。この際、p型拡散層形成用組成物の熱処理物(焼成物)12がエッチングされてもよい。エッチング液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムの水溶液等を含むアルカリエッチング液、及びフッ酸、硝酸等を含む酸エッチング液を挙げることができる。このようにして、非付与部におけるn型シリコン基板10の表面のホウ素の大部分を除去することが可能である。
次いで、図1(d)に示すように、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶液(エッチング液)に浸漬して、p型拡散層形成用組成物の熱処理物(焼成物)12を除去する。これにより、p型拡散層13を有するn型シリコン基板10が得られる。
次いで、p型拡散層13の表面に形成されるボロンシリサイド層(図示せず)を酸化するため、700℃のウエハ熱処理装置に入れ、酸素を流して、ドライ酸化する。次いで、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶液(エッチング液)により酸化されたボロンシリサイド層を除去する。
ボロンシリサイド層が十分に酸化されていれば、エッチング処理を施すとボロンシリサイド層が除去されて、シリコン基板が最表面層となり、撥水性を示す。一方、ボロンシリサイド層は、通常、親水性である。そのため、ボロンシリサイド層が十分に除去されたか否かは、シリコン基板が親水性であるか撥水性であるかによって簡便に確認することができる。撥水性の度合いは、シリコン基板上の水滴の接触角を指標とすることができる。
ボロンシリサイド層を酸化し、そしてエッチングした後のシリコン基板の表面における水滴の接触角は、30°〜170°であることが好ましく、50°〜160°であることがより好ましく、60°〜150°であることが更に好ましい。水滴の接触角が30°〜170°であれば、シリコン基板の表面にボロンシリサイド層はほとんど残存しないと考えられる。
以上により、p型拡散層を有するシリコン基板が得られる。このシリコン基板には、以降で説明するように、例えば、n型拡散層及びパッシベーション層を更に設けてもよい。
図1(e)に示すように、n型拡散層形成用組成物14を受光面の一部に付与し、図1(f)に示すように熱処理してn型拡散層16を形成する。n型拡散層形成用組成物14としては、リン又はアンチモンを含む液を用いることができ、例えば、特開2012−084830号公報に記載のものを用いてもよい。熱処理温度としては800℃〜1000℃とすることが好ましい。熱処理の雰囲気としては特に制限は無く、窒素単独、酸素単独、大気等が好適に使用される。
次いで、図1(g)に示すように、フッ化水素、フッ化アンモニウム及びフッ化水素アンモニウム等の水溶液(エッチング液)に浸漬して、n型拡散層形成用組成物の熱処理物(焼成物)15を除去する。これにより、n型拡散層16を有するn型シリコン基板10が得られる。
次いで、図1(h)に示すように、受光面側及び裏面側の表面に反射防止膜又はパッシベーション層17を形成する。反射防止膜又はパッシベーション層17は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHの混合ガスを原料とするプラズマCVD法により形成する。より具体的には、上記混合ガス流量比NH/SiHが0.05〜1.0、反応室の圧力が13.3Pa(0.1Torr)〜266.6Pa(2Torr)、成膜時の温度が300℃〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
このとき、水素が結晶中に拡散し、ケイ素原子の結合に寄与しない軌道、即ちダングリングボンドと水素が結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
また、パッシベーション層としては、熱酸化による酸化ケイ素層又はALD(原子層堆積法)による酸化アルミニウム層を用いることができる。酸化ケイ素層は、酸素、水蒸気等を流しながら500℃〜1200℃で熱処理することで形成される。
パッシベーション層の上に反射防止膜を積層させてもよく、また、受光面側と裏面側(図1では上側)で反射防止膜又はパッシベーション層17の組成を変えてもよく、また、p型拡散層13とn型拡散層16が形成されている表面で、それぞれ反射防止膜又はパッシベーション層17の組成を変えてもよい。
〔p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法の他の一例〕
次に、両面受光型の太陽電池素子に用いるシリコン基板の製造方法について説明する。この場合、n型シリコン基板10を用い、一方の面側にp型拡散層を形成し、その後、反対の面側にn型拡散層を形成する。p型拡散層及びn型拡散層の形成位置を変えること以外は、バックコンタクト型の太陽電池素子に用いるシリコン基板の製造方法と同様である。
<太陽電池素子の製造方法>
太陽電池素子の製造方法は、上述の製造方法により得られるp型拡散層を有するシリコン基板のp型拡散層上に電極を形成する工程を有する。電極の形成方法は特に制限されず、電極形成用金属ペーストをスクリーン印刷法等で付与し、熱処理(焼成)する方法、めっきで電極を形成する方法等が挙げられる。一例として、バックコンタクト型の太陽電池素子の製造工程を、図1を参照しながら説明する。
〔太陽電池素子の製造方法の一例〕
図1(i)に示すように、裏面に形成されたp型拡散層13とn型拡散層16のそれぞれの表面に、裏面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で付与して乾燥させ、電極18を形成する。裏面電極用金属ペーストは、金属粒子とガラス粒子とを必須成分とし、必要に応じて樹脂バインダ、その他の添加剤等を含む。裏面電極の材質及び形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀、又は銅等の金属を含む裏面電極用金属ペーストを付与し、乾燥させて、裏面電極を形成してもよい。また、p型拡散層13とn型拡散層16の表面で、それぞれ別の組成の電極用金属ペーストを用いてもよい。このとき、受光面にも、モジュール工程におけるセル間の接続のために、一部に銀電極形成用銀ペーストを設けてもよい。
また、電極用金属ペーストによる形成以外に、めっき法で電極を形成してもよい。例えば、特開2004−193337号公報の方法で形成することができる。
次いで、図1(j)に示すように、裏面電極用金属ペーストを熱処理(焼成)して電極を形成し、太陽電池素子を完成させる。600℃〜900℃の範囲で数秒〜数分間熱処理(焼成)すると、裏面電極用金属ペーストに含まれ得るガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜が溶融し、更に、シリコン基板の表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば、銀粒子)がシリコン基板と接触部を形成し凝固する。これにより、形成した表面電極とシリコン基板とが導通される。これはファイヤースルーと称されている。
また、電極を形成する箇所の反射防止膜又はパッシベーション層17は、予め、レーザー、エッチングペースト等を用いて穴あけされていてもよい。エッチングペーストとしては、例えば、特開2010−508663号公報の方法で形成することができる。
本発明の製造方法によって得られる太陽電池素子は、シリコン基板の不要な領域にp型拡散層が形成されるのが抑えられ、電池性能の向上が図られる。
太陽電池素子は、電極上にタブ線等の配線材料を配置し、この配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結されて太陽電池モジュールを構成してもよい。更に、太陽電池モジュールは、封止材で封止されて構成されてもよい。
〔太陽電池素子の製造方法の他の一例〕
次に、両面受光型の太陽電池素子の製造方法について説明する。この場合、一方の面のp型拡散層及び他方の面のn型拡散層のそれぞれの表面に電極を形成する。電極の材質及び形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀、銅等の金属を含む裏面電極用ペーストを付与し、乾燥させて、電極を形成してもよい。
以下、本発明の実施例を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものでは無い。尚、特に記述が無い限り、薬品は全て試薬を使用した。また「%」は断りが無い限り「質量%」を意味する。
[実施例1]
(p型拡散層形成用組成物Aの調製)
得られるガラス塊中のB、SiO、Al及びCaOの組成モル比が、それぞれ40mol%、40mol%、10mol%及び10mol%となるように、B、SiO、Al及びCaSO(いずれも(株)高純度化学研究所製)を秤量し、メノウ乳鉢で混合した。その後、白金るつぼに入れ、ガラス溶融炉にて1500℃、2時間保持し、その後、急冷してガラス塊を得た。このガラス塊をメノウ乳鉢で粉砕した後、遊星型ボールミルにて更に粉砕し、粒子形状が球状で、平均粒子径が0.35μm、軟化温度が約800℃のガラス粒子を得た。このガラス粒子、エチルセルロース及びテルピネオールをそれぞれ10g、6g及び84g混合してペースト化し、p型拡散層形成用組成物Aを調製した。
ガラス粒子の形状は、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ、「TM−1000型」)を用いて観察して判断した。ガラス粒子の平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)、「LS 13 320型」、測定波長:632nm)を用いて算出した。ガラス粒子の軟化温度は、示差熱・熱重量同時測定装置((株)島津製作所、「DTG−60H型」)を用いて、示差熱(DTA)局前により求めた。
次に、表面テクスチャ形状のn型シリコン基板(厚さ:180μm、比抵抗:3.2Ωcm、シート抵抗:200Ω/sq.)の表面に、スクリーン印刷により細線パターン(150μm幅×45mm)でp型拡散層形成用組成物Aを付与し、150℃で1分間乾燥させた。
次に、N:10L/minを流した拡散炉(光洋サーモシステム(株)、206A−M100)中にて、650℃の状態でシリコン基板を入れたボートを投入し、その後、15℃/minの昇温速度で950℃まで温度を上げ、950℃で30分間熱処理し、ホウ素をシリコン基板中に拡散させ、p型拡散層を形成した。その後、650℃まで4℃/minで降温し、650℃でボートを取り出した。
(アルカリ水溶液によるシリコン基板のエッチング)
拡散後のシリコン基板を、80℃に設定した30質量%NaOH水溶液に10分間浸漬した。次いで、純水で3回流水洗浄し、風乾した。
(酸エッチングによるガラス層及びボロンシリサイド層の除去)
次いで、シリコン基板を5質量%HF水溶液に5分間浸漬した後、超純水で3回水洗した後、風乾した。次に、上記で得られたシリコン基板を、N:2L/min、O:10L/minを流した700℃の拡散炉に入れ、30分間保持した。次いで、シリコン基板を取り出し、放冷後、5質量%HF水溶液に5分間浸漬し、超純水で3回水洗した後、風乾した。
(シート抵抗の評価)
付与部及び非付与部のシート抵抗を低抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製、Loresta MCP−T360)を用いて測定した。付与部及び非付与部のシート抵抗は、それぞれ52Ω/sq.及び200Ω/sq.であった。
(SIMSの測定)
付与部及び非付与部のシリコン基板の表面のホウ素濃度を、二次イオン質量分析計(Secondary Ion−microprobe Mass Spectrometry、SIMS)(アメテック(株)製、IMS−7F)を用いて測定した。付与部のホウ素濃度は1×1021atoms/cm、非付与部のホウ素濃度は検出限界(1×1016atoms/cm)以下であった。
[実施例2]
30質量%NaOH水溶液の代わりに30質量%KOH水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてp型拡散層を有するシリコン基板を作製した。付与部及び非付与部のシート抵抗は、それぞれ52Ω/sq.及び200Ω/sq.であった。付与部のホウ素濃度は1×1021atoms/cm、非付与部のホウ素濃度は検出限界(1×1016atoms/cm)以下であった。
[実施例3]
アルカリ水溶液によるエッチングの代わりに、0.01質量%HF、20質量%HNO水溶液に25℃にて1分間浸漬した以外は実施例1と同様にしてp型拡散層を有するシリコン基板を作製した。付与部及び非付与部のシート抵抗は、それぞれ55Ω/sq.及び200Ω/sq.であった。付与部のホウ素濃度は1×1021atoms/cm、非付与部のホウ素濃度は検出限界(1×1016atoms/cm)以下であった。
[実施例4]
(p型拡散層形成用組成物Bの調製)
ポリビニルアルコール(分子量10000、部分けん化型、和光純薬工業(株)製)を水に溶解し10質量%ポリビニルアルコール水溶液を調製した。このポリビニルアルコール水溶液8gと、六方晶の窒化ホウ素(和光純薬工業(株)製、試薬特級、平均粒子径:12μm)1.5g、ヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、R200)0.3g、界面活性剤(シリコーン系界面活性剤、東レ・ダウコーニング(株)製、SH28PA)0.2gを乳鉢で混合して、p型拡散層形成用組成物Bを調製した。
次に、表面テクスチャ形状のn型シリコン基板(厚さ:180μm、比抵抗:3.2Ωcm、シート抵抗:200Ω/sq.)の表面に、インクジェット法により細線パターン(150μm幅×45mm)でp型拡散層形成用組成物Bを付与し、150℃で1分間乾燥させた。以降の工程は、実施例1と同様にしてp型拡散層を有するシリコン基板を作製した。
付与部及び非付与部のシート抵抗は、それぞれ62Ω/sq.及び200Ω/sq.であった。付与部のホウ素濃度は6×1020atoms/cm、非付与部のホウ素濃度は検出限界(1×1016atoms/cm)以下であった。
[比較例1]
アルカリエッチングによる非付与部のエッチングを行わなかった以外は、実施例1と同様にした。
付与部及び非付与部のシート抵抗は、それぞれ55Ω/sq.及び59Ω/sq.であった。付与部のホウ素濃度は6×1020atoms/cm、非付与部のホウ素濃度は5×1020atoms/cmであった。
[比較例2]
表面テクスチャ形状のn型シリコン基板の表面に、スクリーン印刷により細線パターン(150μm幅×45mm)でp型拡散層形成用組成物Aを付与し、150℃で1分間乾燥させた。
次に、N:10L/minを流した拡散炉(光洋サーモシステム(株)製、206A−M100)中にて、650℃の状態でシリコン基板を入れたボートを投入し、その後、15℃/minの昇温速度で950℃まで温度を上げ、950℃で30分間熱処理し、ホウ素をシリコン基板中に拡散させ、p型拡散層を形成した。650℃まで4℃/minで降温し、650℃でボートを取り出した。
(酸エッチングによるガラス層の除去)
拡散後のシリコン基板を、5質量%HF水溶液に5分間浸漬し、ガラス層を除去した。次いで、純水で3回流水洗浄し、風乾した。
(アルカリ水溶液によるシリコン基板のエッチング)
次いで、80℃に設定した30質量%NaOH水溶液に10分間浸漬した。次いで、純水で3回流水洗浄し、風乾した。
(酸エッチングによるボロンシリサイド層の除去)
次いで、シリコン基板を5質量%HF水溶液に5分間浸漬後、超純水で3回水洗した後、風乾した。次に、上記で得られたシリコン基板を、N:2L/min、O:10L/minを流した700℃の拡散炉に入れ、30分間保持した。次いで、シリコン基板を取り出し、放冷後、5質量%HF水溶液に5分間浸漬し、超純水で3回水洗した後、風乾した。
(シート抵抗の評価)
付与部及び非付与部のシート抵抗を低抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製、Loresta MCP−T360)を用いて測定した。付与部及び非付与部のシート抵抗は、それぞれ195Ω/sq.及び200Ω/sq.であった。
(SIMSの測定)
付与部及び非付与部の基板表面のホウ素濃度を、二次イオン質量分析計(Secondary Ion−microprobe Mass Spectrometry、SIMS)(アメテック(株)製、IMS−7F)を用いて測定した。付与部及び非付与部のホウ素濃度はともに検出限界(1×1016atoms/cm)以下であった。
10…n型シリコン基板、11…p型拡散層形成用組成物、12…p型拡散層形成用組成物の熱処理物(焼成物)、13…p型拡散層、14…p型拡散層形成用組成物、15…p型拡散層形成用組成物の熱処理物(焼成物)、16…n型拡散層、17…反射防止膜又はパッシベーション層、18…電極

Claims (9)

  1. ホウ素化合物を含有するp型拡散層形成用組成物を、シリコン基板の一部の領域に付与する工程と、
    前記p型拡散層形成用組成物を付与したシリコン基板に熱処理を施して、シリコン基板にp型拡散層を形成する工程と、
    前記p型拡散層形成用組成物の熱処理物であるガラス層又はボロンシリサイド層をシリコン基板の表面に配置した状態でシリコン基板をエッチングする工程と、
    を有する、p型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  2. 前記シリコン基板をエッチングする工程が、アルカリ水溶液又は酸水溶液を用いて行われる、請求項1に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  3. 前記アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項2に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  4. 前記酸水溶液が、フッ酸、硝酸、酢酸、硫酸及び塩酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項2に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  5. 前記シリコン基板をエッチングする工程後に、ガラス層又はボロンシリサイド層を除去する工程を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  6. 前記p型拡散層形成用組成物が、前記ホウ素化合物としてホウ素を含むガラス粒子と、分散媒と、を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  7. 前記ガラス粒子が、酸化ホウ素を含有する、請求項6に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  8. 前記ガラス粒子が、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する請求項6又は請求項7に記載のp型拡散層を有するシリコン基板の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシリコン基板のp型拡散層上に、電極を形成する工程を有する、太陽電池素子の製造方法。
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