JP2018174275A - p型拡散層付き半導体基板の製造方法、p型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法 - Google Patents

p型拡散層付き半導体基板の製造方法、p型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造プロセスが簡略化され、かつ、発電効率の向上を実現できるp型拡散層付き半導体基板の製造方法を提供する。【解決手段】p型拡散層付き半導体基板の製造方法は、n型半導体基板10上の表面に、ホウ素を含む化合物を含有するp型拡散層形成組成物11を付与し、単位面積当たりのホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm2〜0.1mg/cm2であるp型拡散層12形成組成物層を形成する工程と、p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施す工程と、熱拡散処理後の半導体基板に、酸素濃度が1体積%〜100体積%の雰囲気中で熱酸化処理を施す工程と、半導体基板の表面を熱酸化処理により形成された熱酸化膜21で保護した状態で、半導体基板の裏面にn型拡散層14を形成する工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、p型拡散層付き半導体基板の製造方法、p型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法に関する。
まず従来の太陽電池素子の製造工程の一例について説明する。
太陽電池用基板として広く用いられているp型シリコン結晶等の結晶インゴットから数百μmほどの厚さに切り出した半導体基板に対して、表面(おもて面)及び裏面に凹凸(テクスチャー構造)を形成する。テクスチャー構造を形成することで、得られる太陽電池素子が効率よく光を吸収できる。続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において700℃〜900℃で数十分の熱処理を行って、p型半導体基板の表面に一様にn型拡散層を形成する。これによってp型半導体基板にpn接合を形成する。混合ガスを用いてリンの拡散を行った後に、p型半導体基板の裏面にある余分なn型拡散層をエッチングする。表面のリン拡散層には、表面再結合を防ぎ集光率を高めるためSiO、Al、窒化ケイ素(SiN)等の膜をパッシベーション膜として形成する。最後に、受光面である表面にAgを主成分とした電極組成物を、裏面にはAlを主成分とした電極組成物をそれぞれ塗布してこれを熱処理(焼成)してオーミックコンタクトを得る。このとき、p型半導体基板の裏側の表面にはAlによって高濃度のp型拡散層が形成される。この層は太陽電池特性を高める効果がある。
n型半導体基板を用いた太陽電池素子は、p型半導体基板を用いた太陽電池素子よりも発電効率が高いことが知られている。これは、n型半導体基板はp型半導体基板に比べてキャリアライフタイムが長く、酸素欠陥が少ないために高い発電効率を得られやすいためである。n型半導体基板を用いて太陽電池素子を作製する場合、pn接合を形成するためにホウ素等のアクセプタ元素を拡散させる工程を含むことがある。アクセプタ元素としてホウ素を拡散させる場合の方法としては、三臭化ホウ素(BBr)ガス等を用いる方法、ホウ素を含む塗布材料を用いる方法、イオン注入法などが知られている。
n型半導体基板を用いた太陽電池素子として、両面受光型太陽電池素子が知られている。両面受光型太陽電池素子は一般に、基板の一方の面にアクセプタ元素を用いてp型拡散層を形成し、更にもう一方の面にはリン等のドナー元素を用いて基板よりも若干濃度が高いn型拡散層を形成する。そして、両面において光を効率よく吸収しかつ電気を効率よく通すようにAgを主成分とした電極組成物を用いて電極を形成する。現在、両面受光型太陽電池素子は、基板の一方の面の全面に可能な限り均一にp型拡散層を形成することが求められている。そこで、アクセプタ元素としてホウ素を用いてp型拡散層を形成する場合にはBBrガス又は塗布材料が用いられることが多い。一方、リン等のドナー元素を用いてn型拡散層を形成する場合、p型シリコン半導体基板を用いた太陽電池素子の製造に実績のあるPOClガスが用いられることが多い。
両面受光型太陽電池素子を作製する際に、BBrガス、POClガス等を用いたガス拡散法を採用すると、n型半導体基板全体がガスに覆われてしまうため、n型半導体基板全体に拡散層が形成されてしまう。そこで、n型半導体基板の表面にp型拡散層、かつ裏面にn型拡散層を形成するためには、バリア膜が必要であったり、拡散層のエッチング除去が必要であったり、製造プロセスが煩雑になるという課題がある。
実際、両面受光型太陽電池素子にガス拡散法を用いてアクセプタ元素及びドナー元素を拡散する方法の一例は以下の通りである。まず、テクスチャー構造を形成したn型半導体基板の裏面にチューブ炉を用いて熱酸化膜、又はプラズマCVDを用いてSiN膜をバリア膜として形成した後、BBrガスを用いてn型半導体基板の表面にホウ素を拡散させる。次いで、洗浄して裏面のバリア膜を除去し、更にホウ素を拡散させた表面に同様のバリア膜を形成した後、POClガスを用いてn型半導体基板の裏面にリンを拡散させる。ガス拡散法を用いてアクセプタ元素及びドナー元素を拡散するこの方法では、バリア膜の形成プロセス及びその洗浄プロセスにより、両面受光型太陽電池素子の製造プロセスが煩雑になるため、簡略化することが望ましい。
特許文献1には、BBrガスを用いてホウ素を拡散させた後にn型半導体基板上に形成されるボロンシリケートガラス(BSG)層をPOClのバリア膜として形成する方法が示されている。この方法によるとBSGを厚くすることでPOClに対する高いバリア性が示されている。
特開2015−106624号公報
しかしながら、特許文献1では、BBrガスを用いてn型半導体基板の表面にホウ素を拡散させた場合、反対面であるn型半導体基板の裏面にもホウ素が拡散されてしまい、その際に形成されるBSG、ホウ素拡散層等をエッチング除去するか、又は、ホウ素拡散層をエッチング除去しない場合にホウ素拡散層にリンを高濃度に拡散させてp型拡散層を消滅させn型拡散層を形成する必要がある。反対面にてBSG、ホウ素拡散層等をエッチング除去する必要があるため、十分なプロセス簡略化がなされておらず、また、残存するp型拡散層を消滅させるほどにリンを高濃度に拡散させると、キャリア再結合が増大して太陽電池素子の発電効率が低下してしまうおそれがある。したがって、特許文献1の方法では、製造プロセスの簡略化及び太陽電池素子の発電効率に改善の余地がある。
本発明の一形態は、製造プロセスが簡略化され、かつ発電効率の向上を実現できるp型拡散層付き半導体基板の製造方法、これにより得られるp型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子の製造方法、及びこれにより得られる太陽電池素子の提供を課題とする。
前記課題を解決する手段は、以下の通りである。
<1> 半導体基板上の表面に、ホウ素を含む化合物を含有するp型拡散層形成組成物を付与し、単位面積当たりの前記ホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm〜0.1mg/cmであるp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施す工程と、前記熱拡散処理後の前記半導体基板に、酸素濃度が1体積%〜100体積%の雰囲気中で熱酸化処理を施す工程と、前記半導体基板の表面を前記熱酸化処理により形成された熱酸化膜で保護した状態で、前記半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する工程と、を有するp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<2> 前記熱拡散処理を施す工程における雰囲気の温度が930℃〜1000℃である、<1>に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<3> 前記熱酸化処理における雰囲気の酸素濃度が50体積%〜90体積%である、<1>又は<2>に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<4> 前記ホウ素を含む化合物が、Bを含有するガラス粒子を含む、<1>〜<3>のいずれか一つに記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<5> 前記ホウ素を含む化合物が、酸化物として表示したとき、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有するガラス粒子を含む、<4>に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<6> 前記p型拡散層形成組成物層に含有される前記ホウ素を含む化合物の単位面積当たりの付与量が、0.005mg/cm〜0.01mg/cmである、<1>〜<5>のいずれか一つに記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<7> 前記n型拡散層を形成する工程では、リン元素を含むガスを用いて前記n型拡散層を形成する、<1>〜<6>のいずれか一つに記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<8> 前記n型拡散層を形成する工程では、前記リン元素を含むガスの拡散処理温度が700℃〜900℃である、<7>に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<9> <1>〜<8>のいずれか一つに記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法により製造されるp型拡散層付き半導体基板。
<10> <9>に記載のp型拡散層付き半導体基板と、前記p型拡散層付き半導体基板上に設けられた電極と、を有する太陽電池素子。
<11> <1>〜<8>のいずれか一つに記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法によりp型拡散層付き半導体基板を製造する工程と、前記p型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する、太陽電池素子の製造方法。
本発明の一形態によれば、製造プロセスが簡略化され、かつ発電効率の向上を実現できるp型拡散層付き半導体基板の製造方法、これにより得られるp型拡散層付き半導体基板太陽電池素子の製造方法、及びこれにより得られる太陽電池素子が提供される。
本実施形態の太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 太陽電池素子を受光面から見た平面図である。 図2Aの一部を拡大して示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語は、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において「含有率」とは、特に記載がなければ、p型拡散層形成組成物の全量を100質量%としたときの、各成分の質量%を表す。
本開示において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語は、当該層又は膜が存在する領域を平面図として観察したときに、当該領域の全面に形成されている場合に加え、当該領域の一部に形成されている場合も包含される。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「ガラス粒子」とは、ガラス(ガラス転移現象を示す非晶質固体)が粒子状になったものを意味する。
本発明の実施形態は、本開示に記載された具体的且つ詳細な内容の一部又は全てを利用せずとも実施可能である。
また、本発明の概念を不明確にすることを避けるべく、公知の点については詳細な説明又は図示を省略する場合もある。
本開示において、平均粒子径は、レーザー回折散乱法を用いて測定される粒度分布において、小粒径側からの体積累積が50%となる粒子径として求められる。
本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法は、半導体基板上の表面(おもて面)に、ホウ素を含む化合物を含有するp型拡散層形成組成物を付与し、単位面積当たりの前記ホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm〜0.1mg/cmであるp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施す工程と、前記熱拡散処理後の前記半導体基板に、酸素濃度が1体積%〜100体積%の雰囲気中で熱酸化処理を施す工程と、前記半導体基板の表面を前記熱酸化処理により形成された熱酸化膜で保護した状態で、前記半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する工程と、を有する。
半導体基板上にホウ素を含有する化合物が多く塗布されると、過剰な量のホウ素が半導体基板に供給されるため、ホウ素高濃度層(BRL:Boron Rich Layer)が厚く形成される。通常、ホウ素拡散の場合、半導体基板の最表面にBRLは形成され、太陽電池素子の性能を低下させる。そのため、酸化処理によりBRLを熱酸化膜に変換して、エッチングによりBRLを除去するが、BRLが厚い場合、BRLの全てを酸化することが困難となり、表面に残渣となってBRLが残り、太陽電池素子の性能を低下させることがある。
本実施形態では、p型拡散層形成組成物層における単位面積当たりのホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm〜0.1mg/cmである。そのため、BRLが厚く形成されることを抑制できる傾向にある。また、p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施すことで、半導体基板の酸化が抑制され、BRLが形成されやすくなる傾向にある。更に、熱拡散処理後の前記半導体基板に、酸素濃度が1体積%〜100体積%の雰囲気中で熱酸化処理を施すことにより、形成されたBRLが十分に酸化され熱酸化膜に変換されるため、エッチングによるBRLの除去が容易となり、表面の残渣が抑制される傾向にある。
更に、本実施形態では、熱酸化処理を施すことにより半導体基板の表面に熱酸化膜が形成され、半導体基板の表面が形成された熱酸化膜にて保護される。そのため、半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する際、特に、POClガス等を用いて半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する際に、形成された熱酸化膜がバリア膜として機能し、半導体基板の表面へのリン拡散が抑制される。
したがって、半導体基板の表面へのリン拡散が抑制されるため、相互拡散による太陽電池素子の発電効率の低下が抑制される。尚、半導体基板の表面に形成された熱酸化膜は、エッチングにより容易に除去される。
更に、本実施形態では、BBrガスを用いてn型半導体基板の表面にホウ素を拡散させるガス拡散法とは異なり、表面にp型拡散層が形成され、かつ裏面及び側面に不要なp型拡散層が形成されることが抑制される。したがって、前述のガス拡散法とは異なり、バリア工程及びホウ素拡散層等のエッチング工程が不要となり、製造プロセスを簡略化できる。また、裏面に不要なp型拡散層が形成されることが抑制されるため、従来のように残存するp型拡散層を消滅させるほどにリンを高濃度に拡散させる必要が無く、キャリア再結合の増大による太陽電池素子の発電効率の低下を防止することができる。
まず、本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法に用いることができるp型拡散層形成組成物について説明し、続いて、p型拡散層付き半導体基板の製造方法について説明する。更に、本実施形態の製造方法により製造される太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法について説明する。
<p型拡散層形成組成物>
p型拡散層形成組成物はホウ素を含む化合物を含有する。p型拡散層形成組成物は、付与性等を考慮して、後述する分散媒、その他の成分等を必要に応じて含有してもよい。
ここで、p型拡散層形成組成物とは、ホウ素を含む化合物を含有し、半導体基板に付与した後に熱処理することで、ホウ素を含む化合物中のホウ素を拡散して、半導体基板のp型拡散層形成組成物を付与した領域に不純物拡散層であるp型拡散層を形成可能な組成物をいう。p型拡散層形成組成物を用いることで、p型拡散層形成組成物を付与した半導体基板の所望の領域に選択的にp型拡散層を形成でき、半導体基板の裏面、側面等に不要なp型拡散層の形成を抑制することが可能となる。
(ホウ素を含む化合物)
ホウ素を含む化合物としては、例えば、酸化ホウ素、ホウ素オキソ酸、ホウ酸カルシウム、窒化ホウ素、ホウ酸等の無機ホウ素化合物;ホウ酸エステル化合物;ホウ素を含むガラス化合物(以下、「ホウ素含有ガラス化合物」とも称する);ホウ素をドープしたシリコン粒子;ホウ素含有酸化ケイ素化合物;ホウ素アルコキシド;及び、半導体基板へ熱拡散する高温(例えば800℃以上)において酸化ホウ素を含む化合物へ変化し得る化合物(以下、「酸化ホウ素前駆体」とも称する)が挙げられる。
これらの中でも、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸エステル化合物、ホウ素含有ガラス化合物、窒化ホウ素、ホウ素含有酸化ケイ素化合物、及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。アウトディフュージョンの抑制に効果的な観点からは、窒化ホウ素、ホウ素含有ガラス化合物、及びホウ素含有酸化ケイ素化合物からなる群より選択されることが好ましく、窒化ホウ素及びホウ素含有ガラス化合物からなる群より選択されることがより好ましく、ホウ素含有ガラス化合物を用いることが更に好ましい。
本開示において、アウトディフュージョンとは、p型拡散層形成組成物を付与した領域以外に、ホウ素等のアクセプタ元素が拡散することをいう。
アウトディフュージョンを抑制する観点からは、ホウ素含有ガラス化合物及び窒化ホウ素はそれぞれ粒子状であることが好ましい。つまり、ホウ素含有ガラス化合物の粒子又は窒化ホウ素粒子を含むことで、所望する領域に選択的にp型拡散層を形成することが容易となる傾向にある。
ホウ素含有ガラス化合物は、ホウ素含有ガラス粒子であることが好ましく、酸化ホウ素を含むガラス粒子であることがより好ましく、Bとガラス成分物質とを含むガラス粒子であることが更に好ましい。ホウ素含有ガラス粒子は2種類以上併用してもよい。ホウ素含有ガラス粒子を2種類以上併用するとは、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なるホウ素含有ガラス粒子を2種類以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なるホウ素含有ガラス粒子を2種類以上用いる場合、並びに平均粒子径及び種類の異なるホウ素含有ガラス粒子を2種類以上用いる場合が挙げられる。
ホウ素含有ガラス化合物中の酸化ホウ素の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素含有ガラス化合物中の酸化ホウ素の含有率は、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、0.5質量%〜50質量%であることがより好ましく、1質量%〜45質量%であることが更に好ましい。ガラス化合物中に0.1質量%以上の酸化ホウ素を含むことで、半導体基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、60質量%以下とすることで、拡散後に行われるフッ酸等のエッチング液を使用するエッチング工程で発生するエッチング残渣の量を減らすことができる傾向にある。
ホウ素含有ガラス粒子がBとガラス成分物質とを含むガラス粒子である場合、ホウ素含有ガラス粒子中のBの含有率は、ホウ素含有ガラス粒子の全質量に対し、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、0.5質量%〜50質量%であることがより好ましく、1質量%〜40質量%であることが更に好ましい。ホウ素含有ガラス粒子に0.1質量%以上のBを含むことで、半導体基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、60質量%以下とすることで、拡散後に行われるフッ酸等のエッチング液を使用するエッチング工程で発生するエッチング残渣の量を減らすことができる傾向にある。
p型拡散層形成組成物におけるホウ素含有ガラス化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、p型拡散層形成組成物の全質量に対して、0.01質量%〜99質量%であることが好ましく、0.1質量%〜98質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜50質量%であることが更に好ましい。0.01質量%以上のホウ素含有ガラス化合物を含むことで、半導体基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保でき、99質量%以下とすることで、p型拡散層形成組成物の付与性を向上することができる傾向にある。
ホウ素含有ガラス化合物に含まれるガラス成分物質としては、一般的に用いられる成分を用いることができる。例えば、ガラス軟化温度を、所望する範囲とすることができ、また半導体基板の熱膨張係数との差を小さくする観点からは、酸化物として表示したときのガラス成分物質は、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、WO、MoO、Y、CsO、TiO、TeO、La、Nb、Ta、GeO、Lu及びMnOからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。その所望の効果を効果的に得る観点からは、酸化物として表示したときのガラス成分物質としては、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種を用いることがより好ましく、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが更に好ましい。
ホウ素含有ガラス化合物の具体例としては、例えば、B−SiO含有ガラス化合物(酸化ホウ素−ガラス成分物質の順で記載、以下同様)、B−ZnO含有ガラス化合物、B−PbO含有ガラス化合物、及びBをホウ素酸化物及びガラス成分物質の双方として用いるガラス化合物が挙げられる。
上記では1成分又は2成分を含むガラス化合物を挙げたが、B−SiO−Al−CaO等、3成分以上を含むガラス化合物でもよい。
また、ホウ素含有ガラス化合物はBと、Al等のその他のアクセプタ元素化合物と、を含むガラス化合物であってもよい。例えば、Al−B含有ガラス化合物等のように、2種類以上のアクセプタ元素の酸化物を含むガラス化合物であってもよい。
ホウ素含有ガラス化合物は、形成される不純物拡散層の抵抗の観点、及びアウトディフュージョンの観点から、酸化物として表示したとき、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、WO、MoO、GeO、Y、CsO、TiO、TeO、La、Nb、Ta、Lu及びMnOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することが好ましく、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することがより好ましく、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することが更に好ましく、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、及びZrOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有することが特に好ましい。
ホウ素含有ガラス粒子の軟化温度は、熱処理(熱拡散)の際のp型拡散層形成組成物の成分の拡散性、液だれ等の観点から、200℃〜1000℃であることが好ましく、300℃〜900℃であることがより好ましい
ホウ素含有ガラス粒子の形状としては、例えば、球状、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状が挙げられる。p型拡散層形成組成物とした場合の半導体基板への付与性、拡散均一性の向上等の観点から、ホウ素含有ガラス粒子は球状、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
ホウ素含有ガラス粒子の平均粒子径は、p型拡散層形成組成物中におけるガラス化合物の均一な分散の容易さ、及びホウ素拡散の均一性の観点から、0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましく、0.35μm以下であることが更に好ましい。また、ホウ素含有ガラス粒子の平均粒子径の下限に制限はなく、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましい。
ホウ素を含む化合物として窒化ホウ素を用いる場合、窒化ホウ素の結晶形は、六方晶(hexagonal)、立方晶(cubic)、菱面体晶(rhombohedral)のいずれの結晶状態でも所望の効果を得ることができ、粒子径を容易に制御できる観点からは、六方晶が好ましい。
窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、p型拡散層形成組成物中における窒化ホウ素の均一な分散の容易さ、及びホウ素拡散の均一性の観点から、0.01μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜30μmであることがより好ましく、2μm〜20μmであることが更に好ましい。
窒化ホウ素の調製方法は特に制限されず、通常の方法で調製することができる。具体的には、ホウ素粒子を窒素気流中で1500℃以上に加熱する方法、融解した無水ホウ酸と窒素又はアンモニアをリン酸カルシウムの存在下で反応させる方法、ホウ酸又はホウ化アルカリと、尿素、グアニジン、メラミン等の有機窒素化合物とを高温の窒素−アンモニア雰囲気中で反応させる方法、融解ホウ酸ナトリウムと塩化アンモニウムとをアンモニア雰囲気中で反応させる方法、三塩化ホウ素とアンモニアとを高温で反応させる方法などを挙げることができる。上記の製造方法で本発明の効果を得られる範囲であれば、いずれの方法を選択してもよい。上記製造方法の中では、高純度の窒化ホウ素を得ることができることから、三塩化ホウ素とアンモニアとを高温で反応させる方法を用いることが好ましい。
また、ホウ素を含む化合物は、ホウ素含有酸化ケイ素化合物であってもよい。ここでホウ素含有酸化ケイ素化合物について、例示的に説明する。ホウ素含有酸化ケイ素化合物はゾル−ゲル反応に基づいてホウ素含有化合物と酸化ケイ素前駆体とを反応させて合成された化合物を意味し、上記ガラス化合物とは、合成方法が異なるものであることを区別できるように、ホウ素含有酸化ケイ素化合物と表記することとする。
酸化ケイ素前駆体とホウ素含有化合物とをゾル−ゲル反応させて得られるホウ素含有酸化ケイ素化合物は、ホウ素含有化合物が酸化ケイ素(シロキサン)の化学結合によるネットワーク中に分散した構造となるため、ホウ素含有化合物の揮発性が抑制され、シリコン基板等の半導体基板へp型拡散層を形成する高温においてアウトディフュージョンが抑制されうる。
ここでいうゾル−ゲル反応とは、シリコンアルコキシドが加水分解してシラノール基を生成し、そのシラノール基が縮合反応することであり、結果としてケイ素−酸素結合を構造単位として有する三次元架橋したシリカゲルマトリックスを形成する反応である。酸化ケイ素前駆体と、ホウ素含有化合物と、ゾル−ゲル反応に用いる溶媒と、水と、酸触媒又はアルカリ触媒とを混合し、酸化ケイ素前駆体から脱離するアルコール及び水を除去することで酸化ケイ素前駆体の加水分解反応及び縮合反応が生じ、シロキサンのネットワーク中にホウ素含有化合物を含んだ酸化ケイ素化合物を合成できる。また、ホウ素含有酸化ケイ素化合物は、吸湿性も抑えることができるため、分散媒との反応及び水分との反応が抑制され、p型拡散層形成組成物中での化学的安定性が向上する傾向にある。
酸化ケイ素前駆体としては、ホウ素含有化合物と反応させてホウ素含有酸化ケイ素化合物を合成できるものであれば特に制限されず、例えば、シリコンメトキシド、シリコンエトキシド、シリコンプロポキシド、シリコンブトキシド等のシリコンアルコキシドを挙げることができる。入手の容易さから、酸化ケイ素前駆体としては、シリコンメトキシド及びシリコンエトキシドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒は、酸化ケイ素前駆体の重合体を溶解可能であるものであれば特に制限は無い。溶媒としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒の量は、酸化ケイ素前駆体に対して0当量〜100当量であることが好ましく、1当量〜10当量であることがより好ましい。酸化ケイ素前駆体に対して100当量以下であると、酸化ケイ素前駆体のゾル−ゲル反応の十分な速度を確保できる傾向にある。
酸触媒又はアルカリ触媒は、加水分解又は脱水縮重合を調節する触媒として用いられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが一般的である。酸触媒としては無機又は有機のプロトン酸を用いることができる。無機プロトン酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、及び臭化水素酸が挙げられる。有機プロトン酸としては、例えば、酢酸、シュウ酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。酸の量によりゾルの溶媒への溶解度が変化するため、ゾルが可溶な溶解度になるように調節すればよく、酸化ケイ素前駆体に対して0.0001当量〜1当量が好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ素含有化合物としては、例えば、酸化ホウ素、ホウ酸、及びホウ酸塩が挙げられる。酸化ホウ素とはBで表される化合物であり、結晶化物であっても、ガラス質であってもどちらでもよい。ホウ酸とはHBO、又はB(OH)で表される化合物である。ホウ酸塩とはホウ酸の塩であり、例えば、ホウ酸の硝酸塩、アンモニウム塩、塩化物塩、及び硫酸塩を挙げることができる。これらの化合物は水に溶解してHBOの状態で存在する。酸化ホウ素、ホウ酸及びホウ酸塩以外にも、水に溶解してHBOとなる化合物であれば、ホウ素含有化合物の種類に制限されない。水に溶解してHBOとなる化合物としては、例えば、ホウ酸エステルが挙げられる。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ素含有化合物としてはホウ酸エステルが好ましい。
ホウ酸エステルとしては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(I)におけるR〜Rは各々独立に、炭素数1〜10の有機基又は水素原子であり、R〜Rの少なくとも1つは、炭素数1〜10の有機基である。なお、炭素数には、置換基の炭素数を含まない。

一般式(I)におけるR〜Rで表される有機基は、炭素数が1〜10であれば特に制限はなく、各々独立に、例えば、アルキル基、官能基を有する有機基、ヘテロ原子を有する有機基、及び不飽和結合を有する有機基が挙げられる。
〜Rで表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐状であることが好ましい。また、R〜Rで表されるアルキル基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表されるアルキル基は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられる。
〜Rで表される官能基を有する有機基において、官能基としては、例えば、クロロ基、ブロモ基、及びフルオロ基が挙げられる。また、R〜Rで表される官能基を有する有機基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表される官能基を有する有機基は、具体的には、例えば、クロロエチル基、フルオロエチル基、クロロプロピル基、ジクロロプロピル基、フルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基が挙げられる。
〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が挙げられる。また、R〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基は、具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルスルホキシド基、エチルスルホキシド基、及びフェニルスルホキシド基が挙げられる。
〜Rで表される不飽和結合を有する有機基は、炭素数が2〜10であり、炭素数が2〜6であることが好ましく、炭素数が2〜4であることがより好ましい。R〜Rで表される不飽和結合を有する有機基は、具体的には、例えば、エチレニル基、エチニル基、プロペニル基、プロピニル基、ブテニル基、ブチニル基、及びフェニル基が挙げられる。
この中でも、R〜Rで表される有機基は、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、及びホウ酸トリブチルからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
ホウ素含有酸化ケイ素化合物中のホウ素含有化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素含有酸化ケイ素化合物中のホウ素含有化合物の含有率は、0.01質量%〜95質量%であることが好ましく、0.1質量%〜80質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜60質量%であることが更に好ましい。ホウ素含有酸化ケイ素化合物中に0.01質量%以上のホウ素含有化合物を含むことで、シリコン基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、95質量%以下とすることで、拡散後、エッチング工程で発生するエッチング残渣の量を減らせる傾向にある。
p型拡散層形成組成物におけるホウ素を含む化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、拡散性の観点からは、p型拡散層形成組成物におけるホウ素を含む化合物の含有率は、0.01質量%〜99質量%であることが好ましく、0.1質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%〜50質量%であることが更に好ましく、1質量%〜40質量%であることが特に好ましい。
p型拡散層形成組成物中のホウ素を含む化合物の含有率が、0.01質量%以上であると、p型拡散層を充分に形成することができ、99質量%以下であると、p型拡散層形成組成物中のホウ素を含む化合物の分散性が良好になり、半導体基板への付与性が向上する傾向にある。
(分散媒)
p型拡散層形成組成物は更に分散媒を含有していてもよい。分散媒とは、組成物中において粘度を調製するためのものであり、溶剤及び水を挙げることができる。p型拡散層形成組成物中の分散媒の含有率は、付与性及び粘度を考慮して決定される。
分散媒としては特に制限されず、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;クレゾール等のフェノール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤;水などが挙げられる。
分散媒は1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
p型拡散層形成組成物中の分散媒の含有量は、付与性、粘度、ホウ素濃度等を考慮し決定されることが好ましい。p型拡散層形成組成物の粘度は、付与性等を考慮して、10mPa・s〜1000000mPa・sとなるように分散媒を含有させることが好ましく、50mPa・s〜500000mPa・sとなるように分散媒を含有させることがより好ましい。尚、粘度は、25℃でB型粘度計(スピンドルNo4、回転数30rpm)にて測定する。
(バインダ)
p型拡散層形成組成物は、半導体基板上に付与、及び所望により乾燥した状態でのホウ素を含む化合物の飛散を防止する観点、又はp型拡散層形成組成物の粘度を調節する観点から、バインダを更に含有していてもよい。
バインダとしては特に制限されず、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド化合物、ポリビニルアミド化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド化合物、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロースエーテル化合物、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等)、ゼラチン、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム化合物、キサンタン、グアーガム及びグアーガム誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体、アクリル樹脂((メタ)アクリル酸樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等の(メタ)アクリル酸エステル樹脂など)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂及びこれらの共重合体、シロキサン樹脂、金属アルコキシドなどが挙げられる。これらバインダの中でもセルロース誘導体又はアクリル樹脂を用いることが、少量であっても容易にp型拡散層形成組成物の粘度及びチキソ性が調節できる観点から好適である。これらは1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
尚、「(メタ)アクリル酸樹脂」とは「アクリル酸樹脂」及び「メタクリル酸樹脂」からなる群から選択される少なくとも一方を意味し、「アルキル(メタ)アクリレート樹脂」とは「アルキルアクリレート樹脂」及び「アルキルメタクリレート樹脂」からなる群から選択される少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル樹脂」とは「アクリル酸エステル樹脂」及び「メタクリル酸エステル樹脂」からなる群から選択される少なくとも一方を意味する。
バインダの分子量は特に制限されず、p型拡散層形成組成物の所望の粘度を鑑みて適宜調整することが望ましい。
p型拡散層形成組成物中のバインダの含有率は特に制限は無く、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
(高粘度溶剤)
p型拡散層形成組成物は高粘度溶剤を更に含有していてもよい。高粘度溶剤としては特に制限されず、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノール、1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物及びp−メンテニルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、イソボルニルシクロヘキサノール及びイソボルニルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらの化合物は低温(例えば400℃以下)で分解又は揮発し、且つ、嵩高い構造を有することから粘度が高いため、従来用いられてきたエチルセルロース等のバインダの代替として用いることができる。
特に、p型拡散層形成組成物をスクリーン印刷法等で半導体基板に付与する場合には、p型拡散層形成組成物を高粘度化する必要があるため、エチルセルロース等のバインダを多く含ませる必要がある。この場合、乾燥工程及び熱処理(焼成)工程において、除去しきれないバインダが抵抗体となるために、太陽電池素子の発電特性に悪影響を及ぼす場合がある。一方、高粘度溶剤を用いることで、バインダの量を残存が問題とならない程度まで減らすことができる傾向にある。
p型拡散層形成組成物における高粘度溶剤の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、印刷による塗布物の面内均一性の観点からは、p型拡散層形成組成物における高粘度溶剤の含有率は、0.01質量%〜90質量%であることが好ましく、1質量%〜80質量%であることがより好ましく、1質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
ホウ素を含む化合物と高粘度溶剤との比率に特に制限は無い。p型拡散層形成組成物が高粘度溶剤を更に含む場合、p型拡散層形成組成物中、ホウ素を含む化合物を1質量%〜50質量%、高粘度溶剤を1質量%〜99質量%含むことが好ましく、ホウ素を含む化合物を5質量%〜40質量%、高粘度溶剤を5質量%〜95質量%含むことがより好ましい。
(無機フィラー)
p型拡散層形成組成物は無機フィラーを更に含有していてもよい。無機フィラーとしては特に制限されず、例えば、シリカ、クレイ、及び炭化ケイ素を挙げることができる。これらの中でも少なくともシリカを成分として含む無機フィラーを用いることが好ましい。無機フィラーを含有することで、半導体基板に付与したp型拡散層形成組成物が、乾燥工程において熱ダレするのが抑制される傾向にある。熱ダレが起きる原因としては、乾燥工程における100℃〜500℃程度の温度において、高粘度溶剤等の溶剤の粘度が低下するためである。これに対して、無機フィラーを含有するp型拡散層形成組成物では、粘度の低下が抑制され、熱ダレが抑制される傾向にある。
無機フィラーのBET比表面積は50m/g〜500m/gであることが好ましく、100m/g〜300m/gであることがより好ましい。このような高BET比表面積の無機フィラーとして、例えば、ヒュームドシリカを挙げることができる。ヒュームドシリカは親水性であっても疎水性であってもよい。
高BET比表面積の無機フィラーは、乾燥工程において低粘度化した溶剤との間の物理的又はファンデルワールス力による相互作用によって、p型拡散層形成組成物の粘度の低下の抑制に寄与する。BET比表面積は77Kにおける窒素の吸着量を測定することで算出することができる。
p型拡散層形成組成物中の無機フィラーの含有率は、0.01質量%〜40質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜5質量%であることが更に好ましい。p型拡散層形成組成物中の無機フィラーの含有率を0.01質量%以上とすることで、乾燥工程における付与物の熱ダレの発生を抑制する効果が得られる傾向にあり、40質量%以下とすることでp型拡散層形成組成物の付与特性が確保される傾向にある。
(アルコキシシラン)
p型拡散層形成組成物は更にアルコキシシランを含有していてもよい。p型拡散層形成組成物がアルコキシシランを含むことで、乾燥工程におけるp型拡散層形成組成物の粘度の低下が抑えられる傾向にある。
アルコキシシランを構成するアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが更に好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが特に好ましい。
アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、t−オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、及びオクチルシクロヘキシルオキシ基を挙げることができる。
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトライソプロポキシシランからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
p型拡散層形成組成物がアルコキシシランを含有する場合、p型拡散層形成組成物中のアルコキシシランの含有率は、例えば、0.01質量%〜50質量%とすることができ、0.05質量%〜40質量%とすることが好ましく、0.1質量%〜30質量%とすることがより好ましい。
(シランカップリング剤)
p型拡散層形成組成物は更にシランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤は、一つの分子中にケイ素原子を有し、且つ有機官能基及びアルコキシ基を有するものである。シランカップリング剤としては特に制限は無く、例えば、下記一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。

一般式(II)中、nは1〜3の整数を表す。
Xはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を表す。nが2又は3のとき、複数のXは互いに異なっていても同じであってもよい。
一般式(II)中、Yは有機官能基を表し、具体的には、例えば、ビニル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、スチリル基、ビニルフェニル基、イソシアヌレート基、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基、グリシドキシ基、ウレイド基、スルフィド基、カルボキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アルキレングリコール基、アミノアルコール基、及び4級アンモニウム基が挙げられる。Yとしては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、アクリロキシ基、又はメタクリロキシ基であることが好ましく、アクリロキシ基であることがより好ましい。
一般式(II)中、Rは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は主鎖の原子数が1〜5で主鎖に窒素原子若しくは酸素原子を含有する2価の連結基を表す。Rで表されるアルキレン基としては、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。主鎖に窒素原子を含有する2価の連結基としては、イミノ基等が好ましい。主鎖に酸素原子を含有する2価の連結基としては、エーテル基、エステル基、アルキルカルボキシル酸基等が好ましい。
一般式(II)中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、中でもメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。nが1のとき、複数のRは互いに異なっていても同じであってもよい。
シランカップリング剤として具体的には、例えば、以下の(a)〜(d)グループが挙げるものを使用することができる。
(a)(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤:
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等
(b)エポキシ基又はグリシドキシ基を有するシランカップリング剤:
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等
(c)アミノ基を有するシランカップリング剤:
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等
(d)メルカプト基を有するシランカップリング剤:
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等
尚、本開示において、「(メタ)アクリロキシ基」とは「アクリロキシ基」及び「メタクリロキシ基」からなる群から選択される少なくとも一方を意味する。
尚、p型拡散層形成組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量は、TG/DTA(Thermo Gravimetry Analyzer/Differential Thermal Analysis、示差熱−熱重量同時測定法)等の熱分析、NMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴法)、HPLC(High Performance Liquid Chromatography、高速液体クロマトグラフィー法)、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー法)、GC−MS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer、ガスクロマトグラフ質量分析法)、IR(Infrared spectroscopy、赤外分光法)、MALDI−MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)などを用いて確認することができる。
p型拡散層形成組成物がシランカップリング剤を含有する場合、p型拡散層形成組成物中のシランカップリング剤の含有率は、例えば、0.001質量%〜5質量%とすることができ、0.005質量%〜3質量%とすることが好ましく、0.01質量%〜1質量%とすることがより好ましい。
(ライフタイムキラー元素)
p型拡散層形成組成物は、ライフタイムキラー元素の総量が1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが更に好ましく、50ppm以下であることが特に好ましい。ライフタイムキラー元素の総量が1000ppm以下であることで、半導体基板のライフタイムが向上する傾向にある。
ライフタイムキラー元素としては、例えば、Fe、Cu,Ni、Mn、Cr、W、及びAuが挙げられる。これらの元素量はICP(高周波誘導結合プラズマ、Inductively Coupled Plasma)質量分析装置、ICP発光分析装置又は原子吸光分析装置で分析できる。また、半導体基板中のライフタイムはマイクロ波光導電減衰法(μ−PCD法)により測定できる。上記の元素は、半導体基板中での拡散速度が速いことから、半導体基板のバルク内の至る所へ到達し、再結合中心として働く。
(p型拡散層形成組成物の製造方法)
p型拡散層形成組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、ホウ素を含む化合物、高粘度溶剤等をブレンダー、ミキサ、乳鉢、ローター等を用いて混合することで得ることができる。また、混合する際は、必要に応じて加熱してもよい。混合に際して加熱する場合、加熱温度は、例えば、30℃〜100℃とすることができる。
<p型拡散層付き半導体基板及びその製造方法>
本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法は、半導体基板上の表面に、ホウ素を含む化合物を含有するp型拡散層形成組成物を付与し、単位面積当たりのホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm〜0.1mg/cmであるp型拡散層形成組成物層を形成する工程(p型拡散層形成組成物層形成工程)と、p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施す工程(熱拡散処理工程)と、熱拡散処理後の半導体基板に、酸素濃度が1体積%〜100体積%の雰囲気中で熱酸化処理を施す工程(熱酸化処理工程)と、半導体基板の表面を熱酸化処理により形成された熱酸化膜で保護した状態で、半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する工程(n型拡散層形成工程)と、を有する。本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法は、更に必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
また、本実施形態のp型拡散層付き半導体基板は、本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法により製造される。
(p型拡散層形成組成物層形成工程)
p型拡散層形成組成物層形成工程では、半導体基板上の少なくとも一部の領域に、上述のp型拡散層形成組成物を付与して、単位面積当たりのホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm〜0.1mg/cmであるp型拡散層形成組成物層を形成する。
本実施形態において、p型拡散層形成組成物層に含有されるホウ素を含む化合物の単位面積あたりの付与量は、0.001mg/cm〜0.1mg/cmであり、0.002mg/cm〜0.05mg/cmであることが好ましく、0.005mg/cm〜0.01mg/cmであることがより好ましい。0.001mg/cm以上のホウ素を含む化合物を付与することで、ホウ素の拡散均一性が向上する傾向にある。また、ホウ素を含む化合物の質量を0.1mg/cm以下にすることで、BRLが厚く形成されることが抑制でき、残渣が発生しにくくなる傾向にある。例えば、半導体基板がシリコン基板である場合は、BRLはボロンシリサイド層となり、ボロンシリサイド層を酸化させた後にフッ酸等を用いたエッチングを行うことでボロンシリサイド層を除去することができる傾向にある。また、ホウ素を含む化合物の質量を0.1mg/cm以下にすることで、半導体基板の不要な領域へホウ素が飛散することを抑制できる傾向にある。
p型拡散層形成組成物層における単位面積当たりのホウ素を含む化合物の質量は、後述するp型拡散層形成組成物の付与量及びp型拡散層形成組成物層の総面積、並びにp型拡散層形成組成物に含まれるホウ素を含む化合物の含有率に基づいて算出することができる。
また、p型拡散層形成組成物層におけるホウ素の、半導体基板の単位面積当たりの質量(付与量)は、0.05μg/cm〜10μg/cmであることが好ましく、0.05μg/cm以上10μg/cm未満であることがより好ましく、0.07μg/cm〜5μg/cmであることが更に好ましく、0.3μg/cm〜1μg/cmであることが特に好ましい。p型拡散層形成組成物層におけるホウ素の質量が0.05μg/cm以上であることで、充分量のホウ素を半導体基板中へ拡散することができる傾向にある。また、ホウ素の質量を10μg/cm以下とすることで、不要な領域へ飛散するホウ素の量を減らすことができ、アウトディフュージョンを抑制することができる傾向にある。
半導体基板は特に制限されず、太陽電池素子に用いられる公知の半導体基板を適用することができる。例えば、シリコン基板、リン化ガリウム基板、窒化ガリウム基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、窒化インジウム基板、ヒ化ガリウム基板、ゲルマニウム基板、セレン化亜鉛基板、テルル化亜鉛基板、テルル化カドミウム基板、硫化カドミウム基板、リン化インジウム基板、炭化シリコン基板、シリコンゲルマニウム基板、及び銅インジウムセレン基板が挙げられる。半導体基板はn型半導体基板であっても、p型半導体基板であってもよい。
半導体基板は、p型拡散層形成組成物を付与(塗布)する前に、前処理することが好ましい。前処理としては、例えば、以下の工程が挙げられる。尚、以下では、n型半導体基板を用いる場合の例を説明するが、p型半導体基板を用いてもよい。また、以下の実施形態は例示に過ぎず、本発明を何ら制限するものではない。
前処理として、n型半導体基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得てもよい。詳細には、例えば、インゴットからスライスした際に発生するn型半導体基板のダメージ層を20質量%水酸化ナトリウム水溶液で除去する。次いで、1質量%水酸化ナトリウムと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する。太陽電池素子の受光面側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
このように前処理した半導体基板上の少なくとも一部の領域に、p型拡散層形成組成物を付与(塗布)する。バックコンタクト型の太陽電池素子用の半導体基板の場合には、裏面(すなわち受光面に対する反対の面)のn型拡散層上にp型拡散層形成組成物を付与する。両面受光型の太陽電池素子用の半導体基板の場合には、裏面に、p型拡散層形成組成物を付与する。
p型拡散層形成組成物の付与方法には特に制限はなく、例えば、印刷法、スピンコート法、刷毛塗り、スプレーコート法、ドクターブレード法、ロールコート法、及びインクジェット法が挙げられる。パターン形成性、付与性、p型拡散層形成組成物の単位面積当たりの質量の調整し易さ等の観点から、スクリーン印刷等の印刷法が好ましい。
p型拡散層形成組成物の、半導体基板への単位面積当たりの質量(付与量)は、0.01mg/cm〜5mg/cmであることが好ましく、0.1mg/cm〜3mg/cmであることがより好ましく、0.2mg/cm〜1mg/cmであることが更に好ましい。0.01mg/cm以上のp型拡散層形成組成物を付与することで、充分量のホウ素を半導体基板中へ拡散することができ、ホウ素の拡散均一性を向上し、低抵抗化できる傾向にある。また、5mg/cm以下のp型拡散層形成組成物を付与することで、付与していない領域へのアウトディフュージョンを抑制することができる傾向にある。
p型拡散層形成組成物の付与量は、p型拡散層形成組成物を付与する前後の半導体基板の重量変化から算出することができる。具体的には、p型拡散層形成組成物を付与する前後の半導体基板の重量変化から、半導体基板上に付与されたp型拡散形成組成物(p型拡散層形成組成物層)の質量を算出し、また、このp型拡散層形成組成物層の総面積を測定する。これらのp型拡散層形成組成物層の質量及び総面積に基づいて、単位面積当たりのp型拡散層形成組成物の質量(付与量)を算出することができる。
尚、本開示において、p型拡散層形成組成物を付与した後の半導体基板の質量とは、後述する乾燥工程の前に測定される質量を表す。
p型拡散層形成組成物の組成によっては、p型拡散層形成組成物を半導体基板に付与(塗布)した後で、後述の熱処理工程の前に、分散媒等を揮発させるための乾燥工程が必要な場合がある。この場合には、80℃〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分〜10分、乾燥機等を用いる場合は10分〜30分程度で乾燥させる。この乾燥条件は、p型拡散層形成組成物の分散媒等の種類及び量によって、適宜調整することができる。
(熱拡散処理工程)
熱拡散処理工程では、p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板を熱処理して半導体基板にp型拡散層を形成する。この熱処理により、p型拡散層形成組成物層に含まれるホウ素が半導体基板に拡散し、p型拡散層、p型拡散層等が形成される。ホウ素を拡散するための熱処理(熱拡散処理)における雰囲気の温度は、800℃〜1050℃であり、900℃〜1000℃であることが好ましく、930℃〜1000℃であることがより好ましく、930℃〜970℃であることが更に好ましい。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。
熱拡散処理時間は、5分間〜90分間であることが好ましく、15分間〜60分間であることがより好ましい(後述の熱酸化処理に要する時間を除く)。尚、本開示において、熱拡散処理時間とは最高温度での保持時間をいう。熱拡散処理時間が5分間以上であると、半導体基板へのホウ素の拡散が十分となる傾向にあり、90分間以下であると、製造コストを抑えることができる傾向にある。
熱拡散処理を行う際の雰囲気のガス組成は、BRL(例えば半導体基板としてシリコン基板を使用する場合には、ボロンシリサイド)が形成されやすい雰囲気とすることが好ましい。本実施形態において、熱拡散処理を行う雰囲気における酸素の割合は、1体積%未満であり、0.1体積%未満が好ましく、0.01体積%未満がより好ましい。
例えば、ホウ素を含む化合物がガラス化合物の場合には、熱処理によってガラス化合物が軟化し、p型拡散層形成組成物を付与したシリコン基板の表面は、ボロンシリケートガラス等のガラス層で覆われる。ガラス層のようなp型拡散層形成組成物の熱処理物が付与部においてシリコン基板の表面を被覆するまでは、酸素等の酸化性ガスの割合を1体積%未満としてシリコン基板の表面の酸化を抑制することで、ボロンシリサイド層が形成されやすくなる。
尚、熱拡散処理の全工程を通して、雰囲気の酸素濃度が1体積%未満である必要はなく、p型拡散層形成組成物の熱処理物が付与部においてシリコン基板の表面を被覆した後においては、酸素等の酸化性ガスの割合を多くしてもよい。
酸素の割合は、熱処理に用いる拡散炉の排気側出口に設置した酸素濃度計で確認できる。酸素濃度計は特には制限されず、例えば、ジルコニア酸素濃度計(例えば、株式会社堀場製作所製、NZ−3000)を用いることができる。
具体的には、ホウ素を含む化合物がガラス化合物である場合、ガラス化合物が軟化点で軟化して付与部においてシリコン基板の表面を覆うまでは、窒素単独等の不活性ガスの雰囲気で熱処理することが好ましい。このように雰囲気を調節することで、ゲッタリング能力が高いボロンシリサイド層が形成しやすくなる。
ボロンシリサイド層が形成された状態で熱処理すると、例えば、シリコン基板及び炉のチューブに含まれている重金属等の不純物金属(例えば、鉄及びニッケル)をボロンシリサイド層がゲッタリングする。そのため、シリコン基板中の再結合中心が減少し、シリコン基板のライフタイムを長くすることができる傾向にある。
ボロンシリサイド層が形成された後の熱処理における雰囲気のガス組成は、酸素以外の成分に特に制限はなく、例えば、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン、ヘリウム、二酸化炭素、水素及び空気により構成することができる。これらの中でも、コスト及び安全性の観点から、酸素及び窒素を主成分とするガス組成であることが好ましい。尚、酸素以外のガスとして空気を用いる場合には、空気中に含まれる酸素の量も考慮して、酸素濃度を調整する。
(熱酸化処理工程)
本実施形態ではBRLを酸化しつつ、酸化中の重金属等の再拡散を抑制するために、熱拡散処理後の酸素の割合を調節する。熱拡散処理後、又は、熱拡散処理の途中で、酸素の割合を1体積%〜100体積%に変えて、更に熱処理を施す(熱酸化処理)。酸素を比較的多く含む雰囲気で熱処理を行うことで、熱拡散処理において形成されたBRLが酸化されやすくなる。例えば、半導体基板としてシリコン基板を使用する場合、ボロンシリサイド層が形成された後に、酸素を比較的多く含む雰囲気で熱処理することで、ボロンシリサイド層が酸化されやすくなる。
熱酸化処理工程における雰囲気中の酸素の割合は1体積%〜100体積%である。酸素の割合が1体積%以上であると、BRLの十分な酸化が行われる傾向にある。また、熱酸化処理工程における雰囲気中の酸素の割合は、30体積%〜90体積%とすることが好ましく、50体積%〜90体積%とすることがより好ましい。酸化が急激に進むとBRLに捕獲されていた重金属等の不純物が半導体基板内にリリースされ半導体基板の性能が劣化することがあるが、熱酸化処理工程における雰囲気の酸素の割合が90体積%以下であると、半導体基板の性能の劣化をより十分に防ぐことができる傾向にある。
熱酸化処理は、熱拡散処理と同一の炉内で行ってもよく、別々の炉内で行ってもよいが、製造効率の観点から、熱拡散処理に引き続き同一の炉内で行うことが好ましい。酸素の割合を変えたあとの熱酸化処理は、半導体基板を炉内から取り出すために雰囲気の温度を低下させていく降温工程を含んでもよい。これによって工程にかかる時間を短縮化して製造効率を高めることができる。この場合、雰囲気の温度を下げるために要する時間は100℃の低下につき10分間〜100分間であることが好ましく、20分間〜50分間であることがより好ましい。酸素の割合を変えたあとの熱酸化処理が降温工程を含む場合、雰囲気の温度を下げるために要する時間が100℃の低下に対し10分間以上であると、BRLの酸化が十分となる傾向にある。また、酸化が急激に進むとBRLに捕獲されていた重金属等の不純物が半導体基板内にリリースされ半導体基板の性能を劣化させることがあるが、雰囲気の温度を下げるために要する時間が100℃の低下に対し100分間以下であると、急激な酸化による半導体基板の性能の劣化を抑えられる傾向にある。
尚、熱酸化処理が降温工程を含む場合、降温工程では、連続的に降温してもよく、段階的に降温してもよい。また、酸素の割合を変えたあとの熱酸化処理の全工程において降温してもよく、一部に降温工程を含んでもよく、降温工程の一部に酸化処理を含んでいてもよい。
半導体基板がシリコン基板である場合、熱酸化処理の温度は900℃〜1000℃であることが好ましく、930℃〜1000℃であることがより好ましく、930℃〜970℃であることが更に好ましい。温度が高すぎるとn型拡散層側に過度に厚い熱酸化膜が形成されリン拡散を阻害してしまい、温度が低すぎるとp型拡散層をバリアするために十分な熱酸化膜の厚みが得られないことがある。
(n型拡散層形成工程)
本実施形態では、半導体基板の表面を前述の熱酸化処理により形成された熱酸化膜で保護した状態で、半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する。半導体基板にn型拡散層を形成する方法としては、例えば、リン元素を含むガスであるPOClガス等を用いたガス拡散法、リン元素を含んだ塗布材料を用いた方法などが挙げられる。
POClガス等を用いたガス拡散法によりn型拡散層を形成する処理には、POClガス等を供給し、リンシリケートガラス(PSG)を形成しながらリン拡散するDepo工程と、POClガスの供給を止めてリン拡散するDrive工程があってもよい。Depo工程とDrive工程は同じ処理温度であってもよく、異なる処理温度であってもよい。拡散処理温度としては700℃〜900℃であることが好ましく、適度な濃度でリン拡散層を形成する観点から、770℃〜860℃であることがより好ましい。時間はDepo工程とDrive工程とを合わせた時間が5分間〜60分間であってもよく、半導体基板の裏面内のリンの拡散性を高めるために必要な時間の短縮及びプロセス時間の短縮の観点から、10分間〜30分間であることが好ましい。
熱拡散処理で形成された、半導体基板上のボロンシリケートガラス等のガラス層、熱酸化膜、リンシリケートガラス等はエッチング液により除去することができる。
エッチング液としては特に制限はなく、例えば、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶液、水酸化ナトリウムの水溶液などが挙げられる。エッチング処理としては、半導体基板をエッチング液に浸漬する等、公知の方法が適用できる。また、後述するp型拡散層形成組成物の付与領域以外に形成された半導体基板上の酸化物のマスク層も一括してエッチング液でエッチングすることも可能である。
(その他の工程)
本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法は、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。例えば、熱拡散処理工程前にホウ素に対するマスク層を形成する工程等を有していてもよい。
マスク層の形成方法としては、例えば、熱拡散処理工程前に半導体基板のp型拡散層形成組成物を付与しない領域(非付与部)を酸化する方法、熱拡散処理工程前に半導体基板の表面に窒化ケイ素膜を形成する方法等を挙げることができる。例えば、半導体基板がシリコン基板である場合、p型拡散層形成組成物の非付与部を酸化して酸化ケイ素層を形成し、ホウ素の非付与部への拡散を抑制することができる。
<太陽電池素子及び太陽電池素子の製造方法>
太陽電池素子は、本実施形態のp型拡散層付き半導体基板と、p型拡散層上に設けられた電極とを有する。
また、太陽電池素子の製造方法は、本実施形態のp型拡散層付き半導体基板の製造方法によりp型拡散層付き半導体基板を製造する工程と、p型拡散層上に電極を形成する工程(電極形成工程)と、を有する。
p型拡散層形成組成物層形成工程、熱拡散処理工程、熱酸化処理工程、及びn型拡散層形成工程の詳細は、上述したp型拡散層付き半導体基板の製造方法におけるp型拡散層形成組成物層形成工程、熱拡散処理工程、熱酸化処理工程、及びn型拡散層形成工程の詳細と同様である。
以下、太陽電池素子の製造方法の一実施態様について、図1を参照しながら説明する。図1は、太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に表す模式断面図である。尚、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、以下では、n型半導体基板としてシリコン基板を用いる例について説明するが、本発明において半導体基板はシリコン基板に限定されない。
図1(1)では、n型半導体基板10であるシリコン基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得る。
図1(2)では、n型半導体基板10の受光面となる面に、p型拡散層形成組成物を付与して、p型拡散層形成組成物層11を形成する。p型拡散層形成組成物層11における単位面積当たりのホウ素を含む化合物の質量は、0.001mg/cm〜0.1mg/cmである。
p型拡散層形成組成物が分散媒として溶剤を含む場合、熱拡散処理の前に、組成物中に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去するために、p型拡散層形成組成物を付与した後のn型半導体基板10を熱処理する工程が必要な場合がある。この場合の熱処理は、例えば、80℃〜300℃の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分間〜10分間、乾燥機等を用いる場合は10分間〜30分間程度の条件で行われる。熱処理の条件は、p型拡散層形成組成物に含まれる溶剤の種類、組成、含有率等に依存しており、特に上記条件に限定されない。
p型拡散層形成組成物が分散媒としてバインダを含む場合、熱拡散処理の前に、組成物中に含まれるバインダの少なくとも一部を除去するために、p型拡散層形成組成物を付与した後のn型半導体基板10を熱処理する工程が必要な場合がある。この場合の熱処理は、例えば、300℃を超え800℃以下の温度で、1分間〜10分間処理する条件を適用する。この熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。熱処理の条件は、p型拡散層形成組成物に含まれるバインダの種類、組成、含有率等に依存しており、特に上記条件に限定されない。
n型半導体基板10の受光面にp型拡散層形成組成物層11を形成した後、n型半導体基板10に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施す。この熱拡散処理により、図1(3)に示すように、n型半導体基板10中へアクセプタ元素が拡散し、p型拡散層12が形成される。熱拡散処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。また、熱拡散処理時の炉内雰囲気は、窒素等の不活性ガスなどから所望の条件に合わせて選択できる。
熱拡散処理から熱酸化処理プロセスに移行する際に炉内に酸素を導入し熱拡散処理時に形成されたボロンシリサイド層を酸化し、熱酸化膜を形成する。熱酸化処理における酸素の割合は1体積%〜100体積%とする。熱酸化処理は、熱拡散処理温度からウエハ基板を取り出すための温度まで降温させる工程を兼ねていてもよい。
図1(4)に示されるように、n型半導体基板10の受光面に形成されたp型拡散層12上には、ボロンシリケートガラス等のガラス層(不図示)、熱酸化膜21等が形成される。
図1(3)に示されるように、本実施形態では、所望の部位にp型拡散層12が形成され、裏面及び側面に不要なp型拡散層が形成されることが抑制される。したがって、従来広く採用されているガス拡散法によりp型拡散層を形成する方法では、バリア工程及び拡散層のエッチング工程が必要である一方、本実施形態の製造方法では、バリア工程及び拡散層のエッチング工程が不要となり、製造プロセスが簡易化される。本実施形態の製造方法によれば、短時間で、所望の部位に且つ所望の形状の、面内でのシート抵抗のバラつきが抑制されたp型拡散層が形成される傾向にある。尚、本実施形態では、ホウ素のアウトディフュージョンを抑制する観点から、窒化ケイ素膜(SiN膜)等のバリア膜を設けてもよいが、必須の構成ではない。
図1(5)では、n型半導体基板10の裏面、すなわちp型拡散層12とは反対の面に、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス(以下「オキシ塩化リン混合ガス」とも称する)雰囲気において、700℃〜900℃で数十分間、リン拡散処理を行い、n型拡散層14を形成する。このとき、オキシ塩化リン混合ガス雰囲気下でn型拡散層14を形成する方法では、POClガスがn型半導体基板10の表面にも及ぶが、p型拡散層12を形成する際に得られたガラス層(不図示)、熱酸化膜21等がバリア膜となって表面へのリン拡散が抑制される。
n型半導体基板10の受光面に形成されたp型拡散層12上には、ガラス層、熱酸化膜21等が残存し、裏面にはPOClガスの拡散により形成されたリンシリケートガラスが残存している。この残存物はエッチングにより除去することができる。エッチング処理としては、フッ酸等の酸に浸漬する方法、苛性ソーダ等のアルカリに浸漬する方法などの、公知の方法を適用できる。エッチング能力の観点から、フッ酸によるエッチング処理が好ましい。フッ酸によるエッチング処理としては、フッ酸にn型半導体基板10を浸漬する方法が挙げられる。フッ酸にn型半導体基板10を浸漬する場合、浸漬時間は特に制限されず、例えば、0.5分間〜30分間であってもよく、1分間〜10分間であることが好ましい。また、残存物をエッチングにより除去した後のn型半導体基板10の表面は疎水性を示す。
図1(6)では、ガラス層、熱酸化膜21等が除去されたp型拡散層12の受光面側に反射防止膜15を形成する。反射防止膜15は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜15がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHとの混合ガスを原料とするプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。このとき、水素が結晶中に拡散し、ケイ素原子の結合に寄与しない軌道、すなわちダングリングボンドと水素とが結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
より具体的には、反射防止膜15は、例えば、上記混合ガスの流量比(NH/SiH)が0.05〜1.0、反応室の圧力が13.3Pa(0.1Torr)〜266.6Pa(2Torr)、成膜時の温度が300℃〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
p型拡散層上及びn型拡散層上にはパッシベーション層を形成してもよい。例えば、ALD(原子層堆積)法でAl層を積層してもよく、熱酸化等によりSiO膜を形成してもよい。この場合、パッシベーション層上に上述の反射防止膜を形成する。
図1(7)では、受光面の反射防止膜15上に、受光面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷塗布し、乾燥させ、受光面電極用金属ペースト層16を形成する。受光面電極用金属ペーストとしては、例えば、金属粒子とガラス粒子とを含み、必要に応じて樹脂バインダ及びその他の添加剤を含むものを使用できる。
次いで、裏面にも、裏面電極用金属ペースト層18を形成する。裏面電極用金属ペースト層18の材質及び形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀、銅等の金属を含む裏面電極用金属ペーストを付与し、乾燥させて、裏面電極用金属ペースト層18を形成してもよい。このとき、裏面にも、モジュール工程における太陽電池素子間の接続のために、一部に銀電極形成用の銀ペースト層を設けてもよい。
図1(8)では、受光面電極用金属ペースト層16を焼成して、太陽電池素子を完成させる。600℃〜900℃の範囲で数秒間〜数分間焼成すると、受光面側では受光面電極用金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜15が溶融し、更にn型半導体基板10の表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)がn型半導体基板10と接触部を形成して凝固する。これにより、形成した受光面電極17とn型半導体基板10とが導通される。これはファイアースルーと称されている。また、裏面側でも同様に、裏面電極用金属ペースト層18の裏面電極用金属ペーストが焼成されて、裏面電極19が形成される。
受光面電極17の形状の一例について図2A及び図2Bを参照して説明する。受光面電極17は、バスバー電極30、及びバスバー電極30と交差しているフィンガー電極32を有する。図2Aは、受光面電極17を、バスバー電極30、及びバスバー電極30と交差しているフィンガー電極32を有する構成とした太陽電池素子を受光面から見た平面図であり、図2Bは、図2Aの一部を拡大して示す斜視図である。
このような受光面電極17は、例えば、上述の受光面電極用金属ペーストのスクリーン印刷、又は電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着等の手段により形成することができる。バスバー電極30とフィンガー電極32とを有する受光面電極17は受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
上記では、受光面にp型拡散層、裏面にn型拡散層を形成し、更にそれぞれの層の上に受光面電極及び裏面電極を設けた太陽電池素子について説明したが、本実施形態のp型拡散層形成組成物を用いればバックコンタクト型の太陽電池素子を製造することも可能である。バックコンタクト型の太陽電池素子は、電極を裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまり、バックコンタクト型の太陽電池素子では、裏面にp型拡散部位及びn型拡散部位の両方を形成してpn接合構造とする必要がある。本実施形態のp型拡散層形成組成物は、特定の部位にp型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池素子の製造に好適に適用することができる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に制限されるものではない。また「%」は断りがない限り「質量%」を意味する。
[実施例1]
(p型拡散層形成組成物の調製)
、SiO、Al及びCaO(組成モル比:それぞれ25mol%、65mol%、5mol%及び5mol%)からなるガラス塊を、メノウ乳鉢で粉砕した後、遊星型ボールミルにて更に粉砕し、粒子形状が球状で、平均粒子径が0.35μmのガラス粒子(ホウ素を含む化合物)を得た。このガラス粒子、エチルセルロース及びテルピネオールをそれぞれ1g、2g及び97g混合してペースト化し、p型拡散層形成組成物を調製した。
ガラス粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ、「TM−1000型」)を用いて観察して判定した。ガラスの平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社、「LS 13 320型」、測定波長:632nm)を用いて算出した。
(p型拡散層形成組成物層の形成)
次に、テクスチャー構造が形成されたn型シリコン基板(厚さ:約200μm、面積:156mm×156mm、比抵抗:1.6Ωcm、シート抵抗80Ω/sq.)の片方の面に全体にプラズマCVD(以下、PECVDともいう)で窒化ケイ素膜(SiN膜)を20nm〜30nmの厚さで形成して次工程のホウ素拡散プロセスにおけるホウ素のアウトディフュージョンを防ぐためのバリア膜とした。
次に、バリア成膜した面とは反対の面の端部から0.5mm以内の全領域にスクリーン印刷により上記p型拡散層形成組成物を付与してp型拡散層形成組成物層を形成し、150℃で1分間乾燥させた。スクリーン印刷では、460メッシュ、線径27μm、透過体積11cm/mのスクリーン版を用いた。
上記p型拡散層形成組成物を付与する前後での半導体基板の重量変化から、p型拡散層形成組成物及びガラス粒子(ホウ素を含む化合物)の付与量を算出した。上記p型拡散層形成組成物の付与量は0.5mg/cmであり、ガラス粒子(ホウ素を含む化合物)の付与量は0.005mg/cmであった。
(p型拡散層の形成)
次に、N:10L/minを流した拡散炉(光洋サーモシステム株式会社、「206A−M100」)中にて、700℃の状態で上記p型拡散層形成組成物層を有する半導体基板を入れたボートを投入した。その後、15℃/minの昇温速度で950℃まで温度を上げ、950℃で30分間熱処理し、ホウ素を半導体基板中に拡散(熱拡散)させ、p型拡散層を形成した。その後、N:3L/min、O:7L/minに拡散炉内の雰囲気を変えて、700℃まで85分間かけて降温し、700℃で半導体基板を取り出した。この熱酸化処理により、p型拡散層をバリアする熱酸化膜を形成した。
(シート抵抗の評価)
付与部のシート抵抗を低抵抗率計(三菱化学株式会社製、「Loresta MCP−T360」)を用いて測定した。付与部のシート抵抗は70Ω/sq.であり、p型拡散層が形成されていることが分かった。
(n型拡散層の形成)
上述のようにp型拡散層を形成したn型半導体基板を2枚p型拡散層の面を重ねてボートに設置し、POClガスを用いて840℃で17分間(Depo時間12分、Drive時間5分間)の熱拡散処理を行い、n型半導体基板のp型拡散層を形成した面の反対側全面にリン拡散層を形成した。その後、5質量%HF水溶液に13分間浸漬し半導体基板に残存したガラス成分を除去した。
(シート抵抗の評価)
上記の処理を行ったn型半導体基板のシート抵抗を、低抵抗率計(三菱化学株式会社製、Loresta MCP−T360)を用いて測定した。シート抵抗は50Ω/sq.であり、n型拡散層が形成されていることが分かった。更に、p型拡散層のシート抵抗は70Ω/sq.と変化がなくバリア効果が十分に得られ相互拡散がなかったことが示された。
上記のようにp型拡散層及びn型拡散層を形成したn型半導体基板に対し、酸素を5L/min流した熱酸化炉で700℃、20分間処理して両面にパッシベーション膜を形成した。その後、PECVDで両面に窒化ケイ素膜を形成した。次いで、n型半導体基板の両面にスクリーン印刷で銀ペーストを幅55μmの電極のパターン状に付与し、800℃でファイアースルーさせて、p型拡散層及びn型拡散層と電気的なコンタクトが確保された電極を形成し、両面受光型の太陽電池素子を作製した。
(I−V測定)
太陽電池素子のp型拡散層側の発電効率を、AM1.5Gに設定された光源のもと、I−Vトレーサー(英弘精機株式会社製 MP−180)を用いて測定した。その結果、発電効率は19.5%であった。
[実施例2]
実施例1におけるホウ素の拡散処理温度及び拡散処理時間をそれぞれ930℃及び60分間にし、p型拡散層を形成した後、N:3L/min、O:7L/minに拡散炉内の雰囲気を変えて、700℃まで80分間かけて降温した以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した。その結果、n型拡散層のシート抵抗は40Ω/sq.と適度にリン拡散層が形成され、p型拡散層は70Ω/sq.と十分なバリア効果が得られ相互拡散がないことを確認できた。発電効率は19.6%であった。
[実施例3]
実施例1のリンの熱拡散処理温度を830℃にした以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した。その結果、n型拡散層のシート抵抗は65Ω/sq.と適度にリン拡散層が形成され、p型拡散層は70Ω/sq.と十分なバリア効果が得られ相互拡散がないことを確認できた。発電効率は18.9%であった。
[比較例1]
実施例1の酸化処理における拡散炉内の雰囲気をN:10L/minとした以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した。その結果、p型拡散層のシート抵抗は120Ω/sq.と相互拡散が生じたことを示した。発電効率は10.2%であり、実施例1〜3と比較して低い発電効率であった。
[比較例2]
実施例1においてp型拡散層をバリアする熱酸化膜をフッ酸により除去した後にPOClガスを用いて熱拡散処理を行った以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した。その結果、p型拡散層のシート抵抗は200Ω/sq.と相互拡散が生じたことを示した。発電効率は5.2%であり、実施例1〜実施例3と比較して低い発電効率であった。
10…n型半導体基板(シリコン基板)、11…p型拡散層形成組成物、12…p型拡散層、14…n型拡散層、15反射防止膜、16…受光面電極用金属ペースト層、17…受光面電極層、18…裏面電極用金属ペースト層、19…裏面電極層、21…熱酸化膜、30…バスバー電極、32…フィンガー電極

Claims (11)

  1. 半導体基板上の表面に、ホウ素を含む化合物を含有するp型拡散層形成組成物を付与し、単位面積当たりの前記ホウ素を含む化合物の質量が0.001mg/cm〜0.1mg/cmであるp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、
    前記p型拡散層形成組成物層が付与された半導体基板に、酸素濃度が1体積%未満であり、800℃〜1050℃の雰囲気中で熱拡散処理を施す工程と、
    前記熱拡散処理後の前記半導体基板に、酸素濃度が1体積%〜100体積%の雰囲気中で熱酸化処理を施す工程と、
    前記半導体基板の表面を前記熱酸化処理により形成された熱酸化膜で保護した状態で、前記半導体基板の裏面にn型拡散層を形成する工程と、を有するp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  2. 前記熱拡散処理を施す工程における雰囲気の温度が930℃〜1000℃である、請求項1に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  3. 前記熱酸化処理における雰囲気の酸素濃度が50体積%〜90体積%である、請求項1又は請求項2に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  4. 前記ホウ素を含む化合物が、Bを含有するガラス粒子を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  5. 前記ホウ素を含む化合物が、酸化物として表示したとき、Bと、Al、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、GeO、Y、CsO及びTiOからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有するガラス粒子を含む、請求項4に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  6. 前記p型拡散層形成組成物層に含有される前記ホウ素を含む化合物の単位面積当たりの付与量が、0.005mg/cm〜0.01mg/cmである、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  7. 前記n型拡散層を形成する工程では、リン元素を含むガスを用いて前記n型拡散層を形成する、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  8. 前記n型拡散層を形成する工程では、前記リン元素を含むガスの拡散処理温度が700℃〜900℃である、請求項7に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法により製造されるp型拡散層付き半導体基板。
  10. 請求項9に記載のp型拡散層付き半導体基板と、前記p型拡散層付き半導体基板上に設けられた電極と、を有する太陽電池素子。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のp型拡散層付き半導体基板の製造方法によりp型拡散層付き半導体基板を製造する工程と、
    前記p型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する、太陽電池素子の製造方法。
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