JP2018163953A - 保護層形成用組成物、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池 - Google Patents

保護層形成用組成物、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】パッシベーション層を保護するとともにp+型拡散層を形成しうる保護層を簡便な手法で形成できる保護層形成用組成物、並びに、発電効率に優れる太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池の提供。【解決手段】ホウ素含有化合物と、分散媒と、を含有するパッシベーション層保護層形成用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、保護層形成用組成物、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池に関する。
近年、シリコン太陽電池に対して、発電効率を高くすることが求められており、その中にPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)の開発が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。PERCの製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、p型半導体基板の表面(受光面及び裏面の少なくとも一方)にテクスチャー構造を形成し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分間の処理を行って、p型シリコン基板の表面に一様にn型拡散層を形成する。このとき、受光面のみならず、受光面に対して裏面となる面にもn型拡散層が形成される。そこで次に、裏面をエッチングして、裏面のn型拡散層を除去する。
次に、受光面に反射防止膜を形成する。反射防止膜としては、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成されるSiN層等が挙げられる。続いて、裏面用のパッシベーション層を形成する。裏面用のパッシベーション層としては、酸化アルミニウム(Al)膜等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、パッシベーション層を保護するために、パッシベーション層の上に保護層が形成される。保護層としては、受光面に形成される反射防止膜と同様のSiN層が一般的に用いられている(例えば、非特許文献1参照)。パッシベーション層の上に保護層を形成した後の裏面には、レーザー照射等により開口部が形成される。次いで、開口部にアルミニウムペーストを付与して部分的にアルミニウムを拡散させて、p型拡散層とアルミニウム電極とを形成する。
ホウ素の拡散により形成されるp型拡散層は、アルミニウムの拡散により形成されるp型拡散層に比べ、キャリアの再結合を抑制するBack Surface Field(BSF)効果が高いため、発電効率により優れる太陽電池を得ることができると考えられる。そこで、ホウ素を含む塗布材を保護層の上に付与し、レーザー照射時にホウ素を拡散させることでp型拡散層を形成する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
特許第3107287号公報 特許第4767110号公報
IEEE Journal of Photovoltaics,3(2013),690〜696 Jpn.J.Appl.Phys,54(2015),08KD06
非特許文献2に記載されている方法では、パッシベーション層の上に保護層を形成し、さらにその上にホウ素を含む塗布材を付与するという、従来プロセスにはない工程が増えることになる。また、ホウ素を含む塗布材とレーザー照射のアライメントが必要となる。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、パッシベーション層を保護するとともにp型拡散層を形成しうる保護層を簡便な手法で形成できる保護層形成用組成物、並びに、発電効率に優れる太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>ホウ素含有化合物と、分散媒と、を含有する保護層形成用組成物。
<2>前記ホウ素含有化合物が、ホウ素含有ガラス化合物、ホウ素含有金属アルコキシド化合物ホウ素をドープしたシリコン粒子、及びホウ素をドープした窒化ケイ素粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載の保護層形成用組成物。
<3>前記ホウ素含有ガラス化合物が、Bと、Al、SiO、ZrO、TiO、P、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、GaO、HfO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO、Bi、Si、AlN、Ca、及びLiNから選択される少なくとも1種と、をガラス成分物質として含む、<1>又は<2>に記載の保護層形成用組成物。
<4>前記ホウ素含有ガラス化合物の軟化温度が400℃〜800℃である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
<5>前記ホウ素含有化合物の含有率が、前記保護層形成用組成物の全質量に対して1質量%〜90質量%である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
<6>シラン化合物、窒化ケイ素、及び炭化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
<7>半導体基板の少なくとも1つの面上にパッシベーション層を形成する工程と、前記パッシベーション層上に<1>〜<6>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する工程と、前記半導体基板に形成されたパッシベーション層及び保護層に開口部を形成する工程と、前記開口部にホウ素を含有するp型拡散層を形成する工程と、前記p型拡散層上に電極を形成する工程(電極形成工程)と、を含む、太陽電子素子の製造方法。
<8>前記熱処理の温度が400℃〜800℃である、<7>に記載の太陽電池素子の製造方法。
<9>前記p型拡散層は、前記保護層に含まれるホウ素を用いて形成される、<7>又は<8>に記載の太陽電池素子の製造方法。
<10>半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも1つの面上に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に設けられ、かつホウ素を含有する保護層と、前記半導体基板の前記保護層が形成される側に設けられ、かつホウ素を含有するp型拡散層と、前記p型拡散層上に設けられる電極と、を有する太陽電池素子。
<11><10>に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の前記電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
本発明によれば、パッシベーション層を保護するとともにp型拡散層を形成しうる保護層を簡便な手法で形成できる保護層形成用組成物、並びに、発電効率に優れる太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池が提供される。
太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 保護層の裏面におけるパターンの一例を示す概略平面図である。 保護層の裏面におけるパターンの別の一例を示す概略平面図である。 図3におけるA部を拡大した概略平面図である。 図3又は図4におけるB部を拡大した概略平面図である。 太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 太陽電池の製造方法の一例を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本開示において、粒子の「体積平均粒子径」はレーザー回折式粒度分布装置を用いて得られる体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(メディアン径、d50)である。
<保護層形成用組成物>
本実施形態の保護層形成用組成物は、ホウ素含有化合物と、分散媒と、を含有する。
本開示において「保護層」とは、太陽電池等の半導体基板上に設けられるパッシベーション層を保護するために設けられる層を意味する。
上記構成を有する保護層形成用組成物は、半導体基板上に形成されたパッシベーション層の所望の領域に付与して熱処理することにより、保護層を形成できる。そのため、CVD法等に比べて簡便な手法でパッシベーション層上に保護層を形成することができる。
また、上記構成を有する保護層形成用組成物を用いて形成された保護層は、パッシベーション層を保護する役割を果たすとともに、半導体基板にホウ素を拡散してp型拡散層を形成することができる。具体的には、パッシベーション層と保護層が形成された領域にレーザー照射で開口部を形成する際に、保護層中のホウ素がレーザーのエネルギーで半導体基板に拡散してp型拡散層を形成する。そのため、p型拡散層の形成のために保護層の上にホウ素を含む塗布材を付与してp型拡散層を形成する方法に比べて工程を少なくすることができる。
さらに、上記構成を有する保護層形成用組成物を用いてホウ素の拡散により形成されるp型拡散層は、アルミニウムの拡散により形成されるp型拡散層に比べ、キャリアの再結合を抑制するBSF効果が高い。そのため、発電効率に優れる太陽電池を得ることができる。
(ホウ素含有化合物)
保護層形成用組成物に含まれるホウ素含有化合物の種類は、特に制限されない。例えば、ホウ素含有ガラス化合物、ホウ素含有金属アルコキシド化合物、ホウ素をドープしたケイ素粒子、及びホウ素をドープした窒化ケイ素粒子が挙げられる。ホウ素含有化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、空隙が少なく緻密な保護膜を形成する観点からは、ホウ素含有化合物はホウ素含有ガラス化合物及びホウ素含有金属アルコキシド化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。割れ等の欠陥が生じにくい保護膜を形成する観点からは、ホウ素含有ガラス化合物がより好ましい。
本開示において「ホウ素含有ガラス化合物」とは、ホウ素を含有するガラス質の化合物を意味する。
ホウ素含有ガラス化合物は、酸化ホウ素(B)をガラス成分物質として含むガラス化合物であることがより好ましく、酸化ホウ素と酸化ホウ素以外のガラス成分物質とを含むガラス化合物であることが更に好ましい。ホウ素含有ガラスは、1種を単独で用いてもガラス成分物質の種類又は比率の異なる2種以上を併用してもよい。
ホウ素含有ガラス化合物が酸化ホウ素を含むガラス化合物である場合、酸化ホウ素の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素含有ガラス化合物中の酸化ホウ素の含有率は、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、0.5質量%〜50質量%であることがより好ましく、1質量%〜40質量%であることが更に好ましい。ホウ素含有ガラス化合物中に0.1質量%以上の酸化ホウ素を含むことで、半導体基板中へ拡散させるホウ素の量が充分に確保される傾向にあり、60質量%以下とすることで、保護層の耐湿性が充分に確保される傾向にある。
保護層形成用組成物におけるホウ素含有ガラス化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、保護層形成用組成物の全質量に対して、1質量%〜90質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜50質量%であることが更に好ましい。保護層形成用組成物が1質量%以上のホウ素含有ガラス化合物を含むことで、半導体基板中へ拡散させるホウ素の量が充分に確保される傾向にあり、90質量%以下とすることで、保護層形成組成物のパッシベーション層上への付与性が良好に維持される傾向にある。
ホウ素含有ガラス化合物に含まれる酸化ホウ素以外のガラス成分物質としては、一般的に用いられる成分を用いることができる。例えば、ガラス軟化温度を所望の範囲とし、また耐湿性を向上させる観点からは、酸化物として表示したときの酸化ホウ素以外のガラス成分物質は、Al、SiO、ZrO、TiO、P、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、GaO、HfO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO及びBiからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上述した効果をより効果的に得る観点からは、ホウ素含有ガラス化合物は、Bと、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、HfO、TeO及びBiからなる群より選択される少なくとも1種と、をガラス成分物質として含むことが好ましく、Bと、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、SnO、HfO及びBiからなる群より選択される少なくとも1種と、をガラス成分物質として含むことが更に好ましい。
ホウ素含有ガラス化合物に含まれるガラス成分物質は、非酸化物(窒化物等)であってもよい。非酸化物のガラス成分物質としては、Si、AlN、Ca、LiN等が挙げられる。
ホウ素含有ガラス化合物の具体例としては、例えば、B−SiO含有ガラス化合物(酸化ホウ素−酸化ホウ素以外のガラス成分物質の順で記載、以下同様)、B−CaO含有ガラス化合物、B−Al含有ガラス化合物、及びBをホウ素酸化物及びガラス成分物質の双方として用いるガラス化合物が挙げられる。また、B−Si−O−N系等の、O−N系の酸化物と非酸化物との混合系ガラス粒子が挙げられる。
上記では1成分又は2成分を含むガラス化合物を挙げたが、B−SiO−Al−CaO等の3成分以上を含むガラス化合物であってもよい。
ホウ素含有ガラス化合物の軟化温度は、熱処理の際の保護層形成用組成物の膜形成の観点から、400℃〜800℃であることが好ましく、500℃〜700℃であることがより好ましい
保護層形成用組成物の付与性の観点からは、ホウ素含有ガラス化合物は粒子(ホウ素含有ガラス粒子)であることが好ましい。ホウ素含有ガラス粒子の形状としては、例えば、球状、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状が挙げられる。
ホウ素含有ガラス粒子の体積平均粒子径は、保護層形成用組成物中における分散性及び形成される保護膜の均一性の観点から、0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましく、0.35μm以下であることが更に好ましい。また、ホウ素含有ガラス粒子の体積平均粒子径の下限に制限はないが、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましい。
本開示において「ホウ素含有金属アルコキシド化合物」とは、ゾル−ゲル反応に基づいてホウ素化合物と酸化ケイ素前駆体等の金属アルコキシドとの反応により得られる化合物、又は反応前の上記成分の混合物を意味する。「ホウ素化合物」とは、ホウ素と、炭素原子、酸素原子、窒素原子及び水素原子からなる群より選択される少なくとも1種とを含む化合物を意味する。
例えば、酸化ケイ素前駆体とホウ素化合物のゾル−ゲル反応により得られるホウ素含有金属アルコキシド化合物(ホウ素含有酸化ケイ素化合物)は、ホウ素化合物が酸化ケイ素(シロキサン)の化学結合によるネットワーク中に分散した構造となる。そのため、ホウ素含有ガラス化合物と比べて、比較的低温で均一な膜を形成できる。
ここで「ゾル−ゲル反応」とは、酸化ケイ素前駆体であるシリコンアルコキシドが加水分解してシラノール基を生成し、そのシラノール基が縮合反応することであり、結果としてケイ素−酸素結合を構造単位として有する三次元架橋したシリカゲルマトリックスを形成する反応である。酸化ケイ素前駆体と、ホウ素化合物と、ゾル−ゲル反応に用いる溶媒と、水と、酸触媒又はアルカリ触媒とを混合し、酸化ケイ素前駆体から脱離するアルコール及び水を除去することで酸化ケイ素前駆体の加水分解反応及び縮合反応が生じ、シロキサンのネットワーク中にホウ素化合物を含んだ酸化ケイ素化合物を合成できる。また、ホウ素含有酸化ケイ素化合物は、吸湿性も抑えることができるため、分散媒との反応及び水分との反応が抑制され、保護層形成用組成物中での化学的安定性が向上する傾向がある。
ゾル−ゲル反応に用いる金属アルコキシドは、ホウ素化合物と反応してホウ素含有金属アルコキシド化合物を合成できるものであれば特に制限されず、酸化ケイ素前駆体、酸化アルミニウム前駆体、酸化チタン前駆体等が挙げられる。酸化ケイ素前駆体であれば、シリコンメトキシド、シリコンエトキシド、シリコンプロポキシド、シリコンブトキシド、ジメチルポリシロキサン等のシリコンアルコキシドが挙げられる。入手の容易さから、酸化ケイ素前駆体としては、シリコンメトキシド、シリコンエトキシド、及びジメチルポリシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒は、前駆体の重合体を溶解可能であるものであれば特に制限は無い。溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物が挙げられる。溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒の量は、前駆体に対して0当量〜100当量であることが好ましく、1当量〜10当量であることがより好ましい。反応速度の低下を抑える観点からは、溶媒の量は多すぎないことが好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いる酸触媒又はアルカリ触媒は、加水分解又は脱水縮重合を調節する触媒として用いられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが一般的である。酸触媒としては無機又は有機のプロトン酸を用いることができる。無機プロトン酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、及び臭化水素酸が挙げられる。有機プロトン酸としては、例えば、酢酸、シュウ酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。酸の量によりゾルの溶媒への溶解度が変化するため、ゾルが可溶な溶解度になるように調節すればよく、前駆体に対して0.0001〜1当量が好ましい。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ素化合物としては、ホウ酸エステル、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等の水に溶解するとHBOとなる化合物が挙げられる。酸化ホウ素とはBで表される化合物であり、結晶化物であっても、ガラス質であってもどちらでもよい。ホウ酸とはHBO、B(OH)で表される化合物である。ホウ酸塩とはホウ酸の塩であり、例えば、ホウ酸の硝酸塩、アンモニウム塩、塩化物塩、及び硫酸塩を挙げることができる。
ゾル−ゲル反応に用いるホウ素化合物としては ホウ酸エステルが好ましい。ホウ酸エステルとしては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
一般式(I)におけるR〜Rは各々独立に、炭素数1〜10の有機基又は水素原子であり、R〜Rの少なくとも1つは、炭素数1〜10の有機基である。
〜Rで表される有機基は、炭素数が1〜10であれば特に制限されない。例えば、官能基、ヘテロ原子及び不飽和結合を有しない有機基、官能基を有する有機基、ヘテロ原子を有する有機基、及び不飽和結合を有する有機基が挙げられる。
〜Rで表される官能基、ヘテロ原子及び不飽和結合を有しない有機基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐状であることが好ましい。また、R〜Rで表されるアルキル基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表されるアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられる。
〜Rで表される官能基を有する有機基において、官能基としては、例えば、クロロ基、ブロモ基、及びフルオロ基が挙げられる。また、R〜Rで表される官能基を有する有機基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表される官能基を有する有機基として具体的には、例えば、クロロエチル基、フルオロエチル基、クロロプロピル基、ジクロロプロピル基、フルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基が挙げられる。
〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が挙げられる。また、R〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基は、炭素数が1〜10であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。R〜Rで表されるヘテロ原子を有する有機基として具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルスルホキシド基、エチルスルホキシド基、及びフェニルスルホキシド基が挙げられる。
〜Rで表される不飽和結合を有する有機基は、炭素数が2〜10であり、炭素数が2〜6であることが好ましく、炭素数が2〜4であることがより好ましい。R〜Rで表される不飽和結合を有する有機基は、具体的には、例えば、エチレニル基、エチニル基、プロペニル基、プロピニル基、ブテニル基、ブチニル基、及びフェニル基が挙げられる。
この中でも、R〜Rで表される有機基は、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)においてR〜Rが炭素数1〜10のアルキル基であるホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、及びホウ酸トリブチルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
ホウ素含有金属アルコキシド化合物中のホウ素化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素含有金属アルコキシド化合物中のホウ素化合物の含有率は、0.01質量%〜95質量%であることが好ましく、0.1質量%〜80質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜60質量%であることが更に好ましい。ホウ素含有金属アルコキシド化合物中に0.01質量%以上のホウ素化合物を含むことで、シリコン基板中へ拡散させるホウ素の絶対量を確保できる傾向にあり、95質量%以下とすることで、膜の耐湿性を向上させる傾向にある。
保護層形成用組成物におけるホウ素含有金属アルコキシド化合物の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、拡散性の観点からは、保護層形成用組成物におけるホウ素含有金属アルコキシド化合物の含有率は、1質量%〜90質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜50質量%であることが更に好ましい。保護層形成用組成物中のホウ素含有金属アルコキシド化合物の含有率が1質量%以上であると、p型拡散層を充分に形成することができ、90質量%以下であると、保護膜の緻密性がより向上する傾向にある。
ホウ素をドープしたケイ素粒子、及びホウ素をドープした窒化ケイ素粒子は、1018atoms/cm濃度以上のホウ素を含むことが好ましい。また、体積平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。緻密な膜を形成する観点からは、体積平均粒子径が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
ホウ素をドープしたケイ素粒子、及びホウ素をドープした窒化ケイ素粒子におけるホウ素の含有率は、目的に応じて適宜変えることができる。例えば、ホウ素の拡散性の観点からは、ホウ素の含有率は、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜50質量%であることが更に好ましい。また、保護層形成用組成物におけるホウ素をドープしたケイ素粒子、及びホウ素をドープした窒化ケイ素粒子の含有率は、1質量%〜90質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
(分散媒)
保護層形成用組成物に含まれる分散媒は、特に制限されない。例えば、樹脂、液状媒体等が挙げられる。本開示において「液状媒体」とは、室温(25℃)において液体の状態の物質を意味する。保護層形成用組成物に含まれる分散媒は樹脂のみであっても、液状媒体のみであっても、樹脂と液状媒体の両方であってもよい。
保護層形成用組成物が樹脂を含むことで、保護層形成用組成物から形成される保護層形成用組成物層の形状安定性が向上し、保護層が形成される面の反対側へだれて付着するのが抑制され、保護層を精度よく形成できる傾向にある。また、保護層形成用組成物が液状媒体を含むことで、保護層形成用組成物の粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上し、より均一な保護層を形成できる傾向にある。
樹脂の種類は特に制限されない。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアミド、ポリビニルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルなど)、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂のなかでも、保護層形成用組成物の保存安定性及び形状安定性の観点からは、酸性又は塩基性の官能基を有さない中性樹脂が好ましく、少ない量で容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点からは、エチルセルロース等のセルロース誘導体がより好ましい。
樹脂の分子量は特に制限されず、保護層形成用組成物としての所望の粘度に応じて選択できる。例えば、保存安定性及び形状安定性の観点からは、樹脂の重量平均分子量は100〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(東ソー(株)、「PStQuick MP−H、PStQuick B」(商品名))を用いて3次式で近似する。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:(ポンプ:(株)日立ハイテクノロジーズ、「L−2130型」)
(検出器:(株)日立ハイテクノロジーズ、「L−2490型RI」)
(カラムオーブン:(株)日立ハイテクノロジーズ、「L−2350」)
カラム:日立化成(株)、「Gelpack GL−R440」+「Gelpack GL−R450」+「Gelpack GL−R400M」(計3本;いずれも商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:25℃
保護層形成用組成物が樹脂を含む場合、その含有率は特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂の含有率が、保護層形成用組成物の全質量に対して0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。パターン形成性をより向上可能とするチキソ性を発現させる観点から、樹脂の含有率は1質量%〜25質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜20質量%であることが更に好ましく、1.5質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
液状媒体として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル等のエーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン、エチルベンゼン、2−エチルヘキサン酸等の疎水性有機溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、イソボルニルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤、水などが挙げられる。これらの液状媒体は、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
液状媒体は、保護層形成用組成物の付与性及びパターン形成性の観点からは、疎水性有機溶剤、非プロトン性有機溶剤、テルペン溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤及びアルコール溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン溶剤、エステル溶剤及びアルコール溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、テルペン溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
保護層形成用組成物が液状媒体を含有する場合、その含有率は特に制限されず、付与性、保存安定性等を考慮して選択できる。例えば、液状媒体の含有率は、保護層形成用組成物の付与性の観点から、保護層形成用組成物の全質量の10質量%〜98質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
保護層形成用組成物は、所望に応じて、シラン化合物、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のその他の成分を更に含んでいてもよい。中でも、シラン化合物を含むことで、保護層形成用組成物から形成される保護層の耐湿性がより向上し、太陽電池素子の長期信頼性を確保できる。
シラン化合物としては、テトラエトキシシラン、ジメチルポリシロキサン、シランカップリング剤等が挙げられる。
(物性値)
保護層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板のパッシベーション層が形成された領域に付与する方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、保護層形成用組成物の粘度は、0.01Pa・s〜10,000Pa・sの範囲内とすることができる。塗布性の観点からは、保護層形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜100Pa・sであることが好ましい。保護層形成用組成物の粘度は、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
パターン形成性の観点からは、保護層形成用組成物のせん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.0〜10であることが好ましく、2.0〜6.0であることがより好ましい。尚、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
保護層形成用組成物中に含まれる成分の存在及び各成分の含有量は、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)等の熱分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)等のスペクトル分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
(保護層形成用組成物の製造方法)
保護層形成用組成物の製造方法は、特に制限されない。例えば、ホウ素含有化合物と、分散媒と、必要に応じて含まれるその他の成分とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。
<太陽電池素子>
本実施形態の太陽電池素子は、半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも1つの面上に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に設けられ、ホウ素を含有する保護層と、前記半導体基板の前記保護層が形成される側に設けられ、かつホウ素を含有するp型拡散層と、前記p型拡散層上に設けられる電極と、を有する。
本実施形態の太陽電池素子は、ホウ素を含有するp型拡散層と、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層とを有することで、変換効率に優れている。本実施形態の太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
本実施形態の太陽電池素子において、ホウ素を含有するp型拡散層は、保護層に含まれるホウ素を用いて形成されてもよい。この場合は、ホウ素を拡散するための手段を別途講じる必要がなく、製造効率に優れている。
(半導体基板)
半導体基板は特に制限されず、太陽電池素子の用途に応じて通常用いられるものから選択できる。半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等の基板にp型不純物をドープ(拡散)したものが挙げられる。中でもシリコン基板であることが好ましい。半導体基板は、通常、p型半導体基板が選ばれるが、p型不純物をドープして拡散層を形成したn型半導体基板であっても良い。
半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板の厚みは50μm〜1000μmの範囲内とすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
(パッシベーション層)
パッシベーション層は、金属酸化物を含有する層であってもよい。パッシベーション層に含まれる金属酸化物としては酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム等が挙げられ、パッシベーション性能の観点からは、酸化アルミニウムが好ましい。パッシベーション層に含まれる金属酸化物は1種のみであっても、2種以上であってもよい。
パッシベーション層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1nm〜50nmであることが好ましく、1nm〜30nmであることがより好ましく、1nm〜20nmであることが更に好ましい。
ここで、パッシベーション層の厚みは、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス(株)製の「F20膜厚測定システム」)、エリプソメーター等を用いて、常法により3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される値とする。
(保護層)
保護層は、パッシベーション層上に設けられ、かつホウ素を含有する。
保護層は、パッシベーション層が形成された領域の全体に設けられても一部に設けられてもよい。充分な保護効果を得る観点からは、パッシベーション層が形成された領域の全体に設けられることが好ましい。
保護層は、上述した実施形態の保護層形成用組成物の熱処理物であってもよい。保護層が保護層形成用組成物の熱処理物であるか否かは、例えば、保護層が炭素成分を含むか否かによって確認することができる。この炭素成分は、熱処理時に保護層形成用組成物に含まれていた分散媒が、保護層中に僅かに残存し、炭化したものである。あるいは、保護層形成用組成物に含まれていたガラス粒子の溶融物を含むか否かによっても確認することができる。
保護層の厚みは、特に限定されない。電極形成用ペーストを半導体基板上に付与して熱処理する際の保護層の耐性の観点からは、20nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが更に好ましい。半導体基板の反りを抑制する観点からは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
ここで、保護層の厚みは、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス(株)製の「F20膜厚測定システム」)を用いて、常法により3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される値とする。
(p型拡散層)
型拡散層は、ホウ素を含有する。ホウ素を含有するp型拡散層は、上述した保護層形成用組成物又は上述した保護層に含まれるホウ素を用いて形成されるものであってもよい。例えば、電極を半導体基板上に形成するために、パッシベーション層及び保護層をレーザー照射で開口する際に、保護層中に含まれるホウ素が半導体基板に拡散して形成されるものであってもよい。
型拡散層におけるホウ素の最表面濃度は、1018atoms/cm以上であることが好ましく、電極との抵抗を下げる観点から、1019atoms/cm以上であることがより好ましい。p型拡散層の深さは、0.5μm〜3μmであることが好ましく、太陽電池の性能の観点から、1μm〜2μm以下であることがより好ましい。
(電極)
電極の材質は特に制限されず、アルミニウム、銀等が挙げられる。電極は、レーザー照射等でパッシベーション層及び保護層に形成した開口部であって、ホウ素を含有するp型拡散層を形成した部分に少なくとも設けられることが好ましい。開口部の形状としては、ストライプ状、ドット状等が挙げられる。
<太陽電池素子の製造方法>
本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、半導体基板の少なくとも1つの面上にパッシベーション層を形成する工程(パッシベーション層形成工程)と、前記パッシベーション層上にホウ素含有化合物と、分散媒と、を含む保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する工程(保護層形成工程)と、前記半導体基板に形成されたパッシベーション層及び保護層に開口部を形成する工程(開口部形成工程)と、前記開口部にホウ素を含有するp型拡散層を形成する工程(p型拡散層形成工程)と、前記p型拡散層上に電極を形成する工程(電極形成工程)と、を含む。
太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
本実施形態の太陽電池素子の製造方法によれば、発電効率に優れる太陽電池素子を製造することができる。また、ホウ素を含有するp型拡散層は、保護層に含まれるホウ素を用いて形成されるため、ホウ素を拡散するための手段を別途講じる必要がなく、製造効率に優れている。本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
(パッシベーション層形成工程)
パッシベーション層形成工程において、パッシベーション層を形成する方法は特に制限されない。例えば、ALD法(Atomic Layer Deposition、原子層堆積法)、CVD法(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長法)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマCVD法)等の製膜技術により形成した金属酸化物層を熱処理することで形成しても、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板にスクリーン印刷法、スピンコート、インクジェット法、ロールコート法、ブレードコート法等により付与し、熱処理することで形成してもよい。パッシベーション層形成用組成物は、熱処理によって金属酸化物を含有するパッシベーション層を形成可能なものであれば特に限定されず、公知のパッシベーション層形成用組成物を使用することができる。
パッシベーション層は、半導体基板の少なくとも1つの面上の全体に、パッシベーション層の前駆体層を形成してから熱処理を行い、形成されることが好ましい。この方法において、前駆体層は、ALD法、CVD法、PECVD法等により形成される金属酸化物層であってもよく、パッシベーション層形成用組成物を用いて形成されるパッシベーション層形成用組成物の層であってもよい。
パッシベーション層を形成するための熱処理の方法は、特に限定されない。熱処理温度は400℃〜800℃であることが好ましい。
パッシベーション層形成用組成物を使用する場合には、パッシベーション層形成用組成物層を熱処理する前に、パッシベーション層形成用組成物層を乾燥させてもよい。
(保護層形成工程)
保護層形成工程では、上述した実施形態の保護層形成用組成物を用いて形成する。例えば、パッシベーション層上に保護層形成用組成物を付与して保護層形成用組成物層を形成し、これを熱処理して保護層を形成してもよい。
保護層形成用組成物をパッシベーション層上に付与する場合、その方法は特に制限されない。例えば、スクリーン印刷法、スピンコート、インクジェット法、ロールコート法、及びブレードコート法が挙げられる。
保護層を形成する際の熱処理の方法は特に限定されず、公知の熱処理装置等を使用することができる。熱処理の温度は400℃〜800℃であることが好ましく、400℃〜700℃であることがより好ましく、400℃〜600℃であることが更に好ましい。熱処理の時間は1分〜120分であることが好ましく、3分〜90分であることがより好ましい。熱処理は窒素雰囲気、又は大気雰囲気下で行うことができる。
保護層形成用組成物層を熱処理する前に、保護層形成用組成物層を乾燥させてもよい。乾燥の条件は特に制限されない。
(開口部形成工程)
開口部形成工程において、パッシベーション層及び保護層に開口部を形成する方法は、特に制限されない。例えば、レーザー照射により行うことができる。レーザー照射により開口部を形成する場合は、例えば、電極を形成する所定の領域に、レーザーを照射し、当該領域に相当するパッシベーション層及び保護層を除去して開口部を形成する。
使用されるレーザーとしては、単一波長からなるレーザー光を用いることが好ましい。レーザー光の波長は特に制限されず、保護層形成用組成物の光吸収特性に応じて選択することができる。汎用性の観点からは、200nm〜1100nmであることが好ましい。レーザー光の波長はまた、パルス状の光、連続発振させる光などを用いることもできる。
(p型拡散層形成工程)
型拡散層形成工程において、p型拡散層を形成する方法は、特に制限されない。製造効率の観点からは、開口部形成工程と一括して行うことが好ましい。例えば、開口部形成のためのレーザー照射のエネルギーによって行うことがより好ましく、レーザー照射のエネルギーによって保護層形成用組成物に含まれるホウ素を半導体基板へ拡散させ、ホウ素を含有するp型拡散層を形成することが更に好ましい。
ホウ素を含有するp型拡散層は高いBack Surface Field効果を生み、太陽電池素子の発電効率を向上することができる。
(電極形成工程)
電極形成工程において、電極を形成する方法は、特に制限されない。例えば、電極形成用ペーストをp型拡散層が形成された領域に付与して熱処理する方法が挙げられる。電極形成用ペーストの種類は特に制限されず、公知の電極形成用ペーストを使用することができる。経済性の観点からは、アルミニウムペーストを使用することが好ましい。電極形成用ペーストを付与する方法は特に限定されず、スクリーン印刷法、ブレードコート等が挙げられる。
電極形成用ペーストを熱処理する場合、熱処理の方法は特に限定されず、公知の熱処理装置等を使用することができる。熱処理の温度は450℃〜900℃であることが好ましく、500℃〜850℃であることがより好ましい。熱処理の時間は0.1秒〜60秒であることが好ましく、1秒〜30秒であることがより好ましい。
次に、図面を参照しながら本実施形態の太陽電池素子の製造方法の一例について説明する。但し、本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、図面に示す実施形態になんら制限されるものではない。また、図面における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
図1は、太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。まず、図1(1)に示すように、p型半導体基板1をアルカリ水溶液で洗浄し、p型半導体基板1の表面の有機物、パーティクル等を除去する。これにより、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄方法としては、一般的に知られるRCA洗浄が挙げられる。具体的には、希フッ酸水溶液(HF)を用いて酸化膜を除去した後のp型半導体基板1をアンモニア水と過酸化水素水との混合溶液に浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物、パーティクル等の異物を除去することができる。洗浄時間は、10秒間〜10分間であることが好ましく、30秒間〜5分間であることがより好ましい。
次に、図1(2)に示すように、p型半導体基板1の表面にアルカリエッチング処理等を施し、表面に凹凸(以下、「テクスチャ」とも称する)を形成する。これにより、太陽電池素子の受光面側では太陽光の反射を抑制することが可能となる。アルカリエッチング処理には、例えば、NaOHとIPA(イソプロパノール)とからなるエッチング溶液を使用することができる。
次に、図1(3)に示すように、p型半導体基板1の表面にリン等のドナー元素を熱拡散することにより、n型拡散層2がサブミクロンオーダーの厚みで形成されるとともに、p型バルク部分との境界にpn接合部(不図示)が形成される。
リン等のドナー元素を拡散させるための手法としては、例えば、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において、800℃〜1000℃で数十分の熱処理を行う方法が挙げられる。この方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、図1(3)に示すように、受光面(表面)以外に、裏面及び側面(図示せず)にもn型拡散層2が形成される。また、n型拡散層2の上には、PSG(リンシリケートガラス)層3が形成される。そのため、サイドエッチングを行い、側面に形成されたPSG層3及びn型拡散層2を除去する。
その後、図1(4)に示すように、受光面及び裏面に形成されたPSG層3をそれぞれフッ酸等のエッチング溶液を用いて除去する。更に、図1(5)に示すように、別途、裏面をエッチング処理して、裏面のn型拡散層2を除去して平坦化する。平坦化する方法としては、硝酸、フッ酸及び酢酸の混合溶液又は水酸化カリウム溶液に、p型半導体基板1の裏面を浸す方法等を用いることができる。
次に、図1(6)に示すように、受光面に形成されたn型拡散層2上に、PECVD法等によって、窒化ケイ素等からなる反射防止膜4を所望の厚み(例えば、約90nm)で設ける。
次に、図1(7)に示すように、裏面の一部にALD法により酸化アルミニウム等の金属酸化物層を形成した後、400℃〜800℃の温度で熱処理(焼成)を行ってパッシベーション層5を形成する。
次に、図1(8)に示すように、パッシベーション層5上に、ホウ素含有化合物を含む保護層形成用組成物をスクリーン印刷法等により全領域に付与する。乾燥させた後、400℃〜800℃の温度で熱処理(焼成)を行い、保護層6を形成する。
次に、図1(9)に示すように、パッシベーション層5及び保護層6の一部にレーザー照射により開口部を形成する。このとき、レーザー照射のエネルギーによってホウ素が保護層6から半導体基板へ拡散し、ホウ素を含有するp型拡散層11を形成する。
図3に、裏面における保護層6の開口パターンの一例を概略平面図として示す。図5は、図3におけるA部を拡大した概略平面図である。図6は、図3におけるB部を拡大した概略平面図である。図3に示す保護層6の場合、図6及び図7からも分かるように、裏面の保護層6は後の工程で裏面出力取出し電極8が形成される部分を除き、ライン状の開口部からp型半導体基板1が露出したパターンを有する。このライン状開口部のパターンは、ライン幅(L)及びライン間隔(L)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ライン幅(L)及びライン間隔(L)は任意に設定できる。パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合抑制の観点から、Lが20μm〜2mmでありLが10μm〜5mmであることが好ましく、Lが30μm〜1mmでありLが40μm〜3mmであることがより好ましく、Lが40μm〜0.5mmでありLが50μm〜2mmであることが更に好ましい。
尚、裏面における保護層6の形状は図3に示すパターンに限定されず、図4に示すパターン等を有していてもよい。図4は保護層6のパターンの別の一例を示す概略平面図であり、図4におけるB部を拡大した概略平面図が図6である。
次に、図1(10)に示すように、受光面に、ガラス粒子を含む電極ペースト(受光面集電用電極ペースト9又は受光面出力取出し電極ペースト10をスクリーン印刷法等にて付与する。図2は、本発明の太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。図2に示すように、受光面電極は、受光面集電用電極9と受光面出力取出し電極10からなる。受光面積を確保するため、これら受光面電極の形成面積は少なく抑える必要がある。その他、受光面電極の抵抗率及び生産性の観点から、受光面集電用電極9の幅は10μm〜250μmであり、受光面出力取出し電極10の幅は100μm〜2mmであることが好ましい。また、図3では受光面出力取出し電極10を2本設けているが、少数キャリアの取出し効率(発電効率)の観点から、受光面出力取出し電極10の本数を3本又は4本とすることもできる。
一方、図1(10)に示すように、裏面のp型拡散層11が形成された部分を含む領域には、ガラス粒子を含むアルミニウム電極ペースト(裏面集電用電極ペースト7)及びガラス粒子を含む銀電極ペースト(裏面出力取出し電極ペースト8)を、スクリーン印刷法等により付与する。図7は、太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。裏面出力取出し電極8の幅は特に制限されず、後の太陽電池の製造工程での配線材料の接続性等の観点からは、裏面出力取出し電極8の幅は、100μm〜10mmであることが好ましい。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後、乾燥してから大気中において450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、受光面に受光面集電用電極9及び受光面出力取出し電極10を、裏面に裏面集電用電極7及び裏面出力取出し電極8を、それぞれ形成する。
熱処理(焼成)後、図1(10)に示すように、受光面では、受光面電極を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜4とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極(受光面集電用電極9及び受光面出力取出し電極10)とn型拡散層2とが電気的に接続される(オーミックコンタクトの形成)。一方、裏面では、図5及び図6においてライン状にp型半導体基板1が露出した開口部(パッシベーション層5及び保護層6が除去された部分)では、熱処理(焼成)により、アルミニウム電極ペースト中のアルミニウムが半導体基板と接続してオーミックコンタクトを形成する。
<太陽電池>
本実施形態の太陽電池は、上述した実施形態の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する。本実施形態の太陽電池は、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結されていてもよく、更に封止材で封止されていてもよい。配線材料及び封止材は特に制限されず、当該技術分野で通常用いられているものから適宜選択することができる。
図8は、本実施形態の太陽電池の製造方法の一例を説明する図である。本実施形態の太陽電池は、例えば、図8に示すように、ガラス板16、封止材14、配線材料13を接続した太陽電池素子12、封止材14及びバックシート15をこの順で積層し、この積層体を真空ラミネータ(例えば、(株)エヌピーシー、「LM−50×50−S」)を用いて、配線部材の一部が露出するように、140℃の温度で5分間真空ラミネートすることにより製造することができる。
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明する。ただし、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(保護層形成用組成物の調製)
略球状で軟化点が587℃のホウ素含有ガラス粒子(B:SiO:Al:CaOが25mol:65mol:5mol:5mol)、旭ガラス(株)、「ASF1939」)16gと、テルピネオール24gとを、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)、「P−7」)を用いて分散し、体積平均粒子径が0.3μmであるホウ素含有ガラス粒子を含む分散液を調製した。この分散液37.5gと、エチルセルロース2gと、テルピネオール10.5gとを、150℃で1時間撹拌して混合し、保護層形成用組成物を調製した。
(評価用基板の作製)
単結晶p型半導体基板(156mm×156mm、厚み200μm)をアルカリエッチング処理して、両面にテクスチャー構造を形成した。次いで、POCl拡散してn層を形成し、受光面側の面にCVD法で反射防止膜としてのSiNx膜を形成した。次いで、SiNx膜が形成されていない一方の面をエッチング処理して、表面形状を平坦化した。平坦化した表面の凹凸差は2μmであった。
次いで、半導体基板の平坦化した面の全面に、ALD法により厚みが約20nmの酸化アルミニウム層を形成し、これを700℃で20分間熱処理してパッシベーション層を形成した。
次いで、上記で調製した保護層形成用組成物を、スクリーン印刷法でパッシベーション層の上に、パッシベーション層の全面に付与した。その後、150℃で5分間乾燥し、拡散炉(光洋サーモシステム(株)、「260A−M100型」)を用いて、大気雰囲気下、最高温度700℃、保持時間10分間の条件で熱処理(焼成)を行い、保護層を形成した。
次いで、レーザー照射(YAGレーザー、発振波長1060nm)を用いて、パッシベーション層及び保護層の一部を除去して、p型半導体基板まで到達する開口部を形成した。開口部は、ライン幅70μm、ライン間隔1mmのライン状のパターンとした。
開口部にp型拡散層が形成されているか否かを二次イオン質量分析法(SIMS)で確認したところ、最表面に3×1019atoms/cmのホウ素が存在し、拡散層の深さは1μmであった。
次いで、受光面にAg電極を、裏面の開口部にアルミニウム電極を形成して、太陽電池素子を作製した。
作製した太陽電池素子をソーラーシミュレータ((株)ワコム電創、「XS−155S−10」)を用いて、IV評価したところ、変換効率が19.6%を示した。
<比較例1>
「実施例1」の方法において、CVD法を用いて窒化ケイ素(SiNx)膜をパッシベーション層の上に保護層として形成したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子を作製し、太陽電池特性を評価した。結果を表1に示す。
表1の結果に示すように、実施例1で作製した太陽電池素子は、比較例1で作製した太陽電池素子に比べて変換効率が高かった。この理由としては、レーザー照射により形成した開口部に保護層からホウ素が拡散してp型拡散層が形成されたことが考えられる。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 PSG層
4 反射防止膜
5 パッシベーション層
6 保護層形成用組成物/保護層
7 裏面集電用電極ペースト又は裏面集電用電
8 裏面出力取出し電極ペースト又は裏面出力取出し電極
9 受光面集電用電極ペースト又は受光面集電用電極
10 受光面出力取出し電極ペースト又は受光面出力取出し電極
11 ホウ素拡散層(p型拡散層)
12 太陽電池素子
13 配線部材
14 封止材
15 バックシート
16 ガラス板

Claims (11)

  1. ホウ素含有化合物と、分散媒と、を含有する保護層形成用組成物。
  2. 前記ホウ素含有化合物が、ホウ素含有ガラス化合物、ホウ素含有金属アルコキシド化合物ホウ素をドープしたシリコン粒子、及びホウ素をドープした窒化ケイ素粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の保護層形成用組成物。
  3. 前記ホウ素含有ガラス化合物が、Bと、Al、SiO、ZrO、TiO、P、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、GaO、HfO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO、Bi、Si、AlN、Ca、及びLiNから選択される少なくとも1種と、をガラス成分物質として含む、請求項1又は請求項2に記載の保護層形成用組成物。
  4. 前記ホウ素含有ガラス化合物の軟化温度が400℃〜800℃である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
  5. 前記ホウ素含有化合物の含有率が、前記保護層形成用組成物の全質量に対して1質量%〜90質量%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
  6. シラン化合物、窒化ケイ素、及び炭化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
  7. 半導体基板の少なくとも1つの面上にパッシベーション層を形成する工程と、
    前記パッシベーション層上に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する工程と、
    前記半導体基板に形成されたパッシベーション層及び保護層に開口部を形成する工程と、
    前記開口部にホウ素を含有するp型拡散層を形成する工程と、
    前記p型拡散層上に電極を形成する工程(電極形成工程)と、を含む、太陽電子素子の製造方法。
  8. 前記熱処理の温度が400℃〜800℃である、請求項7に記載の太陽電池素子の製造方法。
  9. 前記p型拡散層は、前記保護層に含まれるホウ素を用いて形成される、請求項7又は請求項8に記載の太陽電池素子の製造方法。
  10. 半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも1つの面上に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に設けられ、かつホウ素を含有する保護層と、前記半導体基板の前記保護層が形成される側に設けられ、かつホウ素を含有するp型拡散層と、前記p型拡散層上に設けられる電極と、を有する太陽電池素子。
  11. 請求項10に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の前記電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114050105A (zh) * 2022-01-13 2022-02-15 海宁正泰新能源科技有限公司 一种TopCon电池的制备方法
WO2022181732A1 (ja) * 2021-02-24 2022-09-01 昭和電工マテリアルズ株式会社 太陽電池素子及び太陽電池
CN115332364A (zh) * 2022-08-10 2022-11-11 西南交通大学 太阳能电池钝化涂覆料、制备方法及钝化方法

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