JP2014072437A - 半導体基板パッシベーション膜形成用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体基板パッシベーション膜形成用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法 Download PDF

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靖 倉田
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明博 織田
Shuichiro Adachi
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Takeshi Hayasaka
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Abstract

【課題】簡便な手法で所望の形状に半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成することができる半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、窒化ホウ素と、を含む半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。

[式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物、パッシベーション膜付半導体基板及びその製造方法、並びに太陽電池素子及びその製造方法に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。
この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面全体にアルミニウム粉末及びバインダを含むアルミニウムペーストを塗布し、これを焼成してアルミニウム電極を形成することで、n型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低く、シート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミニウム電極は焼成後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、基板であるシリコンとアルミニウムとでは熱膨張率が大きく異なることから、焼成および冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、結晶粒界のダメージ、結晶欠陥増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの塗布量を減らし、裏面電極層を薄くする方法がある。しかしながら、アルミニウムペーストの塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不十分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
上記に関連して、アルミニウムペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp型拡散層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタンクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような受光面とは反対側(以下、「裏面側」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面側用の半導体基板パッシベーション膜(以下、単に「パッシベーション膜」ともいう)として、SiO膜などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような酸化膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面表層部シリコン原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション膜内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷をもつ材料として酸化アルミニウム(Al)膜などが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このようなパッシベーション膜は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、非特許文献1参照)。また半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば非特許文献2〜4参照)。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報
Journal of Applied Physics、104(2008)、113703−1〜113703−7. Thin Solid Films、517(2009)、6327−6330 Chinese Physics Letters、26(2009)、088102−1〜088102−4. Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399
非特許文献1に記載の手法は、蒸着などの複雑な製造工程を含むため、生産性を向上させることが困難な場合があった。また非特許文献2及び3に記載の手法に用いるパッシベーション膜形成用組成物では、経時的にゲル化等の不具合が発生してしまい保存安定性が充分とは言い難かった。また、ポイントコンタクトの手法では、アルミニウム電極及びp型拡散層が半導体基板上の一部にしか形成されないため、十分なBSF効果を得ることができなかった。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、簡便な手法で所望の形状に半導体基板パッシベーション膜を形成するとともにp型拡散層を形成することができる半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、窒化ホウ素と、を含む半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。

[式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
<2>前記窒化ホウ素の結晶形は六方晶である<1>に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<3>前記窒化ホウ素は粒子形状であり、該粒子のX線回折パターンにおいて、(100)面における回折強度(I(100))及び(101)面における回折強度(I(101))の和の、(102)面における回折強度(I(102)))に対する比として定義されるピーク強度比((I(100)+I(101))/(I(102)))が3.5以下である<1>又は<2>に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<4>前記窒化ホウ素のBET比表面積は3m/g〜200m/gである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<5>前記窒化ホウ素を半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に5質量%〜80質量%含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<6>前記窒化ホウ素が機械的表面改質処理されている<1>〜<5>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<7>前記窒化ホウ素が湿式粉砕処理されている<1>〜<6>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<8>前記湿式粉砕処理がビーズミル又はボールミルを用いる<7>に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<9>前記湿式粉砕処理時の分散媒が水を含む<7>又は<8>に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<10>前記一般式(I)において、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<11>前記一般式(I)において、nが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<12>さらに有機バインダを含有する<1>〜<11>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<13>前記有機バインダの含有率が半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に0.1質量%〜30質量%である<12>に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<14>半導体基板のパッシベーション膜及びp型拡散層を形成するために用いられる、<1>〜<13>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
<15>半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた<1>〜<14>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、前記半導体基板の前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板。
<16>半導体基板上の全面又は一部に、<1>〜<14>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱処理して、半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成する工程と、を有する半導体基板パッシベーション膜付半導体基板の製造方法。
<15>p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板の全面又は一部に設けられた<1>〜<14>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、前記半導体基板の前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層p型拡散層と、前記半導体基板の前記p型層又は前記n型層の少なくとも一方の上に配置された電極と、を有する太陽電池素子。
<16>p型層及びn型層が接合されてなるpn接合並びに前記p型層及び前記n型層の少なくとも一方の上に配置された電極を有する半導体基板の前記電極が配置された面の少なくとも一方の上に、<1>〜<14>のいずれか1つに記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱処理して、半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
本発明によれば、簡便な手法で所望の形状に半導体基板パッシベーション膜を形成するとともにp型拡散層を形成することができる半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を提供することができる。また、本発明によれば該半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いたパッシベーション膜付半導体基板及び太陽電池素子を提供することができる。さらに本発明によれば該半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いた、パッシベーション膜付半導体基板及び太陽電池素子の製造方法を提供することができる。
本実施形態にかかる半導体基板パッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態にかかる半導体基板パッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<半導体基板パッシベーション膜形成用組成物>
本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、窒化ホウ素とを含む。前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が特定の有機アルミニウム化合物と窒化ホウ素とを含むことで、簡便な手法で所望の形状に半導体基板パッシベーション膜を形成するとともにp型拡散層を形成することができる。
式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8個のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここでR〜R、X及びXのいずれかが複数存在する場合、複数存在する同一の記号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を半導体基板に付与して所望の形状の組成物層を形成し、これを焼成処理することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を所望の形状に形成することができる。本発明の手法は、蒸着装置等を必要としない。さらにマスク処理等の煩雑な工程を要することなく、所望の形状にパッシベーション膜を形成できるため、簡便で生産性が高い。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は特定の有機アルミニウム化合物を含むことで、ゲル化等の不具合の発生が抑制されて経時的な保存安定性に優れる。さらに窒化ホウ素を含むことで、半導体基板にパッシベーション膜を形成するとともにp型拡散層を形成することができ、太陽電池素子としたときの変換効率を一層向上できる。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、半導体基板パッシベーション膜が形成された半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムをライフタイム測定装置(日本セミラボ社製のWT−2000PVN等)を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが長くなる結果、実効ライフタイムτが長くなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが長くなって実効ライフタイムτが長くなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション膜/半導体基板の界面特性、及び、ダングリングボンドなどの半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
尚、実効ライフタイムが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
(有機アルミニウム化合物)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の少なくとも1種を含む。前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレートなどと呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、前記有機アルミニウム化合物は焼成処理により酸化アルミニウム(Al)となる。
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を含有することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成できる理由について、発明者らは以下のように考えている。上記のような特定構造の有機アルミニウム化合物を含有する半導体パッシベーション膜形成組成物を焼成処理することにより形成される酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすい。このため、4配位酸化アルミニウム層が半導体基板との界面付近に形成されやすく、4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷をもつことができると考えられる。この大きな負の固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができると考えられる。
半導体基板表面上における負の固定電荷の原因種である4配位酸化アルミニウム層の状態は、半導体基板の断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM、Scanning Transmission Electron Microscope)による電子エネルギー損失分光法(EELS、Electron Energy Loss Spectroscopy)の分析で結合様式を調べることができる。4配位酸化アルミニウムは二酸化珪素(SiO)の中心が珪素からアルミニウムに同形置換した構造と考えられ、ゼオライトや粘土のように二酸化珪素と酸化アルミニウムの界面で負の電荷源として形成されることが知られている。
なお、形成された酸化アルミニウム層の状態はX線回折スペクトル(XRD、X−ray Diffraction)を測定することにより確認できる。例えば、XRDが特定の反射パターンを示さないことで、酸化アルミニウムがアモルファス構造であることが確認できる。また、酸化アルミニウムがもつ負の固定電荷は、CV法(Capacitance Voltage Measurement)で評価することが可能である。ただし、本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物から形成された酸化アルミニウムの焼成層について、CV法から得られるその表面準位密度は、ALDやCVD法で形成される酸化アルミニウム層の場合と比べ、大きな値となる場合がある。しかし本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物から形成されたパッシベーション膜は、電界効果が大きく少数キャリアの濃度が低下して表面ライフタイムτが大きくなる。そのため、表面準位密度は相対的に問題にはならない。
一般式(I)において、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRで表されるアルキル基は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは0〜3の整数を表わす。nは保存安定性の観点からは、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましい。パッシベーション効果の観点からは、nが0であることもまた好ましい。
一般式(I)において、X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXの少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)におけるR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
またRは、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、キレート化による反応性の抑制の観点から、nが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物であることが好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であり、X又はXがメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR又はRが水素原子であり、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(I)で表され、nが0の有機アルミニウム化合物であるアルミニウムトリアルコキシドとして具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec-ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物として具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を挙げることができる。
一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートD、アルキミレートA等を挙げることができる。
また一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物は、前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。また市販されているアルミニウムキレート化合物を用いてもよい。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理や触媒の添加を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、有機アルミニウム化合物の加水分解や重合反応に対する安定性が向上し、これを含む半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の保存安定性がより向上する。
前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、反応性と保存安定性の観点から、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物及びマロン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物として具体的には、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等のβ―ジケトン化合物;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸tert−ブチル、アセト酢酸ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、2−メチルアセト酢酸エチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等のβ―ケトエステル化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸tert−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステルなどを挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、1又は3であることが好ましく、溶解度の観点から、1であることがより好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば前記アルミニウムトリアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成し得る化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物のうち、焼成時の反応性と組成物としての保存安定性の観点から、具体的にはnが1〜3である有機アルミニウム化合物を用いることが好ましく、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を用いることがより好ましく、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシドを用いることがさらに好ましい。
前記有機アルミニウム化合物におけるアルミニウムキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物に含まれる前記有機アルミニウム化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、有機アルミニウム化合物の含有率は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に1質量%〜70質量%とすることができ、3質量%〜60質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。
有機アルミニウム化合物は、液状であっても固体であってもよく、特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温での安定性や、溶解性又は分散性が良好な有機アルミニウム化合物を用いることで、形成されるパッシベーション膜の均一性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる。
(窒素ホウ素)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、窒化ホウ素を含む。窒化ホウ素に含まれるホウ素は半導体基板中にドーピングされてp型拡散層を形成する元素である。窒化ホウ素を含む半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を半導体基板に付与し、熱処理することにより、パッシベーション膜を形成するとともにp型拡散層を形成することができる。
窒化ホウ素はその他のホウ素化合物と比較して一般に化学的に安定である。このため、吸湿性が低く、後述する分散媒との反応性を抑止することができ、保存安定性の向上が図られる。また、熱拡散時に発生するおそれのある、ホウ素化合物に由来するシリコンとの反応生成物の生成を抑制できる。また、高温条件下(例えば800℃以上)での熱拡散時においても、ホウ素化合物の飛散を抑制することができ、良好なホウ素の拡散性を達成することができるので、低抵抗なp型拡散層の形成が可能となる。
前記窒化ホウ素は、粒子形状であることが好ましい。窒化ホウ素粒子の形状としては、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等が挙げられる。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物とした場合の基板への塗布性や均一拡散性の点から、略球状、扁平状、又は板状が好ましい。中でも、扁平状、板状の窒化ホウ素粒子はアスペクト比が高く、該窒化ホウ素粒子を含むペーストを半導体基板に付与した際に窒化ホウ素粒子が配向しやすくなり、低抵抗化が可能となる。
このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように考えることができる。すなわち、例えば熱拡散時において、窒化ホウ素粒子が配向していることで、窒化ホウ素で半導体基板を覆いやすくなる。これにより、窒化ホウ素から揮発するホウ素化合物の外気への拡散が抑制され、ホウ素化合物気体と半導体基板との接触がより容易になるため、ホウ素の半導体基板中への拡散が促進するものと考えられる。
前記窒化ホウ素は、そのX線回折スペクトルにおいて、(100)面における回折強度(I(100))及び(101)面における回折強度(I(101))の和の、(102)面における回折強度(I(102))に対するピーク強度比((I(100)+I(101))/(I(102)))が3.5以下であることが好ましい。前記ピーク強度比の下限は特に限定されないが、例えば0.1以上であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましい。上記ピーク強度比が3.5以下である場合には、窒化ホウ素粒子の結晶性に優れ、又は良好な配向性を確保することができ、半導体基板への熱拡散時のホウ素の拡散能力が維持される傾向にある。これは、結晶性が高く、半導体基板の面に沿って配向しやすいことで、窒化ホウ素から揮発するホウ素含有ガスが閉じ込められやすくなり、半導体基板表面近傍のホウ素含有ガスの濃度が高くなるためと考えられる。なおここでいう「配向性」とは、窒化ホウ素が、窒化ホウ素の特定の結晶軸が半導体基板上に沿うように配置される場合の並びやすさの指標を示す。
窒化ホウ素の体積平均二次粒子径(50%D)は、p型拡散層の形成性と分散安定性の観点から、10nm〜15μmであることが好ましく、50nm〜10μmであることがより好ましい。
ここで、体積平均二次粒子径(50%D)とはメジアン径を指し、粒度分布測定装置等によりレーザー散乱回折法で測定することができる。
前記窒化ホウ素の体積平均二次粒子径(50%D)を前記範囲とする方法は特に制限はされないが、後述の粉砕処理を施すことが好ましい。粉砕処理を施すことで、窒化ホウ素の平均一次粒子径を小さくすることもできる。粉砕処理の詳細については後述の通りである。
前記窒化ホウ素の結晶形は、六方晶(hexagonal)、立方晶(cubic)、菱面体晶(rhombohedral)のいずれであってもよいが、粒子径を容易に制御できること及び配向性の観点から、六方晶が好ましい。
前記窒化ホウ素のBET比表面積は、3m/g〜200m/gであることが好ましい。BET比表面積が3m/g以上であると、十分な拡散性能が得られ、また200m/g以下であると、分散媒への分散性が良好となる。BET比表面積は10m/g〜50m/gであることがより好ましい。BET比表面積が高いことで、窒化ホウ素から揮発するホウ素含有ガスの量が多くなり、拡散性能が一層向上すると考えられる。
前記窒化ホウ素のBET比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線から算出できる。
前記窒化ホウ素のアスペクト比は特に制限されないが、アスペクト比が高い方が好ましい。具体的には、2〜10であることが好ましい。アスペクト比が高い窒化ホウ素を半導体基板に付与して熱処理すると拡散性能が一層向上する傾向にある。これは例えば、アスペクト比が高い窒化ホウ素は、高温で揮発したホウ素化合物を閉じ込める効果があるためと考えられる。
前記アスペクト比は、窒化ホウ素の電子顕微鏡像を画像処理システムによって解析することで算出できる。なお、ここでいうアスペクト比とは、長軸の長さ(長径)と短軸の長さ(短径)の比率(長径/短径)である。
前記窒化ホウ素の調製方法は特に制限されず、通常の方法で調製することができる。例えば、ホウ素粉末を窒素気流中で1500℃以上に加熱する方法、融解した無水ホウ酸と窒素あるいはアンモニアをリン酸カルシウム存在下で反応させる方法、ホウ酸やホウ化アルカリと、尿素、グアニジン、メラミン等の有機窒素化合物を高温の窒素―アンモニア雰囲気中で反応させる方法、融解ホウ酸ナトリウムと塩化アンモニウムをアンモニア雰囲気中で反応させる方法、三塩化ホウ素とアンモニアを高温で反応させる方法等を例示する事ができるが、前記以外の製造方法でもなんら問題ない。前記製造方法の中では、高純度の窒化ホウ素を得る事ができることから、三塩化ホウ素とアンモニアを高温で反応させる方法を用いることが好ましい。
前記窒化ホウ素は、平均一次粒子径及び体積平均二次粒子径を制御するために、機械的表面改質処理が施されてもよい。前記機械的表面改質処理としては、粉砕処理や、粒子表面の物理化学的状態を変化させるための表面改質処理等が挙げられる。このうち、粒子の大きさの観点から粉砕処理が好ましい。粉砕処理を施すことで、窒化ホウ素の平均一次粒子径を小さくすることができる。また、粉砕処理された窒化ホウ素では、結晶性の高い窒化ホウ素であっても拡散能力が向上する傾向にある。前記機械的表面改質処理は1種のみ行ってもよく、必要に応じて2種以上の処理を適宜組み合わせて行ってもよい。
前記粉砕処理方法としては、乾式粉砕法及び湿式粉砕法が挙げられる。拡散性能及び半導体基板との反応性の調整の点から湿式粉砕法が好ましい。
前記粉砕処理方法において使用する粉砕容器、ビーズ、ボール等の材質は、粉砕処理に際して粉砕装置に起因する不純物の混入が少なく、ドーパント特性の劣化を招くおそれの低い材質を適宜選択することが好ましい。具体的にはナイロン、アルミナ、部分安定化ジルコニア等を使用することができる。
前記乾式粉砕法においては、ジェットミル、振動ミル、ボールミル等がいずれも使用可能である。
前記湿式粉砕法においては、ビーズミル、ボールミル等が使用可能である。中でもビーズミルが好ましい。
粉砕処理における処理条件は、特に制限されず、窒化ホウ素の体積平均二次粒子径が前記範囲内で制御可能となるように、用いる粉砕装置や、分散媒等に応じて適宜選択することができる。
前記湿式粉砕法による機械的表面改質処理では、窒化ホウ素を分散媒中に分散させる。窒化ホウ素が分散媒中に分散されていることで、ホウ素原子の拡散状態が向上し、より均一なp型拡散層を形成することができるとともに、選択的なp型拡散層の形成をより効率よく行うことができる。
前記湿式粉砕法において使用される分散媒は特に制限されず、水であっても、有機溶剤であっても、これらの混合物であってもよい。これらの中でも水を用いる場合は純度の管理が容易となり、また、窒化ホウ素の粉砕が容易となる傾向になる。窒化ホウ素の粉砕処理時の分散媒と後述する半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の分散媒が異なる場合には、窒化ホウ素を粉砕処理後に乾燥させ、粉砕処理時に用いた分散媒を除去した後、再度後述する分散媒を使用することができる。
水以外の分散媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−イソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、イソボルニルシクロヘキサノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記表面改質処理方法としては、公知の表面改質装置を用いて微粒子表面を改質・複合化する乾式法がいずれも使用可能である。これにより、結晶性の高い窒化ホウ素であっても拡散能力の向上を図ることができる。
前記表面改質装置としては、公知のものがいずれも使用可能であり、例えばホソカワミクロン社製のメカノフュージョン、ノビルタ、奈良機械社製のハイブリダイザー等が挙げられる。
前記表面改質処理における処理条件は、特に制限されず、窒化ホウ素の平均一次粒子径が前記範囲内で制御可能となるように、用いる粉砕装置や、分散媒等に応じて適宜選択することができる。
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中の窒化ホウ素の含有率は、塗布性、ホウ素の拡散性等を考慮して決定されるが、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の総質量中に5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。窒化ホウ素の含有比率が5質量%以上であると、十分なホウ素拡散能力が得られ、基板の低抵抗化が容易になる傾向にあり、60質量%以下であると半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を均一に塗布することが容易になる傾向にある。
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物に含まれる窒化ホウ素の一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物に対する比率(有機アルミニウム化合物/窒化ホウ素)はパッシベーション効果とホウ素拡散性の両立の観点から0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく、0.1〜100であることがさらに好ましい。
前記窒化ホウ素の純度は高いほど好ましく、99質量%以上であることが好ましい。特に窒化ホウ素以外のFe、Cr、Ni、Cu、W、Mnなどの不純物元素の含有率を低くすることで、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いて構成した太陽電池素子における発電効率の低下をより効果的に抑制することが出来る。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、窒化ホウ素以外のその他のホウ素化合物を含んでもよい。窒化ホウ素以外のその他のホウ素化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸、アルキルホウ酸エステル、テトラアルキルボレート、テトラフェニルボレート、ボラン、ボロン酸、塩化ホウ素等を挙げることができる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に前記その他のホウ素化合物が含有される場合において、該その他のホウ素化合物の含有率は特に制限されないが、窒化ホウ素の総質量に対して100質量%以下とすることができ、30質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
前記その他のホウ素化合物は、前記窒化ホウ素の表面に析出させて使用することもできる。この場合、前記その他のホウ素化合物としては、酸化ホウ素等を用いることができる。
(無機バインダ)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、窒化ホウ素の熱拡散時飛散防止の観点から、無機バインダを含有してもよい。前記無機バインダは、少なくとも1種の金属元素を含む化合物であって、熱拡散工程において窒化ホウ素を結着する役割を果たし、窒化ホウ素の飛散を抑制することを可能にする。無機バインダを含む半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いた場合、ドーパント源化合物である窒化ホウ素を用いてホウ素を拡散する際の熱拡散工程において、必要に応じて含有される有機バインダの分解が抑えられ、窒化ホウ素が飛散し難くなり、装置の汚染を防止することが可能となる。なお、ここでの無機バインダは、前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物以外の化合物を意味する。
無機バインダは、500℃以上の温度においても窒化ホウ素を結着できるものであれば特に制限はない。例えば、有機金属化合物及びガラスフリットを例示することができる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記有機金属化合物は、金属アルコキシド、シリコーン樹脂、シランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
金属アルコキシドは、金属の原子とアルコールとが反応した化合物であり、下記一般式(II)で表される。
M(OR11 ・・・(II)
上記一般式(II)中、Mは、1〜7の価数を有する金属元素であり、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Ti、B、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pb、Bi及びSiから選択された金属原子を表す。このうち、太陽電池素子を構成した場合の発電効率の観点から、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Ti、B、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Co、Zn、Pb、Bi及びSiから選択された金属原子であることが好ましく、Si、Mg、Ca、Tiがより好ましい。R11は、アルコールのOH基を除いた残基である。
上記金属アルコキシドを形成するアルコールとしては、例えば、下記一般式(III)に示すものを好適な例として挙げることができる。
11OH ・・・(III)
上記一般式(III)中、R11は、炭素数1〜6の飽和又は不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭化水素基を示す。
上記一般式(III)においてR11が炭素数1〜6の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール等を挙げることができる。
また、上記一般式(III)においてR11が炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭化水素基である場合のアルコールとしては、メトキシメタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール等を挙げることができる。
上記金属アルコキシドの中でも、シリコンアルコキシドを用いることが好ましい。シリコンアルコキシドを用いることで、ホウ素の拡散性能の低下及び半導体基板の汚染を抑制することができる。シリコンアルコキシドの中でも、テトラエトキシシラン又はテトラメトキシシランを用いることが好ましい。シリコンアルコキシドは、必要に応じて、水、触媒と併用してもよい。
上記金属アルコキシドは、通常800℃以上で行われるホウ素の熱拡散工程において、例えば酸化ケイ素へと変化しながら、窒化ホウ素を結着すると考えられる。
シリコーン樹脂に特に制限はないが、熱硬化型シリコーン樹脂、熱分解型シリコーン樹脂が挙げられ、ケイ素原子上にフェニル基、アルキル基、ポリエーテル、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、アラルキル基、フルオロアルキル基などを有していてもよい。シリコーン樹脂の分子量に特に制限はないが、100〜10万であることが好ましく、1000〜5万であることが好ましい。
シランカップリング剤の構造に特に制限はないが、下記一般式(IV)で表されるものを例示することができる。
22 (3-n)SiR21−Y ・・・(IV)
上記一般式(IV)中、Xはメトキシ基又はエトキシ基を表す。Yはビニル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリル基、グリシドキシ基、ウレイド基、スルフィド基又は(メタ)アクリロキシ基を表す。中でもビニル基、アミノ基、エポキシ基又はメルカプト基が好ましく、アミノ基がさらに好ましい。
また、上記一般式(IV)中、R21は炭素数2〜10のアルキレン基、又は主鎖の原子数が2〜5で主鎖に窒素原子を含有する2価の連結基を表す。前記アルキレン基としては、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。前記連結基中の窒素原子を含有する原子団としては、アミノ基等が好ましい。
上記一般式(IV)中、R22は炭素数1〜5のアルキル基を表し、中でもメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。nは1〜3の整数を表す。
シランカップリング剤として具体的には、以下の(a)〜(c)グループのようなものを使用することできる。
(a)エポキシ基又はグリシドキシ基を有するもの:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、および2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトエリメトキシシランなど
(b)アミノ基を有するもの:N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルトリエトキシシランなど
(c)メルカプト基を有するもの:3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が無機バインダを含有する場合、無機バインダの含有率は半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の総質量中に1質量%〜40質量%であることが好ましく、3質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%が更に好ましい。1質量%以上であると、500℃以上の高温において窒化ホウ素粉末を結着する機能が十分に得られる傾向があり、40質量%以下であると、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の粘度調整が容易であり、印刷性、インクジェットでの吐出性が良好となる傾向にある。
(ガラスフリット)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物はガラスフリットを含有してもよい。ガラスフリットを含むことで、耐湿性が良好となる傾向にある。ガラスフリットの種類に特に制限はなく、ホウ素を含むガラスフリット、ホウ素を含まないガラスフリットのいずれであってもよい。ガラスフリットは、必要に応じて成分比率を調整することによって、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性等を制御することが可能である。
上記ガラスフリットは、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、WO、MoO、MnO、La、Nb、Ta、Y、TiO、GeO、TeO及びLu等が挙げられ、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、SnO、ZrO、及びMoOから選択される少なくとも1種のガラス成分物質を含むことが好ましい。
ホウ素を含むガラスフリットの具体例としては、B−SiO系、B−ZnO系、B−PbO系、B−CaO系などのガラスフリットが挙げられる。上記では2成分を含む複合ガラスを例示したが、B−SiO−CaO等、3成分以上の物質を含むガラスフリットでもよい。これらの中でも、B−SiO系(ホウケイ酸ガラス)を含むことが好ましい。
ホウ素を含まないガラスフリットの具体例としては、SiO−ZnO系、SiO−CaO系、CaO−ZnO系などのガラスフリットが挙げられる。上記では2成分を含む複合ガラスを例示したが、SiO−CaO−ZnO等、3成分以上の物質を含むガラスフリットでもよい。
ガラスフリットの形状としては、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等が挙げられる。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物とした場合の基板への塗布性や均一拡散性の点から略球状、扁平状、又は板状であることが好ましい。ガラスフリットの粒径は、50μm以下であることが好ましい。50μm以下の粒径を有するガラスフリットを用いた場合には、平滑な塗膜が得られやすい。更に、ガラスフリットの粒径は10μm以下であることがより好ましい。なお、下限は特に制限されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。ここで、ガラスフリットの粒径は体積平均粒径を意味する。体積平均粒径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置等により測定することができる。
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物がガラスフリットを含有する場合、その含有量は半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の総質量中に1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
(有機バインダ)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、有機バインダを含んでいてもよい。有機バインダを含むことで、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション膜を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で選択的に形成することができる傾向にある。
前記有機バインダの種類は特に制限されない。中でも半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な有機バインダであることが好ましい。前記有機バインダとして具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロースエーテル類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン及びゼラチン誘導体、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム類、キサンタン及びキサンタン誘導体、グア及びグア誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂及びこれらの共重合体などを挙げることができる。これらの有機バインダは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの有機バインダのなかでも、保存安定性とパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、セルロース誘導体を用いることがより好ましい。
上記有機バインダの分子量は特に制限されず、組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。前記有機バインダの重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、100〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。なお、有機バインダの重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が有機バインダを含有する場合、その含有率は目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の総質量中に0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、前記含有率は1質量%〜25質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が有機バインダを含有する場合、前記有機アルミニウム化合物に対する含有比率は、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、パターン形成性と保存安定性の観点から、有機アルミニウム化合物に対する有機バインダの含有比率(有機バインダ/有機アルミニウム化合物)は、0.001〜1000であることが好ましく、0.01〜100であることがより好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
(溶媒)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は溶媒を含むことが好ましい。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が溶媒を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上し、より均一な焼成層を形成することができる。前記溶媒は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。中でも前記有機アルミニウム化合物、及び有機バインダが含まれる場合は有機バインダを溶解して均一な溶液を与えることができる溶媒が好ましく、有機溶剤の少なくとも1種を含むことがより好ましい。溶媒として具体的には、前述の窒素ホウ素を分散させる場合に用いる分散媒として例示した溶媒を挙げることができる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
中でも前記溶媒は、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、テルペン系溶剤、エステル系溶剤、及びアルコール系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中の溶媒の含有量は、付与性、パターン形成性、保存安定性を考慮し決定される。例えば溶媒の含有量は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の総質量中に5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、有機アルミニウム化合物及び窒化ホウ素に加えて、必要に応じてケイ素含有物質、酸化促進剤、増粘剤、湿潤剤、各種添加剤等のその他の成分を含んでもよい。前記添加剤としては、界面活性剤、無機粉末、有機ホウ素化合物、ホウ素化合物を還元する化合物、チキソ剤、酸性化合物又は塩基性化合物等が挙げられる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。中でも、半導体デバイスへのアルカリ金属や重金属等の不純物の持ち込みが少ないことからノニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤が好ましい。更にはノニオン系界面活性剤としてシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤が例示されるが、拡散等の熱処理時に速やかに焼成されることから、炭化水素系界面活性剤が好ましい。前記炭化水素系界面活性剤としては、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体、アセチレングリコール化合物等が例示されるが、形成されるp型拡散層の抵抗値のバラツキをより低減することから、アセチレングリコール化合物がより好ましい。界面活性剤を含むことで、基板への濡れ性が良好となる傾向がある。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、無機粉末を含んでもよい。無機粉末は、フィラーとして機能させることができる。具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を例示することができる。無機粉末を含むことで、組成物の粘度が大きくなる傾向がある。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、有機ホウ素化合物を含んでもよい。有機ホウ素化合物としては、分子中に10個以上のホウ素原子を含むものであればよく、分子構造に特に制約はない。具体的にはホウ素含有共役系ポリマー等の有機ホウ素ポリマーを例示することができる。有機ホウ素化合物を含むことで、窒化ホウ素の分散性が良好となる傾向がある。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、ホウ素化合物を還元する性質のある化合物を含んでもよい。具体的には、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール及びその末端アルキル化物;グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類又はその誘導体;スクロース、マルトース等の二糖類又はその誘導体;並びに多糖類又はその誘導体等を挙げることができる。これらの中でも、ポリアルキレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコールが更に好ましい。ホウ素化合物を還元する化合物を加えることで、ホウ素のシリコン基板への拡散が容易になる場合がある。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、チキソ剤を含んでいてもよい。チキソ剤としては、分散媒に溶解しない有機粒子を挙げることができる。有機粒子は特に限定されず、ポリエチレングリコール、末端を架橋したポリプロピレンジグリシジルエーテル等からなる有機粒子が挙げられ、中でもポリエチレングリコールからなる有機粒子が好ましく用いられる。チキソ剤を含むことにより容易にチキソ性を制御することができ、スクリーン印刷に好適な粘度とすることができる。また、チキソ性が制御されていることより、印刷時における半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の印刷パターンからの滲みやダレを抑制することができる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物がチキソ性を有している場合のせん断粘度は特に制限されないが、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。なお、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、酸性化合物又は塩基性化合物を含有してもよい。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が酸性化合物又は塩基性化合物を含有する場合、保存安定性の観点から、酸性化合物又は塩基性化合物の含有率は半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
前記酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができる。具体的には塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などを挙げることができる。また塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができる。具体的にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基などを挙げることができる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択するこができる。例えば、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の粘度は0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。なお、前記粘度は回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
(半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の製造方法)
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、有機アルミニウム化合物と窒化ホウ素と必要に応じて溶媒とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が有機バインダを含む場合は、有機バインダを溶媒に溶解した後、これと有機アルミニウム化合物と窒化ホウ素とを混合することで製造してもよい。
さらに前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成可能な化合物とを混合して調製してもよい。その際、適宜溶媒を用いても、加熱処理を行ってもよい。このようにして調製した有機アルミニウム化合物を用いて半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を製造してもよい。
なお、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量はTG/DTA等の熱分析、NMR、IR等のスペクトル分析、HPLC、GPC等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<パッシベーション膜付半導体基板>
本発明のパッシベーション膜付半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、前記半導体基板の前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層と、を有する。前記パッシベーション膜付半導体基板は、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層であるパッシベーション膜を有することで優れたパッシベーション効果を示し、また、半導体基板のパッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層を有することで、優れた少数キャリア再結合抑制効果を示す。
前記半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板中に形成されたものであってもよい。
また前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
前記半導体基板上に形成されたパッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2nm〜250μmであることが好ましく、3nm〜220μmであることが好ましく、5nm〜200μmであることが更に好ましい。
前記パッシベーション膜付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。
<パッシベーション膜付半導体基板の製造方法>
本発明のパッシベーション膜付半導体基板の製造方法は、半導体基板の全面又は一部に、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱処理してパッシベーション膜及びp型拡散層を形成する工程と、を有する。前記製造方法は必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション膜及びp型拡散層を所望の形状に、簡便な方法で形成することができる。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与する半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。前記半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープしたものであれば特に制限されない。中でもシリコン基板であることが好ましい。また半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション膜が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板中に形成されたものであってもよい。
また前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
前記パッシベーション膜付半導体基板の製造方法は、前記組成物層を形成する工程の前に、半導体基板上にアルカリ水溶液を付与する工程をさらに有することが好ましい。すなわち、半導体基板上に前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与する前に、半導体基板の表面をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄などを例示することができる。例えばアンモニア水−過酸化水素水の混合溶液に半導体基板を浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物及びパーティクルを除去、洗浄することできる。洗浄時間は、10秒〜10分間であることが好ましく、30秒〜5分間であることがさらに好ましい。
半導体基板上に、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いて組成物層を形成する方法には特に制限はない。例えば、公知の塗布方法等を用いて、半導体基板上に前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与する方法を挙げることができる。具体的には、浸漬法、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法等を挙げることができる。これらの中でもパターン形成性の観点から、各種の印刷法、インクジェット法等が好ましい。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形成されるパッシベーション膜の膜厚が、後述する所望の膜厚となるように適宜調整することができる。
なお、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の組成によっては、半導体基板への付与後に組成物中に含まれる溶剤を揮発させるための乾燥工程を設けることが好ましい場合がある。この場合には、80℃〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分〜10分、乾燥機等を用いる場合は10分〜30分程度で乾燥させる。この乾燥条件は、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の溶剤の組成に応じて適宜選択可能であり、特に前記条件に限定されない。
半導体基板上に形成される半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、1層でも2層以上であってもよい。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を2層以上有する構造は、例えば、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の塗布工程及び乾燥工程をそれぞれ二回以上繰り返して形成することができる。
半導体基板パッシベーション膜形成用組成物によって形成された組成物層を加熱処理して、前記組成物層に由来する焼成物層を形成することで、半導体基板上に半導体基板パッシベーション膜を形成することができる。
組成物層の加熱条件は、組成物層に含まれる有機アルミニウム化合物をその焼成物である酸化アルミニウム(Al)に変換可能であれば特に制限されない。中でも特定の結晶構造を持たないアモルファス状のAl層を形成可能な加熱条件であることが好ましい。半導体基板パッシベーション膜がアモルファス状のAl層で構成されることで、半導体基板パッシベーション膜により効果的に負電荷を持たせることができ、より優れたパッシベーション効果を得ることができる。また、この加熱処理により、組成物中に含まれるホウ素が半導体基板中へ拡散し、p型拡散層が形成される。
Al層の形成のための加熱処理工程とp型拡散層の形成のための加熱処理工程は、同時に行っても二段階に分けてもよい。必要であれば、さらに別の加熱処理工程を加えてもよい。半導体基板パッシベーション膜形成用組成物が媒体や有機バインダを含む場合、より良好な特性のp型拡散層を形成するために、昇温の段階で例えば200℃〜800℃、好ましくは400℃〜750℃で加熱処理して組成物層に含まれる媒体や有機バインダを除去することが好ましい。
Al層を形成するための加熱処理の温度は400℃〜900℃が好ましく、450℃〜850℃がより好ましい。加熱時間は加熱温度等に応じて適宜選択できる。例えば、0.1時間〜10時間とすることができ、0.2時間〜5時間であることが好ましい。
p型拡散層を形成するための加熱処理の温度は600℃〜1250℃が好ましく、800℃〜1050℃がより好ましい。この加熱処理により、半導体基板中へホウ素が拡散してp型拡散層が形成される。加熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。また加熱処理における熱拡散雰囲気は酸素の割合が5体積%未満であることが好ましい。p型拡散層を形成するための加熱処理温度が600℃以上であると、ホウ素の拡散が十分に行われ、十分なBSF効果が得られる傾向にある。また1250℃以下であると、基板が劣化することを抑制できる。尚、p型拡散層を形成する加熱処理は、短時間熱処理(RTP)技術を用いて実施することもできる。
前記パッシベーション膜付半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション膜の膜厚は特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えばパッシベーション膜の平均膜厚は、2nm〜250μmであることが好ましく、3nm〜220μmであることが好ましく、5nm〜200μmであることが更に好ましい。
尚、形成されたパッシベーション膜の平均膜厚は、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社製)を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
前記パッシベーション膜付半導体基板の製造方法は、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与した後、焼成処理によってパッシベーション膜を形成する工程と熱拡散処理してp型層を形成する工程の前に、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物からなる組成物層を乾燥処理する工程をさらに有していてもよい。組成物層を乾燥処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション膜を形成することができる。
組成物層を乾燥処理する工程は、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物に含まれることがある溶媒の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。乾燥処理は例えば30℃〜250℃で1分間〜60分間の加熱処理とすることができ、40℃〜220℃で3分間〜40分間の加熱処理であることが好ましい。また乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板の全面又は一部に設けられた前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、前記半導体基板の前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層と、前記半導体基板の前記p型層又は前記n型層の少なくとも一方の上に配置された電極と、を有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
前記太陽電池素子は、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物から形成されたパッシベーション膜を有することで、変換効率に優れる。
前記パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション膜の平均膜厚は、2nm〜250μmであることが好ましく、3nm〜220μmであることが好ましく、5nm〜200μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状や大きさに制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層が接合されてなるpn接合と、前記p型層及び前記n型層の少なくとも一方の上に配置された電極と、を有する半導体基板の前記電極が配置された面の少なくとも一方の上に、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を加熱処理して、半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成する工程と、を有する。前記太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、所望の形状のp型拡散層と優れたパッシベーション効果を有する半導体基板パッシベーション膜とを備え、変換効率に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。さらに電極が形成された半導体基板上に、所望の形状となるように半導体基板パッシベーション膜を形成することができ、太陽電池素子の生産性に優れる。
前記p型層及びn型層の少なくとも一方の上に電極が配置され、かつpn接合を有する半導体基板は、通常用いられる方法で製造することができる。例えば半導体基板の所望の領域に、銀ペースト、アルミニウムペースト等の電極形成用ペーストを付与し、必要に応じて焼成処理することで製造することができる。
前記半導体基板パッシベーション膜が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。
前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いて半導体基板パッシベーション膜を形成する方法の詳細は、既述のパッシベーション膜付半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記半導体基板上に形成される半導体基板パッシベーション膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション膜の平均膜厚は、2nm〜250μmであることが好ましく、3nm〜220μmであることが好ましく、5nm〜200μmであることが更に好ましい。
次に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる半導体基板パッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は本発明をなんら制限するものではない。
図1(a)に示すように、p型半導体基板1には、表面近傍にn型拡散層2が形成され、最表面に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜などが挙げられる。反射防止膜3とp型半導体基板1との間に酸化ケイ素などの表面保護膜(図示せず)が更に存在していてもよい。
次いで図1(b)に示すように、裏面の一部の領域にアルミ電極ペーストなどの裏面電極5を形成する材料を塗布した後に熱処理して、裏面電極5を形成すると共にp型半導体基板1中にアルミニウム原子を拡散させてp型拡散層4を形成する。
次いで図1(c)に示すように、受光面側に電極形成用ペーストを塗布した後に熱処理して表面電極7を形成する。電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図1(c)に示すように反射防止膜3を貫通して、n型拡散層2の上に、表面電極7を形成してオーミックコンタクトを得ることができる。
最後に図1(d)に示すように、裏面電極5が形成された領域以外の裏面のp型層上に、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する。付与は例えばスクリーン印刷等の塗布法により行うことができる。p型層上に形成された組成物層を焼成処理して半導体基板パッシベーション膜6とp型拡散層(図示せず)を形成する。裏面のp型層上に、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物から形成された半導体基板パッシベーション膜6を形成することで、発電効率に優れた太陽電池素子を製造することができる。
図1に示す製造工程を含む製造方法で製造される太陽電池素子では、アルミニウム等から形成される裏面電極をポイントコンタクト構造とすることができ、基板の反りなどを低減することができる。更に前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、電極形成された領域以外のp型層上にのみ優れた生産性で半導体基板パッシベーション膜を形成することができる。
また図1(d)では裏面部分にのみ半導体基板パッシベーション膜を形成する方法を示したが、半導体基板1の裏面側に加えて、側面にも半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与し、これを焼成処理することで半導体基板1の側面(エッジ)に半導体基板パッシベーション膜をさらに形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率により優れた太陽電池素子を製造することができる。
さらにまた、裏面部分に半導体基板パッシベーション膜を形成せず、側面のみに本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を塗布、乾燥して半導体基板パッシベーション膜を形成してもよい。本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い場所に使用すると、その効果が特に大きい。
図1では電極形成後に半導体基板パッシベーション膜を形成する態様について説明したが、パッシベーション膜形成後に、更にアルミニウムなどの電極を蒸着などによって所望の領域に形成してもよい。
図2は、本実施形態にかかる半導体基板パッシベーション膜を有する太陽電池素子の製造方法の別の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。具体的には、図2はアルミ電極ペースト又は熱拡散処理によりp型拡散層を形成可能なp型拡散層形成用組成物を用いてp型拡散層を形成後、アルミ電極ペーストの熱処理物又はp型拡散層形成用組成物の熱処理物を除去する工程を含む工程図を断面図として説明するものである。ここでp型拡散層形成用組成物としては例えば、アクセプタ元素含有物質とガラス成分とを含む組成物を挙げることができる。
図2(a)に示すように、p型半導体基板1には、表面近傍にn型拡散層2が形成され、表面に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜などが挙げられる。
次いで図2(b)に示すように、裏面の一部の領域にp型拡散層形成用組成物を塗布した後に熱処理して、p型拡散層4を形成する。p型拡散層4上にはp型拡散層形成用組成物の熱処理物8が形成されている。
ここでp型拡散層形成用組成物に代えて、アルミニウム電極ペーストを用いてもよい。アルミニウム電極ペーストを用いた場合には、p型拡散層4上にはアルミニウム電極8が形成される。
次いで図2(c)に示すように、p型拡散層4上に形成されたp型拡散層形成用組成物の熱処理物8又はアルミニウム電極8をエッチングなどの手法により除去する。
次いで図2(d)に示すように、受光面(表面)及び裏面の一部の領域に選択的に電極形成用ペーストを塗布した後に熱処理して、受光面(表面)に表面電極7を、裏面に裏面電極5をそれぞれ形成する。受光面側に塗布する電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図2(c)に示すように反射防止膜3を貫通して、n型拡散層2の上に、表面電極7が形成されてオーミックコンタクトを得ることができる。
また裏面電極が形成される領域にはすでにp型拡散層4が形成されているため、裏面電極5を形成する電極形成用ペーストには、アルミニウム電極ペーストに限定されず、銀電極ペースト等のより低抵抗な電極を形成可能な電極用ペーストを用いることもできる。これにより、さらに発電効率を高めることも可能になる。
最後に図2(e)に示すように、裏面電極5が形成された領域以外の裏面のp型層上に、半導体パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する。付与は例えばスクリーン印刷等の塗布法により行うことができる。p型層上に形成された組成物層を焼成処理して半導体基板パッシベーション膜6とp型拡散層を形成する。裏面のp型層上に、前記半導体基板パッシベーション膜形成用組成物から形成された半導体基板パッシベーション膜6とp型拡散層を形成することで、発電効率に優れた太陽電池素子を製造することができる。
また図2(e)では裏面部分にのみ半導体基板パッシベーション膜を形成する方法を示したが、p型半導体基板1の裏面側に加えて、側面にも半導体基板パッシベーション膜形成用材料を塗布、乾燥することでp型半導体基板1の側面(エッジ)に半導体基板パッシベーション膜をさらに形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率がさらに優れた太陽電池素子を製造することができる。
さらにまた、裏面部分に半導体基板パッシベーション膜を形成せず、側面のみに本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与し、これを焼成処理して半導体基板パッシベーション膜を形成してもよい。本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い場所に使用すると、その効果が特に大きい。
図2では電極形成後に半導体基板パッシベーション膜を形成する態様について説明したが、半導体基板パッシベーション膜形成後に、更にアルミなどの電極を蒸着などによって所望の領域に形成してもよい。
上述した実施形態では、受光面にn型拡散層が形成されたp型半導体基板を用いた場合について説明を行ったが、受光面にp型拡散層が形成されたn型半導体基板を用いた場合にも同様にして、太陽電池素子を製造することができる。尚、その場合は裏面側にn型拡散層を形成することとなる。
また本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物は裏面電極型太陽電池素子の裏面側の半導体パッシベーション膜6を形成することにも使用できる(図示せず)。
上記では半導体基板としてp型半導体基板を用いた例を示したが、n型半導体基板を用いた場合も、上記に準じて変換効率に優れる太陽電池素子を製造することができる。
<太陽電池>
太陽電池は、前記太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の電極上に配線材料が配置されて構成される。太陽電池はさらに必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、さらに封止材で封止されて構成されていてもよい。
前記配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
前記太陽電池の大きさに制限はない。例えば、受光面の面積が0.5m〜3mであることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(窒化ホウ素粉末の調製)
遊星型ボールミル(フリッチュ社製)のジルコニア容器(45ml)に窒化ホウ素(電気化学工業製、商品名:デンカボロンナイトライドGP)を4g、及び超純水を16g入れ、直径1mm及び3mmのイットリア安定化ジルコニアビーズを各30g用いて、800rpmにて30分間粉砕処理した。次いで、ジルコニアビーズを分離し、窒化ホウ素を含む水スラリーを150℃にて乾燥して、窒化ホウ素粉末を得た。
(半導体基板パッシベーション膜形成用組成物1の調製)
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製、商品名:ALCH)を3.6g、テルピネオール(日本テルペン化学社製)を4.7g、イソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学社製、商品名:テルソルブMTPH)を16.0g、上記窒化ホウ素粉末2.8gを攪拌用具を用いて手で混合し、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物1を調製した。
(パッシベーション膜の形成と評価)
半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶型p型シリコン基板(SUMCO製、50mm角、厚さ:625μm、)を用いた。
上記で得られた半導体基板パッシベーション膜形成用組成物1をシリコン基板上に、スクリーン印刷法を用いて全面に付与した。その後、半導体基板パッシベーション膜形成用組成物1を付与したシリコン基板を150℃で5分間乾燥処理した。次いで850℃で10間焼成処理した後、室温で放冷してパッシベーション膜付基板を作製した。得られたパッシベーション膜付基板の実効ライフタイム(μs)を、ライフタイム測定装置(日本セミラボ社製、WT−2000PVN)を用いて、室温で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。実効ライフタイムは、250μsであった。
また、シリコン基板の深さ方向の元素濃度をSIMS分析計(CAMECA社製、IMS−7F)で測定した。サンプルはシリコン基板表面にあるパッシベーション膜をそのままにして測定し、Siの濃度が急上昇した箇所をパッシベーション膜と基板の界面とし、界面の深さを0μmとした。
SIMS分析をおこなったところ、界面から0.18μmの深さまで1017atoms/cm以上の濃度のホウ素が存在していた。このことから、シリコン基板にp型拡散層が十分に形成されたことがわかる。
<比較例1>
(半導体基板パッシベーション膜形成用組成物2の調製)
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを36.1g、テルピネオールを48.1g、イソボルニルシクロヘキサノールを186.2g攪拌用具を用いて手で混合し、窒化ホウ素粉末を含まない半導体基板パッシベーション膜形成用組成物2を調製した。
(パッシベーション膜の形成と評価)
上記で得られた半導体基板パッシベーション膜形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にしてパッシベーション膜付シリコン基板を作製した。実施例1と同様にして測定した実効ライフタイムは、260μsであった。
実施例1と同様にしてSIMS分析を行い、ホウ素の濃度について1μmの深さまで測定したが、いずれの深さにおいても1017atoms/cmより小さかった。このことから、p型シリコン基板に由来するホウ素以外のホウ素を含まない比較例1ではp型拡散層が十分に形成されていないことがわかる。
以上から、本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いることで優れたパッシベーション効果を有する半導体基板パッシベーション膜を形成できることが分かる。また本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物はp型拡散層を十分に形成できることが分かる。さらに本発明の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を用いることで、簡便な工程で所望の形状に半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成できることがわかる。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 反射防止膜
4 p型拡散層
5 裏面電極
6 パッシベーション膜
7 表面電極
8 p型拡散層形成組成物の熱処理物又はアルミニウム電極

Claims (18)

  1. 下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、窒化ホウ素と、を含む半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。

    [式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
  2. 前記窒化ホウ素の結晶形は六方晶である請求項1に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  3. 前記窒化ホウ素は粒子形状であり、該粒子のX線回折パターンにおいて、(100)面における回折強度(I(100))及び(101)面における回折強度(I(101))の和の、(102)面における回折強度(I(102)))に対する比として定義されるピーク強度比((I(100)+I(101))/(I(102)))が3.5以下である請求項1又は請求項2に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  4. 前記窒化ホウ素のBET比表面積は3m/g〜200m/gである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  5. 前記窒化ホウ素を半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に5質量%〜80質量%含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  6. 前記窒化ホウ素が機械的表面改質処理されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  7. 前記窒化ホウ素が湿式粉砕処理されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  8. 前記湿式粉砕処理がビーズミル又はボールミルを用いる請求項7に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  9. 前記湿式粉砕処理時の分散媒が水を含む請求項7又は請求項8に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  10. 前記一般式(I)において、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  11. 前記一般式(I)において、nが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  12. さらに有機バインダを含有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  13. 前記有機バインダの含有率が半導体基板パッシベーション膜形成用組成物中に0.1質量%〜30質量%である請求項12に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  14. 半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成するために用いられる、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物。
  15. 半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられた請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、前記半導体基板の前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層と、を有するパッシベーション膜付半導体基板。
  16. 半導体基板上の全面又は一部に、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を加熱処理して、半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成する工程と、を有する半導体基板パッシベーション膜付半導体基板の製造方法。
  17. p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、
    前記半導体基板の全面又は一部に設けられた請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と、
    前記半導体基板の前記パッシベーション膜形成用組成物の焼成物層と接する面側に形成されたp型拡散層p型拡散層と、
    前記半導体基板の前記p型層又は前記n型層の少なくとも一方の上に配置された電極と、を有する太陽電池素子。
  18. p型層及びn型層が接合されてなるpn接合並びに前記p型層及び前記n型層の少なくとも一方の上に配置された電極を有する半導体基板の前記電極が配置された面の少なくとも一方の上に、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の半導体基板パッシベーション膜形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層を加熱処理して、半導体基板パッシベーション膜及びp型拡散層を形成する工程と、
    を有する太陽電池素子の製造方法。
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