JP6295673B2 - パッシベーション層付半導体基板、パッシベーション層形成用塗布型材料及び太陽電池素子 - Google Patents

パッシベーション層付半導体基板、パッシベーション層形成用塗布型材料及び太陽電池素子 Download PDF

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Description

本発明は、パッシベーション層付半導体基板、パッシベーション層形成用塗布型材料及び太陽電池素子に関するものである。
太陽電池素子は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であり、無公害で無限な再生可能エネルギーの1つとして、今後、いっそうの普及が期待されている。
太陽電池素子は、通常、p型半導体及びn型半導体を含み、太陽光エネルギーを吸収することにより、半導体の内部で電子−正孔対を生成する。ここで、生成した電子はn型半導体に、正孔(ホール)はp型半導体にそれぞれ移行し、これらが電極で収集されることによって、外部で電気エネルギーを利用することができる。
一方、太陽電池素子では太陽光エネルギーをできる限り多くの電気エネルギーに変換し、出力することができるように効率を高めることが重要である。このような太陽電池素子の効率を高めるためには、半導体の内部でできる限り多くの電子−正孔対を生成することが重要である。それに加えて生成された電荷の損失を抑えて外部に取り出すことも重要である。
電荷の損失は様々な原因によって発生する。特に、生成した電子及び正孔が再結合し、電荷が消滅することにより電荷の損失が発生する。
現在主流となっているシリコン基板を半導体基板として用いる太陽電池素子では、図6に示すように、テクスチャーと呼ばれる反射防止のためのピラミッド構造部(図示は省略)を有するp型のシリコン基板11を用いて、受光面にn層12を形成し、裏面にはp層14を形成している。さらに、受光面側には受光面パッシベーション層として、窒化ケイ素(SiN)層13があり、フィンガー電極15と呼ばれる銀の集電極が形成されている。裏面側には、裏面での光透過の抑制を兼ねたアルミニウムの電極16が全面に形成されている。
上記受光面のn層12は、一般に気相又は固相からリンをシリコン基板11中に拡散させることにより形成している。裏面のp層14は裏面のアルミニウムの電極16の形成時に、アルミニウムとp型のシリコン基板11の接触部において、700℃以上の熱を加えることにより形成している。この工程により、アルミニウムがシリコン基板11中に拡散して合金が生成し、p層14が形成される。
p型のシリコン基板11とp層14との界面には、ポテンシャル差に由来する電界が形成される。p層14が作り出すこの電界は、主としてp型のシリコン基板11内で発生し、裏面に拡散してきた正孔と電子のうち、電子をp型のシリコン基板11の内部に反射し、正孔を選択的にp層14へ通過させる働きを有する。すなわち、この作用は、電子を排斥し、太陽電池素子の裏面界面において正孔及び電子が再結合することを低減するという効果をもたらす。このようなアルミニウムの合金層を裏面に備えた従来方式の太陽電池素子は、製造が比較的簡単であるため、量産に適する太陽電池素子の構造として広く用いられている。
しかしながら、上記のような裏面にp層14を有する従来方式の太陽電池素子においては、p層14と裏面の電極16との界面には、界面再結合速度を減らす不活性化処理が何らなされていない。また、このp層14では高濃度にドーピングされたアルミニウム自体が再結合中心を形成するために、再結合中心の存在密度が高く、半導体としての品質が他の領域よりも低くなっている。
この問題を解決するために、上記従来方式の太陽電池素子の将来的な置き換えを目指して、裏面パッシベーション型太陽電池素子の開発が進められている。裏面パッシベーション型太陽電池素子は、上記従来方式の太陽電池素子とは異なり、太陽電池素子の裏面をパッシベーション層で覆うことにより、半導体基板とパッシベーション層との界面に本来的に存在し再結合の原因となる未結合手(ダングリングボンド)を終端することができる。すなわち、裏面パッシベーション型太陽電池素子は、p/p界面に生じる電界により、キャリア再結合速度を減らそうとするのではなく、裏面における再結合中心の密度自体を低減させ、キャリア(正孔及び電子)の再結合を減らそうとするものである。一方、パッシベーション層中の固定電荷密度によって発生させる電界によってキャリア濃度を低下させて、キャリア再結合速度を抑制するパッシベーション層は、電界効果パッシベーション層と称されている。特に、裏面における再結合中心の密度が大きい場合、電界によってキャリアを再結合中心から遠ざけることができる電界効果パッシベーション層は有効である。
電界効果パッシベーション層としては、ALD−CVD(Atomic Layer Deposition−Chemical Vapor Deposition)法による酸化アルミニウム層が知られている。また、低コスト化するために、酸化アルミニウムのゾルゲルの塗布層をパッシベーション層として用いる技術が知られている(例えば、特許文献1〜3及び非特許文献1参照)。
国際公開第2008/137174号 国際公開第2009/052227号 国際公開第2010/044445号
B. Hoex, J. Schmidt, P. Pohl, M. C. M. van de Sanden, W. M. M. Kesseles, "Silicon surface passivation by atomic layer deposited Al2O3", J Appl. Phys, 104, p.44903(2008)
しかしながら、一般にALD法は堆積速度が遅く高スループットが得られないために、低コスト化は難しいという問題がある。さらに、酸化アルミニウム層を形成した後には、裏面の電極により電気的な接続を取るためのスルーホールが必要であり、何らかのパターニング技術を必要とする。
また、酸化アルミニウムの塗布層では負の固定電荷密度が不安定であるため、CV(Capacitance−Voltage)法では負の固定電荷密度が得られにくい傾向がある。
以上の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする第1の課題は、キャリアライフタイムが長く、且つ負の固定電荷密度を有するパッシベーション層付半導体基板を低コストで提供することである。第2の課題は、そのパッシベーション層付半導体基板のパッシベーション層を形成するための塗布型材料を提供することである。第3の課題は、そのパッシベーション層付半導体基板を用いた変換効率の高い太陽電池素子を低コストで提供することである。
第1の課題を解決するための、本発明のパッシベーション層付半導体基板は、以下の通りである。
<1> 第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
第2成分としての酸化アルミニウムと、
第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
を含むパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板。
<2> 前記第1成分の、前記第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、
前記第1成分及び前記第2成分の総質量に対する前記第3成分の含有率が、0.01質量%〜10質量%である<1>に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<3> 前記第1成分、前記第2成分及び前記第3成分の総含有率が80質量%以上である<1>又は<2>に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<4> 熱処理によって前記第1成分を生成する第1成分前駆体としての酸化ニオブ前駆体、酸化バナジウム前駆体及び酸化タンタル前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
熱処理によって前記第2成分を生成する第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体と、
熱処理によって前記第3成分を生成する第3成分前駆体としての酸化アンチモン前駆体、酸化ビスマス前駆体、酸化マグネシウム前駆体、酸化リン前駆体及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
を含む塗布型材料の熱処理物であるパッシベーション層を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のパッシベーション層付半導体基板。
第2の課題を解決するための、本発明の塗布型材料は、以下の通りである。
<5> 第1成分前駆体としての酸化ニオブ前駆体、酸化バナジウム前駆体及び酸化タンタル前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体と、
第3成分前駆体としての酸化アンチモン前駆体、酸化ビスマス前駆体、酸化マグネシウム前駆体、酸化リン前駆体及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
を含むパッシベーション層形成用塗布型材料。
<6> 更に有機溶剤を含む<5>に記載のパッシベーション層形成用塗布型材料。
第3の課題を解決するための、本発明の太陽電池素子は、以下の通りである。
<7> 単結晶シリコン又は多結晶シリコンからなり、受光面及び前記受光面とは反対側の裏面を有するp型の半導体基板と、
前記半導体基板の受光面側に形成されたn型の不純物拡散層と、
前記半導体基板の受光面側の前記n型の不純物拡散層の表面に形成された第1電極と、
前記半導体基板の裏面側の表面に形成され、複数の開口部を有し、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層と、
前記複数の開口部を通して、前記半導体基板の裏面側の表面と電気的な接続を形成している第2電極と、
を備える太陽電池素子。
<8> 単結晶シリコン又は多結晶シリコンからなり、受光面及び前記受光面とは反対側の裏面を有するp型の半導体基板と、
前記半導体基板の受光面側に形成されたn型の不純物拡散層と、
前記半導体基板の受光面側の前記n型の不純物拡散層の表面に形成された第1電極と、
前記半導体基板の裏面側の一部又は全部に形成され、前記半導体基板より高濃度に不純物が添加されたp型の不純物拡散層と、
前記半導体基板の裏面側の表面に形成され、複数の開口部を有し、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層と、
前記複数の開口部を通して、前記半導体基板の裏面側の前記p型の不純物拡散層の表面と電気的な接続を形成している第2電極と、
を備える太陽電池素子。
<9> 単結晶シリコン又は多結晶シリコンからなり、受光面及び前記受光面とは反対側の裏面を有するn型の半導体基板と、
前記半導体基板の受光面側に形成されたp型の不純物拡散層と、
前記半導体基板の裏面側に形成された第2電極と、
前記半導体基板の受光面側の表面に形成され、複数の開口部を有し、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層と、
前記半導体基板の受光面側の前記p型の不純物拡散層の表面に形成され、前記複数の開口部を通して前記半導体基板の受光面側の表面と電気的な接続を形成している第1電極と、
を備える太陽電池素子。
<10> 前記パッシベーション層における前記第1成分の、前記第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、
前記第1成分及び前記第2成分の総質量に対する前記第3成分の含有率が、0.01質量%〜10質量%である<7>〜<9>のいずれか1つに記載の太陽電池素子。
<11> 前記パッシベーション層における前記第1成分、前記第2成分及び前記第3成分の総含有率が80質量%以上である<7>〜<10>のいずれか1つに記載の太陽電池素子。
本発明によれば、キャリアライフタイムが長く、且つ負の固定電荷密度を有するパッシベーション層付半導体基板を低コストで提供することができる。また、そのパッシベーション層付半導体基板のパッシベーション層を形成するための塗布型材料を提供することができる。また、そのパッシベーション層付半導体基板を用いた変換効率の高い太陽電池素子を低コストで提供することができる。
裏面にパッシベーション層を用いた太陽電池素子の第1構成例を示す断面図である。 裏面にパッシベーション層を用いた太陽電池素子の第2構成例を示す断面図である。 裏面にパッシベーション層を用いた太陽電池素子の第3構成例を示す断面図である。 裏面にパッシベーション層を用いた太陽電池素子の第4構成例を示す断面図である。 受光面にパッシベーション層を用いた太陽電池素子の構成例を示す断面図である。 従来の両面電極型の太陽電池素子の構造を示した断面図である。
本発明の上記課題及びその他の課題と新規な特徴は、本願明細書の記載及び添付図面から明らかになるであろう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。「熱処理」には、一般に「焼成」又は「焼結」と称される工程も包含される。
<パッシベーション層付半導体基板>
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層を有する。
より詳細には、本発明のパッシベーション層付半導体基板は、半導体基板、並びにこの半導体基板上に、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層を備える。
パッシベーション層が、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むことにより、このパッシベーション層が付与された半導体基板のキャリアライフタイムを長くし、且つ負の固定電荷密度を与えることができる。キャリアライフタイムが長くなる理由は明らかではないが、その理由の一つとして、ダングリングボンドの終端が考えられる。よって、本発明のパッシベーション層付半導体基板は、この半導体基板を有する太陽電池素子の光電変換効率を向上させることができる。さらに、本発明におけるパッシベーション層は、塗布法又は印刷法を用いて形成することができるため、形成工程が簡便であり、スループットが高い。その結果、パターン形成も容易となり、低コスト化を図ることができる。
本明細書において、キャリアライフタイムは、パッシベーション層付半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムを、株式会社コベルコ科研RTA−540等の装置を用いて測定することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが長くなる結果、実効ライフタイムτが長くなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが長くなって実効ライフタイムτが長くなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション層と半導体基板との界面特性、及び、ダングリングボンド等の半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
実効ライフタイムτが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
また、本発明におけるパッシベーション層の組成を変えることにより、パッシベーション層が有する固定電荷密度量を制御することができる。
一般的なパッシベーション層の機能としては、〔1〕ダングリングボンド終端及び〔2〕パッシベーション層中の固定電荷密度によるバンドベンディングがある。このうち〔2〕のパッシベーション層中の固定電荷密度によるバンドベンディングの機能を用いたパッシベーション層は、電界効果パッシベーション層と呼ばれ、その電荷で、正孔及び電子のいずれかを追いやって再結合を防ぐ働きがある。通常のp型シリコン基板を用いた太陽電池素子では、生成したキャリアのうち、電子を受光面側から、正孔を裏面側から取り出す。そのため、p型シリコン基板における裏面側のパッシベーション層としては、電子を受光面側に追い返すために、負の固定電荷密度を持った電界効果パッシベーション層が必要である(例えば、特開2012−33759号公報を参照)。
これに対して、本発明のパッシベーション層付半導体基板に付与されたパッシベーション層は、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種並びに第2成分としての酸化アルミニウムに加えて、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を合わせて含むことで、パッシベーション層に負の固定電荷密度を与えることができ、それを用いることにより、半導体基板のキャリアライフタイムを長くすることができる。
一般に、半導体基板のキャリアライフタイムは、例えば銅等の重金属不純物の存在により、急激に劣化することが知られている。アンチモン、ビスマス、マグネシウム、リン又はホウ素は、ドーパントの一種であるが、これらの元素が存在することで、銅等の重金属不純物をイオン交換により捕獲すること(ゲッタリング)が可能である。これにより、ある程度の重金属不純物による汚染があっても、キャリアライフタイムの低下を防ぐことができるものと考えられる。
尚、本発明に係るパッシベーション層は、シリコン基板の製造方法によらず、いずれのシリコン基板に適用してもキャリアライフタイムの低下を防ぐことができる。
太陽電池に使用するシリコン基板の製造方法としては、石英るつぼで材料を溶融させて結晶を引き上げるCzochralski(CZ)法が一般的であり、太陽電池の量産に使われている。
これに対して、石英るつぼを使わないFloat Zone(FZ)法によりシリコン基板の製造も行われている。FZ法により製造される基板は、現状では高価なために、太陽電池の量産には使われていない。しかし、FZ法により製造された半導体基板は、論文等で高効率を目指した太陽電池の製造に使われており、今後は量産に使われる可能性もある。
CZ法により製造されるシリコン基板では、石英るつぼからの酸素が欠陥となり、一般に、バルクライフタイムの向上には限界がある。これに対して、FZ法により製造されるシリコン基板は、酸素が少ないために一般にはバルクライフタイムが長くなる。しかし、FZ法により製造されるシリコン基板は、銅等の重金属不純物が含有され易く、キャリアライフタイムが劣化しやすいという特徴を持つ。
本発明に係るパッシベーション層は、上述の第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことにより、アンチモン、ビスマス、マグネシウム、リン又はホウ素が銅等の重金属不純物をイオン交換により捕獲すること(ゲッタリング)ができるため、FZ法により製造されるシリコン基板に適用してもライフタイムの劣化を軽減できる。
本発明のパッシベーション層付半導体基板に付与されているパッシベーション層に含まれる第1成分は、酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
第1成分は負の固定電荷密度の付与に寄与している。負の固定電荷密度は酸化ニオブを用いるときがもっとも大きく、次に酸化バナジウムが大きく、酸化タンタルを用いる場合は比較的効果が小さい。したがって、大きな負の固定電荷密度を得たい場合には、酸化ニオブ又は酸化バナジウムを用いることが好ましく、酸化ニオブを用いることがより好ましい。
本発明のパッシベーション層付半導体基板に付与されているパッシベーション層に含まれる第2成分は、酸化アルミニウムである。
第2成分である酸化アルミニウムは、単独では正の固定電荷密度を示すが、半導体基板のライフタイムを長くする効果を有し、第1成分と併用することにより、負の固定電荷密度を与えることが可能である。
本発明のパッシベーション層付半導体基板に付与されているパッシベーション層に含まれる第3成分は、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
第3成分としては、半導体基板のキャリアライフタイムをより長くする効果の観点からは、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、酸化アンチモン、酸化ビスマス及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、酸化アンチモン及び酸化ビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましい。
また、第3成分としては、固定電荷密度を負に大きくする効果の観点からは、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化リン及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、酸化アンチモン及び酸化ビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、酸化ビスマスであることが更に好ましい。
半導体基板のキャリアライフタイムを長くする効果及び固定電荷密度を負に大きくする効果を両立させる観点からは、第3成分としては、酸化アンチモン及び酸化ビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明では、更に、第1成分、第2成分及び第3成分の質量比を調整することで、安定した負の固定電荷密度を有するパッシベーション層を得ることができる。
第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)は、負の固定電荷密度を安定化する観点から、30/70〜90/10であることが好ましく、30/70〜80/20であることがより好ましく、35/65〜70/30であることが更に好ましい。
また、第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)は、キャリアライフタイムの向上と負の固定電荷密度を両立させる観点からは、35/65〜75/25であることが好ましい。
第1成分及び第2成分の総質量に対する第3成分の含有率は、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、更にキャリアライフタイムをより長くし、且つ固定電荷密度を負により大きくすることができる観点からは、0.05質量%〜5質量%であることがより好ましい。
パッシベーション層において、第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、第1成分及び第2成分の総質量に対する第3成分の含有率が、0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。これら質量比及び含有率が上記範囲内であると、半導体基板のキャリアライフタイムを長くすることができ、且つ大きな安定化した負の固定電荷密度を達成することができる傾向にある。
半導体基板のキャリアライフタイムと負の固定電荷密度を両立させる観点から、パッシベーション層において、第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が35/65〜75/25であり、第1成分及び第2成分の総質量に対する第3成分の含有率が、0.1質量%〜1.0質量%であることがより好ましい。
パッシベーション層中の第1成分、第2成分及び第3成分の質量比は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、二次イオン質量分析法(SIMS)又は高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)によって測定することができる。
具体的な測定条件は次の通りである。パッシベーション層を酸又はアルカリ水溶液に溶解し、この溶液を霧状にしてArプラズマに導入し、励起された元素が基底状態に戻る際に放出される光を分光して波長及び強度を測定し、得られた波長から元素の定性を行い、得られた強度から定量を行う。
パッシベーション層中の第1成分、第2成分及び第3成分の総含有率は、80質量%以上であることが好ましく、キャリアライフタイムの向上及び負の固定電荷密度を得る観点から80質量%以上であることがより好ましい。
パッシベーション層中の第1成分、第2成分及び第3成分であるこれらの金属酸化物の含有量が多いと、負の固定電荷密度の効果が大きくなる傾向にある。
パッシベーション層中の第1成分、第2成分及び第3成分の総含有率は、熱重量分析、蛍光X線分析、ICP−MS及びX線吸収分光法を組み合わせることによって測定することができる。
具体的な測定条件は次の通りである。熱重量分析によって無機成分の割合を算出し、蛍光X線、ICP−MS分析等によって、パッシベーション層中のニオブ、バナジウム、タンタル、アルミニウム、アンチモン、ビスマス、マグネシウム、リン、ホウ素等の割合を算出し、酸化物の割合はX線吸収分光法で調べることができる。
また、パッシベーション層中には、層質の向上、弾性率の調整等の観点から、第1成分、第2成分及び第3成分以外の成分が有機成分として含まれていてもよい。パッシベーション層中の有機成分の存在は、元素分析及びFT−IRの測定から確認することができる。
尚、後述のパッシベーション層形成用塗布型材料が、樹脂、有機溶媒等の有機成分を含む場合、通常、熱処理(焼成)によりこの有機成分は除去されるが、結果として、有機成分が残存してもよい。すなわち、パッシベーション層は、有機成分をさらに含んでいてもよい。
パッシベーション層中の有機成分の含有率は、パッシベーション層中、10質量%未満であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
本発明のパッシベーション層付半導体基板に用いる半導体基板は特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。例えば、半導体基板としてのシリコン基板、ゲルマニウム基板等にp型不純物又はn型不純物を拡散(ドープ)したものを挙げることができ、中でもシリコン基板が好ましい。また、半導体基板は、p型の半導体基板であっても、n型の半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型の半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型の半導体基板又はp型の半導体基板上に形成されたものであってもよい。
シリコン基板を用いる場合、単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板のどちらを用いてもよい。また、導電型がp型の結晶シリコン、又は導電型がn型の結晶シリコンのどちらを用いてもよい。本発明の効果をより発揮する観点からは、導電型がp型の結晶シリコン基板がより適している。
半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。厚みが50μm〜1000μmの半導体基板にパッシベーション層を形成することで、より効果的にパッシベーション効果を得ることができる。
上述の通り、本発明のパッシベーション層付半導体基板に付与されるパッシベーション層は、塗布法又は印刷法を用いて形成することができるため、形成工程が簡便であり、スループットが高い。その結果、パターン形成もし易く、低コスト化を図ることができる。
本発明のパッシベーション層付半導体基板におけるパッシベーション層は、公知の方法で形成することができる。
例えば、本発明のパッシベーション層付半導体基板は、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、熱処理により第1成分、第2成分及び第3成分を生成することが可能である成分を含む組成物を付与して組成物層を形成し、この組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成することにより製造することができる。
例えば、パッシベーション層は、第1成分前駆体、第2成分前駆体及び第3成分前駆体を含む後述のパッシベーション層形成用塗布型材料の熱処理物として得てもよい。
より具体的には、後述のパッシベーション層形成用塗布型材料を、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に付与した後、熱処理(焼成)することにより、第1成分前駆体、第2成分前駆体及び第3成分前駆体からそれぞれ生成される第1成分、第2成分及び第3成分を含むパッシベーション層を得ることができる。
他の方法としては、第1成分、第2成分及び第3成分を含む組成物を、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に付与した後、乾燥等の熱処理を行うことにより、第1成分、第2成分及び第3成分を含むパッシベーション層を得る方法が挙げられる。
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。
<塗布型材料>
本発明の塗布型材料は、第1成分前駆体としての酸化ニオブ前駆体、酸化バナジウム前駆体及び酸化タンタル前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体と、第3成分前駆体としての酸化アンチモン前駆体、酸化ビスマス前駆体、酸化マグネシウム前駆体、酸化リン前駆体及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む、パッシベーション層形成用塗布型材料(以下、「塗布型材料」とも言う。)である。塗布型材料は、所望により、その他の成分を更に含んでいてもよい。
本発明の塗布型材料を半導体基板の少なくとも一方の面上に付与して塗布型材料層を形成した後、熱処理を行うことにより、パッシベーション層を半導体基板上に形成することができる。
酸化ニオブ前駆体は、熱処理により酸化ニオブを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化ニオブ前駆体としては、酸化ニオブを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から有機酸化ニオブ前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化ニオブ前駆体としては、ニオブアルコキシドが挙げられる。ニオブアルコキシドを熱処理して得られる酸化ニオブは屈折率が大きいことで知られているため、ニオブアルコキシドを含む塗布型材料の熱処理物の屈折率をより向上させ、屈折率の高いパッシベーション層を得ることができる。
ニオブアルコキシドとしては、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に制限はない。ニオブアルコキシドとしては、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブフェノキシド等を挙げることができる。
具体例としては、ニオブ(V)エトキシド(構造式:Nb(OC、分子量:318.21)、Nb−05(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
酸化バナジウム前駆体は、熱処理により酸化バナジウムを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化バナジウム前駆体としては、酸化バナジウムを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から有機酸化バナジウム前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化バナジウム前駆体としては、バナジウムオキシアルコキシドが挙げられる。バナジウムオキシアルコキシドとしては、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に制限はない。バナジウムオキシアルコキシドとしては、バナジウムオキシエトキシド等を挙げることができる。
具体例として、バナジウム(V)オキシトリエトキシド(構造式:VO(OC、分子量:202.13)、V−02(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
酸化タンタル前駆体は、熱処理により酸化タンタルを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化タンタル前駆体としては、酸化タンタルを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から有機酸化タンタル前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化タンタル前駆体としては、タンタルアルコキシドが挙げられる。タンタルアルコキシドとしては、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に制限はない。タンタルアルコキシドの例としては、タンタルメトキシド等を挙げることができる。
具体例として、タンタル(V)メトキシド(構造式:Ta(OCH、分子量:336.12)、Ta−10−P(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体は、熱処理により酸化アルミニウムを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化アルミニウム前駆体としては、酸化アルミニウムを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から、有機酸化アルミニウム前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化アルミニウム前駆体としては、アルミニウムアルコキシドが挙げられる。アルミニウムアルコキシドとしては、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に制限はない。
アルミニウムアルコキシドの例としては、下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」とも言う。)が挙げられる。

式(I)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
特定のアルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi, 97(1989)369-399にも記載されているように、前記有機アルミニウム化合物は熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)となる。
一般式(I)において、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。Rで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。
一般式(I)におけるRで表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRで表されるアルキル基は、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは0〜3の整数を表わす。nは保存安定性の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、X及びXはそれぞれ独立に酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXの少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)におけるR、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。
一般式(I)におけるR、R及びRで表されるアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(I)におけるR及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)におけるRは、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、化学的安定性の観点から、nが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物であることが好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、nが0であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であり、X又はXがメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR又はRが水素原子であり、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(I)で表され、nが0の有機アルミニウム化合物であるアルミニウムトリアルコキシドとして具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec−ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
具体例として、アルミニウムトリイソプロポキシド(構造式:Al(OCH(CH、分子量:204.25)、SYM−AL04(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
また、一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物として具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(「(エチルアセトアセタト)アルミニウムイソプロポキシド」ともいう)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムメチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムエチルアセトアセテートモノイソプロピレートモノオレイレート等を挙げることができる。
また一般式(I)で表され、nが1〜3である有機アルミニウム化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートM、アルミキレートD、アルミキレートA(W)等を挙げることができる。
酸化アンチモン前駆体は、熱処理により酸化アンチモンを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化アンチモン前駆体としては、酸化アンチモンを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から、有機酸化アンチモン前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化アンチモン前駆体の例として、アンチモントリエトキシド(構造式:Sb(OCHCH、分子量:256.9)、SYM−SB03(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
酸化ビスマス前駆体は、熱処理により酸化ビスマスを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化ビスマス前駆体としては、酸化ビスマスを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から、有機酸化ビスマス前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化ビスマス前駆体としては、ビスマスアルコキシドが挙げられる。ビスマスアルコキシドとしては、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に制限はない。ビスマスアルコキシドとしては、ビスマスエトキシド、ビスマスイソプロポキシド、ビスマスn−プロポキシド、ビスマスn−ブトキシド、ビスマスフェノキシド等を挙げることができる。
有機酸化ビスマス前駆体の例として、ビスマス(III)トリイソプロポキシド(構造式:Bi(OCH(CH、分子量:386.2)、SYM−BI05(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
酸化マグネシウム前駆体は、熱処理により酸化マグネシウムを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化マグネシウム前駆体としては、酸化マグネシウムを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から、有機酸化マグネシウム前駆体を用いることが好ましい。
有機酸化マグネシウム前駆体としては、マグネシウムアルコキシドが挙げられる。マグネシウムアルコキシドとしては、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に制限はない。マグネシウムアルコキシドとしては、マグネシウムエトキシド、マグネシウムイソプロポキシド、マグネシウムn−プロポキシド、マグネシウムn−ブトキシド、マグネシウムフェノキシド等を挙げることができる。
具体例として、マグネシウムエトキシド(構造式:Mg(OCHCH)、分子量:114.4)、SYM−MG05(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
酸化リン前駆体は、熱処理により酸化リンを生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化リン前駆体としては、酸化リンを半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から、有機酸化リン前駆体、有機酸化リン前駆体とケイ素とのゾルゲル化合物等を用いることが好ましい。
酸化リン前駆体の例として、リン酸トリエチル(構造式:PO(OCHCH、分子量:182.3)、熱処理(焼成)後にSiO−PとなるPS−05S(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
酸化ホウ素前駆体は、熱処理により酸化ホウ素を生成するものであれば、特に限定されることなく、当該技術分野で通常用いることができるものを使用できる。酸化ホウ素前駆体としては、酸化ホウ素を半導体基板上に分散させる観点、及び化学的に安定である観点から、有機酸化ホウ素前駆体、有機酸化ホウ素前駆体とケイ素とのゾルゲル化合物等を用いることが好ましい。
酸化ホウ素前駆体の例として、トリエトキシホウ素(構造式:B(OCHCH、分子量:146.1)、熱処理(焼成)後にSiO−BとなるBS−05S(株式会社高純度化学研究所)等を挙げることができる。
本発明の塗布型材料における第1成分前駆体、第2成分前駆体及び第3成分前駆体の含有比率は、塗布型材料の熱処理物であるパッシベーション層中における第1成分、第2成分及び第3成分の含有比率が上述の範囲内となる比率であれば、特に限定はされない。
[その他の成分]
塗布型材料は、必要に応じて、その他の成分として、溶媒、樹脂、界面活性剤、無機粉末、ケイ素原子を含む樹脂、チキソ剤、増粘剤、湿潤剤等を含有してもよい。
(溶媒)
塗布型材料は溶媒を更に含んでいてもよい。塗布型材料が溶媒を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上すると共により均一なパッシベーション層を形成することができる。溶媒としては特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。
溶媒として有機溶媒が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶媒;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶媒;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶媒;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶媒;水などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
中でも前記溶媒は、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、テルペン溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒及びアルコール溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ケトン溶媒及びエーテル溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
塗布型材料が溶媒を含む場合、溶媒の含有率は、付与性、パターン形成性又は保存安定性を考慮して決定される。例えば、溶媒の含有率は、塗布型材料の付与性とパターン形成性の観点から、塗布型材料の総質量中、5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(樹脂)
本発明の塗布型材料は、樹脂の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。樹脂を含むことで、塗布型材料が半導体基板上に付与されて形成される層の形状安定性がより向上し、この層が形成された領域に、パッシベーション層を所望の形状で選択的に形成することができる。
樹脂の種類は特に制限されない。樹脂は、塗布型材料を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。樹脂として具体的には、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド化合物、ポリビニルアミド化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド化合物、ポリスルホン酸、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルなど)、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これら樹脂は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
尚、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート(アクリル酸エステル)及びそれに対応するメタクリレート(メタクリル酸エステル)の少なくとも一方を意味する。
これらの樹脂のなかでも、保存安定性及びパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、フェノール樹脂又はセルロース誘導体を用いることがより好ましい。フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
これら樹脂の分子量は特に制限されず、パッシベーション層形成用塗布型材料としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、保存安定性及びパターン形成性の観点から、1,000〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。尚、樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(東ソー株式会社、PStQuick MP−H、PStQuick B)を用いて3次式で近似する。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:(ポンプ:L−2130型[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
(検出器:L−2490型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
(カラムオーブン:L−2350[株式会社日立ハイテクノロジーズ])
カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成株式会社、商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:25℃
パッシベーション層形成用塗布型材料が樹脂を含有する場合、パッシベーション層形成用塗布型材料中の樹脂の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂の含有率は、パッシベーション層形成用塗布型材料の総質量中0.1質量%〜50質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、樹脂の含有率は0.1質量%〜35質量%であることが好ましく、0.2質量%〜25質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
フェノール樹脂を含む場合、フェノール樹脂の含有率は0.1質量%〜35質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量であることがより好ましい。
(高沸点材料)
パッシベーション層形成用塗布型材料は、樹脂と共に又は樹脂に替わる材料として、高沸点材料を含んでもよい。高沸点材料は、加熱したときに容易に気化して脱脂処理する必要のない化合物であることが好ましい。高沸点材料は特に、印刷又は塗布後に印刷形状が維持できる高粘度の高沸点材料であることが好ましい。これらを満たす材料として、例えば、イソボルニルシクロヘキサノールが挙げられる。
イソボルニルシクロヘキサノールは、「テルソルブ MTPH」(日本テルペン化学株式会社、商品名)として商業的に入手可能である。イソボルニルシクロヘキサノールは沸点が308℃〜318℃と高く、また組成物層から除去する際には、樹脂のように熱処理(焼成)による脱脂処理を行うまでもなく、加熱により気化させることによって消失させることができる。このため、半導体基板上に付与した後の乾燥工程で、パッシベーション層形成用塗布型材料中に必要に応じて含まれる溶剤とイソボルニルシクロヘキサノールの大部分を取り除くことができる。
パッシベーション層形成用塗布型材料が高沸点材料を含有する場合、高沸点材料の含有率は、パッシベーション層形成用塗布型材料の総質量中に3質量%〜95質量%であることが好ましく、5質量%〜90質量%であることがより好ましく、7質量%〜80質量%であることが特に好ましい。
(酸性化合物又は塩基性化合物)
塗布型材料は、酸性化合物又は塩基性化合物を含有してもよい。塗布型材料が酸性化合物又は塩基性化合物を含有する場合、保存安定性の観点から、酸性化合物又は塩基性化合物の含有率が、塗布型材料中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができる。具体的には塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などを挙げることができる。また塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができる。具体的には、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基などを挙げることができる。
塗布型材料は、必要に応じて、その他の成分として、増粘剤、湿潤剤、界面活性剤、無機粉末、ケイ素原子を含む樹脂、チキソ剤等の各種添加剤を含有してもよい。
無機粉末としてはシリカ(酸化ケイ素)、クレイ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、モンモリロナイト、ベントナイト、カーボンブラック等を例示することができ、これらの中でもシリカを成分として含むフィラーを用いることが好ましい。ここで、クレイとは層状粘土鉱物を示し、具体的には、カオリナイト、イモゴライト、モンモリロナイト、スメクタイト、セリサイト、イライト、タルク、スチーブンサイト、ゼオライト等が挙げられる。無機粉末を塗布型材料に含有させることで、塗布型材料の印刷性が向上する傾向にある。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤が挙げられる。中でも、半導体基板への重金属等の不純物の持ち込みが少ないことからノニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤が好ましい。更に、ノニオン界面活性剤として、シリコン界面活性剤、フッ素含有界面活性剤及び炭化水素界面活性剤が例示される。界面活性剤を添加することで、塗布型材料層の膜均一性(膜厚及び組成の均一性)が向上する傾向にある。
ケイ素原子を含む樹脂として、両末端リジン変性シリコーン、ポリアミド・シリコーン交互共重合体、側鎖アルキル変性シリコーン、側鎖ポリエーテル変性シリコーン、両末端アルキル変性シリコーン、シリコーン変性プルラン、及びシリコーン変性アクリルを例示することができる。ケイ素原子を含む樹脂を添加することで、塗布型材料層の膜均一性(膜厚及び組成)が向上する傾向にある。
チキソ剤としては、ポリエーテル化合物、脂肪酸アミド、ヒュームドシリカ、水素添加ひまし油、尿素ウレタンアミド、ポリビニルピロリドン及びオイル系ゲル化剤を例示することができる。チキソ剤を添加することで、塗布型材料層の細線形成性(印刷時及び乾燥時の線の肥大化抑制)が改善する傾向にある。ポリエーテル化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリ(エチレン−プロピレン)グリコール共重合体を例示することができる。
塗布型材料の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、塗布型材料の粘度は、0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、塗布型材料の粘度は、0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。尚、粘度は回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
また、塗布型材料は、チキソ性を有していることが好ましい。特に塗布型材料が上記樹脂を含む場合、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度η1をせん断速度10s−1におけるせん断粘度η2で除して算出されるチキソ比(η1/η2)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。尚、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
[塗布型材料の製造方法]
塗布型材料の製造方法には特に制限はない。例えば、第1成分前駆体、第2成分前駆体及び第3成分前駆体、並びに必要に応じて含まれる溶媒等を、通常用いられる方法で混合することで製造することができる。また、樹脂を溶媒に溶解した後、これと第1成分前駆体、第2成分前駆体及び第3成分前駆体とを混合することで製造してもよい。
尚、前記塗布型材料中に含まれる成分、及び各成分の含有量は、TG/DTA等の熱分析、NMR、IR等のスペクトル分析、HPLC、GPC等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子(光電変換装置)は、半導体基板の光電変換界面の近傍に本発明のパッシベーション層(絶縁層、保護絶縁層)、すなわち、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む層を有するものである。それらを含むことにより、半導体基板のキャリアライフタイムを長くし、且つ負の固定電荷密度を与えることができ、太陽電池素子の特性(光電変換効率)を向上させることができる。
まず、本発明の太陽電池素子の構造について図1〜図4を参照しながら説明する。図1〜図4は、裏面に本発明のパッシベーション層を有する太陽電池素子の第1〜第4構成例を示す断面図である。
図1〜図4において半導体基板として用いるシリコン基板1は結晶シリコン基板である。また、シリコン基板1としては、導電型がp型の結晶シリコン、又は導電型がn型の結晶シリコンのどちらを用いてもよい。本発明の効果をより発揮する観点からは、導電型がp型の結晶シリコン基板がより適している。
以下の図1〜図4においては、シリコン基板1として、p型単結晶シリコン基板を用いる例について説明する。尚、シリコン基板1に用いる単結晶シリコン又は多結晶シリコンは、任意のものでよく、抵抗率が0.5Ω・cm〜10Ω・cmである単結晶シリコン又は多結晶シリコンであることが好ましい。
図1は、本発明の太陽電池素子の第1構成例を示す。
図1に示すように、p型のシリコン基板1の受光面側(図1中上側、第1面)に、リン等のV族の元素をドーピングしたn型の拡散層2が形成される。そして、シリコン基板1と拡散層2との間でpn接合が形成される。拡散層2の表面には、窒化ケイ素(SiN)層等の受光面反射防止層3、及び銀(Ag)等を用いた第1電極5(受光面側の電極、第1面電極、上面電極、受光面電極)が形成される。受光面反射防止層3は、受光面パッシベーション層としての機能を兼ね備えてもよい。SiN層を用いることで、受光面反射防止層と受光面パッシベーション層の機能を両方兼ね備えることができる。
尚、本発明の太陽電池素子は、受光面反射防止層3を有していても有していなくてもよい。また、太陽電池素子の受光面には、表面での反射率を低減するため、凹凸構造(テクスチャー構造)が形成されることが好ましいが、本発明の太陽電池素子は、テクスチャー構造を有していても有していなくてもよい。
一方、シリコン基板1の裏面側(図1中下側、第2面、裏面)には、アルミニウム、ホウ素等のIII族の元素をドーピングした層であるBSF(Back Surface Field)層4が形成される。ただし、本発明は、BSF層4を有していても有していなくてもよい。
このシリコン基板1の裏面側には、BSF層4(BSF層4を設けない場合はシリコン基板1の裏面側の表面)とコンタクト(電気的接続)をとるために、アルミニウム等で構成される第2電極6(裏面側の電極、第2面電極、裏面電極)が形成されている。
さらに、図1(第1構成例)においては、BSF層4(BSF層4を設けない場合はシリコン基板1の裏面側の表面)と第2電極6とが電気的に接続されているコンタクト領域(開口部OA)を除いた部分に、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層7が形成されている。本発明のパッシベーション層7は、上記で詳細に説明したように、負の固定電荷密度を有することが可能である。この負の固定電荷密度により、光によりシリコン基板1内で発生したキャリアのうち少数キャリアである電子を表面側へ跳ね返す。これにより、短絡電流が増加し、光電変換効率が向上することが期待される。
次いで、図2に示す第2構成例について説明する。図1(第1構成例)においては、第2電極6は、コンタクト領域(開口部OA)とパッシベーション層7上の全面に形成されているが、図2(第2構成例)においては、コンタクト領域(開口部OA)に第2電極6が形成されている。コンタクト領域(開口部OA)とパッシベーション層7上の一部に第2電極6が形成される構成としてもよい。図2に示す構成の太陽電池素子であっても図1(第1構成例)と同様の効果を得ることができる。
次いで、図3に示す第3構成例について説明する。図3に示す第3構成例においては、BSF層4が、第2電極6とのコンタクト領域(開口部OA部)を含む裏面側の一部に形成され、図1(第1構成例)のように、裏面側の全面に形成されていない。このような構成の太陽電池素子(図3)であっても、図1(第1構成例)と同様の効果を得ることができる。また、図3の第3構成例の太陽電池素子によれば、BSF層4、つまり、アルミニウム、ホウ素等のIII族の元素をドーピングすることでシリコン基板1よりも不純物が高い濃度でドーピングされた領域が少ないため、図1(第1構成例)より高い光電変換効率を得ることが可能である。
次いで、図4に示す第4構成例について説明する。図3(第3構成例)においては、第2電極6は、コンタクト領域(開口部OA)とパッシベーション層7上の全面に形成されているが、図4(第4構成例)においては、コンタクト領域(開口部OA)に第2電極6が形成されている。コンタクト領域(開口部OA)とパッシベーション層7上の一部に第2電極6が形成される構成としてもよい。図4に示す構成の太陽電池素子であっても図3(第3構成例)と同様の効果を得ることができる。
また、第2電極6を印刷法で塗布し、高温で熱処理(焼成)することにより裏面側の全面に形成した場合は、降温過程で上に凸の反りが発生しやすい傾向にある。このような反りは、太陽電池素子の破損を引き起こす場合があり、歩留りが低下する恐れがある。また、シリコン基板1の薄層化が進む際には反りの問題が大きくなる。この反りの原因は、シリコン基板1よりも金属(例えばアルミニウム)よりなる第2電極6の熱膨張係数が大きく、その分、降温過程での収縮が大きいため、応力が発生することにある。
以上のことから、図2(第2構成例)及び図4(第4構成例)のように第2電極6を裏面側の全面に形成しない方が、電極構造が上下で対称になり易く、熱膨張係数の差による応力が発生しにくいため好ましい。ただし、その場合は、別途反射防止層を設けることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
次に、上記構成を有する本発明の太陽電池素子(図1〜図4)の製造方法の一例について説明する。ただし、本発明は、以下に述べる方法で作製した太陽電池素子に限るものではない。
まず、図1等に示すシリコン基板1の表面にテクスチャー構造を形成する。テクスチャー構造の形成は、シリコン基板1の両面に形成しても、片面(受光面側)のみに形成してもよい。テクスチャー構造を形成するため、まず、シリコン基板1を加熱した水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液に浸して、シリコン基板1のダメージ層を除去する。その後、水酸化カリウム及びイソプロピルアルコールを主成分とする溶液に浸すことで、シリコン基板1の両面又は片面(受光面側)にテクスチャー構造を形成する。尚、上述したとおり、本発明の太陽電池素子は、テクスチャー構造を有していても有していなくてもよいため、本工程は省略してもよい。
続いて、シリコン基板1を塩酸、フッ酸等の溶液で洗浄した後、シリコン基板1にオキシ塩化リン(POCl)等の熱拡散により、拡散層2としてリン拡散層(n層)を形成する。リン拡散層は、例えば、リンを含んだ塗布型のドーピング材の溶液をシリコン基板1に塗布し、熱処理をすることによって形成できる。熱処理後、表面に形成されたリンガラスの層をフッ酸等の酸で除去することで、拡散層2としてリン拡散層(n層)が形成される。リン拡散層を形成する方法は特に制限されない。リン拡散層は、シリコン基板1の表面からの深さが0.2μm〜0.5μmの範囲、シート抵抗が40Ω/□〜100Ω/□(ohm/square)の範囲となるように形成することが好ましい。
その後、シリコン基板1の裏面側にホウ素、アルミニウム等を含む塗布型のドーピング材の溶液を塗布し、熱処理を行うことで、裏面側のBSF層4を形成する。塗布には、スクリーン印刷、インクジェット、ディスペンス、スピンコート等の方法を用いることができる。熱処理後、裏面に形成されたホウ素ガラス、アルミニウム等の層をフッ酸、塩酸等によって除去することでBSF層4が形成される。BSF層4を形成する方法は特に制限されない。好ましくは、BSF層4は、ホウ素、アルミニウム等の濃度の範囲が1018cm−3〜1022cm−3となるように形成されることが好ましく、ドット状又はライン状にBSF層4を形成することが好ましい。尚、本発明の太陽電池素子は、BSF層4を有していても有していなくてもよいため、本工程は省略してもよい。
また、受光面の拡散層2及び裏面のBSF層4を塗布型のドーピング材の溶液を用いて形成する場合は、上記のドーピング材の溶液をそれぞれシリコン基板1の両面に塗布して、拡散層2としてのリン拡散層(n層)とBSF層4の形成を一括して行い、その後、表面に形成したリンガラス、ホウ素ガラス等を一括して除去してもよい。
その後、拡散層2の上に、受光面反射防止層3である窒化ケイ素層を形成する。受光面反射防止層3を形成する方法は特に制限されない。受光面反射防止層3は、厚さが50nm〜100nmの範囲、且つ屈折率が1.9〜2.2の範囲となるように形成することが好ましい。受光面反射防止層3は、窒化ケイ素層に限られず、酸化ケイ素層、酸化アルミニウム層、酸化チタン層等であってもよい。窒化ケイ素層等の受光面反射防止層3は、プラズマCVD、熱CVD等の方法で作製でき、350℃〜500℃の温度範囲で形成可能なプラズマCVDで作製することが好ましい。
次に、シリコン基板1の裏面側にパッシベーション層7を形成する。パッシベーション層7は、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む。
パッシベーション層7は、第1成分前駆体としての酸化ニオブ前駆体、酸化バナジウム前駆体及び酸化タンタル前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体と、第3成分前駆体としての酸化アンチモン前駆体、酸化ビスマス前駆体、酸化マグネシウム前駆体、酸化リン前駆体及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む材料(パッシベーション材料)を塗布し、熱処理(焼成)することにより形成される。これらの金属酸化物の前駆体は、金属アルコキシド、ゾルゲル等に代表される有機金属分解塗布型材料である。
パッシベーション層7の形成は、例えば、以下のようにして行うことができる。濃度0.049質量%のフッ酸で自然酸化層をあらかじめ除去した725μm厚で直径8インチ(20.32cm)のp型シリコン基板(抵抗率:8Ωcm〜12Ωcm)の片面に、上記の塗布型材料を回転塗布し、ホットプレート上において120℃、3分間のプリベークを行う。その後、窒素雰囲気下で、700℃、20分の熱処理(焼成)を行う。この場合、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層が得られる。上記のような方法で形成されるパッシベーション層7のエリプソメーターにより測定される層厚は、通常は数十nm程度である。
上記の塗布型材料は、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェットによる塗布、ディスペンサーによる塗布等の方法により、コンタクト領域(開口部OA)を含んだ所定のパターンに付与される。尚、上記の塗布型材料は、塗布後、80℃〜180℃の範囲でプリベークして溶媒を蒸発させた後、窒素雰囲気下又は空気中で、600℃〜1000℃で、5分〜3時間程度の熱処理(焼成)を施し、パッシベーション層7(酸化物の層)とすることが好ましい。
さらに、開口部(コンタクト用の孔)OAは、BSF層4上に、ドット状又はライン状に形成することが好ましい。
上記の太陽電池素子に用いるパッシベーション層7としては、上記で詳細に説明したように、第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)を30/70〜90/10とし、第1成分及び第2成分の総質量に対する第3成分の含有率を、0.01質量%〜10質量%にすることが好ましい。これにより、大きな安定化した負の固定電荷密度を達成することができる傾向にある。
第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)は、負の固定電荷密度を安定化する観点から、30/70〜90/10であることが好ましく、30/70〜80/20であることがより好ましく、35/65〜70/30であることが更に好ましい。
また、第1成分の、第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)は、キャリアライフタイムの向上と負の固定電荷密度を両立させる観点からは、35/65〜75/25であることが好ましい。
第1成分及び第2成分の総質量に対する第3成分の含有率は、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、更にキャリアライフタイムをより長くし、且つ固定電荷密度を負により大きくすることができる観点からは、0.05質量%〜5質量%であることがより好ましい。
パッシベーション層中の第1成分、第2成分及び第3成分の総含有率は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
次に、受光面側の電極である第1電極5を形成する。第1電極5は、受光面反射防止層3上に銀(Ag)を主成分とするペーストをスクリーン印刷により形成し、熱処理(ファイアースルー)を行うことで形成される。第1電極5の形状は、任意の形状でよく、例えば、フィンガー電極とバスバー電極とからなる周知の形状でよい。
そして、裏面側の電極である第2電極6を形成する。第2電極6は、アルミニウムを主成分とするペーストをスクリーン印刷又はディスペンサーを用いて塗布し、それを熱処理することによって形成できる。また、第2電極6の形状は、BSF層4の形状と実質同じ形状、裏面側の全面を覆う形状、櫛型状、格子状等であることが好ましい。尚、受光面側の電極である第1電極5と第2電極6とを形成するためのペーストの印刷をそれぞれ先に行って、その後、熱処理(ファイアスルー)することにより第1電極5と第2電極6とを一括して形成してもよい。
また第2電極6の形成にアルミニウム(Al)を主成分とするペーストを用いることにより、アルミニウムがドーパントとして拡散して、自己整合で第2電極6とシリコン基板1との接触部にBSF層4が形成される。尚、先に述べたように、シリコン基板1の裏面側にホウ素、アルミニウム等を含む塗布型のドーピング材の溶液を塗布し、それを熱処理することで別途BSF層4を形成してもよい。
尚、上記においては、シリコン基板1にp型のシリコンを用いた構造例及び製法例を示したが、シリコン基板1としてn型のシリコン基板も用いることができる。この場合は、拡散層2は、ホウ素等のIII族の元素をドーピングした層で形成され、BSF層4は、リン等のV族の元素をドーピングして形成される。ただし、この場合は、負の固定電荷密度により界面に形成された反転層と裏面側の金属が接触した部分を通じて漏れ電流が流れ、変換効率が上がりにくい場合がある点に留意すべきである。
またn型のシリコン基板を用いる場合には、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むパッシベーション層7を図5に示すように受光面側に用いることができる。図5は、本発明の受光面パッシベーション層を用いた太陽電池素子の構成例を示す断面図である。
この場合、受光面側の拡散層2は、ホウ素をドーピングしてp型となっており、生成したキャリアのうち正孔を受光面側に、電子を裏面側に集める。このために、負の固定電荷密度をもったパッシベーション層7が受光面側にあることが好ましい。
第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むパッシベーション層の上には、更にCVD(Chemical Vapor Deposition)等によりSiN等で構成される反射防止層を形成してもよい。
以下に実施例を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、薬品は全て試薬を使用した。また、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
熱処理(焼成)により酸化ニオブ(Nb)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、Nb−05、濃度5質量%]を3.0g、熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−AL04、濃度2.3質量%]を3.0g、及び熱処理(焼成)により酸化ビスマス(Bi3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−BI05、濃度11.8質量%]を0.18g混合して、塗布型材料であるパッシベーション材料(a−1)を調製した。
パッシベーション材料(a−1)を、濃度0.049質量%のフッ酸を用いて自然酸化層をあらかじめ除去した、725μm厚で直径8インチのp型CZシリコン基板(抵抗率:8Ωcm〜12Ωcm)の片面に回転塗布し、ホットプレート上において120℃、3分間のプリベークを行った。その後、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、20分間の熱処理(焼成)を行い、酸化ニオブ、酸化アルミニウム及び酸化ビスマスを含むパッシベーション層[酸化ニオブ/酸化アルミニウム/酸化ビスマス=68/32/0.96(質量比)]を得た。
エリプソメーターにより測定したところ、パッシベーション層の厚さは54nmであった。パッシベーション層のFT−IRを測定したところ、1200cm−1付近に、ごくわずかのアルキル基に起因するピークが見られた。
次に、上記のパッシベーション層上に、メタルマスクを介して、直径1mmのアルミ電極を複数個蒸着により形成し、MIS(Metal−Insulator−Semiconductor;金属−絶縁体−半導体)構造のキャパシタを作製した。このキャパシタの静電容量の電圧依存性(C−V特性)を市販のプローバー及びLCRメーター(ヒューレット・パッカード株式会社、4275A)を用いて測定した。
その結果、フラットバンド電圧(Vfb)が理想値の−0.81Vから、+4.1Vにシフトしたことが判明した。このシフト量からパッシベーション材料(a−1)から得たパッシベーション層は、固定電荷密度(Nf)が−8.1×1012cm−2で負の固定電荷密度を示すことがわかった。
上記と同様に、パッシベーション材料(a−1)を8インチのp型CZシリコン基板の両面に塗布し、プリベークして、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、20分間の熱処理(焼成)を行い、シリコン基板の両面がパッシベーション層で覆われたサンプルを作製した。このサンプルのキャリアライフタイムの測定を、ライフタイム測定装置(株式会社コベルコ科研、RTA−540)を用いて行った。その結果、キャリアライフタイムは820μsであった。
比較のために、同じ8インチのp型のシリコン基板をヨウ素パッシベーション法によりパッシベーションして測定したところ、キャリアライフタイムは、1100μsであった。
以上のことから、パッシベーション材料(a−1)を熱処理(焼成)して得られるパッシベーション層は、パッシベーション性能を示し、負の固定電荷密度を示すことがわかった。
[実施例2]
実施例1で第3成分前駆体として用いた熱処理(焼成)により酸化ビスマス(Bi3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−BI05、濃度11.8質量%]の代わりに、熱処理(焼成)により酸化アンチモン(Sb3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−SB03、濃度4.8質量%]を0.18g、熱処理(焼成)により酸化マグネシウム(MgO)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−MG05、濃度2.3質量%]を0.18g、熱処理(焼成)によりSiO−Pが得られる市販のゾルゲルタイプ薄層塗布材料[株式会社高純度化学研究所、PS−05S、濃度5質量%]を0.18g、又は熱処理(焼成)によりSiO−Bが得られる市販のゾルゲルタイプ薄層塗布材料[株式会社高純度化学研究所、BS−05S、濃度5質量%]を0.18g混合した以外は実施例1と同様にして、塗布型材料であるパッシベーション材料(a−2)〜(a−5)を調製した。
また、これらの第3成分前駆体のいずれも添加しない以外は実施例1と同様にして、酸化ニオブ/酸化アルミニウムの前駆体を含む参考用パッシベーション材料(a−0)を調製した。
実施例1と同様に、パッシベーション材料(a−2)〜(a−5)及び(a−0)の各々を8インチのp型CZシリコン基板の片面に塗布し、熱処理(焼成)してパッシベーション層を作製した。得られたパッシベーション層の静電容量の電圧依存性を測定し、そこから固定電荷密度を算出した。
さらに、実施例1と同様に、パッシベーション材料を8インチのp型CZシリコン基板の両面に塗布し、熱処理(焼成)して得たサンプルを用いて、キャリアライフタイムを測定した。得られた結果を表1にまとめた。
第3成分の種類に応じて、パッシベーション材料(a−2)〜(a−5)については、熱処理(焼成)後にキャリアライフタイムもある程度の値を示していることから、パッシベーション層として機能することが示唆された。パッシベーション材料(a−2)〜(a−5)から得られるパッシベーション層は、いずれも安定的に負の固定電荷密度を示し、p型シリコン基板のパッシベーションとしても好適に用いることができることが分かった。更に、パッシベーション材料(a−2)〜(a−5)を用いると、第3成分を含まないパッシベーション材料(a−0)を使用した場合と比べて負の固定電荷密度が大きくなり、ライフタイムが向上する結果が示された。
[実施例3]
実施例1及び2で検討したパッシベーション材料(a−1)〜(a−5)及び参考用のパッシベーション材料(a−0)の各々を、実施例1及び2で用いた直径8インチのp型CZシリコン基板の代わりに、直径4インチのp型のシリコン基板(FZ基板、1Ωcm〜5Ωcm、280μm厚)の両面に塗布し、実施例1と同様の条件でプリベークを行った。その後、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、10分間の熱処理(焼成)を行い、シリコン基板の両面がパッシベーション層で覆われたサンプルを作製した。
このサンプルのキャリアライフタイムの測定をライフタイム測定装置(株式会社コベルコ科研、RTA−540)により行った。その結果を表2に示した。
更に、比較のために、この直径4インチのp型シリコン基板(FZ基板、1Ωcm〜5Ωcm、280μm厚)をヨウ素パッシベーション法によりパッシベーションして測定したところ、キャリアライフタイムは、650μsであった。この基板を何も塗布しないで、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、10分間の熱処理(焼成)を行い、その後、濃度0.049質量%のフッ酸で酸化層を除去し、再度、ヨウ素パッシベーション法によりパッシベーションして、ライフタイムを測定した。その結果、ライフタイムは20μsに急激に低下し、基板のバルクライフタイムが熱処理で低下することがわかった。
以上のことから、パッシベーション材料(a−1)〜(a−5)を熱処理(焼成)して得られるパッシベーション層は、絶対値としては低いライフタイムの値であるが、FZ基板においてもライフタイム向上の効果があることがわかった。
[実施例4]
実施例1と同様に、熱処理(焼成)により酸化ニオブ(Nb)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、Nb−05、濃度5質量%]と、熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−AL04、濃度2.3質量%]と、熱処理(焼成)により酸化ビスマス(Bi3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所SYM−BI05、濃度11.8質量%]又は熱処理(焼成)により酸化アンチモン(Sb3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所SYM−SB03、濃度4.8質量%]と、を比率を変えて混合して、表3に示すパッシベーション材料(a−11)〜(a−16)を調製した。
実施例1と同様に、パッシベーション材料(a−11)〜(a−16)の各々を直径8インチのp型CZシリコン基板の片面に塗布し、熱処理(焼成)してパッシベーション層を作製した。得られたパッシベーション層の静電容量の電圧依存性を測定し、そこから固定電荷密度を算出した。
さらに、実施例1と同様に、パッシベーション材料(a−11)〜(a−16)の各々を直径8インチのp型のCZシリコン基板の両面に塗布し、熱処理(焼成)して得たサンプルを用いて、キャリアライフタイムを測定した。得られた結果を表3にまとめた。
熱処理(焼成)後の酸化ニオブ/酸化アルミニウム/酸化ビスマス又は酸化アンチモンの比率(質量比)に応じて異なる結果ではあるが、パッシベーション材料(a−11)〜(a−16)については、熱処理(焼成)後にキャリアライフタイムもある程度の値を示していることから、パッシベーション層として機能することが示唆された。パッシベーション材料(a−11)〜(a−16)から得られるパッシベーション層は、いずれも安定的に負の固定電荷密度を示し、p型シリコン基板のパッシベーションとしても好適に用いることができることが分かった。
また、パッシベーション材料(a−11)を使用すると、キャリアライフタイムが向上する一方、ある程度の負の固定電荷密度も得られた。パッシベーション材料(a−11)は優れたキャリアライフタイム特性が求められる用途に適用することが可能である。
更に、パッシベーション材料(a−14)を使用すると、安定した負の固定電荷密度が得られる一方、ある程度のキャリアライフタイムも得られた。パッシベーション材料(a−14)は安定した負の固定電荷密度が求められる用途に適用することが可能である。
[実施例5]
実施例1及び実施例2で用いた熱処理(焼成)により酸化ニオブ(Nb)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、Nb−05、濃度5質量%]の代わりに、熱処理(焼成)により酸化バナジウム(V)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、V−02、濃度2質量%]を用いて、これを熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)が得られる市販の有機金属薄層塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−AL04、濃度2.3質量%]と、第3成分前駆体としての、熱処理(焼成)により酸化ビスマス(Bi3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−BI05、濃度11.8質量%]、熱処理(焼成)により酸化アンチモン(Sb3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−SB03、濃度4.8質量%]、熱処理(焼成)により酸化マグネシウム(MgO)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−MG05、濃度2.3質量%]、熱処理(焼成)によりSiO−Pが得られる市販のゾルゲルタイプ薄層塗布材料[株式会社高純度化学研究所、PS−05S、濃度5質量%]、又は熱処理(焼成)によりSiO−Bが得られる市販のゾルゲルタイプ薄層塗布材料[株式会社高純度化学研究所BS−05S、濃度5質量%]と混合して、塗布型材料であるパッシベーション材料(b−1)〜(b−5)を調製した。
また、これらの第3成分前駆体を含まない以外は上記と同様にして、酸化バナジウム/酸化アルミニウムの前駆体を含む参考用のパッシベーション材料(b−0)を調製した。
実施例1と同様に、パッシベーション材料(b−1)〜(b−5)及び参考用のパッシベーション材料(b−0)の各々を、直径8インチのp型CZシリコン基板の片面に塗布し、熱処理(焼成)してパッシベーション層を作製した。得られたパッシベーション層の静電容量の電圧依存性を測定し、そこから固定電荷密度を算出した。
さらに、実施例1と同様に、パッシベーション材料(b−1)〜(b−5)及び参考用のパッシベーション材料(b−0)の各々を、直径8インチのp型CZシリコン基板の両面に塗布し、熱処理(焼成)して得たサンプルを用いて、キャリアライフタイムを測定した。得られた結果を表4にまとめた。
第3成分の種類に応じて、パッシベーション材料(b−1)〜(b−5)については、熱処理(焼成)後にキャリアライフタイムもある程度の値を示していることから、パッシベーション層として機能することが示唆された。パッシベーション材料(b−1)〜(b−5)から得られるパッシベーション層は、いずれも安定的に負の固定電荷密度を示し、p型シリコン基板のパッシベーションとしても好適に用いることができることが分かった。
さらに、パッシベーション材料(b−1)〜(b−5)を使用した場合、第3成分前駆体を含まないパッシベーション材料(b−0)を使用した場合と比べて、負の固定電荷密度が大きくなり、ライフタイムが向上する結果を示した。
[実施例6]
実施例1及び実施例2で用いた熱処理(焼成)により酸化ニオブ(Nb)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、Nb−05、濃度5質量%]の代わりに、熱処理(焼成)により酸化タンタル(Ta)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、Ta−10−P、濃度10質量%]を用いて、これを熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)が得られる市販の有機金属薄層塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−AL04、濃度2.3質量%]と、第3成分前駆体としての、熱処理(焼成)により酸化ビスマス(Bi3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−BI05、濃度11.8質量%]、熱処理(焼成)により酸化アンチモン(Sb3)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−SB03、濃度4.8質量%]、熱処理(焼成)により酸化マグネシウム(MgO)が得られる市販の有機金属分解塗布型材料[株式会社高純度化学研究所、SYM−MG05、濃度2.3質量%]、熱処理(焼成)によりSiO−Pが得られる市販のゾルゲルタイプ薄層塗布材料[株式会社高純度化学研究所、PS−05S、濃度5質量%]、又は熱処理(焼成)によりSiO−Bが得られる市販のゾルゲルタイプ薄層塗布材料[株式会社高純度化学研究所、BS−05S、濃度5質量%]と混合して、塗布型材料であるパッシベーション材料(c−1)〜(c−5)を調製した。
また、これらの第3成分前駆体を添加しない以外は同様にして、酸化タンタル/酸化アルミニウムの前駆体を含む参考用のパッシベーション材料(c−0)を調製した。
実施例1と同様に、パッシベーション材料(c−1)〜(c−5)及び参考用のパッシベーション材料(c−0)の各々を、直径8インチのp型CZシリコン基板の片面に塗布し、熱処理(焼成)してパッシベーション層を作製した。得られたパッシベーション層の静電容量の電圧依存性を測定し、そこから固定電荷密度を算出した。
さらに、実施例1と同様に、パッシベーション材料(c−1)〜(c−5)及び参考用のパッシベーション材料(c−0)の各々を、直径8インチのp型CZシリコン基板の両面に塗布し、熱処理(焼成)して得たサンプルを用いて、キャリアライフタイムを測定した。得られた結果を表5にまとめた。
第3成分の種類に応じて、パッシベーション材料(c−1)〜(c−5)については、熱処理(焼成)後にキャリアライフタイムもある程度の値を示していることから、パッシベーション層として機能することが示唆された。パッシベーション材料(c−1)〜(c−5)から得られるパッシベーション層は、いずれも安定的に負の固定電荷密度を示し、p型シリコン基板のパッシベーションとしても好適に用いることができることが分かった。
さらに、パッシベーション材料(c−1)〜(c−5)を使用した場合、第3成分前駆体を含まないパッシベーション材料(c−0)を使用した場合と比べて、負の固定電荷密度が大きくなり、ライフタイムが向上する結果を示した。
[実施例7]
市販のニオブ(V)エトキシド(構造式:Nb(OC、分子量:318.21、北興化学工業株式会社「ペンタエトキシニオブ」)を3.18g(0.010mol)、市販のアルミニウムトリイソプロポキシド(構造式:Al(OCH(CH、分子量:204.25、川研ファインケミカル株式会社「AIPD」)を4.08g(0.020mol)、及び市販のビスマス(III)トリイソプロポキシド(構造式:Bi(OCH(CH、分子量:386.2、北興化学工業株式会社)0.0386g(0.01mmol)をシクロヘキサン80gに溶解して、濃度8質量%のパッシベーション材料(d−1)を調製した。
パッシベーション材料(d−1)を、濃度0.049質量%のフッ酸を用いて自然酸化層をあらかじめ除去した、725μm厚で直径8インチのp型CZシリコン基板(8Ωcm〜12Ωcm)の片面に回転塗布し、ホットプレート上において120℃、3分間のプリベークを行った。その後、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、30分間の熱処理(焼成)を行い、酸化ニオブ/酸化アルミニウム/酸化ビスマスを含むパッシベーション層を得た。エリプソメーターにより層厚を測定したところ55nmであった。元素分析の結果、Nb/Al/Bi/C=62/33/1/5(質量%)であることがわかった。パッシベーション層のFT−IRを測定したところ、1200cm−1付近に、ごくわずかのアルキル基に起因するピークが見られた。
次に、上記のパッシベーション層上に、メタルマスクを介して、直径1mmのアルミ電極を複数個蒸着により形成し、MIS(Metal−Insulator−Semiconductor;金属−絶縁体−半導体)構造のキャパシタを作製した。このキャパシタの静電容量の電圧依存性(C−V特性)を市販のプローバー及びLCRメーター(ヒューレット・パッカード株式会社、4275A)により測定した。その結果、このパッシベーション材料(d−1)から得たパッシベーション層は、固定電荷密度(Nf)が−6.4×1012cm−2で負の固定電荷密度を示すことがわかった。
上記と同様に、パッシベーション材料(d−1)を直径8インチのp型CZシリコン基板の両面に塗布し、プリベークして、700℃、30分間の熱処理(焼成)を行い、シリコン基板の両面がパッシベーション層で覆われたサンプルを作製した。このサンプルのキャリアライフタイムの測定をライフタイム測定装置(株式会社コベルコ科研、RTA−540)により行った。その結果、キャリアライフタイムは480μsであった。
比較のために、同じ直径8インチのp型のシリコン基板をヨウ素パッシベーション法によりパッシベーションして測定したところ、キャリアライフタイムは、1000μsであった。
以上のことから、パッシベーション材料(d−1)を熱処理(焼成)して得られるパッシベーション層は、パッシベーション性能を示し、負の固定電荷密度を示すことがわかった。
[実施例8]
市販のニオブ(V)エトキシド(構造式:Nb(OC、分子量:318.21、北興化学工業株式会社「ペンタエトキシニオブ」)3.18g(0.010mol)、市販のアルミニウムトリイソプロポキシド(構造式:Al(OCH(CH、分子量:204.25、川研ファインケミカル株式会社「AIPD」)4.08g(0.020mol)、市販のビスマス(III)トリイソプロポキシド(構造式:Bi(OCH(CH、分子量:386.2、北興化学工業株式会社)0.0386g(0.01mmol)、及びノボラック型フェノール樹脂20gを、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート20gとシクロヘキサン20gとの混合物に溶解して、パッシベーション材料(d−2)を調製した。
パッシベーション材料(d−2)を、濃度0.049質量%のフッ酸を用いて自然酸化層をあらかじめ除去した、725μm厚で直径8インチのp型CZシリコン基板(8Ωcm〜12Ωcm)の片面に回転塗布し、ホットプレート上において120℃、3分間のプリベークを行った。その後、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、30分間の熱処理(焼成)を行い、酸化ニオブ/酸化アルミニウム/酸化ビスマスを含むパッシベーション層を得た。エリプソメーターにより層厚を測定したところ55nmであった。元素分析の結果、Nb/Al/Bi/C=60/31/1/8(質量%)であることがわかった。パッシベーション層のFT−IRを測定したところ、1200cm−1付近に、わずかにアルキル基に起因するピークが見られた。
次に、上記のパッシベーション層上に、メタルマスクを介して、直径1mmのアルミ電極を複数個蒸着して形成し、MIS(Metal−Insulator−Semiconductor;金属−絶縁体−半導体)構造のキャパシタを作製した。このキャパシタの静電容量の電圧依存性(C−V特性)を市販のプローバー及びLCRメーター(ヒューレット・パッカード株式会社、4275A)により測定した。その結果、パッシベーション材料(d−2)から得たパッシベーション層は、固定電荷密度(Nf)が−1.2×1012cm−2で負の固定電荷密度を示すことがわかった。
上記と同様に、パッシベーション材料(d−2)を直径8インチのp型CZシリコン基板の両面に塗布し、プリベークして、窒素4L/分、酸素1L/分を流した大気に相当する雰囲気下で、700℃、30分間の熱処理(焼成)を行い、シリコン基板の両面がパッシベーション層で覆われたサンプルを作製した。このサンプルのキャリアライフタイムの測定をライフタイム測定装置(株式会社コベルコ科研、RTA−540)により行った。その結果、キャリアライフタイムは250μsであった。
比較のために、同じ直径8インチのp型シリコン基板をヨウ素パッシベーション法によりパッシベーションして測定したところ、キャリアライフタイムは、1000μsであった。
以上のことから、パッシベーション材料(d−2)から得られるパッシベーション層は、パッシベーション性能を示し、負の固定電荷密度を示すことがわかった。
[実施例9]
シリコン基板1として、ホウ素をドープした単結晶シリコン基板を用いて、図3に示す構造の太陽電池素子を作製した。シリコン基板1の表面をテクスチャー処理した後、塗布型のリン拡散材を受光面側に塗布し、熱処理により拡散層2(リン拡散層)を形成した。その後、塗布型のリン拡散材を希フッ酸で除去した。
次に、受光面側に、受光面反射防止層3として、プラズマCVDでSiN層を形成した。その後、実施例1で調製したパッシベーション材料(a−1)をインクジェット法により、シリコン基板1の裏面側に、コンタクト領域(開口部OA)を除いた領域に塗布した。その後、熱処理を行って、開口部OAを有するパッシベーション層7を形成した。
また、パッシベーション層7として、実施例2で調製したパッシベーション材料(a−2)及び参考用のパッシベーション材料(a−0)をそれぞれ用いたサンプルも別途作製した。
次に、シリコン基板1の受光面側に形成された受光面反射防止層3(SiN層)の上に、銀を主成分とするペーストを所定のフィンガー電極及びバスバー電極の形状でスクリーン印刷した。裏面側においては、アルミニウムを主成分とするペーストを全面にスクリーン印刷した。その後、850℃で熱処理(ファイアスルー)を行って、電極(第1電極5及び第2電極6)を形成し、且つ裏面の開口部OAの部分にアルミニウムを拡散させて、BSF層4を形成して、図3に示す構造の太陽電池素子を形成した。
尚、ここでは、受光面の銀電極に関しては、SiN層に穴あけをしないファイアスルー工程を記載したが、SiN層に初めに開口部OAをエッチング等により形成し、その後に銀電極を形成してもよい。
比較のために、上記作製工程のうち、パッシベーション層7の形成を行わず、裏面側の全面にアルミニウムペーストを印刷し、BSF層4と対応するp層14及び第2電極と対応する電極16を全面に形成して、図6に示す構造の太陽電池素子を形成した。
これらの太陽電池素子について、特性評価(短絡電流、開放電圧、曲線因子及び変換効率)を行った。特性評価は、JIS−C−8913(2005年度)及びJIS−C−8914(2005年度)に準拠して測定した。その結果を表6に示す。
表6より、酸化ニオブ、酸化アルミニウム及び酸化ビスマスを含む、又は酸化ニオブ、酸化アルミニウム及び酸化アンチモンを含むパッシベーション層7を有する太陽電池素子は、パッシベーション層7を有しない太陽電池素子を比較すると、短絡電流及び開放電圧が共に増加しており、変換効率(光電変換効率)が最大で1%向上しており、本発明の効果が得られることが判明した。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態及び実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
1 シリコン基板
2 拡散層
3 反射防止層
4 BSF層
5 第1電極
6 第2電極
7 パッシベーション層
11 シリコン基板
12 n
13 窒化ケイ素(SiN)層
14 p
15 フィンガー電極
16 電極

Claims (9)

  1. 第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    第2成分としての酸化アルミニウムと、
    第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    を含むパッシベーション層を有し、
    前記第1成分の、前記第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、前記第1成分及び前記第2成分の総質量に対する前記第3成分の含有率が0.01質量%〜10質量%である、パッシベーション層付半導体基板。
  2. 前記第1成分、前記第2成分及び前記第3成分の総含有率が80質量%以上である請求項1に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  3. 熱処理によって前記第1成分を生成する第1成分前駆体としての酸化ニオブ前駆体、酸化バナジウム前駆体及び酸化タンタル前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    熱処理によって前記第2成分を生成する第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体と、
    熱処理によって前記第3成分を生成する第3成分前駆体としての酸化アンチモン前駆体、酸化ビスマス前駆体、酸化マグネシウム前駆体、酸化リン前駆体及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    を含む塗布型材料の熱処理物であるパッシベーション層を有する請求項1又は請求項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  4. 第1成分前駆体としての酸化ニオブ前駆体、酸化バナジウム前駆体及び酸化タンタル前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    第2成分前駆体としての酸化アルミニウム前駆体と、
    第3成分前駆体としての酸化アンチモン前駆体、酸化ビスマス前駆体、酸化マグネシウム前駆体、酸化リン前駆体及び酸化ホウ素前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    を含むパッシベーション層形成用塗布型材料。
  5. 更に有機溶剤を含む請求項に記載のパッシベーション層形成用塗布型材料。
  6. 単結晶シリコン又は多結晶シリコンからなり、受光面及び前記受光面とは反対側の裏面を有するp型の半導体基板と、
    前記半導体基板の受光面側に形成されたn型の不純物拡散層と、
    前記半導体基板の受光面側の前記n型の不純物拡散層の表面に形成された第1電極と、
    前記半導体基板の裏面側の表面に形成され、複数の開口部を有し、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含み、前記第1成分の、前記第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、前記第1成分及び前記第2成分の総質量に対する前記第3成分の含有率が0.01質量%〜10質量%であるパッシベーション層と、
    前記複数の開口部を通して、前記半導体基板の裏面側の表面と電気的な接続を形成している第2電極と、
    を備える太陽電池素子。
  7. 単結晶シリコン又は多結晶シリコンからなり、受光面及び前記受光面とは反対側の裏面を有するp型の半導体基板と、
    前記半導体基板の受光面側に形成されたn型の不純物拡散層と、
    前記半導体基板の受光面側の前記n型の不純物拡散層の表面に形成された第1電極と、
    前記半導体基板の裏面側の一部又は全部に形成され、前記半導体基板より高濃度に不純物が添加されたp型の不純物拡散層と、
    前記半導体基板の裏面側の表面に形成され、複数の開口部を有し、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含み、前記第1成分の、前記第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、前記第1成分及び前記第2成分の総質量に対する前記第3成分の含有率が0.01質量%〜10質量%であるパッシベーション層と、
    前記複数の開口部を通して、前記半導体基板の裏面側の前記p型の不純物拡散層の表面と電気的な接続を形成している第2電極と、
    を備える太陽電池素子。
  8. 単結晶シリコン又は多結晶シリコンからなり、受光面及び前記受光面とは反対側の裏面を有するn型の半導体基板と、
    前記半導体基板の受光面側に形成されたp型の不純物拡散層と、
    前記半導体基板の裏面側に形成された第2電極と、
    前記半導体基板の受光面側の表面に形成され、複数の開口部を有し、第1成分としての酸化ニオブ、酸化バナジウム及び酸化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種と、第2成分としての酸化アルミニウムと、第3成分としての酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化リン及び酸化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含み、前記第1成分の、前記第2成分に対する質量比(第1成分/第2成分)が30/70〜90/10であり、前記第1成分及び前記第2成分の総質量に対する前記第3成分の含有率が0.01質量%〜10質量%であるパッシベーション層と、
    前記半導体基板の受光面側の前記p型の不純物拡散層の表面に形成され、前記複数の開口部を通して前記半導体基板の受光面側の表面と電気的な接続を形成している第1電極と、
    を備える太陽電池素子。
  9. 前記パッシベーション層における前記第1成分、前記第2成分及び前記第3成分の総含有率が80質量%以上である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の太陽電池素子。
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