JP2018016511A - 保護層形成用組成物、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池 - Google Patents

保護層形成用組成物、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池 Download PDF

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鉄也 佐藤
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Takeshi Nojiri
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Tadayoshi Tanaka
直敬 田中
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Mitsunori Iwamuro
光則 岩室
真年 森下
Masatoshi Morishita
真年 森下
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Takeshi Hayasaka
剛 早坂
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Abstract

【課題】簡便な手法で形成できる保護層形成用組成物によりパッシベーション層上の被覆性に優れる保護層を形成した太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池、及び保護層形成用組成物の提供。
【解決手段】半導体基板1の少なくとも1つの面上に金属酸化物を含有するパッシベーション層5を形成するパッシベーション層5の形成工程と、パッシベーション層5上にガラス粒子と、分散媒と、を含む保護層6の形成用組成物を用いて保護層6を形成する保護層6の形成工程と、半導体基板1のパッシベーション層5と保護層6が形成される側に電極7を形成する電極7形成工程と、を含む太陽電池素子の製造方法及びガラス粒子と、分散媒と、を含有する保護層形成用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護層形成用組成物、太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、p型シリコン基板の表面(受光面及び裏面の少なくとも一方)にテクスチャー構造を形成し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分間の処理を行って、p型シリコン基板の表面に一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面となる面のみならず、受光面に対して側面及び裏面となる面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチング等を行っている。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要がある。このため、裏面全体にアルミニウム粉末及びバインダを含むアルミニウムペーストを付与し、これを熱処理(焼成)することで、n型拡散層をBSF(Back Surface Field)と呼ばれるp型拡散層に変換するのと一括して、アルミニウム電極を形成してオーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低い。そのため、シート抵抗を下げるために、通常裏面全体に形成したアルミニウム電極は熱処理(焼成)後において10μm〜20μm程の厚みを有していなければならない。更に、シリコンとアルミニウムとでは熱膨張率が大きく異なることから、アルミニウム電極が形成されたシリコン基板において、熱処理(焼成)及び冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力が発生し、結晶粒界へのダメージ、結晶欠陥の増長及び反りの原因となる。また、BSF又はアルミニウム電極とシリコンとの界面に形成される合金層に含まれるAl−Si合金は光吸収能を有するため、この合金層は発電効率を低下させる大きな要因となっている。
これらの問題を解決するために、アルミニウムペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp型拡散層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような受光面とは反対の面(以下、「裏面」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面用のパッシベーション層として、SiO膜等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。SiO膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面の表層部におけるケイ素原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果が挙げられる。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション層内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷を有する材料として酸化アルミニウム(Al)膜等が提案されている(例えば、特許文献3参照)。このようなパッシベーション層は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の製膜技術を用いて形成される(例えば、非特許文献1参照)。
一方、パッシベーション層を保護するための保護層をパッシベーション層上に設ける技術が検討されている。例えば、パッシベーション層上にPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法によりSiN層を形成する方法(例えば、非特許文献2参照)及び有機アルミニウム化合物を含む組成物をパッシベーション層上に塗布し、熱処理して酸化アルミニウム層を形成する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報 特開2016−058438号公報
Journal of Applied Physics,104(2008),113703−1〜113703−7 IEEE Journal of Photovoltaics,3(2013),690〜696
非特許文献2に記載されている方法では、SiN層はPECVD法を用いて半導体基板のパッシベーション層が形成された側の全面に形成される。そのため、SiN層を形成した後に、アルミニウム電極が形成される領域をレーザー照射、フォトリソグラフィー等によりエッチングしてSiN層のパターン形成を行う工程が必要となり、煩雑である。一方、特許文献4に記載されている方法では、有機アルミニウム化合物を含む組成物の塗布面に凹凸がある場合、その形状に組成物が充分追従できず、熱処理後に塗布面の凹部における部分の膜が他の部分よりも厚くなり、焼結収縮によってクラックが発生してパッシベーション層の被覆性が損なわれるおそれがある。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を簡便な手法で形成できる保護層形成用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を備える太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>ガラス粒子と、分散媒と、を含有する保護層形成用組成物。
<2>前記ガラス粒子が、B、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、GaO、HfO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO、Bi、Si、AlN、Ca、及びLiNからなる群より選択される少なくとも1種のガラス成分物質を含む、<1>に記載の保護層形成用組成物。
<3>前記ガラス粒子の体積平均粒子径(d50)が5μm以下である、<1>又は<2>に記載の保護層形成用組成物。
<4>前記ガラス粒子の軟化温度が200℃〜800℃である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
<5>前記ガラス粒子の含有率が前記保護層形成用組成物の全質量に対して1質量%〜80質量%である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
<6>前記分散媒が樹脂を含み、前記樹脂の含有率が前記保護層形成用組成物の全質量に対して0.1質量%〜30質量%である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
<7>半導体基板の少なくとも1つの面上に金属酸化物を含有するパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程と、前記パッシベーション層上にガラス粒子と、分散媒と、を含む保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する保護層形成工程と、前記半導体基板の前記パッシベーション層と前記保護層が形成される側に電極を形成する電極形成工程と、を含む太陽電池素子の製造方法。
<8>前記保護層形成工程は前記保護層形成用組成物を熱処理することを含む、<7>に記載の太陽電池素子の製造方法。
<9>前記熱処理の温度が200℃〜900℃である、<8>に記載の太陽電池素子の製造方法。
<10>半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも1つの面上に設けられ、且つ金属酸化物を含有するパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に設けられ、且つ<1>〜<6>のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物の熱処理物である保護層と、
前記半導体基板の前記パッシベーション層と前記保護層が設けられる側に設けられる電極と、を有する太陽電池素子。
<11>前記保護層が、炭素成分及びガラス粒子の溶融物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、<10>に記載の太陽電池素子。
<12><10>又は<11>に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の前記電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
本発明によれば、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を簡便な手法で形成できる保護層形成用組成物が提供される。また、本発明によれば、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を備える太陽電池素子、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池が提供される。
太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 太陽電池素子の製造方法の別の一例の一部を模式的に示す断面図である。 太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 保護層の裏面におけるパターンの一例を示す概略平面図である。 保護層の裏面におけるパターンの別の一例を示す概略平面図である。 図4におけるA部を拡大した概略平面図である。 図4又は図5におけるB部を拡大した概略平面図である。 太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 太陽電池の製造方法の一例を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
<保護層形成用組成物>
本実施形態の保護層形成用組成物は、ガラス粒子と、分散媒と、を含有する。本実施形態において保護層とは、太陽電池等の半導体基板上に設けられるパッシベーション層を保護するために設けられる層を意味する。
本実施形態の保護層形成用組成物によれば、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を簡便な手法で形成することができる。この理由については必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本実施形態の保護層形成用組成物は、パッシベーション層が形成された半導体基板の所望の領域に付与して熱処理することにより、ガラス粒子が軟化して粘性が上昇し、半導体基板の表面の形状への追従性が向上する。また、ガラス粒子が軟化していることで、体積変化に起因するクラックの発生を抑えることができる。また、電極形成工程において電極形成用ペーストを熱処理する際の耐性に優れた保護層を得ることができる。
さらに、本実施形態の保護層形成用組成物は分散媒を含むことで、これを用いて形成される熱処理前の層(保護層形成用組成物層)の形状安定性に優れるため、保護層がパターン状であっても良好に形成することができる。そのため、PECVD法等に比べて工程を省略できるなど、保護層の形成工程を簡略化することができる。
(ガラス粒子)
本明細書においてガラス粒子とは、ガラス(ガラス転移現象を示す非晶質固体)が粒子状になったものを意味する。ガラス粒子の成分は特に制限されず、所望の溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性等を考慮して選択できる。
ガラス粒子は、B、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、GaO、HfO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO、Bi、Si、AlN、Ca、及びLiNからなる群より選択される少なくとも1種のガラス成分物質を含有するものであってもよい。
本明細書においてガラス粒子が「ガラス成分物質を含有する」とは、ガラス粒子が当該ガラス成分物質に由来する元素を含有することを意味する。ガラス成分物質は、酸化物であっても、非酸化物(窒化物、ホウ化物等)であってもよい。また、ガラス粒子に含まれるガラス成分物質は1種のみであっても2種以上であってもよい。
酸化物であるガラス成分物質としては、B、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、HfO、SrO、BaO、SnO、GaO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO、Bi等が挙げられる。
非酸化物であるガラス成分物質としては、Si、AlN、Ca、LiN等が挙げられる。
パッシベーション層への影響を抑える観点からは、ガラス粒子はB、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、HfO2、Si及びAlNからなる群より選択される少なくとも1種のガラス成分物質を含有することが好ましい。
2種のガラス成分物質を含有するガラス粒子の具体例としては、B−SiO系、B−Al系、B−ZrO系、B−TiO系、B−SnO系、B−BaO系、B−Bi系、B−MgO系、B−CaO系、B−ZnO系、B−HfO系、Al−SiO系、Al−ZrO系、Al−TiO系、Al−ZnO系、Al−MgO系、Al−CaO系、Al−HfO系、ZrO−SiO系、TiO−SiO系等の酸化物系のガラス粒子、Si−O−N系、B−Si−O−N系、Al−Si−O−N系、Mg−Si−O−N系、Mg−Al−Si−O−N系等の、O−N系の酸化物と非酸化物との混合系ガラス粒子などが挙げられる。
3種のガラス成分物質を含有するガラス粒子の具体例としては、B−SiO−ZnO系、Al−SiO−B系、Al−SiO−TiO系、Al−SiO−ZrO系等のガラス粒子が挙げられる。
ガラス粒子が2種以上のガラス成分物質を含む場合、それぞれのガラス成分物質の含有率は、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性を考慮して適宜設定することが望ましい。一般には、それぞれのガラス成分物質の含有率は、ガラス成分物質全体の0.1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、1質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上50質量%以下であることが更に好ましい。
ガラス粒子の軟化点は、熱処理の際の液だれ抑制の観点から、200℃〜800℃であることが好ましく、300℃〜600℃であることがより好ましい。ここでの軟化点は、TMA圧縮荷重法を用いて測定され、室温から800℃まで昇温し、ガラス粒子が収縮したときの温度から求められる。測定装置としては、例えば、NETZSCH Japan(株)の「TMA402」を使用する。
ガラス粒子の形状は特に制限されず、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等が挙げられる。保護層形成用組成物の付与性、組成物中のガラス粒子の分散性等の観点からは、ガラス粒子の形状は略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
平滑な保護層を形成する観点からは、ガラス粒子の体積平均粒子径は小さいほど好ましく、5μm以下であることがより好ましい。保護層の厚さを薄くする観点からは、ガラス粒子の体積平均粒子径は1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。ガラス粒子の体積平均粒子径の下限は特に制限されない。例えば、0.01μm以上であることが好ましい。
ここで、ガラス粒子の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置等により測定することができる。具体的には、測定された体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径を体積平均粒子径(d50)とする。
ガラス粒子は、例えば、ガラス成分物質等の原料を溶融し、これを冷却して得たガラスを粉砕して作製してもよく、アルコキシド化合物を用いてゾルゲル法で作製したガラスを粉砕して作製してもよい。
ガラス成分物質等の原料を溶融し、これを冷却して得たガラスを粉砕して作製する場合は、例えば、以下の手順で作製されるものであってもよい。最初に原料(例えば、ガラス成分物質)を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金−ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられ、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して選択する。特に、非酸化物ガラス成分を使用する場合は、窒素、アンモニアガス等の窒素含有ガスをるつぼ内に通すことで、ガラス粒子中の窒素の存在比率を高くすることができる。次に、電気炉等でガラス組成に応じた温度で加熱し、融液とする。このとき、融液が均一となるよう撹拌することが望ましい。続いて、得られた融液をジルコニア、カーボン等の基板の上に流し出して融液をガラス化する。最後にガラスを粉砕して粒子状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等の公知の手段を適用できる。
ガラス粒子をゾルゲル法で作製する場合に用いるアルコキシド化合物は、M(OR)で表される化合物を意味し、Mはケイ素等の原子を、Rはアルキル基を、nはMで表される原子の酸化数を示す。具体的には、テトラエトキシシラン(Si(OC)等のテトラアルコキシシランなどが挙げられる。ゾルゲル法の手法は特に制限されず、公知の手法を採用できる。
保護層形成用組成物中のガラス粒子の含有率は、付与性、組成物中のガラス粒子の分散性等を考慮して決定される。一般には、保護層形成用組成物中のガラス粒子の含有率は、保護層形成用組成物の全質量に対して1質量%〜80質量%であることが好ましく、5質量%〜60質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
(分散媒)
保護層形成用組成物に含まれる分散媒は、特に制限されない。例えば、樹脂、液状媒体等が挙げられる。本明細書において液状媒体とは、室温(25℃)において液体の状態の物質を意味する。保護層形成用組成物に含まれる分散媒は樹脂のみであっても、液状媒体のみであっても、樹脂と液状媒体の両方であってもよい。
保護層形成用組成物が樹脂を含むことで、保護層形成用組成物から形成される保護層形成用組成物層の形状安定性が向上し、パターン状の保護層を精度よく形成できる傾向にある。また、保護層形成用組成物が液状媒体を含むことで、保護層形成用組成物の粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上し、より均一な保護層を形成できる傾向にある。
樹脂の種類は特に制限されない。保護層形成用組成物を用いてパターン状の保護層を形成する場合は、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアミド、ポリビニルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルなど)、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂のなかでも、保護層形成用組成物の保存安定性及びパターン形成性の観点からは、酸性又は塩基性の官能基を有さない中性樹脂が好ましく、少ない量で容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点からは、エチルセルロース等のセルロース誘導体がより好ましい。
樹脂の分子量は特に制限されず、保護層形成用組成物としての所望の粘度に応じて選択できる。例えば、保存安定性及びパターン形成性の観点からは、樹脂の重量平均分子量は100〜10,000,000であることが好ましく、1,000〜5,000,000であることがより好ましい。樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(東ソー(株)、「PStQuick MP−H、PStQuick B」(商品名))を用いて3次式で近似する。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:(ポンプ:(株)日立ハイテクノロジーズ、「L−2130型」)
(検出器:(株)日立ハイテクノロジーズ、「L−2490型RI」)
(カラムオーブン:(株)日立ハイテクノロジーズ、「L−2350」)
カラム:日立化成(株)、「Gelpack GL−R440」+「Gelpack GL−R450」+「Gelpack GL−R400M」(計3本;いずれも商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:25℃
保護層形成用組成物が樹脂を含む場合、その含有率は特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂の含有率が、保護層形成用組成物の全質量に対して0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。パターン形成性をより向上可能とするチキソ性を発現させる観点から、樹脂の含有率は1質量%〜25質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜20質量%であることが更に好ましく、1.5質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
液状媒体として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル等のエーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン、エチルベンゼン、2−エチルヘキサン酸等の疎水性有機溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、イソボルニルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤、水などが挙げられる。これらの液状媒体は、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
液状媒体は、保護層形成用組成物の付与性及びパターン形成性の観点からは、疎水性有機溶剤、非プロトン性有機溶剤、テルペン溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤及びアルコール溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン溶剤、エステル溶剤及びアルコール溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、テルペン溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
保護層形成用組成物が液状媒体を含有する場合、その含有率は特に制限されず、付与性、パターン形成性、保存安定性等を考慮して選択できる。例えば、液状媒体の含有率は、保護層形成用組成物の付与性及びパターン形成性の観点から、保護層形成用組成物の全質量の5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
保護層形成用組成物は、所望に応じて、可塑剤、分散剤、界面活性剤、チキソ剤、金属アルコキシド等のその他の成分を更に含んでいてもよい。中でも、チキソ剤を含むことで、保護層形成用組成物から形成される保護層形成用組成物層の形状安定性がより向上し、保護層を所望の形状で選択的に形成することが容易となる。
チキソ剤としては、脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコール化合物、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される化合物等が挙げられる。
CONH ・・・・ (1)
CONH−R10−NHCOR ・・・・ (2)
NHCO−R10−CONHR ・・・・ (3)
CONH−R10−N(R11 ・・・・ (4)
一般式(1)、(2)、(3)及び(4)中、R及びR11は各々独立に炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数2〜30のアルケニル基を示し、R10は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
ポリアルキレングリコール化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物等が挙げられる。
式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示す。nは5以上の任意の整数である。尚、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。
有機フィラーとしては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機物質の粒子、繊維状物などが挙げられる。
無機フィラーとしては、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機物質の粒子(ガラス粒子を除く)、繊維状物などが挙げられる。
(物性値)
保護層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板のパッシベーション層が形成された領域に付与する方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、保護層形成用組成物の粘度は、0.01Pa・s〜10000Pa・sの範囲内とすることができる。パターン形成性の観点からは、保護層形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。保護層形成用組成物の粘度は、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
パターン形成性の観点からは、保護層形成用組成物のせん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηをせん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が1.0〜10であることが好ましく、2.0〜6.0であることがより好ましい。尚、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
保護層形成用組成物中に含まれる成分の存在及び各成分の含有量は、例えば、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)等の熱分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)等のスペクトル分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
(保護層形成用組成物の製造方法)
保護層形成用組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、ガラス粒子と、分散媒と、必要に応じて含まれるその他の成分とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。
<太陽電池素子>
本実施形態の太陽電池素子は、半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも1つの面上に設けられ、且つ金属酸化物を含有するパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に設けられ、且つ本実施形態の保護層形成用組成物の熱処理物である保護層と、前記半導体基板の前記パッシベーション層と前記保護層が設けられる側に設けられる電極と、を有する。
本実施形態の太陽電池素子は、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を有することで、変換効率に優れる。本実施形態の太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
(半導体基板)
半導体基板は特に制限されず、太陽電池素子の用途に応じて通常用いられるものから選択できる。半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等の基板にp型不純物又はn型不純物をドープ(拡散)したものが挙げられる。中でもシリコン基板であることが好ましい。半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。半導体基板のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、n型半導体基板又はp型半導体基板にp型不純物をドープしてp型拡散層又はp型拡散層として形成されたものであってもよい。
半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板の厚みは50μm〜1000μmの範囲内とすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
(パッシベーション層)
パッシベーション層は、金属酸化物を含有する。パッシベーション層に含まれる金属酸化物としては酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム等が挙げられ、パッシベーション性能の観点からは、酸化アルミニウムが好ましい。パッシベーション層に含まれる金属酸化物は1種のみであっても、2種以上であってもよい。
パッシベーション層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1nm〜50μmであることが好ましく、1nm〜30μmであることがより好ましく、1nm〜20μmであることが更に好ましい。
充分なパッシベーション効果を得るとともに、電極形成用ペーストを熱処理する際にパッシベーション層を貫通してオーミックコンタクトを形成しやすくする観点からは、パッシベーション層の厚みは1nm〜50nmであることが好ましく、2nm〜40nmであることがより好ましく、安定したパッシベーション効果を得る観点からは3nm〜30nmであることが更に好ましい。
ここで、パッシベーション層の厚みは、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス社の
「F20膜厚測定システム」)、エリプソメーター等を用いて、常法により3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される値とする。
(保護層)
保護層は、パッシベーション層上に設けられ、且つ本実施形態の保護層形成用組成物の熱処理物である。保護層の形状は特に限定されず、太陽電池素子の形態等に応じて選択できる。例えば、電極が形成される領域に開口部を有する開口パターンを有することが好ましい。開口部の形状としては、ストライプ状、ドット状等が挙げられる。
保護層が本実施形態の保護層形成用組成物の熱処理物であるか否かは、例えば、保護層が炭素成分を含むか否かによって確認することができる。この炭素成分は、熱処理時に保護層形成用組成物に含まれていた分散媒が、保護層中に僅かに残存し、炭化したものである。あるいは、保護層形成用組成物に含まれていたガラス粒子の溶融物を含むか否かによっても確認することができる。
保護層の厚みは特に限定されない。電極形成用ペーストを半導体基板上に付与して熱処理する際の保護層の耐性の観点からは、20nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが更に好ましい。半導体基板の反りを抑制する観点からは、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
ここで、保護層の厚みは、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス社の「F20膜厚測定システム」)を用いて、常法により3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される値とする。
(電極)
半導体基板のパッシベーション層と保護層が設けられる側に設けられる電極の材質は特に制限されず、アルミニウム、銀等が挙げられる。電極は、パターン状に形成された保護層の開口部に形成されることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、半導体基板の少なくとも1つの面上に金属酸化物を含有するパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程と、前記パッシベーション層上にガラス粒子と、分散媒と、を含む保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する保護層形成工程と、前記半導体基板の前記パッシベーション層と前記保護層が形成される側に電極を形成する電極形成工程と、を含む。
太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
本実施形態の太陽電池素子の製造方法によれば、パッシベーション層の被覆性に優れる保護層を有する太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。
(パッシベーション層形成工程)
パッシベーション層形成工程においてパッシベーション層を形成する方法は特に制限されない。例えば、ALD法(Atomic Layer Deposition、原子層堆積法)、CVD法(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長法)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマCVD法)等の製膜技術により形成した金属酸化物層を熱処理することで形成しても、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板にスクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ブレードコート法等により付与し、熱処理することで形成してもよい。パッシベーション層形成用組成物は、熱処理によって金属酸化物を含有するパッシベーション層を形成可能なものであれば特に限定されず、公知のパッシベーション層形成用組成物を使用することができる。
パッシベーション層は、半導体基板の少なくとも1つの面上の全体に形成されてもよく、半導体基板の少なくとも1つの面上の少なくとも一部にパターン状に形成されてもよい。パターン状のパッシベーション層を形成する場合、例えば、半導体基板の少なくとも1つの面上に、パッシベーション層形成用組成物をスクリーン印刷法、インクジェット法等により付与してパターン状のパッシベーション層形成用組成物層を形成し、この組成物層を熱処理することにより、パターン状のパッシベーション層を形成することができる。
別の方法としては、例えば、半導体基板の少なくとも1つの面上の全体に、パッシベーション層の前駆体層を形成してから熱処理を行い、この熱処理物にレーザー等を用いて開口パターンを形成することにより、パターン状のパッシベーション層を形成することができる。この方法において、前駆体層は、ALD法、CVD法、PECVD法等により形成される金属酸化物層であってもよく、パッシベーション層形成用組成物を用いて形成されるパッシベーション層形成用組成物の層であってもよい。開口パターンを形成する方法は特に限定されず、レーザー照射、フォトリソグラフィー等が挙げられる。
厚みの薄いパッシベーション層を形成する観点からは、ALD法、CVD法、PECVD法等の製膜技術を用いることが好ましい。この場合のパッシベーション層の厚みは50nm以下であることが好ましい。パッシベーション層の厚みが50nm以下であると、電極形成工程においてパッシベーション層と電極を形成する成分とが反応(ファイアースルー)してオーミックコンタクトが形成され易い傾向にある。
パッシベーション層を形成するための熱処理の方法は特に限定されない。熱処理温度は600℃〜800℃であることが好ましい。
パッシベーション層形成用組成物を使用する場合には、パッシベーション層形成用組成物層を熱処理する前に、パッシベーション層形成用組成物層を乾燥させてもよい。
(保護層形成工程)
保護層形成工程において保護層を形成する方法は特に制限されない。例えば、ガラス粒子と分散媒とを含む保護層形成用組成物をパッシベーション層上に付与して保護層形成用組成物層を形成し、これを熱処理して保護層を形成してもよい。
保護層は、半導体基板の少なくとも1つの面上の全体に形成されてもよく、半導体基板の少なくとも1つの面上の少なくとも一部にパターン状に形成されてもよい。保護層をパターン状に形成する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ブレードコート法等により保護層形成用組成物をパターン状に付与する方法が挙げられる。保護層のパターンとしては、電極が形成される領域に開口部を有するパターンが好ましい。開口部の形状としてはストライプ状、ドット状等が挙げられる。所望の領域に所望のパターンを形成する観点からは、保護層形成用組成物の付与が、スクリーン印刷法又はインクジェット法で行われることが好ましい。
開口部に露出した半導体基板の上に電極を形成することにより、電極と半導体基板とを電気的に接続することができる。開口部に半導体基板が露出していなくても、パッシベーション層の厚みが比較的薄い場合は、パッシベーション層上に電極形成用ペーストを付与して熱処理すると、電極形成用ペーストがパッシベーション層と反応(ファイアースルー)し、電極形成用ペースト中の成分がパッシベーション層を突き抜けて、半導体基板と直接オーミックコンタクトを形成することで、電極と半導体基板とを電気的に接続することができる。
保護層形成用組成物をパッシベーション層上に付与して保護層形成用組成物層を形成し、これを熱処理する場合、熱処理の方法は特に限定されず、公知の熱処理装置等を使用することができる。熱処理の温度は200℃〜900℃であることが好ましく、250℃〜700℃であることがより好ましく、300℃〜600℃であることが更に好ましい。熱処理の時間は3分〜120分であることが好ましく、5分〜90分であることがより好ましく、7分〜60分であることが更に好ましい。熱処理は窒素雰囲気、又は大気雰囲気下で行うことができる。
保護層形成用組成物層を熱処理する前に、保護層形成用組成物層を乾燥させてもよい。乾燥の条件は特に制限されない。
(電極形成工程)
電極形成工程において、電極を形成する方法は特に制限されない。例えば、電極形成用ペーストを半導体基板のパッシベーション層及び保護層が形成される側に付与して熱処理する方法が挙げられる。電極形成用ペーストは特に制限されず、公知の電極形成用ペーストを使用することができる。パッシベーション層との反応のし易さの観点からは、アルミニウムペーストを使用することが好ましい。電極形成用ペーストを付与する方法は特に限定されず、スクリーン印刷法、ブレードコート等が挙げられる。
電極形成用ペーストを熱処理する場合、熱処理の方法は特に限定されず、公知の熱処理装置等を使用することができる。熱処理の温度は450℃〜900℃であることが好ましく、500℃〜850℃であることがより好ましい。熱処理の時間は0.1秒〜60秒であることが好ましく、1秒〜30秒であることがより好ましい。
次に、図面を参照しながら本実施形態の太陽電池素子の製造方法の一例について説明する。但し、本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、図面に示す実施形態になんら制限されるものではない。また、図面における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
図1は、太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。まず、図1(1)に示すように、p型半導体基板1をアルカリ水溶液で洗浄し、p型半導体基板1の表面の有機物、パーティクル等を除去する。これにより、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄方法としては、一般的に知られるRCA洗浄が挙げられる。具体的には、希フッ酸水溶液(HF)を用いて酸化膜を除去した後のp型半導体基板1をアンモニア水と過酸化水素水との混合溶液に浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物、パーティクル等の異物を除去することができる。洗浄時間は、10秒間〜10分間であることが好ましく、30秒間〜5分間であることがより好ましい。
次に、図1(2)に示すように、p型半導体基板1の表面にアルカリエッチング処理等を施し、表面に凹凸(以下、「テクスチャ」とも称する)を形成する。これにより、太陽電池素子の受光面側では太陽光の反射を抑制することが可能となる。尚、アルカリエッチング処理には、例えば、NaOHとIPA(イソプロパノール)とからなるエッチング溶液を使用することができる。
次に、図1(3)に示すように、p型半導体基板1の表面にリン等のドナー元素を熱拡散することにより、n型拡散層2がサブミクロンオーダーの厚みで形成されるとともに、p型バルク部分との境界にpn接合部(不図示)が形成される。
リン等のドナー元素を拡散させるための手法としては、例えば、オキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において、800℃〜1000℃で数十分の熱処理を行う方法が挙げられる。この方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、図1(3)に示すように、受光面(表面)以外に、裏面及び側面(図示せず)にもn型拡散層2が形成される。また、n型拡散層2の上には、PSG(リンシリケートガラス)層3が形成される。そのため、サイドエッチングを行い、側面に形成されたPSG層3及びn型拡散層2を除去する。
その後、図1(4)に示すように、受光面及び裏面に形成されたPSG層3をそれぞれフッ酸等のエッチング溶液を用いて除去する。更に、図1(5)に示すように、別途、裏面をエッチング処理して、裏面のn型拡散層2を除去して平坦化する。平坦化する方法としては、硝酸、フッ酸及び酢酸の混合溶液又は水酸化カリウム溶液に、p型半導体基板1の裏面を浸す等の方法を用いることができる。
次に、図1(6)に示すように、受光面に形成されたn型拡散層2上に、PECVD法等によって、窒化ケイ素等からなる反射防止膜4を所望の厚み(例えば、約90nm)で設ける。
次に、図1(7)に示すように、裏面の一部にALD法により酸化アルミニウム等の金属酸化物層を形成した後、600℃〜800℃の温度で熱処理(焼成)を行ってパッシベーション層5を形成する。
次に、図1(8)に示すように、パッシベーション層5の表面の一部に保護層形成用組成物をスクリーン印刷法等によりパターン状に付与する。乾燥させた後、200℃〜900℃の温度で熱処理(焼成)を行い、パターン状の保護層6を形成する。
図4に、裏面における保護層6のパターンの一例を概略平面図として示す。図6は、図4におけるA部を拡大した概略平面図である。図7は、図4におけるB部を拡大した概略平面図である。図4に示す保護層6の場合、図6及び図7からも分かるように、裏面の保護層6は後の工程で裏面出力取出し電極8が形成される部分を除き、ライン状の開口部からパッシベーション層5が露出したパターンを有する。このライン状開口部のパターンは、ライン幅(L)及びライン間隔(L)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ライン幅(L)及びライン間隔(L)は任意に設定できる。パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合抑制の観点から、Lが20μm〜2mmでありLが10μm〜5mmであることが好ましく、Lが30μm〜1mmでありLが40μm〜3mmであることがより好ましく、Lが40μm〜0.5mmでありLが50μm〜2mmであることが更に好ましい。
尚、裏面における保護層6の形状は図4に示すパターンに限定されず、図5に示すパターン等を有していてもよい。図5は保護層6のパターンの別の一例を示す概略平面図であり、図5におけるB部を拡大した概略平面図が図7である
次に、図1(9)に示すように、受光面に、ガラス粒子を含む電極ペースト(受光面集電用電極ペースト9又は受光面出力取出し電極ペースト10)をスクリーン印刷法等にて付与する。図3は、本発明の太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。図3に示すように、受光面電極は、受光面集電用電極9と受光面出力取出し電極10からなる。受光面積を確保するため、これら受光面電極の形成面積は少なく抑える必要がある。その他、受光面電極の抵抗率及び生産性の観点から、受光面集電用電極9の幅は10μm〜250μmであり、受光面出力取出し電極10の幅は100μm〜2mmであることが好ましい。また、図3では受光面出力取出し電極10を2本設けているが、少数キャリアの取出し効率(発電効率)の観点から、受光面出力取出し電極10の本数を3本又は4本とすることもできる。
一方、図1(9)に示すように、裏面には、ガラス粒子を含むアルミニウム電極ペースト(裏面集電用電極ペースト7)及びガラス粒子を含む銀電極ペースト(裏面出力取出し電極ペースト8)を、スクリーン印刷法等により付与する。図8は、太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。裏面出力取出し電極8の幅は特に制限されず、後の太陽電池の製造工程での配線材料の接続性等の観点からは、裏面出力取出し電極8の幅は、100μm〜10mmであることが好ましい。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後、乾燥してから大気中において450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、受光面に受光面集電用電極9及び受光面出力取出し電極10を、裏面に裏面集電用電極7及び裏面出力取出し電極8を、それぞれ形成する。
熱処理(焼成)後、図1(10)に示すように、受光面では、受光面電極を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜4とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極(受光面集電用電極9及び受光面出力取出し電極10)とn型拡散層2とが電気的に接続される(オーミックコンタクトの形成)。一方、裏面では、図6及び図7においてライン状にパッシベーション層5が露出した開口部(保護層6が形成されなかった部分)では、熱処理(焼成)により、アルミニウム電極ペースト中のアルミニウムがパッシベーション層5に含まれる酸化アルミニウム等の金属酸化物とファイアースルーしてオーミックコンタクトを形成する。さらに、アルミニウムがp型半導体基板1中に拡散することで、p型拡散層11が形成される。
図1とは別の実施形態として、図1(6)の後、図2に示すようにパターン状のパッシベーション層5を形成してから保護層6を設けてもよい。図2は、図1とは別の実施形態に係る太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図であり、図1とは図1(6)までは同じ工程を有する。図2に示す実施形態では、図1(6)に示すように反射防止膜4を形成してから、図2(7’)に示すようにパターン状のパッシベーション層5を形成する。パッシベーション層5の形成方法は特に限定されず、パッシベーション層形成用組成物をパターン状に付与して形成した組成物層を熱処理することに形成してもよい。別の方法としては、ALD法により形成される酸化アルミニウム層を熱処理してから、レーザー照射等によりパターン形成してもよい。
次に、図2(8’)に示すように、パターン状のパッシベーション層5の表面に保護層形成用組成物をスクリーン印刷法等により、パッシベーション層5が有するパターンと重なるようにパターン状に付与する。乾燥させた後、300℃〜900℃の温度で熱処理(焼成)を行い、パターン状の保護層6を形成する。
次に、図2(9’)に示すように、受光面にガラス粒子を含む電極ペースト(受光面集電用電極ペースト9又は受光面出力取出し電極ペースト10)をスクリーン印刷法等にて付与する。
一方、図2(9’)に示すように、裏面には、ガラス粒子を含むアルミニウム電極ペースト(裏面集電用電極ペースト7)及びガラス粒子を含む銀電極ペースト(裏面出力取出し電極ペースト8)を、スクリーン印刷法等により付与する。受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後、乾燥してから大気中において450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、受光面に受光面集電用電極9及び受光面出力取出し電極10を、裏面に裏面集電用電極7及び裏面出力取出し電極8を、それぞれ形成する。
熱処理(焼成)後、図2(10’)に示すように、受光面では、受光面電極を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜4とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極(受光面集電用電極9及び受光面出力取出し電極10)とn型拡散層2とが電気的に接続される(オーミックコンタクトの形成)。一方、裏面では、半導体基板1が露出した開口部(保護層6が形成されなかった部分)では、熱処理(焼成)により、アルミニウム電極ペースト中のガラス粒子とパッシベーション層5とがファイアースルーしてオーミックコンタクトを形成し、さらに、アルミニウムがp型半導体基板1中に拡散することで、p型拡散層11が形成される。
本発明の太陽電池素子の製造方法においては、パターン形成性に優れる本発明の保護層形成用組成物を用いることで、電極形成用ペーストを熱処理する際の耐性に優れる保護層を簡便な手法で形成でき、発電性能に優れた太陽電池素子を製造することができる。
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、本実施形態の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する。本実施形態の太陽電池は、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結されていてもよく、更に封止材で封止されていてもよい。配線材料及び封止材は特に制限されず、当該技術分野で通常用いられているものから適宜選択することができる。
図9は、本実施形態の太陽電池の製造方法の一例を説明する図である。本実施形態の太陽電池は、例えば、図9に示すように、ガラス板16、封止材14、配線材料13を接続した太陽電池素子12、封止材14及びバックシート15をこの順で積層し、この積層体を真空ラミネータ(例えば、(株)エヌピーシー、「LM−50×50−S」)を用いて、配線部材の一部が露出するように、140℃の温度で5分間真空ラミネートすることにより製造することができる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明する。ただし、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(保護層形成用組成物の作製)
略球状で軟化点が587℃のB3−SiO−ZnO系ガラス粒子(旭ガラス(株)、「ASF1891」)16gと、テルピネオール26gとを、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)、「P−7」)を用いて、体積平均粒子径が0.3μmであるガラス粒子を含む分散液を調製した。この分散液25gと、エチルセルロース2.5gと、テルピネオール22.5gとを、150℃で1時間撹拌して混合し、保護層形成用組成物を調製した。
(評価用基板の作製)
単結晶p型半導体基板(156mm×156mm、厚み200μm)をアルカリエッチング処理して、両面にテクスチャー構造を形成した。次いで、別途エッチング処理を行い、一方の面の表面形状を平坦化した。平坦化した表面の凹凸差は2μmであった。
次いで、半導体基板の平坦化した面の全面に、ALD法により厚みが約20nmの酸化アルミニウム層を形成し、これを700℃で20分間熱処理してパッシベーション層を形成した。
次いで、上記で調製した保護層形成用組成物を、スクリーン印刷法でパッシベーション層の上に、パッシベーション層の全面に付与した。その後、150℃で5分間乾燥し、拡散炉(光洋サーモシステム(株)、「260A−M100型」)を用いて、大気雰囲気下、最高温度600℃、保持時間10分間の条件で熱処理(焼成)を行い、保護層を形成して評価用基板を作製した。
作製した評価用基板の保護層の状態を光学顕微鏡(オリンパス(株)、「MX−51」)を用いて観察したところ、パッシベーション層との界面の凹凸形状に追従した保護層が形成され、クラックは発生していなかった。
<比較例1>
特許文献4に記載の「実施例1」の方法で有機アルミニウム化合物を含む組成物を用いて保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして評価用基板を作製し、保護層の状態を評価した。結果を表1に示す。
1 p型半導体基板
2 n型拡散層
3 PSG(リンシリケートガラス)層
4 反射防止膜
5 パッシベーション層
6 保護層
7 裏面集電用電極ペースト又は裏面集電用電極
8 裏面出力取出し電極ペースト又は裏面出力取出し電極
9 受光面集電用電極ペースト又は受光面集電用電極
10 受光面出力取出し電極ペースト又は受光面出力取出し電極
11 p+型拡散層
12 太陽電池素子
13 配線部材
14 封止材
15 バックシート
16 ガラス板

Claims (12)

  1. ガラス粒子と、分散媒と、を含有する保護層形成用組成物。
  2. 前記ガラス粒子が、B、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO、GaO、HfO、BeO、KO、NaO、LiO、GeO、TeO、Bi、Si、AlN、Ca、及びLiNからなる群より選択される少なくとも1種のガラス成分物質を含む、請求項1に記載の保護層形成用組成物。
  3. 前記ガラス粒子の体積平均粒子径(d50)が5μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の保護層形成用組成物。
  4. 前記ガラス粒子の軟化温度が200℃〜800℃である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
  5. 前記ガラス粒子の含有率が前記保護層形成用組成物の全質量に対して1質量%〜80質量%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
  6. 前記分散媒が樹脂を含み、前記樹脂の含有率が前記保護層形成用組成物の全質量に対して0.1質量%〜30質量%である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物。
  7. 半導体基板の少なくとも1つの面上に金属酸化物を含有するパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程と、
    前記パッシベーション層上にガラス粒子と、分散媒と、を含む保護層形成用組成物を用いて保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記半導体基板の前記パッシベーション層と前記保護層が形成される側に電極を形成する電極形成工程と、を含む太陽電池素子の製造方法。
  8. 前記保護層形成工程は前記保護層形成用組成物を熱処理することを含む、請求項7に記載の太陽電池素子の製造方法。
  9. 前記熱処理の温度が200℃〜900℃である、請求項8に記載の太陽電池素子の製造方法。
  10. 半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも1つの面上に設けられ、且つ金属酸化物を含有するパッシベーション層と、
    前記パッシベーション層上に設けられ、且つ請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護層形成用組成物の熱処理物である保護層と、
    前記半導体基板の前記パッシベーション層と前記保護層が設けられる側に設けられる電極と、を有する太陽電池素子。
  11. 前記保護層が、炭素成分及びガラス粒子の溶融物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項10に記載の太陽電池素子。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の前記電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112805813A (zh) * 2018-11-22 2021-05-14 三井化学株式会社 半导体元件中间体及半导体元件中间体的制造方法
WO2022134990A1 (zh) * 2020-12-23 2022-06-30 泰州隆基乐叶光伏科技有限公司 太阳能电池及生产方法、光伏组件

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