JP2018174253A - 選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法、選択的n型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法 - Google Patents

選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法、選択的n型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法で高い発電効率が得られる、選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法、該製造方法により製造されるn型拡散層付き半導体基板、これを用いた太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法を提供する。【解決手段】選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法は、半導体基板の裏主面にバリア層を形成する工程と、前記バリア層を形成する工程の後の、前記半導体基板の表主面にp型拡散層を形成する工程と、前記p型拡散層を形成する工程の後の、前記半導体基板の裏主面の前記バリア層を除去する工程と、前記バリア層を除去する工程の後の、前記半導体基板の裏主面にn型拡散層形成組成物を部分的に付与して第一のn型拡散層を形成する工程、及び前記半導体基板の裏主面に前記第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層を形成する工程を含む、n型拡散層を形成する工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法、選択的n型拡散層付き半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法に関する。
まず従来の太陽電池素子の製造工程の一例について説明する。
太陽電池用基板として広く用いられているp型シリコン結晶等の結晶インゴットから数百μmほどの厚さに切り出した半導体基板に対して、表面に凹凸(テクスチャ構造)を形成する。テクスチャ構造を形成することで、得られる太陽電池素子が効率よく光を吸収できる。続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において700℃〜900℃で数十分の熱処理を行って、p型半導体基板の表面に一様にn型拡散層を形成する。これによってp型半導体基板にpn接合を形成する。混合ガスを用いてリンの拡散を行った後に、p型半導体基板の裏面に形成された余分なn型拡散層をエッチングする。受光面のリン拡散層には、発生したキャリアの表面での再結合(表面再結合ともいう)を防ぐためSiO、Al、窒化ケイ素(SiN)等の膜をパッシベーション層として形成する。このパッシベーション層は集光率を高めるための反射防止膜として機能してもよい。最後に、受光面にAgを主成分とした電極組成物を、裏面にはAlを主成分とした電極組成物をそれぞれ塗布してこれを熱処理(焼成)してオーミックコンタクトを得る。このとき、p型半導体基板の裏側の表面にはAlによって高濃度のp型拡散層が形成される。この高濃度のp型拡散層は太陽電池特性を高める効果がある。
n型半導体基板を用いた太陽電池素子は、p型半導体基板を用いた太陽電池素子よりも発電効率が高いことが知られている。これは、n型半導体基板はp型半導体基板に比べてキャリアライフタイムが長く、酸素欠陥が少ないために高い発電効率を得られやすいためである。n型半導体基板を用いて太陽電池素子を作製する場合、pn接合を形成するためにホウ素等のアクセプタ元素を拡散させる工程を含むことがある。アクセプタ元素としてホウ素を用いる場合の拡散方法としては、三臭化ホウ素(BBr)ガス等を用いる方法、ホウ素を含有する塗布材料を用いる方法、イオン注入法などが知られている。
n型半導体基板を用いた太陽電池素子として、両面受光型太陽電池素子が知られている。両面受光型太陽電池素子は一般に、基板の一方の面にアクセプタ元素を用いてp型拡散層を形成し、さらにもう一方の面にはリン等のドナー元素を用いて基板よりも濃度が高いn型拡散層を形成する。そして、両面において光を効率よく吸収しかつ電気を効率よく通すようにAgを主成分とした電極組成物を用いて電極を形成する。現在、両面受光型太陽電池素子は、基板の一方の面の全面に可能な限り均一にp型拡散層を形成することが求められている。そこで、アクセプタ元素としてホウ素を用いてp型拡散層を形成する場合にはBBrガス又は塗布材料が用いられることが多い。一方、リン等のドナー元素を用いてn型拡散層を形成する場合は、p型シリコン半導体基板を用いた太陽電池素子の製造に実績のあるPOClを含有するガスが用いられることが多い。
両面受光型太陽電池素子の発電効率を高める方法として、可能な限りn型拡散層のドナー元素の濃度を低くして、表面再結合を抑制する方法が挙げられる。ドナー元素の濃度が低すぎると電極部の抵抗が高くなり効率よく電気を取出せなくなるため、電極を形成する領域で基板のドナー元素の濃度を高くする、いわゆるセレクティブバックサーフェースフィールド(以下S-BSFと記す)構造を有することで発電効率を高めることができる。例えば、特許文献1ではS−BSF構造を形成した太陽電池素子が高い光電変換効率を有することが示されている。
S−BSFを形成する方法として、POClを含有するガスで一度全体的にリン濃度の高いリン拡散層を形成し、部分的にエッチングするエッチバック法、POClを含有するガスでリンシリケートガラス(以下PSGと記す)を形成してリン濃度の低いリン拡散層を形成した後、PSGの上からレーザーで局所的に加熱してリン濃度の高いリン拡散層を形成するレーザー法、リン元素を含有する塗布型の拡散材料を半導体基板の一部に印刷してリン濃度の高いリン拡散層を形成した後、塗布型の拡散材料を塗布していない部分にPOClを含有するガスでリン濃度の低いリン拡散層を形成する印刷法等が挙げられる。
特許第5885891号公報
しかしながら、エッチバック法は、S−BSF構造を形成するために、マスクを形成し、電極を形成する領域に部分的エッチングを行い、マスクを除去する等の工程が必要となり、プロセスが煩雑になるという課題がある。レーザー法は、高い濃度のn型拡散層を形成するときに濃度の調整が難しいという課題がある。印刷法の場合、高い濃度のn型拡散層を形成するためには、高い温度で拡散処理する必要がある。そのため、半導体基板のn型拡散層を形成する面にアクセプタ元素が混在しやすくなり、発電効率に影響しやすくなるという課題がある。S−BSF構造を有して半導体基板のn型拡散層のドナー元素濃度を一部低くして発電効率を高めるには、基板のn型拡散層側の面がホウ素等のアクセプタ元素に汚染されないように制御することが求められる。
また、特許文献1では、まずpn接合を有するシリコン基板を形成し、n型層の表面に保護膜として酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜からなるパッシベーション層を形成する。その後、エッチングペースト等を用いたエッチングによりパッシベーション層を部分的に開口し、開口領域にn型不純物を拡散させることによって、選択的に高濃度n型拡散領域を形成している。特許文献1の方法では、p型拡散層の形成において、APCVDを用いてアクセプタ元素の供給源であるボロンシリケートガラス(BSG)を成膜し、熱拡散を行っている。この方法によれば、p型拡散層を形成する面の反対側の面にホウ素が揮散することを抑制することができる。しかしながら、p型拡散層の形成において三臭化ホウ素(BBr)ガス等を用いる場合、塗布法を用いる場合等には、アクセプタ元素が揮散してn型拡散領域に混在することを充分に抑制できない。また、この方法は、選択的n型拡散層の形成過程において、エッチングペースト等を用いた保護膜の部分的エッチング等、煩雑な工程を有する。
本開示は、簡便な選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法、該製造方法により製造されるn型拡散層付き半導体基板、これを用いた発電効率に優れる太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法の提供を課題とする。
前記課題を解決する手段は、以下の通りである。
<1> 半導体基板の裏主面にバリア層を形成する工程と、
前記バリア層を形成する工程の後の、前記半導体基板の表主面にp型拡散層を形成する工程と、
前記p型拡散層を形成する工程の後の、前記半導体基板の裏主面の前記バリア層を除去する工程と、
前記バリア層を除去する工程の後の、前記半導体基板の裏主面にn型拡散層形成組成物を部分的に付与して第一のn型拡散層を形成する工程、及び前記半導体基板の裏主面に前記第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層を形成する工程を含む、n型拡散層を形成する工程と、
を有する、選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<2> 前記n型拡散層形成組成物が、酸化物として表示したとき、P、P及びSbから選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOから選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有するガラス粒子を含有する、<1>に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<3> 前記n型拡散層形成組成物が、酸化物として表示したとき、P、SiO及びCaOを含有するガラス粒子と、分散媒と、を含有する<1>又は<2>に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<4> 前記バリア層がSiOを含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<5> 前記バリア層の平均厚さが50nm〜500nmである<1>〜<4>のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<6> 前記バリア層がPECVDによって形成される、又はスチーム熱酸化炉を用いて形成される、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<7> 前記第二のn型拡散層がPOClを含有するガスを用いて形成される<1>〜<6>のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法により製造される選択的n型拡散層付き半導体基板。
<9> <8>に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板と、前記選択的n型拡散層付き半導体基板上に設けられた電極と、を有する太陽電池素子。
<10> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法により選択的n型拡散層を有する選択的n型拡散層付き半導体基板を製造する工程と、前記選択的n型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する、太陽電池素子の製造方法。
本開示によれば、簡便な選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法、該製造方法により製造されるn型拡散層付き半導体基板、これを用いた発電効率に優れる太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法が提供される。
本開示の太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 太陽電池素子を受光面から見た平面図である。 図2Aの一部を拡大して示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語は、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において成分の「含有率」とは、特に記載がなければ、当該成分が含まれる組成物の全量を100質量%としたときの、当該成分の質量%を表す。
本開示において「層」又は「膜」との語は、当該層又は膜が存在する領域を平面図として観察したときに、当該領域の全面に形成されている場合に加え、当該領域の一部に形成されている場合も包含される。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「ガラス粒子」とは、ガラス(ガラス転移現象を示す非晶質固体)が粒子状になったものを意味する。
本発明の実施形態は、本開示の具体的且つ詳細な内容の一部又は全てを利用せずとも実施可能である。
また、本発明の概念を不明確にすることを避けるべく、公知の点については詳細な説明又は図示を省略する場合もある。
本開示において、平均粒子径は、レーザー回折散乱法を用いて測定される粒度分布において、小粒径側からの体積累積が50%となる体積平均粒子径として求められる。
本開示において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
≪選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法≫
本開示の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法は、半導体基板の裏主面にバリア層を形成する工程(バリア層形成工程)と、前記バリア層を形成する工程の後の、前記半導体基板の表主面にp型拡散層を形成する工程(p型拡散層形成工程)と、前記p型拡散層を形成する工程の後の、前記半導体基板の裏主面の前記バリア層を除去する工程(バリア層除去工程)と、前記バリア層を除去する工程の後の、前記半導体基板の裏主面にn型拡散層形成組成物を部分的に付与して第一のn型拡散層を形成する工程、及び前記半導体基板の裏主面に前記第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層を形成する工程を含む、n型拡散層を形成する工程(n型拡散層形成工程)と、を有する。本開示の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法は、必要に応じてさらにその他の工程を有していてもよい。
本開示の製造方法では、部分的エッチング等を含む煩雑なプロセスを経ることなく、簡便な方法で、半導体基板上の不要な不純物を低減させ、選択的n型拡散層を形成することができる。また、n型拡散層形成組成物中に含まれるドナー濃度の調整等により、n型拡散層の濃度調整を簡便に行い、選択的n型拡散層を製造することが可能となる。さらに、BBrガス等を用いたガス拡散法、塗布法などのp型拡散層の形成方法を問わず、アクセプタ元素がn型拡散領域に混在することを効果的に抑制することができる。このため、簡便な方法で選択的n型拡散層付き半導体基板を得ることができ、これを用いて発電効率に優れる太陽電池素子を得ることができる。
本開示において選択的n型拡散層とは、限定された領域にドナー元素濃度の高いn型拡散層が形成されているn型拡散層を表す。限定された領域に他の領域のドナー元素と種類の異なるドナー元素の拡散領域が形成されている場合も、選択的n型拡散層に含まれる。
以下、本開示の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
<バリア層形成工程>
バリア層形成工程では、半導体基板の裏主面にバリア層を形成する。
半導体基板の種類は特に制限されず、太陽電池素子の基板として使用可能な半導体基板を適用することができる。例えば、シリコン基板、リン化ガリウム基板、窒化ガリウム基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、窒化インジウム基板、ヒ化ガリウム基板、ゲルマニウム基板、セレン化亜鉛基板、テルル化亜鉛基板、テルル化カドミウム基板、硫化カドミウム基板、リン化インジウム基板、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム基板、及び銅インジウムセレン基板が挙げられる。シリコン基板としては、結晶シリコン基板等が挙げられる。半導体基板はn型半導体基板であっても、p型半導体基板であってもよい。
本開示において裏主面とは半導体基板の一方の面をいう。後述する表主面とは、2つの主面のうちの他方の面をいう。
本開示においてバリア層は、p型拡散層形成工程においてp型不純物が半導体基板の裏主面へ及ぶことを防ぐ機能を有する。
バリア層の種類は、上記機能を有する限り特に限定されず、シリコン酸化膜(SiO等)、シリコン窒化膜(SiN)などであってもよい。バリア層の除去し易さという観点からは、バリア層はSiOを主成分とすることが好ましい。
形成するバリア層の平均厚さは特に限定されず、数十nm〜数百nmであってよい。バリア性能と除去し易さという観点からは、50nm〜500nmであることが好ましく、100〜300nmであることがより好ましい。バリア層の平均厚さは、干渉式膜厚測定計を用いて測定した5点の厚さの算術平均値とする。
バリア層を形成する方法として、熱酸化炉、スチーム熱酸化炉、PECVD(プラズマCVD;plasma-enhanced chemical vapor deposition)装置、APCVD(半導体用常圧CVD;atmospheric-pressure chemical vapor deposition)装置等を用いて形成する方法が挙げられる。汎用性が高いという観点から、バリア層は、PECVDによって形成される、又はスチーム熱酸化炉を用いて形成されることが好ましい。
バリア層を形成した後、必要に応じて、余分に形成されたバリア層は一部除去されてもよい。例えば、熱酸化炉又はスチーム熱酸化炉を用いてSiO層を形成する場合、SiO層の形成後、p型不純物の拡散の前に、フッ酸水溶液等のエッチング液を用いて表主面に形成されたSiO層を除去してもよい。また、PECVDでSiOを形成する場合も、表主面端部等にSiO層が形成されている可能性があるので、これを除去してもよい。表主面のSiO層を除去するためにはエッチング液面に表主面を漬けるフローティングシングルサイドエッチング法等が適用できる。
<p型拡散層形成工程>
p型拡散層形成工程では、バリア層を形成する工程の後に、半導体基板の表主面にp型拡散層を形成する。
本開示の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法では、n型拡散層を形成する前にp型拡散層を形成する。一般的に、p型拡散層の形成は、アクセプタ元素を充分に拡散させるために、n型拡散層の形成よりも高温の熱処理を伴うことが多い。n型拡散層の形成後にp型拡散層を形成するため高温の熱処理を行うと、n型拡散層中のドナー元素濃度を調節しにくくなる。これに対して、n型拡散層の形成に先立ちp型拡散層を形成することで、n型拡散層中のドナー濃度及びp型拡散層中のアクセプタ濃度の両方を適切に制御しやすい傾向にある。
p型拡散層とは、半導体基板のアクセプタ元素が拡散している領域をいう。
アクセプタ元素とは、半導体基板中に拡散してp型拡散層を形成することが可能な元素を意味する。アクセプタ元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)インジウム(In)等の第13族の元素が挙げられる。
p型拡散層の形成方法は特に制限されず、アクセプタ元素を含有するガスを用いる方法、アクセプタ元素を含有する組成物を用いる方法等が挙げられる。
アクセプタ元素を含有するガスとしては、三臭化ホウ素(BBr)、三塩化ホウ素(BCl)等が挙げられる。アクセプタ元素を含有するガスを用いるp型拡散層の形成方法としては、BBrガスを用いて半導体基板上にボロンシリケートガラス(BSG)を形成して熱拡散処理を行う方法等が挙げられる。
アクセプタ元素を含有するガスを用いる場合の熱拡散処理の雰囲気の温度は、800℃〜1050℃であることが好ましく、850℃〜1000℃であることがより好ましく、900℃〜970℃であることがさらに好ましい。熱拡散処理時間は、5分間〜90分間であることが好ましく、10分間〜60分間であることがより好ましい。尚、本開示において、熱拡散処理時間とは最高温度での保持時間をいう。熱拡散処理時間が5分間以上であると、半導体基板へのアクセプタ元素の拡散が充分となる傾向にあり、90分間以下であると、製造コストを抑えることができる傾向にある。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。
アクセプタ元素を含有する組成物としては、ホウ素を含有する組成物等が挙げられる。アクセプタ元素を含有する組成物を用いるp型拡散層の形成方法としては、例えば、アクセプタ元素を含む組成物を半導体基板に付与し、熱拡散処理を行う方法が挙げられる。
アクセプタ元素を含む組成物を半導体基板に付与する方法は特に制限されず、例えば、印刷法、スピンコート法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコート法、APCVD(常圧CVD)、及びインクジェット法が挙げられる。
アクセプタ元素を含有する組成物を付与した後の熱拡散処理の雰囲気の温度は、800℃〜1050℃であることが好ましく、850℃〜1000℃であることがより好ましく、900℃〜970℃であることがさらに好ましい。熱拡散処理時間は、5分間〜90分間であることが好ましく、10分間〜60分間であることがより好ましい。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。熱拡散処理時間が5分間以上であると、半導体基板へのアクセプタ元素の拡散が充分となる傾向にあり、90分間以下であると、製造コストを抑えることができる傾向にある。
アクセプタ元素を拡散するために熱処理を行うとき、半導体基板の裏主面が向き合うように2枚重ね合わせて半導体基板を炉内に設置し、熱処理を行ってもよい。これにより、アクセプタ元素が裏主面に回りこむことを抑制することができる。
<バリア層除去工程>
バリア層除去工程では、前記p型拡散層を形成する工程の後に、半導体基板の裏主面のバリア層を除去する。
バリア層を除去する方法は特に制限されず、フッ酸水溶液を使用する方法等が挙げられる。例えば、SiO層でバリア層を形成した場合には、フッ酸水溶液を用いることでバリア層を除去することができる。
また、例えばp型拡散層の形成においてBSGが形成される場合には、フッ酸水溶液を用いてバリア層を除去すると、BSGも同時に除去することが可能である。この場合、半導体基板全体をフッ酸水溶液に浸漬して、BSGとバリア層を同時に除去する。また、BSGはn型不純物拡散工程におけるバリア層として活用してもよく、この場合は、本工程においてバリア層のみシングルサイドエッチングで除去してもよい。
<n型拡散層形成工程>
n型拡散層形成工程では、バリア層を除去する工程の後の、半導体基板の裏主面にn型拡散層形成組成物を部分的に付与して第一のn型拡散層を形成する工程(第一のn型拡散層形成工程)、及び前記半導体基板の裏主面に前記第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層を形成する工程(第二のn型拡散層形成工程)を含む、n型拡散層を形成する工程を行う。
第一のn型拡散層形成工程と、第二のn型拡散層形成工程は、いずれが先であってもよい。また、第一のn型拡散層形成工程と、第二のn型拡散層形成工程とが、一連の工程であってもよい。
高温の熱処理によってドナー元素濃度の高い第一のn型拡散層を先に形成し、これよりも低温の熱処理によってドナー元素濃度の低い第二のn型拡散層を形成すると、第一のn型拡散層及び第二のn型拡散層におけるドナー元素濃度の調節が容易となる。上記観点からは、第一のn型拡散層を先に形成することが好ましい。工程の簡略化の観点からは、両工程を同時に行うことが好ましい。
以下、第一のn型拡散層形成工程、及び第二のn型拡散層形成工程のそれぞれについて説明する。
〔第一のn型拡散層形成工程〕
第一のn型拡散層形成工程では、半導体基板の裏主面にn型拡散層形成組成物を部分的に付与して第一のn型拡散層を形成する。n型拡散層とは、半導体基板のドナー元素が拡散している領域をいう。
まず、本工程で用いられるn型拡散層形成組成物について説明する。なお、n型拡散層形成組成物は少なくとも第一のn型拡散層の形成に用いられる。第二のn型拡散層は、半導体基板にn型拡散層形成組成物を付与して形成してもよく、他の方法によって形成してもよい。
−n型拡散層形成組成物−
本開示において、n型拡散層形成組成物は、半導体基板に付与して拡散させることでn型拡散層を形成可能な組成物をいう。n型拡散層形成組成物は、ドナー元素を含有し、半導体基板中に付与して拡散させることによってn型拡散層を形成できるものであれば特に制限されない。n型拡散層形成組成物は、例えば、ドナー元素を含有する化合物と分散媒とを含有する組成物であってよく、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
(ドナー元素を含有する化合物)
ドナー元素とは、半導体基板中に拡散させることによってn型拡散層を形成することが可能な元素である。ドナー元素としては、P(リン)、Sb(アンチモン)、As(ヒ素)等の第15族の元素が挙げられる。安全性等の観点からは、P(リン)が好適である。
ドナー元素を含有する化合物としては特に制限はない。例えば、P、P等の酸化物;リンシリサイド、リンをドープしたシリコン粒子、リン酸カルシウム、リン酸、リンを含有するガラス粒子等の無機リン化合物;及び、ホスホン酸、亜ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスフィン酸、ホスフィン、ホスフィンオキシド、リン酸エステル、亜リン酸エステル等の有機リン化合物を例示することができる。
これらの中でもP、P、及び半導体基板へドナー元素を拡散させる際の熱処理の温度(例えば800℃以上)においてPを含有する化合物へ変化し得る化合物(リン酸二水素アンモニウム、リン酸、亜ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスフィン酸、ホスフィン、ホスフィンオキシド、リン酸エステル、亜リン酸エステル等)からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、これらの中でも融点が1000℃以下である化合物を用いることがより好ましい。これは、半導体基板へ熱拡散する際に、ドナー元素を含有する化合物が溶融状態となりやすく、半導体基板へ均一にドナー元素を拡散しやすいためである。このような化合物として具体的には、P、及びリンを含有するガラス粒子からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。また、ドナー元素を含有する化合物の融点が1000℃を超える場合は、融点が1000℃未満の化合物をさらに添加することで、ドナー元素を含有する化合物から、融点が1000℃未満の化合物を介して半導体基板へドナー元素が拡散するようにしてもよい。
前記n型拡散層形成組成物におけるドナー元素を含有する化合物の形態としては、粒子状のドナー元素を含有する化合物が分散媒に分散した状態であっても、ドナー元素を含有する化合物が分散媒に溶解した状態であってもよい。
ドナー元素を含有する化合物が固体の粒子状である場合の形状としては、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等が挙げられる。n型拡散層形成組成物の基板への付与性、均一拡散性等の点から、ドナー元素を含有する化合物の粒子の形状は略球状、扁平状又は板状であることが望ましい。
ドナー元素を含有する化合物が固体の粒子状である場合、粒子の粒子径は、100μm以下であることが好ましい。100μm以下の粒子径を有する粒子を半導体基板に付与する場合には、平滑なn型拡散層形成組成物の層が得られやすい。さらに、ドナー元素を含有する化合物が固体の粒子状である場合、粒子の粒子径は50μm以下であることがより望ましい。なお、下限は特に制限されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。
ここで、ドナー元素を含有する化合物が固体の粒子状である場合の粒子の粒子径は体積平均粒子径を表し、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置等により測定することができる。体積平均粒子径は、粒子に照射したレーザー光の散乱光強度と角度の関係を検出し、Mie散乱理論に基づいて算出することができる。測定する際の分散媒に特に制限はないが、測定対象とする粒子が溶解しない分散媒を用いることが好ましい。また、二次凝集していない粒子の場合、走査型電子顕微鏡を用いてその粒子径を測定することで算出してもよい。
n型拡散層形成組成物がドナー元素を含有する化合物が分散媒に溶解した状態の場合、n型拡散層形成組成物の調製に用いるドナー元素を含有する化合物の形状には特に制限はない。
n型拡散層形成組成物中のドナー元素を含有する化合物の含有率は、n型拡散層形成組成物の付与性、ドナー元素の拡散性等を考慮して決定される。n型拡散層形成組成物中のドナー元素を含有する化合物の含有率は、n型拡散層形成組成物中に0.1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、1質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以上80質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが極めて好ましい。ドナー元素を含有する化合物の含有率が0.1質量%以上であると、n型拡散層を充分に形成することができる。95質量%以下であると、n型拡散層形成組成物中のドナー元素を含有する化合物の分散性が良好になり、半導体基板への付与性が向上する。
(ドナー元素を含有するガラス粒子)
前記ドナー元素を含有する化合物は、ドナー元素を含有するガラス粒子(以下、単にガラス粒子ともいう)であることが好ましい。ドナー元素を含有するガラス粒子を用いることで、n型拡散層形成組成物を付与した領域以外へのドナー元素の拡散(アウトディフュージョンという)をより効果的に抑制できる傾向にあり、裏面及び側面には不要なn型拡散層が形成されることが抑制できる。つまり、ドナー元素を含有するガラス粒子を含有することで、より選択的にn型拡散層を形成することができる。
ドナー元素を含有するガラス粒子は、例えばドナー元素含有物質とガラス成分物質とを含有して形成されていてもよい。ドナー元素含有物質としては、ドナー元素を含有していれば特に制限されない。ガラス成分物質としては、特に制限されず、酸化物として表示したとき、SiO及びCaOを少なくとも含有することが好ましい。
例えば、ドナー元素を含有するガラス粒子は、酸化物として表示したとき(以下、ドナー元素含有物質及びガラス成分物質について同様に表示する)、P、P及びSbから選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOから選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有してもよい。
なかでも、ドナー元素を含有するガラス粒子は、酸化物として表示したとき、P、SiO及びCaOを含有することが好ましい。ドナー元素含有物質であるPと、ガラス成分物質であるSiO及びCaOとを組み合せることで、吸湿性が低く、保存安定性に優れるガラス粒子が得られる。従って、長期保存後においても、ガラス粒子中のドナー成分が焼成中に揮散しにくいため、揮散ガスの発生によってn型拡散層形成組成物を付与した領域のみならず反対側の面、側面等にまでn型拡散層が形成されるということが抑制される。
ガラス粒子中のドナー元素含有物質及びガラス成分物質の含有率は、溶融温度、軟化温度、ガラス転移温度、化学的耐久性、エッチング特性等を考慮して適宜設定することが望ましい。例えば、ガラス粒子がドナー元素含有物質としてPを含有する場合、ガラス粒子に含有されるPのモル分率は、耐水性、溶融温度、及び拡散能力の観点から、20モル%〜50モル%であることが好ましく、25モル%〜45モル%であることがより好ましい。ガラス粒子がガラス成分としてSiOを含有する場合、SiOのモル分率は、耐水性、溶融温度、及びエッチング特性の観点から、30モル%〜70モル%であることが好ましく、35モル%〜65モル%であることがより好ましい。ガラス粒子がガラス成分としてCaOを含有する場合、CaOのモル分率は、耐水性、溶融温度、及びエッチング特性の観点から、2モル%〜30モル%であることが好ましく、5モル%〜25モル%であることが好ましい。
本開示におけるガラス粒子は、耐水性、溶融温度、エッチング特性、拡散能力等の観点からは、20モル%〜50モル%のPと、30%〜70%のSiOと、5モル%〜25モル%のCaOとを含有し、体積平均粒子径が0.01μm〜2μmであってもよい。また、20モル%〜50モル%のPと、35%〜65%のSiOと、2モル%〜30モル%のCaOとを含有し、体積平均粒子径が0.01μm〜2μmであってもよい。耐水性、溶融温度、エッチング特性、及び拡散能力の観点からは、25モル%〜45モル%のPと、30%〜70%のSiOと、2モル%〜30モル%のCaOとを含有し、体積平均粒子径が0.01μm〜2μmであってもよい。
本開示におけるガラス粒子は、耐水性、溶融温度、エッチング特性、拡散能力等の観点からは、25モル%〜45モル%のPと、35%〜65%のSiOと、5モル%〜25モル%のCaOとを含有し、体積平均粒子径が0.01μm〜2μmであることが好ましい。
さらに、ガラス粒子は、PとSiO及びCaOとを合計してモル分率100%となる組成を有していてもよく、これらに加えて以下のガラス成分物質を含有してもよい。追加可能なガラス成分物質としては、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、MoO、La、Nb、Ta、Y、TiO、ZrO、GeO、Al、TeO、Lu等を挙げることができる。SiO及びCaO以外のガラス成分物質は、必要に応じてその成分比率を調整することによって、溶融温度、軟化温度、ガラス転移温度、化学的耐久性等を制御することが可能である。ガラス粒子がSiO及びCaO以外のガラス成分物質を含有する場合、耐水性、溶融温度、エッチング特性、拡散能力等の観点から、SiO及びCaO以外のガラス成分物質のガラス粒子におけるモル分率は、0.01モル%〜10モル%とすることができ、0.1モル%〜5モル%とすることが好ましい。
ガラス粒子の軟化温度は、拡散処理における拡散性、液だれの抑制等の観点から、300℃〜1000℃であることが好ましく、400℃〜900℃であることがより好ましい。軟化温度が300℃以上であると、拡散処理においてガラスの粘度が低くなりすぎず、液だれの発生を抑制して、特定の部分以外にn型拡散層が形成されることを抑制しやすくなる傾向がある。また、1000℃以下であると、ガラス粒子が溶融しきれず、均一なn型拡散層が形成されないということを抑制しやすくなる傾向がある。
ガラス粒子の軟化温度が300℃〜1000℃の範囲内とすることによって、上述の通り、液だれの発生が抑制しやすくなるため、拡散処理後に、特定の領域へ所望の形状にn型拡散層を形成しやすくなる。例えばaμm幅の線状パターンでn型拡散層形成組成物を付与する場合には、拡散処理後の線幅bは、b<1.5aμmの範囲の線状パターンを保持できる傾向にある。
ガラス粒子の軟化温度は、株式会社島津製作所製DTG−60H型示差熱・熱重量同時測定装置を用いて、示差熱(DTA)曲線等により求めることができる。
ガラス粒子の形状は特に制限されず、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等が挙げられる。n型拡散層形成組成物とした場合の基板への付与適性(塗布性)、均一拡散性等の点から、略球状、扁平状、又は板状であることが望ましい。
ガラス粒子は、体積平均粒子径が10μm以下であることが好ましい。10μm以下の体積平均粒子径を有するガラス粒子を用いる場合には、平滑な塗膜が得られやすい。ガラス粒子の体積平均粒子径は5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。なお、ガラス粒子の体積平均粒子径の下限は特に制限されず、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。
n型拡散層形成組成物中のガラス粒子の含有率は、付与適性、ドナー元素の拡散性等を考慮し決定される。例えば、n型拡散層形成組成物中のドナー元素を含有する化合物の含有率として上述した含有率を適用することができる。また、一般には、n型拡散層形成組成物中のガラス粒子の含有率は、1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜25質量%であることがより好ましく、8質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
本開示のガラス粒子は、以下の手順で作製することができる。
最初に原料を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金−ロジウム、金、イリジウム、アルミナ、ジルコニア、石英、炭素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素等が挙げられる。るつぼの材質は、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選択してよい。
次に、原料を、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて、得られた融液をジルコニア基板、カーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粒子状とする。粉砕にはスタンプミル、ジェットミル、ビーズミル、ボールミル等、公知の方法が適用できる。
(分散媒)
n型拡散層形成組成物は、分散媒を含有してもよい。分散媒とは、組成物中において上記ガラス粒子を分散させる媒体である。具体的に分散媒としては、バインダー及び溶剤からなる群より選択された少なくとも1種を採用してよい。
n型拡散層形成組成物中の分散媒の含有率は特に制限されず、付与適性、ドナー元素濃度等を考慮し決定される。
n型拡散層形成組成物がバインダーを含有する場合、バインダーの種類は特に制限されない。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロースエーテル樹脂、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム類及びアルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン及びキサンタン誘導体、グアーガム及びグアーガム誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、並びにこれらの共重合体が挙げられる。また、他にも、シロキサン樹脂等を適宜選択しうる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、バインダーとしては、粘度特性の観点からエチルセルロースが好適である。
バインダーの重量平均分子量は特に制限されず、組成物としての所望の粘度に鑑みて適宜調整することが望ましい。
n型拡散層形成組成物中のバインダーの含有率は特に制限されず、例えば下記の粘度を達成する量としてもよい。例えば、n型拡散層形成組成物中に0.5質量%〜30質量%としてもよく、2質量%〜25質量%としてもよく、3質量%〜20質量%としてもよい。
n型拡散層形成組成物の粘度は、印刷における付与特性を考慮して、1Pa・s〜500Pa・sの範囲が好ましく、10Pa・s〜100Pa・sの範囲がより好ましい。なお、粘度の測定は、東京計器製E型粘度計EHD型を用いて、サンプル量0.4ml、回転数5回転/分(rpm)の条件で測定したものとする。
n型拡散層形成組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の種類は特に限定されない。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル等のエーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;α−テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
n型拡散層形成組成物においては、基板への付与適性の観点から、溶剤は、テルピネオール及びブチルカルビトールアセテート(酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
n型拡散層形成組成物中の溶剤の含有率は特に制限されず、付与適性、ドナー元素濃度等を考慮し決定される。
(その他の添加剤)
n型拡散層形成組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機酸塩等のチキソ性付与剤、濡れ性向上剤、レベリング剤、界面活性剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、安定剤、酸化防止剤、香料及びガラス粒子と反応しやすい金属が挙げられる。その他の添加剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ガラス粒子と反応しやすい金属としては、例えば、Ag(銀)、及びSi(ケイ素)が挙げられる。ガラス粒子と反応しやすい金属をn型拡散層形成組成物に含有させておくことにより、n型拡散層の表面にガラスが形成されたときに、形成されたガラスを、フッ酸等の酸洗浄によって容易に除去することができる傾向にある。ガラス粒子と反応しやすい金属としては、これらの中でも、Ag(銀)を用いることが好ましい。
n型拡散層形成組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、ドナー元素を含有する化合物、分散媒等をブレンダー、ミキサ、乳鉢、ローター等を用いて混合することで得ることができる。また、混合する際は、必要に応じて加熱してもよい。混合に際して加熱する場合、加熱温度は、例えば、30℃〜100℃とすることができる。
半導体基板にn型拡散層形成組成物を付与する方法には制限がなく、印刷法、インクジェット法等が挙げられ、印刷法、特に、スクリーン印刷法が好適である。
n型拡散層形成組成物の付与量に特に制限はない。例えば、ドナー元素を含有する化合物がドナー元素を含有するガラス粒子である場合、ガラス粒子量として0.01g/m〜100g/mとしてもよく、0.1g/m〜10g/mとすることが好ましい。
n型拡散層形成組成物の組成によっては、熱拡散処理の前に、組成物中に含有される溶剤の少なくとも一部を除去するために、n型拡散層形成組成物を付与した後の基板を熱処理する工程を含んでもよい。この場合の熱処理には、80℃〜300℃の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分間〜10分間、乾燥機等を用いる場合は10分間〜30分間程度の条件を適用する。熱処理条件は、n型拡散層形成組成物の溶剤組成に依存し、特に上記条件に限定されない。この熱処理工程により、基板上に付与されたn型拡散層形成組成物を乾燥させることができる。
また、n型拡散層形成組成物の組成によっては、熱拡散処理前に、当該組成物中に含有される分散媒の少なくとも一部、特にはバインダー(樹脂成分)を揮発させて除去するために、n型拡散層形成組成物を付与した後の基板を熱処理する工程を含んでもよい。この場合の熱処理には、300℃を超え800℃以下の温度で、1分間〜10分間処理する条件を適用することができる。この熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。
上記熱処理を行なう場合は、n型拡散層形成組成物の組成によっては、溶剤を除去するための上記80℃〜300℃の温度での熱処理と、300℃を超え800℃以下の温度での熱処理の両方を行なってもよく(つまり、異なる温度条件で2回熱処理を行なってもよく)、どちらか一方の温度での熱処理のみでも行ってもよい。
次いで、n型拡散層形成組成物を付与した半導体基板を、熱拡散処理する。処理温度は800℃〜1000℃が好ましく、830℃〜950℃がより好ましい。処理時間は5分間〜60分間が好ましい。この熱拡散処理により、半導体基板中へドナー元素が拡散し、n型拡散層が形成される。熱拡散処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。熱拡散処理における炉内雰囲気は、空気、酸素、窒素等に適宜調整してよい。
n型拡散層形成組成物を部分的に付与する領域は、電極を形成する領域であることが好ましい。これにより、作製された太陽電池素子における電極部の抵抗を低減させ、より効率よく電気を取り出すことが可能となる。
〔第二のn型拡散層形成工程〕
第二のn型拡散層形成工程では、半導体基板の裏主面に、第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層を形成する。
本開示において、n型拡散層のドナー元素濃度とは、n型拡散層の単位体積当たりのドナー元素の原子数で表される濃度をいい、二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定することができる。また、第一のn型拡散層と第二のn型拡散層におけるドナー元素濃度の相対濃度は、シート抵抗を測定することによって確認してもよい。
本工程により形成される第二のn型拡散層は、第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有していればよく、第一のn型拡散層と種類の異なるドナーが拡散していてもよい。
第二のn型拡散層を形成する方法としては、第一のn型拡散層よりドナー元素濃度が低くなるように第二のn型拡散層が形成される限り、特に制限はない。例えば、ドナー元素を含有するガスを用いる方法、ドナー元素を含有する組成物を用いる方法が挙げられる。
ドナー元素を含有するガスとしては、POCl等が挙げられる。ドナー元素を含有するガスを用いる第二のn型拡散層の形成方法としては、POCl等のドナー元素を含有するガスを用いて熱拡散処理を行う方法などが挙げられる。
ドナー元素を含有するガスを用いる熱拡散処理における雰囲気の温度は800℃〜1000℃であることが好ましく、850℃〜950℃であることがより好ましい。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。
熱拡散処理時間は、10分間〜60分間であることがより好ましい。熱拡散処理時間が10分間以上であると、半導体基板へのアクセプタ元素の拡散が充分となる傾向にあり、60分間以下であると、製造コストを抑えることができる。
ドナー元素を含有する組成物としては、既述のn型拡散層形成組成物を用いることができる。ドナー元素を含有する組成物を用いる第二のn型拡散層の形成方法としては、第一のn型拡散層形成工程において説明された方法を適用することができる。
熱拡散処理の設備は、第一のn型拡散層形成工程の熱拡散処理で用いるものと別の設備を用いてもよく、同じ設備を用いてもよい。工程の簡略化という観点からは、同じ設備を用いることが好ましい。
ドナー元素の熱拡散処理において、2枚の半導体基板をp型拡散層の面を重ねて炉内に設置し、熱拡散処理を行ってもよい。これにより、ドナー元素が表主面に拡散されることを抑えることができる。
第一のn型拡散層におけるドナー元素濃度より低いドナー元素濃度となるように第二のn型拡散層を形成する方法は特に制限されず、n型拡散層形成組成物の濃度の調整、n型拡散層形成組成物の付与量の調整、熱拡散処理における温度の調整等によって行ってもよい。例えば、第一のn型拡散層の形成に用いるn型拡散層形成組成物よりドナー元素濃度の低いn型拡散層形成組成物を用いて第二のn型拡散層を形成してもよく、第一のn型拡散層に対する付与量より少ない付与量でn型拡散層形成組成物を付与して第二のn型拡散層を形成してもよい。また、ドナー元素を含むガスを用いて第二のn型拡散層を形成することにより、第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層をより簡便に形成することができる傾向にある。
n型拡散層形成組成物を用いて第二のn型拡散層を形成する場合、第一のn型拡散層を形成した後に第二のn型拡散層を形成する領域にドナー元素を含有する組成物を付与して熱拡散処理を行ってもよく、第一のn型拡散層を形成する領域及び第二のn型拡散層を形成する領域のそれぞれにn型拡散層形成組成物を付与して、熱拡散処理を一括して行ってもよい。
ドナー元素を含むガスを用いて第二のn型拡散層を形成する方法として、POClを含有するガスを用いる場合の例を説明する。
第一のn型拡散層を形成するための熱拡散処理が終了した後、雰囲気の温度を700℃〜900℃まで下げ、POClを含有するガスを注入する。熱拡散処理は、POClを含有するガスを注入してPSGを形成させながらリンを拡散させるDeposition(以下、Depoともいう)工程と、POClを含有するガスの注入を止めてリンを拡散させるDrive−in工程とを行ってもよい。又は、Depo工程のみ行いDrive−in工程を行わなくてもよい。Depo工程とDrive−in工程における雰囲気の温度は同じ温度であってもよく、違う温度であってもよい。適度な濃度でn型拡散層を形成する観点から、熱拡散処理中の雰囲気の温度は750℃〜850℃であることが好ましい。熱拡散処理時間は、半導体基板内への拡散性とプロセス時間短縮のバランスという観点から、Depo工程とDrive−in工程を合わせて5分間〜90分間としてもよく、10分間〜60分間とすることが好ましい。Drive−in工程を行わない場合も同様の熱拡散処理時間を適用できる。
<その他の工程>
本開示の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法は、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、例えば、拡散層を形成する前の半導体基板に対して前処理を行う工程が挙げられる。前処理としては、例えば、テクスチャ構造を形成する処理が挙げられる。テクスチャ構造を形成する処理は、例えば以下のように行ってもよい。
半導体基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャ構造をエッチングにて得る。詳細には、インゴットからスライスした際に発生する半導体基板の表面のダメージ層を20質量%水酸化ナトリウム水溶液で除去する。次いで、1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールとの混合液によりエッチングを行い、テクスチャ構造を形成する。太陽電池素子は、受光面側にテクスチャ構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
また、熱拡散処理で形成された、半導体基板上のBSG、熱酸化膜、PSG等をエッチング液で除去する工程を行ってもよい。エッチング液の種類に特に制限はなく、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等の水溶液、水酸化ナトリウムの水溶液などが挙げられる。エッチング処理としては、半導体基板をエッチング液に浸漬する方法等、公知の方法が適用できる。PSGを除去するためのエッチングを行う場合、第一のn型拡散層領域に形成されたPSGと第二のn型拡散層領域に形成されたPSGを同時にエッチングにより除去してもよく、各n型拡散層形成工程後に、形成されたPSGをそれぞれエッチングにより除去してもよい。
≪太陽電池素子及び太陽電池素子の製造方法≫
太陽電池素子は、本開示の選択的n型拡散層付き半導体基板と、選択的n型拡散層付き半導体基板上に設けられた電極とを有する。
また、太陽電池素子の製造方法は、本実施形態の選択的n型拡散層及び付き半導体基板の製造方法により選択的n型拡散層を有する選択的n型拡散層付き半導体基板を製造する工程と、選択的n型拡散層上に電極を形成する工程(電極形成工程)と、を有する。
以下、太陽電池素子の製造方法の一実施態様について、図1を参照しながら説明する。図1は、太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に表す模式断面図である。なお、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、以下では、n型半導体基板としてシリコン基板を用いる例について説明するが、本開示において半導体基板はシリコン基板に限定されない。
図1(1)では、n型半導体基板10であるシリコン基板にアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャ構造をエッチングにて得る。
図1(2)では、PECVD又はスチーム熱酸化炉を用いて裏主面にバリア層21(SiO層)を100nm〜300nmの厚さとなるように形成する。なおスチーム熱酸化炉を用いてSiO層を形成する場合は、表主面に形成されたSiO層をエッチングにより除去する。また、PECVDでSiOを形成する場合も、表主面端部等にSiO層が形成されている可能性があるので、これを除去することが好ましい。SiO層の除去に用いられるエッチング液としてはフッ酸を水で希釈したフッ酸水溶液を用いることが好ましい。フッ酸水溶液の濃度は2質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜8質量%であることがより好ましい。
図1(3)では、n型半導体基板10の受光面となる面に、BBrガスを用いて熱拡散処理を行うか、ホウ素元素を含有するp型拡散層形成組成物を塗布して熱拡散処理を行い、p型拡散層11を形成する。このとき、p型拡散層の表面にBSG22が形成される。
図1(4)では、p型拡散層11を形成した面とは反対の裏主面をフッ酸水溶液で処理してバリア層21を除去する。
図1(5)ではn型半導体基板10の受光面と反対面の、電極を形成する予定の領域に、電極のパターンと略同じパターンの形状となるようn型拡散層形成組成物層12を付与する。n型拡散層形成組成物層12は電極幅の1.0倍〜3.0倍の幅となるように塗布してもよく、重ね合わせのズレ防止と、ドナー元素濃度の高いn型拡散層による、キャリアの再結合の抑制の観点から、1.5倍〜2.5倍となるように塗布することが好ましい。
n型拡散層形成組成物の付与後、乾燥し、n型半導体基板10を熱拡散設備に投入する。このとき、表主面のp型拡散層にドナー元素が混入しないように、複数枚のn型半導体基板10を、p型拡散層が向かい合うように重ねて熱拡散設備に設置することが好ましい。熱拡散処理における雰囲気の温度は830℃〜950℃であることが好ましい。熱拡散処理の炉内雰囲気は、空気、酸素、窒素等の不活性ガス、これらの混合ガスなどから所望の条件に合わせて選択でき、酸素と窒素の混合ガスが好ましい。これにより図1(6)の第一のn型拡散層13が形成される。
次いで、前記熱拡散処理から温度を700℃〜900℃に降温させて、POClを含有するガスを炉内に注入し、図1(6)に示すようなドナー元素濃度が第一のn型拡散層よりも低い第二のn型拡散層14を形成する。このとき、第一のn型拡散層13及び第二のn型拡散層14の表面にはPSG24が形成されている。適度な濃度でリン拡散層を形成するために、拡散温度は750℃〜850℃が好ましく、また拡散時間はDepo工程とDrive−in工程の時間を合わせて10分〜60分であることが好ましい。このとき、POClを含有するガス雰囲気を用いた方法では、POClを含有するガスが半導体基板の表主面にも及ぶが、p型拡散層を形成する際に得られたBSG22及び熱酸化膜がバリア層となり、また半導体基板のp型拡散層が向かい合うように重ね合せて炉内に設置されていることによって、表主面へのリン拡散を防止する。
n型半導体基板10の受光面に形成されたp型拡散層11の表面には、BSG22、熱酸化膜等が残存し、裏主面の第一のn型拡散層13及び第二のn型拡散層14にはn型拡散層形成組成物及びPOClを含有するガスを用いたドナー元素拡散で形成されたPSG24が残存している。図1(7)では、これらの残存物をエッチングにより除去する。エッチング液としては、フッ酸等の酸に浸漬する方法、苛性ソーダ等のアルカリに浸漬する方法など、公知の方法のいずれもが適用できる。エッチング能力の点では、フッ酸によるエッチング処理であることが好ましい。フッ酸によるエッチング処理としては、フッ酸にn型半導体基板10を浸漬する方法が挙げられる。フッ酸にn型半導体基板10を浸漬する場合、浸漬時間は特に制限されない。一般に、0.5分間〜30分間としてもよく、1分間〜10分間とすることが好ましい。残存物を本洗浄方法で除去した後の半導体基板の表面は疎水性を示す。
図1(8)では、p型拡散層11の上に反射防止膜15、並びに第一のn型拡散層13及び第二のn型拡散層14の上に反射防止膜16を形成する。反射防止膜15及び16は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜15及び16がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHとの混合ガスを原料とするプラズマCVD(PECVD;plasma−enhanced chemical vapor deposition)法により形成する。このとき、水素が結晶中に拡散し、ケイ素原子の結合に寄与しない軌道、すなわちダングリングボンドと水素とが結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
より具体的には、反射防止膜15及び16は、例えば、上記混合ガスの流量比(NH/SiH)が0.05〜1.0、反応室の圧力が13.3Pa(0.1Torr)〜266.6Pa(2Torr)、成膜時の温度が300℃〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
p型拡散層上にはパッシベーション層を形成してもよい。例えば、ALD(原子層堆積)法でAl層を積層してもよく、熱酸化等によりSiO層を形成してもよい。この場合、パッシベーション層上に上述の反射防止膜を形成する。
図1(9)では、表主面の反射防止膜15上に、受光面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷塗布し、乾燥させ、受光面電極用金属ペースト層17を形成する。受光面電極用金属ペーストとしては、例えば、金属粒子とガラス粒子とを含有し、必要に応じて樹脂バインダー及びその他の添加剤を含有するものを使用できる。
次いで、裏主面の裏面電極用金属ペースト層19を形成する。裏面電極用金属ペースト層19の材質及び形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀、銅等の金属を含有する裏面電極用金属ペーストを付与し、乾燥させて、裏面電極用金属ペースト層19を形成してもよい。このとき、裏面にも、モジュール工程における太陽電池素子間の接続のために、一部に銀電極形成用の銀ペーストを設けてもよい。
図1(10)では、受光面電極用金属ペースト層17を焼成して、太陽電池素子を完成させる。600℃〜900℃の範囲で数秒間〜数分間焼成すると、受光面側では受光面電極用金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜15が溶融し、さらにn型半導体基板10の表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)がn型半導体基板10と接触部を形成して凝固する。これにより、形成した受光面電極18とn型半導体基板10とが導通される。これはファイアースルーと称されている。また、裏面側でも同様に、裏面電極用金属ペースト層19の裏面電極用金属ペーストが焼成されて、裏面電極20が形成される。
受光面電極18の形状の一例について図2A及び図2Bを参照して説明する。受光面電極18は、バスバー電極30、及びバスバー電極30と交差しているフィンガー電極32を有する。図2Aは、受光面電極18を、バスバー電極30、及びバスバー電極30と交差しているフィンガー電極32を有する構成とした太陽電池素子を受光面から見た平面図であり、図2Bは、図2Aの一部を拡大して示す斜視図である。
このような受光面電極18は、上述の受光面電極用金属ペーストのスクリーン印刷、電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着等の手段により形成することができる。バスバー電極30とフィンガー電極32とを有する受光面電極18は受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
上記では、受光面にp型拡散層、裏面にn型拡散層を形成し、さらにそれぞれの層の上に受光面電極及び裏面電極を設けた太陽電池素子について説明したが、本実施形態のn型拡散層形成組成物を用いればバックコンタクト型の太陽電池素子を製造することも可能である。バックコンタクト型の太陽電池素子は、電極を裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまり、バックコンタクト型の太陽電池素子では、裏面にp型拡散部位及びn型拡散部位の両方を形成してpn接合構造とする。本実施形態のn型拡散層形成組成物は、特定の部位にn型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池素子の製造に好適に適用することができる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に制限されるものではない。また「%」は断りがない限り「質量%」を意味する。
[実施例1]
(n型拡散層形成組成物の調製)
粒子形状がブロック状で、体積平均粒子径が0.89μmのP−SiO−CaO系ガラス(P:30モル%、SiO:60モル%、CaO:10モル%)粒子10gと、エチルセルロース5gと、テルピネオール85gとを、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、n型拡散層形成組成物を調製した。得られたn型拡散層形成組成物の粘度は、61Pa・sであった。
ガラス粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ、「TM−1000型」)を用いて観察して判定した。ガラスの平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社、「LS 13 320型」、測定波長:632nm)を用いて算出した。
(バリア層の形成)
PECVD装置を用いて、半導体基板の裏主面に厚さ約200nmのSiO層を形成した後、5質量%フッ酸水溶液に表主面だけを2分間浸漬して表主面の端部にある余分なSiO層を除去した。
(p型拡散層の形成)
まず、テクスチャ構造が形成された半導体基板をN:10L/minを流した拡散炉(光洋サーモシステム株式会社、「206A−M100」)700℃の状態で入れたボートを投入した。このとき、半導体基板を2枚準備し、この2枚を重ね合わせて設置した。2枚を重ね合わせることにより、内側面にBBrガスが回りこむことが抑えられる。この内側面を裏主面とし、後の工程でn型拡散層を形成する面とする。その後、15℃/minの昇温速度で950℃まで温度を上げ、酸素、窒素及びBBrの混合ガスを炉内に注入して950℃で50分間熱処理し、ホウ素を半導体基板中に拡散(熱拡散)させ、p型拡散層を形成した。その後、N:7L/min、O:3L/minに拡散炉内の雰囲気を変えて、700℃まで85分間かけて降温し、700℃で半導体基板を取り出した。
(シート抵抗の評価)
拡散部のシート抵抗を低抵抗率計(三菱化学株式会社製、「Loresta MCP−T360」)を用いて測定した。拡散部のシート抵抗は70Ω/sq.であり、p型拡散層が形成されていることが分かった。
(バリア層の除去)
ホウ素拡散の後、裏主面のバリア層を5質量%フッ酸に2分間浸漬して除去した。このとき、裏主面のみ5質量%フッ酸に漬けるようにして、表主面にあるBSGは残すようにした。
(n型拡散層の形成)
次に上述のようにp型拡散層を形成した半導体基板に、調製したn型拡散層形成組成物をスクリーン印刷によって電極パターンに合わせるように線幅100μmで印刷し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、n型拡散層形成組成物層を形成した。2枚の半導体基板をp型拡散層の面が向かい合うように重ねてボートに設置し、N:9L/min、O:1L/minを流した温度700℃の拡散炉(光洋サーモシステム株式会社、「206A−M100」)中に投入した。その後、15℃/minの昇温速度で930℃まで温度を上げ、930℃で10分間熱処理し、リンを半導体基板中に拡散(熱拡散)させ、リン濃度の高いn型拡散層(第一のn型拡散層)を形成した。800℃まで15分間かけて降温しO、N、POClの混合ガスを導入して、800℃で20分間(Depo時間20分、Drive−in時間0分間)の熱拡散処理を行い、n型半導体基板の裏主面にリン濃度の低いn型拡散層(第二のn型拡散層)を形成した。その後、炉内を窒素雰囲気に変えて700℃まで降温し、半導体基板を取出した。5質量%フッ酸水溶液に10分間浸漬し半導体基板に残存したガラス成分を除去した。
上記のようにp型拡散層及びn型拡散層を形成したn型半導体基板に対し、酸素を5L/min流した熱酸化炉で700℃、20分間処理して両面にパッシベーション層を形成した。その後、PECVDで両面に窒化ケイ素膜を形成した。次いで、n型半導体基板の両面にスクリーン印刷で銀ペーストを幅55μmの電極のパターン状に付与し、800℃でファイアースルーさせて、p型拡散層及びn型拡散層と電気的なコンタクトが確保された電極を形成し、両面受光型の太陽電池素子を作製した。
(I−V測定)
太陽電池素子のp型拡散層側の発電効率を、AM1.5Gに設定された光源のもと、I−Vトレーサー(英弘精機株式会社製 MP−180)を用いて測定した。その結果、発電効率は20.2%と高かった。
[実施例2]
実施例1におけるホウ素の拡散工程でホウ素元素を含んだスピンコート材を基板に塗布してシート抵抗が70Ω/sq.になるよう熱拡散処理したこと以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した結果、発電効率は20.2%と高かった。
[実施例3]
実施例1のバリア層形成においてスチーム熱酸化炉を用いて厚さ約100nmのSiO層を形成した以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した結果、発電効率は20.0%と高かった。
[比較例1]
実施例1においてバリア層形成工程を省いた以外は実施例1と同様に太陽電池素子を試作評価した結果、発電効率は18.8%と低かった。
[比較例2]
実施例2においてバリア層形成工程を省いて、太陽電池素子を試作評価した結果、発電効率は18.0%と低かった。
10 n型半導体基板(シリコン基板)
11 p型拡散層
12 n型拡散層形成組成物層
13 第一のn型拡散層
14 第二のn型拡散層
15 反射防止膜
16 反射防止膜
17 受光面電極用金属ペースト層
18 受光面電極
19 裏面電極用金属ペースト層
20 裏面電極
21 バリア層(SiO層)
22 BSG
24 PSG
30 バスバー電極
32 フィンガー電極

Claims (10)

  1. 半導体基板の裏主面にバリア層を形成する工程と、
    前記バリア層を形成する工程の後の、前記半導体基板の表主面にp型拡散層を形成する工程と、
    前記p型拡散層を形成する工程の後の、前記半導体基板の裏主面の前記バリア層を除去する工程と、
    前記バリア層を除去する工程の後の、前記半導体基板の裏主面にn型拡散層形成組成物を部分的に付与して第一のn型拡散層を形成する工程、及び前記半導体基板の裏主面に前記第一のn型拡散層のドナー元素濃度より低いドナー元素濃度を有する第二のn型拡散層を形成する工程を含む、n型拡散層を形成する工程と、
    を有する、選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  2. 前記n型拡散層形成組成物が、酸化物として表示したとき、P、P及びSbから選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO及びMoOから選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有するガラス粒子を含有する、請求項1に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  3. 前記n型拡散層形成組成物が、酸化物として表示したとき、P、SiO及びCaOを含有するガラス粒子と、分散媒と、を含有する請求項1又は請求項2に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  4. 前記バリア層がSiOを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  5. 前記バリア層の平均厚さが50nm〜500nmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  6. 前記バリア層がPECVDによって形成される、又はスチーム熱酸化炉を用いて形成される、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  7. 前記第二のn型拡散層がPOClを含有するガスを用いて形成される請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の製造方法により製造される選択的n型拡散層付き半導体基板。
  9. 請求項8に記載の選択的n型拡散層付き半導体基板と、前記選択的n型拡散層付き半導体基板上に設けられた電極と、を有する太陽電池素子。
  10. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の製造方法により選択的n型拡散層を有する選択的n型拡散層付き半導体基板を製造する工程と、前記選択的n型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する、太陽電池素子の製造方法。
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